×

Usamos cookies para ayudar a mejorar LingQ. Al visitar este sitio, aceptas nuestras politicas de cookie.


image

青春ブタ野郎はホワイトクリスマスの夢を見る, 青春ブタ野郎はホワイトクリスマスの夢を見る 5b

青春ブタ野郎はホワイトクリスマスの夢を見る 5b

「 きっと 、 のどか ね 」

クリスマスライブ が 終わった 頃 だろう か 。

「 なら 、 出 なくて 平気 です ね 」

「 のどか が 聞いたら 怒る わ よ 」

でも 、 麻衣 は 無理に 電話 に 出よう と は しない 。 続いて いた コール は 、 しばらく して 止まった 。 だけど 、 また すぐに 震え 出す 。 さっき と 同じ リズム で 、 アピール して きた 。

「 ほら 、 咲 太 、 離れて 」

しつこい 電話 に 折れて 、 咲 太 は ようやく 麻衣 を 離した 。

麻衣 が ポケット から スマホ を 取り出す 。 画面 を 見て 、「 やっぱり 」 と いう 顔 を する 。

「 麻衣 さん 、 スマホ 行 して 」

咲 太 が 手 を 伸ばす と 、 麻衣 は 何も 言わ ず に スマホ を 貸して くれた 。 電話 の 着信 を 知らせる 画面 に は 「 のどか 」 の 名前 が ある 。

電話 の 操作 を した あと で 、

「 お かけ に なっ電話 番号 は ただいま 使われて おりません 」

と 、 咲 太 は 電話 口 に 投げかけた 。

返って きた の は 、 露骨に 不機嫌な のど か の 声 だ 。

「 お 姉ちゃん に 替わって 」

「 無理だ な 」

「 なんで ?

「 麻衣 さん は 、 今 、 僕 の 頭 に 積もった 雪 を 払う の に 忙しい 」

頭 の 雪 が なくなる と 、 今度 は 肩 を 払って くれた 。

「 は あ ? お 姉ちゃん に な に させて ん の ? て か 、 なんで 雪 積もって ん の ? ふた り で な に して た わけ ?

「 そりゃ 、 楽しい デート を してる に 決まってる だ ろ 」

拾い上げた 傘 を 振って 、 積もった 雪 を 落とす 。 その 傘 を 差して 麻衣 を 見る と 、 すでに 自分 の 傘 を 開いて いた 。

「 あたし 、 すぐ 帰る から もう デート は 終わり ね 」

「 メンバー と ライブ の 打ち上げ でも して こいって 」

「 今日 は 電車 止まる と まずい から 、 即 解散 な の 」

電話 の 向こう から 、 駅 の アナウンス が 聞こえて くる 。 どうやら 、 もう ホーム に いる ようだ 。

「 僕 と して は さっさと 止まって ほしい ん だけど な 」

「 その とき は タクシー で 帰るっつ ー の 」

本当に 何 が あって も のどか は 帰って くる 気 らしい 。

「 ん じゃ 、 気 を 付けて 帰るって こい よ 」

「 は あ ? なに それ 」

「 麻衣 さん から の 伝言 だ よ 」

堂々と 嘘 を 吐く 。

「 咲 太 も デート は もう 終わり な ん だから さっさと 帰れ 」

「 そんなに 急か さ なくて も 、 半額 の ケーキ なら まだ 残ってる だ ろ 」

「 誰 も 、 ケーキ の 売り切れ なんて 心配 してない つつ ー の !

「 じゃあ 、 ケーキ は いい の か ?

「 それ は 食べる けど …… あ 、 電車 来た 。 九 時 前 に はる から 」

「 わかった よ 。 それ まで 麻衣 さん と イチャイチャ してる 」

「 す ん な !

それ を 最後に ぶつっと 電話 は 切れた 。

何も 言わ なく なった スマホ を 麻衣 に 返す 。

「 のどか は なんて ?

「 九 時 まで 麻衣 さん と イチャイチャ して ろって 」

「 嘘 言わない の 」

咲 太 の 言葉 を 麻衣 は 笑顔 で 流して 、 スマホ を ポケット に 戻した 。

「 それ じゃあ 、 ケーキ 買って 帰りましょう 」

麻衣 の 手 が 咲 太 の 手 に 触れる 。 そのまま 指 を 絡めて 手 を 繋ぐ と 、 咲 太 を 引っ張る よう に して 歩き 出した 。

その 隣 に 並ぶ 。

「 麻衣 さん 」

咲 太 は 大事な人 の 名前 を 呼んで いた 。

「 ん ?

疑問 の 視線 を 麻衣 が 横 から 向けて くる 。

「……」

何 か 言葉 を 探す けれど 、 胸 の 真ん中 に 居座る あたたか さ の 名前 が わからない 。 だから 、 馬鹿 みたいに 、

「 麻衣 さん 」

と 、 咲 太 は 再び 大切な人 の 名前 を 呼んで いた 。

くすぐられた みたいな 顔 で 麻衣 が 笑う 。 その 笑顔 が さらに 咲 太 を あたたかい 気持ち に させて くれる 。

麻衣 の 笑顔 が すぐ 側 に ある から 。

繋いだ 手 から 伝わる ぬくもり を 感じて いられる から 。

何気ない 日常 の 中 に 、 大事に したい人 が いる から 。

それ が わかって いる から 、 きっと 大丈夫 。

それ を 忘れ なければ 、 この 胸 の あたたか さ に も たどり着ける 気 が した 。

いつ の 日 か 、 きっと たどり着く ける 。

あとがき

劇場 来場者 特典 小説 の 依頼 を 受けた 際 、「 商店 街 の 福引 で 温泉 一 泊 旅行 が 当たって 、 ヒロイン みんな と 行く やつ を 書けば いい かしら 」 と 思った の です が 、 この 案 は BD / DVD 特典 小説 を 依頼 された 際 に 、 いくつか の 理由 から 断念 した こと を 思い出し 、 今回 の 内容 に 落ち着きました 。

思春期 症候 群 も 絡まない 。 事件 らしい 事件 も 起こらない 。 そんな 平和な クリスマス を 描いた エピソード に 仕上がって います 。 咲 太 も 麻衣 さん も 色々 大変だった ので 、 こんな 時間 が あって も いい です よ ね 。

鴨志田 一


青春ブタ野郎はホワイトクリスマスの夢を見る 5b せいしゅん ぶた やろう は ホワイトクリスマス の ゆめ を みる| Jugendschweinchen träumt von weißen Weihnachten 5b. Seishun Butajyaku ha White Christmas no Yume wo Yume wo Mamoru 5b El cerdito joven sueña con una Navidad blanca 5b. Le jeune cochon rêve d'un Noël blanc 5b. Il maialino sogna un bianco Natale 5b. O porquinho da juventude sonha com um Natal branco 5b.

「 きっと 、 のどか ね 」

クリスマスライブ が 終わった 頃 だろう か 。 ||おわった|ころ||

「 なら 、 出 なくて 平気 です ね 」 |だ||へいき||

「 のどか が 聞いたら 怒る わ よ 」 ||きいたら|いかる||

でも 、 麻衣 は 無理に 電話 に 出よう と は しない 。 |まい||むりに|でんわ||でよう|||し ない However, Mai does not try to answer the phone. 続いて いた コール は 、 しばらく して 止まった 。 つづいて||こーる||||とまった だけど 、 また すぐに 震え 出す 。 |||ふるえ|だす さっき と 同じ リズム で 、 アピール して きた 。 ||おなじ|りずむ||あぴーる||

「 ほら 、 咲 太 、 離れて 」 |さ|ふと|はなれて

しつこい 電話 に 折れて 、 咲 太 は ようやく 麻衣 を 離した 。 |でんわ||おれて|さ|ふと|||まい||はなした

麻衣 が ポケット から スマホ を 取り出す 。 まい||ぽけっと||||とりだす 画面 を 見て 、「 やっぱり 」 と いう 顔 を する 。 がめん||みて||||かお||

「 麻衣 さん 、 スマホ 行 して 」 まい|||ぎょう|

咲 太 が 手 を 伸ばす と 、 麻衣 は 何も 言わ ず に スマホ を 貸して くれた 。 さ|ふと||て||のばす||まい||なにも|いわ|||||かして| 電話 の 着信 を 知らせる 画面 に は 「 のどか 」 の 名前 が ある 。 でんわ||ちゃくしん||しらせる|がめん|||||なまえ||

電話 の 操作 を した あと で 、 でんわ||そうさ||||

「 お かけ に なっ電話 番号 は ただいま 使われて おりません 」 |||なっでんわ|ばんごう|||つかわれて| The number you are calling from is currently not in service.

と 、 咲 太 は 電話 口 に 投げかけた 。 |さ|ふと||でんわ|くち||なげかけた

返って きた の は 、 露骨に 不機嫌な のど か の 声 だ 。 かえって||||ろこつに|ふきげんな||||こえ|

「 お 姉ちゃん に 替わって 」 |ねえちゃん||かわって "Put your sister on."

「 無理だ な 」 むりだ|

「 なんで ?

「 麻衣 さん は 、 今 、 僕 の 頭 に 積もった 雪 を 払う の に 忙しい 」 まい|||いま|ぼく||あたま||つもった|ゆき||はらう|||いそがしい

頭 の 雪 が なくなる と 、 今度 は 肩 を 払って くれた 。 あたま||ゆき||||こんど||かた||はらって|

「 は あ ? お 姉ちゃん に な に させて ん の ? |ねえちゃん||||さ せて|| て か 、 なんで 雪 積もって ん の ? |||ゆき|つもって|| ふた り で な に して た わけ ?

「 そりゃ 、 楽しい デート を してる に 決まってる だ ろ 」 |たのしい|でーと||||きまってる||

拾い上げた 傘 を 振って 、 積もった 雪 を 落とす 。 ひろいあげた|かさ||ふって|つもった|ゆき||おとす その 傘 を 差して 麻衣 を 見る と 、 すでに 自分 の 傘 を 開いて いた 。 |かさ||さして|まい||みる|||じぶん||かさ||あいて|

「 あたし 、 すぐ 帰る から もう デート は 終わり ね 」 ||かえる|||でーと||おわり|

「 メンバー と ライブ の 打ち上げ でも して こいって 」 めんばー||らいぶ||うちあげ||| "Go to the live show launch with the members."

「 今日 は 電車 止まる と まずい から 、 即 解散 な の 」 きょう||でんしゃ|とまる||||そく|かいさん||

電話 の 向こう から 、 駅 の アナウンス が 聞こえて くる 。 でんわ||むこう||えき||あなうんす||きこえて| どうやら 、 もう ホーム に いる ようだ 。 ||ほーむ||| It seems that they are already on the platform.

「 僕 と して は さっさと 止まって ほしい ん だけど な 」 ぼく|||||とまって|||| "I wish they'd just stop.

「 その とき は タクシー で 帰るっつ ー の 」 |||たくしー||かえるっつ|-|

本当に 何 が あって も のどか は 帰って くる 気 らしい 。 ほんとうに|なん||||||かえって||き|

「 ん じゃ 、 気 を 付けて 帰るって こい よ 」 ||き||つけて|かえるって||

「 は あ ? なに それ 」

「 麻衣 さん から の 伝言 だ よ 」 まい||||でんごん||

堂々と 嘘 を 吐く 。 どうどうと|うそ||はく

「 咲 太 も デート は もう 終わり な ん だから さっさと 帰れ 」 さ|ふと||でーと|||おわり|||||かえれ

「 そんなに 急か さ なくて も 、 半額 の ケーキ なら まだ 残ってる だ ろ 」 |せか||||はんがく||けーき|||のこってる||

「 誰 も 、 ケーキ の 売り切れ なんて 心配 してない つつ ー の ! だれ||けーき||うりきれ||しんぱい|して ない||-| No one is worried about the cake being sold out!

「 じゃあ 、 ケーキ は いい の か ? |けーき||||

「 それ は 食べる けど …… あ 、 電車 来た 。 ||たべる|||でんしゃ|きた 九 時 前 に はる から 」 ここの|じ|ぜん|||

「 わかった よ 。 それ まで 麻衣 さん と イチャイチャ してる 」 ||まい||||

「 す ん な !

それ を 最後に ぶつっと 電話 は 切れた 。 ||さいごに||でんわ||きれた

何も 言わ なく なった スマホ を 麻衣 に 返す 。 なにも|いわ|||||まい||かえす

「 のどか は なんて ?

「 九 時 まで 麻衣 さん と イチャイチャ して ろって 」 ここの|じ||まい|||||

「 嘘 言わない の 」 うそ|いわ ない|

咲 太 の 言葉 を 麻衣 は 笑顔 で 流して 、 スマホ を ポケット に 戻した 。 さ|ふと||ことば||まい||えがお||ながして|||ぽけっと||もどした

「 それ じゃあ 、 ケーキ 買って 帰りましょう 」 ||けーき|かって|かえりましょう

麻衣 の 手 が 咲 太 の 手 に 触れる 。 まい||て||さ|ふと||て||ふれる そのまま 指 を 絡めて 手 を 繋ぐ と 、 咲 太 を 引っ張る よう に して 歩き 出した 。 |ゆび||からめて|て||つなぐ||さ|ふと||ひっぱる||||あるき|だした

その 隣 に 並ぶ 。 |となり||ならぶ

「 麻衣 さん 」 まい|

咲 太 は 大事な人 の 名前 を 呼んで いた 。 さ|ふと||だいじな じん||なまえ||よんで| Sakita was calling out the name of someone special.

「 ん ?

疑問 の 視線 を 麻衣 が 横 から 向けて くる 。 ぎもん||しせん||まい||よこ||むけて| Mai looks at me questioningly from the side.

「……」

何 か 言葉 を 探す けれど 、 胸 の 真ん中 に 居座る あたたか さ の 名前 が わからない 。 なん||ことば||さがす||むね||まんなか||いすわる||||なまえ||わから ない だから 、 馬鹿 みたいに 、 |ばか|

「 麻衣 さん 」 まい|

と 、 咲 太 は 再び 大切な人 の 名前 を 呼んで いた 。 |さ|ふと||ふたたび|たいせつな じん||なまえ||よんで|

くすぐられた みたいな 顔 で 麻衣 が 笑う 。 ||かお||まい||わらう その 笑顔 が さらに 咲 太 を あたたかい 気持ち に させて くれる 。 |えがお|||さ|ふと|||きもち||さ せて| Her smile makes Sakita feel warm and fuzzy.

麻衣 の 笑顔 が すぐ 側 に ある から 。 まい||えがお|||がわ||| Because Mai's smile is right next to me.

繋いだ 手 から 伝わる ぬくもり を 感じて いられる から 。 つないだ|て||つたわる|||かんじて|いら れる|

何気ない 日常 の 中 に 、 大事に したい人 が いる から 。 なにげない|にちじょう||なか||だいじに|したい じん||| Because there are people in our daily lives that we want to cherish.

それ が わかって いる から 、 きっと 大丈夫 。 ||||||だいじょうぶ You know that, so I'm sure you'll be fine.

それ を 忘れ なければ 、 この 胸 の あたたか さ に も たどり着ける 気 が した 。 ||わすれ|||むね||||||たどりつける|き||

いつ の 日 か 、 きっと たどり着く ける 。 ||ひ|||たどりつく| Someday, we will get there.

あとがき

劇場 来場者 特典 小説 の 依頼 を 受けた 際 、「 商店 街 の 福引 で 温泉 一 泊 旅行 が 当たって 、 ヒロイン みんな と 行く やつ を 書けば いい かしら 」 と 思った の です が 、 この 案 は BD / DVD 特典 小説 を 依頼 された 際 に 、 いくつか の 理由 から 断念 した こと を 思い出し 、 今回 の 内容 に 落ち着きました 。 げきじょう|らいじょう しゃ|とくてん|しょうせつ||いらい||うけた|さい|しょうてん|がい||ふくびき||おんせん|ひと|はく|りょこう||あたって|ひろいん|||いく|||かけば||||おもった|||||あん||||とくてん|しょうせつ||いらい||さい||||りゆう||だんねん||||おもいだし|こんかい||ないよう||おちつきました When I was asked to write a special novel for theater visitors, I thought, "Why don't I write a novel about a guy who wins a one-night trip to a hot springs resort through a lucky draw in a shopping district and goes with the heroines?" But then I remembered that when I was asked to write a BD/DVD special novel, I had to abandon that idea for several reasons, so I settled on this one.

思春期 症候 群 も 絡まない 。 ししゅんき|しょうこう|ぐん||からま ない Adolescent syndromes are not involved. 事件 らしい 事件 も 起こらない 。 じけん||じけん||おこら ない No incidents of any kind occurred. そんな 平和な クリスマス を 描いた エピソード に 仕上がって います 。 |へいわな|くりすます||えがいた|えぴそーど||しあがって| 咲 太 も 麻衣 さん も 色々 大変だった ので 、 こんな 時間 が あって も いい です よ ね 。 さ|ふと||まい|||いろいろ|たいへんだった|||じかん|||||||

鴨志田 一 かもしだ|ひと