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JIN-仁-, JIN-仁- #07

( 仁 ) 平成 二十二 年 …

てこ と は …

( 洪 庵 ) 私 に は …→

時間 が ない

( 勝 ) 医学 所   辞め ち まった か ( 橘 ) はい

「 一連の 騒動 は   自分 の 落ち度 だ 」 と 言い出して

≪( 勝 ) どこ 行く んだ ?  龍 の 字

( 龍 馬 ) 先生 の 護衛 に 行く ぜ よ

まだまだ   どう なる か 分から ん

お前 さん   頼む よ ああ …

どう いて じゃ !?

そろそろ   海軍 を つくる 根回し を 始めよう と 思って よ

けん ど   今 は …

死に かかって る の は 人 ばかり じゃ ない んだ ぜ

この 国 だって   死に かかって んだ

( 山田 ) どうぞ

少し チクッ と し ます

( 野 風 ) 先生 から お 礼 の 文 を いただき ん した が

先生 は   あ ちき の 文 そのもの は ご覧 に ?

( 咲 ) どうした もの か 私 も 判断 を いたし かね

あの …  お 見せ した 方 が ?

いえ …

どうか   そのまま 破り 捨てて おく ん なん し

あの …  野 風 様 は 先生 の こと を お 慕い して

あ ちき に も   情 人 の 一 人 ぐらい は お ざん して な

その お方 の こと を 考え 書いた まで の こと

南方 先生 の こと を お 慕い して る わけで は ご ざん せ ん

先生

ご 無事で 何より で

別人 な の は   分かって んだ けど な ~

あれ …  いい んです か ? 咲 さ ん

一緒に 歩いて る こと に なっちゃ うんじゃ

つまら ぬ こと を 気 に する の は やめた のです

歩き たい ように 歩け ぬ 人 も いる のです から

は あ …

( 玄 朴 ) 無断 で ペニシリン を 持ち出す と は 何事 じゃ !

( 山田 ) ペニシリン は   南方 先生 が つくりだした もの です し …

薬 を つくる 施設   材   全て 医学 所 持ち であろう !

今回 の 件 に かんし まして は

全て 私 が 立て替え ます ゆえ

この こと は   南方 先生 に は 内密に

しかし   使用 の たび に これ で は …

やはり   一連の 下手人 を 捜した 方 が よろしい ので は

恨み は …  恨み を 買う だけ や と 思い ませ ん か ?

ああ …

ペニシリン を 守る ため に は もっと 別の 策 を 講じ ん と …

≪( 山田 ) 大丈夫で ございます か ?

ただ の 流行り 風邪 で ございます

( せき込む )

( 栄 ) どう なさる お つもりでしょう ね ?  先生 は

もう   ずいぶん 何 を なされる でも なく

それ は 未来 の もの です か ?

ああ … はい   丘 に 落ちて て

では   どなた か が 先生 の ように

いら した と いう こと で ございます か ?

誰 か が 来た の か

これ だけ が 落ちて きた の か 分から ない んです けど

戻れる 道 を お 捜し に なって いる のです か ?

今   戻って も 未来 さん の 手術 が

成功 する ような 世に は なって い ない と

案じて いらっしゃる ?

どうして 分かった んです か ?

先生 が 迷わ れる と したら それ し かない です から

でも   ここ で ずっと 生きて く 覚悟 は ある の か って 言わ れる と …

ご 判断 を 急ぐ 必要 は ない ので は ない でしょう か

いつか   天命 も まいり ましょう し

天命 ?

人 に は いかに 生きる べき か

天命 を 授かる とき が くる と 言い ます から

〈 もし   いつか 〉

〈 本当に 天命 なんて もの が 空 から 降って きた と して 〉

これ が ペニシリン で ございます

〈 それ が   もし 〉

〈 この 時代 で 生きて いく こと だった と したら 〉

〈 俺 は   あきらめきれる んだろう か 〉

〈 この 手 の 中 の 可能 性 を 〉

南方 仁 なる 医者 が つくり ました

〈 あきらめきれる んだろう か ?〉

〈 君 と の 未来 を 〉

≪( 喜市 ) 先生 !→

茜 ねえちゃん が !

揚げ物 の 油 を   かぶ っち まって !

《≪ 茜 ちゃん   大丈夫 かい !?》

( 洪 庵 ) ペニシリン は すばらしい 薬 です が

管理 が 難しく   保存 が きか ぬ ゆえ

絶えず   人 の 手 を 必要 と し ます

その 上 に   我ら を 快う 思わ ん 連中 の 手 に よって

害 を なす と いう 事件 まで 起きて おり ます

( 客 ) 害 皆   恐ろしい ので ございます

南方 先生 の 医術 が 進み すぎて

( 客 ) 緒方 先生 は 恐ろしく は ない のです か ?

医術 に 命 を かけた 者 と して は 落胆 も いたし ました

が   しかし か の 人 の 医術 が 広まれば

たちどころに   幾 万 …  いや

幾 十万 の 人 の 命 を 救う こと が でき ます

南方 先生 と ペニシリン は

本邦   医学 界 が 守ら ねば なら ん

宝 で ございます

( 母親 ) 先生   茜 の 顔 は 元 に 戻り ます でしょう か ?

( 茜 ) 無理 言う な よ   いくら 何でも こんな ヤケド …

まったく   元どおり と いう わけに は いか ない かも しれ ませ ん が

化粧 を すれば   分から ない 程度 に は できる と 思い ます

とりあえず 今日 は 消毒 を し ましょう

≪( 茜 ) はい

≪( 咲 ) どのような 治療 を なさる のです か ?

失った 皮膚 を 別の 部分 から 移して 植え 替え ます

そのような こと が できる のです か ?

でも …  その ため に は 大量の ペニシリン が 必要な んです

では   医学 所 に

お 願い する しか あり ませ ん ね

は は ~  皮膚 を 移植 なさる

はい   損傷 は 表皮 だけ で なく

真 皮 全 層 に まで 達して い ます

皮膚 の 再生 は 望め ない 状態 だ と 思い ます

ですから   他の 部分 から 皮膚 を 移植 する のです が

手術 後   約 二 週間 ほど

感染 症 予防 の ため に ペニシリン が 大量に 必要です

その ため の ペニシリン で ございます か

あの … 大量 と は   どの 程度 に ?

必要な だけ どう か   お 申しつけ ください

≪( 洪 庵 ) それ は   それ と して

その 手術   私 の 知人 に 見せて いただく こと は でき ます か

かまい ませ ん が かた じ け のう ございます

で   その 手術 どのように なさる のです か ?

はい   まず   麻酔 を した あと

ヤケド で 壊死 した 部分 を カミソリ で 取り除き ます

それ を  「 デブリードマン 」 と いう のです が …

≪( 山田 ) 先生 先生 ?

大丈夫で ございます

≪( 山田 ) 風邪 を こじら して いらっしゃる ようです

この ところ 遅く まで 書き物 を して おる らしく

お 疲れ な ので ございましょう

山田 先生 も   ペニシリン 管理 する の 大変です よ ね ?

え ッ ? それ を   大量に つくって くれ なんて

ペニシリン は   誰 が 何と 言おう と 南方 先生 の もの で ございます

存分に   お 使い ください ませ

( 医師 B ) あの 連中 は 何も 反省 して おら ぬ ようじゃ の

( 瓦版 売り ) ついに やった よ   攘夷 だ

長 州 が メリケン の 船 を 攻撃 した って よ ~

ほんとに   幕末 な んだ な

≪( 洪 庵 ) 南方 先生

私 の 古い 恩人 で ございます

( 濱口 ) 今日 は   よろしく お 願い し ます

はい

麻酔   導入 し ました

デブリードマン は い

あれ は 何 を して いる のです か ?

壊死 した 皮膚 を →

けずり 取って おる ので ございましょう

( おばちゃん ) 山田 先生 ずっと 泊まり込み な んだ って ?

南方 先生 に   よい ペニシリン を 持っていか ねば なら ぬ から

( 佐分利 ) 山田 先生 !

製造 所 から   火 が !

ペニシリン が …

うわ ~ ッ ! 山田 先生 !

≪( 佐分利 ) 山田 先生 !

採 皮 部分 を 縫 合し ます は い

南方 殿 は   誠に …

この世 の …  奇跡

≪( 横 松 ) 緒方 先生   南方 先生 !→

いらっしゃい ます か !?→

ペニシリン 製造 所 から 出火 し ました !→

ペニシリン を   全て 失い ました !

緒方 先生 !

ペニシリン が …

今日 は 蒸し ます ね   先生

はい

続け ます

( 八木 ) 誰 が   こんな こと を

ええ 株 持ち出せて る じゃ ないで す か

ひと 株 で は …

どうにも

先生 !

( 山田 ) 先生   私 は …

私 は 南方 先生 に 合わす 顔 が ござ り ませ ぬ !

( 濱口 ) 南方 殿 ペニシリン と いう 薬 なし で →

今後 の 治療 は   できる のです か ?

できる だけ   丁寧に 縫 合し ました

何とか なる のです か ?

皮膚 の 固定 に 気 を 配り まめに 消毒 を 続けて いき ます

《 お 願い が ございます 薬 を つくり たい んです 》

《 ペニシリン と 言い ます 》

《≪( 洪 庵 ) やり ました な 》

≪( 濱口 ) 緒方 先生

私 は …  頭取 失格 です

お 恥ずかしい こと で ございます

この 事件 の 裏側 に は 医学 所 内 の 派閥 争い が ございます

南方 先生 が 辞め なければ なら ん かった 理由 も

突きつめれば そこ に ございます

私 は …  何一つ でき ん かった

南方 先生 から 数 限りない 医術 を 与え られ ながら

私 は …

何一つ !

緒方 先生 …  あ ッ !

濱口 様   後生 で ございます

( 洪 庵 ) お 願い いたし ます ! お 願い いたし ます

では   緒方 先生 に お 会い する こと は ?

今 は   ちょっと …

ペニシリン を   再び つくる 目 処 は ?

全力 で やり ます それ は   お 約束 し ます んで

早くて も   二 週間 は かかる か

先生   青 カビ を 集め ましょう

この 季節 です し カビ も 育ち やすう ございましょう

≪( 男 ) 山田 純 庵 殿 で ご ざる か ?

先生   カビ あり ました ありがとう ございます

おい ら に でき ん の は カビ を 集める くらい の 気 も する が

考えちゃ みる が よ お 願い し ます

坂本 殿 より の 文 で ございます か ?

ああ   海軍 塾 の お 足 越前 の 殿様 から

五千 両   借り られた って よ 五千 両 !?

殿様 の 前 で ペニシリン の 話 を した らしい ぜ

《( 龍 馬 ) その 南方 先生 っ ちゅう が は 》

《 ペニシリン っ ちゅう 秘密 兵器 を 持 っち ょる が じゃ 》

《 これ が   あるき !》

《 腹 を か っ さばく っ ちゅう 大胆な 治療 が できる が じゃ 》

《 列強 に 負け ん ような 海軍 は 》

《 こん 国 の ペニシリン に なる ぜ よ !》

あの 口先 は 才能 だ な はい …

( 初音 ) よう   見え りん す

ありがとう ご ざん す   橘 様

それ で   少し は 暮らし やすく なろう

けん ど これ で は   客 はつ きんせん な

もう … つか ず と も   よい で は ない か

もっと   早う 出会い たかった であり ん す

( 野 風 ) 他言 は   いたし ん せんけん ど

女 郎 の 言葉 に は 必ず 嘘 が 入りまじって おり ん す

それ だけ は 心して おく ん なん し

説教 と は   花魁 と は ずいぶん 偉い もの である な

真 の 世 から は   あ ちき など

蚊帳 の 外 で お ざん すよ

私 も だ

思う ように は 増え ませ ん ね

よかった んでしょう か ?  これ で

同じ 過ち を   おかして は なり ませ ん

あんまり   よく ない んだ ろ ?

そんな こと ないで すよ

い いって   あたい は 顔 で 売って た んじゃ ないし さ

感染 症 を 起こし かけて いる !? はい

このまま だ と   まず い です

ペニシリン は   まだ   でき ぬ のです か ?

これ から 抽出 して も あと 一 週間 は

そう だ … 先生 ?

ちょっと   行って き ます !

先生   どこ へ !?

≪( 医者 ) 医学 館 の 名 を つぶして おいて →

よくも   の この こ来 られた な ! お 願い し ます !

このまま で は 感染 症 に なる 危険 が あり ます

化膿 に 効く 生薬 か 何 か を ! お 願い し ます

( 医者 ) うるさい !

( 橘 ) 行き ましょう   先生

あの 程度 の ヤケド を 治せ ない なんて

「 神 は 乗り越え られる 試練 しか 与え ない 」

喜市 ちゃん が 以前 先生 に そう 言わ れた と

はい

どうぞ ありがとう ございます

南方 様 に   お 荷物 が 届いて おり ます

私 に ?

( 山田 )「 まだ 少し です が ペニシリン を お 届け し ます 」

「 これ から   毎日   このように お 届け いたし ます ゆえ 」

「 ご 安堵   召さ れ ます よう 」

どう やった んでしょう ? たった 七 日間 で

分かり ませ ん

でも …

これ で 治 せる

上がった な ~

これ で 治った の か ?

傷あと は 時間 の 経過 と ともに どんどん 消えて き ます

ほんとに !? はい   大丈夫です よ

ねえちゃん 店   いつ から 出 れ んだ よ ?

ねえちゃん の 呼び込み が ない と 寂しくて いけ ねえ って

み ~ んな   うるさく って

明日 に は 拝ま せて やる って そう 言 っと け !

よかった で すね は い

佐分利 先生

もう   そろそろ 教えて いただけ ませ ん か ?

どう やって ペニシリン を つくった の か

( 橘 ) こんな 所 で つくって た んです か

放火 やった んで   しばらく 場所 は ふせて おけ と 緒方 先生 が

でも   一 週間 じゃ カビ も 育た ない でしょう

そこ は   山田 先生 が 命からがら 株 を 持ち出して くれた んで

これ は …

ここ は   もと 醤油 が 運ば れる 倉 だった 所 です

醤油 ? ええ

この 者 達 は 醤油 づくり の 職人 です →

もともと 培養 したり   ろ過 したり →

そういった 作業 に は 慣れて る わけです

ゆえに   七 日間 で ペニシリン が ? ええ

でも   どうして こんな こと が できて ?

手術 見学 して はった 方 あの 方 は →

濱口 様 っ ちゅう   醤油 づくり の ヤマサ の ご 当主 な んです よ

あった んだ   この 時代 から

≪( 山田 ) 濱口 様 は   医学 所 の 前身 の 種痘 所 を 再興 したり

医学 の 研究 の ため に   ばく大な 援助 を して くれて る 方 です

緒方 先生

どうして 言って くれ なかった んです か ?

私 が 素性 を 明かさ ぬ ように お 願い した のです

あの とき は まだ ペニシリン に 対する 援助 を

決め かねて おり ました ので

でも   結局   あの とき は ペニシリン を 使わ ず に …

私 は   あなた の 神業 の ような 医術 や

薬 の 威力 ゆえ に 心 を 決めた わけで は ございませ ぬ

あなた と あなた の 医術 を 守り たい と いう

緒方 先生 の お 心 に 打た れた ので ございます

緒方 先生 の お 心 ? はい →

先生 から は   数 ヵ 月 に わたって →

何度 も 丁寧な 文 を いただき 何度 も 足 を お 運び いただき →

その 熱心 さ は   少々 恐ろしい ほど で ございました

この 製造 所 は 緒方 先生 が 命 を けずって

お つくり に なら れた もの です

あなた の ため に

その後   緒方 先生 に は お 会い に なら れ ました か ?

いえ

では   一 日 も 早く

お 礼 を おっしゃり に 行って ください

緒方 先生 は 恐らく …

重い 労 咳 に

え ッ !?

( 橘 ) 先生   お 待ち ください   先生

《 何とぞ   我ら に   コロリ の 治療 法 を ご 教授   願い たく 》

《 山田 を   お 願い し ます 》

《 道 を 開く と いう こと は な 》

《 自分 だけ の 逃げ道 を つくる こと や ない !》

《 して …  その 薬 の 名 は ?》

( 八重 ) 南方 様 と おっしゃる   お方 が

着替え を

南方 殿 は   私 の 師 に も あたる お方 や

こんな 格好で は 無礼に あたる

ああ   お 待た せ して 申し訳 ございませ ん

先生

ペニシリン の 件 で は 本当に お 世話に なり ました

いえいえ

あれ は 濱口 様 が いたれば こそ の こと

緒方 先生 は い

診察 を さ せて いただけ ます か ?

これ は   これ は

お 見たて の ほど よろしゅう お 願い し ます

先生

先生 は   医 の 道 は どこ へ 通じる と お 思い です か ?

え ッ ?

私 に は …

私 は   医 の 道 は

平らな 世に 通じる と 思う てま す

武士 や 百姓 や と 人 に 勝手に

身分 の 上下 つけ とる 世の中 で は ございます が

腹 割れば   同じ もん が 入って ます

天 の 下 に 人   皆   等しき なり

医学 の 目指す べき 地平 は そこ や と 思う て

日々   精進 して まいり ました

未来 は … 平らな 世 で ございます か ?

先生 は   未来 から 来た お 人 でしょう ?

そんな こと は あり え ん

そんな バカな こと を 考える それ だけ で 蘭学 者 失格 や

でも …  何べん 考えて も

そう と しか 思え ん のです わ

冥土 の 土産 に し ます ゆえ 教えて ください

私 の 思う た と おりや ったら

先生   目 つぶって ください

お 恥ずかしい こと で ございます

一 年 前   住み慣れた 大坂 から

江戸 へ 召し 出さ れて

口 で は  「 国 の ため   道 の ため 」 など と 言う ており ました が

心 の 中 で は もう   寂しゅう て   寂しゅう て

たかが   大坂 から 江戸 へ 召し 出さ れた だけ で

恥ずかしい こと で ございます

南方 先生 の 寂し さ に 比べれば

私 など …  いかほど の もんか

もう …  私 に できる こと は

何も ございませ ん

だから   どうか

先生 の   その 寂し さ

この 洪 庵 に   お 分け ください

洪 庵   冥土 に 持っていき ます

心細く は あり ました が

私 は   孤独で は あり ませ ん でした

私 の ような 得体の知れない 者 を 信じ

支えて くださった 方 が い ました から

私 は …

決して   孤独で は あり ませ ん でした

緒方 先生

私 に も 一 つ   お 教え 願え ます か ?

私 は   この ご恩 に どう 報いれば よろしい のでしょう か ?

より よき 未来 を   お つくり ください

未来 を ?

皆 が 楽しゅう 笑い 合う

平らな 世 を   お つくり ください

国 の ため

道 の ため

はい

南方 先生

未来 で は   この 労 咳 と いう 病 は

治 せる 病 に   なって おる んです な ?

ああ …  ああ …

〈 そして  1863 年 〉

〈7 月 25 日 〉

〈 緒方 先生 は   帰ら ぬ 人 と なった 〉

〈 俺 と   かかわった こと で 〉

〈 寿命 が 延びた の か 縮んだ の か それとも 〉

〈 何も 変わら なかった の か は 分から ない 〉

〈 だけど   満足 そうに 〉

〈 微笑んで   いか れた と いう 〉

〈 その 顔 は たとえ 歴史 が どう 変わって も 〉

〈 変わら なかった のだろう と 思う 〉

長 州 が   アメリカ と フランス から

攘夷 の 報復 攻撃 を 受けた ちゅう 話 じゃ が

( 勝 ) これ で 奴 ら も 攘夷 なんて 絵 に 描いた 餅 だ と 分かった だろう

長 州 を たたき おった 異国 の 船 は 幕府 が 修理 し

再び   長 州 を たたき に 出て いった っ ちゅう 噂 は

誠 かい ? 怒って ん の かい ?

思う とこ は 違う けん ど 奴 ら は   こん 国 を 守る ため に

戦 こうち ょる ぜ よ それ を …

これ を 理由 に 戦 なんか 仕掛け られて みろ

あっという間 に 占領 さ れて 終わり さ

先生 は それ で   ええ が かえ !?

おい ら   幕 臣 だ よ

幕 臣 だ から   できる こと は 山 の ように ある

が   幕 臣 だ から のま なきゃ な ん ねえ こと も ある

《 より よき 未来 を お つくり ください 》

より よき 未来 …

お 手紙 です

「 友 」?

( 龍 馬 )「 先生   元気に しち ょる かえ 」

龍 馬 さん

「 どうでも ええ こと じゃけん ど 」

「 今日 は 一 つ   聞いて ほしい ぜ よ 」

「 長 州 を 攻撃 した 異国 の 船 を 幕府 が 秘密裏 に 修理 し 」

「 その 船 が   また 長 州 を たた い とる っ ちゅう 噂 は 」

「 聞 いち ょる かえ ?」

「 わしゃ   勝 先生 に 」

「 それ で ええ かえ と つめよった けん ど 」

「 先生 は 幕 臣 である が ゆえ に 」

「 どうにも なら ん こと が ある ち 言う が じゃ 」

「 ならば   それ こそ が わし の 天命 で は ない か え 」

「 天 より する こと かも しれ ん と 思う た ぜ よ 」

「 わし に は 身分 も ない 」

「 その かわり に   しがらみ も ない 」

「 何の 力 も ない けん ど   この 身 一 つ 」

「 どうにでも 動ける き 」

「 わし は 日本 を   いま 一 度 せんたく する ぜ よ 」

「 攘夷 派 も 開国 派 も まとめて みせる き 」

「 この 日 の 本 を   一 つ に する ぜ よ 」

「 一 つ 」

一 つ に …

する

〈 これ って   もし かして 〉

〈 天命 って やつ じゃ ない か って 思った んだ よ 〉

未来

俺 さ   病院 を つくって みる よ

誰 も が 気軽に かかれる ような 値段 で

そこ で は   西洋 医学 と 漢方 と が 融合 した 治療 が 受け られる

その 二 つ を 一 つ に する こと で

新しい 医療 が 生まれる 可能 性 が ある と 思う んだ

その こと で 君 の 未来 が 一時的に 悪く なったり

いろいろ   する んだろう けど

大きな   うねり で は

絶対 に いい 方向 に 向かう と 思う んだ

未来 が 過去 の 結果 だ と する なら

最善 を 尽くした 結果 が 悪く なる はず は ない だろう し

俺 は   そう 信じ たい

俺 は   ここ から

君 の 腫瘍 を 治 せる ような 未来 を つくって み せる

〈 これ は   俺 の …〉

〈 新たな 船出 だ 〉

皆さん   改めて よろしく お 願い し ます !

はい !



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( 仁 ) 平成 二十二 年 …

てこ と は …

( 洪 庵 ) 私 に は …→

時間 が ない

( 勝 ) 医学 所   辞め ち まった か ( 橘 ) はい

「 一連の 騒動 は   自分 の 落ち度 だ 」 と 言い出して

≪( 勝 ) どこ 行く んだ ?  龍 の 字

( 龍 馬 ) 先生 の 護衛 に 行く ぜ よ

まだまだ   どう なる か 分から ん

お前 さん   頼む よ ああ …

どう いて じゃ !?

そろそろ   海軍 を つくる 根回し を 始めよう と 思って よ

けん ど   今 は …

死に かかって る の は 人 ばかり じゃ ない んだ ぜ

この 国 だって   死に かかって んだ

( 山田 ) どうぞ

少し チクッ と し ます

( 野 風 ) 先生 から お 礼 の 文 を いただき ん した が

先生 は   あ ちき の 文 そのもの は ご覧 に ?

( 咲 ) どうした もの か 私 も 判断 を いたし かね

あの …  お 見せ した 方 が ?

いえ …

どうか   そのまま 破り 捨てて おく ん なん し

あの …  野 風 様 は 先生 の こと を お 慕い して

あ ちき に も   情 人 の 一 人 ぐらい は お ざん して な

その お方 の こと を 考え 書いた まで の こと

南方 先生 の こと を お 慕い して る わけで は ご ざん せ ん

先生

ご 無事で 何より で

別人 な の は   分かって んだ けど な ~

あれ …  いい んです か ? 咲 さ ん

一緒に 歩いて る こと に なっちゃ うんじゃ

つまら ぬ こと を 気 に する の は やめた のです

歩き たい ように 歩け ぬ 人 も いる のです から

は あ …

( 玄 朴 ) 無断 で ペニシリン を 持ち出す と は 何事 じゃ !

( 山田 ) ペニシリン は   南方 先生 が つくりだした もの です し …

薬 を つくる 施設   材   全て 医学 所 持ち であろう !

今回 の 件 に かんし まして は

全て 私 が 立て替え ます ゆえ

この こと は   南方 先生 に は 内密に

しかし   使用 の たび に これ で は …

やはり   一連の 下手人 を 捜した 方 が よろしい ので は

恨み は …  恨み を 買う だけ や と 思い ませ ん か ?

ああ …

ペニシリン を 守る ため に は もっと 別の 策 を 講じ ん と …

≪( 山田 ) 大丈夫で ございます か ?

ただ の 流行り 風邪 で ございます

( せき込む )

( 栄 ) どう なさる お つもりでしょう ね ?  先生 は

もう   ずいぶん 何 を なされる でも なく

それ は 未来 の もの です か ?

ああ … はい   丘 に 落ちて て

では   どなた か が 先生 の ように

いら した と いう こと で ございます か ?

誰 か が 来た の か

これ だけ が 落ちて きた の か 分から ない んです けど

戻れる 道 を お 捜し に なって いる のです か ?

今   戻って も 未来 さん の 手術 が

成功 する ような 世に は なって い ない と

案じて いらっしゃる ?

どうして 分かった んです か ?

先生 が 迷わ れる と したら それ し かない です から

でも   ここ で ずっと 生きて く 覚悟 は ある の か って 言わ れる と …

ご 判断 を 急ぐ 必要 は ない ので は ない でしょう か

いつか   天命 も まいり ましょう し

天命 ?

人 に は いかに 生きる べき か

天命 を 授かる とき が くる と 言い ます から

〈 もし   いつか 〉

〈 本当に 天命 なんて もの が 空 から 降って きた と して 〉

これ が ペニシリン で ございます

〈 それ が   もし 〉

〈 この 時代 で 生きて いく こと だった と したら 〉

〈 俺 は   あきらめきれる んだろう か 〉

〈 この 手 の 中 の 可能 性 を 〉

南方 仁 なる 医者 が つくり ました

〈 あきらめきれる んだろう か ?〉

〈 君 と の 未来 を 〉

≪( 喜市 ) 先生 !→

茜 ねえちゃん が !

揚げ物 の 油 を   かぶ っち まって !

《≪ 茜 ちゃん   大丈夫 かい !?》

( 洪 庵 ) ペニシリン は すばらしい 薬 です が

管理 が 難しく   保存 が きか ぬ ゆえ

絶えず   人 の 手 を 必要 と し ます

その 上 に   我ら を 快う 思わ ん 連中 の 手 に よって

害 を なす と いう 事件 まで 起きて おり ます

( 客 ) 害 皆   恐ろしい ので ございます

南方 先生 の 医術 が 進み すぎて

( 客 ) 緒方 先生 は 恐ろしく は ない のです か ?

医術 に 命 を かけた 者 と して は 落胆 も いたし ました

が   しかし か の 人 の 医術 が 広まれば

たちどころに   幾 万 …  いや

幾 十万 の 人 の 命 を 救う こと が でき ます

南方 先生 と ペニシリン は

本邦   医学 界 が 守ら ねば なら ん

宝 で ございます

( 母親 ) 先生   茜 の 顔 は 元 に 戻り ます でしょう か ?

( 茜 ) 無理 言う な よ   いくら 何でも こんな ヤケド …

まったく   元どおり と いう わけに は いか ない かも しれ ませ ん が

化粧 を すれば   分から ない 程度 に は できる と 思い ます

とりあえず 今日 は 消毒 を し ましょう

≪( 茜 ) はい

≪( 咲 ) どのような 治療 を なさる のです か ?

失った 皮膚 を 別の 部分 から 移して 植え 替え ます

そのような こと が できる のです か ?

でも …  その ため に は 大量の ペニシリン が 必要な んです

では   医学 所 に

お 願い する しか あり ませ ん ね

は は ~  皮膚 を 移植 なさる

はい   損傷 は 表皮 だけ で なく

真 皮 全 層 に まで 達して い ます

皮膚 の 再生 は 望め ない 状態 だ と 思い ます

ですから   他の 部分 から 皮膚 を 移植 する のです が

手術 後   約 二 週間 ほど

感染 症 予防 の ため に ペニシリン が 大量に 必要です

その ため の ペニシリン で ございます か

あの … 大量 と は   どの 程度 に ?

必要な だけ どう か   お 申しつけ ください

≪( 洪 庵 ) それ は   それ と して

その 手術   私 の 知人 に 見せて いただく こと は でき ます か

かまい ませ ん が かた じ け のう ございます

で   その 手術 どのように なさる のです か ?

はい   まず   麻酔 を した あと

ヤケド で 壊死 した 部分 を カミソリ で 取り除き ます

それ を  「 デブリードマン 」 と いう のです が …

≪( 山田 ) 先生 先生 ?

大丈夫で ございます

≪( 山田 ) 風邪 を こじら して いらっしゃる ようです

この ところ 遅く まで 書き物 を して おる らしく

お 疲れ な ので ございましょう

山田 先生 も   ペニシリン 管理 する の 大変です よ ね ?

え ッ ? それ を   大量に つくって くれ なんて

ペニシリン は   誰 が 何と 言おう と 南方 先生 の もの で ございます

存分に   お 使い ください ませ

( 医師 B ) あの 連中 は 何も 反省 して おら ぬ ようじゃ の

( 瓦版 売り ) ついに やった よ   攘夷 だ

長 州 が メリケン の 船 を 攻撃 した って よ ~

ほんとに   幕末 な んだ な

≪( 洪 庵 ) 南方 先生

私 の 古い 恩人 で ございます

( 濱口 ) 今日 は   よろしく お 願い し ます

はい

麻酔   導入 し ました

デブリードマン は い

あれ は 何 を して いる のです か ?

壊死 した 皮膚 を →

けずり 取って おる ので ございましょう

( おばちゃん ) 山田 先生 ずっと 泊まり込み な んだ って ?

南方 先生 に   よい ペニシリン を 持っていか ねば なら ぬ から

( 佐分利 ) 山田 先生 !

製造 所 から   火 が !

ペニシリン が …

うわ ~ ッ ! 山田 先生 !

≪( 佐分利 ) 山田 先生 !

採 皮 部分 を 縫 合し ます は い

南方 殿 は   誠に …

この世 の …  奇跡

≪( 横 松 ) 緒方 先生   南方 先生 !→

いらっしゃい ます か !?→

ペニシリン 製造 所 から 出火 し ました !→

ペニシリン を   全て 失い ました !

緒方 先生 !

ペニシリン が …

今日 は 蒸し ます ね   先生

はい

続け ます

( 八木 ) 誰 が   こんな こと を

ええ 株 持ち出せて る じゃ ないで す か

ひと 株 で は …

どうにも

先生 !

( 山田 ) 先生   私 は …

私 は 南方 先生 に 合わす 顔 が ござ り ませ ぬ !

( 濱口 ) 南方 殿 ペニシリン と いう 薬 なし で →

今後 の 治療 は   できる のです か ?

できる だけ   丁寧に 縫 合し ました

何とか なる のです か ?

皮膚 の 固定 に 気 を 配り まめに 消毒 を 続けて いき ます

《 お 願い が ございます 薬 を つくり たい んです 》

《 ペニシリン と 言い ます 》

《≪( 洪 庵 ) やり ました な 》

≪( 濱口 ) 緒方 先生

私 は …  頭取 失格 です

お 恥ずかしい こと で ございます

この 事件 の 裏側 に は 医学 所 内 の 派閥 争い が ございます

南方 先生 が 辞め なければ なら ん かった 理由 も

突きつめれば そこ に ございます

私 は …  何一つ でき ん かった

南方 先生 から 数 限りない 医術 を 与え られ ながら

私 は …

何一つ !

緒方 先生 …  あ ッ !

濱口 様   後生 で ございます

( 洪 庵 ) お 願い いたし ます ! お 願い いたし ます

では   緒方 先生 に お 会い する こと は ?

今 は   ちょっと …

ペニシリン を   再び つくる 目 処 は ?

全力 で やり ます それ は   お 約束 し ます んで

早くて も   二 週間 は かかる か

先生   青 カビ を 集め ましょう

この 季節 です し カビ も 育ち やすう ございましょう

≪( 男 ) 山田 純 庵 殿 で ご ざる か ?

先生   カビ あり ました ありがとう ございます

おい ら に でき ん の は カビ を 集める くらい の 気 も する が

考えちゃ みる が よ お 願い し ます

坂本 殿 より の 文 で ございます か ?

ああ   海軍 塾 の お 足 越前 の 殿様 から

五千 両   借り られた って よ 五千 両 !?

殿様 の 前 で ペニシリン の 話 を した らしい ぜ

《( 龍 馬 ) その 南方 先生 っ ちゅう が は 》

《 ペニシリン っ ちゅう 秘密 兵器 を 持 っち ょる が じゃ 》

《 これ が   あるき !》

《 腹 を か っ さばく っ ちゅう 大胆な 治療 が できる が じゃ 》

《 列強 に 負け ん ような 海軍 は 》

《 こん 国 の ペニシリン に なる ぜ よ !》

あの 口先 は 才能 だ な はい …

( 初音 ) よう   見え りん す

ありがとう ご ざん す   橘 様

それ で   少し は 暮らし やすく なろう

けん ど これ で は   客 はつ きんせん な

もう … つか ず と も   よい で は ない か

もっと   早う 出会い たかった であり ん す

( 野 風 ) 他言 は   いたし ん せんけん ど

女 郎 の 言葉 に は 必ず 嘘 が 入りまじって おり ん す

それ だけ は 心して おく ん なん し

説教 と は   花魁 と は ずいぶん 偉い もの である な

真 の 世 から は   あ ちき など

蚊帳 の 外 で お ざん すよ

私 も だ

思う ように は 増え ませ ん ね

よかった んでしょう か ?  これ で

同じ 過ち を   おかして は なり ませ ん

あんまり   よく ない んだ ろ ?

そんな こと ないで すよ

い いって   あたい は 顔 で 売って た んじゃ ないし さ

感染 症 を 起こし かけて いる !? はい

このまま だ と   まず い です

ペニシリン は   まだ   でき ぬ のです か ?

これ から 抽出 して も あと 一 週間 は

そう だ … 先生 ?

ちょっと   行って き ます !

先生   どこ へ !?

≪( 医者 ) 医学 館 の 名 を つぶして おいて →

よくも   の この こ来 られた な ! お 願い し ます !

このまま で は 感染 症 に なる 危険 が あり ます

化膿 に 効く 生薬 か 何 か を ! お 願い し ます

( 医者 ) うるさい !

( 橘 ) 行き ましょう   先生

あの 程度 の ヤケド を 治せ ない なんて

「 神 は 乗り越え られる 試練 しか 与え ない 」

喜市 ちゃん が 以前 先生 に そう 言わ れた と

はい

どうぞ ありがとう ございます

南方 様 に   お 荷物 が 届いて おり ます

私 に ?

( 山田 )「 まだ 少し です が ペニシリン を お 届け し ます 」

「 これ から   毎日   このように お 届け いたし ます ゆえ 」

「 ご 安堵   召さ れ ます よう 」

どう やった んでしょう ? たった 七 日間 で

分かり ませ ん

でも …

これ で 治 せる

上がった な ~

これ で 治った の か ?

傷あと は 時間 の 経過 と ともに どんどん 消えて き ます

ほんとに !? はい   大丈夫です よ

ねえちゃん 店   いつ から 出 れ んだ よ ?

ねえちゃん の 呼び込み が ない と 寂しくて いけ ねえ って

み ~ んな   うるさく って

明日 に は 拝ま せて やる って そう 言 っと け !

よかった で すね は い

佐分利 先生

もう   そろそろ 教えて いただけ ませ ん か ?

どう やって ペニシリン を つくった の か

( 橘 ) こんな 所 で つくって た んです か

放火 やった んで   しばらく 場所 は ふせて おけ と 緒方 先生 が

でも   一 週間 じゃ カビ も 育た ない でしょう

そこ は   山田 先生 が 命からがら 株 を 持ち出して くれた んで

これ は …

ここ は   もと 醤油 が 運ば れる 倉 だった 所 です

醤油 ? ええ

この 者 達 は 醤油 づくり の 職人 です →

もともと 培養 したり   ろ過 したり →

そういった 作業 に は 慣れて る わけです

ゆえに   七 日間 で ペニシリン が ? ええ

でも   どうして こんな こと が できて ?

手術 見学 して はった 方 あの 方 は →

濱口 様 っ ちゅう   醤油 づくり の ヤマサ の ご 当主 な んです よ

あった んだ   この 時代 から

≪( 山田 ) 濱口 様 は   医学 所 の 前身 の 種痘 所 を 再興 したり

医学 の 研究 の ため に   ばく大な 援助 を して くれて る 方 です

緒方 先生

どうして 言って くれ なかった んです か ?

私 が 素性 を 明かさ ぬ ように お 願い した のです

あの とき は まだ ペニシリン に 対する 援助 を

決め かねて おり ました ので

でも   結局   あの とき は ペニシリン を 使わ ず に …

私 は   あなた の 神業 の ような 医術 や

薬 の 威力 ゆえ に 心 を 決めた わけで は ございませ ぬ

あなた と あなた の 医術 を 守り たい と いう

緒方 先生 の お 心 に 打た れた ので ございます

緒方 先生 の お 心 ? はい →

先生 から は   数 ヵ 月 に わたって →

何度 も 丁寧な 文 を いただき 何度 も 足 を お 運び いただき →

その 熱心 さ は   少々 恐ろしい ほど で ございました

この 製造 所 は 緒方 先生 が 命 を けずって

お つくり に なら れた もの です

あなた の ため に

その後   緒方 先生 に は お 会い に なら れ ました か ?

いえ

では   一 日 も 早く

お 礼 を おっしゃり に 行って ください

緒方 先生 は 恐らく …

重い 労 咳 に

え ッ !?

( 橘 ) 先生   お 待ち ください   先生

《 何とぞ   我ら に   コロリ の 治療 法 を ご 教授   願い たく 》

《 山田 を   お 願い し ます 》

《 道 を 開く と いう こと は な 》

《 自分 だけ の 逃げ道 を つくる こと や ない !》

《 して …  その 薬 の 名 は ?》

( 八重 ) 南方 様 と おっしゃる   お方 が

着替え を

南方 殿 は   私 の 師 に も あたる お方 や

こんな 格好で は 無礼に あたる

ああ   お 待た せ して 申し訳 ございませ ん

先生

ペニシリン の 件 で は 本当に お 世話に なり ました

いえいえ

あれ は 濱口 様 が いたれば こそ の こと

緒方 先生 は い

診察 を さ せて いただけ ます か ?

これ は   これ は

お 見たて の ほど よろしゅう お 願い し ます

先生

先生 は   医 の 道 は どこ へ 通じる と お 思い です か ?

え ッ ?

私 に は …

私 は   医 の 道 は

平らな 世に 通じる と 思う てま す

武士 や 百姓 や と 人 に 勝手に

身分 の 上下 つけ とる 世の中 で は ございます が

腹 割れば   同じ もん が 入って ます

天 の 下 に 人   皆   等しき なり

医学 の 目指す べき 地平 は そこ や と 思う て

日々   精進 して まいり ました

未来 は … 平らな 世 で ございます か ?

先生 は   未来 から 来た お 人 でしょう ?

そんな こと は あり え ん

そんな バカな こと を 考える それ だけ で 蘭学 者 失格 や

でも …  何べん 考えて も

そう と しか 思え ん のです わ

冥土 の 土産 に し ます ゆえ 教えて ください

私 の 思う た と おりや ったら

先生   目 つぶって ください

お 恥ずかしい こと で ございます

一 年 前   住み慣れた 大坂 から

江戸 へ 召し 出さ れて

口 で は  「 国 の ため   道 の ため 」 など と 言う ており ました が

心 の 中 で は もう   寂しゅう て   寂しゅう て

たかが   大坂 から 江戸 へ 召し 出さ れた だけ で

恥ずかしい こと で ございます

南方 先生 の 寂し さ に 比べれば

私 など …  いかほど の もんか

もう …  私 に できる こと は

何も ございませ ん

だから   どうか

先生 の   その 寂し さ

この 洪 庵 に   お 分け ください

洪 庵   冥土 に 持っていき ます

心細く は あり ました が

私 は   孤独で は あり ませ ん でした

私 の ような 得体の知れない 者 を 信じ

支えて くださった 方 が い ました から

私 は …

決して   孤独で は あり ませ ん でした

緒方 先生

私 に も 一 つ   お 教え 願え ます か ?

私 は   この ご恩 に どう 報いれば よろしい のでしょう か ?

より よき 未来 を   お つくり ください

未来 を ?

皆 が 楽しゅう 笑い 合う

平らな 世 を   お つくり ください

国 の ため

道 の ため

はい

南方 先生

未来 で は   この 労 咳 と いう 病 は

治 せる 病 に   なって おる んです な ?

ああ …  ああ …

〈 そして  1863 年 〉

〈7 月 25 日 〉

〈 緒方 先生 は   帰ら ぬ 人 と なった 〉

〈 俺 と   かかわった こと で 〉

〈 寿命 が 延びた の か 縮んだ の か それとも 〉

〈 何も 変わら なかった の か は 分から ない 〉

〈 だけど   満足 そうに 〉

〈 微笑んで   いか れた と いう 〉

〈 その 顔 は たとえ 歴史 が どう 変わって も 〉

〈 変わら なかった のだろう と 思う 〉

長 州 が   アメリカ と フランス から

攘夷 の 報復 攻撃 を 受けた ちゅう 話 じゃ が

( 勝 ) これ で 奴 ら も 攘夷 なんて 絵 に 描いた 餅 だ と 分かった だろう

長 州 を たたき おった 異国 の 船 は 幕府 が 修理 し

再び   長 州 を たたき に 出て いった っ ちゅう 噂 は

誠 かい ? 怒って ん の かい ?

思う とこ は 違う けん ど 奴 ら は   こん 国 を 守る ため に

戦 こうち ょる ぜ よ それ を …

これ を 理由 に 戦 なんか 仕掛け られて みろ

あっという間 に 占領 さ れて 終わり さ

先生 は それ で   ええ が かえ !?

おい ら   幕 臣 だ よ

幕 臣 だ から   できる こと は 山 の ように ある

が   幕 臣 だ から のま なきゃ な ん ねえ こと も ある

《 より よき 未来 を お つくり ください 》

より よき 未来 …

お 手紙 です

「 友 」?

( 龍 馬 )「 先生   元気に しち ょる かえ 」

龍 馬 さん

「 どうでも ええ こと じゃけん ど 」

「 今日 は 一 つ   聞いて ほしい ぜ よ 」

「 長 州 を 攻撃 した 異国 の 船 を 幕府 が 秘密裏 に 修理 し 」

「 その 船 が   また 長 州 を たた い とる っ ちゅう 噂 は 」

「 聞 いち ょる かえ ?」

「 わしゃ   勝 先生 に 」

「 それ で ええ かえ と つめよった けん ど 」

「 先生 は 幕 臣 である が ゆえ に 」

「 どうにも なら ん こと が ある ち 言う が じゃ 」

「 ならば   それ こそ が わし の 天命 で は ない か え 」

「 天 より する こと かも しれ ん と 思う た ぜ よ 」

「 わし に は 身分 も ない 」

「 その かわり に   しがらみ も ない 」

「 何の 力 も ない けん ど   この 身 一 つ 」

「 どうにでも 動ける き 」

「 わし は 日本 を   いま 一 度 せんたく する ぜ よ 」

「 攘夷 派 も 開国 派 も まとめて みせる き 」

「 この 日 の 本 を   一 つ に する ぜ よ 」

「 一 つ 」

一 つ に …

する

〈 これ って   もし かして 〉

〈 天命 って やつ じゃ ない か って 思った んだ よ 〉

未来

俺 さ   病院 を つくって みる よ

誰 も が 気軽に かかれる ような 値段 で

そこ で は   西洋 医学 と 漢方 と が 融合 した 治療 が 受け られる

その 二 つ を 一 つ に する こと で

新しい 医療 が 生まれる 可能 性 が ある と 思う んだ

その こと で 君 の 未来 が 一時的に 悪く なったり

いろいろ   する んだろう けど

大きな   うねり で は

絶対 に いい 方向 に 向かう と 思う んだ

未来 が 過去 の 結果 だ と する なら

最善 を 尽くした 結果 が 悪く なる はず は ない だろう し

俺 は   そう 信じ たい

俺 は   ここ から

君 の 腫瘍 を 治 せる ような 未来 を つくって み せる

〈 これ は   俺 の …〉

〈 新たな 船出 だ 〉

皆さん   改めて よろしく お 願い し ます !

はい !


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