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或る女 - 有島武郎(アクセス), 39.1 或る女

39.1 或る 女

巡査 の 制服 は 一気に 夏 服 に なった けれども 、 その 年 の 気候 は ひどく 不順で 、 その 白 服 が うらやましい ほど 暑い 時 と 、 気の毒な ほど 悪 冷え の する 日 が 入れ 代わり 立ち 代わり 続いた 。 したがって 晴 雨 も 定め がたかった 。 それ が どれほど 葉子 の 健康に さし 響いた か しれ なかった 。 葉子 は 絶えず 腰部 の 不愉快な 鈍痛 を 覚 ゆる に つけ 、 暑くて 苦しい 頭痛 に 悩ま さ れる に つけ 、 何一つ から だに 申し分 の なかった 十代 の 昔 を 思い 忍んだ 。 晴 雨 寒暑 と いう ような もの が これほど 気分 に 影響 する もの と は 思い も よら なかった 葉子 は 、 寝起き の 天気 を 何より も 気 に する ように なった 。 きょう こそ は 一 日 気 が はればれ する だろう と 思う ような 日 は 一 日 も なかった 。 きょう も また つらい 一 日 を 過ごさ ねば なら ぬ と いう その いまわしい 予想 だけ でも 葉子 の 気分 を そこなう に は 充分 すぎた 。 ・・

五 月 の 始め ごろ から 葉子 の 家 に 通う 倉地 の 足 は だんだん 遠のいて 、 時々 どこ へ と も 知れ ぬ 旅 に 出る ように なった 。 それ は 倉地 が 葉子 の しつっこ い 挑み と 、 激しい 嫉妬 と 、 理不尽な 疳癖 の 発作 と を 避ける ばかりだ と は 葉子 自身 に さえ 思え ない 節 が あった 。 倉地 の いわゆる 事業 に は 何 か かなり 致命 的な 内 場 破れ が 起こって 、 倉地 の 力 で それ を どう する 事 も でき ない らしい 事 は おぼろげ ながら も 葉子 に も わかって いた 。 債権 者 である か 、 商売 仲間 である か 、 とにかく そういう 者 を 避ける ため に 不意に 倉地 が 姿 を 隠さ ねば なら ぬ らしい 事 は 確かだった 。 それにしても 倉地 の 疎遠 は 一向に 葉子 に は 憎かった 。 ・・

ある 時 葉子 は 激しく 倉地 に 迫って その 仕事 の 内容 を すっかり 打ち明け させよう と した 。 倉地 の 情 人 である 葉子 が 倉地 の 身 に 大事 が 降りかかろう と して いる の を 知り ながら 、 それ に 助力 も し 得 ない と いう 法 は ない 、 そう いって 葉子 は せがみ に せがんだ 。 ・・

「 これ ばかり は 女 の 知った 事 じゃ な いわい 。 おれ が 喰 い 込んで も お前 に は とばっちり が 行く ように は し たく ないで 、 打ち明け ない のだ 。 どこ に 行って も 知ら ない 知ら ないで 一点張り に 通す が いい ぜ 。 …… 二度と 聞きたい と せがんで みろ 、 おれ は うそ ほん なし に お前 と は 手 を 切って 見せる から 」・・

その 最後 の 言葉 は 倉地 の 平生 に 似合わ ない 重苦しい 響き を 持って いた 。 葉子 が 息 気 を つめて それ 以上 を どうしても 迫る 事 が でき ない と 断念 する ほど 重苦しい もの だった 。 正井 の 言葉 から 判 じ て も 、 それ は 女手 など で は 実際 どう する 事 も でき ない もの らしい ので 葉子 は これ だけ は 断念 して 口 を つぐむ より しかたがなかった 。 ・・

堕落 と いわ れよう と 、 不 貞 と いわ れよう と 、 他 人手 を 待って いて は とても 自分 の 思う ような 道 は 開け ない と 見切り を つけた 本能 的 の 衝動 から 、 知らず知らず 自分 で 選び 取った 道 の 行く手 に 目 も くらむ ような 未来 が 見えた と 有頂天に なった 絵 島 丸 の 上 の 出来事 以来 一 年 も たた ない うち に 、 葉子 が 命 も 名 も ささげて かかった 新しい 生活 は 見る見る 土台 から 腐り 出して 、 もう 今 は 一陣 の 風 さえ 吹けば 、 さしも の 高 楼 も もんどり打って 地上 に くずれて しまう と 思いやる と 、 葉子 は しばしば 真剣に 自殺 を 考えた 。 倉地 が 旅 に 出た 留守 に 倉地 の 下宿 に 行って 「 急用 あり すぐ 帰れ 」 と いう 電報 を その 行く先 に 打って やる 。 そして 自分 は 心 静かに 倉地 の 寝床 の 上 で 刃 に 伏して いよう 。 それ は 自分 の 一生 の 幕切れ と して は 、 いちばん ふさわしい 行為 らしい 。 倉地 の 心 に も まだ 自分 に 対する 愛情 は 燃え かすれ ながら も 残って いる 。 それ が この 最後に よって 一 時 なり と も 美しく 燃え上がる だろう 。 それ で いい 、 それ で 自分 は 満足だ 。 そう 心から 涙ぐみ ながら 思う 事 も あった 。 ・・

実際 倉地 が 留守 の はずの ある 夜 、 葉子 は ふらふら と ふだん 空想 して いた その 心持ち に きびしく 捕えられて 前後 も 知ら ず 家 を 飛び出した 事 が あった 。 葉子 の 心 は 緊張 しきって 天気 な の やら 曇って いる の やら 、 暑い の やら 寒い の やら さらに 差別 が つか なかった 。 盛んに 羽 虫 が 飛びかわ して 往来 の 邪魔に なる の を かすかに 意識 し ながら 、 家 を 出て から 小 半 町 裏 坂 を おりて 行った が 、 ふと 自分 の からだ が よごれて いて 、 この 三四 日 湯 に は いら ない 事 を 思い出す と 、 死んだ あと の 醜 さ を 恐れて そのまま 家 に 取って返した 。 そして 妹 たち だけ が はいった まま に なって いる 湯 殿 に 忍んで 行って 、 さめ かけた 風呂 に つかった 。 妹 たち は とうに 寝入って いた 。 手ぬぐい 掛け の 竹 竿 に ぬれた 手ぬぐい が 二 筋 だけ かかって いる の を 見る と 、 寝入って いる 二 人 の 妹 の 事 が ひしひし と 心 に 逼 る ようだった 。 葉子 の 決心 は しかし その くらい の 事 で は 動か なかった 。 簡単に 身 じまい を して また 家 を 出た 。 ・・

倉地 の 下宿 近く なった 時 、 その 下宿 から 急ぎ足 で 出て 来る 背たけ の 低い 丸 髷 の 女 が いた 。 夜 の 事 で は あり 、 そのへん は 街灯 の 光 も 暗い ので 、 葉子 に は さだかに それ と わから なかった が 、 どうも 双 鶴 館 の 女将 らしく も あった 。 葉子 はかっと なって 足早に その あと を つけた 。 二 人 の 間 は 半 町 と は 離れて い なかった 。 だんだん 二 人 の 間 に 距離 が ちぢまって 行って 、 その 女 が 街灯 の 下 を 通る 時 など に 気 を 付けて 見る と どうしても 思った とおり の 女らしかった 。 さては 今 まで あの 女 を 真 正直に 信じて いた 自分 は まんまと 詐られて いた のだった か 。 倉地 の 妻 に 対して も 義理 が 立た ない から 、 今夜 以後 葉子 と も 倉地 の 妻 と も 関係 を 絶つ 。 悪く 思わ ないで くれ と 確かに そういった 、 その 義 侠 らしい 口車 に まんまと 乗せられて 、 今 まで 殊勝な 女 だ と ばかり 思って いた 自分 の 愚か さ は どう だ 。 葉子 は そう 思う と 目 が 回って その 場 に 倒れて しまい そうな くやし さ 恐ろし さ を 感じた 。 そして 女 の 形 を 目がけて よ ろ よ ろ と なり ながら 駆け出した 。 その 時 女 は そのへん に 辻 待ち を して いる 車 に 乗ろう と する 所 だった 。 取りにがして なる もの か と 、 葉子 は ひた走り に 走ろう と した 。 しかし 足 は 思う ように はかどら なかった 。 さすが に その 静けさ を 破って 声 を 立てる 事 も はばから れた 。 もう 十 間 と いう くらい の 所 まで 来た 時 車 は がらがら と 音 を 立てて 砂利 道 を 動き はじめた 。 葉子 は 息 気 せき 切って それ に 追いつこう と あせった が 、 見る見る その 距離 は 遠ざかって 、 葉子 は 杉森 で 囲ま れた さびしい 暗闇 の 中 に ただ 一 人 取り残されて いた 。 葉子 は なんという 事 なく その 辻 車 の いた 所 まで 行って 見た 。 一 台 より い なかった ので 飛び乗って あと を 追う べき 車 も なかった 。 葉子 は ぼんやり そこ に 立って 、 そこ に 字 でも 書き残して ある か の ように 、 暗い 地面 を じっと 見つめて いた 。 確かに あの 女 に 違いなかった 。 背 格好 と いい 、 髷 の 形 と いい 、 小刻みな 歩き ぶり と いい 、…… あの 女 に 違いなかった 。 旅行 に 出る と いった 倉地 は 疑い も なく うそ を 使って 下宿 に くすぶって いる に 違いない 。 そして あの 女 を 仲人 に 立てて 先 妻 と の より を 戻そう と して いる に 決まって いる 。 それ に 何の 不思議 が あろう 。 長年 連れ添った 妻 で は ない か 。 かわいい 三 人 の 娘 の 母 で は ない か 。 葉子 と いう もの に 一 日一日 疎く なろう と する 倉地 で は ない か 。 それ に 何の 不思議 が あろう 。 …… それにしても あまり と いえば あまりな 仕打ち だ 。 なぜ それ なら そう と 明らかに いって は くれ ない のだ 。 いって さえ くれれば 自分 に だって 恋する 男 に 対して の 女らしい 覚悟 は ある 。 別れろ と ならば きれいさっぱり と 別れて も 見せる 。 …… なんという 踏みつけ かた だ 。 なんという 恥さらしだ 。 倉地 の 妻 は お おそれた 貞 女 ぶった 顔 を 震わして 、 涙 を 流し ながら 、「 それでは お 葉さん と いう 方 に お 気の毒だ から 、 わたし は もう 亡い もの と 思って ください まし ……」…… 見て いられ ぬ 、 聞いて いられ ぬ 。 …… 葉子 と いう 女 は どんな 女 だ か 、 今夜 こそ は 倉地 に しっかり 思い知ら せて やる ……。 ・・

葉子 は 酔った もの の ように ふらふら した 足どり で そこ から 引き返した 。 そして 下宿 屋 に 来 着いた 時 に は 、 息 気 苦し さ の ため に 声 も 出 ない くらい に なって いた 。 下宿 の 女 たち は 葉子 を 見る と 「 また あの 気 狂い が 来た 」 と いわんばかり の 顔 を して 、 その 夜 の 葉子 の こと さらに 取り つめた 顔色 に は 注意 を 払う 暇 も なく 、 その 場 を はずして 姿 を 隠した 。 葉子 は そんな 事 に は 気 も かけ ず に 物 すごい 笑顔 で ことさら らしく 帳場 に いる 男 に ちょっと 頭 を 下げて 見せて 、 そのまま ふらふら と 階子 段 を のぼって 行った 。 ここ が 倉地 の 部屋 だ と いう その 襖 の 前 に 立った 時 に は 、 葉子 は 泣き声 に 気 が ついて 驚いた ほど 、 われ知らず すすり 上げて 泣いて いた 。 身 の 破滅 、 恋 の 破滅 は 今夜 の 今 、 そう 思って 荒々しく 襖 を 開いた 。 ・・

部屋 の 中 に は 案外に も 倉地 は い なかった 。 すみ から すみ まで 片づいて いて 、 倉地 の あの 強烈な 膚 の 香 いも さらに 残って は い なかった 。 葉子 は 思わず ふらふら と よろけて 、 泣きやんで 、 部屋 の 中 に 倒れこみ ながら あたり を 見回した 。 いる に 違いない と ひと り 決め を した 自分 の 妄想 が 破れた と いう 気 は 少しも 起こら ないで 、 確かに いた もの が 突然 溶けて しまう か どうかした ような 気味 の 悪い 不思議 さ に 襲わ れた 。 葉子 は すっかり 気抜け が して 、 髪 も 衣 紋 も 取り乱した まま 横ずわり に すわった きり で ぼんやり して いた 。 ・・

あたり は 深山 の ように し ー ん と して いた 。 ただ 葉子 の 目の前 を うるさく 行ったり 来たり する 黒い 影 の ような もの が あった 。 葉子 は 何物 と いう 分別 も なく 始め は ただ うるさい と のみ 思って いた が 、 しまい に は こらえ かねて 手 を あげて しきりに それ を 追い払って みた 。 追い払って も 追い払って も その うるさい 黒い 影 は 目の前 を 立ち去ろう と は し なかった 。 …… しばらく そう して いる うち に 葉子 は 寒気 が する ほど ぞっと おそろしく なって 気 が はっきり した 。


39.1 或る 女 ある|おんな 39.1 Una mujer

巡査 の 制服 は 一気に 夏 服 に なった けれども 、 その 年 の 気候 は ひどく 不順で 、 その 白 服 が うらやましい ほど 暑い 時 と 、 気の毒な ほど 悪 冷え の する 日 が 入れ 代わり 立ち 代わり 続いた 。 じゅんさ||せいふく||いっきに|なつ|ふく|||||とし||きこう|||ふじゅんで||しろ|ふく||||あつい|じ||きのどくな||あく|ひえ|||ひ||いれ|かわり|たち|かわり|つづいた したがって 晴 雨 も 定め がたかった 。 |はれ|あめ||さだめ| それ が どれほど 葉子 の 健康に さし 響いた か しれ なかった 。 |||ようこ||けんこうに||ひびいた||| 葉子 は 絶えず 腰部 の 不愉快な 鈍痛 を 覚 ゆる に つけ 、 暑くて 苦しい 頭痛 に 悩ま さ れる に つけ 、 何一つ から だに 申し分 の なかった 十代 の 昔 を 思い 忍んだ 。 ようこ||たえず|ようぶ||ふゆかいな|どんつう||あきら||||あつくて|くるしい|ずつう||なやま|||||なにひとつ|||もうしぶん|||じゅうだい||むかし||おもい|しのんだ As Yoko constantly felt an unpleasant dull pain in her lower back and suffered from hot, painful headaches, she thought back to her teenage days when nothing was perfect. 晴 雨 寒暑 と いう ような もの が これほど 気分 に 影響 する もの と は 思い も よら なかった 葉子 は 、 寝起き の 天気 を 何より も 気 に する ように なった 。 はれ|あめ|かんしょ|||||||きぶん||えいきょう|||||おもい||||ようこ||ねおき||てんき||なにより||き|||| きょう こそ は 一 日 気 が はればれ する だろう と 思う ような 日 は 一 日 も なかった 。 |||ひと|ひ|き||||||おもう||ひ||ひと|ひ|| きょう も また つらい 一 日 を 過ごさ ねば なら ぬ と いう その いまわしい 予想 だけ でも 葉子 の 気分 を そこなう に は 充分 すぎた 。 ||||ひと|ひ||すごさ||||||||よそう|||ようこ||きぶん|||||じゅうぶん| ・・

五 月 の 始め ごろ から 葉子 の 家 に 通う 倉地 の 足 は だんだん 遠のいて 、 時々 どこ へ と も 知れ ぬ 旅 に 出る ように なった 。 いつ|つき||はじめ|||ようこ||いえ||かよう|くらち||あし|||とおのいて|ときどき|||||しれ||たび||でる|| それ は 倉地 が 葉子 の しつっこ い 挑み と 、 激しい 嫉妬 と 、 理不尽な 疳癖 の 発作 と を 避ける ばかりだ と は 葉子 自身 に さえ 思え ない 節 が あった 。 ||くらち||ようこ||しつ っこ||いどみ||はげしい|しっと||りふじんな|かんくせ||ほっさ|||さける||||ようこ|じしん|||おもえ||せつ|| It was hard for Yoko herself to believe that Kurachi would do nothing but avoid Yoko's persistent attacks, intense jealousy, and bouts of unreasonable cynicism. 倉地 の いわゆる 事業 に は 何 か かなり 致命 的な 内 場 破れ が 起こって 、 倉地 の 力 で それ を どう する 事 も でき ない らしい 事 は おぼろげ ながら も 葉子 に も わかって いた 。 くらち|||じぎょう|||なん|||ちめい|てきな|うち|じょう|やぶれ||おこって|くらち||ちから||||||こと|||||こと|||||ようこ|||| 債権 者 である か 、 商売 仲間 である か 、 とにかく そういう 者 を 避ける ため に 不意に 倉地 が 姿 を 隠さ ねば なら ぬ らしい 事 は 確かだった 。 さいけん|もの|||しょうばい|なかま|||||もの||さける|||ふいに|くらち||すがた||かくさ|||||こと||たしかだった それにしても 倉地 の 疎遠 は 一向に 葉子 に は 憎かった 。 |くらち||そえん||いっこうに|ようこ|||にくかった ・・

ある 時 葉子 は 激しく 倉地 に 迫って その 仕事 の 内容 を すっかり 打ち明け させよう と した 。 |じ|ようこ||はげしく|くらち||せまって||しごと||ないよう|||うちあけ|さ せよう|| 倉地 の 情 人 である 葉子 が 倉地 の 身 に 大事 が 降りかかろう と して いる の を 知り ながら 、 それ に 助力 も し 得 ない と いう 法 は ない 、 そう いって 葉子 は せがみ に せがんだ 。 くらち||じょう|じん||ようこ||くらち||み||だいじ||ふりかかろう||||||しり||||じょりょく|||とく||||ほう|||||ようこ|||| Yoko, who is Kurachi's lover, knew that something terrible was about to befall Kurachi, but there was no way she could not help him, so she pestered him. ・・

「 これ ばかり は 女 の 知った 事 じゃ な いわい 。 |||おんな||しった|こと||| おれ が 喰 い 込んで も お前 に は とばっちり が 行く ように は し たく ないで 、 打ち明け ない のだ 。 ||しょく||こんで||おまえ|||||いく||||||うちあけ|| I don't want you to go straight to me even if I bite you, so I won't confide in you. どこ に 行って も 知ら ない 知ら ないで 一点張り に 通す が いい ぜ 。 ||おこなって||しら||しら||いってんばり||とおす||| …… 二度と 聞きたい と せがんで みろ 、 おれ は うそ ほん なし に お前 と は 手 を 切って 見せる から 」・・ にどと|きき たい||||||||||おまえ|||て||きって|みせる| … If you ask me to ask you again, I will show you that I am not lying and will cut my hand off from you.”

その 最後 の 言葉 は 倉地 の 平生 に 似合わ ない 重苦しい 響き を 持って いた 。 |さいご||ことば||くらち||へいぜい||にあわ||おもくるしい|ひびき||もって| Those last words had a somber tone that didn't suit Kurachi's normal life. 葉子 が 息 気 を つめて それ 以上 を どうしても 迫る 事 が でき ない と 断念 する ほど 重苦しい もの だった 。 ようこ||いき|き||||いじょう|||せまる|こと|||||だんねん|||おもくるしい|| 正井 の 言葉 から 判 じ て も 、 それ は 女手 など で は 実際 どう する 事 も でき ない もの らしい ので 葉子 は これ だけ は 断念 して 口 を つぐむ より しかたがなかった 。 まさい||ことば||はん||||||おんなで||||じっさい|||こと|||||||ようこ|||||だんねん||くち|||| Judging from Masai's words, it seemed that there was nothing a woman could really do about it, so Yoko had no choice but to give up on this and keep her mouth shut. ・・

堕落 と いわ れよう と 、 不 貞 と いわ れよう と 、 他 人手 を 待って いて は とても 自分 の 思う ような 道 は 開け ない と 見切り を つけた 本能 的 の 衝動 から 、 知らず知らず 自分 で 選び 取った 道 の 行く手 に 目 も くらむ ような 未来 が 見えた と 有頂天に なった 絵 島 丸 の 上 の 出来事 以来 一 年 も たた ない うち に 、 葉子 が 命 も 名 も ささげて かかった 新しい 生活 は 見る見る 土台 から 腐り 出して 、 もう 今 は 一陣 の 風 さえ 吹けば 、 さしも の 高 楼 も もんどり打って 地上 に くずれて しまう と 思いやる と 、 葉子 は しばしば 真剣に 自殺 を 考えた 。 だらく|||||ふ|さだ|||||た|ひとで||まって||||じぶん||おもう||どう||あけ|||みきり|||ほんのう|てき||しょうどう||しらずしらず|じぶん||えらび|とった|どう||ゆくて||め||||みらい||みえた||うちょうてんに||え|しま|まる||うえ||できごと|いらい|ひと|とし||||||ようこ||いのち||な||||あたらしい|せいかつ||みるみる|どだい||くさり|だして||いま||いちじん||かぜ||ふけば|||たか|ろう||もんどりうって|ちじょう|||||おもいやる||ようこ|||しんけんに|じさつ||かんがえた Whether it's called depravity or unfaithfulness, I decided that if I waited for someone else's help, I wouldn't be able to open up the path I wanted. In less than a year since the events aboard the Eshima Maru, Yoko had offered her life and name to her new life. It had rotted from its foundations, and Yoko sometimes seriously contemplated suicide when she thought that even a gust of wind could blow the tall building down and bring it to the ground. 倉地 が 旅 に 出た 留守 に 倉地 の 下宿 に 行って 「 急用 あり すぐ 帰れ 」 と いう 電報 を その 行く先 に 打って やる 。 くらち||たび||でた|るす||くらち||げしゅく||おこなって|きゅうよう|||かえれ|||でんぽう|||ゆくさき||うって| そして 自分 は 心 静かに 倉地 の 寝床 の 上 で 刃 に 伏して いよう 。 |じぶん||こころ|しずかに|くらち||ねどこ||うえ||は||ふして| それ は 自分 の 一生 の 幕切れ と して は 、 いちばん ふさわしい 行為 らしい 。 ||じぶん||いっしょう||まくぎれ||||||こうい| It seems to be the most appropriate act as the end of one's life. 倉地 の 心 に も まだ 自分 に 対する 愛情 は 燃え かすれ ながら も 残って いる 。 くらち||こころ||||じぶん||たいする|あいじょう||もえ||||のこって| In Kurachi's heart, his love for him is still burning, albeit faintly. それ が この 最後に よって 一 時 なり と も 美しく 燃え上がる だろう 。 |||さいごに||ひと|じ||||うつくしく|もえあがる| それ で いい 、 それ で 自分 は 満足だ 。 |||||じぶん||まんぞくだ そう 心から 涙ぐみ ながら 思う 事 も あった 。 |こころから|なみだぐみ||おもう|こと|| ・・

実際 倉地 が 留守 の はずの ある 夜 、 葉子 は ふらふら と ふだん 空想 して いた その 心持ち に きびしく 捕えられて 前後 も 知ら ず 家 を 飛び出した 事 が あった 。 じっさい|くらち||るす||||よ|ようこ|||||くうそう||||こころもち|||とらえ られて|ぜんご||しら||いえ||とびだした|こと|| 葉子 の 心 は 緊張 しきって 天気 な の やら 曇って いる の やら 、 暑い の やら 寒い の やら さらに 差別 が つか なかった 。 ようこ||こころ||きんちょう||てんき||||くもって||||あつい|||さむい||||さべつ||| Yoko's heart was so tense that she could not distinguish between the weather, whether it was cloudy, whether it was hot or cold. 盛んに 羽 虫 が 飛びかわ して 往来 の 邪魔に なる の を かすかに 意識 し ながら 、 家 を 出て から 小 半 町 裏 坂 を おりて 行った が 、 ふと 自分 の からだ が よごれて いて 、 この 三四 日 湯 に は いら ない 事 を 思い出す と 、 死んだ あと の 醜 さ を 恐れて そのまま 家 に 取って返した 。 さかんに|はね|ちゅう||とびかわ||おうらい||じゃまに|||||いしき|||いえ||でて||しょう|はん|まち|うら|さか|||おこなった|||じぶん|||||||さんし|ひ|ゆ|||||こと||おもいだす||しんだ|||みにく|||おそれて||いえ||とってかえした そして 妹 たち だけ が はいった まま に なって いる 湯 殿 に 忍んで 行って 、 さめ かけた 風呂 に つかった 。 |いもうと|||||||||ゆ|しんがり||しのんで|おこなって|||ふろ|| 妹 たち は とうに 寝入って いた 。 いもうと||||ねいって| 手ぬぐい 掛け の 竹 竿 に ぬれた 手ぬぐい が 二 筋 だけ かかって いる の を 見る と 、 寝入って いる 二 人 の 妹 の 事 が ひしひし と 心 に 逼 る ようだった 。 てぬぐい|かけ||たけ|さお|||てぬぐい||ふた|すじ||||||みる||ねいって||ふた|じん||いもうと||こと||||こころ||ひつ|| 葉子 の 決心 は しかし その くらい の 事 で は 動か なかった 。 ようこ||けっしん||||||こと|||うごか| 簡単に 身 じまい を して また 家 を 出た 。 かんたんに|み|||||いえ||でた ・・

倉地 の 下宿 近く なった 時 、 その 下宿 から 急ぎ足 で 出て 来る 背たけ の 低い 丸 髷 の 女 が いた 。 くらち||げしゅく|ちかく||じ||げしゅく||いそぎあし||でて|くる|せたけ||ひくい|まる|まげ||おんな|| 夜 の 事 で は あり 、 そのへん は 街灯 の 光 も 暗い ので 、 葉子 に は さだかに それ と わから なかった が 、 どうも 双 鶴 館 の 女将 らしく も あった 。 よ||こと||||||がいとう||ひかり||くらい||ようこ||||||||||そう|つる|かん||おかみ||| 葉子 はかっと なって 足早に その あと を つけた 。 ようこ|はか っと||あしばやに|||| 二 人 の 間 は 半 町 と は 離れて い なかった 。 ふた|じん||あいだ||はん|まち|||はなれて|| だんだん 二 人 の 間 に 距離 が ちぢまって 行って 、 その 女 が 街灯 の 下 を 通る 時 など に 気 を 付けて 見る と どうしても 思った とおり の 女らしかった 。 |ふた|じん||あいだ||きょり|||おこなって||おんな||がいとう||した||とおる|じ|||き||つけて|みる|||おもった|||おんならしかった さては 今 まで あの 女 を 真 正直に 信じて いた 自分 は まんまと 詐られて いた のだった か 。 |いま|||おんな||まこと|しょうじきに|しんじて||じぶん|||さ られて||| Now then, until now, had I honestly believed in that woman, had I been deceived? 倉地 の 妻 に 対して も 義理 が 立た ない から 、 今夜 以後 葉子 と も 倉地 の 妻 と も 関係 を 絶つ 。 くらち||つま||たいして||ぎり||たた|||こんや|いご|ようこ|||くらち||つま|||かんけい||たつ I don't have any loyalties to Kurachi's wife either, so from tonight onwards I will cut ties with both Yoko and Kurachi's wife. 悪く 思わ ないで くれ と 確かに そういった 、 その 義 侠 らしい 口車 に まんまと 乗せられて 、 今 まで 殊勝な 女 だ と ばかり 思って いた 自分 の 愚か さ は どう だ 。 わるく|おもわ||||たしかに|||ただし|きょう||くちぐるま|||のせ られて|いま||しゅしょうな|おんな||||おもって||じぶん||おろか|||| Don't think badly of me, I'm sure I've been fooled by that chivalrous mouthpiece, and I've always thought of myself as an auspicious woman. 葉子 は そう 思う と 目 が 回って その 場 に 倒れて しまい そうな くやし さ 恐ろし さ を 感じた 。 ようこ|||おもう||め||まわって||じょう||たおれて||そう な|||おそろし|||かんじた そして 女 の 形 を 目がけて よ ろ よ ろ と なり ながら 駆け出した 。 |おんな||かた||めがけて||||||||かけだした その 時 女 は そのへん に 辻 待ち を して いる 車 に 乗ろう と する 所 だった 。 |じ|おんな||||つじ|まち||||くるま||のろう|||しょ| 取りにがして なる もの か と 、 葉子 は ひた走り に 走ろう と した 。 とりにがして|||||ようこ||ひたはしり||はしろう|| しかし 足 は 思う ように はかどら なかった 。 |あし||おもう||| さすが に その 静けさ を 破って 声 を 立てる 事 も はばから れた 。 |||しずけさ||やぶって|こえ||たてる|こと||はば から| もう 十 間 と いう くらい の 所 まで 来た 時 車 は がらがら と 音 を 立てて 砂利 道 を 動き はじめた 。 |じゅう|あいだ|||||しょ||きた|じ|くるま||||おと||たてて|じゃり|どう||うごき| 葉子 は 息 気 せき 切って それ に 追いつこう と あせった が 、 見る見る その 距離 は 遠ざかって 、 葉子 は 杉森 で 囲ま れた さびしい 暗闇 の 中 に ただ 一 人 取り残されて いた 。 ようこ||いき|き||きって|||おいつこう||||みるみる||きょり||とおざかって|ようこ||すぎもり||かこま|||くらやみ||なか|||ひと|じん|とりのこさ れて| 葉子 は なんという 事 なく その 辻 車 の いた 所 まで 行って 見た 。 ようこ|||こと|||つじ|くるま|||しょ||おこなって|みた 一 台 より い なかった ので 飛び乗って あと を 追う べき 車 も なかった 。 ひと|だい|||||とびのって|||おう||くるま|| 葉子 は ぼんやり そこ に 立って 、 そこ に 字 でも 書き残して ある か の ように 、 暗い 地面 を じっと 見つめて いた 。 ようこ|||||たって|||あざ||かきのこして|||||くらい|じめん|||みつめて| Yoko stood there absent-mindedly, staring at the dark ground as if she had written something there. 確かに あの 女 に 違いなかった 。 たしかに||おんな||ちがいなかった 背 格好 と いい 、 髷 の 形 と いい 、 小刻みな 歩き ぶり と いい 、…… あの 女 に 違いなかった 。 せ|かっこう|||まげ||かた|||こきざみな|あるき|||||おんな||ちがいなかった 旅行 に 出る と いった 倉地 は 疑い も なく うそ を 使って 下宿 に くすぶって いる に 違いない 。 りょこう||でる|||くらち||うたがい|||||つかって|げしゅく|||||ちがいない そして あの 女 を 仲人 に 立てて 先 妻 と の より を 戻そう と して いる に 決まって いる 。 ||おんな||なこうど||たてて|さき|つま|||||もどそう|||||きまって| And I'm pretty sure he's trying to get his relationship back with his ex-wife by appointing that woman as a matchmaker. それ に 何の 不思議 が あろう 。 ||なんの|ふしぎ|| 長年 連れ添った 妻 で は ない か 。 ながねん|つれそった|つま|||| かわいい 三 人 の 娘 の 母 で は ない か 。 |みっ|じん||むすめ||はは|||| 葉子 と いう もの に 一 日一日 疎く なろう と する 倉地 で は ない か 。 ようこ|||||ひと|ひいちにち|うとく||||くらち|||| それ に 何の 不思議 が あろう 。 ||なんの|ふしぎ|| …… それにしても あまり と いえば あまりな 仕打ち だ 。 |||||しうち| なぜ それ なら そう と 明らかに いって は くれ ない のだ 。 |||||あきらかに||||| いって さえ くれれば 自分 に だって 恋する 男 に 対して の 女らしい 覚悟 は ある 。 |||じぶん|||こいする|おとこ||たいして||おんならしい|かくご|| 別れろ と ならば きれいさっぱり と 別れて も 見せる 。 わかれろ|||||わかれて||みせる If you want to say goodbye, I'll show you even if it's a clean and refreshing goodbye. …… なんという 踏みつけ かた だ 。 |ふみつけ|| …… What a trampling. なんという 恥さらしだ 。 |はじさらしだ 倉地 の 妻 は お おそれた 貞 女 ぶった 顔 を 震わして 、 涙 を 流し ながら 、「 それでは お 葉さん と いう 方 に お 気の毒だ から 、 わたし は もう 亡い もの と 思って ください まし ……」…… 見て いられ ぬ 、 聞いて いられ ぬ 。 くらち||つま||||さだ|おんな||かお||ふるわして|なみだ||ながし||||ようさん|||かた|||きのどくだ|||||ない|||おもって|||みて|いら れ||きいて|いら れ| Kurachi's wife shook her frightened chaste face and, with tears streaming down her face, said, "I feel sorry for Oyo-san, so please consider me dead..." …… I can't help looking, I can't help listening. …… 葉子 と いう 女 は どんな 女 だ か 、 今夜 こそ は 倉地 に しっかり 思い知ら せて やる ……。 ようこ|||おんな|||おんな|||こんや|||くらち|||おもいしら|| ・・

葉子 は 酔った もの の ように ふらふら した 足どり で そこ から 引き返した 。 ようこ||よった||||||あしどり||||ひきかえした そして 下宿 屋 に 来 着いた 時 に は 、 息 気 苦し さ の ため に 声 も 出 ない くらい に なって いた 。 |げしゅく|や||らい|ついた|じ|||いき|き|にがし|||||こえ||だ||||| 下宿 の 女 たち は 葉子 を 見る と 「 また あの 気 狂い が 来た 」 と いわんばかり の 顔 を して 、 その 夜 の 葉子 の こと さらに 取り つめた 顔色 に は 注意 を 払う 暇 も なく 、 その 場 を はずして 姿 を 隠した 。 げしゅく||おんな|||ようこ||みる||||き|くるい||きた||||かお||||よ||ようこ||||とり||かおいろ|||ちゅうい||はらう|いとま||||じょう|||すがた||かくした 葉子 は そんな 事 に は 気 も かけ ず に 物 すごい 笑顔 で ことさら らしく 帳場 に いる 男 に ちょっと 頭 を 下げて 見せて 、 そのまま ふらふら と 階子 段 を のぼって 行った 。 ようこ|||こと|||き|||||ぶつ||えがお||||ちょうば|||おとこ|||あたま||さげて|みせて||||はしご|だん|||おこなった ここ が 倉地 の 部屋 だ と いう その 襖 の 前 に 立った 時 に は 、 葉子 は 泣き声 に 気 が ついて 驚いた ほど 、 われ知らず すすり 上げて 泣いて いた 。 ||くらち||へや|||||ふすま||ぜん||たった|じ|||ようこ||なきごえ||き|||おどろいた||われしらず||あげて|ないて| When she stood in front of the fusuma, which was Kurachi's room, Yoko was sobbing sobbing that she was surprised to hear the crying. 身 の 破滅 、 恋 の 破滅 は 今夜 の 今 、 そう 思って 荒々しく 襖 を 開いた 。 み||はめつ|こい||はめつ||こんや||いま||おもって|あらあらしく|ふすま||あいた ・・

部屋 の 中 に は 案外に も 倉地 は い なかった 。 へや||なか|||あんがいに||くらち||| すみ から すみ まで 片づいて いて 、 倉地 の あの 強烈な 膚 の 香 いも さらに 残って は い なかった 。 ||||かたづいて||くらち|||きょうれつな|はだ||かおり|||のこって||| 葉子 は 思わず ふらふら と よろけて 、 泣きやんで 、 部屋 の 中 に 倒れこみ ながら あたり を 見回した 。 ようこ||おもわず||||なきやんで|へや||なか||たおれこみ||||みまわした いる に 違いない と ひと り 決め を した 自分 の 妄想 が 破れた と いう 気 は 少しも 起こら ないで 、 確かに いた もの が 突然 溶けて しまう か どうかした ような 気味 の 悪い 不思議 さ に 襲わ れた 。 ||ちがいない||||きめ|||じぶん||もうそう||やぶれた|||き||すこしも|おこら||たしかに||||とつぜん|とけて|||||きみ||わるい|ふしぎ|||おそわ| 葉子 は すっかり 気抜け が して 、 髪 も 衣 紋 も 取り乱した まま 横ずわり に すわった きり で ぼんやり して いた 。 ようこ|||きぬけ|||かみ||ころも|もん||とりみだした||よこずわり||||||| ・・

あたり は 深山 の ように し ー ん と して いた 。 ||しんざん||||-|||| ただ 葉子 の 目の前 を うるさく 行ったり 来たり する 黒い 影 の ような もの が あった 。 |ようこ||めのまえ|||おこなったり|きたり||くろい|かげ||||| 葉子 は 何物 と いう 分別 も なく 始め は ただ うるさい と のみ 思って いた が 、 しまい に は こらえ かねて 手 を あげて しきりに それ を 追い払って みた 。 ようこ||なにもの|||ぶんべつ|||はじめ||||||おもって||||||||て||||||おいはらって| 追い払って も 追い払って も その うるさい 黒い 影 は 目の前 を 立ち去ろう と は し なかった 。 おいはらって||おいはらって||||くろい|かげ||めのまえ||たちさろう|||| …… しばらく そう して いる うち に 葉子 は 寒気 が する ほど ぞっと おそろしく なって 気 が はっきり した 。 ||||||ようこ||かんき|||||||き|||