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1 - Harry Potter, 16.2 仕掛けられた 罠

16.2 仕掛けられた 罠

足音 以外 に 聞こえる の は 、 壁 を 伝い 落ちる 水滴 の かすかな 音 だけ だった 。 通路 は 下り坂 で 、 ハリー は グリンゴッツ を 思い出して いた 。 そう いえば 、 あの 魔法 銀行 で は ドラゴン が 金庫 を 守って いる と か …… ハリー の 心臓 に いやな 震え が 走った 。 もし ここ で ドラゴン に 出くわしたら 、 それ も 大人 の ドラゴン だったら 。 赤ん坊 の ノーバート だって 手 に 負えなかった のに ……。

「 何 か 聞こえ ない か ? 」 と ロン が 小声 で 言った 。

ハリー も 耳 を すました 。 前 の ほう から 、 柔らかく 擦れ 合う 音 や チリンチリン と いう 音 が 聞こえて きた 。

「 ゴースト かな ? 「 わから ない …… 羽 の 音 みたいに 聞こえる けど 」

「 前 の ほう に 光 が 見える …… 何 か 動いて いる 」

三 人 は 通路 の 出口 に 出た 。 目の前 に まばゆく 輝く 部屋 が 広がった 。 天井 は 高く アーチ 形 を して いる 。 宝石 の ように キラキラ と した 無数の 小鳥 が 、 部屋 いっぱい に 飛び回って いた 。 部屋 の 向こう側 に は 分厚い 木 の 扉 が あった 。

「 僕たち が 部屋 を 横切ったら 鳥 が 襲って くる んだろう か ? 」 と ロン が 聞いた 。

「 たぶん ね 。 そんなに 獰猛に は 見え ない けど 、 もし 全部 いっぺんに 飛びかかって きたら …… でも 、 ほか に 手段 は ない …… 僕 は 走る よ 」 と ハリー が 言った 。

大きく 息 を 吸い込み 、 腕 で 顔 を おおい 、 ハリー は 部屋 を かけ抜けた 。 いまにも 鋭い 嘴 や 爪 が 襲って くる かも しれ ない 、 と 思った が 何事 も 起こら なかった 。 ハリー は 無傷 で 扉 に たどり着いた 。 取っ手 を 引いて みた が 、 鍵 が かかって いた 。

ロン と ハーマイオニー が 続いて やってきた 。 三 人 で 押せ ども 引け ども 扉 は ビク と も し ない 。 ハーマイオニー が アロホモラ 呪文 を 試して みた が だめだった 。

「 どう する ? 」 ロン が 言った 。

「 鳥 よ …… 鳥 は ただ 飾り で ここ に いる んじゃ ない はずだ わ 」 と ハーマイオニー が 言った 。

三 人 は 頭上 高く 舞って いる 鳥 を 眺めた 。 輝いて いる ── 輝いて いる ?

「 鳥 じゃ ない んだ ! ハリー が 突然 言った 。

「 鍵 な んだ よ ! 羽 の ついた 鍵 だ 。 よく 見て ごらん 。 と いう こと は ……」

ハリー は 部屋 を 見渡した 。 他の 二 人 は 目 を 細めて 鍵 の 群れ を 見つめて いた 。

「…… よし 。 ほら ! 箒 だ ! ドア を 開ける 鍵 を 捕まえ なくちゃ いけない んだ ! 「 でも 、 何 百 羽 も いる よ ー 」 ロン は 扉 の 錠 を 調べた 。

「 大きくて 昔風 の 鍵 を 探す んだ …… たぶん 取っ手 と 同じ 銀 製 だ 」

三 人 は それぞれ 箒 を 取り 、 地面 を 蹴り 、 空中 へ と 鍵 の 雲 の まっただ中 へ と 舞い上がった 。 三 人 と も 捕もう と したり 、 引っかけよう と したり した が 、 魔法 が かけられた 鍵 たち は スイスイ と すばやく 飛び去り 、 急 降下 し 、 とても 捕まえる こと が でき なかった 。 しかし 、 ハリー は だてに 今 世紀 最 年少の シーカー を やって いる わけで は ない 。 他の 人 に は 見え ない もの を 見つける 能力 が ある 。 一 分 ほど 虹 色 の 羽 の 渦 の 中 を 飛び回って いる うち に 、 大きな 銀色 の 鍵 を 見つけた 。 一 度 捕まって 無理やり 鍵 穴 に 押し込ま れた か の ように 、 片方 の 羽 が 折れて いる 。

「 あれ だ ! 」 ハリー は 二 人 に 向かって 叫んだ 。

「 あの 大きい やつ だ …… そこ 、 違う よ 、 そこ だ よ …… 明るい ブルー の 羽 だ …… 羽 が 片方 、 ひん 曲がって いる 」

口 ン は ハリー の 指さす 方向 に 猛 スピード で 向かい 、 天井 に ぶつかって あやうく 箒 から 落ち そうに なった 。

「 三 人 で 追いこま なくちゃ ! 曲がった 羽 の 鍵 から 目 を 離さ ず に 、 ハリー が 呼びかけた 。

「 ロン 、 君 は 上 の 方 から 来て …… ハーマイオニー 、 君 は 下 に いて 降下 でき ない ように して おいて くれ 。 僕 が 捕まえて みる 。 それ 、 今 だ ! ロン が 急 降下 し 、 ハーマイオニー が 急 上昇 した 。 鍵 は 二 人 を かわした が 、 ハリー が 一直線 に 鍵 を 迫った。 鍵 は 壁 に 向かって スピード を 上げた 。 ハリー は 前屈み に なった 。 バリバリッ と いう いやな 音 が した か と 思う と 、 ハリー は 片手 で 鍵 を 石 壁 に 押さえつけて いた 。 ロン と ハーマイオニー の 歓声 が 部屋 中 に 響きわたった 。

三 人 は 大急ぎで 着地 し 、 ハリー は 手 の 中 で バタバタ もがいて いる 鍵 を しっかり つかんで 扉 に 向かって 走った 。 鍵 穴 に 突っ込んで 回す ── うまく いった 。 扉 が カチャリ と 開いた 。 その 瞬間 、 鍵 は また 飛び去った 。 二 度 も 捕まった ので 、 鍵 は ひどく 痛めつけられた 飛び 方 を した 。 「 いい かい ? 」 ハリー が 取っ手 に 手 を かけ ながら 二 人 に 声 を かけた 。 二 人 が うなずいた 。 ハリー が 引っ張る と 扉 が 開いた 。

次の 部屋 は 真っ暗で 何も 見え なかった 。 が 、 一 歩 中 に 入る と 、 突然 光 が 部屋 中 に あふれ 、 驚く べき 光景 が 目の前 に 広がった 。

大きな チェス 盤 が ある 。 三 人 は 黒い 駒 の 側 に 立って いた 。 チェス の 駒 は 三 人 より も 背 が 高く 、 黒い 石 の ような もの で できて いた 。 部屋 の ずっと むこう 側 に 、 こちら を 向いて 白い 駒 が 立って いた 。 三 人 は 少し 身震い した ── 見上げる ような 白い 駒 は みんな のっぺらぼう だった 。

「 さあ 、 どう したら いい んだろう ? 」 ハリー が ささやいた 。

「 見れば わかる よ 。 だろう ?

むこうに 行く に は チェス を し なくちゃ 」 と ロン が 言った 。

白い 駒 の 後ろ に 、 もう 一 つ の 扉 が 見えた 。

「 どう やる の ? 」 ハーマイオニー は 不安 そうだった 。

「 たぶん 、 僕たち が チェス の 駒 に なら なくちゃ いけない んだ 」 と ロン 。

ロン は 黒 の ナイト に 近づき 、 手 を 伸ばして 馬 に 触れた 。 する と 石 に 命 が 吹き込ま れた 。 馬 は 蹄 で 地面 を 掻き 、 兜 を かぶった ナイト が ロン を 見下ろした 。

「 僕たち …… あの …… むこうに 行く に は チェス に 参加 し なくちゃ いけません か ? 黒 の ナイト が うなずいた 。 ロン は 二 人 を 振り返った 。

「 ちょっと 考え させて ……」 と ロン が 言った 。

「 僕たち 三 人 が ひと つ ずつ 黒い 駒 の 役目 を し なくちゃ いけない んだ ……」

ハリー と ハーマイオニー は ロン が 考え を 巡らせて いる の を おとなしく 見て いた 。 しばらく して ロン が 言った 。

「 気 を 悪く し ないで くれよ 。 でも 二 人 と も チェス は あまり 上手 じゃ ない から ……」

「 気 を 悪く なんか する もん か 。 何 を したら いい の か 言って くれ 」 ハリー が 即座に 答えた 。

「 じゃ 、 ハリー 。 君 は ビショップ と かわって 。 ハーマイオニー は その 隣 で ルーク の かわり を する んだ 」

「 ロン は ? 「 僕 は ナイト に なる よ 」

チェス の 駒 は ロン の 言葉 を 聞いて いた ようだ 。 黒 の ナイト と ビショップ と ルーク が クルリ と 白 に 背 を 向け 、 チェス 盤 を 降りて 、 ハリー と ロン と ハーマイオニー に 持ち場 を 譲った 。

「 自 駒 が 先手 な んだ 」 と ロン が チェス 盤 の むこう 側 を のぞき ながら 言った 。 「 ほら … 見て …」

白 の ポーン が 二 つ 前 に 進んだ 。

ロン が 黒 駒 に 動き を 指示 し はじめた 。 駒 は ロン の 言う とおり 黙々と 動いた 。 ハリー は 膝 が 震えた 。 負けたら どう なる んだろう ?

「 ハリー 、 斜め 右 に 四 つ 進んで 」

ロン と 対 に なって いる 黒 の ナイト が 取られて しまった 時 が 最初の ショック だった 。 白 の クイーン が 黒 の ナイト を 床 に 叩きつけ 、 チェス 盤 の 外 に 引きずり出した のだ 。 ナイト は 身動き も せ ず 盤 外 に うつ伏せ に 横たわった 。

「 こう し なくちゃ なら なかった んだ 」

ロン が 震え ながら 言った 。

「 君 が あの ビショップ を 取る ため に 、 道 を 空け と か なきゃ なら なかった んだ 。 ハーマイオニー 、 さあ 、 進んで 」

白 は 、 黒 駒 を 取った 時 に 何の 情け も かけ なかった 。 しばらく する と 負傷 した 黒 駒 が 壁 際 に 累 々 と 積み上がった 。 ハリー と ハーマイオニー が 取ら れ そうに なって いる のに 、 ロン が 危機一髪 の ところ で 気づいた こと も 二 回 あった 。 ロン も チェス 盤上 を 走り回って 、 取ら れた と 同じ くらい の 自 駒 を 取った 。

「 詰め が 近い 」 ロン が 急に つぶやいた 。

「 ちょっと 待てよ ── うーん ……」

白 の クイーン が のっぺらぼう の 顔 を ロン に 向けた 。

「 やっぱり ……」 ロン が 静かに 言った 。

「 これ しか 手 は ない …… 僕 が 取ら れる しか 」

「 だめ ! ハリー と ハーマイオニー が 同時に 叫んだ 。

「 これ が チェス な んだ ! 」 ロン は きっぱり と 言った 。

「 犠牲 を 払わ なくちゃ ! 僕 が 一 駒 前進 する 。 そう する と クイーン が 僕 を 取る 。 ハリー 、 それ で 君 が 動ける ように なる から 、 キング に チェックメイト を かける んだ ! 「 でも ……」

「 スネイプ を 食い止めたい んだろう 。 違う の かい ? 「 ロン ……」

「 急が ない と 、 スネイプ が もう 『 石 』 を 手 に 入れて しまった かも しれ ない ぞ ! そう する しか ない 。

「 いい かい ? ロン が 青ざめた 顔 で 、 しかし きっぱり と 言った 。

「 じゃあ 、 僕 は 行く よ …… いい かい 、 勝ったら ここ で グズグズ して たら ダメだ ぞ 」

ロン が 前 に 出た 。 白 の クイーン が 飛びかかった 。 ロン の 頭 を 右 の 腕 で 殴りつけ 、 ロン は 床 に 倒れた ── ハーマイオニー が 悲鳴 を 上げた が 、 自分 の 持ち場 に 踏み留まった ── 白 の クイーン が ロン を 片隅 に 引きずって 行った 。 ロン は 気絶 して いる ようだった 。

震え ながら 、 ハリー は 三 つ 左 に 進んだ 。

そして 、 白 の キング は 王冠 を 脱ぎ 、 ハリー の 足元 に 投げ出した ── 勝った 。 チェス の 駒 は 左右 に 分かれ 、 前方 の 扉 へ の 道 を 空けて お辞儀 を した 。 もう 一 度 だけ ロン を 振り返り 、 ハリー と ハーマイオニー は 扉 に 突進 し 、 次の 通路 を 進んだ 。

「 もし ロン が ……? 「 大丈夫だ よ 」

ハリー が 自分 に 言い聞かせる ように 言った 。

「 次 は 何 だ と 思う ? 「 スプラウト は すんだ わ 。 悪魔 の 罠 だった …… 鍵 に 魔法 を かけた の は フリットウィック に 違いない …… チェス の 駒 を 変身 さ せて 命 を 吹き込んだ の は マクゴナガル だし …… と する と 、 残る は クィレル の 呪文 と スネイプ の ……」

二 人 は 次の 扉 に たどり着いた 。

「 いい かい ? と ハリー が ささやいた 。

「 開けて 」

ハリー が 扉 を 押し 開けた 。

むかつく ような 匂い が 鼻 を つき 、 二 人 は ローブ を 引っば り 上げて 鼻 を おおった 。 目 を しょぼつかせ ながら 見る と 、 前 に やっつけた の より も さらに 大きな トロール だった 。 頭 の こぶ は 血だらけ で 、 気絶 して 横たわって いた 。

「 今 こんな トロール と 戦わ なくて よかった 」

小山 の ような 足 を ソーッ と またぎ ながら 、 ハリー が つぶやいた 。

「 さあ 行こう 、 息 が 詰まり そうだ 」

ハリー は 次の 扉 を 開けた 。 何 が 出て くる か 、 二 人 と も まともに 見られ ない ような 気持 だった 。 が 、 何も 恐ろしい もの は なかった 。 ただ テーブル が あって 、 その 上 に 形 の 違う 七 つ の 瓶 が 一列 に 並んで いた 。

「 スネイプ だ 」

ハリー が 言った 。

「 何 を すれば いい んだろう 」

扉 の 敷居 を またぐ と 、 二 人 が 今 通って きた ばかりの 入口 で たちまち 火 が 燃え上がった 。 ただ の 火 で は ない 。 紫 の 炎 だ 。 同時に 前方 の ドア の 入り口 に も 黒い 炎 が 上がった 。 閉じ込められた 。 「 見て ! ハーマイオニー が 瓶 の 横 に 置かれて いた 巻紙 を 取り上げた 。 ハリー は ハーマイオニー の 肩 越し に その 紙 を 読んだ 。

前 に は 危険 後ろ は 安全

君 が 見つけ さえ すれば 二 つ が 君 を 救う だろう

七 つ の うち の 一 つ だけ 君 を 前進 さ せる だろう

別の 一 つ で 退却 の 道 が 開ける その 人 に

二 つ の 瓶 は イラクサ 酒

残る 三 つ は 殺人 者 列 に まぎれて 隠れて る

長々 居 たく ない ならば どれ か を 選んで みる が いい

君 が 選ぶ のに 役 に 立つ 四 つ の ヒント を 差し上げよう

まず 第 一 の ヒント だ が どんなに ずるく 隠れて も

毒 入り 瓶 の ある 場所 は いつも イラクサ 酒 の 左

第 二 の ヒント は 両端 の 二 つ の 瓶 は 種類 が 違う

君 が 前進 したい なら 二 つ の どちら も 友 で は ない 第 三 の ヒント は 見た とおり 七 つ の 瓶 は 大き さ が 違う 小人 も 巨人 も どちら に も 死 の 毒薬 は 入って ない 第 四 の ヒント は 双子 の 薬 ちょつと 見た目 は 違って も

左 端 から 二 番 目 と 右 の 端 から 二 番 目 の 瓶 の 中身 は 同じ 味

ハーマイオニー は ホーッ と 大きな ため 息 を ついた 。 なんと 、 ほほえんで いる 。 こんな 時 に 笑える なんて 、 と ハリー は 驚いた 。

「 すごい わ ! と ハーマイオニー が 言った 。

「 これ は 魔法 じゃ なくて 論理 よ 。 パズル だ わ 。 大 魔法使い と いわ れる ような 人って 、 論理 の かけら も ない 人 が たくさん いる の 。 そういう 人 は ここ で 永久 に 行き止まり だ わ 」

「 でも 僕たち も そう なって しまう んだろう ? 違う ? 「 もちろん 、 そう は なら ない わ 」 と ハーマイオニー が 言った 。

「 必要な こと は 全部 この 紙 に 書いて ある 。 七 つ の 瓶 が あって 、 三 つ は 毒薬 、 二 つ は お 酒 、 一 つ は 私 たち を 安全に 黒い 炎 の 中 を 通して くれ 、 一 つ は 紫 の 炎 を 通り抜けて 戻れる ように して くれる 」

「 でも 、 どれ を 飲んだら いい か 、 どう やったら わかる の ? 「 ちょっと だけ 待って 」

ハーマイオニー は 紙 を 何 回 か 読み 直した 。 それ から 、 ブツブツ 独り言 を つぶやいたり 、 瓶 を 指さしたり し ながら 、 瓶 の 列 に 沿って 行ったり 来たり した 。 そして ついに パチン と 手 を 打った 。

「 わかった わ 。 一 番 小さな 瓶 が 、 黒い 火 を 通り抜けて 『 石 』 の 方 へ 行か せて くれる 」

ハリー は その 小さな 瓶 を 見つめた 。

「 一 人 分 しか ない ね 。 ほんの 一口 しか ない よ 」

と ハリー が 言った 。

二 人 は 顔 を 見合わせた 。

「 紫 の 炎 を くぐって 戻れる ように する 薬 は どれ ? ハーマイオニー が 一 番 右 端に ある 丸い 瓶 を 指さした 。

「 君 が それ を 飲んで くれ 」 と ハリー が 言った 。

「 いい から 黙って 聞いて ほしい 。 戻って ロン と 合流 して くれ 。 それ から 鍵 が 飛び回って いる 部屋 に 行って 箒 に 乗る 。 そう すれば 仕掛け 扉 も フラッフィー も 飛び越えられる 。 まっすぐ ふくろう 小屋 に 行って 、 ヘドウィグ を ダンブルドア に 送って くれ 。 彼 が 必要な んだ 。 しばらく なら スネイプ を 食い止められる かも しれ ない けど 、 やっぱり 僕 じゃ かなわない はずだ 」 「 でも ハリー 、 もし 『 例の あの 人 』 が スネイプ と 一緒に いたら どう する の ? 「 そう だ な 。 僕 、 一 度 は 幸運 だった 。 そう だろう ? ハリー は 額 の 傷 を 指さした 。

「 だ から 二 度 目 も 幸運 かも しれ ない 」

ハーマイオニー は 唇 を 震わせ 、 突然 ハリー に かけより 、 両手 で 抱きついた 。

「 ハーマイオニー ! 「 ハリー 、 あなたって 、 偉大な 魔法使い よ 」 「 僕 、 君 に かなわない よ 」 ハーマイオニー が 手 を 離す と 、 ハリー は ドギマギ し ながら 言った 。 「 私 なんて ! 本 が 何 よ ! 頭 が いい なんて 何 よ ! もっと 大切な もの が ある の よ …… 友情 と か 勇気 と か …… ああ 、 ハリー 、 お 願い 、 気 を つけて ね ! 「 まず 君 から 飲んで 。 どの 瓶 が 何の 薬 か 、 自信 が ある んだ ね ? 「 絶対 よ 」

ハーマイオニー は 列 の 端に ある 大きな 丸い 瓶 を 飲み 手 し 、 身震い した 。

「 毒 じゃ ない んだろう ね ? ハリー が 心配 そうに 開いた 。

「 大丈夫 …… でも 氷 みたいな の 」

「 さあ 、 急いで 。 効き目 が 切れ ない うち に 」

「 幸運 を 祈って る わ 。 気 を つけて ね 」

「 はやく ! ハーマイオニー は きびす を 返して 、 紫 の 炎 の 中 を まっすぐに 進んで いった 。

ハリー は 深呼吸 し 、 小さな 瓶 を 取り上げ 、 黒い 炎 の 方 に 顔 を 向けた 。

「 行く ぞ 」 そう 言う と 、 ハリー は 小さな 瓶 を 一気に 飲み干した 。

まさに 冷たい 氷 が 体中 を 流れて いく ようだった 。 ハリー は 瓶 を 置き 、 歩き はじめた 。 気 を 引き締め 、 黒い 炎 の 中 を 進んだ 。 炎 が メラメラ と ハリー の 体 を なめた が 、 熱く は なかった 。 しばらく の 間 、 黒い 炎 しか 見え なかった …… が 、 とうとう 炎 の むこう 側 に 出た 。 そこ は 最後 の 部屋 だった 。

すでに 誰 か が そこ に いた 。 しかし ── それ は スネイプ で は なかった 。 ヴォルデモート で さえ も なかった 。

16.2 仕掛けられた 罠 しかけ られた|わな 16.2 Eingestellte Fallen. 16.2 The trap set 16.2 仕掛けられた 罠 16.2 Vallen ingesteld. 16.2 Zestaw pułapek. 16.2 Fällor utlagda. 16.2 陷阱設置

足音 以外 に 聞こえる の は 、 壁 を 伝い 落ちる 水滴 の かすかな 音 だけ だった 。 あしおと|いがい||きこえる|||かべ||つたい|おちる|すいてき|||おと|| Besides footsteps, the only thing that could be heard was the faint sound of water droplets running down the wall. 通路 は 下り坂 で 、 ハリー は グリンゴッツ を 思い出して いた 。 つうろ||くだりざか||||||おもいだして| The passage was downhill and Harry remembered Gringotts. そう いえば 、 あの 魔法 銀行 で は ドラゴン が 金庫 を 守って いる と か …… ハリー の 心臓 に いやな 震え が 走った 。 |||まほう|ぎんこう|||||きんこ||まもって||||||しんぞう|||ふるえ||はしった Come to think of it, there was a dragon guarding the vaults at the Wizarding Bank... a nasty shudder ran through Harry's heart. もし ここ で ドラゴン に 出くわしたら 、 それ も 大人 の ドラゴン だったら 。 |||||でくわしたら|||おとな||| If you come across a dragon here, if it's also an adult dragon. 赤ん坊 の ノーバート だって 手 に 負えなかった のに ……。 あかんぼう||||て||おえなかった| Even the baby Norbert couldn't handle it ...

「 何 か 聞こえ ない か ? なん||きこえ|| "Can't you hear anything? 」 と ロン が 小声 で 言った 。 |||こごえ||いった

ハリー も 耳 を すました 。 ||みみ|| Harry listened too. 前 の ほう から 、 柔らかく 擦れ 合う 音 や チリンチリン と いう 音 が 聞こえて きた 。 ぜん||||やわらかく|すれ|あう|おと|||||おと||きこえて| From the front, I could hear soft scraping and tinkling sounds.

「 ゴースト かな ? ごーすと| 「 わから ない …… 羽 の 音 みたいに 聞こえる けど 」 ||はね||おと||きこえる| "I don't know...it sounds like the sound of feathers."

「 前 の ほう に 光 が 見える …… 何 か 動いて いる 」 ぜん||||ひかり||みえる|なん||うごいて| "I see a light up ahead. ...... Something is moving."

三 人 は 通路 の 出口 に 出た 。 みっ|じん||つうろ||でぐち||でた The three of them went out the exit of the passage. 目の前 に まばゆく 輝く 部屋 が 広がった 。 めのまえ|||かがやく|へや||ひろがった A dazzling and shining room spread out in front of me. 天井 は 高く アーチ 形 を して いる 。 てんじょう||たかく|あーち|かた||| The ceiling is high and arched. 宝石 の ように キラキラ と した 無数の 小鳥 が 、 部屋 いっぱい に 飛び回って いた 。 ほうせき|||きらきら|||むすうの|ことり||へや|||とびまわって| Countless little birds, glittering like jewels, were flying around the room. 部屋 の 向こう側 に は 分厚い 木 の 扉 が あった 。 へや||むこうがわ|||ぶあつい|き||とびら|| There was a thick wooden door on the other side of the room.

「 僕たち が 部屋 を 横切ったら 鳥 が 襲って くる んだろう か ? ぼくたち||へや||よこぎったら|ちょう||おそって||| "Will the birds attack us if we cross the room? 」 と ロン が 聞いた 。 |||きいた Ron asked.

「 たぶん ね 。 そんなに 獰猛に は 見え ない けど 、 もし 全部 いっぺんに 飛びかかって きたら …… でも 、 ほか に 手段 は ない …… 僕 は 走る よ 」 と ハリー が 言った 。 |どうもうに||みえ||||ぜんぶ||とびかかって|||||しゅだん|||ぼく||はしる|||||いった It doesn't look so ferocious, but if it all jumps at once ... but there's no other way ... I'll run, "Harry said.

大きく 息 を 吸い込み 、 腕 で 顔 を おおい 、 ハリー は 部屋 を かけ抜けた 。 おおきく|いき||すいこみ|うで||かお|||||へや||かけぬけた Taking a deep breath and covering his face with his arms, Harry ran across the room. いまにも 鋭い 嘴 や 爪 が 襲って くる かも しれ ない 、 と 思った が 何事 も 起こら なかった 。 |するどい|くちばし||つめ||おそって||||||おもった||なにごと||おこら| I thought that a sharp beak or claws might attack at any moment, but nothing happened. ハリー は 無傷 で 扉 に たどり着いた 。 ||むきず||とびら||たどりついた Harry made it to the door unharmed. 取っ手 を 引いて みた が 、 鍵 が かかって いた 。 とって||ひいて|||かぎ||| I pulled the handle, but it was locked.

ロン と ハーマイオニー が 続いて やってきた 。 ||||つづいて| Ron and Hermione followed. 三 人 で 押せ ども 引け ども 扉 は ビク と も し ない 。 みっ|じん||おせ||ひけ||とびら|||||| The three of us pushed and pulled, but the door would not budge. ハーマイオニー が アロホモラ 呪文 を 試して みた が だめだった 。 |||じゅもん||ためして||| Hermione tried the Alohomora spell, but it failed.

「 どう する ? " what will you do ? 」 ロン が 言った 。 ||いった

「 鳥 よ …… 鳥 は ただ 飾り で ここ に いる んじゃ ない はずだ わ 」 と ハーマイオニー が 言った 。 ちょう||ちょう|||かざり||||||||||||いった "Birds ... Birds shouldn't be here just for decoration," Hermione said.

三 人 は 頭上 高く 舞って いる 鳥 を 眺めた 。 みっ|じん||ずじょう|たかく|まって||ちょう||ながめた The three looked at the birds soaring overhead. 輝いて いる ── 輝いて いる ? かがやいて||かがやいて| Shining -- Shining?

「 鳥 じゃ ない んだ ! ちょう||| "I'm not a bird! ハリー が 突然 言った 。 ||とつぜん|いった

「 鍵 な んだ よ ! かぎ||| 羽 の ついた 鍵 だ 。 はね|||かぎ| よく 見て ごらん 。 |みて| と いう こと は ……」 That means..."

ハリー は 部屋 を 見渡した 。 ||へや||みわたした 他の 二 人 は 目 を 細めて 鍵 の 群れ を 見つめて いた 。 たの|ふた|じん||め||ほそめて|かぎ||むれ||みつめて| The other two stared at the group of keys with narrowed eyes.

「…… よし 。 ほら ! 箒 だ ! そう| ドア を 開ける 鍵 を 捕まえ なくちゃ いけない んだ ! どあ||あける|かぎ||つかまえ||| I have to catch the key to open the door! 「 でも 、 何 百 羽 も いる よ ー 」 ロン は 扉 の 錠 を 調べた 。 |なん|ひゃく|はね||||-|||とびら||じょう||しらべた "But there are hundreds of them," Ron examined the lock on the door.

「 大きくて 昔風 の 鍵 を 探す んだ …… たぶん 取っ手 と 同じ 銀 製 だ 」 おおきくて|むかしふう||かぎ||さがす|||とって||おなじ|ぎん|せい| "Find a large, old-fashioned key...probably made of the same silver as the handle."

三 人 は それぞれ 箒 を 取り 、 地面 を 蹴り 、 空中 へ と 鍵 の 雲 の まっただ中 へ と 舞い上がった 。 みっ|じん|||そう||とり|じめん||けり|くうちゅう|||かぎ||くも||まっ ただなか|||まいあがった Each of the three took a broomstick, kicked off the ground, and soared into the air into the cloud of keys. 三 人 と も 捕もう と したり 、 引っかけよう と したり した が 、 魔法 が かけられた 鍵 たち は スイスイ と すばやく 飛び去り 、 急 降下 し 、 とても 捕まえる こと が でき なかった 。 みっ|じん|||ほ もう|||ひっかけよう|||||まほう||かけ られた|かぎ|||すいすい|||とびさり|きゅう|こうか|||つかまえる|||| All three tried to catch or hook them, but the magical keys swiftly flew away with Susui, plunged, and could not be caught very much. しかし 、 ハリー は だてに 今 世紀 最 年少の シーカー を やって いる わけで は ない 。 ||||いま|せいき|さい|ねんしょうの||||||| But Harry isn't the youngest Seeker of the century. 他の 人 に は 見え ない もの を 見つける 能力 が ある 。 たの|じん|||みえ||||みつける|のうりょく|| You have the ability to see what other people can't see. 一 分 ほど 虹 色 の 羽 の 渦 の 中 を 飛び回って いる うち に 、 大きな 銀色 の 鍵 を 見つけた 。 ひと|ぶん||にじ|いろ||はね||うず||なか||とびまわって||||おおきな|ぎんいろ||かぎ||みつけた After a minute or so of flying around in the swirl of iridescent feathers, I found a large silver key. 一 度 捕まって 無理やり 鍵 穴 に 押し込ま れた か の ように 、 片方 の 羽 が 折れて いる 。 ひと|たび|つかまって|むりやり|かぎ|あな||おしこま|||||かたほう||はね||おれて| One of the wings is broken, as if it had been caught and forced into the keyhole.

「 あれ だ ! "That's it! 」 ハリー は 二 人 に 向かって 叫んだ 。 ||ふた|じん||むかって|さけんだ

「 あの 大きい やつ だ …… そこ 、 違う よ 、 そこ だ よ …… 明るい ブルー の 羽 だ …… 羽 が 片方 、 ひん 曲がって いる 」 |おおきい||||ちがう|||||あかるい|ぶるー||はね||はね||かたほう||まがって| "That big guy ... there, no, there ... bright blue feathers ... one of the feathers is bent."

口 ン は ハリー の 指さす 方向 に 猛 スピード で 向かい 、 天井 に ぶつかって あやうく 箒 から 落ち そうに なった 。 くち|||||ゆびさす|ほうこう||もう|すぴーど||むかい|てんじょう||||そう||おち|そう に| Mouth scurried in the direction Harry was pointing, hitting the ceiling and nearly falling off his broom.

「 三 人 で 追いこま なくちゃ ! みっ|じん||おいこま| "The three of us have to catch up! 曲がった 羽 の 鍵 から 目 を 離さ ず に 、 ハリー が 呼びかけた 。 まがった|はね||かぎ||め||はなさ|||||よびかけた Harry called, keeping his eye on the Crooked Feather Key.

「 ロン 、 君 は 上 の 方 から 来て …… ハーマイオニー 、 君 は 下 に いて 降下 でき ない ように して おいて くれ 。 |きみ||うえ||かた||きて||きみ||した|||こうか|||||| "Ron, you're coming from above...Hermione, please stay below so we can't descend. 僕 が 捕まえて みる 。 ぼく||つかまえて| それ 、 今 だ ! |いま| ロン が 急 降下 し 、 ハーマイオニー が 急 上昇 した 。 ||きゅう|こうか||||きゅう|じょうしょう| Ron plummeted and Hermione soared. 鍵 は 二 人 を かわした が 、 ハリー が 一直線 に 鍵 を 迫った。 かぎ||ふた|じん||||||いっちょくせん||かぎ||せまった The key passed the two, but Harry followed the key in a straight line. 鍵 は 壁 に 向かって スピード を 上げた 。 かぎ||かべ||むかって|すぴーど||あげた The key sped up toward the wall. ハリー は 前屈み に なった 。 ||まえかがみ|| Harry leaned forward. バリバリッ と いう いやな 音 が した か と 思う と 、 ハリー は 片手 で 鍵 を 石 壁 に 押さえつけて いた 。 ||||おと|||||おもう||||かたて||かぎ||いし|かべ||おさえつけて| Harry was holding the key against the stone wall with one hand, wondering if there was a crunchy noise. ロン と ハーマイオニー の 歓声 が 部屋 中 に 響きわたった 。 ||||かんせい||へや|なか||ひびきわたった The cheers of Ron and Hermione echoed through the room.

三 人 は 大急ぎで 着地 し 、 ハリー は 手 の 中 で バタバタ もがいて いる 鍵 を しっかり つかんで 扉 に 向かって 走った 。 みっ|じん||おおいそぎで|ちゃくち||||て||なか|||||かぎ||||とびら||むかって|はしった The three landed in haste, and Harry grabbed hold of the wobbling key in his hand and ran for the door. 鍵 穴 に 突っ込んで 回す ── うまく いった 。 かぎ|あな||つっこんで|まわす|| Stick it in the keyhole and turn it - it worked. 扉 が カチャリ と 開いた 。 とびら||||あいた The door clicked open. その 瞬間 、 鍵 は また 飛び去った 。 |しゅんかん|かぎ|||とびさった At that moment, the key flew away again. 二 度 も 捕まった ので 、 鍵 は ひどく 痛めつけられた 飛び 方 を した 。 ふた|たび||つかまった||かぎ|||いためつけ られた|とび|かた|| I was caught twice, so the key flew badly hurt. 「 いい かい ? " Mind you ? 」 ハリー が 取っ手 に 手 を かけ ながら 二 人 に 声 を かけた 。 ||とって||て||||ふた|じん||こえ|| ' said Harry to them, his hand on the handle. 二 人 が うなずいた 。 ふた|じん|| The two nodded. ハリー が 引っ張る と 扉 が 開いた 。 ||ひっぱる||とびら||あいた Harry pulled and the door opened.

次の 部屋 は 真っ暗で 何も 見え なかった 。 つぎの|へや||まっくらで|なにも|みえ| The next room was pitch black and I couldn't see anything. が 、 一 歩 中 に 入る と 、 突然 光 が 部屋 中 に あふれ 、 驚く べき 光景 が 目の前 に 広がった 。 |ひと|ふ|なか||はいる||とつぜん|ひかり||へや|なか|||おどろく||こうけい||めのまえ||ひろがった However, when I took a step inside, light suddenly flooded the room, and an astonishing sight unfolded before my eyes.

大きな チェス 盤 が ある 。 おおきな||ばん|| 三 人 は 黒い 駒 の 側 に 立って いた 。 みっ|じん||くろい|こま||がわ||たって| The three of them stood by the black pawn. チェス の 駒 は 三 人 より も 背 が 高く 、 黒い 石 の ような もの で できて いた 。 ||こま||みっ|じん|||せ||たかく|くろい|いし|||||| The chess pieces were taller than the three and were made of something like a black stone. 部屋 の ずっと むこう 側 に 、 こちら を 向いて 白い 駒 が 立って いた 。 へや||||がわ||||むいて|しろい|こま||たって| Far across the room, facing you, stood a white pawn. 三 人 は 少し 身震い した ── 見上げる ような 白い 駒 は みんな のっぺらぼう だった 。 みっ|じん||すこし|みぶるい||みあげる||しろい|こま|||| The three of them shuddered a little--the white pawns looking up were all empty.

「 さあ 、 どう したら いい んだろう ? "Well, what should I do? 」 ハリー が ささやいた 。

「 見れば わかる よ 。 みれば|| "You can see it when you see it. だろう ?

むこうに 行く に は チェス を し なくちゃ 」 と ロン が 言った 。 |いく||||||||||いった You have to play chess to get over there,' said Ron.

白い 駒 の 後ろ に 、 もう 一 つ の 扉 が 見えた 。 しろい|こま||うしろ|||ひと|||とびら||みえた Behind the white piece, I saw another door.

「 どう やる の ? " how can I do ? 」 ハーマイオニー は 不安 そうだった 。 ||ふあん|そう だった Hermione looked worried.

「 たぶん 、 僕たち が チェス の 駒 に なら なくちゃ いけない んだ 」 と ロン 。 |ぼくたち||||こま||||||| "Maybe we should be chess pawns," said Ron.

ロン は 黒 の ナイト に 近づき 、 手 を 伸ばして 馬 に 触れた 。 ||くろ||||ちかづき|て||のばして|うま||ふれた Ron approached the black knight, reached out and touched the horse. する と 石 に 命 が 吹き込ま れた 。 ||いし||いのち||ふきこま| Then the stone came to life. 馬 は 蹄 で 地面 を 掻き 、 兜 を かぶった ナイト が ロン を 見下ろした 。 うま||ひづめ||じめん||かき|かぶと|||||||みおろした The horse scratched the ground with its hooves, and a helmed knight looked down at Ron.

「 僕たち …… あの …… むこうに 行く に は チェス に 参加 し なくちゃ いけません か ? ぼくたち|||いく|||||さんか|||いけ ませ ん| "Do we... um... have to play chess to get there? 黒 の ナイト が うなずいた 。 くろ|||| ロン は 二 人 を 振り返った 。 ||ふた|じん||ふりかえった Ron looked back at them.

「 ちょっと 考え させて ……」 と ロン が 言った 。 |かんがえ|さ せて||||いった "Let me think..." said Ron.

「 僕たち 三 人 が ひと つ ずつ 黒い 駒 の 役目 を し なくちゃ いけない んだ ……」 ぼくたち|みっ|じん|||||くろい|こま||やくめ||||| "Three of us have to play the role of black pieces one by one ..."

ハリー と ハーマイオニー は ロン が 考え を 巡らせて いる の を おとなしく 見て いた 。 ||||||かんがえ||めぐらせて|||||みて| Harry and Hermione quietly watched Ron pondering his thoughts. しばらく して ロン が 言った 。 ||||いった Ron said after a while.

「 気 を 悪く し ないで くれよ 。 き||わるく||| "Don't be offended. でも 二 人 と も チェス は あまり 上手 じゃ ない から ……」 |ふた|じん||||||じょうず||| But neither of us are very good at chess..."

「 気 を 悪く なんか する もん か 。 き||わるく|||| "I don't want to be offended. 何 を したら いい の か 言って くれ 」 ハリー が 即座に 答えた 。 なん||||||いって||||そくざに|こたえた Tell me what I should do," Harry replied promptly.

「 じゃ 、 ハリー 。 君 は ビショップ と かわって 。 きみ|||| You replaced the bishop. ハーマイオニー は その 隣 で ルーク の かわり を する んだ 」 |||となり||||||| Hermione will take Luke's place next to him."

「 ロン は ? 「 僕 は ナイト に なる よ 」 ぼく|||||

チェス の 駒 は ロン の 言葉 を 聞いて いた ようだ 。 ||こま||||ことば||きいて|| The chess pieces seem to have heard Ron's words. 黒 の ナイト と ビショップ と ルーク が クルリ と 白 に 背 を 向け 、 チェス 盤 を 降りて 、 ハリー と ロン と ハーマイオニー に 持ち場 を 譲った 。 くろ||||||||くるり||しろ||せ||むけ||ばん||おりて|||||||もちば||ゆずった The Black Knight, Bishop, and Rook turned their backs on Kururi and White, stepped off the chessboard, and gave way to Harry, Ron, and Hermione.

「 自 駒 が 先手 な んだ 」 と ロン が チェス 盤 の むこう 側 を のぞき ながら 言った 。 じ|こま||せんて|||||||ばん|||がわ||||いった "My piece is the first move," Ron said, looking into the other side of the chess board. 「 ほら … 見て …」 |みて "Look... look..."

白 の ポーン が 二 つ 前 に 進んだ 。 しろ||||ふた||ぜん||すすんだ The white pawn has moved forward two.

ロン が 黒 駒 に 動き を 指示 し はじめた 。 ||くろ|こま||うごき||しじ|| Ron began to instruct the black piece to move. 駒 は ロン の 言う とおり 黙々と 動いた 。 こま||||いう||もくもくと|うごいた The pieces moved silently, just as Ron had said. ハリー は 膝 が 震えた 。 ||ひざ||ふるえた Harry's knees buckled. 負けたら どう なる んだろう ? まけたら||| What will happen if we lose?

「 ハリー 、 斜め 右 に 四 つ 進んで 」 |ななめ|みぎ||よっ||すすんで "Harry, go four diagonally to the right."

ロン と 対 に なって いる 黒 の ナイト が 取られて しまった 時 が 最初の ショック だった 。 ||たい||||くろ||||とら れて||じ||さいしょの|しょっく| The first shock was when the black knight paired with Ron was taken. 白 の クイーン が 黒 の ナイト を 床 に 叩きつけ 、 チェス 盤 の 外 に 引きずり出した のだ 。 しろ||くいーん||くろ||||とこ||たたきつけ||ばん||がい||ひきずりだした| The white queen slammed the black knight on the floor and dragged it out of the chess board. ナイト は 身動き も せ ず 盤 外 に うつ伏せ に 横たわった 。 ||みうごき||||ばん|がい||うつぶせ||よこたわった Knight lay prone on the outside of the board without moving.

「 こう し なくちゃ なら なかった んだ 」 "I had to do this."

ロン が 震え ながら 言った 。 ||ふるえ||いった Ron said, trembling.

「 君 が あの ビショップ を 取る ため に 、 道 を 空け と か なきゃ なら なかった んだ 。 きみ|||||とる|||どう||あけ|||||| "I had to clear the way for you to take the bishop. ハーマイオニー 、 さあ 、 進んで 」 ||すすんで Hermione, go ahead."

白 は 、 黒 駒 を 取った 時 に 何の 情け も かけ なかった 。 しろ||くろ|こま||とった|じ||なんの|なさけ||| White had no mercy when he took the black piece. しばらく する と 負傷 した 黒 駒 が 壁 際 に 累 々 と 積み上がった 。 |||ふしょう||くろ|こま||かべ|さい||るい|||つみあがった After a while, the injured black pieces piled up on the wall. ハリー と ハーマイオニー が 取ら れ そうに なって いる のに 、 ロン が 危機一髪 の ところ で 気づいた こと も 二 回 あった 。 ||||とら||そう に||||||ききいっぱつ||||きづいた|||ふた|かい| Harry and Hermione were about to be taken, but Ron noticed twice at the end of the crisis. ロン も チェス 盤上 を 走り回って 、 取ら れた と 同じ くらい の 自 駒 を 取った 。 |||ばんじょう||はしりまわって|とら|||おなじ|||じ|こま||とった Ron also ran around on the chess board and took as many pieces as he had taken.

「 詰め が 近い 」 ロン が 急に つぶやいた 。 つめ||ちかい|||きゅうに| "It's close to stuffing," Ron suddenly muttered.

「 ちょっと 待てよ ── うーん ……」 |まてよ|

白 の クイーン が のっぺらぼう の 顔 を ロン に 向けた 。 しろ||くいーん||||かお||||むけた The white queen turned her face to Ron.

「 やっぱり ……」 ロン が 静かに 言った 。 |||しずかに|いった "I guess..." Ron said quietly.

「 これ しか 手 は ない …… 僕 が 取ら れる しか 」 ||て|||ぼく||とら|| "I have no choice but to take this ..."

「 だめ ! ハリー と ハーマイオニー が 同時に 叫んだ 。 ||||どうじに|さけんだ Harry and Hermione shouted at the same time.

「 これ が チェス な んだ ! This is chess! 」 ロン は きっぱり と 言った 。 ||||いった Ron was adamant.

「 犠牲 を 払わ なくちゃ ! ぎせい||はらわ| "I have to make a sacrifice! 僕 が 一 駒 前進 する 。 ぼく||ひと|こま|ぜんしん| I will move forward one piece. そう する と クイーン が 僕 を 取る 。 |||くいーん||ぼく||とる Then the queen will take me. ハリー 、 それ で 君 が 動ける ように なる から 、 キング に チェックメイト を かける んだ ! |||きみ||うごける||||きんぐ||||| Harry, it'll get you moving, so checkmate the king! 「 でも ……」

「 スネイプ を 食い止めたい んだろう 。 ||くいとめ たい| "I think I want to stop Snape. 違う の かい ? ちがう|| Is it wrong? 「 ロン ……」

「 急が ない と 、 スネイプ が もう 『 石 』 を 手 に 入れて しまった かも しれ ない ぞ ! いそが||||||いし||て||いれて||||| "If we don't hurry, Snape might already have the 'stone'! そう する しか ない 。 There is no choice but to do so.

「 いい かい ? "May I? ロン が 青ざめた 顔 で 、 しかし きっぱり と 言った 。 ||あおざめた|かお|||||いった Ron said with a pale face, but firmly.

「 じゃあ 、 僕 は 行く よ …… いい かい 、 勝ったら ここ で グズグズ して たら ダメだ ぞ 」 |ぼく||いく||||かったら|||ぐずぐず|||だめだ| "Then, I'm going ... okay, if you win, you shouldn't mess around here."

ロン が 前 に 出た 。 ||ぜん||でた Ron stepped forward. 白 の クイーン が 飛びかかった 。 しろ||くいーん||とびかかった The white queen pounced. ロン の 頭 を 右 の 腕 で 殴りつけ 、 ロン は 床 に 倒れた ── ハーマイオニー が 悲鳴 を 上げた が 、 自分 の 持ち場 に 踏み留まった ── 白 の クイーン が ロン を 片隅 に 引きずって 行った 。 ||あたま||みぎ||うで||なぐりつけ|||とこ||たおれた|||ひめい||あげた||じぶん||もちば||ふみとどまった|しろ||くいーん||||かたすみ||ひきずって|おこなった Hitting Ron's head with his right arm, Ron fell to the floor ── Hermione screamed, but stepped into his place ── the white queen dragged Ron to one corner. ロン は 気絶 して いる ようだった 。 ||きぜつ|||

震え ながら 、 ハリー は 三 つ 左 に 進んだ 。 ふるえ||||みっ||ひだり||すすんだ Shivering, Harry went three left.

そして 、 白 の キング は 王冠 を 脱ぎ 、 ハリー の 足元 に 投げ出した ── 勝った 。 |しろ||きんぐ||おうかん||ぬぎ|||あしもと||なげだした|かった And the White King took off his crown and threw it at Harry's feet—won. チェス の 駒 は 左右 に 分かれ 、 前方 の 扉 へ の 道 を 空けて お辞儀 を した 。 ||こま||さゆう||わかれ|ぜんぽう||とびら|||どう||あけて|おじぎ|| The chess piece was divided into left and right, and bowed with a way to the front door. もう 一 度 だけ ロン を 振り返り 、 ハリー と ハーマイオニー は 扉 に 突進 し 、 次の 通路 を 進んだ 。 |ひと|たび||||ふりかえり|||||とびら||とっしん||つぎの|つうろ||すすんだ With one more glance at Ron, Harry and Hermione dashed through the door and down the next hallway.

「 もし ロン が ……? "What if Ron...? 「 大丈夫だ よ 」 だいじょうぶだ|

ハリー が 自分 に 言い聞かせる ように 言った 。 ||じぶん||いいきかせる||いった Harry said to himself.

「 次 は 何 だ と 思う ? つぎ||なん|||おもう "What do you think is next? 「 スプラウト は すんだ わ 。 "I'm done with the sprout. 悪魔 の 罠 だった …… 鍵 に 魔法 を かけた の は フリットウィック に 違いない …… チェス の 駒 を 変身 さ せて 命 を 吹き込んだ の は マクゴナガル だし …… と する と 、 残る は クィレル の 呪文 と スネイプ の ……」 あくま||わな||かぎ||まほう|||||||ちがいない|||こま||へんしん|||いのち||ふきこんだ||||||||のこる||||じゅもん||| It was a devil's trap...it must have been Flitwick who enchanted the keys...it was McGonagall who transformed the chess pieces and brought them to life...so all that's left is Quirrell's spells. Snape's..."

二 人 は 次の 扉 に たどり着いた 。 ふた|じん||つぎの|とびら||たどりついた The two arrived at the next door.

「 いい かい ? " Mind you ? と ハリー が ささやいた 。 whispered Harry.

「 開けて 」 あけて "Open."

ハリー が 扉 を 押し 開けた 。 ||とびら||おし|あけた

むかつく ような 匂い が 鼻 を つき 、 二 人 は ローブ を 引っば り 上げて 鼻 を おおった 。 ||におい||はな|||ふた|じん||||ひ っば||あげて|はな|| A sickening smell hit their nostrils, and they pulled up their robes to cover their noses. 目 を しょぼつかせ ながら 見る と 、 前 に やっつけた の より も さらに 大きな トロール だった 。 め||しょ ぼつ か せ||みる||ぜん|||||||おおきな|| I rolled my eyes and saw that it was an even bigger troll than the one I had beaten before. 頭 の こぶ は 血だらけ で 、 気絶 して 横たわって いた 。 あたま||||ちだらけ||きぜつ||よこたわって| The hump on his head was full of blood, and he fainted and lay down.

「 今 こんな トロール と 戦わ なくて よかった 」 いま||||たたかわ|| "I'm glad I didn't have to fight this troll right now."

小山 の ような 足 を ソーッ と またぎ ながら 、 ハリー が つぶやいた 。 こやま|||あし|||||||| muttered Harry as he straddled his mountain-like legs.

「 さあ 行こう 、 息 が 詰まり そうだ 」 |いこう|いき||つまり|そう だ "Come on, let's go, I feel like I'm suffocating"

ハリー は 次の 扉 を 開けた 。 ||つぎの|とびら||あけた 何 が 出て くる か 、 二 人 と も まともに 見られ ない ような 気持 だった 。 なん||でて|||ふた|じん||||み られ|||きもち| It felt like neither of us could see what was going to happen. が 、 何も 恐ろしい もの は なかった 。 |なにも|おそろしい||| But there was nothing frightening. ただ テーブル が あって 、 その 上 に 形 の 違う 七 つ の 瓶 が 一列 に 並んで いた 。 |てーぶる||||うえ||かた||ちがう|なな|||びん||ひと れつ||ならんで| There was just a table on which seven bottles of different shapes were lined up in a row.

「 スネイプ だ 」

ハリー が 言った 。 ||いった

「 何 を すれば いい んだろう 」 なん|||| "What should I do?"

扉 の 敷居 を またぐ と 、 二 人 が 今 通って きた ばかりの 入口 で たちまち 火 が 燃え上がった 。 とびら||しきい||||ふた|じん||いま|かよって|||いりぐち|||ひ||もえあがった Straddling the threshold of the door, the fire immediately burned at the entrance where the two had just passed. ただ の 火 で は ない 。 ||ひ||| It's not just fire. 紫 の 炎 だ 。 むらさき||えん| It is a purple flame. 同時に 前方 の ドア の 入り口 に も 黒い 炎 が 上がった 。 どうじに|ぜんぽう||どあ||いりぐち|||くろい|えん||あがった At the same time, a black flame also rose from the entrance of the door ahead. 閉じ込められた 。 とじこめ られた Trapped . 「 見て ! みて ハーマイオニー が 瓶 の 横 に 置かれて いた 巻紙 を 取り上げた 。 ||びん||よこ||おか れて||まきがみ||とりあげた Hermione picked up a piece of paper that lay next to the bottle. ハリー は ハーマイオニー の 肩 越し に その 紙 を 読んだ 。 ||||かた|こし|||かみ||よんだ Harry read the paper over Hermione's shoulder.

前 に は 危険 後ろ は 安全 ぜん|||きけん|うしろ||あんぜん Dangerous in front and safe in back

君 が 見つけ さえ すれば 二 つ が 君 を 救う だろう きみ||みつけ|||ふた|||きみ||すくう| Wenn du sie nur finden könntest, würden die beiden dich retten. If you find it, two will save you

七 つ の うち の 一 つ だけ 君 を 前進 さ せる だろう なな|||||ひと|||きみ||ぜんしん||| Only one of the seven will move you forward

別の 一 つ で 退却 の 道 が 開ける その 人 に べつの|ひと|||たいきゃく||どう||あける||じん| Another one opens the way for retreat to that person

二 つ の 瓶 は イラクサ 酒 ふた|||びん|||さけ The two bottles are nettle liquor

残る 三 つ は 殺人 者 列 に まぎれて 隠れて る のこる|みっ|||さつじん|もの|れつ|||かくれて| The remaining three are hidden in a line of murderers

長々 居 たく ない ならば どれ か を 選んで みる が いい ながなが|い|||||||えらんで||| If you don't want to stay for a long time, choose one.

君 が 選ぶ のに 役 に 立つ 四 つ の ヒント を 差し上げよう きみ||えらぶ||やく||たつ|よっ|||ひんと||さしあげよう Here are four tips to help you make your choice

まず 第 一 の ヒント だ が どんなに ずるく 隠れて も |だい|ひと||ひんと|||||かくれて| First of all, the first hint is that no matter how cunningly you hide,

毒 入り 瓶 の ある 場所 は いつも イラクサ 酒 の 左 どく|はいり|びん|||ばしょ||||さけ||ひだり The poison bottle is always to the left of the nettle liquor .

第 二 の ヒント は 両端 の 二 つ の 瓶 は 種類 が 違う だい|ふた||ひんと||りょうたん||ふた|||びん||しゅるい||ちがう The second hint is that the two bottles at both ends are of different types.

君 が 前進 したい なら 二 つ の どちら も 友 で は ない   第 三 の ヒント は 見た とおり 七 つ の 瓶 は 大き さ が 違う   小人 も 巨人 も どちら に も 死 の 毒薬 は 入って ない きみ||ぜんしん|し たい||ふた|||||とも||||だい|みっ||ひんと||みた||なな|||びん||おおき|||ちがう|こびと||きょじん|||||し||どくやく||はいって| Wenn du weitergehen willst, sind zwei Doras nicht deine Freunde, und wie du gesehen hast, besteht der dritte Hinweis darin, dass die sieben Krüge unterschiedlich groß sind, und weder die Zwerge noch die Riesen noch die Doras enthalten das tödliche Gift. If you want to move forward, neither of the two are friends The third tip is, as you can see, the seven bottles are different sizes Neither the dwarfs nor the giants contain the poison of death 第 四 の ヒント は 双子 の 薬 ちょつと 見た目 は 違って も だい|よっ||ひんと||ふたご||くすり|ちょ つと|みため||ちがって| The fourth hint is that the twins may look different from each other.

左 端 から 二 番 目 と 右 の 端 から 二 番 目 の 瓶 の 中身 は 同じ 味 ひだり|はし||ふた|ばん|め||みぎ||はし||ふた|ばん|め||びん||なかみ||おなじ|あじ The contents of the second bottle from the left end and the second bottle from the right end have the same taste

ハーマイオニー は ホーッ と 大きな ため 息 を ついた 。 ||||おおきな||いき|| Hermione let out a big sigh of relief. なんと 、 ほほえんで いる 。 How, I'm smiling. こんな 時 に 笑える なんて 、 と ハリー は 驚いた 。 |じ||わらえる|||||おどろいた Harry was surprised that he could laugh at a time like this.

「 すごい わ ! と ハーマイオニー が 言った 。 |||いった

「 これ は 魔法 じゃ なくて 論理 よ 。 ||まほう|||ろんり| "This isn't magic, it's logic. パズル だ わ 。 ぱずる|| 大 魔法使い と いわ れる ような 人って 、 論理 の かけら も ない 人 が たくさん いる の 。 だい|まほうつかい|||||じん って|ろんり|||||じん|||| There are many people who are called great wizards, who have no shards of logic. そういう 人 は ここ で 永久 に 行き止まり だ わ 」 |じん||||えいきゅう||いきどまり|| People like that are dead ends here forever."

「 でも 僕たち も そう なって しまう んだろう ? |ぼくたち||||| "But are we going to be like that too? 違う ? ちがう 「 もちろん 、 そう は なら ない わ 」 と ハーマイオニー が 言った 。 |||||||||いった Of course not," Hermione said.

「 必要な こと は 全部 この 紙 に 書いて ある 。 ひつような|||ぜんぶ||かみ||かいて| Everything you need to know is on this paper. 七 つ の 瓶 が あって 、 三 つ は 毒薬 、 二 つ は お 酒 、 一 つ は 私 たち を 安全に 黒い 炎 の 中 を 通して くれ 、 一 つ は 紫 の 炎 を 通り抜けて 戻れる ように して くれる 」 なな|||びん|||みっ|||どくやく|ふた||||さけ|ひと|||わたくし|||あんぜんに|くろい|えん||なか||とおして||ひと|||むらさき||えん||とおりぬけて|もどれる||| There are seven jars, three for poisons, two for liquor, and one to let us safely pass through the black flame, and one to let us return through the purple flame.

「 でも 、 どれ を 飲んだら いい か 、 どう やったら わかる の ? |||のんだら|||||| "But how do you know which one to drink? 「 ちょっと だけ 待って 」 ||まって "Wait a minute"

ハーマイオニー は 紙 を 何 回 か 読み 直した 。 ||かみ||なん|かい||よみ|なおした Hermione read the paper several times. それ から 、 ブツブツ 独り言 を つぶやいたり 、 瓶 を 指さしたり し ながら 、 瓶 の 列 に 沿って 行ったり 来たり した 。 ||ぶつぶつ|ひとりごと|||びん||ゆびさしたり|||びん||れつ||そって|おこなったり|きたり| Then he went back and forth along the line of bottles, muttering soliloquy and pointing at the bottles. そして ついに パチン と 手 を 打った 。 ||||て||うった And finally I snapped my hand.

「 わかった わ 。 一 番 小さな 瓶 が 、 黒い 火 を 通り抜けて 『 石 』 の 方 へ 行か せて くれる 」 ひと|ばん|ちいさな|びん||くろい|ひ||とおりぬけて|いし||かた||いか|| The smallest bottle will let you go through the black fire to the 'stone'."

ハリー は その 小さな 瓶 を 見つめた 。 |||ちいさな|びん||みつめた

「 一 人 分 しか ない ね 。 ひと|じん|ぶん||| "There's only one. ほんの 一口 しか ない よ 」 |ひとくち||| There is only one bite. "

と ハリー が 言った 。 |||いった

二 人 は 顔 を 見合わせた 。 ふた|じん||かお||みあわせた The two looked at each other.

「 紫 の 炎 を くぐって 戻れる ように する 薬 は どれ ? むらさき||えん|||もどれる|||くすり|| "Which potion will allow you to return through the Violet Flame? ハーマイオニー が 一 番 右 端に ある 丸い 瓶 を 指さした 。 ||ひと|ばん|みぎ|はしたに||まるい|びん||ゆびさした Hermione pointed to the round bottle on the far right.

「 君 が それ を 飲んで くれ 」 と ハリー が 言った 。 きみ||||のんで|||||いった "You drink it," said Harry.

「 いい から 黙って 聞いて ほしい 。 ||だまって|きいて| "I want you to shut up and listen. 戻って ロン と 合流 して くれ 。 もどって|||ごうりゅう|| Please come back and join Ron. それ から 鍵 が 飛び回って いる 部屋 に 行って 箒 に 乗る 。 ||かぎ||とびまわって||へや||おこなって|そう||のる Then go to the room where the keys are flying around and get on the broomstick. そう すれば 仕掛け 扉 も フラッフィー も 飛び越えられる 。 ||しかけ|とびら||||とびこえ られる That way, you can jump over trap doors and Fluffy. まっすぐ ふくろう 小屋 に 行って 、 ヘドウィグ を ダンブルドア に 送って くれ 。 ||こや||おこなって|||||おくって| Go straight to Owl Hut and deliver Hedwig to Dumbledore. 彼 が 必要な んだ 。 かれ||ひつような| I need him しばらく なら スネイプ を 食い止められる かも しれ ない けど 、 やっぱり 僕 じゃ かなわない はずだ 」 「 でも ハリー 、 もし 『 例の あの 人 』 が スネイプ と 一緒に いたら どう する の ? ||||くいとめ られる||||||ぼく|||||||れいの||じん||||いっしょに|||| I might be able to stop Snape for a while, but I'm sure I can't do it. "" But Harry, what if "that person" was with Snape? 「 そう だ な 。 "That's right. 僕 、 一 度 は 幸運 だった 。 ぼく|ひと|たび||こううん| I was lucky once. そう だろう ? It would be so ? ハリー は 額 の 傷 を 指さした 。 ||がく||きず||ゆびさした Harry pointed to the scar on his forehead.

「 だ から 二 度 目 も 幸運 かも しれ ない 」 ||ふた|たび|め||こううん||| "So maybe we'll be lucky a second time."

ハーマイオニー は 唇 を 震わせ 、 突然 ハリー に かけより 、 両手 で 抱きついた 。 ||くちびる||ふるわせ|とつぜん||||りょうて||だきついた Hermione's lips trembled, and she suddenly swooped down on Harry and hugged him with both hands.

「 ハーマイオニー ! 「 ハリー 、 あなたって 、 偉大な 魔法使い よ 」 「 僕 、 君 に かなわない よ 」  ハーマイオニー が 手 を 離す と 、 ハリー は ドギマギ し ながら 言った 。 |あなた って|いだいな|まほうつかい||ぼく|きみ||||||て||はなす|||||||いった "Harry, you're a great wizard." "I'm no match for you," said Harry nervously as Hermione let go. 「 私 なんて ! わたくし| I can't believe I did that! 本 が 何 よ ! ほん||なん| What is a book! 頭 が いい なんて 何 よ ! あたま||||なん| How smart! もっと 大切な もの が ある の よ …… 友情 と か 勇気 と か …… ああ 、 ハリー 、 お 願い 、 気 を つけて ね ! |たいせつな||||||ゆうじょう|||ゆうき||||||ねがい|き||| There are more important things...friendship, courage...Oh, Harry, please, take care! 「 まず 君 から 飲んで 。 |きみ||のんで "First, drink from you. どの 瓶 が 何の 薬 か 、 自信 が ある んだ ね ? |びん||なんの|くすり||じしん|||| Are you sure about which bottle is which medicine? 「 絶対 よ 」 ぜったい|

ハーマイオニー は 列 の 端に ある 大きな 丸い 瓶 を 飲み 手 し 、 身震い した 。 ||れつ||はしたに||おおきな|まるい|びん||のみ|て||みぶるい| Hermione took a sip from the large round bottle at the end of the line and shuddered.

「 毒 じゃ ない んだろう ね ? どく|||| It's not poison, is it? ハリー が 心配 そうに 開いた 。 ||しんぱい|そう に|あいた Harry opened the door, looking worried.

「 大丈夫 …… でも 氷 みたいな の 」 だいじょうぶ||こおり|| "It's okay... but it's like ice."

「 さあ 、 急いで 。 |いそいで 効き目 が 切れ ない うち に 」 ききめ||きれ||| Before the effect is cut off. "

「 幸運 を 祈って る わ 。 こううん||いのって|| "I wish you luck. 気 を つけて ね 」 き|||

「 はやく ! ハーマイオニー は きびす を 返して 、 紫 の 炎 の 中 を まっすぐに 進んで いった 。 ||きび す||かえして|むらさき||えん||なか|||すすんで| Hermione turned and walked straight through the violet flame.

ハリー は 深呼吸 し 、 小さな 瓶 を 取り上げ 、 黒い 炎 の 方 に 顔 を 向けた 。 ||しんこきゅう||ちいさな|びん||とりあげ|くろい|えん||かた||かお||むけた Harry took a deep breath, picked up a small vial, and turned his face to the black flame.

「 行く ぞ 」 そう 言う と 、 ハリー は 小さな 瓶 を 一気に 飲み干した 。 いく|||いう||||ちいさな|びん||いっきに|のみほした "Let's go," Harry said, drinking the small bottle down in one gulp.

まさに 冷たい 氷 が 体中 を 流れて いく ようだった 。 |つめたい|こおり||たいちゅう||ながれて|| It was like cold ice was running down my body. ハリー は 瓶 を 置き 、 歩き はじめた 。 ||びん||おき|あるき| Harry put down the bottle and started walking. 気 を 引き締め 、 黒い 炎 の 中 を 進んだ 。 き||ひきしめ|くろい|えん||なか||すすんだ I braced myself and advanced through the black flames. 炎 が メラメラ と ハリー の 体 を なめた が 、 熱く は なかった 。 えん||めらめら||||からだ||||あつく|| Flames licked Mera and Harry's bodies, but they weren't hot. しばらく の 間 、 黒い 炎 しか 見え なかった …… が 、 とうとう 炎 の むこう 側 に 出た 。 ||あいだ|くろい|えん||みえ||||えん|||がわ||でた During the squeeze, I could only see the black flame ... but finally it came out to the other side of the flame. そこ は 最後 の 部屋 だった 。 ||さいご||へや| That was the last room.

すでに 誰 か が そこ に いた 。 |だれ||||| Someone was already there. しかし ── それ は スネイプ で は なかった 。 But--it wasn't Snape. ヴォルデモート で さえ も なかった 。 Not even Voldemort.