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人工知能は人間を超えるか (Will AI surpass human?), 人工知能は人間を超えるか Chapter 03 (2)

人工 知能 は 人間 を 超える か Chapter 03 (2)

ところが 、「 親指 part - of 山田 太郎 ( 親指 は 山田 太郎 の 一部 )」「 山田 太郎 part - of 取締 役 会 ( 山田 太郎 は 取締 役 会 の 一部 )」 なら 「 親指 part - of 取締 役 会 ( 親指 は 取締 役 会 の 一部 )」 が 成り立つ か と いう と そう で は ない 。

「 part - of 関係 」 で は 推移 律 は 成立 し ない のである 。

ひと 口 に 「 part - of 関係 」 と 言って も 、 実際 に は 、 さまざまな 関係 が ある こと が わかって いる 。

たとえば 、 自転車 と 車輪 の 関係 は 「 車輪 part - of 自転車 ( 車輪 は 自転車 の 一部 )」 だ が 、 自転車 の ほう は 車輪 が なくなって しまったら 、 もはや 自転車 と は 言え ない 。

しかし 、 車輪 の ほう は 自転車 が あって も なくて も 車輪 の まま だ 。

一方 、 森 と 木 の 関係 は 「 木 part - of 森 ( 木 は 森 の 一部 )」 で 、 森 から 木 を 1 本 抜いて も 森 は 森 の まま で 、 木 も 木 の まま 。

「 夫 part - of 夫婦 ( 夫 は 夫婦 の 一部 )」 は 、 夫 が なければ 妻 で ない し 、 妻 が なければ 夫 で は ない 。 「 ケーキ ( ひと 切れ ) part - of ケーキ ( ホール ケーキ )」 は どちら も ケーキ で 、 どこ まで 細かく 切って も ケーキ の まま だ 。

先ほど の 「 山田 太郎 part - of 取締 役 会 」 の 例 は 、「 車輪 part - of 自転車 」 と 同じく 、 全体 を 文脈 と した 上 で 、 個々 の ロール ( 役割 ) が 決まる 。

つまり 、 取締 役 会 と いう 全体 の 文脈 の 中 で 、 取締 役 である ところ の 山田 太郎 と いう 部分 が 位置づけられる ので 、 それ と は 別の 「 山田 太郎 の 身体 」 と いう 文脈 で 記述 さ れる 「 親指 part - of 山田 太郎 」 と 組み合わせる こと が でき ない のだ 。 「 part - of 関係 」 ひと つ を とって も 、 実は 細かな 違い が ある 。

われわれ は このような こと を いま まで に 意識 した こと が あった だろう か 。 このように 、 人間 が 自然に 楽々 と 扱って いる ような 知識 でも 、 コンピュータ に とって 適切に 記述 しよう と 思う と 、 非常に 難しい こと が 徐々に わかって きた のである 。

私 の 解釈 で ざっく り 言う と 、「 人間 が きちんと 考えて 知識 を 記述 して いく ため に どう したら よい か 」 を 考える の が 「 ヘビーウェイト ( 重い )・ オントロジー 」 派 と 呼ば れる 立場 であり 、「 コンピュータ に データ を 読み 込ま せて 自動 で 概念 間 の 関係 性 を 見つけよう 」 と いう の が 「 ライトウェイト ( 軽い )・ オントロジー 」 派 である (* 注 21)。 ライトウェイト ・ オントロジー 派 は 、 完全に 正しい もの で なくて も 使える もの であれば よい と いう 、 やや いい加減で は あった が 、 現実 的な 思想 であった 。

その ため 、 ウェブデータ を 解析 して 知識 を 取り出す ウェブマイニング や 、 ビッグ データ を 分析 して 知識 を 取り出す データマイニング と 相性 が よかった 。 たとえば 、 図 12 は 、 オンライン 百科事典 ウィキペディア の どの ページ から どの ページ に リンク が 張られて いる か を 統計 処理 し 、 それ を 概念 同士 の 関係 性 と して 表した もの だ 。 こうした オントロジー 研究 と 、 ウェブ の LinkedOpenData ( LOD ) も 関係 が ある 。

国立 情報 学 研究 所 教授 の 武田 英明 氏 、 慶應 義塾 大学 理工 学部 教授 の 山口 高平 氏 が この 分野 を 牽引 して いる 。 ワトソン は 、2011 年 に アメリカ の クイズ 番組 「 ジョパディ ! 」 に 出演 し 、 歴代 の チャンピオン ( もちろん 人間 ) と 対戦 して 勝利 した こと で 一躍 脚光 を 浴びた 。 手法 と して は 、 従来 から ある クエスチョン ・ アンサリング ( Question - Answering : 質問 応答 ) と いう 研究 分野 の 成果 である 。 ウィキペディア の 記述 を もと に ライトウェイト ・ オントロジー を 生成 して 、 それ を 解答 に 使って いる 。

図 13 で 、「 本州 の 中 で 最も 西 に 位置 する この 県 は 1871 年 に 発足 した 」 と いう 問題 に 対して 、 まず 答え の 候補 を 「 広島 」「 山口 」「 鳥取 」「 中国 地方 」「 奥多摩 」…… の ように 広く とる 。

それぞれ の 候補 に 対して 、 質問 と 「 型 」 が 一致 する か を 見る 。 「 広島 」「 山口 」「 鳥取 」 は 「 県 」 な ので よし 、「 中国 地方 」「 奥多摩 」 は 「 県 」 で は ない ので ダメである 。 「 最も 西 に 位置 する 」 と いう 条件 で は 、「 山口 」「 中国 地方 」「 奥多摩 」 が よく 、 ほか は ダメである 。 そう やって 条件 を どの くらい 満たして いる か を 足し 合わせて いく と 総合 点 が 出る ので 、 それ が 一 番 高い 「 山口 」 を 選んで 答えれば よい 。

つまり 、 ワトソン 自体 は 質問 の 意味 を 理解 して 答えて いる わけで は なく 、 質問 に 含ま れる キーワード と 関連 し そうな 答え を 、 高速に 引っ張り出して いる だけ である 。

人間 の クイズ 王 と 違って 、 質問 文 を 理解 して 答えて いる わけで は ない 。 質問 応答 システム は 長く 研究 されて いる 分野 で 、 機械 学習 が 取り入れられて 進化 して いる もの の 、 基本 的な 技術 は 従来 と あまり 変わら ない 。 ただ 、 精度 を 出す ため の ひた すら 地道な 努力 の 結晶 である 。

ワトソン の 研究 開発 を 長い 間 行って きた IBM だ が 、 IBM の 人工 知能 プロジェクト に は 、 いつも 驚か さ れる (* 注 22)。

IBM の ディープブルー が チェス の 世界 チャンピオン に 勝利 した の が 1997 年 、 ワトソン が クイズ 番組 の チャンピオン に 勝利 した の が 2011 年 。 どちら も コンピュータ が 人間 を 打ち 負かす 画期的な 出来事 と して 歴史 に 刻まれて いる が 、 それぞれ 第 1 次 、 第 2 次 AI ブーム の 研究 成果 を 現代 風 に アレンジ した もの と も いえる 。 そして 「 シェフ ・ ワトソン 」 と いう 新しい 料理 の レシピ を 考える ような 応用 に も 挑戦 して いる 。 その あたり の 戦略 の うま さ は 、 さすが である 。

日本 でも 目 を 引く プロジェクト が 立ち上がって いる 。

ロボット は 東大 に 入れる か 。 2021 年 まで に 東大 入試 合格 を 目指す 人工 知能 「 東 ロボ くん 」 の プロジェクト である 。

2014 年 11 月 に 行わ れた 全国 センター 模試 の 結果 、 偏差値 は 前年 の 45・1 を 上回る 47・3 と なり 、 全国 の 私大 の 8 割 に 当たる 472 大学 で 合格 可能 性 が 8 割 以上 の 「 A 判定 」 が 出た と 話題 に なった 。

歴史 や 地理 など の 暗記 科目 で は 、 ワトソン と 近い が 、 理科 や 数学 に なる と 、 図形 や グラフ を 読み取ったり する ため 、 画像 処理 系 の 技術 も 必要だ 。

東 ロボ くん は 「 総合 格闘技 」 と 言える かも しれ ない (* 注 23)。

1970 年 代 初頭 の マイシン の 時代 から すでに 40 年 、 さまざまな データ から ライトウェイト ・ オントロジー を 生成 して 質問 に 答える 環境 は 整って きた 。

いま なら 医療 診断 も かなり 実用 的な レベル で 実現 できる はずだ 。

質問 応答 システム に よる 診断 が 普及 すれば 、 医師 の 絶対 数 が 不足 して いる 地域 や 遠隔 地 、 途上 国 で の 応用 も 考えられる 。 こうした 技術 に よる 変化 は 、 少しずつ 世の中 を 変えて いく の かも しれ ない 。 しかし 、 ワトソン の 性能 が どれ だけ 上がった ように 見えた と して も 、 質問 の 「 意味 」 を 理解 して いる わけで は ない 。 コンピュータ に とって 、「 意味 」 を 理解 する の は とても 難しい 。 ここ で は 、 その 難し さ の 象徴 と なる ような もの を いくつか 紹介 しよう 。 機械 翻訳 は 、 人工 知能 が 始まって 以来 、 数 十 年 に わたって 研究 されて いる が 、 困難な 課題 の ひと つ である 。 1990 年 代 から の 「 統計 的 自然 言語 処理 」 に よって 、 性能 は 大きく 向上 した 。 グーグル 翻訳 など は すばらしい 技術 で は ある が 、 それ でも 、 翻訳 の 精度 は まだ 実用 に 耐える もの で は ない 。 コンピュータ が 勝手に 翻訳 して くれる ように なれば 、 日本 人 も 英語 の 勉強 に こんなに 苦労 し なくて すむ のだ が 、 機械 翻訳 と いう の は 、 非常に 難易 度 が 高い 技術 である 。

何 が それほど 難しい のだろう か 。

たとえば 、 こんな 例文 を 考えて みよう 。

「 H e s a w a w o m a n inthegardenwithatelescope .」

( 逐語 訳 を する と 「 彼 見た 女性 庭 の 中 で 望遠 鏡 で 」 と なる )

たいてい の 人 は 、 これ を 「 彼 は 望遠 鏡 で 、 庭 に いる 女性 を 見た 」 と 訳す 。

読者 の 方 も おそらく そう 読んだ ので は ない か と 思う 。

ところが 、 実は 、 この 解釈 は 文法 的に は 一意 に 定まら ない のである 。

庭 に いる の は 彼 な の か 、 それとも 女性 な の か 。 望遠 鏡 を 持って いる の は 彼 な の か 、 女性 な の か 。 実際 、 グーグル 翻訳 で は 、「 彼 は 望遠 鏡 で 庭 で 女性 を 見た 」 と 訳さ れる 。 庭 に いた の は 女性 で は なく 彼 だ と 解釈 して いる 。 ところが 、 人間 に とって は 、 これ は ちょっと 不自然である 。 何となく 「 彼 は 望遠 鏡 で 景色 を 見て いた ところ 、 たまたま 庭 に いる 女性 を 見つけて 心惹かれて いる 」 と いう シチュエーション が 思い浮かぶ 。 だから 、「 女性 は 庭 に 」 い なくて は いけない し 、「 彼 は 望遠 鏡 で 」 覗き見 して いない と いけない のである 。 なぜ 人間 に わかる の か と いえば 、 それ まで の 経験 から 「 何となく その ほう が あり そうだ 」 と 判断 して いる だけ で 、 説明 する の は 難しい 。

これ を コンピュータ に 教えよう と する と 、「 望遠 鏡 で 覗いて いる の は 男性 の ほう が 多い 」、 あるいは 「 庭 に いる の は 女性 の ほう が 多い 」 と いう ような 知識 を 入れる しか ない 。

この 場合 だけ に 対処 すれば いい のであれば 簡単だ が 、 同じ こと が あらゆる 場面 で 発生 する 。

庭 で は なく 、 山 に いる の は 男性 が 多い の か 女性 が 多い の か 。 川 に いる の は 男性 が 多い の か 女性 が 多い の か 。 あるいは 、 外国 人 が 庭 に いる の は 不自然な の か そう で ない の か 。 相撲 取り が 庭 に いる の は 不自然な の か そう で ない の か ……。 そうした あらゆる 事態 を 想定 して 、 必要 と なる 知識 を 入れる 作業 が いかに 膨大で 、 いかに ばかげた こと か 、 容易に 想像 できる だろう 。

単純な 1 つ の 文 を 訳す だけ でも 、 一般 常識 が なければ うまく 訳せ ない 。

ここ に 機械 翻訳 の 難し さ が ある 。 一般 常識 を コンピュータ が 扱う ため に は 、 人間 が 持って いる 書 きき れ ない くらい 膨大な 知識 を 扱う 必要 が あり 、 きわめて 困難である 。 コンピュータ が 知識 を 獲得 する こと の 難し さ を 、 人工 知能 の 分野 で は 「 知識 獲得 の ボトルネック 」 と いう 。 もともと は 人工 知能 の 大家 の 一 人 、 ジョン ・ マッカーシー 氏 の 議論 から 始まって いる が 、 哲学 者 の ダニエル ・ デネット 氏 が 考案 した 例 を 記載 しよう 。 ロボット は 、 バッテリー を 取って こ なければ バッテリー 切れ で 動け なく なって しまう ため 、 洞窟 から バッテリー を 取って くる こと を 指示 さ れた 。 研究 者 たち は 、 この ため に ロボット を 設計 した 。

ロボット 1 号 は 、 バッテリー を 洞窟 から 取って くる こと が できた 。

しかし 、 ロボット は バッテリー の 上 に 載って いる 時限 爆弾 も 一緒に 取って きて しまった 。 時限 爆弾 が 載って いる こと は 知っていた が 、 バッテリー を 持ち出す と 爆弾 も 一緒に 運び出して しまう こと は 知ら なかった 。 そして 、 洞窟 から 出た 後 に 爆弾 が 爆発 して しまった 。


人工 知能 は 人間 を 超える か Chapter 03 (2) じんこう|ちのう||にんげん||こえる||chapter Will Artificial Intelligence Surpass Humans Chapter 03 (2) L'intelligence artificielle dépassera-t-elle l'homme ? Chapitre 03 (2) A inteligência artificial ultrapassará o ser humano Capítulo 03 (2) 人工智能會超越人類嗎?第03章(2)

ところが 、「 親指 part - of 山田 太郎 ( 親指 は 山田 太郎 の 一部 )」「 山田 太郎 part - of 取締 役 会 ( 山田 太郎 は 取締 役 会 の 一部 )」 なら 「 親指 part - of 取締 役 会 ( 親指 は 取締 役 会 の 一部 )」 が 成り立つ か と いう と そう で は ない 。 |おやゆび|||やまだ|たろう|おやゆび||やまだ|たろう||いちぶ|やまだ|たろう|||とりしまり|やく|かい|やまだ|たろう||とりしまり|やく|かい||いちぶ||おやゆび|||とりしまり|やく|かい|おやゆび||とりしまり|やく|かい||いちぶ||なりたつ|||||||| However, if "thumb part-of Taro Yamada (thumb is a part of Taro Yamada)" and "Taro Yamada part-of the board of directors (Taro Yamada is a part of the board of directors)", then "thumb part-of the board of directors (thumb part-of) The thumb is a part of the board of directors) ”is not true.

「 part - of 関係 」 で は 推移 律 は 成立 し ない のである 。 ||かんけい|||すいい|りつ||せいりつ||| The transitional law does not hold in the "part --of relationship".

ひと 口 に 「 part - of 関係 」 と 言って も 、 実際 に は 、 さまざまな 関係 が ある こと が わかって いる 。 |くち||||かんけい||いって||じっさい||||かんけい|||||| Even if we say "part --of relationship" in one word, we know that there are actually various relationships.

たとえば 、 自転車 と 車輪 の 関係 は 「 車輪 part - of 自転車 ( 車輪 は 自転車 の 一部 )」 だ が 、 自転車 の ほう は 車輪 が なくなって しまったら 、 もはや 自転車 と は 言え ない 。 |じてんしゃ||しゃりん||かんけい||しゃりん|||じてんしゃ|しゃりん||じてんしゃ||いちぶ|||じてんしゃ||||しゃりん|||||じてんしゃ|||いえ| For example, the relationship between a bicycle and a wheel is "wheel part-of bicycle (wheel is a part of a bicycle)", but a bicycle can no longer be called a bicycle if the wheels are gone.

しかし 、 車輪 の ほう は 自転車 が あって も なくて も 車輪 の まま だ 。 |しゃりん||||じてんしゃ||||||しゃりん||| However, the wheels remain wheels with or without a bicycle.

一方 、 森 と 木 の 関係 は 「 木 part - of 森 ( 木 は 森 の 一部 )」 で 、 森 から 木 を 1 本 抜いて も 森 は 森 の まま で 、 木 も 木 の まま 。 いっぽう|しげる||き||かんけい||き|||しげる|き||しげる||いちぶ||しげる||き||ほん|ぬいて||しげる||しげる||||き||き|| On the other hand, the relationship between the forest and the tree is "tree part-of forest (tree is a part of the forest)", and even if one tree is removed from the forest, the forest remains as the forest, and the tree remains as the tree.

「 夫 part - of 夫婦 ( 夫 は 夫婦 の 一部 )」 は 、 夫 が なければ 妻 で ない し 、 妻 が なければ 夫 で は ない 。 おっと|||ふうふ|おっと||ふうふ||いちぶ||おっと|||つま||||つま|||おっと||| "Husband part-of couple (husband is part of husband and wife)" is not a wife without a husband, and not a husband without a wife. 「 ケーキ ( ひと 切れ ) part - of ケーキ ( ホール ケーキ )」 は どちら も ケーキ で 、 どこ まで 細かく 切って も ケーキ の まま だ 。 けーき||きれ|||けーき|ほーる|けーき||||けーき||||こまかく|きって||けーき||| Both "cakes (pieces) part-of cakes (whole cakes)" are cakes, and they remain cakes no matter how finely chopped they are.

先ほど の 「 山田 太郎 part - of 取締 役 会 」 の 例 は 、「 車輪 part - of 自転車 」 と 同じく 、 全体 を 文脈 と した 上 で 、 個々 の ロール ( 役割 ) が 決まる 。 さきほど||やまだ|たろう|||とりしまり|やく|かい||れい||しゃりん|||じてんしゃ||おなじく|ぜんたい||ぶんみゃく|||うえ||ここ||ろーる|やくわり||きまる In the example of "Taro Yamada part-of the board of directors" mentioned earlier, as with the "wheel part-of bicycle", the individual roles are determined based on the whole context.

つまり 、 取締 役 会 と いう 全体 の 文脈 の 中 で 、 取締 役 である ところ の 山田 太郎 と いう 部分 が 位置づけられる ので 、 それ と は 別の 「 山田 太郎 の 身体 」 と いう 文脈 で 記述 さ れる 「 親指 part - of 山田 太郎 」 と 組み合わせる こと が でき ない のだ 。 |とりしまり|やく|かい|||ぜんたい||ぶんみゃく||なか||とりしまり|やく||||やまだ|たろう|||ぶぶん||いちづけ られる|||||べつの|やまだ|たろう||からだ|||ぶんみゃく||きじゅつ|||おやゆび|||やまだ|たろう||くみあわせる||||| In other words, the part of Taro Yamada that is the board member is positioned in the context of the entire board of directors, and cannot be combined with the "thumb part of Taro Yamada," which is described in the context of "Taro Yamada's body," which is a different context. 「 part - of 関係 」 ひと つ を とって も 、 実は 細かな 違い が ある 。 ||かんけい||||||じつは|こまかな|ちがい|| "Part --of relationship" Even if one is taken, there are actually small differences.

われわれ は このような こと を いま まで に 意識 した こと が あった だろう か 。 ||||||||いしき|||||| Have we ever been aware of this kind of thing? このように 、 人間 が 自然に 楽々 と 扱って いる ような 知識 でも 、 コンピュータ に とって 適切に 記述 しよう と 思う と 、 非常に 難しい こと が 徐々に わかって きた のである 。 |にんげん||しぜんに|らくらく||あつかって|||ちしき||こんぴゅーた|||てきせつに|きじゅつ|||おもう||ひじょうに|むずかしい|||じょじょに||| In this way, even with the knowledge that human beings naturally and comfortably handle, it gradually became clear that it was extremely difficult to describe it properly on a computer.

私 の 解釈 で ざっく り 言う と 、「 人間 が きちんと 考えて 知識 を 記述 して いく ため に どう したら よい か 」 を 考える の が 「 ヘビーウェイト ( 重い )・ オントロジー 」 派 と 呼ば れる 立場 であり 、「 コンピュータ に データ を 読み 込ま せて 自動 で 概念 間 の 関係 性 を 見つけよう 」 と いう の が 「 ライトウェイト ( 軽い )・ オントロジー 」 派 である (* 注 21)。 わたくし||かいしゃく||ざ っく||いう||にんげん|||かんがえて|ちしき||きじゅつ||||||||||かんがえる||||おもい||は||よば||たちば||こんぴゅーた||でーた||よみ|こま||じどう||がいねん|あいだ||かんけい|せい||みつけよう||||||かるい||は||そそ Roughly speaking in my interpretation, it is the position called the "heavy weight ontology" group that thinks "what should humans do to think properly and describe their knowledge", and "computers". "Let's read the data into the computer and automatically find the relationship between the concepts" is the "lightweight (light) ontology" group (* Note 21). ライトウェイト ・ オントロジー 派 は 、 完全に 正しい もの で なくて も 使える もの であれば よい と いう 、 やや いい加減で は あった が 、 現実 的な 思想 であった 。 ||は||かんぜんに|ただしい|||||つかえる|||||||いいかげんで||||げんじつ|てきな|しそう| The Lightweight Ontology school was a pragmatic, albeit somewhat conservative, school of thought that said that something did not have to be completely correct to be usable.

その ため 、 ウェブデータ を 解析 して 知識 を 取り出す ウェブマイニング や 、 ビッグ データ を 分析 して 知識 を 取り出す データマイニング と 相性 が よかった 。 ||||かいせき||ちしき||とりだす|||びっぐ|でーた||ぶんせき||ちしき||とりだす|||あいしょう|| Therefore, it was compatible with web mining, which analyzes web data to extract knowledge, and data mining, which analyzes big data to extract knowledge. たとえば 、 図 12 は 、 オンライン 百科事典 ウィキペディア の どの ページ から どの ページ に リンク が 張られて いる か を 統計 処理 し 、 それ を 概念 同士 の 関係 性 と して 表した もの だ 。 |ず||おんらいん|ひゃっかじてん||||ぺーじ|||ぺーじ||りんく||はら れて||||とうけい|しょり||||がいねん|どうし||かんけい|せい|||あらわした|| For example, Figure 12 shows statistical processing of which page in the online encyclopedia Wikipedia links to which page, and shows it as a relationship between concepts. こうした オントロジー 研究 と 、 ウェブ の LinkedOpenData ( LOD ) も 関係 が ある 。 ||けんきゅう||||linkedopendata|lod||かんけい|| There is also a relationship between these ontology studies and LinkedOpenData (LOD) on the Web.

国立 情報 学 研究 所 教授 の 武田 英明 氏 、 慶應 義塾 大学 理工 学部 教授 の 山口 高平 氏 が この 分野 を 牽引 して いる 。 こくりつ|じょうほう|まな|けんきゅう|しょ|きょうじゅ||たけた|ひであき|うじ|けいおう|ぎじゅく|だいがく|りこう|がくぶ|きょうじゅ||やまぐち|たかひら|うじ|||ぶんや||けんいん|| Hideaki Takeda, a professor at the National Institute of Informatics, and Takahira Yamaguchi, a professor at the Faculty of Science and Technology, Keio University, are leading the field. ワトソン は 、2011 年 に アメリカ の クイズ 番組 「 ジョパディ ! わとそん||とし||あめりか||くいず|ばんぐみ| Watson was a member of the American quiz show Jeopardy in 2011! 」 に 出演 し 、 歴代 の チャンピオン ( もちろん 人間 ) と 対戦 して 勝利 した こと で 一躍 脚光 を 浴びた 。 |しゅつえん||れきだい||ちゃんぴおん||にんげん||たいせん||しょうり||||いちやく|きゃっこう||あびた ”, And was in the limelight for winning against successive champions (human beings, of course). 手法 と して は 、 従来 から ある クエスチョン ・ アンサリング ( Question - Answering : 質問 応答 ) と いう 研究 分野 の 成果 である 。 しゅほう||||じゅうらい|||||question|answering|しつもん|おうとう|||けんきゅう|ぶんや||せいか| The method is the result of a conventional research field called Question Answering (Question Answering). ウィキペディア の 記述 を もと に ライトウェイト ・ オントロジー を 生成 して 、 それ を 解答 に 使って いる 。 ||きじゅつ|||||||せいせい||||かいとう||つかって| A lightweight ontology is generated based on the description on Wikipedia, and it is used as an answer.

図 13 で 、「 本州 の 中 で 最も 西 に 位置 する この 県 は 1871 年 に 発足 した 」 と いう 問題 に 対して 、 まず 答え の 候補 を 「 広島 」「 山口 」「 鳥取 」「 中国 地方 」「 奥多摩 」…… の ように 広く とる 。 ず||ほんしゅう||なか||もっとも|にし||いち|||けん||とし||ほっそく||||もんだい||たいして||こたえ||こうほ||ひろしま|やまぐち|とっとり|ちゅうごく|ちほう|おくたま|||ひろく| In Fig. 13, in response to the problem that "this prefecture, which is located in the westernmost part of Honshu, was established in 1871," the first candidates for the answer were "Hiroshima," "Yamaguchi," "Tottori," "Chugoku region," and "Okutama." ”…… Take a wide range like.

それぞれ の 候補 に 対して 、 質問 と 「 型 」 が 一致 する か を 見る 。 ||こうほ||たいして|しつもん||かた||いっち||||みる For each candidate, see if the question and "type" match. 「 広島 」「 山口 」「 鳥取 」 は 「 県 」 な ので よし 、「 中国 地方 」「 奥多摩 」 は 「 県 」 で は ない ので ダメである 。 ひろしま|やまぐち|とっとり||けん||||ちゅうごく|ちほう|おくたま||けん|||||だめである Hiroshima, Yamaguchi, and Tottori are "prefectures," so they are acceptable, while Chugoku Region and Okutama are not. 「 最も 西 に 位置 する 」 と いう 条件 で は 、「 山口 」「 中国 地方 」「 奥多摩 」 が よく 、 ほか は ダメである 。 もっとも|にし||いち||||じょうけん|||やまぐち|ちゅうごく|ちほう|おくたま|||||だめである Under the condition of "located in the west", "Yamaguchi", "Chugoku region", and "Okutama" are good, and others are not good. そう やって 条件 を どの くらい 満たして いる か を 足し 合わせて いく と 総合 点 が 出る ので 、 それ が 一 番 高い 「 山口 」 を 選んで 答えれば よい 。 ||じょうけん||||みたして||||たし|あわせて|||そうごう|てん||でる||||ひと|ばん|たかい|やまぐち||えらんで|こたえれば| The total score is calculated by adding up the number of conditions met, and the highest score, Yamaguchi, should be chosen.

つまり 、 ワトソン 自体 は 質問 の 意味 を 理解 して 答えて いる わけで は なく 、 質問 に 含ま れる キーワード と 関連 し そうな 答え を 、 高速に 引っ張り出して いる だけ である 。 |わとそん|じたい||しつもん||いみ||りかい||こたえて|||||しつもん||ふくま||きーわーど||かんれん||そう な|こたえ||こうそくに|ひっぱりだして||| In other words, Watson itself does not understand the meaning of the question and answer it, but only pulls out answers that are likely to be relevant to the keywords contained in the question at high speed.

人間 の クイズ 王 と 違って 、 質問 文 を 理解 して 答えて いる わけで は ない 。 にんげん||くいず|おう||ちがって|しつもん|ぶん||りかい||こたえて|||| Unlike human quiz kings, they do not understand and answer the questions. 質問 応答 システム は 長く 研究 されて いる 分野 で 、 機械 学習 が 取り入れられて 進化 して いる もの の 、 基本 的な 技術 は 従来 と あまり 変わら ない 。 しつもん|おうとう|しすてむ||ながく|けんきゅう|さ れて||ぶんや||きかい|がくしゅう||とりいれ られて|しんか|||||きほん|てきな|ぎじゅつ||じゅうらい|||かわら| Question answering systems are a long-studied field that has evolved with the introduction of machine learning, but the basic technology remains the same. ただ 、 精度 を 出す ため の ひた すら 地道な 努力 の 結晶 である 。 |せいど||だす|||||じみちな|どりょく||けっしょう| However, it is the crystallization of a steady effort to achieve accuracy.

ワトソン の 研究 開発 を 長い 間 行って きた IBM だ が 、 IBM の 人工 知能 プロジェクト に は 、 いつも 驚か さ れる (* 注 22)。 わとそん||けんきゅう|かいはつ||ながい|あいだ|おこなって||ibm|||ibm||じんこう|ちのう|ぷろじぇくと||||おどろか|||そそ Although IBM has long been involved in the research and development of Watson, IBM's artificial intelligence projects always surprise me (*Note 22).

IBM の ディープブルー が チェス の 世界 チャンピオン に 勝利 した の が 1997 年 、 ワトソン が クイズ 番組 の チャンピオン に 勝利 した の が 2011 年 。 ibm||||||せかい|ちゃんぴおん||しょうり||||とし|わとそん||くいず|ばんぐみ||ちゃんぴおん||しょうり||||とし IBM's Deep Blue won the world chess championship in 1997, and Watson won the quiz show championship in 2011. どちら も コンピュータ が 人間 を 打ち 負かす 画期的な 出来事 と して 歴史 に 刻まれて いる が 、 それぞれ 第 1 次 、 第 2 次 AI ブーム の 研究 成果 を 現代 風 に アレンジ した もの と も いえる 。 ||こんぴゅーた||にんげん||うち|まかす|かっきてきな|できごと|||れきし||きざま れて||||だい|つぎ|だい|つぎ|ai|ぶーむ||けんきゅう|せいか||げんだい|かぜ||あれんじ||||| Both are engraved in history as epoch-making events in which computers defeat humans, but they can also be said to be modern arrangements of the research results of the 1st and 2nd AI booms, respectively. そして 「 シェフ ・ ワトソン 」 と いう 新しい 料理 の レシピ を 考える ような 応用 に も 挑戦 して いる 。 |しぇふ|わとそん|||あたらしい|りょうり||れしぴ||かんがえる||おうよう|||ちょうせん|| We are also taking on the challenge of applying it to the idea of a new cooking recipe called "Chef Watson." その あたり の 戦略 の うま さ は 、 さすが である 。 |||せんりゃく|||||| The strategic excellence in this area is to be expected.

日本 でも 目 を 引く プロジェクト が 立ち上がって いる 。 にっぽん||め||ひく|ぷろじぇくと||たちあがって| There are also some remarkable projects underway in Japan.

ロボット は 東大 に 入れる か 。 ろぼっと||とうだい||いれる| Will the robot get into the University of Tokyo? 2021 年 まで に 東大 入試 合格 を 目指す 人工 知能 「 東 ロボ くん 」 の プロジェクト である 。 とし|||とうだい|にゅうし|ごうかく||めざす|じんこう|ちのう|ひがし||||ぷろじぇくと| This is a project of artificial intelligence "Higashi Robo-kun" aiming to pass the entrance examination of the University of Tokyo by 2021.

2014 年 11 月 に 行わ れた 全国 センター 模試 の 結果 、 偏差値 は 前年 の 45・1 を 上回る 47・3 と なり 、 全国 の 私大 の 8 割 に 当たる 472 大学 で 合格 可能 性 が 8 割 以上 の 「 A 判定 」 が 出た と 話題 に なった 。 とし|つき||おこなわ||ぜんこく|せんたー|もし||けっか|へんさち||ぜんねん|||うわまわる|||ぜんこく||しだい||わり||あたる|だいがく||ごうかく|かのう|せい||わり|いじょう||a|はんてい||でた||わだい|| As a result of the National Center Mock Test conducted in November 2014, the deviation value was 47.3, which is higher than 45.1 in the previous year, and the possibility of passing at 472 universities, which is 80% of private universities nationwide, is more than 80%. It became a hot topic that "A judgment" came out.

歴史 や 地理 など の 暗記 科目 で は 、 ワトソン と 近い が 、 理科 や 数学 に なる と 、 図形 や グラフ を 読み取ったり する ため 、 画像 処理 系 の 技術 も 必要だ 。 れきし||ちり|||あんき|かもく|||わとそん||ちかい||りか||すうがく||||ずけい||ぐらふ||よみとったり|||がぞう|しょり|けい||ぎじゅつ||ひつようだ Memorization subjects such as history and geography are similar to Watson, but when it comes to science and mathematics, image processing technology is also required to read figures and graphs.

東 ロボ くん は 「 総合 格闘技 」 と 言える かも しれ ない (* 注 23)。 ひがし||||そうごう|かくとうぎ||いえる||||そそ Higashi Robo-kun may be called "Mixed Martial Arts" (* Note 23).

1970 年 代 初頭 の マイシン の 時代 から すでに 40 年 、 さまざまな データ から ライトウェイト ・ オントロジー を 生成 して 質問 に 答える 環境 は 整って きた 。 とし|だい|しょとう||||じだい|||とし||でーた|||||せいせい||しつもん||こたえる|かんきょう||ととのって| Forty years have passed since the era of mycin in the early 1970s, and the environment for generating lightweight ontology from various data and answering questions has been set up.

いま なら 医療 診断 も かなり 実用 的な レベル で 実現 できる はずだ 。 ||いりょう|しんだん|||じつよう|てきな|れべる||じつげん|| Now, medical diagnosis should be possible at a fairly practical level.

質問 応答 システム に よる 診断 が 普及 すれば 、 医師 の 絶対 数 が 不足 して いる 地域 や 遠隔 地 、 途上 国 で の 応用 も 考えられる 。 しつもん|おうとう|しすてむ|||しんだん||ふきゅう||いし||ぜったい|すう||ふそく|||ちいき||えんかく|ち|とじょう|くに|||おうよう||かんがえ られる If the diagnosis by the question answering system becomes widespread, it may be applied in areas where the absolute number of doctors is insufficient, in remote areas, and in developing countries. こうした 技術 に よる 変化 は 、 少しずつ 世の中 を 変えて いく の かも しれ ない 。 |ぎじゅつ|||へんか||すこしずつ|よのなか||かえて||||| The changes caused by these technologies may change the world little by little. しかし 、 ワトソン の 性能 が どれ だけ 上がった ように 見えた と して も 、 質問 の 「 意味 」 を 理解 して いる わけで は ない 。 |わとそん||せいのう||||あがった||みえた||||しつもん||いみ||りかい||||| However, no matter how much Watson's performance seems to have improved, it does not mean that she understands the "meaning" of the questions. コンピュータ に とって 、「 意味 」 を 理解 する の は とても 難しい 。 こんぴゅーた|||いみ||りかい|||||むずかしい It is very difficult for a computer to understand the "meaning". ここ で は 、 その 難し さ の 象徴 と なる ような もの を いくつか 紹介 しよう 。 ||||むずかし|||しょうちょう||||||いく つ か|しょうかい| Here are some of the things that symbolize that difficulty. 機械 翻訳 は 、 人工 知能 が 始まって 以来 、 数 十 年 に わたって 研究 されて いる が 、 困難な 課題 の ひと つ である 。 きかい|ほんやく||じんこう|ちのう||はじまって|いらい|すう|じゅう|とし|||けんきゅう|さ れて|||こんなんな|かだい|||| Machine translation, which has been studied for decades since the beginning of artificial intelligence, is one of the difficult challenges. 1990 年 代 から の 「 統計 的 自然 言語 処理 」 に よって 、 性能 は 大きく 向上 した 。 とし|だい|||とうけい|てき|しぜん|げんご|しょり|||せいのう||おおきく|こうじょう| Due to the "statistical natural language processing" from the 1990s, the performance has been greatly improved. グーグル 翻訳 など は すばらしい 技術 で は ある が 、 それ でも 、 翻訳 の 精度 は まだ 実用 に 耐える もの で は ない 。 |ほんやく||||ぎじゅつ|||||||ほんやく||せいど|||じつよう||たえる|||| Google Translate is a great technology, but the accuracy of translation is still not practical. コンピュータ が 勝手に 翻訳 して くれる ように なれば 、 日本 人 も 英語 の 勉強 に こんなに 苦労 し なくて すむ のだ が 、 機械 翻訳 と いう の は 、 非常に 難易 度 が 高い 技術 である 。 こんぴゅーた||かってに|ほんやく|||||にっぽん|じん||えいご||べんきょう|||くろう||||||きかい|ほんやく|||||ひじょうに|なんい|たび||たかい|ぎじゅつ| If computers can translate freely, Japanese people will not have to have such a hard time studying English, but machine translation is a very difficult technique.

何 が それほど 難しい のだろう か 。 なん|||むずかしい|| What could be so difficult?

たとえば 、 こんな 例文 を 考えて みよう 。 ||れいぶん||かんがえて| For example, consider this example sentence

「 H e s a w a w o m a n inthegardenwithatelescope .」 h||||||||||| H e s a w a w o m a n inthegardenwithatelescope ."

( 逐語 訳 を する と 「 彼 見た 女性 庭 の 中 で 望遠 鏡 で 」 と なる ) ちくご|やく||||かれ|みた|じょせい|にわ||なか||ぼうえん|きよう||| (Translated verbatim, "The woman he saw with a telescope in the garden.")

たいてい の 人 は 、 これ を 「 彼 は 望遠 鏡 で 、 庭 に いる 女性 を 見た 」 と 訳す 。 ||じん||||かれ||ぼうえん|きよう||にわ|||じょせい||みた||やくす Most people translate this as "he saw a woman in the garden with a telescope."

読者 の 方 も おそらく そう 読んだ ので は ない か と 思う 。 どくしゃ||かた||||よんだ||||||おもう I think the readers probably read that too.

ところが 、 実は 、 この 解釈 は 文法 的に は 一意 に 定まら ない のである 。 |じつは||かいしゃく||ぶんぽう|てきに||いちい||さだまら|| However, in fact, this interpretation is not grammatically unique.

庭 に いる の は 彼 な の か 、 それとも 女性 な の か 。 にわ|||||かれ|||||じょせい||| Is it him or a woman in the garden? 望遠 鏡 を 持って いる の は 彼 な の か 、 女性 な の か 。 ぼうえん|きよう||もって||||かれ||||じょせい||| Is he or she holding the telescopic mirror? 実際 、 グーグル 翻訳 で は 、「 彼 は 望遠 鏡 で 庭 で 女性 を 見た 」 と 訳さ れる 。 じっさい||ほんやく|||かれ||ぼうえん|きよう||にわ||じょせい||みた||やくさ| In fact, in Google Translate, it translates as "he saw a woman in the garden with a telescope." 庭 に いた の は 女性 で は なく 彼 だ と 解釈 して いる 。 にわ|||||じょせい||||かれ|||かいしゃく|| We interpret it as him, not the woman, who was in the garden. ところが 、 人間 に とって は 、 これ は ちょっと 不自然である 。 |にんげん|||||||ふしぜんである For humans, however, this is a bit unnatural. 何となく 「 彼 は 望遠 鏡 で 景色 を 見て いた ところ 、 たまたま 庭 に いる 女性 を 見つけて 心惹かれて いる 」 と いう シチュエーション が 思い浮かぶ 。 なんとなく|かれ||ぼうえん|きよう||けしき||みて||||にわ|||じょせい||みつけて|こころひかれて||||||おもいうかぶ Somehow, I can think of a situation where "he was looking at the scenery with a telescope, and he happened to find a woman in the garden and was fascinated by it." だから 、「 女性 は 庭 に 」 い なくて は いけない し 、「 彼 は 望遠 鏡 で 」 覗き見 して いない と いけない のである 。 |じょせい||にわ|||||||かれ||ぼうえん|きよう||のぞきみ||||| So, "a woman must be in the garden" and "he must be in a telephoto mirror" to peep. なぜ 人間 に わかる の か と いえば 、 それ まで の 経験 から 「 何となく その ほう が あり そうだ 」 と 判断 して いる だけ で 、 説明 する の は 難しい 。 |にんげん||||||||||けいけん||なんとなく|||||そう だ||はんだん|||||せつめい||||むずかしい It is difficult to explain why human beings can understand it, just by judging from their experience that "it seems to be somehow".

これ を コンピュータ に 教えよう と する と 、「 望遠 鏡 で 覗いて いる の は 男性 の ほう が 多い 」、 あるいは 「 庭 に いる の は 女性 の ほう が 多い 」 と いう ような 知識 を 入れる しか ない 。 ||こんぴゅーた||おしえよう||||ぼうえん|きよう||のぞいて||||だんせい||||おおい||にわ|||||じょせい||||おおい||||ちしき||いれる|| The only way to teach this to a computer is to include knowledge such as "more men are looking through a telescope" or "more women are in the garden".

この 場合 だけ に 対処 すれば いい のであれば 簡単だ が 、 同じ こと が あらゆる 場面 で 発生 する 。 |ばあい|||たいしょ||||かんたんだ||おなじ||||ばめん||はっせい| It's easy if you only have to deal with this case, but the same thing happens everywhere.

庭 で は なく 、 山 に いる の は 男性 が 多い の か 女性 が 多い の か 。 にわ||||やま|||||だんせい||おおい|||じょせい||おおい|| Are more men or women in the mountains than in the gardens? 川 に いる の は 男性 が 多い の か 女性 が 多い の か 。 かわ|||||だんせい||おおい|||じょせい||おおい|| Are there more men or women in the river? あるいは 、 外国 人 が 庭 に いる の は 不自然な の か そう で ない の か 。 |がいこく|じん||にわ|||||ふしぜんな||||||| Or is it unnatural or not to have a foreigner in one's yard? 相撲 取り が 庭 に いる の は 不自然な の か そう で ない の か ……。 すもう|とり||にわ|||||ふしぜんな||||||| Is it unnatural for sumo wrestlers to be in the garden? そうした あらゆる 事態 を 想定 して 、 必要 と なる 知識 を 入れる 作業 が いかに 膨大で 、 いかに ばかげた こと か 、 容易に 想像 できる だろう 。 ||じたい||そうてい||ひつよう|||ちしき||いれる|さぎょう|||ぼうだいで|||||よういに|そうぞう|| It's easy to imagine how enormous and ridiculous the task of putting in the necessary knowledge in anticipation of all such situations.

単純な 1 つ の 文 を 訳す だけ でも 、 一般 常識 が なければ うまく 訳せ ない 。 たんじゅんな|||ぶん||やくす|||いっぱん|じょうしき||||やくせ| Even translating a single simple sentence cannot be translated well without common sense.

ここ に 機械 翻訳 の 難し さ が ある 。 ||きかい|ほんやく||むずかし||| Herein lies the difficulty of machine translation. 一般 常識 を コンピュータ が 扱う ため に は 、 人間 が 持って いる 書 きき れ ない くらい 膨大な 知識 を 扱う 必要 が あり 、 きわめて 困難である 。 いっぱん|じょうしき||こんぴゅーた||あつかう||||にんげん||もって||しょ|||||ぼうだいな|ちしき||あつかう|ひつよう||||こんなんである In order for a computer to handle common sense, it is necessary to handle a huge amount of knowledge that human beings cannot write, which is extremely difficult. コンピュータ が 知識 を 獲得 する こと の 難し さ を 、 人工 知能 の 分野 で は 「 知識 獲得 の ボトルネック 」 と いう 。 こんぴゅーた||ちしき||かくとく||||むずかし|||じんこう|ちのう||ぶんや|||ちしき|かくとく|||| The difficulty of acquiring knowledge by a computer is called the "bottleneck of knowledge acquisition" in the field of artificial intelligence. もともと は 人工 知能 の 大家 の 一 人 、 ジョン ・ マッカーシー 氏 の 議論 から 始まって いる が 、 哲学 者 の ダニエル ・ デネット 氏 が 考案 した 例 を 記載 しよう 。 ||じんこう|ちのう||たいか||ひと|じん|じょん|まっかーしー|うじ||ぎろん||はじまって|||てつがく|もの||||うじ||こうあん||れい||きさい| Originally started with the discussion of one of the landlords of artificial intelligence, John McCarthy, here's an example devised by philosopher Daniel Dennett. ロボット は 、 バッテリー を 取って こ なければ バッテリー 切れ で 動け なく なって しまう ため 、 洞窟 から バッテリー を 取って くる こと を 指示 さ れた 。 ろぼっと||ばってりー||とって|||ばってりー|きれ||うごけ|||||どうくつ||ばってりー||とって||||しじ|| The robot was instructed to fetch the batteries from the cave, because if it did not, it would run out of power and become immobile. 研究 者 たち は 、 この ため に ロボット を 設計 した 。 けんきゅう|もの||||||ろぼっと||せっけい| Researchers designed a robot for this purpose.

ロボット 1 号 は 、 バッテリー を 洞窟 から 取って くる こと が できた 。 ろぼっと|ごう||ばってりー||どうくつ||とって|||| Robot No. 1 was able to retrieve the battery from the cave.

しかし 、 ロボット は バッテリー の 上 に 載って いる 時限 爆弾 も 一緒に 取って きて しまった 。 |ろぼっと||ばってりー||うえ||のって||じげん|ばくだん||いっしょに|とって|| However, the robot took the time bomb on top of the battery with it. 時限 爆弾 が 載って いる こと は 知っていた が 、 バッテリー を 持ち出す と 爆弾 も 一緒に 運び出して しまう こと は 知ら なかった 。 じげん|ばくだん||のって||||しっていた||ばってりー||もちだす||ばくだん||いっしょに|はこびだして||||しら| I knew there was a time bomb on board, but I didn't know that when you take the battery out, you take the bomb out with it. そして 、 洞窟 から 出た 後 に 爆弾 が 爆発 して しまった 。 |どうくつ||でた|あと||ばくだん||ばくはつ|| Then, after exiting the cave, the bomb exploded.