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或る女 - 有島武郎(アクセス), 8.1 或る女

8.1 或る 女

日 の 光 が とっぷり と 隠れて しまって 、 往来 の 灯 ばかり が 足 もと の たより と なる ころ 、 葉子 は 熱病 患者 の ように 濁り きった 頭 を もてあまして 、 車 に 揺られる たび ごと に 眉 を 痛々しく しかめ ながら 、 釘 店 に 帰って 来た 。 ・・

玄関 に は いろいろの 足 駄 や 靴 が ならべて あった が 、 流行 を 作ろう 、 少なくとも 流行 に 遅れ まい と いう はなやかな 心 を 誇る らしい 履物 と いって は 一 つ も 見当たら なかった 。 自分 の 草履 を 始末 し ながら 、 葉子 は すぐに 二 階 の 客間 の 模様 を 想像 して 、 自分 の ため に 親戚 や 知人 が 寄って 別れ を 惜しむ と いう その 席 に 顔 を 出す の が 、 自分 自身 を ばかに しきった こと の ように しか 思わ れ なかった 。 こんな くらい なら 定子 の 所 に でも いる ほう が よほど ましだった 。 こんな 事 の ある はずだった の を どうして また 忘れて いた もの だろう 。 どこ に いる の も いやだ 。 木部 の 家 を 出て 、 二度と は 帰る まい と 決心 した 時 の ような 心持ち で 、 拾い かけた 草履 を たたき に 戻そう と した その 途端 に 、・・

「 ねえさん もう いや …… いや 」・・

と いい ながら 、 身 を 震わして やにわに 胸 に 抱きついて 来て 、 乳 の 間 の くぼみ に 顔 を 埋め ながら 、 成人 の する ような 泣きじゃくり を して 、・・

「 もう 行っちゃ いやです と いう のに 」・・

と からく 言葉 を 続けた の は 貞 世 だった 。 葉子 は 石 の ように 立ちすくんで しまった 。 貞 世 は 朝 から ふきげんに なって だれ の いう 事 も 耳 に は 入れ ず に 、 自分 の 帰る の ばかり を 待ちこがれて いた に 違いない のだ 。 葉子 は 機械 的に 貞 世に 引っぱられて 階子 段 を のぼって 行った 。 ・・

階子 段 を のぼり きって 見る と 客間 は しんと して いて 、 五十川 女史 の 祈祷 の 声 だけ が おごそかに 聞こえて いた 。 葉子 と 貞 世 と は 恋人 の ように 抱き合い ながら 、 アーメン と いう 声 の 一座 の 人々 から あげられる の を 待って 室 に はいった 。 列 座 の 人々 は まだ 殊勝 らしく 頭 を うなだれて いる 中 に 、 正座 近く すえられた 古藤 だけ は 昂 然 と 目 を 見開いて 、 襖 を あけて 葉子 が しとやかに は いって 来る の を 見まもって いた 。 ・・

葉子 は 古藤 に ちょっと 目 で 挨拶 を して 置いて 、 貞 世 を 抱いた まま 末 座 に 膝 を ついて 、 一同 に 遅刻 の わび を しよう と して いる と 、 主人 座 に すわり込んで いる 叔父 が 、 わが 子 でも たしなめる ように 威儀 を 作って 、・・

「 なん たら おそい 事 じゃ 。 きょう は お前 の 送別 会 じゃ ぞい 。 …… 皆さん に いこう お 待た せ する が す まん から 、 今 五十川 さん に 祈祷 を お 頼み 申して 、 箸 を 取って いただこう と 思った ところ であった …… いったい どこ を ……」・・

面 と 向かって は 、 葉子 に 口 小言 一 つ いいきら ぬ 器量 なし の 叔父 が 、 場所 も おり も あろう に こんな 場合 に 見せびらかし を しよう と する 。 葉子 は そっち に 見向き も せ ず 、 叔父 の 言葉 を 全く 無視 した 態度 で 急に 晴れやかな 色 を 顔 に 浮かべ ながら 、・・

「 ようこそ 皆様 …… おそく なり まして 。 つい 行か なければ なら ない 所 が 二 つ 三 つ ありました もん です から ……」・・

と だれ に と も なく いって おいて 、 するする と 立ち上がって 、 釘 店 の 往来 に 向いた 大きな 窓 を 後ろ に した 自分 の 席 に 着いて 、 妹 の 愛子 と 自分 と の 間 に 割り込んで 来る 貞 世 の 頭 を なで ながら 、 自分 の 上 に ばかり 注が れる 満 座 の 視線 を 小 うるさ そうに 払いのけた 。 そして 片方 の 手 で だいぶ 乱れた 鬢 の ほつれ を かき上げて 、 葉子 の 視線 は 人 も な げ に 古藤 の ほう に 走った 。 ・・

「 しばらく でした の ね …… とうとう 明朝 に なり まして よ 。 木村 に 持って行く もの は 、 一緒に お 持ち に なって ? …… そう 」・・

と 軽い 調子 で いった ので 、 五十川 女史 と 叔父 と が 切り出そう と した 言葉 は 、 物 の みごとに さえぎられて しまった 。 葉子 は 古藤 に それ だけ の 事 を いう と 、 今度 は 当の 敵 と も いう べき 五十川 女史 に 振り向いて 、・・

「 おば さま 、 きょう 途中 で それ は おかしな 事 が ありました の よ 。 こう な んです の 」・・

と いい ながら 男女 を あわせて 八 人 ほど 居ならんだ 親類 たち に ずっと 目 を 配って 、・・

「 車 で 駆け 通った んです から 前 も 後 も よく は わから ない んです けれども 、 大 時計 の かどの 所 を 広小路 に 出よう と したら 、 その かどにたいへんな 人だかり です の 。 なんだ と 思って 見て みます と ね 、 禁酒 会 の 大道 演説 で 、 大きな 旗 が 二三 本 立って いて 、 急ごしらえの テーブル に 突っ立って 、 夢中に なって 演説 して いる 人 が ある んです の 。 それ だけ なら 何も 別に 珍しい と いう 事 は ない んです けれども 、 その 演説 を して いる 人 が …… だれ だ と お 思い に なって …… 山脇 さん です の 」・・

一同 の 顔 に は 思わず 知ら ず 驚き の 色 が 現われて 、 葉子 の 言葉 に 耳 を そばだてて いた 。 先刻 しかつめらしい 顔 を した 叔父 は もう 白 痴 の ように 口 を あけた まま で 薄 笑い を もらし ながら 葉子 を 見つめて いた 。 ・・

「 それ が また ね 、 いつも の とおり に 金 時 の ように 首筋 まで まっ赤 です の 。 『 諸君 』 と か なんとか いって 大手 を 振り 立てて しゃべって いる の を 、 肝心の 禁酒 会員 たち は あっけ に 取られて 、 黙った まま 引きさがって 見て いる んです から 、 見物人 がわ いわい と おもしろがって たかって いる の も 全く もっともです わ 。 その うち に 、 あ 、 叔父さん 、 箸 を お つけ に なる ように 皆様 に おっしゃって ください まし 」・・

叔父 が あわてて 口 の 締まり を して 仏頂面 に 立ち返って 、 何 か いおう と する と 、 葉子 は また それ に は 頓着 なく 五十川 女史 の ほう に 向いて 、・・

「 あの 肩 の 凝り は すっかり お なおり に なり まして 」・・

と いった ので 、 五十川 女史 の 答えよう と する 言葉 と 、 叔父 の いい出そう と する 言葉 は 気まずく も 鉢合わせ に なって 、 二 人 は 所在な げ に 黙って しまった 。 座敷 は 、 底 の ほう に 気持ち の 悪い 暗 流 を 潜め ながら 造り 笑い を し 合って いる ような 不快な 気分 に 満たさ れた 。 葉子 は 「 さあ 来い 」 と 胸 の 中 で 身構え を して いた 。 五十川 女史 の そば に すわって 、 神経質 らしく 眉 を きらめか す 中 老 の 官吏 は 、 射る ような いまいまし げ な 眼光 を 時々 葉子 に 浴びせ かけて いた が 、 いたたまれない 様子 で ちょっと 居ずまい を なおす と 、 ぎくしゃく した 調子 で 口 を きった 。 ・・

「 葉子 さん 、 あなた も いよいよ 身 の かたまる 瀬戸ぎわ まで こぎ 付けた んだ が ……」・・

葉子 は すき を 見せたら 切り返す から と いわ ん ばかりな 緊張 した 、 同時に 物 を 物 と も し ない ふうで その 男 の 目 を 迎えた 。 ・・

「 何しろ わたし ども 早月 家 の 親類 に 取って は こんな めでたい 事 は まず ない 。 無い に は 無い が これ から が あなた に 頼み 所 だ 。 どうぞ 一 つ わたし ども の 顔 を 立てて 、 今度 こそ は 立派な 奥さん に なって お もらい したい が いかがです 。 木村 君 は わたし も よく 知っと る が 、 信仰 も 堅い し 、 仕事 も 珍しく はきはき できる し 、 若い に 似合わ ぬ 物 の わかった 仁 だ 。 こんな こと まで 比較 に 持ち出す の は どう か 知ら ない が 、 木部 氏 の ような 実行 力 の 伴わ ない 夢想 家 は 、 わたし など は 初め から 不 賛成 だった 。 今度 の はじたい 段 が 違う 。 葉子 さん が 木部 氏 の 所 から 逃げ 帰って 来た 時 に は 、 わたし も けしからん と いった 実は 一 人 だ が 、 今に なって 見る と 葉子 さん は さすが に 目 が 高かった 。 出て 来て おいて 誠に よかった 。 いまに 見なさ い 木村 と いう 仁 なりゃ 、 立派に 成功 して 、 第 一流 の 実業 家 に 成り 上がる に きまって いる 。 これ から は なんといっても 信用 と 金 だ 。 官界 に 出 ない の なら 、 どうしても 実業 界 に 行か なければ うそ だ 。 擲 身 報国 は 官吏 たる もの の 一 特権 だ が 、 木村 さん の ような まじめな 信者 に し こ たま 金 を 造って もらわ んじゃ 、 神 の 道 を 日本 に 伝え 広げる に して から が 容易な 事 じゃ ありません よ 。 あなた も 小さい 時 から 米国 に 渡って 新聞 記者 の 修業 を する と 口ぐせ の ように 妙な 事 を いった もん だ が ( ここ で 一座 の 人 は なんの 意味 も なく 高く 笑った 。 おそらくは あまり しかつめらしい 空気 を 打ち破って 、 なんとか そこ に 余裕 を つける つもり が 、 みんな に 起こった のだろう けれども 、 葉子 に とって は それ が そう は 響か なかった 。 その 心持ち は わかって も 、 そんな 事 で 葉子 の 心 を はぐらかそう と する 彼ら の 浅はか さ が ぐっと 癪 に さわった ) 新聞 記者 は ともかくも …… じゃ ない 、 そんな もの に なられて は 困り きる が ( ここ で 一座 は また わけ も なく ばからしく 笑った ) 米国 行き の 願い は たしかに かなった のだ 。 葉子 さん も 御 満足に 違いなかろう 。 あと の 事 は わたし ども が たしかに 引き受けた から 心配 は 無用に して 、 身 を しめて 妹 さん 方 の しめし に も なる ほど の 奮発 を 頼みます …… え ゝ と 、 財産 の ほう の 処分 は わたし と 田中 さん と で 間違い なく 固める し 、 愛子 さん と 貞 世 さん の お 世話 は 、 五十川 さん 、 あなた に お 願い し ようじゃ ありません か 、 御 迷惑です が 。 いかがでしょう 皆さん ( そう いって 彼 は 一座 を 見渡した 。 あらかじめ 申し合わせ が できて いた らしく 一同 は 待ち 設けた ように うなずいて 見せた ) どう じゃ ろう 葉子 さん 」・・

葉子 は 乞食 の 嘆願 を 聞く 女王 の ような 心持ち で 、○○ 局長 と いわ れる この 男 の いう 事 を 聞いて いた が 、 財産 の 事 など は どう で も いい と して 、 妹 たち の 事 が 話題 に 上る と ともに 、 五十川 女史 を 向こう に 回して 詰問 の ような 対話 を 始めた 。 なんといっても 五十川 女史 は その 晩 そこ に 集まった 人々 の 中 で は いちばん 年配 で も あった し 、 いちばん はばかられて いる の を 葉子 は 知っていた 。 五十川 女史 が 四角 を 思い出さ せる ような 頑丈な 骨組み で 、 がっしり と 正座 に 居直って 、 葉子 を 子供 あしらい に しよう と する の を 見て取る と 、 葉子 の 心 は 逸り 熱した 。 ・・

「 い ゝ え 、 わがままだ と ばかり お 思い に なって は 困ります 。 わたし は 御 承知 の ような 生まれ で ございます し 、 これ まで も たびたび 御 心配 かけて 来て おります から 、 人様 同様に 見て いただこう と は これっぱ かり も 思って は おりません 」・・

と いって 葉子 は 指 の 間 に なぶって いた 楊枝 を 老女 史 の 前 に ふい と 投げた 。 ・・

「 しかし 愛子 も 貞 世 も 妹 で ございます 。 現在 わたし の 妹 で ございます 。 口幅ったい と 思 し 召す かも しれません が 、 この 二 人 だけ は わたした とい 米国 に おり まして も 立派に 手 塩 に かけて 御覧 に いれます から 、 どう か お 構い なさら ず に くださ い まし 。 それ は 赤坂 学院 も 立派な 学校 に は 違い ございます まい 。 現在 私 も おば さま の お 世話で あす こ で 育てて いただいた のです から 、 悪く は 申した く は ございませ ん が 、 わたし の ような 人間 が 、 皆様 の お 気 に 入ら ない と すれば …… それ は 生まれつき も ございましょう と も 、 ございましょう けれども 、 わたし を 育て上げた の は あの 学校 で ございます から ねえ 。 何しろ 現在 いて 見た 上 で 、 わたし この 二 人 を あす こ に 入れる 気 に は なれません 。 女 と いう もの を あの 学校 で は いったい なんと 見て いる ので ご ざん す か しら ん ……」・・


8.1 或る 女 ある|おんな 8.1 Una mujer

日 の 光 が とっぷり と 隠れて しまって 、 往来 の 灯 ばかり が 足 もと の たより と なる ころ 、 葉子 は 熱病 患者 の ように 濁り きった 頭 を もてあまして 、 車 に 揺られる たび ごと に 眉 を 痛々しく しかめ ながら 、 釘 店 に 帰って 来た 。 ひ||ひかり||||かくれて||おうらい||とう|||あし|||||||ようこ||ねつびょう|かんじゃ|||にごり||あたま|||くるま||ゆられる||||まゆ||いたいたしく|||くぎ|てん||かえって|きた ・・

玄関 に は いろいろの 足 駄 や 靴 が ならべて あった が 、 流行 を 作ろう 、 少なくとも 流行 に 遅れ まい と いう はなやかな 心 を 誇る らしい 履物 と いって は 一 つ も 見当たら なかった 。 げんかん||||あし|だ||くつ|||||りゅうこう||つくろう|すくなくとも|りゅうこう||おくれ|||||こころ||ほこる||はきもの||||ひと|||みあたら| 自分 の 草履 を 始末 し ながら 、 葉子 は すぐに 二 階 の 客間 の 模様 を 想像 して 、 自分 の ため に 親戚 や 知人 が 寄って 別れ を 惜しむ と いう その 席 に 顔 を 出す の が 、 自分 自身 を ばかに しきった こと の ように しか 思わ れ なかった 。 じぶん||ぞうり||しまつ|||ようこ|||ふた|かい||きゃくま||もよう||そうぞう||じぶん||||しんせき||ちじん||よって|わかれ||おしむ||||せき||かお||だす|||じぶん|じしん||||||||おもわ|| こんな くらい なら 定子 の 所 に でも いる ほう が よほど ましだった 。 |||さだこ||しょ||||||| こんな 事 の ある はずだった の を どうして また 忘れて いた もの だろう 。 |こと||||||||わすれて||| どこ に いる の も いやだ 。 木部 の 家 を 出て 、 二度と は 帰る まい と 決心 した 時 の ような 心持ち で 、 拾い かけた 草履 を たたき に 戻そう と した その 途端 に 、・・ きべ||いえ||でて|にどと||かえる|||けっしん||じ|||こころもち||ひろい||ぞうり||||もどそう||||とたん|

「 ねえさん もう いや …… いや 」・・

と いい ながら 、 身 を 震わして やにわに 胸 に 抱きついて 来て 、 乳 の 間 の くぼみ に 顔 を 埋め ながら 、 成人 の する ような 泣きじゃくり を して 、・・ |||み||ふるわして||むね||だきついて|きて|ちち||あいだ||||かお||うずめ||せいじん||||なきじゃくり||

「 もう 行っちゃ いやです と いう のに 」・・ |おこなっちゃ||||

と からく 言葉 を 続けた の は 貞 世 だった 。 ||ことば||つづけた|||さだ|よ| 葉子 は 石 の ように 立ちすくんで しまった 。 ようこ||いし|||たちすくんで| 貞 世 は 朝 から ふきげんに なって だれ の いう 事 も 耳 に は 入れ ず に 、 自分 の 帰る の ばかり を 待ちこがれて いた に 違いない のだ 。 さだ|よ||あさ|||||||こと||みみ|||いれ|||じぶん||かえる||||まちこがれて|||ちがいない| 葉子 は 機械 的に 貞 世に 引っぱられて 階子 段 を のぼって 行った 。 ようこ||きかい|てきに|さだ|よに|ひっぱら れて|はしご|だん|||おこなった ・・

階子 段 を のぼり きって 見る と 客間 は しんと して いて 、 五十川 女史 の 祈祷 の 声 だけ が おごそかに 聞こえて いた 。 はしご|だん||||みる||きゃくま|||||いそがわ|じょし||きとう||こえ||||きこえて| 葉子 と 貞 世 と は 恋人 の ように 抱き合い ながら 、 アーメン と いう 声 の 一座 の 人々 から あげられる の を 待って 室 に はいった 。 ようこ||さだ|よ|||こいびと|||だきあい|||||こえ||いちざ||ひとびと||あげ られる|||まって|しつ|| 列 座 の 人々 は まだ 殊勝 らしく 頭 を うなだれて いる 中 に 、 正座 近く すえられた 古藤 だけ は 昂 然 と 目 を 見開いて 、 襖 を あけて 葉子 が しとやかに は いって 来る の を 見まもって いた 。 れつ|ざ||ひとびと|||しゅしょう||あたま||||なか||せいざ|ちかく|すえ られた|ことう|||たかし|ぜん||め||みひらいて|ふすま|||ようこ|||||くる|||みまもって| ・・

葉子 は 古藤 に ちょっと 目 で 挨拶 を して 置いて 、 貞 世 を 抱いた まま 末 座 に 膝 を ついて 、 一同 に 遅刻 の わび を しよう と して いる と 、 主人 座 に すわり込んで いる 叔父 が 、 わが 子 でも たしなめる ように 威儀 を 作って 、・・ ようこ||ことう|||め||あいさつ|||おいて|さだ|よ||いだいた||すえ|ざ||ひざ|||いちどう||ちこく|||||||||あるじ|ざ||すわりこんで||おじ|||こ||||いぎ||つくって

「 なん たら おそい 事 じゃ 。 |||こと| きょう は お前 の 送別 会 じゃ ぞい 。 ||おまえ||そうべつ|かい|| …… 皆さん に いこう お 待た せ する が す まん から 、 今 五十川 さん に 祈祷 を お 頼み 申して 、 箸 を 取って いただこう と 思った ところ であった …… いったい どこ を ……」・・ みなさん||||また|||||||いま|いそがわ|||きとう|||たのみ|もうして|はし||とって|||おもった|||||

面 と 向かって は 、 葉子 に 口 小言 一 つ いいきら ぬ 器量 なし の 叔父 が 、 場所 も おり も あろう に こんな 場合 に 見せびらかし を しよう と する 。 おもて||むかって||ようこ||くち|こごと|ひと||||きりょう|||おじ||ばしょ|||||||ばあい||みせびらかし|||| 葉子 は そっち に 見向き も せ ず 、 叔父 の 言葉 を 全く 無視 した 態度 で 急に 晴れやかな 色 を 顔 に 浮かべ ながら 、・・ ようこ||||みむき||||おじ||ことば||まったく|むし||たいど||きゅうに|はれやかな|いろ||かお||うかべ|

「 ようこそ 皆様 …… おそく なり まして 。 |みなさま||| つい 行か なければ なら ない 所 が 二 つ 三 つ ありました もん です から ……」・・ |いか||||しょ||ふた||みっ||あり ました|||

と だれ に と も なく いって おいて 、 するする と 立ち上がって 、 釘 店 の 往来 に 向いた 大きな 窓 を 後ろ に した 自分 の 席 に 着いて 、 妹 の 愛子 と 自分 と の 間 に 割り込んで 来る 貞 世 の 頭 を なで ながら 、 自分 の 上 に ばかり 注が れる 満 座 の 視線 を 小 うるさ そうに 払いのけた 。 ||||||||||たちあがって|くぎ|てん||おうらい||むいた|おおきな|まど||うしろ|||じぶん||せき||ついて|いもうと||あいこ||じぶん|||あいだ||わりこんで|くる|さだ|よ||あたま||な で||じぶん||うえ|||そそが||まん|ざ||しせん||しょう||そう に|はらいのけた そして 片方 の 手 で だいぶ 乱れた 鬢 の ほつれ を かき上げて 、 葉子 の 視線 は 人 も な げ に 古藤 の ほう に 走った 。 |かたほう||て|||みだれた|びん||||かきあげて|ようこ||しせん||じん|||||ことう||||はしった ・・

「 しばらく でした の ね …… とうとう 明朝 に なり まして よ 。 |||||みょうちょう|||| 木村 に 持って行く もの は 、 一緒に お 持ち に なって ? きむら||もっていく|||いっしょに||もち|| …… そう 」・・

と 軽い 調子 で いった ので 、 五十川 女史 と 叔父 と が 切り出そう と した 言葉 は 、 物 の みごとに さえぎられて しまった 。 |かるい|ちょうし||||いそがわ|じょし||おじ|||きりだそう|||ことば||ぶつ|||さえぎら れて| 葉子 は 古藤 に それ だけ の 事 を いう と 、 今度 は 当の 敵 と も いう べき 五十川 女史 に 振り向いて 、・・ ようこ||ことう|||||こと||||こんど||とうの|てき|||||いそがわ|じょし||ふりむいて

「 おば さま 、 きょう 途中 で それ は おかしな 事 が ありました の よ 。 |||とちゅう|||||こと||あり ました|| こう な んです の 」・・

と いい ながら 男女 を あわせて 八 人 ほど 居ならんだ 親類 たち に ずっと 目 を 配って 、・・ |||だんじょ|||やっ|じん||いならんだ|しんるい||||め||くばって

「 車 で 駆け 通った んです から 前 も 後 も よく は わから ない んです けれども 、 大 時計 の かどの 所 を 広小路 に 出よう と したら 、 その かどにたいへんな 人だかり です の 。 くるま||かけ|かよった|||ぜん||あと||||||||だい|とけい|||しょ||ひろこうじ||でよう||||かどに たいへんな|ひとだかり|| なんだ と 思って 見て みます と ね 、 禁酒 会 の 大道 演説 で 、 大きな 旗 が 二三 本 立って いて 、 急ごしらえの テーブル に 突っ立って 、 夢中に なって 演説 して いる 人 が ある んです の 。 ||おもって|みて|み ます|||きんしゅ|かい||おおみち|えんぜつ||おおきな|き||ふみ|ほん|たって||きゅうごしらえの|てーぶる||つったって|むちゅうに||えんぜつ|||じん|||| それ だけ なら 何も 別に 珍しい と いう 事 は ない んです けれども 、 その 演説 を して いる 人 が …… だれ だ と お 思い に なって …… 山脇 さん です の 」・・ |||なにも|べつに|めずらしい|||こと||||||えんぜつ||||じん||||||おもい|||やまわき|||

一同 の 顔 に は 思わず 知ら ず 驚き の 色 が 現われて 、 葉子 の 言葉 に 耳 を そばだてて いた 。 いちどう||かお|||おもわず|しら||おどろき||いろ||あらわれて|ようこ||ことば||みみ||| 先刻 しかつめらしい 顔 を した 叔父 は もう 白 痴 の ように 口 を あけた まま で 薄 笑い を もらし ながら 葉子 を 見つめて いた 。 せんこく||かお|||おじ|||しろ|ち|||くち|||||うす|わらい||||ようこ||みつめて| ・・

「 それ が また ね 、 いつも の とおり に 金 時 の ように 首筋 まで まっ赤 です の 。 ||||||||きむ|じ|||くびすじ||まっ あか|| 『 諸君 』 と か なんとか いって 大手 を 振り 立てて しゃべって いる の を 、 肝心の 禁酒 会員 たち は あっけ に 取られて 、 黙った まま 引きさがって 見て いる んです から 、 見物人 がわ いわい と おもしろがって たかって いる の も 全く もっともです わ 。 しょくん|||||おおて||ふり|たてて|||||かんじんの|きんしゅ|かいいん|||あっ け||とら れて|だまった||ひきさがって|みて||||けんぶつにん|||||||||まったく|| その うち に 、 あ 、 叔父さん 、 箸 を お つけ に なる ように 皆様 に おっしゃって ください まし 」・・ ||||おじさん|はし|||||||みなさま||||

叔父 が あわてて 口 の 締まり を して 仏頂面 に 立ち返って 、 何 か いおう と する と 、 葉子 は また それ に は 頓着 なく 五十川 女史 の ほう に 向いて 、・・ おじ|||くち||しまり|||ぶっちょうづら||たちかえって|なん||||||ようこ||||||とんちゃく||いそがわ|じょし||||むいて

「 あの 肩 の 凝り は すっかり お なおり に なり まして 」・・ |かた||こり|||||||

と いった ので 、 五十川 女史 の 答えよう と する 言葉 と 、 叔父 の いい出そう と する 言葉 は 気まずく も 鉢合わせ に なって 、 二 人 は 所在な げ に 黙って しまった 。 |||いそがわ|じょし||こたえよう|||ことば||おじ||いいだそう|||ことば||きまずく||はちあわせ|||ふた|じん||しょざいな|||だまって| 座敷 は 、 底 の ほう に 気持ち の 悪い 暗 流 を 潜め ながら 造り 笑い を し 合って いる ような 不快な 気分 に 満たさ れた 。 ざしき||そこ||||きもち||わるい|あん|りゅう||ひそめ||つくり|わらい|||あって|||ふかいな|きぶん||みたさ| 葉子 は 「 さあ 来い 」 と 胸 の 中 で 身構え を して いた 。 ようこ|||こい||むね||なか||みがまえ||| 五十川 女史 の そば に すわって 、 神経質 らしく 眉 を きらめか す 中 老 の 官吏 は 、 射る ような いまいまし げ な 眼光 を 時々 葉子 に 浴びせ かけて いた が 、 いたたまれない 様子 で ちょっと 居ずまい を なおす と 、 ぎくしゃく した 調子 で 口 を きった 。 いそがわ|じょし|||||しんけいしつ||まゆ||||なか|ろう||かんり||いる|||||がんこう||ときどき|ようこ||あびせ|||||ようす|||いずまい||||||ちょうし||くち|| ・・

「 葉子 さん 、 あなた も いよいよ 身 の かたまる 瀬戸ぎわ まで こぎ 付けた んだ が ……」・・ ようこ|||||み|||せとぎわ|||つけた||

葉子 は すき を 見せたら 切り返す から と いわ ん ばかりな 緊張 した 、 同時に 物 を 物 と も し ない ふうで その 男 の 目 を 迎えた 。 ようこ||||みせたら|きりかえす||||||きんちょう||どうじに|ぶつ||ぶつ|||||||おとこ||め||むかえた ・・

「 何しろ わたし ども 早月 家 の 親類 に 取って は こんな めでたい 事 は まず ない 。 なにしろ|||さつき|いえ||しんるい||とって||||こと||| 無い に は 無い が これ から が あなた に 頼み 所 だ 。 ない|||ない|||||||たのみ|しょ| どうぞ 一 つ わたし ども の 顔 を 立てて 、 今度 こそ は 立派な 奥さん に なって お もらい したい が いかがです 。 |ひと|||||かお||たてて|こんど|||りっぱな|おくさん|||||し たい|| 木村 君 は わたし も よく 知っと る が 、 信仰 も 堅い し 、 仕事 も 珍しく はきはき できる し 、 若い に 似合わ ぬ 物 の わかった 仁 だ 。 きむら|きみ|||||ち っと|||しんこう||かたい||しごと||めずらしく||||わかい||にあわ||ぶつ|||しとし| こんな こと まで 比較 に 持ち出す の は どう か 知ら ない が 、 木部 氏 の ような 実行 力 の 伴わ ない 夢想 家 は 、 わたし など は 初め から 不 賛成 だった 。 |||ひかく||もちだす|||||しら|||きべ|うじ|||じっこう|ちから||ともなわ||むそう|いえ|||||はじめ||ふ|さんせい| 今度 の はじたい 段 が 違う 。 こんど||はじ たい|だん||ちがう 葉子 さん が 木部 氏 の 所 から 逃げ 帰って 来た 時 に は 、 わたし も けしからん と いった 実は 一 人 だ が 、 今に なって 見る と 葉子 さん は さすが に 目 が 高かった 。 ようこ|||きべ|うじ||しょ||にげ|かえって|きた|じ||||||||じつは|ひと|じん|||いまに||みる||ようこ|||||め||たかかった 出て 来て おいて 誠に よかった 。 でて|きて||まことに| いまに 見なさ い 木村 と いう 仁 なりゃ 、 立派に 成功 して 、 第 一流 の 実業 家 に 成り 上がる に きまって いる 。 |みなさ||きむら|||しとし||りっぱに|せいこう||だい|いちりゅう||じつぎょう|いえ||なり|あがる||| これ から は なんといっても 信用 と 金 だ 。 ||||しんよう||きむ| 官界 に 出 ない の なら 、 どうしても 実業 界 に 行か なければ うそ だ 。 かんかい||だ|||||じつぎょう|かい||いか||| 擲 身 報国 は 官吏 たる もの の 一 特権 だ が 、 木村 さん の ような まじめな 信者 に し こ たま 金 を 造って もらわ んじゃ 、 神 の 道 を 日本 に 伝え 広げる に して から が 容易な 事 じゃ ありません よ 。 なげう|み|ほうこく||かんり||||ひと|とっけん|||きむら|||||しんじゃ|||||きむ||つくって|||かみ||どう||にっぽん||つたえ|ひろげる|||||よういな|こと||あり ませ ん| あなた も 小さい 時 から 米国 に 渡って 新聞 記者 の 修業 を する と 口ぐせ の ように 妙な 事 を いった もん だ が ( ここ で 一座 の 人 は なんの 意味 も なく 高く 笑った 。 ||ちいさい|じ||べいこく||わたって|しんぶん|きしゃ||しゅぎょう||||くちぐせ|||みょうな|こと||||||||いちざ||じん|||いみ|||たかく|わらった おそらくは あまり しかつめらしい 空気 を 打ち破って 、 なんとか そこ に 余裕 を つける つもり が 、 みんな に 起こった のだろう けれども 、 葉子 に とって は それ が そう は 響か なかった 。 |||くうき||うちやぶって||||よゆう|||||||おこった|||ようこ||||||||ひびか| その 心持ち は わかって も 、 そんな 事 で 葉子 の 心 を はぐらかそう と する 彼ら の 浅はか さ が ぐっと 癪 に さわった ) 新聞 記者 は ともかくも …… じゃ ない 、 そんな もの に なられて は 困り きる が ( ここ で 一座 は また わけ も なく ばからしく 笑った ) 米国 行き の 願い は たしかに かなった のだ 。 |こころもち|||||こと||ようこ||こころ|||||かれら||あさはか||||しゃく|||しんぶん|きしゃ||||||||なら れて||こまり|||||いちざ|||||||わらった|べいこく|いき||ねがい|||| 葉子 さん も 御 満足に 違いなかろう 。 ようこ|||ご|まんぞくに|ちがいなかろう あと の 事 は わたし ども が たしかに 引き受けた から 心配 は 無用に して 、 身 を しめて 妹 さん 方 の しめし に も なる ほど の 奮発 を 頼みます …… え ゝ と 、 財産 の ほう の 処分 は わたし と 田中 さん と で 間違い なく 固める し 、 愛子 さん と 貞 世 さん の お 世話 は 、 五十川 さん 、 あなた に お 願い し ようじゃ ありません か 、 御 迷惑です が 。 ||こと||||||ひきうけた||しんぱい||むように||み|||いもうと||かた||||||||ふんぱつ||たのみ ます||||ざいさん||||しょぶん||||たなか||||まちがい||かためる||あいこ|||さだ|よ||||せわ||いそがわ|||||ねがい|||あり ませ ん||ご|めいわくです| いかがでしょう 皆さん ( そう いって 彼 は 一座 を 見渡した 。 |みなさん|||かれ||いちざ||みわたした あらかじめ 申し合わせ が できて いた らしく 一同 は 待ち 設けた ように うなずいて 見せた ) どう じゃ ろう 葉子 さん 」・・ |もうしあわせ|||||いちどう||まち|もうけた|||みせた||||ようこ|

葉子 は 乞食 の 嘆願 を 聞く 女王 の ような 心持ち で 、○○ 局長 と いわ れる この 男 の いう 事 を 聞いて いた が 、 財産 の 事 など は どう で も いい と して 、 妹 たち の 事 が 話題 に 上る と ともに 、 五十川 女史 を 向こう に 回して 詰問 の ような 対話 を 始めた 。 ようこ||こじき||たんがん||きく|じょおう|||こころもち||きょくちょう|||||おとこ|||こと||きいて|||ざいさん||こと|||||||||いもうと|||こと||わだい||のぼる|||いそがわ|じょし||むこう||まわして|きつもん|||たいわ||はじめた なんといっても 五十川 女史 は その 晩 そこ に 集まった 人々 の 中 で は いちばん 年配 で も あった し 、 いちばん はばかられて いる の を 葉子 は 知っていた 。 |いそがわ|じょし|||ばん|||あつまった|ひとびと||なか||||ねんぱい||||||はばから れて||||ようこ||しっていた 五十川 女史 が 四角 を 思い出さ せる ような 頑丈な 骨組み で 、 がっしり と 正座 に 居直って 、 葉子 を 子供 あしらい に しよう と する の を 見て取る と 、 葉子 の 心 は 逸り 熱した 。 いそがわ|じょし||しかく||おもいださ|||がんじょうな|ほねぐみ||||せいざ||いなおって|ようこ||こども||||||||みてとる||ようこ||こころ||はやり|ねっした ・・

「 い ゝ え 、 わがままだ と ばかり お 思い に なって は 困ります 。 |||||||おもい||||こまり ます わたし は 御 承知 の ような 生まれ で ございます し 、 これ まで も たびたび 御 心配 かけて 来て おります から 、 人様 同様に 見て いただこう と は これっぱ かり も 思って は おりません 」・・ ||ご|しょうち|||うまれ||||||||ご|しんぱい||きて|おり ます||ひとさま|どうように|みて||||これ っぱ|||おもって||おり ませ ん

と いって 葉子 は 指 の 間 に なぶって いた 楊枝 を 老女 史 の 前 に ふい と 投げた 。 ||ようこ||ゆび||あいだ||||ようじ||ろうじょ|し||ぜん||||なげた ・・

「 しかし 愛子 も 貞 世 も 妹 で ございます 。 |あいこ||さだ|よ||いもうと|| 現在 わたし の 妹 で ございます 。 げんざい|||いもうと|| 口幅ったい と 思 し 召す かも しれません が 、 この 二 人 だけ は わたした とい 米国 に おり まして も 立派に 手 塩 に かけて 御覧 に いれます から 、 どう か お 構い なさら ず に くださ い まし 。 くちはばったい||おも||めす||しれ ませ ん|||ふた|じん|||||べいこく|||||りっぱに|て|しお|||ごらん||いれ ます|||||かまい|||||| それ は 赤坂 学院 も 立派な 学校 に は 違い ございます まい 。 ||あかさか|がくいん||りっぱな|がっこう|||ちがい|| 現在 私 も おば さま の お 世話で あす こ で 育てて いただいた のです から 、 悪く は 申した く は ございませ ん が 、 わたし の ような 人間 が 、 皆様 の お 気 に 入ら ない と すれば …… それ は 生まれつき も ございましょう と も 、 ございましょう けれども 、 わたし を 育て上げた の は あの 学校 で ございます から ねえ 。 げんざい|わたくし||||||せわで||||そだてて||||わるく||もうした|||||||||にんげん||みなさま|||き||はいら||||||うまれつき|||||||||そだてあげた||||がっこう|||| 何しろ 現在 いて 見た 上 で 、 わたし この 二 人 を あす こ に 入れる 気 に は なれません 。 なにしろ|げんざい||みた|うえ||||ふた|じん|||||いれる|き|||なれ ませ ん 女 と いう もの を あの 学校 で は いったい なんと 見て いる ので ご ざん す か しら ん ……」・・ おんな||||||がっこう|||||みて||||||||