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『ツェねずみ』 宮沢 賢治, ツェ ねずみ (宮沢 賢治 ) 第 一夜

ツェ ねずみ (宮沢 賢治 ) 第 一夜

ある 古い 家 の 、 まっくらな 天井 裏 に 、「 ツェ 」 と いう 名前 の ねずみ が 住んで い ました 。

ある 日 ツェ ねずみ は 、 きょろきょろ 四方 を 見まわ し ながら 、 床下 街道 を 歩いて い ます と 、 向こう から いたち が 、 何 か いい もの を たくさん 持って 、 風 の ように 走って 参り ました 。

そして ツェ ねずみ を 見て 、 ちょっと たちどまって 早口 に 言い ました 。

「 おい 、 ツェ ねずみ 。

お前 ん と この 戸棚 の 穴 から 、 金 米 糖 が ばらばら こぼれて いる ぜ 。 早く 行って ひろい な 。 ツェ ねずみ は 、 もう ひげ も ぴく ぴく する くらい よろこんで 、 いたち に は お 礼 も 言わ ず に 、 いっさ んに そっち へ 走って 行き ました 。

ところが 戸棚 の 下 まで 来た とき 、 いきなり 足 が チクリ と し ました 。

そして 、「 止まれ 、 だれ か っ 。 」 と 言う 小さな 鋭い 声 が し ます 。

ツェ ねずみ は びっくり して よく 見 ます と 、 それ は 蟻 でした 。

蟻 の 兵隊 は 、 もう 金 米 糖 の まわり に 四 重 の 非常 線 を 張って 、 みんな 黒い まさかり を ふりかざして い ます 。 二三十 匹 は 金 米 糖 を 片っぱしから 砕いたり 、 とかしたり して 、 巣 へ 運ぶ したく です 。 ツェ ねずみ は ぶるぶる ふるえて しまい ました 。

「 ここ から 内 へ は いって なら ん 。

早く 帰れ 。 帰れ 、 帰れ 。 」 蟻 の 特務 曹長 が 、 低い 太い 声 で 言い ました 。

ねずみ は くる っと 一 つ まわって 、 いちもくさんに 天井 裏 へ かけあがり ました 。

そして 巣 の 中 へ は いって 、 しばらく ねころんで い ました が 、 どうも おもしろく なくて 、 おもしろく なくて 、 たまり ませ ん 。 蟻 は まあ 兵隊 だ し 、 強い から しかた も ない が 、 あの おとなしい いたち め に 教え られて 、 戸棚 の 下 まで 走って 行って 蟻 の 曹長 に けん つく を 食う と は 、 なんたる しゃく に さわる こと だ と ツェ ねずみ は 考え ました 。 そこ で ねずみ は 巣 から また ちょろちょろ はい出 して 、 木 小屋 の 奥 の いたち の 家 に やって 参り ました 。

いたち は ちょうど 、 とうもろこし の つぶ を 、 歯 で こつこつ かんで 粉 に して い ました が 、 ツェ ねずみ を 見て 言い ました 。

「 どう だ 。

金 米 糖 が なかった かい 。 「 いたち さん 。

ずいぶん お前 も ひどい 人 だ ね 。 私 の ような 弱い もの を だます なんて 。 「 だましゃ せ ん 。

たしかに あった の や 。 「 ある に は あって も 、 もう 蟻 が 来て ました よ 。

「 蟻 が 、 へい 。

そう かい 。 早い や つら だ ね 。 「 みんな 蟻 が とって しまい ました よ 。

私 の ような 弱い もの を だます なんて 、 償う て ください 。 償う て ください 。

「 それ は しかたない 。

お前 の 行き よう が 少し おそかった の や 。 「 知ら ん 、 知ら ん 。

私 の ような 弱い もの を だまして 。 償う て ください 。

償う て ください 。

「 困った やつ だ な 。

人 の 親切 を さかさまに うらむ と は 。 よし よし 。 そん なら おれ の 金 米 糖 を やろう 。 「 償う て ください 。

償う て ください 。

「 えい 、 それ 。

持って 行け 。 て め え の 持てる だけ 持って う せ ち まえ 。 て め え みたいな 、 ぐにゃぐにゃ した 男らしく も ねえ やつ は 、 つら も 見 たく ねえ 。 早く 持てる だけ 持って ど っ か へ う せろ 。 いたち は プリプリ して 、 金 米 糖 を 投げ出し ました 。

ツェ ねずみ は それ を 持てる だけ たくさん ひろって 、 おじぎ を し ました 。 いたち は いよいよ 怒って 叫び ました 。

「 えい 、 早く 行って しまえ 。

て め え の 取った 残り なんか うじ むし に でも くれて やら あ 。 ツェ ねずみ は 、 いちもくさんに 走って 、 天井 裏 の 巣 へ もどって 、 金 米 糖 を コチコチ 食べ ました 。

こんな ぐあい です から 、 ツェ ねずみ は だんだん 嫌わ れて 、 たれ も あんまり 相手 に し なく なり ました 。

そこ で ツェ ねずみ は しかたなし に 、 こんど は 、 柱 だの 、 壊れた ちり とり だの 、 バケツ だの 、 ほうき だの と 交際 を はじめ ました 。 中でも 柱 と は 、 いちばん 仲よく して い ました 。

柱 が ある 日 、 ツェ ねずみ に 言い ました 。

「 ツェ ねずみ さん 、 もう じき 冬 に なる ね 。

ぼく ら は また かわいて ミリ ミリ 言わ なくちゃ なら ない 。 お前 さん も 今 の うち に 、 いい 夜具 の したく を して おいた 方 が いい だろう 。 幸い ぼく の すぐ 頭 の 上 に 、 すずめ が 春 持って 来た 鳥 の 毛 や いろいろ 暖かい もの が たくさん ある から 、 いま の うち に 、 すこし おろして 運んで おいたら どう だい 。 僕 の 頭 は 、 まあ 少し 寒く なる けれど 、 僕 は 僕 で また 工夫 を する から 。 ツェ ねずみ は もっとも と 思い ました ので 、 さっそく 、 その 日 から 運び 方 に かかり ました 。

ところが 、 途中 に 急な 坂 が 一 つ あり ました ので 、 ねずみ は 三 度 目 に 、 そこ から ストン と ころげ 落ち ました 。

柱 も びっくり して 、「 ねずみ さん 、 けが は ない かい 。

けが は ない かい 。

」 と 一生懸命 、 からだ を 曲げ ながら 言い ました 。

ねずみ は やっと 起き上がって 、 それ から 顔 を ひどく しかめ ながら 言い ました 。

「 柱 さん 。

お前 も ずいぶん ひどい 人 だ 。 僕 の ような 弱い もの を こんな 目 に あわす なんて 。 柱 は いかにも 申しわけ が ない と 思った ので 、「 ねずみ さん 、 すま なかった 。

ゆるして ください 。 」 と 一生懸命 わび ました 。

ツェ ねずみ は 図 に のって 、

「 許して くれ も ない じゃ ない か 。

お前 さえ あんな こ しゃくな 指図 を し なければ 、 私 は こんな 痛い 目 に も あわ なかった んだ よ 。 償って おくれ 。

償って おくれ 。

さあ 、 償って おくれよ 。 「 そんな こと を 言った って 困る じゃ あり ませ ん か 。

許して ください よ 。 「 いい や 、 弱い もの を いじめる の は 私 は 嫌いな んだ から 、 償って おくれ 。

償って おくれ 。

さあ 、 償って おくれ 。 柱 は 困って しまって 、 おいおい 泣き ました 。

そこ で ねずみ も 、 しかたなく 、 巣 へ かえり ました 。

それ から は 、 柱 は もう こわ がって 、 ねずみ に 口 を きき ませ ん でした 。

さて その のち の こと です が 、 ちり とり は ある 日 、 ツェ ねずみ に 半分 に なった 最中 を 一 つ やり ました 。

すると ちょうど その 次の 日 、 ツェ ねずみ は おなか が 痛く なり ました 。 さあ 、 いつも の とおり ツェ ねずみ は 、 まどって おくれ を 百 ばかり も 、 ちり とり に 言い ました 。 ちり とり も あきれて 、 もう ねずみ と の 交際 は やめ ました 。

また 、 その のち の こと です が 、 ある 日 バケツ は ツェ ねずみ に 、 洗濯 ソーダ の かけら を すこし やって 、「 これ で 毎朝 お 顔 を お 洗い なさい 。 」 と 言い ましたら 、 ねずみ は よろこんで 次の 日 から 、 毎日 それ で 顔 を 洗って い ました が 、 その うち に ねずみ の お ひげ が 十 本 ばかり 抜け ました 。

さ あ ツェ ねずみ は 、 さっそく バケツ へ やって 来て 、 償って おくれ 償って おくれ を 、 二百五十 ばかり 言い ました 。 しかし あいにく バケツ に は お ひげ も あり ませ ん でし たし 、 償う わけに も 行か ず 、 すっかり 参って しまって 、 泣いて あやまり ました 。 そして 、 もう それ から は 、 ちょっと も 口 を きき ませ ん でした 。

道具 仲間 は 、 みんな 順ぐり に こんな め に あって 、 こりて しまい ました ので 、 ついに は 誰 も ツェ ねずみ の 顔 を 見る と いそいで わき の 方 を 向いて しまう のでした 。


ツェ ねずみ (宮沢 賢治 ) 第 一夜 ||みやさわ|けんじ|だい|いちや Tse Rats (Kenji Miyazawa) Night 1 Tse Rats (Kenji Miyazawa) Nuit 1 谢老鼠(Kenji Miyazawa) 第 1 夜

ある 古い 家 の 、 まっくらな 天井 裏 に 、「 ツェ 」 と いう 名前 の ねずみ が 住んで い ました 。 |ふるい|いえ|||てんじょう|うら|||||なまえ||||すんで|| Hinter der stumpfen Decke eines alten Hauses lebte eine Maus namens "Tse". A mouse named "Tse" lived in the attic of an old house.

ある 日 ツェ ねずみ は 、 きょろきょろ 四方 を 見まわ し ながら 、 床下 街道 を 歩いて い ます と 、 向こう から いたち が 、 何 か いい もの を たくさん 持って 、 風 の ように 走って 参り ました 。 |ひ|||||しほう||みまわ|||ゆかした|かいどう||あるいて||||むこう||||なん||||||もって|かぜ|||はしって|まいり| One day, Tse Mouse looked round the sides and walked down the underfloor road, and the stuff ran from the other side like something good, like a wind.

そして ツェ ねずみ を 見て 、 ちょっと たちどまって 早口 に 言い ました 。 ||||みて|||はやくち||いい| And when I saw Tse Mouse, I stopped for a while and said it quickly.

「 おい 、 ツェ ねずみ 。 "Hey, Tse, rat.

お前 ん と この 戸棚 の 穴 から 、 金 米 糖 が ばらばら こぼれて いる ぜ 。 おまえ||||とだな||あな||きむ|べい|とう||||| The gold rice sugar is spilling apart from you and the hole in this cupboard. 早く 行って ひろい な 。 はやく|おこなって|| Go early and stay long. ツェ ねずみ は 、 もう ひげ も ぴく ぴく する くらい よろこんで 、 いたち に は お 礼 も 言わ ず に 、 いっさ んに そっち へ 走って 行き ました 。 |||||||||||||||れい||いわ|||||||はしって|いき| The mouse was so happy that his beard was tingling, and he ran to it all at once, without saying thank you to us.

ところが 戸棚 の 下 まで 来た とき 、 いきなり 足 が チクリ と し ました 。 |とだな||した||きた|||あし||||| However, when I came to the bottom of the cupboard, my legs suddenly fluttered.

そして 、「 止まれ 、 だれ か っ 。 |とどまれ||| And, "Stop, who? 然后,"站住,来人啊! 」 と 言う 小さな 鋭い 声 が し ます 。 |いう|ちいさな|するどい|こえ||| There is a small, sharp voice.

ツェ ねずみ は びっくり して よく 見 ます と 、 それ は 蟻 でした 。 ||||||み|||||あり| The mouse was surprised and looked closely, it was an ant.

蟻 の 兵隊 は 、 もう 金 米 糖 の まわり に 四 重 の 非常 線 を 張って 、 みんな 黒い まさかり を ふりかざして い ます 。 あり||へいたい|||きむ|べい|とう||||よっ|おも||ひじょう|せん||はって||くろい||||| The Ants have already laid a quadruple cordon around the gold, rice and sugar, and everyone is wielding a black sword. 二三十 匹 は 金 米 糖 を 片っぱしから 砕いたり 、 とかしたり して 、 巣 へ 運ぶ したく です 。 にさんじゅう|ひき||きむ|べい|とう||かたっぱしから|くだいたり|||す||はこぶ|| Twenty-three of them want to carry the golden-rice sugar to the nest by crushing or combing it. ツェ ねずみ は ぶるぶる ふるえて しまい ました 。 The mouse has shaken.

「 ここ から 内 へ は いって なら ん 。 ||うち||||| "Don't go in from here.

早く 帰れ 。 はやく|かえれ Go home early. 帰れ 、 帰れ 。 かえれ|かえれ Go home, go home. 」 蟻 の 特務 曹長 が 、 低い 太い 声 で 言い ました 。 あり||とくむ|そうちょう||ひくい|ふとい|こえ||いい| The ant warrant officer said in a low, thick voice.

ねずみ は くる っと 一 つ まわって 、 いちもくさんに 天井 裏 へ かけあがり ました 。 ||||ひと||||てんじょう|うら||| The mouse went round and round, and Ichimoku-san climbed up to the attic.

そして 巣 の 中 へ は いって 、 しばらく ねころんで い ました が 、 どうも おもしろく なくて 、 おもしろく なくて 、 たまり ませ ん 。 |す||なか|||||||||||||||| Then I went into the nest and lay down for a while, but it was very uninteresting, uninteresting, and irresistible. 蟻 は まあ 兵隊 だ し 、 強い から しかた も ない が 、 あの おとなしい いたち め に 教え られて 、 戸棚 の 下 まで 走って 行って 蟻 の 曹長 に けん つく を 食う と は 、 なんたる しゃく に さわる こと だ と ツェ ねずみ は 考え ました 。 あり|||へいたい|||つよい|||||||||||おしえ||とだな||した||はしって|おこなって|あり||そうちょう|||||くう|||||||||||||かんがえ| The ants are, well, soldiers, and although they are strong, they are taught by those gentle weasels to run to the bottom of the cupboard and eat the ant's sergeant master sergeant. The ants thought. そこ で ねずみ は 巣 から また ちょろちょろ はい出 して 、 木 小屋 の 奥 の いたち の 家 に やって 参り ました 。 ||||す|||ちょ ろ ちょ ろ|はいしゅつ||き|こや||おく||||いえ|||まいり| There, the mice wandered out of their nests and came to the weasel's house in the back of the wooden hut.

いたち は ちょうど 、 とうもろこし の つぶ を 、 歯 で こつこつ かんで 粉 に して い ました が 、 ツェ ねずみ を 見て 言い ました 。 |||||||は||||こな|||||||||みて|いい| Weasel had just crushed the corn into powder with their teeth, but when they saw the mouse, they said.

「 どう だ 。 "How is it?

金 米 糖 が なかった かい 。 きむ|べい|とう||| Did you have no gold, rice or sugar? 「 いたち さん 。 "Itachi-san.

ずいぶん お前 も ひどい 人 だ ね 。 |おまえ|||じん|| You're a terrible person, aren't you? 私 の ような 弱い もの を だます なんて 。 わたくし|||よわい|||| To fool a weak person like me. 「 だましゃ せ ん 。 "Don't cheat.

たしかに あった の や 。 It was true. 「 ある に は あって も 、 もう 蟻 が 来て ました よ 。 ||||||あり||きて|| "Although there are, ants have already come.

「 蟻 が 、 へい 。 あり|| "The ants are hell.

そう かい 。 That's right. 早い や つら だ ね 。 はやい|||| They are early. 「 みんな 蟻 が とって しまい ました よ 。 |あり||||| "Everyone has taken ants.

私 の ような 弱い もの を だます なんて 、 償う て ください 。 わたくし|||よわい|||||つぐなう|| Please make up for cheating something weak like me. 償う て ください 。 つぐなう||

「 それ は しかたない 。 "It can't be helped.

お前 の 行き よう が 少し おそかった の や 。 おまえ||いき|||すこし||| It was a little late for you to go. 「 知ら ん 、 知ら ん 。 しら||しら| "I don't know, I don't know.

私 の ような 弱い もの を だまして 。 わたくし|||よわい||| Fool a weak person like me. 償う て ください 。 つぐなう||

償う て ください 。 つぐなう|| Please make up for it.

「 困った やつ だ な 。 こまった||| "I'm in trouble.

人 の 親切 を さかさまに うらむ と は 。 じん||しんせつ||||| What does it mean to envy people's kindness upside down? よし よし 。 Good, good, good. そん なら おれ の 金 米 糖 を やろう 。 ||||きむ|べい|とう|| Then let's do my gold rice sugar. 「 償う て ください 。 つぐなう|| "Please make up for it.

償う て ください 。 つぐなう|| Please make up for it.

「 えい 、 それ 。 "Yes, that.

持って 行け 。 もって|いけ Take it with you. て め え の 持てる だけ 持って う せ ち まえ 。 ||||もてる||もって|||| Please bring as much as you can. て め え みたいな 、 ぐにゃぐにゃ した 男らしく も ねえ やつ は 、 つら も 見 たく ねえ 。 ||||ぐ に ゃぐ に ゃ||おとこらしく|||||||み|| Hey, he doesn't want to see him, he doesn't want to see him. 早く 持てる だけ 持って ど っ か へ う せろ 。 はやく|もてる||もって|||||| Take as much as you can and go somewhere. いたち は プリプリ して 、 金 米 糖 を 投げ出し ました 。 ||||きむ|べい|とう||なげだし| Weasels pre-prepared and threw out gold, rice and sugar.

ツェ ねずみ は それ を 持てる だけ たくさん ひろって 、 おじぎ を し ました 。 |||||もてる||||||| The mouse spread as much as he could and bowed. いたち は いよいよ 怒って 叫び ました 。 |||いかって|さけび| Weasels were finally angry and shouted.

「 えい 、 早く 行って しまえ 。 |はやく|おこなって| "Yes, go early.

て め え の 取った 残り なんか うじ むし に でも くれて やら あ 。 ||||とった|のこり|||||||| I'm grateful for the rest of my family's remains. ツェ ねずみ は 、 いちもくさんに 走って 、 天井 裏 の 巣 へ もどって 、 金 米 糖 を コチコチ 食べ ました 。 ||||はしって|てんじょう|うら||す|||きむ|べい|とう|||たべ|

こんな ぐあい です から 、 ツェ ねずみ は だんだん 嫌わ れて 、 たれ も あんまり 相手 に し なく なり ました 。 ||||||||きらわ|||||あいて||||| Because of this, the tsetse rats became more and more disliked by the "landlords" and the "landladies" didn't take to them as much anymore.

そこ で ツェ ねずみ は しかたなし に 、 こんど は 、 柱 だの 、 壊れた ちり とり だの 、 バケツ だの 、 ほうき だの と 交際 を はじめ ました 。 |||||||||ちゅう||こぼれた||||ばけつ|||||こうさい||| So the Tse mice have no choice but to start dating the pole, the broken dustpan, the bucket, and the broom. 中でも 柱 と は 、 いちばん 仲よく して い ました 。 なかでも|ちゅう||||なかよく|||

柱 が ある 日 、 ツェ ねずみ に 言い ました 。 ちゅう|||ひ||||いい|

「 ツェ ねずみ さん 、 もう じき 冬 に なる ね 。 |||||ふゆ|||

ぼく ら は また かわいて ミリ ミリ 言わ なくちゃ なら ない 。 |||||みり|みり|いわ||| お前 さん も 今 の うち に 、 いい 夜具 の したく を して おいた 方 が いい だろう 。 おまえ|||いま|||||やぐ||||||かた||| 幸い ぼく の すぐ 頭 の 上 に 、 すずめ が 春 持って 来た 鳥 の 毛 や いろいろ 暖かい もの が たくさん ある から 、 いま の うち に 、 すこし おろして 運んで おいたら どう だい 。 さいわい||||あたま||うえ||||はる|もって|きた|ちょう||け|||あたたかい||||||||||||はこんで||| Fortunately, I have a lot of bird's hair and other warm things that the sparrows brought in the spring right above my head, so why don't you unload them and bring them in while you can? 僕 の 頭 は 、 まあ 少し 寒く なる けれど 、 僕 は 僕 で また 工夫 を する から 。 ぼく||あたま|||すこし|さむく|||ぼく||ぼく|||くふう||| My head does get a little cold, but I'll work on it. ツェ ねずみ は もっとも と 思い ました ので 、 さっそく 、 その 日 から 運び 方 に かかり ました 。 |||||おもい|||||ひ||はこび|かた|||

ところが 、 途中 に 急な 坂 が 一 つ あり ました ので 、 ねずみ は 三 度 目 に 、 そこ から ストン と ころげ 落ち ました 。 |とちゅう||きゅうな|さか||ひと|||||||みっ|たび|め||||すとん|||おち|

柱 も びっくり して 、「 ねずみ さん 、 けが は ない かい 。 ちゅう||||||||| The pillar was startled and said, "Are you hurt, rat?

けが は ない かい 。

」 と 一生懸命 、 からだ を 曲げ ながら 言い ました 。 |いっしょうけんめい|||まげ||いい|

ねずみ は やっと 起き上がって 、 それ から 顔 を ひどく しかめ ながら 言い ました 。 |||おきあがって|||かお|||||いい|

「 柱 さん 。 ちゅう|

お前 も ずいぶん ひどい 人 だ 。 おまえ||||じん| You are a terrible person. 僕 の ような 弱い もの を こんな 目 に あわす なんて 。 ぼく|||よわい||||め||| I can't believe that someone as weak as me would be subjected to this. 柱 は いかにも 申しわけ が ない と 思った ので 、「 ねずみ さん 、 すま なかった 。 ちゅう|||もうしわけ||||おもった||||| The pillar felt so sorry that he said, "I'm sorry, rat, I'm sorry.

ゆるして ください 。 」 と 一生懸命 わび ました 。 |いっしょうけんめい||

ツェ ねずみ は 図 に のって 、 |||ず|| Tse, the mouse is in the picture,

「 許して くれ も ない じゃ ない か 。 ゆるして|||||| I can't even ask for forgiveness.

お前 さえ あんな こ しゃくな 指図 を し なければ 、 私 は こんな 痛い 目 に も あわ なかった んだ よ 。 おまえ|||||さしず||||わたくし|||いたい|め|||||| 償って おくれ 。 つぐなって|

償って おくれ 。 つぐなって|

さあ 、 償って おくれよ 。 |つぐなって| 「 そんな こと を 言った って 困る じゃ あり ませ ん か 。 |||いった||こまる||||| I don't see the problem with saying that.

許して ください よ 。 ゆるして|| 「 いい や 、 弱い もの を いじめる の は 私 は 嫌いな んだ から 、 償って おくれ 。 ||よわい||||||わたくし||きらいな|||つぐなって|

償って おくれ 。 つぐなって|

さあ 、 償って おくれ 。 |つぐなって| 柱 は 困って しまって 、 おいおい 泣き ました 。 ちゅう||こまって|||なき|

そこ で ねずみ も 、 しかたなく 、 巣 へ かえり ました 。 |||||す|||

それ から は 、 柱 は もう こわ がって 、 ねずみ に 口 を きき ませ ん でした 。 |||ちゅう|||||||くち||||| From then on, the pillar was too scared to speak to the rats.

さて その のち の こと です が 、 ちり とり は ある 日 、 ツェ ねずみ に 半分 に なった 最中 を 一 つ やり ました 。 |||||||||||ひ||||はんぶん|||さい なか||ひと||| By the way, after that, one day, the dustpan did one while it was halving in the mouse.

すると ちょうど その 次の 日 、 ツェ ねずみ は おなか が 痛く なり ました 。 |||つぎの|ひ||||||いたく|| Just the next day, Tse the mouse had a tummy ache. さあ 、 いつも の とおり ツェ ねずみ は 、 まどって おくれ を 百 ばかり も 、 ちり とり に 言い ました 。 ||||||||||ひゃく||||||いい| Now, as usual, the Tse Rat told the dustpan to stop and give me a hundred times its due. ちり とり も あきれて 、 もう ねずみ と の 交際 は やめ ました 。 ||||||||こうさい||| The dustbunnies are fed up and no longer associate with the rats.

また 、 その のち の こと です が 、 ある 日 バケツ は ツェ ねずみ に 、 洗濯 ソーダ の かけら を すこし やって 、「 これ で 毎朝 お 顔 を お 洗い なさい 。 ||||||||ひ|ばけつ|||||せんたく|そーだ||||||||まいあさ||かお|||あらい| And later, one day, Bucket gave a piece of washing soda to Tse's mice and said, "Go ahead and wash your face every morning with it. 」 と 言い ましたら 、 ねずみ は よろこんで 次の 日 から 、 毎日 それ で 顔 を 洗って い ました が 、 その うち に ねずみ の お ひげ が 十 本 ばかり 抜け ました 。 |いい|||||つぎの|ひ||まいにち|||かお||あらって||||||||||||じゅう|ほん||ぬけ| The next day he washed his face with it every day, until he had lost about ten of his whiskers.

さ あ ツェ ねずみ は 、 さっそく バケツ へ やって 来て 、 償って おくれ 償って おくれ を 、 二百五十 ばかり 言い ました 。 ||||||ばけつ|||きて|つぐなって||つぐなって|||にひゃくごじゅう||いい| しかし あいにく バケツ に は お ひげ も あり ませ ん でし たし 、 償う わけに も 行か ず 、 すっかり 参って しまって 、 泣いて あやまり ました 。 ||ばけつ|||||||||||つぐなう|||いか|||まいって||ないて|| Unfortunately, he didn't have a beard in his bucket, and there was no way he could make amends, so he got completely overwhelmed and cried, apologizing. そして 、 もう それ から は 、 ちょっと も 口 を きき ませ ん でした 。 |||||||くち||||| And from then on, I never spoke to him again.

道具 仲間 は 、 みんな 順ぐり に こんな め に あって 、 こりて しまい ました ので 、 ついに は 誰 も ツェ ねずみ の 顔 を 見る と いそいで わき の 方 を 向いて しまう のでした 。 どうぐ|なかま|||じゅんぐり||||||||||||だれ|||||かお||みる|||||かた||むいて|| The tools were all so distressed by the ordeal that they all turned aside in haste at the sight of the Tse Rat's face.