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Fairy Tales, 地獄 の あばれ もの

地獄 の あばれ もの

むかし むかし 、 ある 町 に 一 人 の 医者 が おり ました が 、 人 の 病 を なおす どころ か 、 自分 が 病 に かかって 死んで しまい ました 。 死んだ 人 は 三 途 ( さんず ) の 川 を わたり 、 あの 世 へ いく のです が 、 よい 行い を した 人 は 極楽 ( ごくらく → 天国 ) に 、 悪い 行い を した 人 は 地獄 ( じごく ) に 行く のです 。 そして 極楽 行きか 地獄 行き か は 、 えんま 大王 が 決める のでした 。 医者 は 、 えんま 大王 に いい ました 。 「 大 王さま 、 わたくし め は 医者 で ございます 。 生前 ( せいぜん → 生きて いる とき ) は 、 人々 の お 役 に たった ので ございます 。 どうぞ 、 極楽 へ やって ください ませ 」 「 こら ! うそつき め 。 お前 は にせ 医者 で 、 あくどく も うけおった で は ない か 」 「 そんな 、 め っ そう も ない 」 「 だまれ ! わし に 口答え する 気 か 。 おまえ は 地獄 行き じゃ ! 」 医者 は 鬼 に つまみ あげ られ 、 ポイッ と ほうりなげ られて しまい ました 。 「 ヒャァーーッ ! 」 落ちた ところ は 、 地獄 へ と つづく 道 でした 。 医者 は 覚悟 を 決める と 、 かたわら の 石 に 腰 を おろし ました 。 「 どうせ 地獄 行き じゃあ 。 だれ か 、 道づれ が 来る の を 待とう 」 さて 、 次に えんま 大王 の ところ へ きた の は 、 山ぶし でした 。 山ぶし は 、 えんま 大王 の 前 に 進み 出て 。 「 せっし ゃ は 、 人助け の 山ぶし と いう て 、 世間 の わざわい を とりのぞき もう した 。 まちがい なく 、 極楽 行き でしょう な 」 「 うそ を つく で ない ! おまえ は 神仏 の たたり じゃ と いう て 、 なんでもない 人々 から 、 金 を まきあげた じゃ ろ ! 」 「 と 、 とんでもない 」 「 お前 は 、 地獄 行き じゃあ ! 」 山ぶし も 、 ポイッ と ほうりなげ られ ました 。 地獄 へ の 道 で は 、 医者 が 待って い ました 。 「 やあ 、 あんさん も 地獄 行き で ? これ で 二 人 に なった が 、 もう 一 人 いれば 心強い なあ 」 すると 山ぶし も 、 腰 を おろして 、 「 どうせ 地獄 行き じゃ 。 あわてる 事 は ない 。 もう 一 人 来る まで 待とう 」 さて 、 次に あらわれた の は 、 かじ 屋 の おやじ です 。 「 大 王さま 、 おら は 百姓 ( ひゃくしょう ) の カマ や クワ を たくさん 作って 人助け し ました 。 極楽 行き でしょう 」 「 お前 は 鉄 に まぜ もの を して 、 なまくら 道具 を 売った な ! ほら 、 ちゃんと えんま 帳 ( えんま ちょう → 生前 の 罪 を 書きとめる と さ れる 帳面 ) に 書いて ある わい 」 「 まぜ もの を し ない と 、 安く は なり ませ ん 。 安く ねえ と 、 貧乏 人 に は 買え ませ ん 」 「 口答え する で ない 。 地獄 へ 行け ! 」 かじ 屋 も ポイッ と ほうりなげ られ 、 地獄 へ の 道 まで ふっとんで くる と 、 医者 と 山ぶし が 、 ニコニコ 顔 で むかえ ました 。 「 これ で 三 人 」 「 では 、 ぼちぼち まいり ましょう か 」 そんな わけ で 、 三 人 は つれだって 地獄 の 入り口 、 地獄 門 に つき ました 。 門番 の 鬼 が 、 おそろしい 顔 で 言い ました 。 「 ほれ ! さっさと 入ら ん か 。 そして 、 あの 山 を 登って いく んだ 」 三 人 が 見る と 、 なんと それ は 、 するどい 刃物 が ズラリ と ならんだ 、 つるぎ の 山 でした 。 「 あんな 山 を 登ったら 、 足 が さけ ちまう よ 」 「 ど 、 どう しよう 」 医者 と 山ぶし が おろおろ して いる と 、 かじ 屋 が ニッコリ 。 「 ここ は 、 おい ら に まかし とけ 」 なに を する の か と 思えば 、 とりだした ヤットコ (→ 大きな ペンチ の 様 な 道具 ) で 、 ポキポキ と つるぎ を へし折り 、 火 を おこして 、 トンカン 、 トンカン と 、 それ を うち なお し ました 。 「 そら 出来た 。 鉄 の わらじ だ 。 これ を はいて 歩けば 大丈夫 」 三 人 は 鉄 の わらじ を はいて 、 つるぎ の 山 へ のぼって いき ました 。 する と ポッキン 、 ポッキン 、 つるぎ は おもしろい ように 折れて しまい ます 。 「 うひゃー 、 こりゃあ すごい ! 後ろ から 来る 者 の ため に 、 道 を つくって おこう 」 ポッキン 、 ポッキン 、 ポキポキ 、 ポッキン 。 「 それ それ 、 どんどん 、 折れ 折れ 」 たまげた の は 、 鬼 たち です 。 「 なんだ 、 あいつ ら ! 」 「 た 、 たいへんだ ! 大 王さま に 知らせ ねば 」 それ を 聞いた えんま 大王 は 、 おこった のな ん の 。 「 つるぎ の 山 に 道 を 作った だ と ? ばっ かも ~ ん ! だまって 見とる やつ が ある か ! さっさと ひ っ とらえて 、 カマ へ ほうり こめ 。 カマ ゆで じゃ ~! 」 たちまち 三 人 は つかまって 、 大きな カマ の 中 に ほうり こま れ ました 。 鬼 たち は 、 下 から ドンドン と 火 を たき ます 。 「 あ ちっ ちっち 、 こりゃ いか ん ! 」 「 もう だめじゃ ! 」 すると 今度 は 、 山ぶし が 、 「 ここ は 、 わたし に まかせ なされ 。 じまん の 法 力 ( ほうり き ) を 見せて くれる 」 と 、 呪文 ( じゅもん ) を となえ ました 。 「 ぬるま湯 に なれ 、 ぬるま湯 に なれ 。 ナムウンケイアラビソワカ 、 か ~ っ ! 」 すると 不思議な 事 に 、 お 湯 は 、 ちょうど いい 湯 かげん に なり ました 。 「 お ぬし の 術 は 、 たいした もん じゃ 」 「 こんな りっぱな 山ぶし どん を 地獄 に 送る なんて 、 えんま も 目 が ない のう 」 「 それにしても 、 いい 湯 じゃ 」 「 お ~ い 、 そこ の オニ たち 。 手ぬぐい を かして くれ ん か 。 からだ を 洗い たい んじゃ 」 三 人 は すっかり いい 気分 で 、 うか れて 歌 まで 歌い だ す しまつ 。 さて 、 いかりくるった えんま 大王 は 。 「 う ぬ ぬ ぬ 、 あやつら 、 地獄 を バカに し おって ! ゆるせ ん ! ゆるせ ん ! わし が 、 じきじき に せいばい して くれる わ ! 」 えんま 大王 は 大きな 手 で 三 人 を ひと つかみ に する と 、 ポイッ と 、 口 の 中 へ ほうり こんで しまい ました 。 ヒューーーッ 、 ストーン ! 三 人 は 、 えんま 大王 のはら の 中 に 落ちて いき ました 。 「 うむ 、 さすが は えんま 大王 のはら の 中 、 なかなか 広い わい 」 でも 、 おもしろ がって いる 場合 で は あり ませ ん 。 「 あっ 、 なんだか 体 が ムズムズ して きた 」 「 大変じゃ 、 体 か とけて きた ! 」 「 今度 こそ 、 もう だめじゃ ! 」 山ぶし と かじ屋 は 泣き 出し ました が 、 医者 は おちついた もの で 、 「 心配 する な 。 いま 、 体 の とけ ぬ 薬 を 作った で 、 飲んで みな さ れ 」 その 薬 を 飲む と 、 たちまち 体 は シャンと なり ました 。 三 人 は 大喜びで 、 えんま 大王 のはら の 中 を 探検 ( たんけん ) です 。 「 医者 どん 、 これ は 何 だ ? 」 「 そりゃ 、 笑い の ひも じゃ よ 」 医者 が その 笑い の ひも を ひっぱる と 、 えんま 大王 は 、 急に 笑い だし ました 。 「 ウヒ 、 ウヒ 、 ウヒャハハハハハー 」 今度 は 、 泣き の ひも を ひっぱる と 、 「 う ぇ ー ん 、 う ぇ ー ん 。 悲しい よう 」 と 、 なみだ が ポロポロ 。 わけ も なく 、 笑ったり 泣いたり する えんま 大王 に 、 鬼 たち は きみ わる そうに 顔 を 見合わせ ました 。 「 こり ゃあ 、 おもしろい 」 はら の 中 の 三 人 は 、 笑い の ひも に 、 泣き の ひも 、 それ から 怒り の ひも に 、 くしゃみ の ひも と 、 あちらこちら の ひも を メチャクチャに ひっぱり ました 。 「 ギャハハハハハッ 、 は ひ ? ガオーッ 、 ガオーッ 、 う ぇ ~ ん 、 へっ く しょ ー ん ! 」 いやはや 、 もう 大変な さわぎ です 。 山ぶし と かじ 屋 が 大笑い して いる と 、 医者 が はら の 中 に 、 なに か 薬 を ぬり ながら いい ました 。 「 さて 、 そろそろ 下し 薬 を ぬって 、 外 へ 出よう 。 うっ ひ ひ ひ 。 ・・・ これ は きく ぞ 」 泣いたり 笑ったり して いた えんま 大王 は 、 急に はら を かかえて 便所 に かけ こみ ました 。 ピー 、 ゴロゴロ 。 えんま 大王 の お しり から 、 医者 、 山ぶし 、 かじ 屋 が 、 次々 と 飛び出して き ました 。 ニコニコ 顔 の 三 人 を 見た 大王 は 、 「 よくも 、 わし に 恥 を かかせた な 。 お前 たち は 、 地獄 に おる しかくもない わい ! とっとと しゃば へ もどれ っ ! 」 と 、 三 人 を 地上 へ ふきとばして しまい ました 。 こうして 、 この世 に まいもどった 三 人 は 、 顔 を 見合わせて 大笑い 。 それ から 三 人 は 、 いつまでも 仲良く くらした と いう 事 です 。

おしまい


地獄 の あばれ もの じごく||| Die wütende Bedrohung der Hölle. Hell's Brute

むかし むかし 、 ある 町 に 一 人 の 医者 が おり ました が 、 人 の 病 を なおす どころ か 、 自分 が 病 に かかって 死んで しまい ました 。 |||まち||ひと|じん||いしゃ|||||じん||びょう|||||じぶん||びょう|||しんで|| Once upon a time, there was a doctor in a town, but instead of fixing a person's illness, he died of the illness. 死んだ 人 は 三 途 ( さんず ) の 川 を わたり 、 あの 世 へ いく のです が 、 よい 行い を した 人 は 極楽 ( ごくらく → 天国 ) に 、 悪い 行い を した 人 は 地獄 ( じごく ) に 行く のです 。 しんだ|じん||みっ|と|||かわ||||よ||||||おこない|||じん||ごくらく||てんごく||わるい|おこない|||じん||じごく|||いく| Those who died cross the three rivers and go to the other world, but those who did good deeds went to paradise, and those who did bad deeds went to hell. I'm going. そして 極楽 行きか 地獄 行き か は 、 えんま 大王 が 決める のでした 。 |ごくらく|ゆきか|じごく|いき||||だいおう||きめる| And then, Enma the Great would decide whether they would go to paradise or hell. 医者 は 、 えんま 大王 に いい ました 。 いしゃ|||だいおう||| The doctor said to Enma the Great. 「 大 王さま 、 わたくし め は 医者 で ございます 。 だい|おうさま||||いしゃ|| I am a doctor, Your Highness. 生前 ( せいぜん → 生きて いる とき ) は 、 人々 の お 役 に たった ので ございます 。 せいぜん||いきて||||ひとびと|||やく|||| We are here to help you when you are alive. どうぞ 、 極楽 へ やって ください ませ 」 「 こら ! |ごくらく||||| Please, go to the paradise. Hey," he said, "I'll be right back! うそつき め 。 Bullshit. お前 は にせ 医者 で 、 あくどく も うけおった で は ない か 」 「 そんな 、 め っ そう も ない 」 「 だまれ ! おまえ|||いしゃ||||||||||||||| You're a quack doctor, and you've gotten a lot of money, aren't you?" わし に 口答え する 気 か 。 ||くちごたえ||き| Do you feel like answering me? おまえ は 地獄 行き じゃ ! ||じごく|いき| You're going to hell! 」   医者 は 鬼 に つまみ あげ られ 、 ポイッ と ほうりなげ られて しまい ました 。 いしゃ||おに|||||||||| The doctor was picked up by the demon and thrown to the ground. 「 ヒャァーーッ ! ヒャァー-ッ 」   落ちた ところ は 、 地獄 へ と つづく 道 でした 。 おちた|||じごく||||どう| The place where I fell was the road to hell. 医者 は 覚悟 を 決める と 、 かたわら の 石 に 腰 を おろし ました 。 いしゃ||かくご||きめる||||いし||こし||| The doctor made up his mind and sat down on a stone beside him. 「 どうせ 地獄 行き じゃあ 。 |じごく|いき| "I'm going to hell anyway. だれ か 、 道づれ が 来る の を 待とう 」   さて 、 次に えんま 大王 の ところ へ きた の は 、 山ぶし でした 。 ||みちづれ||くる|||まとう||つぎに||だいおう|||||||やまぶし| Someone waits for the road to come. "Now, the next person to come to Enma the Great was Yamabushi. 山ぶし は 、 えんま 大王 の 前 に 進み 出て 。 やまぶし|||だいおう||ぜん||すすみ|でて Yamabushi advanced on Enma the Great. 「 せっし ゃ は 、 人助け の 山ぶし と いう て 、 世間 の わざわい を とりのぞき もう した 。 |||ひとだすけ||やまぶし||||せけん|||||| "Sesha is a yamabushi who helps people, and removes the misfortunes of the world. まちがい なく 、 極楽 行き でしょう な 」 「 うそ を つく で ない ! ||ごくらく|いき||||||| "You must be going to paradise, no doubt! おまえ は 神仏 の たたり じゃ と いう て 、 なんでもない 人々 から 、 金 を まきあげた じゃ ろ ! ||しんぶつ||||||||ひとびと||きむ|||| You're a Haunting of God and Buddha, and you've raised money from people who aren't anything! 」 「 と 、 とんでもない 」 「 お前 は 、 地獄 行き じゃあ ! ||おまえ||じごく|いき| " "And, no way. "You're going to hell! 」   山ぶし も 、 ポイッ と ほうりなげ られ ました 。 やまぶし|||||| " The mountain bush was also thrown away. 地獄 へ の 道 で は 、 医者 が 待って い ました 。 じごく|||どう|||いしゃ||まって|| On the road to hell, a doctor was waiting. 「 やあ 、 あんさん も 地獄 行き で ? や あ|||じごく|いき| "Hey, are you going to hell too? これ で 二 人 に なった が 、 もう 一 人 いれば 心強い なあ 」   すると 山ぶし も 、 腰 を おろして 、 「 どうせ 地獄 行き じゃ 。 ||ふた|じん|||||ひと|じん||こころづよい|||やまぶし||こし||||じごく|いき| Now there are two of us, but one more would be a great help, wouldn't it? あわてる 事 は ない 。 |こと|| There is no need to panic. もう 一 人 来る まで 待とう 」   さて 、 次に あらわれた の は 、 かじ 屋 の おやじ です 。 |ひと|じん|くる||まとう||つぎに|||||や||| Let's wait until another one comes." Well, the next person who appeared was the old blacksmith. 「 大 王さま 、 おら は 百姓 ( ひゃくしょう ) の カマ や クワ を たくさん 作って 人助け し ました 。 だい|おうさま|||ひゃくしょう|||かま||くわ|||つくって|ひとだすけ|| "Great King, I made many peasant sickles and hoes to help people. 極楽 行き でしょう 」 「 お前 は 鉄 に まぜ もの を して 、 なまくら 道具 を 売った な ! ごくらく|いき||おまえ||くろがね|||||||どうぐ||うった| You're going to paradise, aren't you?" ほら 、 ちゃんと えんま 帳 ( えんま ちょう → 生前 の 罪 を 書きとめる と さ れる 帳面 ) に 書いて ある わい 」 「 まぜ もの を し ない と 、 安く は なり ませ ん 。 |||ちょう|||せいぜん||ざい||かきとめる||||ちょうめん||かいて||わ い|||||||やすく|||| Look, it's written in the book of enma-cho (a ledger that is said to record the sins of the deceased)" "If you don't mix things up, it won't come cheap. 安く ねえ と 、 貧乏 人 に は 買え ませ ん 」 「 口答え する で ない 。 やすく|||びんぼう|じん|||かえ|||くちごたえ||| If it's cheap, the poor can't buy it." "Don't talk back. 地獄 へ 行け ! じごく||いけ Go to hell! 」 かじ 屋 も ポイッ と ほうりなげ られ 、 地獄 へ の 道 まで ふっとんで くる と 、 医者 と 山ぶし が 、 ニコニコ 顔 で むかえ ました 。 |や||||||じごく|||どう|||||いしゃ||やまぶし||にこにこ|かお||| When the marshal was thrown away and the road to hell swooped down, the doctor and the mountain priest greeted him with smiles on their faces. 「 これ で 三 人 」 「 では 、 ぼちぼち まいり ましょう か 」   そんな わけ で 、 三 人 は つれだって 地獄 の 入り口 、 地獄 門 に つき ました 。 ||みっ|じん|||||||||みっ|じん|||じごく||いりぐち|じごく|もん||| So, the three of us went together to the Hell Gate, the entrance to Hell. 門番 の 鬼 が 、 おそろしい 顔 で 言い ました 。 もんばん||おに|||かお||いい| The ogre guarding the gate said with a horrified look on his face. 「 ほれ ! Here you go! さっさと 入ら ん か 。 |はいら|| Let's get the hell out of here. そして 、 あの 山 を 登って いく んだ 」   三 人 が 見る と 、 なんと それ は 、 するどい 刃物 が ズラリ と ならんだ 、 つるぎ の 山 でした 。 ||やま||のぼって|||みっ|じん||みる||||||はもの||ずらり|||つる ぎ||やま| And then, I'm going up that mountain. "The three of them saw that it was a mountain of swords, with sharp knives lined up in a row. 「 あんな 山 を 登ったら 、 足 が さけ ちまう よ 」 「 ど 、 どう しよう 」   医者 と 山ぶし が おろおろ して いる と 、 かじ 屋 が ニッコリ 。 |やま||のぼったら|あし|||ち まう|||||いしゃ||やまぶし|||||||や||にっこり "If you climb a mountain like that, your legs will hurt." "What should I do?" 「 ここ は 、 おい ら に まかし とけ 」   なに を する の か と 思えば 、 とりだした ヤットコ (→ 大きな ペンチ の 様 な 道具 ) で 、 ポキポキ と つるぎ を へし折り 、 火 を おこして 、 トンカン 、 トンカン と 、 それ を うち なお し ました 。 |||||||||||||おもえば|||おおきな|ぺんち||さま||どうぐ||||つる ぎ||へしおり|ひ||||||||||| He took out a large pliers-like tool, snapped off the pickaxe, and then lit it on fire and re-fired it. 「 そら 出来た 。 |できた "There, it's done. 鉄 の わらじ だ 。 くろがね||| It's an iron straw sandal. これ を はいて 歩けば 大丈夫 」   三 人 は 鉄 の わらじ を はいて 、 つるぎ の 山 へ のぼって いき ました 。 |||あるけば|だいじょうぶ|みっ|じん||くろがね|||||つる ぎ||やま|||| You'll be fine if you walk around in these." The three of them put on iron straws and climbed up the mountain of pickaxes. する と ポッキン 、 ポッキン 、 つるぎ は おもしろい ように 折れて しまい ます 。 ||||つる ぎ||||おれて|| Then the pockin, pockin, and sword will break in a funny way. 「 うひゃー 、 こりゃあ すごい ! う ひ ゃ -|こりゃ あ| Oh my gosh, that's amazing! 後ろ から 来る 者 の ため に 、 道 を つくって おこう 」   ポッキン 、 ポッキン 、   ポキポキ 、 ポッキン 。 うしろ||くる|もの||||どう||||||| Let's make way for those coming from behind." Poke, pop, pop, pop, pop. 「 それ それ 、 どんどん 、 折れ 折れ 」   たまげた の は 、 鬼 たち です 。 |||おれ|おれ||||おに|| The demons were amazed. 「 なんだ 、 あいつ ら ! What is it with them? 」 「 た 、 たいへんだ ! " Oh, my God! 大 王さま に 知らせ ねば 」   それ を 聞いた えんま 大王 は 、 おこった のな ん の 。 だい|おうさま||しらせ||||きいた||だいおう||||| When Enma the Great heard this, he was horrified. 「 つるぎ の 山 に 道 を 作った だ と ? つる ぎ||やま||どう||つくった|| "He made a path in the mountains of the pickaxe? ばっ かも ~ ん ! I'm not sure! だまって 見とる やつ が ある か ! |みとる|||| Is there a guy who can't wait to see it! さっさと ひ っ とらえて 、 カマ へ ほうり こめ 。 ||||かま||| Grab it quickly and throw it into the sickle. カマ ゆで じゃ ~! かま|| Boiled kama! 」   たちまち 三 人 は つかまって 、 大きな カマ の 中 に ほうり こま れ ました 。 |みっ|じん|||おおきな|かま||なか||||| The three of them were quickly caught and thrown into a large sickle. 鬼 たち は 、 下 から ドンドン と 火 を たき ます 。 おに|||した||どんどん||ひ||| 「 あ ちっ ちっち 、 こりゃ いか ん ! |ち っ|ち っち||| 」 「 もう だめじゃ ! 」   すると 今度 は 、 山ぶし が 、 「 ここ は 、 わたし に まかせ なされ 。 |こんど||やまぶし||||||| " This time, the mountain bush said, "Leave this to me. じまん の 法 力 ( ほうり き ) を 見せて くれる 」 と 、 呪文 ( じゅもん ) を となえ ました 。 ||ほう|ちから||||みせて|||じゅもん|||| 「 ぬるま湯 に なれ 、 ぬるま湯 に なれ 。 ぬるまゆ|||ぬるまゆ|| "Be lukewarm, be lukewarm. ナムウンケイアラビソワカ 、 か ~ っ ! Namuunkeiaarabisowaka, ka~~~! 」   すると 不思議な 事 に 、 お 湯 は 、 ちょうど いい 湯 かげん に なり ました 。 |ふしぎな|こと|||ゆ||||ゆ|||| Then, strangely enough, the water turned out to be just the right temperature. 「 お ぬし の 術 は 、 たいした もん じゃ 」 「 こんな りっぱな 山ぶし どん を 地獄 に 送る なんて 、 えんま も 目 が ない のう 」 「 それにしても 、 いい 湯 じゃ 」 「 お ~ い 、 そこ の オニ たち 。 |||じゅつ|||||||やまぶし|||じごく||おくる||||め||||||ゆ||||||| "Your skills are quite impressive," said the wizard, "even Enma is not so good as to send such a great mountain dragon to hell. 手ぬぐい を かして くれ ん か 。 てぬぐい||||| Can I have a hand towel? からだ を 洗い たい んじゃ 」   三 人 は すっかり いい 気分 で 、 うか れて 歌 まで 歌い だ す しまつ 。 ||あらい|||みっ|じん||||きぶん||||うた||うたい||| The three of them were in such a good mood that they even sang a song. さて 、 いかりくるった えんま 大王 は 。 |||だいおう| Now, Enma the Great, who is mad as a skunk. 「 う ぬ ぬ ぬ 、 あやつら 、 地獄 を バカに し おって ! |||||じごく||ばかに|| "Nun-nun, they are making fun of hell! ゆるせ ん ! I will not forgive you! ゆるせ ん ! わし が 、 じきじき に せいばい して くれる わ ! ||||せい ばい||| I'll take care of you soon! 」   えんま 大王 は 大きな 手 で 三 人 を ひと つかみ に する と 、 ポイッ と 、 口 の 中 へ ほうり こんで しまい ました 。 |だいおう||おおきな|て||みっ|じん|||||||||くち||なか||||| The Great Emma grabbed them in his big hands and popped them into his mouth. ヒューーーッ 、 ストーン ! ヒュー--ッ| Hew, stone! 三 人 は 、 えんま 大王 のはら の 中 に 落ちて いき ました 。 みっ|じん|||だいおう|||なか||おちて|| The three fell into the belly of Enma the Great. 「 うむ 、 さすが は えんま 大王 のはら の 中 、 なかなか 広い わい 」   でも 、 おもしろ がって いる 場合 で は あり ませ ん 。 ||||だいおう|||なか||ひろい|わ い|||||ばあい||||| Indeed, it is within the domain of the Great King Enma, and it is quite spacious. However, it is not a situation where I can afford to be amused. 「 あっ 、 なんだか 体 が ムズムズ して きた 」 「 大変じゃ 、 体 か とけて きた ! ||からだ||むずむず|||たいへんじゃ|からだ||| "Oh, my body is getting stuffy." "It's hard, my body is melting!" 」 「 今度 こそ 、 もう だめじゃ ! こんど||| "This time, it's no good! 」   山ぶし と かじ屋 は 泣き 出し ました が 、 医者 は おちついた もの で 、 「 心配 する な 。 やまぶし||かじ や||なき|だし|||いしゃ|||||しんぱい|| " Yamabushi and Kajiya started to cry, but the doctor was calm and said, "Don't worry. いま 、 体 の とけ ぬ 薬 を 作った で 、 飲んで みな さ れ 」   その 薬 を 飲む と 、 たちまち 体 は シャンと なり ました 。 |からだ||||くすり||つくった||のんで|||||くすり||のむ|||からだ||しゃんと|| Now, I've made a medicine that won't melt in your body, so you can take it and be treated as if you were to drink it." 三 人 は 大喜びで 、 えんま 大王 のはら の 中 を 探検 ( たんけん ) です 。 みっ|じん||おおよろこびで||だいおう|||なか||たんけん|| The three were overjoyed and went on an exploration inside the Enma-Oh's belly. 「 医者 どん 、 これ は 何 だ ? いしゃ||||なん| "Doctor Don, what is this? 」 「 そりゃ 、 笑い の ひも じゃ よ 」   医者 が その 笑い の ひも を ひっぱる と 、 えんま 大王 は 、 急に 笑い だし ました 。 |わらい|||||いしゃ|||わらい|||||||だいおう||きゅうに|わらい|| When the doctor pulled on the string of laughter, Enma the Great suddenly burst into laughter. 「 ウヒ 、 ウヒ 、 ウヒャハハハハハー 」   今度 は 、 泣き の ひも を ひっぱる と 、 「 う ぇ ー ん 、 う ぇ ー ん 。 |||こんど||なき||||||||-||||-| "Uhh, uhh, uhh, uhh, uhhahahahahaha." This time, when I pulled on the tear string, he said, "Uh-uh, uh-uh. 悲しい よう 」 と 、 なみだ が ポロポロ 。 かなしい|||||ぽろぽろ わけ も なく 、 笑ったり 泣いたり する えんま 大王 に 、 鬼 たち は きみ わる そうに 顔 を 見合わせ ました 。 |||わらったり|ないたり|||だいおう||おに|||||そう に|かお||みあわせ| The demons looked at each other with disgust at the Enma Daio, who laughed and cried for no reason. 「 こり ゃあ 、 おもしろい 」   はら の 中 の 三 人 は 、 笑い の ひも に 、 泣き の ひも 、 それ から 怒り の ひも に 、 くしゃみ の ひも と 、 あちらこちら の ひも を メチャクチャに ひっぱり ました 。 |||||なか||みっ|じん||わらい||||なき|||||いかり||||||||||||メチャクチャ に|| "Oh, my God, that's interesting." The three of them pulled on a string of laughter, a string of tears, a string of anger, a string of sneezes, and a string of all sorts of other things. 「 ギャハハハハハッ 、 は ひ ? "Gahahahahahaha, huh? ガオーッ 、 ガオーッ 、 う ぇ ~ ん 、 へっ く しょ ー ん ! |||||へ っ|||-| Gah, gah, gah, hmmm, heckschooooooooo! 」   いやはや 、 もう 大変な さわぎ です 。 ||たいへんな|| " Well, this is a great deal of noise. 山ぶし と かじ 屋 が 大笑い して いる と 、 医者 が はら の 中 に 、 なに か 薬 を ぬり ながら いい ました 。 やまぶし|||や||おおわらい||||いしゃ||||なか||||くすり||||| When Yamabushi and Kajiya were laughing loudly, the doctor said to me while painting some medicine in the sword. 「 さて 、 そろそろ 下し 薬 を ぬって 、 外 へ 出よう 。 ||くだし|くすり|||がい||でよう "Now then, let's put some medicine on and go outside. うっ ひ ひ ひ 。 う っ||| Uh-huh. ・・・ これ は きく ぞ 」   泣いたり 笑ったり して いた えんま 大王 は 、 急に はら を かかえて 便所 に かけ こみ ました 。 ||||ないたり|わらったり||||だいおう||きゅうに||||べんじょ|||| The Great King Emma, who had been crying and laughing, suddenly became disheveled and waddled into the toilet. ピー 、 ゴロゴロ 。 |ごろごろ えんま 大王 の お しり から 、 医者 、 山ぶし 、 かじ 屋 が 、 次々 と 飛び出して き ました 。 |だいおう|||||いしゃ|やまぶし||や||つぎつぎ||とびだして|| A doctor, a mountain warrior, and a kajiya (a house of fire) all jumped out of the flipper of Emma the Great. ニコニコ 顔 の 三 人 を 見た 大王 は 、 「 よくも 、 わし に 恥 を かかせた な 。 にこにこ|かお||みっ|じん||みた|だいおう|||||はじ||| Seeing the three smiling faces, the Great King said, "How dare you humiliate me? お前 たち は 、 地獄 に おる しかくもない わい ! おまえ|||じごく|||しかく も ない|わ い You guys are in hell! とっとと しゃば へ もどれ っ ! Go back to the Shaba! 」 と 、 三 人 を 地上 へ ふきとばして しまい ました 。 |みっ|じん||ちじょう|||| " He wiped them off the face of the earth. こうして 、 この世 に まいもどった 三 人 は 、 顔 を 見合わせて 大笑い 。 |このよ|||みっ|じん||かお||みあわせて|おおわらい The three of them, now back in the world, looked at each other and laughed hysterically. それ から 三 人 は 、 いつまでも 仲良く くらした と いう 事 です 。 ||みっ|じん|||なかよく||||こと|

おしまい