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Fairy Tales, サザエ売り

サザエ 売り

サザエ 売り

むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 さて 、 久しぶりに 臼杵 ( うすき ) の 町 へ 出た 吉 四六 さん は 、 何 か 変わった 物 は ない か と 大通り を 歩いて い ました 。 する と 、 魚 屋 の 前 に 出 ました 。 店 に は 立派な サザエ が 、 いく つ も 並んで い ました 。 「 ほ ほう 、 サザエ か 。 ・・・ サザエ ねえ 。 ・・・ よし 、 一 儲け 出来 そうだ 」 ある 名案 を 思い ついた 吉 四六 さん は 、 魚 屋 に 入って 行き ました 。 「 あの 、 これ は 、 何 ちゅう 物 かな ? 」 吉 四六 さん は 、 わざと 知ら ない ふり を して サザエ を 指差し ました 。 「 ああ 、 これ は サザエ と いう 物 だ 。 お前 さん 、 知ら ん の かい ? 」 吉 四六 さん は サザエ を 手 に 取る と 、 いじって みたり 、 重 さ を 計って みた りし ながら 、 「 これ は 珍しい 形 の 貝 だ 。 家 の 土産 に 買って 帰り たい ので 、 三 つ ほど くれ や 」 「 へい 」 魚 屋 が 吉 四六 さん に サザエ を 渡す と 、 吉 四六 さん が 言い ました 。 「 すま ん が 、 火箸 の 様 、 固い 棒 を 貸して 下さい 」 吉 四六 さん は 火箸 を 借りる と サザエ の ふた を こじ開けて 、 中身 を 取り出し ました 。 そして サザエ の 中身 を 、 ポイ と 捨てて しまう と 、 「 こんな 物 が 入って いる と 、 重くて かなわ ん 」 と 、 言って 、 そのまま 帰って しまい ました 。 魚 屋 は 吉 四六 さん が 行って しまう と 、 サザエ の 中身 を 拾って 、 「 何とも 馬鹿な 奴 も いる もん だ 。 だが 、 金 は 払った し 、 中身 も 残って いる 。 こりゃ 、 もうかった 」 と 、 言い ました 。

それ から 何 日 かして 、 また 吉 四六 さん は 臼杵 の 町 に やって 来 ました 。 そして 魚 屋 に よる と 、 また サザエ を 三 つ 買って 中身 を 捨てて 、 サザエ の 殻 ( から ) だけ を 持って 帰り ました 。 魚 屋 は 大喜びです 。 「 あいつ は 本当に 馬鹿だ な 。 ・・・ いやいや 、 良い お 客 さま だ 。 よし 、 今度 は 大量に 仕入れる と する か 。 うっ ひ ひ ひ ひ 」

それ から 何 日 かして 、 またまた 吉 四六 さん は 臼杵 の 町 に やって 来 ました 。 今日 は 、 ウマ を 引いて い ます 。 魚 屋 に 行って みる と 、 サザエ が 店 の 前 に 山ほど 積んで あり ました 。 魚 屋 は 吉 四六 さん を 見つける と 、 ニコニコ し ながら 呼び止め ました 。 「 おい 、 そこ の ば ー ・・・。 いや 、 お 客 さま 。 今日 は サザエ を 買わ ない んです か ? 大量に 仕入れた から 半値 で 、 いやいや 、 半値 の 半値 で 、 ええ い 、 たった の 一 文 で 、 欲しい だけ お 売り ます よ 」 魚 屋 に して みれば 、 中身 を いちいち 取り出す 手間 は いら ない し 、 殻 を 処分 する 手間 も 入り ませ ん 。 本当 なら 吉 四六 さん に 、 手間 賃 を 支払って も いい くらい です 。 すると 吉 四六 さん 、 ちょっと 迷惑 そうな 顔 を して 、 「 そこ まで 言う なら 、 もらって いこう か 。 今日 は ちょうど ウマ も 引いて いる し 、 みんな もらって いく よ 」 「 へい 、 商談 成立 だ 」 吉 四六 さん は 一 文 を 差し出す と 、 火箸 を 差し出す 魚 屋 に 言い ました 。 「 いや 、 これ だけ の 数 だ と 時間 も かかる 。 商売 の 邪魔 を しちゃ 悪い から 、 中身 も 入れた まま 、 もらって いく よ 」 「 へっ ? 」 魚 屋 が 驚いて いる 間 に 、 吉 四六 さん は 店 の サザエ を 全部 ウマ に 積み 込む と 、 そのまま 行って しまい ました 。 そして 少し 歩いた ところ で 、 吉 四六 さん は 大声 で 言い ました 。 「 ええ 、 サザエ はいらん か ね 。 安い よ 。 安くて うまい 、 サザエ だ よ ー 」

おしまい


サザエ 売り さざえ|うり turban shell fisherman

サザエ 売り さざえ|うり

むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 ||きち|しろく|||いう|||じん||| さて 、 久しぶりに 臼杵 ( うすき ) の 町 へ 出た 吉 四六 さん は 、 何 か 変わった 物 は ない か と 大通り を 歩いて い ました 。 |ひさしぶりに|うすき|||まち||でた|きち|しろく|||なん||かわった|ぶつ|||||おおどおり||あるいて|| する と 、 魚 屋 の 前 に 出 ました 。 ||ぎょ|や||ぜん||だ| 店 に は 立派な サザエ が 、 いく つ も 並んで い ました 。 てん|||りっぱな|さざえ|||||ならんで|| 「 ほ ほう 、 サザエ か 。 ||さざえ| ・・・ サザエ ねえ 。 さざえ| ・・・ よし 、 一 儲け 出来 そうだ 」   ある 名案 を 思い ついた 吉 四六 さん は 、 魚 屋 に 入って 行き ました 。 |ひと|もうけ|でき|そう だ||めいあん||おもい||きち|しろく|||ぎょ|や||はいって|いき| 「 あの 、 これ は 、 何 ちゅう 物 かな ? |||なん||ぶつ| 」   吉 四六 さん は 、 わざと 知ら ない ふり を して サザエ を 指差し ました 。 きち|しろく||||しら|||||さざえ||ゆびさし| 「 ああ 、 これ は サザエ と いう 物 だ 。 |||さざえ|||ぶつ| お前 さん 、 知ら ん の かい ? おまえ||しら||| 」   吉 四六 さん は サザエ を 手 に 取る と 、 いじって みたり 、 重 さ を 計って みた りし ながら 、 「 これ は 珍しい 形 の 貝 だ 。 きち|しろく|||さざえ||て||とる||||おも|||はかって||||||めずらしい|かた||かい| 家 の 土産 に 買って 帰り たい ので 、 三 つ ほど くれ や 」 「 へい 」   魚 屋 が 吉 四六 さん に サザエ を 渡す と 、 吉 四六 さん が 言い ました 。 いえ||みやげ||かって|かえり|||みっ||||||ぎょ|や||きち|しろく|||さざえ||わたす||きち|しろく|||いい| 「 すま ん が 、 火箸 の 様 、 固い 棒 を 貸して 下さい 」   吉 四六 さん は 火箸 を 借りる と サザエ の ふた を こじ開けて 、 中身 を 取り出し ました 。 |||ひばし||さま|かたい|ぼう||かして|ください|きち|しろく|||ひばし||かりる||さざえ||||こじあけて|なかみ||とりだし| そして サザエ の 中身 を 、 ポイ と 捨てて しまう と 、 「 こんな 物 が 入って いる と 、 重くて かなわ ん 」 と 、 言って 、 そのまま 帰って しまい ました 。 |さざえ||なかみ||ぽい||すてて||||ぶつ||はいって|||おもくて||||いって||かえって|| 魚 屋 は 吉 四六 さん が 行って しまう と 、 サザエ の 中身 を 拾って 、 「 何とも 馬鹿な 奴 も いる もん だ 。 ぎょ|や||きち|しろく|||おこなって|||さざえ||なかみ||ひろって|なんとも|ばかな|やつ|||| だが 、 金 は 払った し 、 中身 も 残って いる 。 |きむ||はらった||なかみ||のこって| こりゃ 、 もうかった 」 と 、 言い ました 。 |||いい|

それ から 何 日 かして 、 また 吉 四六 さん は 臼杵 の 町 に やって 来 ました 。 ||なん|ひ|||きち|しろく|||うすき||まち|||らい| そして 魚 屋 に よる と 、 また サザエ を 三 つ 買って 中身 を 捨てて 、 サザエ の 殻 ( から ) だけ を 持って 帰り ました 。 |ぎょ|や|||||さざえ||みっ||かって|なかみ||すてて|さざえ||から||||もって|かえり| 魚 屋 は 大喜びです 。 ぎょ|や||おおよろこびです 「 あいつ は 本当に 馬鹿だ な 。 ||ほんとうに|ばかだ| ・・・ いやいや 、 良い お 客 さま だ 。 |よい||きゃく|| よし 、 今度 は 大量に 仕入れる と する か 。 |こんど||たいりょうに|しいれる||| うっ ひ ひ ひ ひ 」 う っ||||

それ から 何 日 かして 、 またまた 吉 四六 さん は 臼杵 の 町 に やって 来 ました 。 ||なん|ひ|||きち|しろく|||うすき||まち|||らい| 今日 は 、 ウマ を 引いて い ます 。 きょう||||ひいて|| 魚 屋 に 行って みる と 、 サザエ が 店 の 前 に 山ほど 積んで あり ました 。 ぎょ|や||おこなって|||さざえ||てん||ぜん||やまほど|つんで|| 魚 屋 は 吉 四六 さん を 見つける と 、 ニコニコ し ながら 呼び止め ました 。 ぎょ|や||きち|しろく|||みつける||にこにこ|||よびとめ| 「 おい 、 そこ の ば ー ・・・。 ||||- いや 、 お 客 さま 。 ||きゃく| 今日 は サザエ を 買わ ない んです か ? きょう||さざえ||かわ||| 大量に 仕入れた から 半値 で 、 いやいや 、 半値 の 半値 で 、 ええ い 、 たった の 一 文 で 、 欲しい だけ お 売り ます よ 」   魚 屋 に して みれば 、 中身 を いちいち 取り出す 手間 は いら ない し 、 殻 を 処分 する 手間 も 入り ませ ん 。 たいりょうに|しいれた||はんね|||はんね||はんね||||||ひと|ぶん||ほしい|||うり|||ぎょ|や||||なかみ|||とりだす|てま|||||から||しょぶん||てま||はいり|| 本当 なら 吉 四六 さん に 、 手間 賃 を 支払って も いい くらい です 。 ほんとう||きち|しろく|||てま|ちん||しはらって|||| すると 吉 四六 さん 、 ちょっと 迷惑 そうな 顔 を して 、 「 そこ まで 言う なら 、 もらって いこう か 。 |きち|しろく|||めいわく|そう な|かお|||||いう|||| 今日 は ちょうど ウマ も 引いて いる し 、 みんな もらって いく よ 」 「 へい 、 商談 成立 だ 」   吉 四六 さん は 一 文 を 差し出す と 、 火箸 を 差し出す 魚 屋 に 言い ました 。 きょう|||||ひいて||||||||しょうだん|せいりつ||きち|しろく|||ひと|ぶん||さしだす||ひばし||さしだす|ぎょ|や||いい| 「 いや 、 これ だけ の 数 だ と 時間 も かかる 。 ||||すう|||じかん|| 商売 の 邪魔 を しちゃ 悪い から 、 中身 も 入れた まま 、 もらって いく よ 」 「 へっ ? しょうばい||じゃま|||わるい||なかみ||いれた|||||へ っ 」   魚 屋 が 驚いて いる 間 に 、 吉 四六 さん は 店 の サザエ を 全部 ウマ に 積み 込む と 、 そのまま 行って しまい ました 。 ぎょ|や||おどろいて||あいだ||きち|しろく|||てん||さざえ||ぜんぶ|||つみ|こむ|||おこなって|| そして 少し 歩いた ところ で 、 吉 四六 さん は 大声 で 言い ました 。 |すこし|あるいた|||きち|しろく|||おおごえ||いい| 「 ええ 、 サザエ はいらん か ね 。 |さざえ||| 安い よ 。 やすい| 安くて うまい 、 サザエ だ よ ー 」 やすくて||さざえ|||-

おしまい