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世界の昔話, クルミ割りのケート

クルミ割りのケート

クルミ 割 り の ケート

むかし むかし 、 一 人 娘 を 持つ 王さま と 、 一 人 娘 を 持つ 女王 さま が 結婚 し ました 。 王さま の 娘 の 名 は 、 アン と いい ます 。 女王 さま の 娘 の 名 は 、 ケート です 。 アン と ケート は 、 本当の 姉妹 の 様 に 仲良し でした 。 ところが 女王 は 、 自分 より 美しい アン を にくらしく 思って い ました 。 そして アン を みにくく する に は どうした らい いか と 、 考え 続け ました 。

ある 日 、 女王 は ニワトリ 番 の 女 の ところ ヘ 、 相談 に 行き ました 。 実は この ニワトリ 番 の 女 は 、 魔法 を 使う 事 が 出来た のです 。 ニワトリ 番 の 女 が 、 言い ました 。 「 明日 の 朝 、 アン が 何も 食べ ない うち に 、 ここ ヘ 来さ せ なさい 」

あくる 朝 はやく 、 アン は 女王 から 、 「 谷間 の ニワトリ 番 の ところ へ 行って 、 タマゴ を もらって 来 ておくれ 」 と 、 言わ れ ました 。 アン は さっそく 出かけ ました が 、 けれども アン は 台所 を 通る 時 に 、 パン の 皮 を つまみ食い した のです 。 そして それ を 食べ ながら 、 ニワトリ 番 の 女 の ところ ヘ 行き ました 。 アン を 見る と 、 ニワトリ 番 の 女 は 、 「 あそこ の ナベ の ふた を 開けて 、 中 を のぞいて ごらん 」 と 、 言い ました 。 アン は 言わ れた 通り に し ました が 、 別に 変わった 事 は おこり ませ ん でした 。 「・・・・・・。 家 へ 帰ったら 『 食料 戸棚 に 、 カギ を かけて おき なさい 』 って 、 伝える んだ よ 」 と 、 ニワトリ 番 が 言い ました 。 アン は 女王 の ところ に 帰って 、 ニワトリ 番 に 言わ れた 通り を 伝え ました 。 女王 は これ で 、 アン が 何 か 食べて いた 事 を 知り ました 。

次の 朝 、 アン は 何も 食べ ない うち に 、 ニワトリ 番 の ところ へ 使い に やら さ れ ました 。 アン は 途中 で 、 マメ を 取り入れて いる お 百姓 に 会い ました 。 アン は お 百姓 に マメ を ひとにぎり 分けて もらって 、 食べ ながら 歩いて 行き ました 。 ニワトリ 番 の ところ へ 着く と 、 また 、 「 ナベ の ふた を 開けて 、 中 を のぞいて ごらん 」 と 、 言わ れ ました 。 アン は その 通り に し ました が 、 別に 変わった 事 は おこり ませ ん でした 。 ニワトリ 番 の 女 は 、 きげん を 悪く して 、 「 帰ったら 、『 火 が なきゃ 、 何にも 煮え やしない 』 って 、 伝える んだ よ ! 」 と 、 言い ました 。

アン は 女王 に 、 その 通り に 話し ました 。

さて 、 三 日 目 の 朝 に なり ました 。 女王 は 何も 食べて い ない アン の 手 を 引いて 、 ニワトリ 番 の ところ ヘ 急ぎ ました 。 アン は 言わ れた 通り に 、 ナベ の ふた を 持ち 上げ ました 。 すると あっという間 に 、 アン の かわいらしい 首 が ヒツジ の 首 に 変わって しまった のです 。 女王 は まんぞく して 、 お 城 へ 帰り ました 。 女王 の 娘 の ケート は 仲良し の アン の 頭 が ヒツジ に 変わって しまった 事 に ビックリ し ました が 、 アン の 頭 を 布 で スッポリ 包む と 、 アン と 一緒に 幸せ を 探す 旅 に 出かけた のです 。

二 人 は ドンドン 歩いて 、 ある お 城 に たどりつき ました 。 ケート は 、 お 城 の 戸 を 叩いて 、 「 病気 の 妹 と 一緒に 、 ひと 晩 とめて ください 」 と 、 頼み ました 。 その お 城 に は 、 二 人 の 王子 が い ました 。 一 人 の 王子 は 重い 病気 に かかって いて 、 誰 も その 病気 を 治す 事 が 出来 ませ ん でした 。 そして 不思議な 事 に 、 ひと 晩 でも 王子 に つきそって 看病 ( かんびょう ) した 者 は 、 みんな 姿 を 消して しまう と いう のです 。 「 王子 を 看病 する と 、 魔物 が 出る の かも しれ ない 」 と 、 言って 、 人々 は おそれ ました 。 そして いま で は 、 誰 も 看病 しよう と し ませ ん でした 。 そこ で 王さま は 、 《 一晩 中 、 王子 を 看病 した 者 に は 、 ほうび と して 銀貨 を 与えよう 》 と 、 いう 、 おふれ を 出し ました 。 ケート は 勇気 の ある 娘 でした から 、 王子 の 看病 を 申し出 ました 。 ケート が 部屋 に 入る と 、 王子 は べ ッド で 眠って い ました 。 「 ボーン 、 ボーン 」 時計 が 、 十二 時 を うち ました 。 すると 病気 の 王子 は 起き上がって 服 を 着て 、 階段 を 滑る ように おりて いき ました 。 ケート は 、 あと を 追い ました 。 王子 は 、 ケート に 気 が ついた 様子 も あり ませ ん 。 王子 は ウマ 小屋 へ 行って くら を つける と 、 ウマ に またがり ました 。 ケート も 王子 の うしろ へ 、 そっと とび乗り ました 。 王子 は 、 イヌ を 呼び ました 。 ウマ に 乗った 王子 と ケート は 、 みどり の 森 を 通り ました 。 通り ながら ケート は クルミ の 実 を いく つ も 取って 、 エプロン の ポケット に しまい ました 。 王子 たち は どんどん 進んで 、 みどり の 丘 に つき ました 。 王子 は たづな を ひいて 、 ウマ を とめ ました 。 そして 、 「 開け 、 開け 、 みどり の 丘 よ 。 入れ ておくれ 、 王子 と 、 ウマ と 、 イヌ 」 と 、 言う と 、 ケート が 、 「 と 、 王子 の うしろ に いる 娘 を 」 と 、 続け ました 。 たちまち 、 みどり の 丘 が パカッ と 半分 に われて 、 王子 たち は 中 に 入り ました 。 中 に は たいまつ が 赤々 と ともさ れて いる 、 とても 立派な 広間 が あり ました 。 広間 の 奥 から 美しい 妖精 ( ようせい ) たち が 現れ 、 王子 を かこんで 一緒に おどり はじめ ました 。 ケート は 見つから ない ように 戸 の かげ に 隠れて 、 王子 と 妖精 たち の おどり を 見て い ました 。 王子 は いつまでも いつまでも おどり 続けて 、 とうとう 倒れて しまい ました が 、 妖精 たち に かいほう さ れる と 王子 は 立ち 上がって また おどり はじめ ました 。 倒れて は 妖精 に かいほう さ れて おどり 、 また 倒れて は 妖精 たち に かいほう さ れて おどり だす 。 そんな 事 が 何度 も くり返さ れ 、 やがて 朝 を 告げる ニワトリ が 鳴き ました 。 すると 王子 は 、 あわてて ウマ に またがり ました 。 ケート も あわてて 、 うしろ へ 飛び乗り ました 。 やがて 王子 たち は 、 お 城 へ 戻り ました 。

朝日 が 登る と 、 お 城 の 人 たち は 王子 の 部屋 を のぞき に 来 ました 。 そして ケート が だんろ の そば で ニッコリ 笑い ながら クルミ を 割って いる の を 見て 、 ビックリ し ました 。 ケート は 、 王さま が ご ほうび の 銀貨 を くれる と いう の を 断って 、 「 もう 一晩 、 王子 さま の お そば に おり ましょう 。 明日 の 晩 、 銀貨 を いただき ます 」 と 、 言い ました 。

二 日 目 の 夜 も 、 同じ 事 が おこり ました 。 王子 は 十二 時 に 起きて 、 みどり の 丘 で 開か れる 妖精 たち の 舞踏 会 に 出かけて いき ました 。 ケート も 王子 の うしろ に くっついて ウマ に 乗り 、 途中 で クルミ を 取って エプロン の ポケツト に いっぱい 入れ ました 。 ケート が 戸 の かげ に 隠れて いる と 妖精 の 赤ちゃん が つえ を 持って 、 ヨチヨチ 歩き ながら やって 来 ました 。 その 時 、 妖精 たち が 、 「 あの つえ で 三 回 なでれば 、 アン の 病気 が 治って 前 の 様 に 美しく なれる のに ね 」 と 、 話して いる の が 聞こえ ました 。 そこ で ケート は 妖精 の 赤ちゃん の 足下 に 、 クルミ を いく つ も いく つ も 転がし ました 。 すると 妖精 の 赤ちゃん は つえ を 放り 出して 、 クルミ の 実 を 追い かけ ました 。 その 間 に ケート は つえ を 拾って 、 エプロン の ポケット に しまい ました 。 ニワトリ が 鳴いた ので 、 王子 たち は お 城 ヘ 帰り ました 。 ケート は 急いで 、 アン の ところ へ 行き ました 。 そして 妖精 の 赤ちゃん の 持って いた つえ で 、 アン の ほお を 三 回 なで ました 。 すると たちまち ヒツジ の 首 が 落ちて 、 もと の 美しい アン の 首 に 戻った のです 。

三 日 目 の 晩 に 、 なり ました 。 ケート は 、 「 もし 病気 の 王子 さま と 結婚 さ せて くださる の なら 、 もう 一晩 、 看病 いたし ましょう 」 と 、 言い ました 。 その 晩 も 、 前 の 晩 と 同じでした 。 今度 は 妖精 の 赤ちゃん が 、 小鳥 と 遊んで い ました 。 妖精 たち が 、 「 あの 鳥 を 三 口 食べれば 、 王子 さま の 病気 は 治って しまう のに ね 」 と 、 話して いる の を 聞き ました 。 ケート は 妖精 の 赤ちゃん の 足下 に 、 クルミ を いく つ も 転がし ました 。 妖精 の 赤ちゃん は 小鳥 を はなして 、 ヨチヨチ と クルミ を 追い かけ ました 。 その 間 に ケート は 小鳥 を 捕まえて 、 エプロン の ポケツト に しまい ました 。 ニワトリ が 鳴いて 、 王子 は お 城 に 帰り ました 。 ケート は すぐ に お 城 の 厨房 ( ちゅうぼう ) に 行く と 、 その 小鳥 で 料理 を 作り ました 。 間もなく 、 とても おいし そうな に おい が 王子 の 部屋 に まで ただよって くる と 、 「 ああ 、 あの 小鳥 が 食べ たい なあ 」 と 、 王子 が べ ッド に 寝た まま で つぶやき ました 。 「 はい 。 どうぞ 、 食べて ください 」 料理 を つくり 終えた ケート は 、 王子 に 小鳥 の 料理 を 差し出し ました 。 王子 が 、 その 料理 を 一口 食べ ました 。 すると ベッド に 寝て いた 王子 が 、 べ ッド の 上 に ひじ を ついて 頭 を 持ち 上げ ました 。 しばらく する と 、 「 ああ 、 もう 一口 、 あの 小鳥 が 食べ たい 」 と 、 言い ました 。 ケート の 差し出す 小鳥 を 二 口 食べる と 、 王子 は べ ッド の 上 に 起き上がり ました 。 また 、 しばらく する と 、 「 ああ 、 もう 一口 だけ 、 あの 小鳥 が 食べ たい なあ 」 と 、 言い ました 。 ケート の 差し出す 小鳥 を 三 口 食べる と 、 王子 は ついに べ ッド から 出て きた のです 。 翌朝 に なり 、 お 城 の 人 が 王子 の 部屋 ヘ やってき ました 。 そして 王子 が ケート と 一緒に 、 クルミ を 割って いる の を 見て ビックリ です 。

さて 、 ケート と 王子 が そう こうして いる うち に 、 もう 一 人 の 王子 が 美しい アン を すっかり 好きに なり ました 。 こうして 病気 だった 王子 は ケート と 結婚 し 、 もう 一 人 の 王子 は 病気 だった アン と 結婚 した のです 。 それ から は 四 人 と も 、 いつまでも 幸せに 暮らした と いう こと です 。

おしまい


クルミ割りのケート くるみ わり り の ケート Nut Cracking Keto

クルミ 割 り の ケート くるみ|わり||| Walnut cracker

むかし むかし 、 一 人 娘 を 持つ 王さま と 、 一 人 娘 を 持つ 女王 さま が 結婚 し ました 。 ||ひと|じん|むすめ||もつ|おうさま||ひと|じん|むすめ||もつ|じょおう|||けっこん|| Once upon a time, the King, who has one daughter, and the Queen, who has one daughter, got married. 王さま の 娘 の 名 は 、 アン と いい ます 。 おうさま||むすめ||な||||| The name of the King's daughter is Anne. 女王 さま の 娘 の 名 は 、 ケート です 。 じょおう|||むすめ||な||| The name of the Queen's daughter is Kate. アン と ケート は 、 本当の 姉妹 の 様 に 仲良し でした 。 ||||ほんとうの|しまい||さま||なかよし| Anne and Kate were close friends like their true sisters. ところが 女王 は 、 自分 より 美しい アン を にくらしく 思って い ました 。 |じょおう||じぶん||うつくしい||||おもって|| However, the Queen was sick of Anne, who was more beautiful than herself. そして アン を みにくく する に は どうした らい いか と 、 考え 続け ました 。 |||||||||||かんがえ|つづけ| And I kept thinking about how to make Anne hard to see.

ある 日 、 女王 は ニワトリ 番 の 女 の ところ ヘ 、 相談 に 行き ました 。 |ひ|じょおう||にわとり|ばん||おんな||||そうだん||いき| One day, the queen went to consult with the chicken queen. 実は この ニワトリ 番 の 女 は 、 魔法 を 使う 事 が 出来た のです 。 じつは||にわとり|ばん||おんな||まほう||つかう|こと||できた| In fact, this chicken-numbered woman was able to use magic. ニワトリ 番 の 女 が 、 言い ました 。 にわとり|ばん||おんな||いい| The chicken number woman said. 「 明日 の 朝 、 アン が 何も 食べ ない うち に 、 ここ ヘ 来さ せ なさい 」 あした||あさ|||なにも|たべ||||||きたさ|| "Tomorrow morning, let Anne come here before Anne eats anything."

あくる 朝 はやく 、 アン は 女王 から 、 「 谷間 の ニワトリ 番 の ところ へ 行って 、 タマゴ を もらって 来 ておくれ 」 と 、 言わ れ ました 。 |あさ||||じょおう||たにま||にわとり|ばん||||おこなって|たまご|||らい|||いわ|| Early in the morning, Anne was told by the Queen, "Go to the chicken number in the valley and get an egg." アン は さっそく 出かけ ました が 、 けれども アン は 台所 を 通る 時 に 、 パン の 皮 を つまみ食い した のです 。 |||でかけ||||||だいどころ||とおる|じ||ぱん||かわ||つまみぐい|| Ann went out at once, but as she passed through the kitchen, she picked up the bread crust and ate it. そして それ を 食べ ながら 、 ニワトリ 番 の 女 の ところ ヘ 行き ました 。 |||たべ||にわとり|ばん||おんな||||いき| And while eating it, I went to the chicken's turn. アン を 見る と 、 ニワトリ 番 の 女 は 、 「 あそこ の ナベ の ふた を 開けて 、 中 を のぞいて ごらん 」 と 、 言い ました 。 ||みる||にわとり|ばん||おんな||||なべ||||あけて|なか|||||いい| When she saw Anne, the chicken keeper said, "Open the lid of the pan over there and look inside." アン は 言わ れた 通り に し ました が 、 別に 変わった 事 は おこり ませ ん でした 。 ||いわ||とおり|||||べつに|かわった|こと||||| Ann tat genau das, was ihr gesagt wurde, aber nichts anderes änderte sich. Ann did exactly what she was told, but nothing else changed. 「・・・・・・。 家 へ 帰ったら 『 食料 戸棚 に 、 カギ を かけて おき なさい 』 って 、 伝える んだ よ 」 と 、 ニワトリ 番 が 言い ました 。 いえ||かえったら|しょくりょう|とだな||かぎ||||||つたえる||||にわとり|ばん||いい| When I got home, I told him, "Keep the key in the food cupboard," said the chicken keeper. アン は 女王 の ところ に 帰って 、 ニワトリ 番 に 言わ れた 通り を 伝え ました 。 ||じょおう||||かえって|にわとり|ばん||いわ||とおり||つたえ| Ann returned to the Queen and told her what the chickens had told her to do. 女王 は これ で 、 アン が 何 か 食べて いた 事 を 知り ました 。 じょおう||||||なん||たべて||こと||しり| The Queen now knows that Anne was eating something.

次の 朝 、 アン は 何も 食べ ない うち に 、 ニワトリ 番 の ところ へ 使い に やら さ れ ました 。 つぎの|あさ|||なにも|たべ||||にわとり|ばん||||つかい||||| The next morning, Anne was sent to the chicken number before she ate anything. アン は 途中 で 、 マメ を 取り入れて いる お 百姓 に 会い ました 。 ||とちゅう||まめ||とりいれて|||ひゃくしょう||あい| Along the way, Anne met a peasant who was incorporating beans. アン は お 百姓 に マメ を ひとにぎり 分けて もらって 、 食べ ながら 歩いて 行き ました 。 |||ひゃくしょう||まめ|||わけて||たべ||あるいて|いき| Ann had the peasant divide the beans into pieces and walked while eating. ニワトリ 番 の ところ へ 着く と 、 また 、 「 ナベ の ふた を 開けて 、 中 を のぞいて ごらん 」 と 、 言わ れ ました 。 にわとり|ばん||||つく|||なべ||||あけて|なか|||||いわ|| When I got to the chicken number, I was told, "Open the lid of the pan and look inside." アン は その 通り に し ました が 、 別に 変わった 事 は おこり ませ ん でした 。 |||とおり|||||べつに|かわった|こと||||| Ann did exactly that, but nothing else changed. ニワトリ 番 の 女 は 、 きげん を 悪く して 、 「 帰ったら 、『 火 が なきゃ 、 何にも 煮え やしない 』 って 、 伝える んだ よ ! にわとり|ばん||おんな||||わるく||かえったら|ひ|||なんにも|にえ|||つたえる|| The chicken-turned woman made her sick and said, "When I get home, I'll say,'If there's no fire, I won't boil anything.'" 」 と 、 言い ました 。 |いい|

アン は 女王 に 、 その 通り に 話し ました 。 ||じょおう|||とおり||はなし| Ann told the Queen that way.

さて 、 三 日 目 の 朝 に なり ました 。 |みっ|ひ|め||あさ||| Well, it's the morning of the third day. 女王 は 何も 食べて い ない アン の 手 を 引いて 、 ニワトリ 番 の ところ ヘ 急ぎ ました 。 じょおう||なにも|たべて|||||て||ひいて|にわとり|ばん||||いそぎ| The Queen pulled Anne, who hadn't eaten anything, and hurried to the chicken's turn. アン は 言わ れた 通り に 、 ナベ の ふた を 持ち 上げ ました 。 ||いわ||とおり||なべ||||もち|あげ| Ann lifted the lid of the pan as he was told. すると あっという間 に 、 アン の かわいらしい 首 が ヒツジ の 首 に 変わって しまった のです 。 |あっというま|||||くび||ひつじ||くび||かわって|| In a blink of an eye, Anne's pretty neck turned into a sheep's neck. 女王 は まんぞく して 、 お 城 へ 帰り ました 。 じょおう|||||しろ||かえり| 女王 の 娘 の ケート は 仲良し の アン の 頭 が ヒツジ に 変わって しまった 事 に ビックリ し ました が 、 アン の 頭 を 布 で スッポリ 包む と 、 アン と 一緒に 幸せ を 探す 旅 に 出かけた のです 。 じょおう||むすめ||||なかよし||||あたま||ひつじ||かわって||こと||びっくり||||||あたま||ぬの|||つつむ||||いっしょに|しあわせ||さがす|たび||でかけた| Kate, the Queen's daughter, was surprised that her good friend Anne's head had turned into a sheep, but when she wrapped Anne's head in a cloth, she went on a journey to find happiness with Anne.

二 人 は ドンドン 歩いて 、 ある お 城 に たどりつき ました 。 ふた|じん||どんどん|あるいて|||しろ||| The two walked dong dong and arrived at a castle. ケート は 、 お 城 の 戸 を 叩いて 、 「 病気 の 妹 と 一緒に 、 ひと 晩 とめて ください 」 と 、 頼み ました 。 |||しろ||と||たたいて|びょうき||いもうと||いっしょに||ばん||||たのみ| Kate knocked on the door of the castle and asked, "Please stay overnight with your sick sister." その お 城 に は 、 二 人 の 王子 が い ました 。 ||しろ|||ふた|じん||おうじ||| There were two princes in the castle. 一 人 の 王子 は 重い 病気 に かかって いて 、 誰 も その 病気 を 治す 事 が 出来 ませ ん でした 。 ひと|じん||おうじ||おもい|びょうき||||だれ|||びょうき||なおす|こと||でき||| One prince had a serious illness and no one was able to cure the illness. そして 不思議な 事 に 、 ひと 晩 でも 王子 に つきそって 看病 ( かんびょう ) した 者 は 、 みんな 姿 を 消して しまう と いう のです 。 |ふしぎな|こと|||ばん||おうじ|||かんびょう|||もの|||すがた||けして|||| And, strangely enough, all the people who followed the prince and took care of him even overnight disappeared. 「 王子 を 看病 する と 、 魔物 が 出る の かも しれ ない 」 と 、 言って 、 人々 は おそれ ました 。 おうじ||かんびょう|||まもの||でる||||||いって|ひとびと||| People were afraid, saying, "Nursing the prince may result in demons." そして いま で は 、 誰 も 看病 しよう と し ませ ん でした 。 ||||だれ||かんびょう|||||| And now, no one was trying to take care of them. そこ で 王さま は 、 《 一晩 中 、 王子 を 看病 した 者 に は 、 ほうび と して 銀貨 を 与えよう 》 と 、 いう 、 おふれ を 出し ました 。 ||おうさま||ひとばん|なか|おうじ||かんびょう||もの||||||ぎんか||あたえよう|||||だし| There, the King said, "I will give silver coins as a reward to those who have cared for the prince all night long." ケート は 勇気 の ある 娘 でした から 、 王子 の 看病 を 申し出 ました 。 ||ゆうき|||むすめ|||おうじ||かんびょう||もうしで| Kate was a courageous daughter, so she offered to take care of the prince. ケート が 部屋 に 入る と 、 王子 は べ ッド で 眠って い ました 。 ||へや||はいる||おうじ|||||ねむって|| 「 ボーン 、 ボーン 」   時計 が 、 十二 時 を うち ました 。 ||とけい||じゅうに|じ||| "Bone, Bone" The clock has reached twelve o'clock. すると 病気 の 王子 は 起き上がって 服 を 着て 、 階段 を 滑る ように おりて いき ました 。 |びょうき||おうじ||おきあがって|ふく||きて|かいだん||すべる|||| Then the sick prince got up, put on his clothes, and slipped down the stairs. ケート は 、 あと を 追い ました 。 ||||おい| Kate chased after. 王子 は 、 ケート に 気 が ついた 様子 も あり ませ ん 。 おうじ||||き|||ようす|||| The prince also seemed to be aware of Kate. 王子 は ウマ 小屋 へ 行って くら を つける と 、 ウマ に またがり ました 。 おうじ|||こや||おこなって|||||||| The prince went to the horse hut and put on a kura, and he straddled the horse. ケート も 王子 の うしろ へ 、 そっと とび乗り ました 。 ||おうじ|||||とびのり| Kate also gently jumped behind the prince. 王子 は 、 イヌ を 呼び ました 。 おうじ||いぬ||よび| ウマ に 乗った 王子 と ケート は 、 みどり の 森 を 通り ました 。 ||のった|おうじ||||||しげる||とおり| The prince and Kate on horseback passed through the green forest. 通り ながら ケート は クルミ の 実 を いく つ も 取って 、 エプロン の ポケット に しまい ました 。 とおり||||くるみ||み|||||とって|えぷろん||ぽけっと||| As he passed, Kate took a number of walnuts and put them in his apron pocket. 王子 たち は どんどん 進んで 、 みどり の 丘 に つき ました 。 おうじ||||すすんで|||おか||| The princes went on and on, and reached the green hills. 王子 は たづな を ひいて 、 ウマ を とめ ました 。 おうじ|||||||| そして 、 「 開け 、 開け 、 みどり の 丘 よ 。 |あけ|あけ|||おか| And, "Open, open, Midorinooka. 入れ ておくれ 、 王子 と 、 ウマ と 、 イヌ 」 と 、 言う と 、 ケート が 、 「 と 、 王子 の うしろ に いる 娘 を 」 と 、 続け ました 。 いれ||おうじ||||いぬ||いう|||||おうじ|||||むすめ|||つづけ| Put me in, the prince, the horse, the dog, "said Kate," and, the daughter behind the prince. " たちまち 、 みどり の 丘 が パカッ と 半分 に われて 、 王子 たち は 中 に 入り ました 。 |||おか||||はんぶん|||おうじ|||なか||はいり| Immediately, the green hill was cut in half, and the princes went inside. 中 に は たいまつ が 赤々 と ともさ れて いる 、 とても 立派な 広間 が あり ました 。 なか|||||あかあか||||||りっぱな|ひろま||| 広間 の 奥 から 美しい 妖精 ( ようせい ) たち が 現れ 、 王子 を かこんで 一緒に おどり はじめ ました 。 ひろま||おく||うつくしい|ようせい||||あらわれ|おうじ|||いっしょに||| ケート は 見つから ない ように 戸 の かげ に 隠れて 、 王子 と 妖精 たち の おどり を 見て い ました 。 ||みつから|||と||||かくれて|おうじ||ようせい|||||みて|| Kate was hiding behind the door so that she couldn't find her, watching the dance of the prince and the fairies. 王子 は いつまでも いつまでも おどり 続けて 、 とうとう 倒れて しまい ました が 、 妖精 たち に かいほう さ れる と 王子 は 立ち 上がって また おどり はじめ ました 。 おうじ|||||つづけて||たおれて||||ようせい|||||||おうじ||たち|あがって|||| The prince continued to dance forever, and finally fell down, but when the fairies struck him, he stood up and began to dance again. 倒れて は 妖精 に かいほう さ れて おどり 、 また 倒れて は 妖精 たち に かいほう さ れて おどり だす 。 たおれて||ようせい|||||||たおれて||ようせい||||||| If you fall down, you will be danced by the fairies, and if you fall down, you will be danced by the fairies. そんな 事 が 何度 も くり返さ れ 、 やがて 朝 を 告げる ニワトリ が 鳴き ました 。 |こと||なんど||くりかえさ|||あさ||つげる|にわとり||なき| Such a thing was repeated many times, and then the chicken that announced the morning rang. すると 王子 は 、 あわてて ウマ に またがり ました 。 |おうじ|||||| ケート も あわてて 、 うしろ へ 飛び乗り ました 。 |||||とびのり| やがて 王子 たち は 、 お 城 へ 戻り ました 。 |おうじ||||しろ||もどり|

朝日 が 登る と 、 お 城 の 人 たち は 王子 の 部屋 を のぞき に 来 ました 。 あさひ||のぼる|||しろ||じん|||おうじ||へや||||らい| As the Asahi climbed, the people of the castle came to look into the prince's room. そして ケート が だんろ の そば で ニッコリ 笑い ながら クルミ を 割って いる の を 見て 、 ビックリ し ました 。 |||||||にっこり|わらい||くるみ||わって||||みて|びっくり|| And I was surprised to see Kate cracking the walnuts with a grin by the side of the danro. ケート は 、 王さま が ご ほうび の 銀貨 を くれる と いう の を 断って 、 「 もう 一晩 、 王子 さま の お そば に おり ましょう 。 ||おうさま|||||ぎんか|||||||たって||ひとばん|おうじ||||||| Kate refused to say that the King would give him a silver coin as a reward, and said, "Let's stay by the Prince's side for another night. 明日 の 晩 、 銀貨 を いただき ます 」 と 、 言い ました 。 あした||ばん|ぎんか|||||いい|

二 日 目 の 夜 も 、 同じ 事 が おこり ました 。 ふた|ひ|め||よ||おなじ|こと||| The same thing happened on the second night. 王子 は 十二 時 に 起きて 、 みどり の 丘 で 開か れる 妖精 たち の 舞踏 会 に 出かけて いき ました 。 おうじ||じゅうに|じ||おきて|||おか||あか||ようせい|||ぶとう|かい||でかけて|| ケート も 王子 の うしろ に くっついて ウマ に 乗り 、 途中 で クルミ を 取って エプロン の ポケツト に いっぱい 入れ ました 。 ||おうじ|||||||のり|とちゅう||くるみ||とって|えぷろん|||||いれ| ケート が 戸 の かげ に 隠れて いる と 妖精 の 赤ちゃん が つえ を 持って 、 ヨチヨチ 歩き ながら やって 来 ました 。 ||と||||かくれて|||ようせい||あかちゃん||||もって||あるき|||らい| When Kate was hiding behind the door, a baby fairy came with a stick and walked around. その 時 、 妖精 たち が 、 「 あの つえ で 三 回 なでれば 、 アン の 病気 が 治って 前 の 様 に 美しく なれる のに ね 」 と 、 話して いる の が 聞こえ ました 。 |じ|ようせい||||||みっ|かい||||びょうき||なおって|ぜん||さま||うつくしく|||||はなして||||きこえ| At that time, I heard the fairies saying, "If you stroke three times with that stick, Anne's illness will be cured and you will be as beautiful as before." そこ で ケート は 妖精 の 赤ちゃん の 足下 に 、 クルミ を いく つ も いく つ も 転がし ました 。 ||||ようせい||あかちゃん||あしもと||くるみ||||||||ころがし| There, Kate rolled a number of walnuts under the feet of the fairy baby. すると 妖精 の 赤ちゃん は つえ を 放り 出して 、 クルミ の 実 を 追い かけ ました 。 |ようせい||あかちゃん||||はな り|だして|くるみ||み||おい|| Then the baby fairy threw a stick and chased the walnut fruit. その 間 に ケート は つえ を 拾って 、 エプロン の ポケット に しまい ました 。 |あいだ||||||ひろって|えぷろん||ぽけっと||| ニワトリ が 鳴いた ので 、 王子 たち は お 城 ヘ 帰り ました 。 にわとり||ないた||おうじ||||しろ||かえり| The chickens rang, and the princes returned to the castle. ケート は 急いで 、 アン の ところ へ 行き ました 。 ||いそいで|||||いき| そして 妖精 の 赤ちゃん の 持って いた つえ で 、 アン の ほお を 三 回 なで ました 。 |ようせい||あかちゃん||もって||||||||みっ|かい|な で| すると たちまち ヒツジ の 首 が 落ちて 、 もと の 美しい アン の 首 に 戻った のです 。 ||ひつじ||くび||おちて|||うつくしい|||くび||もどった|

三 日 目 の 晩 に 、 なり ました 。 みっ|ひ|め||ばん||| ケート は 、 「 もし 病気 の 王子 さま と 結婚 さ せて くださる の なら 、 もう 一晩 、 看病 いたし ましょう 」 と 、 言い ました 。 |||びょうき||おうじ|||けっこん|||||||ひとばん|かんびょう||||いい| Kate said, "If you want to marry a sick prince, I'll take care of you for another night." その 晩 も 、 前 の 晩 と 同じでした 。 |ばん||ぜん||ばん||おなじでした That night was the same as the night before. 今度 は 妖精 の 赤ちゃん が 、 小鳥 と 遊んで い ました 。 こんど||ようせい||あかちゃん||ことり||あそんで|| 妖精 たち が 、 「 あの 鳥 を 三 口 食べれば 、 王子 さま の 病気 は 治って しまう のに ね 」 と 、 話して いる の を 聞き ました 。 ようせい||||ちょう||みっ|くち|たべれば|おうじ|||びょうき||なおって|||||はなして||||きき| I heard the fairies say, "If you eat three of those birds, the prince's illness will be cured." ケート は 妖精 の 赤ちゃん の 足下 に 、 クルミ を いく つ も 転がし ました 。 ||ようせい||あかちゃん||あしもと||くるみ|||||ころがし| 妖精 の 赤ちゃん は 小鳥 を はなして 、 ヨチヨチ と クルミ を 追い かけ ました 。 ようせい||あかちゃん||ことり|||||くるみ||おい|| The baby fairy flew off the little bird and chased the yochiyochi and the walnuts. その 間 に ケート は 小鳥 を 捕まえて 、 エプロン の ポケツト に しまい ました 。 |あいだ||||ことり||つかまえて|えぷろん||||| ニワトリ が 鳴いて 、 王子 は お 城 に 帰り ました 。 にわとり||ないて|おうじ|||しろ||かえり| ケート は すぐ に お 城 の 厨房 ( ちゅうぼう ) に 行く と 、 その 小鳥 で 料理 を 作り ました 。 |||||しろ||ちゅうぼう|||いく|||ことり||りょうり||つくり| 間もなく 、 とても おいし そうな に おい が 王子 の 部屋 に まで ただよって くる と 、 「 ああ 、 あの 小鳥 が 食べ たい なあ 」 と 、 王子 が べ ッド に 寝た まま で つぶやき ました 。 まもなく|||そう な||||おうじ||へや||||||||ことり||たべ||||おうじ|||||ねた|||| Soon after, a very tasty sardine came to the prince's room, and he muttered, "Oh, that little bird wants to eat," while lying on the bed. 「 はい 。 どうぞ 、 食べて ください 」   料理 を つくり 終えた ケート は 、 王子 に 小鳥 の 料理 を 差し出し ました 。 |たべて||りょうり|||おえた|||おうじ||ことり||りょうり||さしだし| 王子 が 、 その 料理 を 一口 食べ ました 。 おうじ|||りょうり||ひとくち|たべ| すると ベッド に 寝て いた 王子 が 、 べ ッド の 上 に ひじ を ついて 頭 を 持ち 上げ ました 。 |べっど||ねて||おうじ|||||うえ|||||あたま||もち|あげ| Then the prince, who was sleeping on the bed, lifted his head with his elbows on the bed. しばらく する と 、 「 ああ 、 もう 一口 、 あの 小鳥 が 食べ たい 」 と 、 言い ました 。 |||||ひとくち||ことり||たべ|||いい| ケート の 差し出す 小鳥 を 二 口 食べる と 、 王子 は べ ッド の 上 に 起き上がり ました 。 ||さしだす|ことり||ふた|くち|たべる||おうじ|||||うえ||おきあがり| また 、 しばらく する と 、 「 ああ 、 もう 一口 だけ 、 あの 小鳥 が 食べ たい なあ 」 と 、 言い ました 。 ||||||ひとくち|||ことり||たべ||||いい| After a while, he said, "Oh, I just want to eat that little bird." ケート の 差し出す 小鳥 を 三 口 食べる と 、 王子 は ついに べ ッド から 出て きた のです 。 ||さしだす|ことり||みっ|くち|たべる||おうじ||||||でて|| After eating three mouthfuls of Kate's little bird, the prince finally came out of the bed. 翌朝 に なり 、 お 城 の 人 が 王子 の 部屋 ヘ やってき ました 。 よくあさ||||しろ||じん||おうじ||へや||| The next morning, a man from the castle came to the prince's room. そして 王子 が ケート と 一緒に 、 クルミ を 割って いる の を 見て ビックリ です 。 |おうじ||||いっしょに|くるみ||わって||||みて|びっくり| And I was surprised to see the prince breaking the walnuts with Kate.

さて 、 ケート と 王子 が そう こうして いる うち に 、 もう 一 人 の 王子 が 美しい アン を すっかり 好きに なり ました 。 |||おうじ||||||||ひと|じん||おうじ||うつくしい||||すきに|| Now, while Kate and the prince were doing so, another prince fell in love with the beautiful Anne. こうして 病気 だった 王子 は ケート と 結婚 し 、 もう 一 人 の 王子 は 病気 だった アン と 結婚 した のです 。 |びょうき||おうじ||||けっこん|||ひと|じん||おうじ||びょうき||||けっこん|| それ から は 四 人 と も 、 いつまでも 幸せに 暮らした と いう こと です 。 |||よっ|じん||||しあわせに|くらした||||

おしまい