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The Most Famous Yōkai (妖怪), 鬼 | 節分 の 鬼

鬼 | 節分 の 鬼

むかし むかし 、ある 山里 に 、一 人 暮らし の お じいさん が いました。

この 山里 で は 今年 も 豊作 で 、秋 祭り で にぎわって いました が 、誰 も お じいさん を さそって くれる者 は おりません。

お じいさん は 祭り の 踊り の 輪 に も 入ら ず 、遠く から 見て いる だけ でした。

お じいさん の おかみ さん は 病気 で 早く に なくなって 、一 人 息子 も 二 年 前 に 病気 で 死んで いました。

お じいさん は 毎日 、おかみ さん と 息子 の 小さな お 墓 に 、お参り する 事 だけ が 楽しみ でした。

「か か や 、息子 や 、早く お迎え に 来て け ろ や。 極楽 (ごくらく →天国 )さ 、連れて って け ろ や」

そう 言って 、いつまでも いつまでも 、お 墓 の 前 で 手 を 合わせて いる のでした。

やがて この 山里 に も 冬 が 来て 、お じいさん の 小さな 家 は 、すっぽり と 深い 雪 に 埋もれて しまいました。

冬 の 間中 、お じいさん は お 墓参り に も 出かけられ ず 、じっと 家 の 中 に 閉じこもって います。

正月 が 来て も 、もち を 買う お 金 も ありません。

ただ 冬 が 過ぎる の を 、待って いる だけ でした。

ある 晴れた 日 、さみし さ に 耐えられ なく なって 、お じいさん は 雪 に 埋まり ながら 、おかみ さん と 息子 に 会い に 出かけました。

お 墓 は 、すっかり 雪 に 埋まって います。

お じいさん は 、その お 墓 の 雪 を 手 で 払いのける と。

「さぶかった べ え。 おら の こさ えた 甘酒 だ。 これ 飲んで 温まって け ろ」

お じいさん は 甘酒 を 供えて 、お 墓 の 前 で 長い 事 、話しかけて いました。

帰る 頃 に は 、もう 日 も 暮れて いました。

暗い 夜道 を 歩く お じいさん の 耳 に 、子ども たち の 声 が 聞こえて きます。

「鬼 は ~、外! 福 は ~、内!

「鬼 は ~、外! 福 は ~、内!

お じいさん は 足 を 止めて 、辺り を 見回しました。

どの 家 に も 明かり が ともって 、楽し そうな 声 が します。

「ほう 、今夜 は 節分 (せつぶん )じゃった か」

お じいさん は 、息子 が 元気 だった 頃 の 節分 を 思い出しました。

鬼 の 面 を かぶった お じいさん に 、息子 が 豆 を 投げつけます。

息子 に 投げつけられた 豆 の 痛 さ も 、今では 楽しい 思い出 です。

お じいさん は 家 に 帰る と 、押し入れ の 中 から 古い つづら を 出しました。

「おお 、あった ぞ」

「むかし 、息子 と まいた 節分 の 豆 じゃあ。 ああ それ に 、これ は 息子 が わし に 作って くれた 鬼 の 面 じゃ」

思い出 の 面 を つけた じいさん は 、ある 事 を 思いつきました。

「おっか あ も 、可愛い 息子 も 、もうい ねえ。 まして や 、福 の 神 なん ざ に ゃ 、とっくに 見放されて おる」

こう 思った お じいさん は 、鬼 の 面 を かぶって 豆 を まき 始めました。

「鬼 は ~内 、福 は ~外。 鬼 は ~内 、福 は ~外」

お じいさん は 、わざと アベコベ に 叫んで 豆 を まきました。

「鬼 は ~内 、福 は ~外」

もう 、まく 豆 が なくなって 、ヘタヘタ と 座り込んで しまいました。

その 時 、お じいさん の 家 に 誰 か が やって 来ました。

「お ばん で ー す。 お ばん です」

「誰 だ? おら の 家 に 、何 か 用 だ か?

お じいさん は 、戸 を 開けて ビックリ。

「わ あー ーっ!

そこ に いた の は 、赤 鬼 と 青 鬼 でした。

「いや ー 、どこ さ 行って も 、『鬼 は ~外 、鬼 は ~外 』って 、嫌われて ばかりで のう。

それなのに 、お前 の 家 で は 、『鬼 は ~内 』って 、呼んで くれた で な」

お じいさん は 震え ながら 、やっと の 事 で 言いました。

「す 、すると 、お め え さん たち は 節分 の 鬼?

「んだ 、んだ。 こんな うれしい 事 は ねえ。 まん ず あたら して け ろ」

と 、ズカズカ と 家 に 入り込んで 来ました。

「ま 、待って ろ や。 今 、たき ぎ を 持って 来る だに」

この 家 に 客 が 来た なんて 、何 年 ぶり の 事 でしょう。

たとえ 赤 鬼 と 青 鬼 でも 、お じいさん に は うれしい 客人 でした。

赤 鬼 と 青 鬼 と お じいさん が 、いろり に あたって いる と 、またまた 人 、いえ 、鬼 が 訪ねて 来ました。

「お ばん で ー す。 お ばん です」

「『鬼 は ~内 』って よばった 家 は 、ここ だ か の?

「お ーっ、ここ だ 、ここ だ」

「さむ さ む。 まずは 、あたら して もらう べ え」

ぞろぞろ 、ぞろぞろ 、それ から も 大勢 の 鬼 たち が 入って 来ました。

何と 節分 の 豆 に 追われた 鬼 が みんな 、お じいさん の 家 に 集まって 来た のです。

「何にも ない けん ど 、うんと 温まって け ろ や」

「うん 、あったけえ 、あったけえ」

お じいさん は 、いろり に まき を ドンドン くべました。

十分に 温まった 鬼 たち は 、お じいさん に 言いました。

「何 か お 礼 を したい が 、欲しい 物 は ない か?

「いやいや 、何も いら ねえ だ。 あんた ら に 喜んで もらえた だけ で 、おら 、うれしい だ あ」

「それ じゃあ 、おら たち の 気 が すま ねえ。 どう か 、望み を いうて くれ」

「そうかい。 じゃあ 、温かい 甘酒 で も あれば 、みんな で 飲める が のう」

「おお 、引き受けた ぞ」

「待って ろ や」

鬼 たち は 、あっという間 に 出て 行って しまいました が、

「待た せた のう」

しばらく する と 、甘酒 やら 、ごちそう やら 、その うえ お 金 まで 山ほど かかえて 、鬼 たち が 帰って 来ました。

たちまち 、大 宴会 の 始まり です。

「ほれ 、じいさん。 いっペえ 飲んで くれ や」

お じいさん も 、すっかり ご機嫌 です。

こんな 楽しい 夜 は 、おかみ さん や 息子 を なくして 以来 、始めて です。

鬼 たち と お じいさん は 、一緒に なって 大声 で 歌いました。

しばらく する と 、甘酒 やら 、ごちそう やら 、その うえ お 金 まで 山ほど かかえて 、鬼 たち が 帰って 来ました。

たちまち 、大 宴会 の 始まり です。

「ほれ 、じいさん。 いっペえ 飲んで くれ や」

お じいさん も 、すっかり ご機嫌です。

こんな 楽しい 夜 は 、おかみ さん や 息子 を なくして 以来 、始めて です。

鬼 たち と お じいさん は 、一緒に なって 大声 で 歌いました。

♪や ん れ 、ほん れ 、今夜 は ほん に 節分 か。

♪はずれ者 に も 、福 が ある。

♪や ん れ 、や ん れ さ。

♪はずれ者 に も 、春 が 来る。

大 宴会 は 盛り上がって 、歌え や 踊れ や の 大騒ぎ。

お じいさん も 鬼 の 面 を つけて 、踊り 出しました。

♪や ん れ 、やれ 、今夜 は 節分。

♪鬼 は ~内。

♪こいつ は 春 から 、鬼 は 内 ~っ。

鬼 たち は 、お じいさん の おかげ で 、楽しい 節分 を 過ごす 事 が 出来ました。

朝 に なる と 鬼 たち は、

また 来年 も 来る から と 上機嫌で 帰って 行きました。

お じいさん は 鬼 たち が 置いて いった お 金 で 、おかみ さん と 息子 の お 墓 を 立派な 物 に 直す と 、手 を 合わせ ながら 言いました。

「おら 、もう 少し 長生き する 事 に した だ。

来年 の 節分 に も 、鬼 たち を 呼ば ねば なら ねえ で なあ。

鬼 たち に 、そう 約束 し ただ で なあ」

お じいさん は そう 言う と 、晴れ晴れ した 顔 で 家 に 帰って 行きました。

おしまい


鬼 | 節分 の 鬼 おに|せつぶん||おに Oni | Oni of Setsubun Oni | Setsubun no Oni Oni | Setsubun no Oni Они | Setsubun no Oni 鬼 | 节分的鬼

むかし むかし 、ある 山里 に 、一 人 暮らし の お じいさん が いました。 |||やまざと||ひと|じん|くらし||||| Once upon a time, in a mountain village, there was an old man who lived alone.

この 山里 で は 今年 も 豊作 で 、秋 祭り で にぎわって いました が 、誰 も お じいさん を さそって くれる者 は おりません。 |やまざと|||ことし||ほうさく||あき|まつり|||||だれ||||||くれる もの|| This mountain village had a bountiful harvest this year as well, and the autumn festival was bustling with people, but no one invited the old man.

お じいさん は 祭り の 踊り の 輪 に も 入ら ず 、遠く から 見て いる だけ でした。 |||まつり||おどり||りん|||はいら||とおく||みて||| The old man didn't even join the dancing circle at the festival, just watching from afar.

お じいさん の おかみ さん は 病気 で 早く に なくなって 、一 人 息子 も 二 年 前 に 病気 で 死んで いました。 ||||||びょうき||はやく|||ひと|じん|むすこ||ふた|とし|ぜん||びょうき||しんで| My grandfather's wife passed away early due to illness, and my only son died of illness two years ago.

お じいさん は 毎日 、おかみ さん と 息子 の 小さな お 墓 に 、お参り する 事 だけ が 楽しみ でした。 |||まいにち||||むすこ||ちいさな||はか||おまいり||こと|||たのしみ| The only thing the grandfather looked forward to every day was visiting the small grave of his wife and son.

「か か や 、息子 や 、早く お迎え に 来て け ろ や。 |||むすこ||はやく|おむかえ||きて||| "Kakaya, son, hurry up and pick me up. 極楽 (ごくらく →天国 )さ 、連れて って け ろ や」 ごくらく||てんごく||つれて|||| Take me to paradise.”

そう 言って 、いつまでも いつまでも 、お 墓 の 前 で 手 を 合わせて いる のでした。 |いって||||はか||ぜん||て||あわせて|| Saying that, they would always put their hands together in front of the grave.

やがて この 山里 に も 冬 が 来て 、お じいさん の 小さな 家 は 、すっぽり と 深い 雪 に 埋もれて しまいました。 ||やまざと|||ふゆ||きて||||ちいさな|いえ||||ふかい|ゆき||うずもれて| Before long, winter had come to this mountain village, and the old man's small house was completely buried in deep snow.

冬 の 間中 、お じいさん は お 墓参り に も 出かけられ ず 、じっと 家 の 中 に 閉じこもって います。 ふゆ||まなか|||||はかまいり|||でかけられ|||いえ||なか||とじこもって| During the winter, the old man cannot go out even to visit his grave, so he stays locked up inside the house.

正月 が 来て も 、もち を 買う お 金 も ありません。 しょうがつ||きて||||かう||きむ|| Even when the New Year comes, I have no money to buy mochi.

ただ 冬 が 過ぎる の を 、待って いる だけ でした。 |ふゆ||すぎる|||まって||| I was just waiting for the winter to pass.

ある 晴れた 日 、さみし さ に 耐えられ なく なって 、お じいさん は 雪 に 埋まり ながら 、おかみ さん と 息子 に 会い に 出かけました。 |はれた|ひ||||たえられ||||||ゆき||うずまり|||||むすこ||あい||でかけました One fine day, he couldn't stand the loneliness anymore, and buried himself in the snow, he went out to see his wife and son.

お 墓 は 、すっかり 雪 に 埋まって います。 |はか|||ゆき||うずまって| The grave is completely buried in snow.

お じいさん は 、その お 墓 の 雪 を 手 で 払いのける と。 |||||はか||ゆき||て||はらいのける| The old man said that he would brush off the snow from the grave with his hand.

「さぶかった べ え。 さ ぶ かった|| "I'm sorry. おら の こさ えた 甘酒 だ。 ||こ さ||あまざけ| It's sweet sake that I made. これ 飲んで 温まって け ろ」 |のんで|あたたまって|| Drink this and warm up."

お じいさん は 甘酒 を 供えて 、お 墓 の 前 で 長い 事 、話しかけて いました。 |||あまざけ||そなえて||はか||ぜん||ながい|こと|はなしかけて| The old man offered amazake and talked to him for a long time in front of the grave.

帰る 頃 に は 、もう 日 も 暮れて いました。 かえる|ころ||||ひ||くれて| By the time I got home, it was already dark.

暗い 夜道 を 歩く お じいさん の 耳 に 、子ども たち の 声 が 聞こえて きます。 くらい|よみち||あるく||||みみ||こども|||こえ||きこえて| An old man walking down a dark street hears the voices of children.

「鬼 は ~、外! おに||がい "The demon is outside! 福 は ~、内! ふく||うち Fortune is ~, inside! "

「鬼 は ~、外! おに||がい "The demon is outside! 福 は ~、内! ふく||うち Fortune is ~, within!

お じいさん は 足 を 止めて 、辺り を 見回しました。 |||あし||とどめて|あたり||みまわしました The old man stopped and looked around.

どの 家 に も 明かり が ともって 、楽し そうな 声 が します。 |いえ|||あかり|||たのし|そう な|こえ|| Every house is lit up and you can hear happy voices.

「ほう 、今夜 は 節分 (せつぶん )じゃった か」 |こんや||せつぶん||| "Hmm, isn't it Setsubun tonight?"

お じいさん は 、息子 が 元気 だった 頃 の 節分 を 思い出しました。 |||むすこ||げんき||ころ||せつぶん||おもいだしました The old man remembered Setsubun when his son was healthy.

鬼 の 面 を かぶった お じいさん に 、息子 が 豆 を 投げつけます。 おに||おもて||||||むすこ||まめ||なげつけます A son throws beans at an old man wearing a demon mask.

息子 に 投げつけられた 豆 の 痛 さ も 、今では 楽しい 思い出 です。 むすこ||なげつけられた|まめ||つう|||いまでは|たのしい|おもいで| The pain of the beans thrown at my son is now a pleasant memory.

お じいさん は 家 に 帰る と 、押し入れ の 中 から 古い つづら を 出しました。 |||いえ||かえる||おしいれ||なか||ふるい|||だしました When the old man got home, he took out an old spell from the closet.

「おお 、あった ぞ」 "Oh, there it is."

「むかし 、息子 と まいた 節分 の 豆 じゃあ。 |むすこ|||せつぶん||まめ| "Once upon a time, the Setsubun beans I threw with my son. ああ それ に 、これ は 息子 が わし に 作って くれた 鬼 の 面 じゃ」 |||||むすこ||||つくって||おに||おもて| Oh, and this is the demon mask my son made for me."

思い出 の 面 を つけた じいさん は 、ある 事 を 思いつきました。 おもいで||おもて||||||こと||おもいつきました When the old man put on the mask of memories, he had an idea.

「おっか あ も 、可愛い 息子 も 、もうい ねえ。 |||かわいい|むすこ||| "My mother and my lovely son are gone. まして や 、福 の 神 なん ざ に ゃ 、とっくに 見放されて おる」 ||ふく||かみ||||||みはなされて| What's more, the god of fortune has already abandoned me."

こう 思った お じいさん は 、鬼 の 面 を かぶって 豆 を まき 始めました。 |おもった||||おに||おもて|||まめ|||はじめました Thinking this, the old man put on a demon mask and started scattering beans.

「鬼 は ~内 、福 は ~外。 おに||うち|ふく||がい "Oni is ~inside, fortune is ~outside. 鬼 は ~内 、福 は ~外」 おに||うち|ふく||がい Oni are inside, fortune is outside.”

お じいさん は 、わざと アベコベ に 叫んで 豆 を まきました。 ||||||さけんで|まめ|| The old man purposely yelled at Abekobe to scatter beans.

「鬼 は ~内 、福 は ~外」 おに||うち|ふく||がい “Demons are inside, fortune is outside”

もう 、まく 豆 が なくなって 、ヘタヘタ と 座り込んで しまいました。 ||まめ|||||すわりこんで| I've run out of beans to throw, and I just sit down.

その 時 、お じいさん の 家 に 誰 か が やって 来ました。 |じ||||いえ||だれ||||きました At that time, someone came to my grandfather's house.

「お ばん で ー す。 |||-| "It's my aunt. お ばん です」 It's my aunt."

「誰 だ? だれ| "Who? おら の 家 に 、何 か 用 だ か? ||いえ||なん||よう|| Do you need something for my house?

お じいさん は 、戸 を 開けて ビックリ。 |||と||あけて|びっくり The old man was surprised when he opened the door.

「わ あー ーっ! ||-っ "Wah!

そこ に いた の は 、赤 鬼 と 青 鬼 でした。 |||||あか|おに||あお|おに| There was a red demon and a blue demon.

「いや ー 、どこ さ 行って も 、『鬼 は ~外 、鬼 は ~外 』って 、嫌われて ばかりで のう。 |-|||おこなって||おに||がい|おに||がい||きらわれて|| "No, no matter where I go, people always hate me, saying 'Demons are outside, demons are outside'.

それなのに 、お前 の 家 で は 、『鬼 は ~内 』って 、呼んで くれた で な」 |おまえ||いえ|||おに||うち||よんで||| And yet, at your house, you called me 'oni wa uchi'."

お じいさん は 震え ながら 、やっと の 事 で 言いました。 |||ふるえ||||こと||いいました Shivering, the old man finally spoke.

「す 、すると 、お め え さん たち は 節分 の 鬼? ||||||||せつぶん||おに "So, are you guys demons of Setsubun?

「んだ 、んだ。 "No, no. こんな うれしい 事 は ねえ。 ||こと|| There's no such thing as a happy thing. まん ず あたら して け ろ」 Come on, come on.”

と 、ズカズカ と 家 に 入り込んで 来ました。 |ずかずか||いえ||はいりこんで|きました With that, he rushed into the house.

「ま 、待って ろ や。 |まって|| "Wait, wait. 今 、たき ぎ を 持って 来る だに」 いま||||もって|くる| Now bring me the firewood."

この 家 に 客 が 来た なんて 、何 年 ぶり の 事 でしょう。 |いえ||きゃく||きた||なん|とし|||こと| It must have been years since a guest came to this house.

たとえ 赤 鬼 と 青 鬼 でも 、お じいさん に は うれしい 客人 でした。 |あか|おに||あお|おに|||||||きゃくじん| Even Red Demon and Blue Demon were happy guests for the old man.

赤 鬼 と 青 鬼 と お じいさん が 、いろり に あたって いる と 、またまた 人 、いえ 、鬼 が 訪ねて 来ました。 あか|おに||あお|おに|||||||||||じん||おに||たずねて|きました When the red demon, the blue demon, and the old man were sitting around the hearth, another human, no, a demon, came to visit them.

「お ばん で ー す。 |||-| "It's my aunt. お ばん です」 It's my aunt."

「『鬼 は ~内 』って よばった 家 は 、ここ だ か の? おに||うち|||いえ||||| "Is this the house called 'Oni-wa-nai'?

「お ーっ、ここ だ 、ここ だ」 |-っ|||| "Oh, here it is, here it is."

「さむ さ む。 "Sam Sam. まずは 、あたら して もらう べ え」 First of all, you should get it.”

ぞろぞろ 、ぞろぞろ 、それ から も 大勢 の 鬼 たち が 入って 来ました。 |||||おおぜい||おに|||はいって|きました More and more, more and more demons came in.

何と 節分 の 豆 に 追われた 鬼 が みんな 、お じいさん の 家 に 集まって 来た のです。 なんと|せつぶん||まめ||おわれた|おに||||||いえ||あつまって|きた| All the demons chased by the Setsubun beans have gathered at the old man's house.

「何にも ない けん ど 、うんと 温まって け ろ や」 なんにも|||||あたたまって||| "It's nothing, but it's really warmed up."

「うん 、あったけえ 、あったけえ」 |あったけ え|あったけ え "Yeah, it's warm, it's warm"

お じいさん は 、いろり に まき を ドンドン くべました。 |||||||どんどん| The old man threw firewood into the hearth.

十分に 温まった 鬼 たち は 、お じいさん に 言いました。 じゅうぶんに|あたたまった|おに||||||いいました The demons, who had warmed up enough, said to the old man.

「何 か お 礼 を したい が 、欲しい 物 は ない か? なん|||れい||||ほしい|ぶつ||| "I want to thank you for something, but is there anything you want?

「いやいや 、何も いら ねえ だ。 |なにも||| "No, I don't need anything. あんた ら に 喜んで もらえた だけ で 、おら 、うれしい だ あ」 |||よろこんで||||||| I'm happy just to make you happy."

「それ じゃあ 、おら たち の 気 が すま ねえ。 |||||き||| "Then we're sorry. どう か 、望み を いうて くれ」 ||のぞみ||いう て| Please tell me what you want."

「そうかい。 "Yes. じゃあ 、温かい 甘酒 で も あれば 、みんな で 飲める が のう」 |あたたかい|あまざけ||||||のめる|| Well then, if it's warm amazake, we can drink it together."

「おお 、引き受けた ぞ」 |ひきうけた| "Oh, I accepted."

「待って ろ や」 まって|| "Wait"

鬼 たち は 、あっという間 に 出て 行って しまいました が、 おに|||あっというま||でて|おこなって|| The demons left in no time,

「待た せた のう」 また|| "I made you wait"

しばらく する と 、甘酒 やら 、ごちそう やら 、その うえ お 金 まで 山ほど かかえて 、鬼 たち が 帰って 来ました。 |||あまざけ|||||||きむ||やまほど||おに|||かえって|きました After a while, the demons returned with amazake (sweet sake), feasts, and even a mountain of money.

たちまち 、大 宴会 の 始まり です。 |だい|えんかい||はじまり| In no time, the big party is about to begin.

「ほれ 、じいさん。 "Here, old man. いっペえ 飲んで くれ や」 いっペ え|のんで|| Come on, have a drink."

お じいさん も 、すっかり ご機嫌 です。 ||||ごきげん| Grandpa is in a good mood, too.

こんな 楽しい 夜 は 、おかみ さん や 息子 を なくして 以来 、始めて です。 |たのしい|よ|||||むすこ|||いらい|はじめて| I haven't had such a fun night since I lost my wife and son.

鬼 たち と お じいさん は 、一緒に なって 大声 で 歌いました。 おに||||||いっしょに||おおごえ||うたいました The demons and the old man got together and sang loudly.

しばらく する と 、甘酒 やら 、ごちそう やら 、その うえ お 金 まで 山ほど かかえて 、鬼 たち が 帰って 来ました。 |||あまざけ|||||||きむ||やまほど||おに|||かえって|きました After a while, the demons returned with amazake (sweet sake), feasts, and even a mountain of money.

たちまち 、大 宴会 の 始まり です。 |だい|えんかい||はじまり| In no time, the big banquet is about to begin.

「ほれ 、じいさん。 "Here, old man. いっペえ 飲んで くれ や」 いっペ え|のんで|| Come on, have a drink."

お じいさん も 、すっかり ご機嫌です。 ||||ごきげん です Grandpa is in a good mood, too.

こんな 楽しい 夜 は 、おかみ さん や 息子 を なくして 以来 、始めて です。 |たのしい|よ|||||むすこ|||いらい|はじめて| I haven't had such a fun night since I lost my wife and son.

鬼 たち と お じいさん は 、一緒に なって 大声 で 歌いました。 おに||||||いっしょに||おおごえ||うたいました The demons and the old man got together and sang aloud.

♪や ん れ 、ほん れ 、今夜 は ほん に 節分 か。 |||||こんや||||せつぶん| ♪Is it really Setsubun tonight?

♪はずれ者 に も 、福 が ある。 はずれ しゃ|||ふく|| ♪Even the outcasts have good fortune.

♪や ん れ 、や ん れ さ。 ♪Yanre, yanresa.

♪はずれ者 に も 、春 が 来る。 はずれ しゃ|||はる||くる ♪Spring will come even to the outcasts.

大 宴会 は 盛り上がって 、歌え や 踊れ や の 大騒ぎ。 だい|えんかい||もりあがって|うたえ||おどれ|||おおさわぎ The big banquet was lively, and there was a great fuss about singing and dancing.

お じいさん も 鬼 の 面 を つけて 、踊り 出しました。 |||おに||おもて|||おどり|だしました The old man also put on a demon mask and started dancing.

♪や ん れ 、やれ 、今夜 は 節分。 ||||こんや||せつぶん ♪ Tonight is Setsubun.

♪鬼 は ~内。 おに||うち ♪ The demon is inside.

♪こいつ は 春 から 、鬼 は 内 ~っ。 ||はる||おに||うち| ♪ This guy is from spring, and the demon is inside.

鬼 たち は 、お じいさん の おかげ で 、楽しい 節分 を 過ごす 事 が 出来ました。 おに||||||||たのしい|せつぶん||すごす|こと||できました Thanks to the grandfather, the demons were able to spend a happy Setsubun.

朝 に なる と 鬼 たち は、 あさ||||おに|| In the morning the demons

また 来年 も 来る から と 上機嫌で 帰って 行きました。 |らいねん||くる|||じょうきげんで|かえって|いきました I left in a good mood saying that I will come again next year.

お じいさん は 鬼 たち が 置いて いった お 金 で 、おかみ さん と 息子 の お 墓 を 立派な 物 に 直す と 、手 を 合わせ ながら 言いました。 |||おに|||おいて|||きむ|||||むすこ|||はか||りっぱな|ぶつ||なおす||て||あわせ||いいました The old man put his hands together and said that he would use the money left by the demons to restore the graves of his wife and son.

「おら 、もう 少し 長生き する 事 に した だ。 ||すこし|ながいき||こと||| "I decided to live a little longer.

来年 の 節分 に も 、鬼 たち を 呼ば ねば なら ねえ で なあ。 らいねん||せつぶん|||おに|||よば||||| I have to call the demons on next year's Setsubun as well.

鬼 たち に 、そう 約束 し ただ で なあ」 おに||||やくそく|||| That's what I promised the demons."

お じいさん は そう 言う と 、晴れ晴れ した 顔 で 家 に 帰って 行きました。 ||||いう||はればれ||かお||いえ||かえって|いきました After saying that, the old man went home with a happy face.

おしまい end