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ぼくらの, Bokurano Episode 3

Bokurano Episode 3

♪~

~♪

( セミ の 鳴き声 )

( 鳥 の 鳴き声 )

( 狭山 ( さ やま ) ) 参考 に 話 を 聞く だけ だ から ね

( 狭山 ) 楽 に し て いい よ

( キリエ ) あっ はい

何 しろ 信じ られ ない 事件 な もの で ね

覚え て いる こと を ありのまま 話し て くれ れ ば いい から

( モジ ) はい

この 自然 学校 に 来 た の に は 何 か きっかけ が あった の か な ?

( カンジ ) 別に これ と いって ない けど

ひ ょっ と する と 参加 する と ―

内 申 が よく なったり する の ? ( キリエ ) ええ

どう だ ろ う 学校 に よって は ある ん じゃ ない です か ?

俺 は 関係ない けど

夏 休み った って やる こと ない から 出 た だけ で

人 に よって は “ ほか の 学校 に 友達 作 っと こ う ”

… み たい の も ある の か な

( ナカマ ) 最近 少しずつ 話せる よう に なって き まし た

( チズ ) 気晴らし … かな

授業 は 普通 です よ

“ ちょっと いい 環境 で 勉強 する ” み たい な

( 狭山 ) 女の子 目当て な ん じゃ ない の ?

まあ かわいい 子 も いる けど

… で 昨日 の 夜 は どこ へ 行って た の ?

あの … えっ と …

寝よ う と し たら 地震 が あって 怖く て 外 に 飛び出し た ん です

( マキ ) あの 民宿 木造 でしょ う ? つぶれる か と 思って

( ダイチ ) そ したら あの ロボット が 見え た ん です

( 狭山 ) なるほど

よく 見よ う と 思って 海 の 見える 所 まで 行き まし た

高 さ は 500 メートル くらい です よ

( 狭山 ) ああ … テレビ で そう 言って た ね

いえ 俺 分かる ん です

母 が 高層 建築 の 仕事 も し てる もの です から

へえ …

( アナウンサー ) 昨日 午後 9 時 55 分 ごろ

神奈川 県 御 友 島 ( み と も じ ま ) 海岸 に 巨大 怪獣 が 出現 し まし た

これ は その とき の 映像 です

( アンコ ) アア …

ンッ …

( アンコ ) 私 たち 怖く て どう し たら いい か 分から なく て …

( 刑事 ) そ っか 大変 だった ね

お 嬢ちゃん も 怖かった かい ?

( マチ ) よく 覚え て ない ん です

( ため息 )

( アナウンサー ) なお この 事件 で

今 の ところ 確認 さ れ て いる 犠牲 者 は ―

死者 2,130 人 負傷 者 213 人 行方 不明 者 …

誰 と 一緒 だった ?

はい えっ と …

門司 ( も じ ) 君 と 小高 ( こ だ か ) 君 と …

( カコ ) 本田 ( ほん だ ) さん と 切 江 ( き りえ ) 君 と …

宇 白 ( うしろ ) 君 と 吉川 ( よし か わ ) 君 と それ から …

え ~ っと …

和久 ( わく ) 君 !

それ は 和久 隆 ( たかし ) 君 の こと かい ?

( ウシロ ) その 14 人 です

ホント に ?

ええ 和久 君 は い ませ ん で し た

う ~ ん …

でも 同じ 部屋 だ ろ う ? 一緒 に 出かけ なかった の かい ?

( ウシロ ) 違う ! 軽く やった だけ だ 押し て ない !

信じ て くれよ !

本当 に 和久 君 は 一緒 じゃ なかった の ?

はい 彼 は サッカー ボール を 持って よく 1 人 で 出かける ん です よ

和久 君 は わりと 1 人 で 行動 する 人 だった って いう か

彼 いつも 元気 だ から

( 刑事 ) ええ ご 安心 ください こちら で 保護 し て おり ます

あっ いや 書類 を 作る だけ の 型どおり な 調べ だ と ―

刑事 さん は 言って おり まし た よ

( 刑事 ) ええ 是非 迎え に 来 て あげて ください お 願い し ます

はい … はい

( 刑事 ) 分かり まし た

( 刑事 ) 狭山 さん 取り調べ てる の って …

( 刑事 ) 事件 当時 2 度 と も 行方 不明 に なって た って いう ―

自然 学校 の 子供 たち 本部 から 回さ れ て き た ん だ よ

( 刑事 ) そんな 手伝い 仕事 の わりに 狭山 さん 随分 入れ 込 ん でる ね

( 刑事 ) うん … N 個別 に 聞き たい って 狭山 さん が ね

( 狭山 ) 実は ね

ほか に 和久 君 が 一緒 だった って 言って る 子 が いる ん だ けど な

( コダマ ) さあ ?

君 は 昨日 の 事件 で 何 人 死 ん だ か 知って る の かい ?

これ は 何 の ため の 尋問 です か ? 僕ら 未 成年 を 拘束 する 理由 は ?

保護 者 で ある 私 の 父 の 了解 は 取り まし た か ?

う ~ ん …

( 刑事 ) 狭山 さん ちょっと

そう か

( ドア の 閉まる 音 )

( ため息 )

門司 君 今 報告 が あって ね

和久 君 の 遺体 が 浜 に 打ち上げ られ た そう だ よ

アア …

( 狭山 ) 彼 に 何 が あった の か な ?

( コダマ ) 昨日 は 人 が たくさん 死 ん だ ん です よ ね ?

和久 君 も その 中 の ひと り に すぎ ない と 思い ます けど

ホント だ よ ! ホント に 俺 は 押し て ない ん だ !

みんな 信じ て くれよ !

分かった 分かった から 落ち 着こ う

みんな も 状況 を しっかり 把握 しよ う

そう で なきゃ 取り返し が つか なく なる

あの 高 さ じゃ 絶対 助から な いよ ね

でも ウシロ は 故意 に 押し て い ない 俺 は それ を 信じる

見 てりゃ 分かる だ ろ う 当然 だ

( 泣き声 )

うる せ え な 泣く な よ !

しょうがない でしょ う 当たり 前 よ

( 泣き声 )

( コモ ) やめよ う こんな の もう ゲーム なんか じゃ ない

見 て 分かる じゃ ない 人 が 死 ん でる の よ

( ヘリコプター の 音 )

( チズ ) この 分 だ と 町 の 被害 も 相当 だ よ ね

私 たち きっと 刑務所 に 入れ られ ちゃ う よ

そんな … おい どう す ん だ よ !

( コモ ) だ から 言って る じゃ ない やめる べき だって

事情 を 話し て … N ( カコ ) 今更 遅 ( おせ ) え だ ろ う !

でも きっと 死傷 者 も 大勢 いる ん だ から

自分 たち に 疑い が かけ られる こと は ない ん じゃ ない ?

もちろん 黙って い れ ば の 話 だ けど

そ … そうだ よ ! きっと そう だ !

ダメ よ ! だって 人 が 死 ん でる の よ そんな の 許さ れる わけない わ

( コダマ ) お前 ら バカ だ な

( 一同 ) えっ ?

死 ん だ ワク より も ―

生き て いる 俺 たち の こと を 考える べき だ ろ う

そ … そんな …

( ドア の 開く 音 ) あっ …

( 神岡 ) これ は これ は 古 茂 田 ( こも だ ) 議員 の お嬢さん で し た か

( 神岡 ) 何も 心配 いり ませ ん よ

迎え を よこし て くださる と 先ほど お 父上 から 電話 が あり まし た から ね

( コモ ) あの … N ( 神岡 ) はい ?

実は 私 たち あの ロボット に 乗って た ん です

私 たち が あれ を 操縦 し て た ん です

( 狭山 ) えっ ?

( セミ の 鳴き声 )

( アンコ ) あっ …

( アンコ ) ママ !

( コダマ ) 結局 自然 学校 は 中止 に なり

僕たち は それぞれ の 家 に 帰る こと に なった

けれど これ で 僕ら の ゲーム が 終わる わけ で は ない こと も ―

みんな 心 の 隅 に 忘れ て は い ない

( 殴る 音 ) 何 す ん だ よ !

( カコ の 姉 ) それ は こっち の セリフ でしょ う

何 やって ん の ( カコ ) うる せ え な

( 真一 ( しん いち ) ) 一体 何 が あった ん だ ?

あっ …

別に

( 真一 ) 心配 し た ぞ ( コダマ ) パパ は ?

分かって ん だ ろ う 仕事 だ よ

“ 別に 逮捕 さ れ た わけ じゃ ない ん だ ろ う ” って な

何 だ ? その メガネ

伊達 ( だて ) だ よ 頭 よ さ そう に 見える だ ろ う ?

バカ 言い や が って 行く ぞ

( チズ の 姉 ) チズ ちゃん 大丈夫 だった ?

うん

お 父さん と お 母さん も 心配 し てる よ

( チズ ) いい よ !

( 女性 ) お 母 さま も 心配 さ れ て い まし た よ

あの 人 は 俺 の こと を 心配 し たり し ない だ ろ う

( 女性 ) そんな こと は …

親父 ( おやじ ) さん 迎え に 来 ない の か ?

さっき “ 来 ない で いい から ” って 電話 し た ん だ よ

ふ ~ ん … そういう こと か 来い よ

ヤツ ら が 何 か を 隠し てる こと は 見え見え な ん だ が なぁ

( 刑事 ) でも だ から って ―

“ あの ロボット に 乗って い た ” と 言わ れ て も ねえ

( 狭山 ) フフッ …

( ドア の 開く 音 )

( 神岡 ) 狭山 君 捜査 資料 を 全て 彼ら に 渡し て くれ

一体 どなた です か ?

( 家政 婦 ) お かえり なさい ませ

ねえ パパ 何時ごろ 帰る かな

( 圭子 ( けいこ ) ) 今日 も きっと 遅い わ よ 今 大変 だ から

あっ …

ハァ …

ママ ( 圭子 ) うん ?

私 が あの ロボット に 乗って たって 言ったら 信じる ?

( 圭子 ) まさか

( ため息 )

( カンジ ) あと で メシ 食い に 上がって こい よ

( ウシロ ) ああ

( 明かり を つける 音 )

アア …

( ため息 )

( 水道 の 音 )

( うがい )

ンッ … N ( 舌打ち )

ハァ …

( 古 茂 田 ) う ~ ん …

まさか お前 たち が あの 騒ぎ に 関わって い た と は な

( コモ の 母親 ) あなた み たい な 子供 たち が ―

あんな 怪獣 み たい な 物 を 動かす なんて …

私 たち 最初 ゲーム だ と 思って た ん です

こんな こと に なる と 思って なかった ん です

でも もう 罪 の 償い を する 覚悟 は でき て ます

しかし な どちら に しろ ―

警察 に 話し た の で あれ ば 問題 ない だ ろ う

この 事件 は 政府 も 対策 本部 を 設置 し て ―

調査 に 乗り出し た と 聞い てる よ

お 父さん … N 私 の 言う こと 信じ て ない の ね ?

えっ ? ( コモ ) 私 が 今 まで 一 度 でも ―

ウソ を つい た こと が あり まし た か ? ( 古 茂 田 ) 分かった 分かった よ

お前 は 正直 で 優しい …

私 の 大事 な 娘 だ

約束 しよ う

私 から も 政府 の 動き を 探って みる それ で いい か ?

今 の 話 は 秘書 の ムカイ に ―

書き 取ら せ て おい た ほう が いい な ( 母親 ) はい

まだ いる だ ろ う 電話 し て み て くれ

( モジ ) もしもし マキ ? モジ です

今 話せる ?

うん … うん

告別 式 …

そ っか

( 電話 の 着信 音 )

( コモ ) はい 古 茂 田 です

( マキ ) マキ です コモ ? ( コモ ) ああ !

ごめん ね 遅く に ( コモ ) う うん どう し た の ?

あした ワク の お 葬式 な ん だ って ( コモ ) ああ …

コモ 行く よ ね ? ( コモ ) もちろん よ

ほか の みんな も 来る よ ね ?

( マキ ) 多分 モジ が 回し てる みたい だ から

( モジ ) じゃ あした 1 時 に 二子 ( ふたご ) 会館 の 前 で

OK

あと カンジ の とこ ウシロ いる ん だ よ ね ?

( カンジ ) ああ 伝え とく

ムリ し て 呼ば なく て いい と 思う けど

う ~ ん … 本人 しだい だ ろ う

そう だ ね じゃ よろしく

あっ … すみません

( ワク の 父親 ) ハァ …

あっ …

フフッ …

( アンコ ) モジ 君

みんな は ? ( モジ ) 来 てる よ あそこ

( マキ ) ウシロ は 来 ない ね

( ダイチ ) あいつ は しょうがない だ ろ う

正直 俺 も 来 たく なかった

ああ … 俺 も 早く 帰り て え な

( マキ たち ) ンッ …

( チズ ) 見 て

( 検視 官 ) … で その 内閣 官房 調査 室 さま と や ら が

一体 どの よう な 権限 で ここ の ホトケ を 調べよ う って いう の か ね ?

( 桂木 ( かつらぎ ) ) 超 法規 的 な 権限 です

フフッ …

その 超 法規 的 な 権限 と やら で ―

この 仕事 の 山 を 全部 持って って くれ たら

私 も 家 帰れ る よ

( 桂木 ) 和久 隆 の もの だけ で い い ん です

和久 隆 だって ? ( 桂木 ) おととい 溺死 体 で ―

ここ に 運ば れ て き た ろ う 捜し て くれ

溺死 じゃ ない ( 狭山 ) なん だって ?

和久 隆 は 溺れ 死 ん だ ん じゃ ない と 言って る ん だ

あ ~ もう 報告 書 出し てる はず だ よ ( 刑事 ) 届 い て ない ぞ

そう か 彼 を 調べ に 来 た の か

( 狭山 ) オオッ …

おい

( 読経 )

( 父親 ) 今日 は どうも ありがとう

みんな 自然 学校 の … N ( モジ ) ええ

あっ あの … この度 は 謹んで …

君 たち が 最後 に 隆 と 過ごし て くれ た の か

本当 に ありがとう

( 父親 の 泣き声 )

( 狭山 ) おかしい じゃ ない か

謎 の 多い 死体 を そんなに 早く 返し て しまう なんて

そら あんた の 家 で 預かって くれる っ つ うん だったら

取 っと い た さ

オッ ! あった あった

体 の 中 に 水 も 白色 細小 泡 沫 ( ほう まつ ) も 見 られ ない

挫 創 と 骨折 は 見 られ た が 明らか に 死後 の もの だ

つまり ?

ハァ … この 少年 は ―

波 に 巻か れる 前 に 死 ん で い た と いう こと だ よ

( 父親 ) 本日 は お 忙しい ところ を

息子 隆 の ため に お 集まり いただき まし て

誠に ありがとう ござい まし た

おかげ さま で 式 も 滞り なく 終了 し 出 棺 の 運び と なり まし た

( 泣き声 )

乱暴 者 で 元気 な だけ が 取り柄 の 息子 が ―

生前 どんなに か 皆さん に 迷惑 を かけ た か 分かり ませ ん

しかし 私 と いたし まして は 元気 な 息子 が 誇り で し た

今 思え ば もっと かまって やれ ば よかった と …

私 が 仕事 に 追わ れ て おり まし た もの です から …

( 泣き声 )

( 泣き声 )

ワク 君 … 死 ん だ ん だ ね

( 桂木 ) それ じゃ 死因 は 何 です か ?

それ が 分から ない ( 狭山 ) バカ な …

きれい な もん だった どこ を 見 て も 体 の 中 が きれい な ん だ

( 検視 官 ) ただ ひと つ だけ … N 彼 の 命 だけ が 消え て い た

( 燃える 音 )

( 燃える 音 )

( コダマ ) うん ?

俺 か

♪~

~♪

( コダマ ) 命 に は 2 通り ある

死 ん で いく 命 と 選ば れ て 生き残って いく 命 だ

次回 「 ぼくら の 」 “ 強 さ ”

俺 は その 選ば れ た 側 の 人間 に なる


Bokurano Episode 3

♪~

~♪

( セミ の 鳴き声 ) せみ||なきごえ

( 鳥 の 鳴き声 ) ちょう||なきごえ

( 狭山 ( さ やま ) ) 参考 に 話 を 聞く だけ だ から ね さやま|||さんこう||はなし||きく||||

( 狭山 ) 楽 に し て いい よ さやま|がく|||||

( キリエ ) あっ はい

何 しろ 信じ られ ない 事件 な もの で ね なん||しんじ|||じけん||||

覚え て いる こと を ありのまま 話し て くれ れ ば いい から おぼえ||||||はなし||||||

( モジ ) はい

この 自然 学校 に 来 た の に は 何 か きっかけ が あった の か な ? |しぜん|がっこう||らい|||||なん|||||||

( カンジ ) 別に これ と いって ない けど |べつに|||||

ひ ょっ と する と 参加 する と ― |||||さんか||

内 申 が よく なったり する の ? ( キリエ ) ええ うち|さる|||||||

どう だ ろ う 学校 に よって は ある ん じゃ ない です か ? ||||がっこう|||||||||

俺 は 関係ない けど おれ||かんけいない|

夏 休み った って やる こと ない から 出 た だけ で なつ|やすみ|||||||だ|||

人 に よって は “ ほか の 学校 に 友達 作 っと こ う ” じん||||||がっこう||ともだち|さく|||

… み たい の も ある の か な

( ナカマ ) 最近 少しずつ 話せる よう に なって き まし た |さいきん|すこしずつ|はなせる||||||

( チズ ) 気晴らし … かな |きばらし|

授業 は 普通 です よ じゅぎょう||ふつう||

“ ちょっと いい 環境 で 勉強 する ” み たい な ||かんきょう||べんきょう||||

( 狭山 ) 女の子 目当て な ん じゃ ない の ? さやま|おんなのこ|めあて|||||

まあ かわいい 子 も いる けど ||こ|||

… で 昨日 の 夜 は どこ へ 行って た の ? |きのう||よ||||おこなって||

あの … えっ と …

寝よ う と し たら 地震 が あって 怖く て 外 に 飛び出し た ん です ねよ|||||じしん|||こわく||がい||とびだし|||

( マキ ) あの 民宿 木造 でしょ う ? つぶれる か と 思って まき||みんしゅく|もくぞう||||||おもって

( ダイチ ) そ したら あの ロボット が 見え た ん です ||||ろぼっと||みえ|||

( 狭山 ) なるほど さやま|

よく 見よ う と 思って 海 の 見える 所 まで 行き まし た |みよ|||おもって|うみ||みえる|しょ||いき||

高 さ は 500 メートル くらい です よ たか|||めーとる|||

( 狭山 ) ああ … テレビ で そう 言って た ね さやま||てれび|||いって||

いえ 俺 分かる ん です |おれ|わかる||

母 が 高層 建築 の 仕事 も し てる もの です から はは||こうそう|けんちく||しごと||||||

へえ …

( アナウンサー ) 昨日 午後 9 時 55 分 ごろ あなうんさー|きのう|ごご|じ|ぶん|

神奈川 県 御 友 島 ( み と も じ ま ) 海岸 に 巨大 怪獣 が 出現 し まし た かながわ|けん|ご|とも|しま||||||かいがん||きょだい|かいじゅう||しゅつげん|||

これ は その とき の 映像 です |||||えいぞう|

( アンコ ) アア …

ンッ …

( アンコ ) 私 たち 怖く て どう し たら いい か 分から なく て … |わたくし||こわく|||||||わから||

( 刑事 ) そ っか 大変 だった ね けいじ|||たいへん||

お 嬢ちゃん も 怖かった かい ? |じょうちゃん||こわかった|

( マチ ) よく 覚え て ない ん です まち||おぼえ||||

( ため息 ) ためいき

( アナウンサー ) なお この 事件 で あなうんさー|||じけん|

今 の ところ 確認 さ れ て いる 犠牲 者 は ― いま|||かくにん|||||ぎせい|もの|

死者 2,130 人 負傷 者 213 人 行方 不明 者 … ししゃ|じん|ふしょう|もの|じん|ゆくえ|ふめい|もの

誰 と 一緒 だった ? だれ||いっしょ|

はい えっ と …

門司 ( も じ ) 君 と 小高 ( こ だ か ) 君 と … もじ|||きみ||こだか||||きみ|

( カコ ) 本田 ( ほん だ ) さん と 切 江 ( き りえ ) 君 と … |ほんた|||||せつ|こう|||きみ|

宇 白 ( うしろ ) 君 と 吉川 ( よし か わ ) 君 と それ から … う|しろ||きみ||きちかわ||||きみ|||

え ~ っと …

和久 ( わく ) 君 ! かずひさ||きみ

それ は 和久 隆 ( たかし ) 君 の こと かい ? ||かずひさ|たかし||きみ|||

( ウシロ ) その 14 人 です ||じん|

ホント に ? ほんと|

ええ 和久 君 は い ませ ん で し た |かずひさ|きみ|||||||

う ~ ん …

でも 同じ 部屋 だ ろ う ? 一緒 に 出かけ なかった の かい ? |おなじ|へや||||いっしょ||でかけ|||

( ウシロ ) 違う ! 軽く やった だけ だ 押し て ない ! |ちがう|かるく||||おし||

信じ て くれよ ! しんじ||

本当 に 和久 君 は 一緒 じゃ なかった の ? ほんとう||かずひさ|きみ||いっしょ|||

はい 彼 は サッカー ボール を 持って よく 1 人 で 出かける ん です よ |かれ||さっかー|ぼーる||もって||じん||でかける|||

和久 君 は わりと 1 人 で 行動 する 人 だった って いう か かずひさ|きみ|||じん||こうどう||じん||||

彼 いつも 元気 だ から かれ||げんき||

( 刑事 ) ええ ご 安心 ください こちら で 保護 し て おり ます けいじ|||あんしん||||ほご||||

あっ いや 書類 を 作る だけ の 型どおり な 調べ だ と ― ||しょるい||つくる|||かたどおり||しらべ||

刑事 さん は 言って おり まし た よ けいじ|||いって||||

( 刑事 ) ええ 是非 迎え に 来 て あげて ください お 願い し ます けいじ||ぜひ|むかえ||らい|||||ねがい||

はい … はい

( 刑事 ) 分かり まし た けいじ|わかり||

( 刑事 ) 狭山 さん 取り調べ てる の って … けいじ|さやま||とりしらべ|||

( 刑事 ) 事件 当時 2 度 と も 行方 不明 に なって た って いう ― けいじ|じけん|とうじ|たび|||ゆくえ|ふめい|||||

自然 学校 の 子供 たち 本部 から 回さ れ て き た ん だ よ しぜん|がっこう||こども||ほんぶ||まわさ|||||||

( 刑事 ) そんな 手伝い 仕事 の わりに 狭山 さん 随分 入れ 込 ん でる ね けいじ||てつだい|しごと|||さやま||ずいぶん|いれ|こみ|||

( 刑事 ) うん …\ N 個別 に 聞き たい って 狭山 さん が ね けいじ|||こべつ||きき|||さやま|||

( 狭山 ) 実は ね さやま|じつは|

ほか に 和久 君 が 一緒 だった って 言って る 子 が いる ん だ けど な ||かずひさ|きみ||いっしょ|||いって||こ||||||

( コダマ ) さあ ?

君 は 昨日 の 事件 で 何 人 死 ん だ か 知って る の かい ? きみ||きのう||じけん||なん|じん|し||||しって|||

これ は 何 の ため の 尋問 です か ? 僕ら 未 成年 を 拘束 する 理由 は ? ||なん||||じんもん|||ぼくら|み|せいねん||こうそく||りゆう|

保護 者 で ある 私 の 父 の 了解 は 取り まし た か ? ほご|もの|||わたくし||ちち||りょうかい||とり|||

う ~ ん …

( 刑事 ) 狭山 さん ちょっと けいじ|さやま||

そう か

( ドア の 閉まる 音 ) どあ||しまる|おと

( ため息 ) ためいき

門司 君 今 報告 が あって ね もじ|きみ|いま|ほうこく|||

和久 君 の 遺体 が 浜 に 打ち上げ られ た そう だ よ かずひさ|きみ||いたい||はま||うちあげ|||||

アア …

( 狭山 ) 彼 に 何 が あった の か な ? さやま|かれ||なん|||||

( コダマ ) 昨日 は 人 が たくさん 死 ん だ ん です よ ね ? |きのう||じん|||し||||||

和久 君 も その 中 の ひと り に すぎ ない と 思い ます けど かずひさ|きみ|||なか||||||||おもい||

ホント だ よ ! ホント に 俺 は 押し て ない ん だ ! ほんと|||ほんと||おれ||おし||||

みんな 信じ て くれよ ! |しんじ||

分かった 分かった から 落ち 着こ う わかった|わかった||おち|きこ|

みんな も 状況 を しっかり 把握 しよ う ||じょうきょう|||はあく||

そう で なきゃ 取り返し が つか なく なる |||とりかえし||||

あの 高 さ じゃ 絶対 助から な いよ ね |たか|||ぜったい|たすから|||

でも ウシロ は 故意 に 押し て い ない 俺 は それ を 信じる |||こい||おし||||おれ||||しんじる

見 てりゃ 分かる だ ろ う 当然 だ み||わかる||||とうぜん|

( 泣き声 ) なきごえ

うる せ え な 泣く な よ ! ||||なく||

しょうがない でしょ う 当たり 前 よ しょうが ない|||あたり|ぜん|

( 泣き声 ) なきごえ

( コモ ) やめよ う こんな の もう ゲーム なんか じゃ ない ||||||げーむ|||

見 て 分かる じゃ ない 人 が 死 ん でる の よ み||わかる|||じん||し||||

( ヘリコプター の 音 ) へりこぷたー||おと

( チズ ) この 分 だ と 町 の 被害 も 相当 だ よ ね ||ぶん|||まち||ひがい||そうとう|||

私 たち きっと 刑務所 に 入れ られ ちゃ う よ わたくし|||けいむしょ||いれ||||

そんな … おい どう す ん だ よ !

( コモ ) だ から 言って る じゃ ない やめる べき だって |||いって||||||

事情 を 話し て …\ N ( カコ ) 今更 遅 ( おせ ) え だ ろ う ! じじょう||はなし||||いまさら|おそ|||||

でも きっと 死傷 者 も 大勢 いる ん だ から ||ししょう|もの||おおぜい||||

自分 たち に 疑い が かけ られる こと は ない ん じゃ ない ? じぶん|||うたがい|||||||||

もちろん 黙って い れ ば の 話 だ けど |だまって|||||はなし||

そ … そうだ よ ! きっと そう だ ! |そう だ||||

ダメ よ ! だって 人 が 死 ん でる の よ そんな の 許さ れる わけない わ だめ|||じん||し|||||||ゆるさ|||

( コダマ ) お前 ら バカ だ な |おまえ||ばか||

( 一同 ) えっ ? いちどう|

死 ん だ ワク より も ― し|||||

生き て いる 俺 たち の こと を 考える べき だ ろ う いき|||おれ|||||かんがえる||||

そ … そんな …

( ドア の 開く 音 ) あっ … どあ||あく|おと|

( 神岡 ) これ は これ は 古 茂 田 ( こも だ ) 議員 の お嬢さん で し た か かみおか|||||ふる|しげる|た|||ぎいん||おじょうさん||||

( 神岡 ) 何も 心配 いり ませ ん よ かみおか|なにも|しんぱい||||

迎え を よこし て くださる と 先ほど お 父上 から 電話 が あり まし た から ね むかえ||||||さきほど||ちちうえ||でんわ||||||

( コモ ) あの …\ N ( 神岡 ) はい ? |||かみおか|

実は 私 たち あの ロボット に 乗って た ん です じつは|わたくし|||ろぼっと||のって|||

私 たち が あれ を 操縦 し て た ん です わたくし|||||そうじゅう|||||

( 狭山 ) えっ ? さやま|

( セミ の 鳴き声 ) せみ||なきごえ

( アンコ ) あっ …

( アンコ ) ママ ! |まま

( コダマ ) 結局 自然 学校 は 中止 に なり |けっきょく|しぜん|がっこう||ちゅうし||

僕たち は それぞれ の 家 に 帰る こと に なった ぼくたち||||いえ||かえる|||

けれど これ で 僕ら の ゲーム が 終わる わけ で は ない こと も ― |||ぼくら||げーむ||おわる||||||

みんな 心 の 隅 に 忘れ て は い ない |こころ||すみ||わすれ||||

( 殴る 音 ) 何 す ん だ よ ! なぐる|おと|なん||||

( カコ の 姉 ) それ は こっち の セリフ でしょ う ||あね|||||せりふ||

何 やって ん の ( カコ ) うる せ え な なん||||||||

( 真一 ( しん いち ) ) 一体 何 が あった ん だ ? しんいち|||いったい|なん||||

あっ …

別に べつに

( 真一 ) 心配 し た ぞ ( コダマ ) パパ は ? しんいち|しんぱい|||||ぱぱ|

分かって ん だ ろ う 仕事 だ よ わかって|||||しごと||

“ 別に 逮捕 さ れ た わけ じゃ ない ん だ ろ う ” って な べつに|たいほ||||||||||||

何 だ ? その メガネ なん|||めがね

伊達 ( だて ) だ よ 頭 よ さ そう に 見える だ ろ う ? だて||||あたま|||||みえる|||

バカ 言い や が って 行く ぞ ばか|いい||||いく|

( チズ の 姉 ) チズ ちゃん 大丈夫 だった ? ||あね|||だいじょうぶ|

うん

お 父さん と お 母さん も 心配 し てる よ |とうさん|||かあさん||しんぱい|||

( チズ ) いい よ !

( 女性 ) お 母 さま も 心配 さ れ て い まし た よ じょせい||はは|||しんぱい|||||||

あの 人 は 俺 の こと を 心配 し たり し ない だ ろ う |じん||おれ||||しんぱい|||||||

( 女性 ) そんな こと は … じょせい|||

親父 ( おやじ ) さん 迎え に 来 ない の か ? おやじ|||むかえ||らい|||

さっき “ 来 ない で いい から ” って 電話 し た ん だ よ |らい||||||でんわ|||||

ふ ~ ん … そういう こと か 来い よ |||||こい|

ヤツ ら が 何 か を 隠し てる こと は 見え見え な ん だ が なぁ やつ|||なん|||かくし||||みえみえ|||||

( 刑事 ) でも だ から って ― けいじ||||

“ あの ロボット に 乗って い た ” と 言わ れ て も ねえ |ろぼっと||のって||||いわ||||

( 狭山 ) フフッ … さやま|

( ドア の 開く 音 ) どあ||あく|おと

( 神岡 ) 狭山 君 捜査 資料 を 全て 彼ら に 渡し て くれ かみおか|さやま|きみ|そうさ|しりょう||すべて|かれら||わたし||

一体 どなた です か ? いったい|||

( 家政 婦 ) お かえり なさい ませ かせい|ふ||||

ねえ パパ 何時ごろ 帰る かな |ぱぱ|いつごろ|かえる|

( 圭子 ( けいこ ) ) 今日 も きっと 遅い わ よ 今 大変 だ から けいこ||きょう|||おそい|||いま|たいへん||

あっ …

ハァ …

ママ ( 圭子 ) うん ? まま|けいこ|

私 が あの ロボット に 乗って たって 言ったら 信じる ? わたくし|||ろぼっと||のって||いったら|しんじる

( 圭子 ) まさか けいこ|

( ため息 ) ためいき

( カンジ ) あと で メシ 食い に 上がって こい よ |||めし|くい||あがって||

( ウシロ ) ああ

( 明かり を つける 音 ) あかり|||おと

アア …

( ため息 ) ためいき

( 水道 の 音 ) すいどう||おと

( うがい )

ンッ …\ N ( 舌打ち ) ||したうち

ハァ …

( 古 茂 田 ) う ~ ん … ふる|しげる|た||

まさか お前 たち が あの 騒ぎ に 関わって い た と は な |おまえ||||さわぎ||かかわって|||||

( コモ の 母親 ) あなた み たい な 子供 たち が ― ||ははおや|||||こども||

あんな 怪獣 み たい な 物 を 動かす なんて … |かいじゅう||||ぶつ||うごかす|

私 たち 最初 ゲーム だ と 思って た ん です わたくし||さいしょ|げーむ|||おもって|||

こんな こと に なる と 思って なかった ん です |||||おもって|||

でも もう 罪 の 償い を する 覚悟 は でき て ます ||ざい||つぐない|||かくご||||

しかし な どちら に しろ ―

警察 に 話し た の で あれ ば 問題 ない だ ろ う けいさつ||はなし||||||もんだい||||

この 事件 は 政府 も 対策 本部 を 設置 し て ― |じけん||せいふ||たいさく|ほんぶ||せっち||

調査 に 乗り出し た と 聞い てる よ ちょうさ||のりだし|||ききい||

お 父さん …\ N 私 の 言う こと 信じ て ない の ね ? |とうさん||わたくし||いう||しんじ||||

えっ ? ( コモ ) 私 が 今 まで 一 度 でも ― ||わたくし||いま||ひと|たび|

ウソ を つい た こと が あり まし た か ? ( 古 茂 田 ) 分かった 分かった よ うそ||||||||||ふる|しげる|た|わかった|わかった|

お前 は 正直 で 優しい … おまえ||しょうじき||やさしい

私 の 大事 な 娘 だ わたくし||だいじ||むすめ|

約束 しよ う やくそく||

私 から も 政府 の 動き を 探って みる それ で いい か ? わたくし|||せいふ||うごき||さぐって|||||

今 の 話 は 秘書 の ムカイ に ― いま||はなし||ひしょ|||

書き 取ら せ て おい た ほう が いい な ( 母親 ) はい かき|とら|||||||||ははおや|

まだ いる だ ろ う 電話 し て み て くれ |||||でんわ|||||

( モジ ) もしもし マキ ? モジ です ||まき||

今 話せる ? いま|はなせる

うん … うん

告別 式 … こくべつ|しき

そ っか

( 電話 の 着信 音 ) でんわ||ちゃくしん|おと

( コモ ) はい 古 茂 田 です ||ふる|しげる|た|

( マキ ) マキ です コモ ? ( コモ ) ああ ! まき|まき||||

ごめん ね 遅く に ( コモ ) う うん どう し た の ? ||おそく||||||||

あした ワク の お 葬式 な ん だ って ( コモ ) ああ … ||||そうしき||||||

コモ 行く よ ね ? ( コモ ) もちろん よ |いく|||||

ほか の みんな も 来る よ ね ? ||||くる||

( マキ ) 多分 モジ が 回し てる みたい だ から まき|たぶん|||まわし||||

( モジ ) じゃ あした 1 時 に 二子 ( ふたご ) 会館 の 前 で |||じ||ふたご||かいかん||ぜん|

OK

あと カンジ の とこ ウシロ いる ん だ よ ね ?

( カンジ ) ああ 伝え とく ||つたえ|

ムリ し て 呼ば なく て いい と 思う けど むり|||よば|||||おもう|

う ~ ん … 本人 しだい だ ろ う ||ほんにん||||

そう だ ね じゃ よろしく

あっ … すみません

( ワク の 父親 ) ハァ … ||ちちおや|

あっ …

フフッ …

( アンコ ) モジ 君 ||きみ

みんな は ? ( モジ ) 来 てる よ あそこ |||らい|||

( マキ ) ウシロ は 来 ない ね まき|||らい||

( ダイチ ) あいつ は しょうがない だ ろ う |||しょうが ない|||

正直 俺 も 来 たく なかった しょうじき|おれ||らい||

ああ … 俺 も 早く 帰り て え な |おれ||はやく|かえり|||

( マキ たち ) ンッ … まき||

( チズ ) 見 て |み|

( 検視 官 ) … で その 内閣 官房 調査 室 さま と や ら が けんし|かん|||ないかく|かんぼう|ちょうさ|しつ|||||

一体 どの よう な 権限 で ここ の ホトケ を 調べよ う って いう の か ね ? いったい||||けんげん||||||しらべよ||||||

( 桂木 ( かつらぎ ) ) 超 法規 的 な 権限 です かつらぎ||ちょう|ほうき|てき||けんげん|

フフッ …

その 超 法規 的 な 権限 と やら で ― |ちょう|ほうき|てき||けんげん|||

この 仕事 の 山 を 全部 持って って くれ たら |しごと||やま||ぜんぶ|もって|||

私 も 家 帰れ る よ わたくし||いえ|かえれ||

( 桂木 ) 和久 隆 の もの だけ で い い ん です かつらぎ|かずひさ|たかし||||||||

和久 隆 だって ? ( 桂木 ) おととい 溺死 体 で ― かずひさ|たかし||かつらぎ||できし|からだ|

ここ に 運ば れ て き た ろ う 捜し て くれ ||はこば|||||||さがし||

溺死 じゃ ない ( 狭山 ) なん だって ? できし|||さやま||

和久 隆 は 溺れ 死 ん だ ん じゃ ない と 言って る ん だ かずひさ|たかし||おぼれ|し|||||||いって|||

あ ~ もう 報告 書 出し てる はず だ よ ( 刑事 ) 届 い て ない ぞ ||ほうこく|しょ|だし|||||けいじ|とどけ||||

そう か 彼 を 調べ に 来 た の か ||かれ||しらべ||らい|||

( 狭山 ) オオッ … さやま|

おい

( 読経 ) どきょう

( 父親 ) 今日 は どうも ありがとう ちちおや|きょう|||

みんな 自然 学校 の …\ N ( モジ ) ええ |しぜん|がっこう||||

あっ あの … この度 は 謹んで … ||このたび||つつしんで

君 たち が 最後 に 隆 と 過ごし て くれ た の か きみ|||さいご||たかし||すごし|||||

本当 に ありがとう ほんとう||

( 父親 の 泣き声 ) ちちおや||なきごえ

( 狭山 ) おかしい じゃ ない か さやま||||

謎 の 多い 死体 を そんなに 早く 返し て しまう なんて なぞ||おおい|したい|||はやく|かえし|||

そら あんた の 家 で 預かって くれる っ つ うん だったら |||いえ||あずかって|||||

取 っと い た さ と||||

オッ ! あった あった

体 の 中 に 水 も 白色 細小 泡 沫 ( ほう まつ ) も 見 られ ない からだ||なか||すい||はくしょく|さいしょう|あわ|まつ||||み||

挫 創 と 骨折 は 見 られ た が 明らか に 死後 の もの だ くじ|はじめ||こっせつ||み||||あきらか||しご|||

つまり ?

ハァ … この 少年 は ― ||しょうねん|

波 に 巻か れる 前 に 死 ん で い た と いう こと だ よ なみ||まか||ぜん||し|||||||||

( 父親 ) 本日 は お 忙しい ところ を ちちおや|ほんじつ|||いそがしい||

息子 隆 の ため に お 集まり いただき まし て むすこ|たかし|||||あつまり|||

誠に ありがとう ござい まし た まことに||||

おかげ さま で 式 も 滞り なく 終了 し 出 棺 の 運び と なり まし た |||しき||とどこおり||しゅうりょう||だ|ひつぎ||はこび||||

( 泣き声 ) なきごえ

乱暴 者 で 元気 な だけ が 取り柄 の 息子 が ― らんぼう|もの||げんき||||とりえ||むすこ|

生前 どんなに か 皆さん に 迷惑 を かけ た か 分かり ませ ん せいぜん|||みなさん||めいわく|||||わかり||

しかし 私 と いたし まして は 元気 な 息子 が 誇り で し た |わたくし|||||げんき||むすこ||ほこり|||

今 思え ば もっと かまって やれ ば よかった と … いま|おもえ|||||||

私 が 仕事 に 追わ れ て おり まし た もの です から … わたくし||しごと||おわ||||||||

( 泣き声 ) なきごえ

( 泣き声 ) なきごえ

ワク 君 … 死 ん だ ん だ ね |きみ|し|||||

( 桂木 ) それ じゃ 死因 は 何 です か ? かつらぎ|||しいん||なん||

それ が 分から ない ( 狭山 ) バカ な … ||わから||さやま|ばか|

きれい な もん だった どこ を 見 て も 体 の 中 が きれい な ん だ ||||||み|||からだ||なか|||||

( 検視 官 ) ただ ひと つ だけ …\ N 彼 の 命 だけ が 消え て い た けんし|かん||||||かれ||いのち|||きえ|||

( 燃える 音 ) もえる|おと

( 燃える 音 ) もえる|おと

( コダマ ) うん ?

俺 か おれ|

♪~

~♪

( コダマ ) 命 に は 2 通り ある |いのち|||とおり|

死 ん で いく 命 と 選ば れ て 生き残って いく 命 だ し||||いのち||えらば|||いきのこって||いのち|

次回 「 ぼくら の 」 “ 強 さ ” じかい|||つよ|

俺 は その 選ば れ た 側 の 人間 に なる おれ|||えらば|||がわ||にんげん||