人形 の お 嫁 さん にんぎょう|||よめ| The Doll's Wife

人形 の お 嫁 さん にんぎょう|||よめ|

むかし むかし 、 ある ところ に 、 一 人 暮らし の 若者 が い ました 。 |||||ひと|じん|くらし||わかもの||| 若者 は 貧乏な ので 、 お 嫁 さん を もらう 事 が 出来 ませ ん 。 わかもの||びんぼうな|||よめ||||こと||でき||

ある 日 の 事 、 若者 は 長者 の 屋敷 へ 仕事 に 出かけ ました 。 |ひ||こと|わかもの||ちょうじゃ||やしき||しごと||でかけ| 暖かく なって 来た ので 、 若者 が 庭木 の 雪 囲い を はずして いる と 、 そば に 小さくて きれいな 娘 さん が 立って い ました 。 あたたかく||きた||わかもの||にわき||ゆき|かこい|||||||ちいさくて||むすめ|||たって|| 「 ああ 、 これ は 始め まして 」 　 若者 が 娘 さん に あいさつ を し ました が 、 娘 さん は じっと 立った まま 口 も 聞か ず 、 動こう と も し ませ ん 。 |||はじめ||わかもの||むすめ||||||||むすめ||||たった||くち||きか||うごこう||||| 「 おや ？ 」 　 不思議に 思った 若者 が 娘 さん に 近づく と 、 何と 娘 さん は 人形 だった のです 。 ふしぎに|おもった|わかもの||むすめ|||ちかづく||なんと|むすめ|||にんぎょう|| そこ へ 長者 と 奥さん が 出て きた ので 、 若者 は 、 「 これ は 見事な 出来 です ね 。 ||ちょうじゃ||おくさん||でて|||わかもの||||みごとな|でき|| てっきり 、 本物 の 娘 さん か と 思い ました よ 」 と 、 言い ました 。 |ほんもの||むすめ||||おもい||||いい| すると 長者 は 悲し そうに ため 息 を つき 、 人形 の 事 を 話して くれ ました 。 |ちょうじゃ||かなし|そう に||いき|||にんぎょう||こと||はなして||

実は 長者 に は 、 この 人形 と そっくりな 娘 さん が いた のです 。 じつは|ちょうじゃ||||にんぎょう|||むすめ|||| 娘 は 年頃 に なって お 嫁入り を する 事 に なり ました が 、 長者 も 奥さん も 娘 さん を とても 可愛がって いる ので 、 お 嫁 に なんか やり たく あり ませ ん 。 むすめ||としごろ||||よめいり|||こと|||||ちょうじゃ||おくさん||むすめ||||かわいがって||||よめ||||||| でも 、 そう 言う わけに も いか ない ので 、 有名な 人形 細工 師 に 娘 さん に そっくりの 人形 を 作ら せて 、 娘 さん の 代わり に そば へ 置く 事 に した のです 。 ||いう||||||ゆうめいな|にんぎょう|さいく|し||むすめ||||にんぎょう||つくら||むすめ|||かわり||||おく|こと||| ところが 娘 さん は 、 お 嫁 に 行って すぐ に 病気 で 亡くなって しまい ました 。 |むすめ||||よめ||おこなって|||びょうき||なくなって|| 長者 と 奥さん は 人形 を 見て は 娘 さん の 事 を 思い出して 、 毎日 の 様 に 泣き 暮らして いる のだ そうです 。 ちょうじゃ||おくさん||にんぎょう||みて||むすめ|||こと||おもいだして|まいにち||さま||なき|くらして|||そう です

「 そう です か 」 　 この 話し を 聞いた 若者 は 、 この 人形 の 事 が 好きに なって しまい ました 。 ||||はなし||きいた|わかもの|||にんぎょう||こと||すきに||| でも 、 ゆずって もらう お 金 も ない し 、 たとえ お 金 が あった と して も 、 長者 が 大切な 人形 を ゆずって くれる はず は あり ませ ん 。 ||||きむ||||||きむ||||||ちょうじゃ||たいせつな|にんぎょう|||||||| そこ で 若者 は 頭 を 下げて 、 「 お 願い です 。 ||わかもの||あたま||さげて||ねがい| たった の 一 日 で いい から 、 この 人形 を 貸して ください ！ ||ひと|ひ|||||にんぎょう||かして| 」 と 、 お 願い した のです 。 ||ねがい|| 「 と 、 とんでもない 。 これ は わたし たち の 宝物 だ 」 　 長者 は 断り ました が 、 それ でも 若者 は 必死で お 願い し ました 。 |||||たからもの||ちょうじゃ||ことわり|||||わかもの||ひっしで||ねがい|| 「 おら は 貧乏で 、 嫁 さん を もらう 事 も 出来 ませ ん 。 ||びんぼうで|よめ||||こと||でき|| そこ で 一 度 で いい から 、 この 人形 の そば で ご飯 を 食べて み たい のです 」 「 そう は 言って も 」 「 お 願い し ます ！ ||ひと|たび|||||にんぎょう||||ごはん||たべて||||||いって|||ねがい|| 」 「 しかし 」 「 お 願い し ます ！ ||ねがい|| 」 　 若者 が あんまり 熱心に 頼む ので 、 長者 は とうとう 根負け して 、 しばらく の 間 、 貸して やる 事 に し ました 。 わかもの|||ねっしんに|たのむ||ちょうじゃ|||こんまけ||||あいだ|かして||こと||| 「 ありがとう ございます ！ 」 　 若者 は 大喜びで 、 さっそく 人形 を 家 に 連れて 帰り ました 。 わかもの||おおよろこびで||にんぎょう||いえ||つれて|かえり| 若者 は 家 の 中 に 人形 を かざる と 、 まるで 自分 の お 嫁 さん の 様 に 話し かけ ました 。 わかもの||いえ||なか||にんぎょう|||||じぶん|||よめ|||さま||はなし|| 仕事 に 出かける 時 は 、 ほこり が つか ない ように 頭 に 白い 布 きれ を かぶせて 、 「 それ じゃ 、 仕事 に 行って くる から ね 」 と 、 言い ました 。 しごと||でかける|じ|||||||あたま||しろい|ぬの||||||しごと||おこなって|||||いい| そして 仕事 から 戻って 来る と 、 今度 は 白い 布 きれ を 取り 、 「 ただいま 。 |しごと||もどって|くる||こんど||しろい|ぬの|||とり| 今 、 戻って 来た よ 」 と 、 言い ました 。 いま|もどって|きた|||いい| 例え 口 の 聞か ない 人形 でも 、 若者 は 美しい お 嫁 さん を もらった みたいな 気持ち に なり 、 毎日 が 夢 の 様 でした 。 たとえ|くち||きか||にんぎょう||わかもの||うつくしい||よめ|||||きもち|||まいにち||ゆめ||さま|

そんな ある 日 の 事 、 若者 が 仕事 から 戻って 来る と 、 家 の 中 が きちんと 片付いて いて 、 ご飯 まで 用意 して あり ました 。 ||ひ||こと|わかもの||しごと||もどって|くる||いえ||なか|||かたづいて||ごはん||ようい||| 「 おや ？ 誰 が 、 こんな 事 を して くれた んだろう ？ だれ|||こと|||| まさか 、 人形 が して くれる わけ が ないし 」 　 若者 は 不思議に 思い ながら も 、 用意 さ れた ご飯 を 食べ ました 。 |にんぎょう|||||||わかもの||ふしぎに|おもい|||ようい|||ごはん||たべ|

次の 日 、 若者 が 仕事 から 戻って 来る と 、 やっぱり 家 の 中 が 片付いて いて 、 ご飯 の 用意 が して あり ます 。 つぎの|ひ|わかもの||しごと||もどって|くる|||いえ||なか||かたづいて||ごはん||ようい|||| 「 これ は 、 おかしい ぞ ？ 」 　 いよいよ 不思議に 思った 若者 は 、 その 次の 日 、 仕事 に 行く ふり を して こっそり と 天井 裏 に のぼって 家 の 中 の 様子 を 見張って い ました 。 |ふしぎに|おもった|わかもの|||つぎの|ひ|しごと||いく||||||てんじょう|うら|||いえ||なか||ようす||みはって|| する と 、 どう でしょう 。 家 の 中 に かざって ある 人形 が むくむく と 動き 出した か と 思う と 、 人形 は 白い 布 を ねじって たすきがけ に して 、 家 の 掃除 を 始めた で は あり ませ ん か 。 いえ||なか||||にんぎょう||||うごき|だした|||おもう||にんぎょう||しろい|ぬの||||||いえ||そうじ||はじめた|||||| 「・・・・・・」  　 若者 は びっくり して 、 声 も 出 ませ ん 。 わかもの||||こえ||だ|| その うち に 人形 は かまど に 火 を つけて 、 ご飯 を 炊き 始め ました 。 |||にんぎょう||||ひ|||ごはん||たき|はじめ| もくもくと のぼって くる 煙 に 若者 は 思わず せき込んで しまい 、 その ひょうし に 若者 は 天井 裏 から 足 を 滑ら せて 、 人形 の 上 に 落ちて しまった のです 。 |||けむり||わかもの||おもわず|せきこんで|||||わかもの||てんじょう|うら||あし||すべら||にんぎょう||うえ||おちて|| 「 き ゃあ ー 」 　 びっくり した 人形 は 小さな 悲鳴 を 上げる と 、 ぶつかった 勢い で 火 の ついた かまど の 中 に 飛び 込んで しまい ました 。 ||-|||にんぎょう||ちいさな|ひめい||あげる|||いきおい||ひ|||||なか||とび|こんで|| 「 たっ 、 大変だ ー ！ |たいへんだ|- 」 　 若者 は あわてて 人形 を 助け 出そう と し ました が 、 人形 は あっという間 に 火 だるま に なって 燃え 上がり ました 。 わかもの|||にんぎょう||たすけ|だそう|||||にんぎょう||あっというま||ひ||||もえ|あがり| そして 若者 の 目の前 で 、 人形 は 燃え尽きて 灰 に なって しまい ました 。 |わかもの||めのまえ||にんぎょう||もえつきて|はい||||

おしまい