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Fairy Tales, 海 の 上 と 、畳 の 上

海 の 上 と 、畳 の 上

海 の 上 と 、 畳 の 上

むかし むかし 、 きっ ちょ むさん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。

きっ ちょ むさん の 村 に 、 直 吉 ( なお きち ) と いう 、 親 の いない 子ども が い ました 。 お 母さん は 病気 で なく なり 、 お 父さん も 捕鯨 船 の もり 打ち でした が 、 ある とき 嵐 に あって 、 船 と 一緒に 海 の 底 に 消えて しまった のです 。 それ で 直 吉 は 小さい とき から 、 生まれた 海岸 の 村 を 離れて 、 きっ ちょ むさん の 村 の おじさん の 家 に 引き取ら れて いた のでした 。 ですが 直 吉 は 、 一 日 と して 海 の 事 を 忘れた 事 が なく 、 ( おれ も 捕鯨船 に 乗って 、 お 父さん の 様 な 、 立派な もり打ち に なる んだ ! ) と 、 いつも 考えて い ました 。 そして 、 十一 に なった 時 、 おじさん に 自分 の 決心 を 話して 、 生まれた 海岸 の 村 へ 帰る こと に なった のです 。 これ を 聞いた 村人 たち は 、 みんな せんべつ を 持って 、 直 吉 へ 別れ に やってき ました 。 「 直 吉 、 偉い ぞ 。 それ で こそ 、 お 父さん の 子 だ 」 「 どうか 、 立派な もり 打ち に なって くれ 」 村人 たち が 口々に はげます 中 、 三 平 と 言う 若者 が 直吉 に こう 言った のです 。 「 おい 直 吉 、 みんな は やたら と 無責任に ほめて いる が 、 捕鯨 船 に 乗って もり 打ち を する なんて 、 あまり 感心な 事 で は ない ぞ 」 する と 直 吉 は びっくり して 、 三 平に 聞き ました 。 「 三 平 さん 。 それ は また 、 どういう わけ だ ? 」 「 聞けば 、 お前 の お 父さん は 海 で 死んだ そう じゃ ない か 。 つまり 、 親 の 死んだ 不吉な 海 で 働く なんて 、 縁起 で も ない と 思った の さ 」 「・・・・・・」 この 言葉 に 、 さっき まで 喜んで いた 村人 は 、 し ー ん と 静まり かえり ました 。 そして 直 吉 は 、 突然に 嫌な 事 を 言わ れて 、 泣き 出し そうな 顔 を して い ます 。 する と 、 この 話 を 後ろ の 方 から 聞いて い たき っ ちょ むさん が 、 前 に 進み出て 三 平に 尋ね ました 。 「 三 平 、 ちょっと 聞く が 、 お前 の お 父さん は どこ で 亡くなった ん だい ? 」 「 直 吉 の お 父さん と は 違って 、 ありがたい 事 に 、 ちゃんと 自分 の 家 の たたみ の 上 で 亡くなった さ 」 「 ふーん 。 それ で 、 お じいさん は ? 」 「 お じいさん だって 、 同じ 事 さ 。 直 吉 の お 父さん の ように 、 海 で 死んで は い ない さ 」 それ を 聞いて 、 きっ ちょ むさん は ニッコリ ほほえみ ました 。 「 それでは 、 三 平 。 直 吉 が 海 へ 行く の を 、 お前 が 反対 する の は おかしい ぞ 」 「 なん だって ? 」 「 だって 、 そう だろう 。 親 が 亡くなった ところ が 不吉 と いえば 、 お前 の 家 は 、 お 父さん ばかり か 、 お じいさん も 亡くなった んだろ ? 」 「 それ は 、・・・ そうだ が 」 さすが の 三平 も 、 返事 に 困って しまい ました 。 する と 、 そば に いた 庄屋 さん が 直 吉 の 肩 を 叩いて 言い ました 。 「 直 吉 、 立派な もり 打ち に なって くれ よ 」 「 うん 。 がんばる よ ! 」 こうして 直 吉 は みんな に 見送ら れて 、 元気 よく 村 を 出て 行き ました 。

おしまい


海 の 上 と 、畳 の 上 うみ||うえ||たたみ||うえ On the sea and on the tatami mat

海 の 上 と 、 畳 の 上 うみ||うえ||たたみ||うえ On the sea and on the tatami mat

むかし むかし 、 きっ ちょ むさん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 ||||||いう|||じん||| Once upon a time, there was a very happy person called Kichomu-san.

きっ ちょ むさん の 村 に 、 直 吉 ( なお きち ) と いう 、 親 の いない 子ども が い ました 。 ||||むら||なお|きち|||||おや|||こども||| In Kichomu-san's village, there was a child named Naokichi, who had no parents. お 母さん は 病気 で なく なり 、 お 父さん も 捕鯨 船 の もり 打ち でした が 、 ある とき 嵐 に あって 、 船 と 一緒に 海 の 底 に 消えて しまった のです 。 |かあさん||びょうき|||||とうさん||ほげい|せん|||うち|||||あらし|||せん||いっしょに|うみ||そこ||きえて|| Mom wasn't sick, and Dad was struck by a whaling ship, but at one point a storm struck and disappeared with the ship to the bottom of the sea. それ で 直 吉 は 小さい とき から 、 生まれた 海岸 の 村 を 離れて 、 きっ ちょ むさん の 村 の おじさん の 家 に 引き取ら れて いた のでした 。 ||なお|きち||ちいさい|||うまれた|かいがん||むら||はなれて|||||むら||||いえ||ひきとら||| So Naokichi had been taken away from the coastal village where he was born and to the uncle's house in Kichomu's village from a young age. ですが 直 吉 は 、 一 日 と して 海 の 事 を 忘れた 事 が なく 、 ( おれ も 捕鯨船 に 乗って 、 お 父さん の 様 な 、 立派な もり打ち に なる んだ ! |なお|きち||ひと|ひ|||うみ||こと||わすれた|こと|||||ほげい せん||のって||とうさん||さま||りっぱな|もり うち||| However, Naokichi has never forgotten about the sea in a day, and (I'm on a whaling ship, like my dad, and it's a great hit! ) と 、 いつも 考えて い ました 。 ||かんがえて|| ), I was always thinking. そして 、 十一 に なった 時 、 おじさん に 自分 の 決心 を 話して 、 生まれた 海岸 の 村 へ 帰る こと に なった のです 。 |じゅういち|||じ|||じぶん||けっしん||はなして|うまれた|かいがん||むら||かえる|||| Then, when he was eleven, he told his uncle his decision and decided to return to the coastal village where he was born. これ を 聞いた 村人 たち は 、 みんな せんべつ を 持って 、 直 吉 へ 別れ に やってき ました 。 ||きいた|むらびと||||||もって|なお|きち||わかれ||| Hearing this, the villagers all brought rice crackers and came to Naokichi to say goodbye. 「 直 吉 、 偉い ぞ 。 なお|きち|えらい| それ で こそ 、 お 父さん の 子 だ 」 「 どうか 、 立派な もり 打ち に なって くれ 」   村人 たち が 口々に はげます 中 、 三 平 と 言う 若者 が 直吉 に こう 言った のです 。 ||||とうさん||こ|||りっぱな||うち||||むらびと|||くちぐちに||なか|みっ|ひら||いう|わかもの||なおきち|||いった| That's why I'm your father's son." "Please, be a good forest striker." 「 おい 直 吉 、 みんな は やたら と 無責任に ほめて いる が 、 捕鯨 船 に 乗って もり 打ち を する なんて 、 あまり 感心な 事 で は ない ぞ 」   する と 直 吉 は びっくり して 、 三 平に 聞き ました 。 |なお|きち|||||むせきにんに||||ほげい|せん||のって||うち|||||かんしんな|こと|||||||なお|きち||||みっ|ひらに|きき| "Hey, Naokichi, you're all giving irresponsible praise, but it's not very nice to go out on a whaling ship and do it." Then Naokichi was surprised and asked Sanpei about it. 「 三 平 さん 。 みっ|ひら| それ は また 、 どういう わけ だ ? What's that about again? 」 「 聞けば 、 お前 の お 父さん は 海 で 死んだ そう じゃ ない か 。 きけば|おまえ|||とうさん||うみ||しんだ|||| つまり 、 親 の 死んだ 不吉な 海 で 働く なんて 、 縁起 で も ない と 思った の さ 」 「・・・・・・」   この 言葉 に 、 さっき まで 喜んで いた 村人 は 、 し ー ん と 静まり かえり ました 。 |おや||しんだ|ふきつな|うみ||はたらく||えんぎ|||||おもった||||ことば||||よろこんで||むらびと|||-|||しずまり|| In other words, he thought it was bad luck to work in the ominous waters where his parents had died." "・・・・・・" The villagers, who had been so happy earlier, silently return to their homes. そして 直 吉 は 、 突然に 嫌な 事 を 言わ れて 、 泣き 出し そうな 顔 を して い ます 。 |なお|きち||とつぜんに|いやな|こと||いわ||なき|だし|そう な|かお|||| And Naokichi looks like he's going to cry because he's suddenly said something unpleasant. する と 、 この 話 を 後ろ の 方 から 聞いて い たき っ ちょ むさん が 、 前 に 進み出て 三 平に 尋ね ました 。 |||はなし||うしろ||かた||きいて|||||||ぜん||すすみ でて|みっ|ひらに|たずね| Then Kitchomu-san, who had been listening to this story from behind, stepped forward and asked Sanpei. 「 三 平 、 ちょっと 聞く が 、 お前 の お 父さん は どこ で 亡くなった ん だい ? みっ|ひら||きく||おまえ|||とうさん||||なくなった|| "Sampei, let me ask you, where did your father die? 」 「 直 吉 の お 父さん と は 違って 、 ありがたい 事 に 、 ちゃんと 自分 の 家 の たたみ の 上 で 亡くなった さ 」 「 ふーん 。 なお|きち|||とうさん|||ちがって||こと|||じぶん||いえ||||うえ||なくなった||ふ - ん それ で 、 お じいさん は ? 」 「 お じいさん だって 、 同じ 事 さ 。 |||おなじ|こと| "It's the same thing with an old man. 直 吉 の お 父さん の ように 、 海 で 死んで は い ない さ 」   それ を 聞いて 、 きっ ちょ むさん は ニッコリ ほほえみ ました 。 なお|きち|||とうさん|||うみ||しんで|||||||きいて|||||にっこり|| Like Naokichi's father, he didn't die at sea." Hearing this, Kitchomu smiled. 「 それでは 、 三 平 。 |みっ|ひら 直 吉 が 海 へ 行く の を 、 お前 が 反対 する の は おかしい ぞ 」 「 なん だって ? なお|きち||うみ||いく|||おまえ||はんたい||||||| It is not right for you to oppose Naokichi's going to the sea. What's that? 」 「 だって 、 そう だろう 。 親 が 亡くなった ところ が 不吉 と いえば 、 お前 の 家 は 、 お 父さん ばかり か 、 お じいさん も 亡くなった んだろ ? おや||なくなった|||ふきつ|||おまえ||いえ|||とうさん||||||なくなった|んだ ろ If you think it's bad luck when your parents die, then not only your father but also your grandfather passed away, right? 」 「 それ は 、・・・ そうだ が 」   さすが の 三平 も 、 返事 に 困って しまい ました 。 ||そう だ||||さんぺい||へんじ||こまって|| "That's...that's right." Even Sanpei was at a loss for an answer. する と 、 そば に いた 庄屋 さん が 直 吉 の 肩 を 叩いて 言い ました 。 |||||しょうや|||なお|きち||かた||たたいて|いい| Then the village headman who was by his side tapped Naokichi on the shoulder and said. 「 直 吉 、 立派な もり 打ち に なって くれ よ 」 「 うん 。 なお|きち|りっぱな||うち||||| がんばる よ ! 」   こうして 直 吉 は みんな に 見送ら れて 、 元気 よく 村 を 出て 行き ました 。 |なお|きち||||みおくら||げんき||むら||でて|いき| So Naokichi was seen off by everyone, and cheerfully left the village.

おしまい