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コンビニ人間, 20.

20.

近所 の スーパー で 、もやし と 鶏肉 と キャベツ を 買って 帰る と 、白羽 さん が 見当たら なかった 。 ・・

食材 を 茹でる 準備 を しながら 、もしかしたら 白羽 さん は 出て行った の かも しれない な 、と 考えている と 、風呂場 から 物音 が した 。 ・・

「あれ 、白羽 さん ? いる んです か ? 」・・

風呂 場 を あける と 、白羽 さん が 洋服 を 着た まま 乾いた バスタブ の 中 に 座り 、タブレット で 動画 を 見ている ところ だった 。 ・・

「なんで ここ に いる んです か ? 」・・

「最初 は 押入れ に いた んです けど 、虫 が 出る んです よ 。 ここ なら 虫 は いない し 、落ち着いて 過ごせる んで 」・・

と 白羽 さん は 答えた 。 ・・

「今日 も 茹でた 野菜 です か ? 」・・

「ああ 、そう です 。 今日 は もやし と 鶏肉 と キャベツ に 火 を 通してます 」・・

「そう です か 」・・

白羽 さん が 俯いた まま 言った 。 ・・

「今日 、帰り 遅かった です ね 。 もう お腹 が すいてる んです けど 」・・

「あがろう と したら 、店長 と 泉 さん が 話しかけて きて 離して くれ なかった んです よ 。 店長 なんて 休日 出勤 な のに 、ずっと 店 に いて 。 白羽 さん を 飲み 会 に 連れて 来いって しつこく 言わ れました 」・・

「え ……ひょっとして 、僕 の こと 話した んですか ? 」・・

「ごめんなさい 、口 が 滑った んです 。 あ 、これ どうぞ 。 白羽 さん の 私物 と 給料 明細 、受け取って きました 」・・

「……そう です か ……」・・

白羽 さん は タブレット を 握りしめて 黙り 込んだ 。 ・・

「隠して くれって 言った のに ……言って しまった んです ね 」・・

「ごめんなさい 、悪気 は なかった んです 」・・

「いや ……困る の は 古倉 さん です よ 」・・

「 え ? 」・・

何で 私 が 、と 首 を かしげた 。 ・・

「きっと 奴 ら は 、僕 を 引き摺り出して 叱ろう と する 。 けれど 僕 は 絶対 に 行かない 。 ここ に 隠れ 続ける 。 そう したら 、次に 叱られる のは 、古倉さん 、あなた です よ 」・・

「 私 ……? 」・・

「何で 無職 の 男 を 部屋 に 住まわ せて いる んだ 、共働き でも いい が 何で アルパイト な んだ 、結婚 は しない の か 、子供 は 作らない の か 、ちゃんと 仕事 しろ 、大人 として の 役割 を 果たせ ……みんな が あなた に 干渉 します よ 」・・

「今 まで 、お店 の 人 に そんな こと 言わ れた こと ない です よ 」・・

「それ は ね 、あんた が おかし すぎた から です よ 。 36歳 の 独身 の コンビニ アルバイト 店員 、しかも たぶん 処女 、毎日 やけに はりきって 声 を 張り上げて 、健康 そうな のに 就職 しよう と している 様子 も ない 。 あんた が 異物 で 、気持ち が 悪 すぎた から 、誰 も 言わ なかった だけ だ 。 陰 で は 言われて たんです よ 。 それ が 、これ から は 直接 言わ れ る だけ 」・・

「 え ……」・・

「普通 の 人間 って いう の は ね 、普通じゃ ない 人間 を 裁判 する のが 趣味 な んです よ 。 でも ね 、僕 を 追いだしたら 、ますます 皆 は あなた を 裁く 。 だから あなた は 僕 を 飼い 続ける しか ない んだ 」・・

白羽 さん は 薄く 笑った 。 ・・

「僕 は ずっと 復讐 し たかった んだ 。 女 という だけ で 寄生虫 に なる こと が 許されて いる 奴等 に 。 僕 自身 が 寄生虫 に なって やるって 、ずっと 思って いたんです よ 。 僕 は 意地でも 古倉さん に 寄生 し 続けます よ 」・・

私 は 白羽 さん が 何 を 言って いる の か さっぱり わから なかった 。 ・・

「白羽 さん 、それ より 餌 を 食べます か ? そろそろ 茹で 終わった ころ だ と 思います が 」・・

「ここ で 食べます 、持ってきて ください 」・・

白羽 さん が 言う ので 、私 は 茹でた 野菜 と 白い ご飯 を 皿 に 乗っけて 風呂場 に 運んだ 。 ・・

「そこ 、閉めて ください 」・・

白羽 さん が 言う ので 風呂場 の ドア は 閉め 、私 は 久しぶりに 一人 で テーブル に 座って 食事 を 始めた 。 ・・

自分 が 咀嚼 する 音 が やけに 大きく 聞こえた 。 さっき まで 、コンビニ の 「音 」の 中 に いた から かも しれない 。 目 を 閉じて 店 を 思い浮かべる と 、コンビニ の 音 が 鼓膜 の 内側 に 蘇って きた 。 ・・

それ は 音楽 の ように 、私 の 中 を 流れて いた 。 自分 の 中 に 刻まれた 、 コンビニ の 奏でる 、 コンビニ の 作動 する 音 の 中 を 揺蕩 ( たゆ た ) いながら 、 私 は 明日 、 また 働く ため に 、 目の前 の 餌 を 身体 に 詰め込んだ 。

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