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刀語, Katanagatari Episode 3 (3)

Katanagatari Episode 3 (3)

ああ 信じて いた さ 心 の 底 から ね

あたし の 全て だ

あの 大 乱 まで は

大 乱

二十 年 前 奥 州 の 顔役 飛騨 鷹 比 等 が 起こした 反乱 の こと さ

あたし の 父 は

出雲 の 地 を 守護 して いた 護 神 三 連隊 の 二 番 隊 隊長 である と 同時に

古くから 伝わる 剣道 場 の 道場 主だった

そこ で 千 刀 流 を 教えて いた のだ

あたし は その 跡取り 娘 だった

だから 物心 ついた 頃 から

千 刀 流 を 絶対 の 護身 術 だ と 信じて 疑わ なかった

けれど 千 刀 流 は 大 乱 の 最中 に は まるで 役 に 立た なかった

父 は 死に

門弟 たち も 一 人 残らず 討ち 死んだ

生き残った の は 戦場 に 出 なかった あたし だけ だった

あたし は 大 乱 で 全て を 失った

家 も 家族 も

信念 すら も

気 が つく と あたし は 千 刀 流 を 殺す ため の 道具 と して 使って いた

やがて 出雲 で 一 番 規模 の 大きかった 山賊 衆 に 参入 した

その 頭 目 が 千 刀 · 鎩 を 持って いた の さ

千 刀 流 と は 『 自ら 武装 し ない 絶対 の 護身 術 』

それ は 『 刀 は 消耗 品 である 』 と いう 考え に 基づ り

鎩 と 同じ 主題 だ

自分 の 元 に この 刀 が 来た の は 偶然で は ない 運命 だ と 感じた よ

いつの間にか あたし は 山賊 の 頭 目 に なって いた

そこ から 先 は 語る 価値 も ない

ただ 戦い

ただ 殺す 日々 だった

何の ため に 戦う の か

そんな こと を 考える 余裕 すら なかった

そんな あたし が

生まれて 初めて その 疑問 に ぶつかった の は

当時 神主 だった 敦賀 迷彩 に 会った 時 だ

三 途 神社 の こと は 以前 から 知っていた

弱き 女 達 に とって の 療養 所 だ と

ならば なぜ あたし を 救って くれ なかった の か

誰 でも 救って くれる から 神様 と いう んじゃ ない の か

当時 の 敦賀 迷彩 は 言った

『 どうか あの 子 たち の 事 は 許して あげて ください 』

『 あの 子 たち は 悪く ない んです 』

それ が 最後 の 言葉 だった

死ぬ 間際 に そんな こと を 言った 人間 は 初めて だった

だから こう 考えて しまった

何の ため に 戦う の か

何の ため に 生きる の か

山賊 の 根城 に 戻った あたし は 仲間 を 斬った

四十三 人 の 仲間 を 一 人 残ら ず

そして あたし は 敦賀 迷彩 の 遺志 を 受け継いだ のだ

以来 あたし は あの 子 達 の ため に 戦って いる

だから あたし は 負ける わけに は いか ない

あの 子 達 の ため に も

話 は ここ まで だ

さあ どう する ね

無駄な 抵抗 は よす こと だ

負け を 認めて しまえば 良い

虚 刀 流 は 千 刀 流 に 及ば なかった

ただ それ だけ の こと な のだ から

俺 獣 の 肉 を 食う んだ よ な

え それ が どうした 肉食 らい など 武芸 者 の 間 で は 珍しく も ない

獣 って よ

素早くて 簡単に 捕まえ られ ねえ んだ

どうしても 食い たい 時 に は 罠 を 仕掛け なきゃ

でも 俺 は バカだ から

家 の すぐ そば に 罠 を 仕掛けちゃ った んだ

それ に 姉ちゃん が 掛か っち まって さ

あん とき は 大変だった

要は 獲物 に 対する 罠 な んだ から

自分 の 家 の 周り に 罠 を 仕掛けちゃ いけ ねえ って こと だ

一体 何 を 言って る ん だい

降参 し ない と いう の なら もう

一 つ だけ 思いついた

ずっと 考えて た んだ よ

この 千 刀 巡り を 脱する 方法 を

ない よ そんな もの は

千 刀 巡り は 無敵だ

千 刀 流 は 絶対 の 護身 術 だ

虚 刀 流 が 本当に 千 刀 流 に 劣る の か

試して みる んだ よ

な っ まさか

さすが に ここ に は 仕掛け られ ない よ な

俺 は ともかく とがめ を 警戒 し ない わけに は いか ない もん な

千 刀 を 入手 した と して も

尾張 まで 運ぶ 手段 を きみ たち は まだ 思いついて い ない ので は ない か な

もしも あたし が 勝負 に 負けたら

巫女 達 全員 で 協力 し 尾張 まで 届ける ように 指示 して ある

なんだ よ それ

その代わり と 言って は なんだ が

彼女 達 と 三 途 神社 の 行く末 を 幕府 で 保証 して くれる よう お 願い し たい

おい あんた それ は

あたし の 跡継ぎ は 分かる よ な

ただ あの 子 も まだ 万全に 回復 した わけで は ない

誰 か 人 の 心 に 関する 教養 と 優し さ を 持つ 人間 を 幕府 から 派遣 して くれ

魑魅 魍魎 の 住む 幕府 と いえ ど

一 人 くらい は 心当たり が ある だろう

負け を 認める って ことか

いや 言ったろう

あたし は 負ける わけに は いか ない と あの 子 たち を 守る ため に ね

ただ 矛盾 した こと を 言う ようだ けど

この 勝負 負けて も いい と 思って いた んだ

刀 の 毒 でも って 彼女 達 を 助ける なんて 間違って いる

あたし は 常に そう 考えて いた

刀 は 薬 と して 作用 して いる が

それ で 手放せ なく なって しまう んじゃ

やっぱり 薬 じゃ なくて 毒 だ

だから 待って いた んだ よ

あたし の 下らない 思惑 を 打ち砕いて くれる

きみ たち の ような 人間 が 来る の を ね

無論 まだ 負け は 認めて ない が

それ が 千 刀 · 鎩 の 最初の 一 本 だ

なぜ 分かる

とがめ が 言って た

『 刀 に は 魂 が 宿る 』

刀 は 持ち主 を 選ぶ

ただし 斬る 相手 は 選ば ない

千 刀 · 鎩 は あんた を 選んだ

俺 が とがめ を 選んだ ように な

いかにも

虚 刀 流 七 代 目 当主 鑢 七 花 だ

来 いよ

出雲 大山 三 途 神社 いや

千 刀 流 十二 代 目 当主 敦賀 迷彩 だ

行く さ 千 刀 流 の 千 の 奥義 を 見せて やる

ああ ただし その頃 に は あんた は 八 つ 裂き に なって いる だろう けど な

空中 一 刀

億 文字 斬り

虚 刀 流

『 鏡 花 水 月 』

とがめ 勝った ぞ

見て の 通り だ

誤 審 の 生じる 余地 は ねえ よ な

七 花 何も

うん どうした

でか した ぞ

やはり こう なり ました か

千 人 の 巫女 と 三 途 神社 の 行く末 は 必ず 幕府 が 保証 しよう

ありがとう ございます

これ から どう なる んだろう な この 神社

刀 が ない んだ から

武装 神社 じゃ い られ ない だろう

確かに

しかし それ は 刀 に よって 変わって いた もの が

元 に 戻る だけ の 話 だ

だったら 迷彩 も 最初 から そう すれば よかった のに な

迷彩 は 変 体 刀 の 所有 者 だった

四季 崎 の 刀 の 毒 と 無縁で は なかった はず

奪わ れ でも せ ん 限り 手放せ なかったろう よ

あんた は どう な んだ

俺 が 負けて たら

約束 通り あいつ に 『 鉋 』 と 『 鈍 』 を 渡して いた の か

ご に ょご に ょ

ご に ょご に ょ

いや その

私 は そな た が 負ける こと など あり 得 ん と

だから

は いはい

この 階段 と も お さらば か

名残惜しい ぜ

神社 で なく 階段 が 名残惜しい の か

おかしな 奴 だ な

いや

とがめ を こんなふうに 抱っこ する 機会 なんて もう ない だろう から さ

ち ぇり お

この 時 は まだ 行く先 に

日本 最強 の 剣士 薄 刀 『 針 』 の 所有 者 錆 白 兵 が 待ち構えて いる など

夢にも 思って おり ませ ん でした

錆 白 兵 と 七 花 の 一騎打ち どう なる こと やら

刀 語 ―― 今月 今 宵 の お楽しみ は ここ まで に ございます

日本 最強 錆 白 兵

いかに 七 花 の 虚 刀 流 が 強力だ と して も

今回 ばかり は 安心 出来 ない

いや 安心 出来る 出来 ない など と 思う 遥か 以前 の 問題 だ

刀 集 め の 旅 四 本 目 に して

鑢 七 花 史上 最大 の 危機

とがめ 史上 最大 の 奇 策

聖地 巌 流 島 に 新たな 歴史 が 刻ま れる …… の か

次回 刀 語 薄 刀 『 針 』

あどけな さ は 童 女 の 手 毬 に 込めた 挨拶

銀 を 飲んで も いざ 輝け ぬ かな

一 つ 人 を 逢え ない 身 病

嵐 の 如く 狂 える 胸

まだ とき なお とき

永遠 は とこしえ に 届か ない 場所

阿 修羅 阿 修羅 の 澄む 夜風 がち きる

瞬間 を 花 が 向ける

血 の 影 に 千 の 墓 標


Katanagatari Episode 3 (3) Katanagatari Episode 3 (3)

ああ 信じて いた さ 心 の 底 から ね |しんじて|||こころ||そこ||

あたし の 全て だ ||すべて|

あの 大 乱 まで は |だい|らん||

大 乱 だい|らん

二十 年 前 奥 州 の 顔役 飛騨 鷹 比 等 が 起こした 反乱 の こと さ にじゅう|とし|ぜん|おく|しゅう||かおやく|ひだ|たか|ひ|とう||おこした|はんらん|||

あたし の 父 は ||ちち|

出雲 の 地 を 守護 して いた 護 神 三 連隊 の 二 番 隊 隊長 である と 同時に いずも||ち||しゅご|||まもる|かみ|みっ|れんたい||ふた|ばん|たい|たいちょう|||どうじに

古くから 伝わる 剣道 場 の 道場 主だった ふるくから|つたわる|けんどう|じょう||どうじょう|おもだった

そこ で 千 刀 流 を 教えて いた のだ ||せん|かたな|りゅう||おしえて||

あたし は その 跡取り 娘 だった |||あととり|むすめ|

だから 物心 ついた 頃 から |ぶっしん||ころ|

千 刀 流 を 絶対 の 護身 術 だ と 信じて 疑わ なかった せん|かたな|りゅう||ぜったい||ごしん|じゅつ|||しんじて|うたがわ|

けれど 千 刀 流 は 大 乱 の 最中 に は まるで 役 に 立た なかった |せん|かたな|りゅう||だい|らん||さい なか||||やく||たた|

父 は 死に ちち||しに

門弟 たち も 一 人 残らず 討ち 死んだ もんてい|||ひと|じん|のこらず|うち|しんだ

生き残った の は 戦場 に 出 なかった あたし だけ だった いきのこった|||せんじょう||だ||||

あたし は 大 乱 で 全て を 失った ||だい|らん||すべて||うしなった

家 も 家族 も いえ||かぞく|

信念 すら も しんねん||

気 が つく と あたし は 千 刀 流 を 殺す ため の 道具 と して 使って いた き||||||せん|かたな|りゅう||ころす|||どうぐ|||つかって|

やがて 出雲 で 一 番 規模 の 大きかった 山賊 衆 に 参入 した |いずも||ひと|ばん|きぼ||おおきかった|さんぞく|しゅう||さんにゅう|

その 頭 目 が 千 刀 · 鎩 を 持って いた の さ |あたま|め||せん|かたな|||もって|||

千 刀 流 と は 『 自ら 武装 し ない 絶対 の 護身 術 』 せん|かたな|りゅう|||おのずから|ぶそう|||ぜったい||ごしん|じゅつ

それ は 『 刀 は 消耗 品 である 』 と いう 考え に 基づ り ||かたな||しょうもう|しな||||かんがえ||もとづ|

鎩 と 同じ 主題 だ ||おなじ|しゅだい|

自分 の 元 に この 刀 が 来た の は 偶然で は ない 運命 だ と 感じた よ じぶん||もと|||かたな||きた|||ぐうぜんで|||うんめい|||かんじた|

いつの間にか あたし は 山賊 の 頭 目 に なって いた いつのまにか|||さんぞく||あたま|め|||

そこ から 先 は 語る 価値 も ない ||さき||かたる|かち||

ただ 戦い |たたかい

ただ 殺す 日々 だった |ころす|ひび|

何の ため に 戦う の か なんの|||たたかう||

そんな こと を 考える 余裕 すら なかった |||かんがえる|よゆう||

そんな あたし が

生まれて 初めて その 疑問 に ぶつかった の は うまれて|はじめて||ぎもん||||

当時 神主 だった 敦賀 迷彩 に 会った 時 だ とうじ|かんぬし||つるが|めいさい||あった|じ|

三 途 神社 の こと は 以前 から 知っていた みっ|と|じんじゃ||||いぜん||しっていた

弱き 女 達 に とって の 療養 所 だ と よわき|おんな|さとる||||りょうよう|しょ||

ならば なぜ あたし を 救って くれ なかった の か ||||すくって||||

誰 でも 救って くれる から 神様 と いう んじゃ ない の か だれ||すくって|||かみさま||||||

当時 の 敦賀 迷彩 は 言った とうじ||つるが|めいさい||いった

『 どうか あの 子 たち の 事 は 許して あげて ください 』 ||こ|||こと||ゆるして||

『 あの 子 たち は 悪く ない んです 』 |こ|||わるく||ん です

それ が 最後 の 言葉 だった ||さいご||ことば|

死ぬ 間際 に そんな こと を 言った 人間 は 初めて だった しぬ|まぎわ|||||いった|にんげん||はじめて|

だから こう 考えて しまった ||かんがえて|

何の ため に 戦う の か なんの|||たたかう||

何の ため に 生きる の か なんの|||いきる||

山賊 の 根城 に 戻った あたし は 仲間 を 斬った さんぞく||ねじろ||もどった|||なかま||きった

四十三 人 の 仲間 を 一 人 残ら ず しじゅうさん|じん||なかま||ひと|じん|のこら|

そして あたし は 敦賀 迷彩 の 遺志 を 受け継いだ のだ |||つるが|めいさい||いし||うけついだ|

以来 あたし は あの 子 達 の ため に 戦って いる いらい||||こ|さとる||||たたかって|

だから あたし は 負ける わけに は いか ない |||まける||||

あの 子 達 の ため に も |こ|さとる||||

話 は ここ まで だ はなし||||

さあ どう する ね

無駄な 抵抗 は よす こと だ むだな|ていこう||||

負け を 認めて しまえば 良い まけ||みとめて||よい

虚 刀 流 は 千 刀 流 に 及ば なかった きょ|かたな|りゅう||せん|かたな|りゅう||およば|

ただ それ だけ の こと な のだ から

俺 獣 の 肉 を 食う んだ よ な おれ|けだもの||にく||くう|||

え それ が どうした 肉食 らい など 武芸 者 の 間 で は 珍しく も ない にくしょく|||ぶげい|もの||あいだ|||めずらしく||

獣 って よ けだもの||

素早くて 簡単に 捕まえ られ ねえ んだ すばやくて|かんたんに|つかまえ|||

どうしても 食い たい 時 に は 罠 を 仕掛け なきゃ |くい||じ|||わな||しかけ|

でも 俺 は バカだ から |おれ||ばかだ|

家 の すぐ そば に 罠 を 仕掛けちゃ った んだ いえ|||||わな||しかけちゃ||

それ に 姉ちゃん が 掛か っち まって さ ||ねえちゃん||かか|||

あん とき は 大変だった |||たいへんだった

要は 獲物 に 対する 罠 な んだ から ようは|えもの||たいする|わな|||

自分 の 家 の 周り に 罠 を 仕掛けちゃ いけ ねえ って こと だ じぶん||いえ||まわり||わな||しかけちゃ|||||

一体 何 を 言って る ん だい いったい|なん||いって|||

降参 し ない と いう の なら もう こうさん|||||||

一 つ だけ 思いついた ひと|||おもいついた

ずっと 考えて た んだ よ |かんがえて|||

この 千 刀 巡り を 脱する 方法 を |せん|かたな|めぐり||だっする|ほうほう|

ない よ そんな もの は

千 刀 巡り は 無敵だ せん|かたな|めぐり||むてきだ

千 刀 流 は 絶対 の 護身 術 だ せん|かたな|りゅう||ぜったい||ごしん|じゅつ|

虚 刀 流 が 本当に 千 刀 流 に 劣る の か きょ|かたな|りゅう||ほんとうに|せん|かたな|りゅう||おとる||

試して みる んだ よ ためして|||

な っ   まさか

さすが に   ここ に は 仕掛け られ ない よ な |||||しかけ||||

俺 は ともかく とがめ を 警戒 し ない わけに は いか ない もん な おれ|||||けいかい||||||||

千 刀 を 入手 した と して も せん|かたな||にゅうしゅ||||

尾張 まで 運ぶ 手段 を きみ たち は まだ 思いついて い ない ので は ない か な おわり||はこぶ|しゅだん||||||おもいついて|||||||

もしも あたし が 勝負 に 負けたら |||しょうぶ||まけたら

巫女 達 全員 で 協力 し 尾張 まで 届ける ように 指示 して ある いちこ|さとる|ぜんいん||きょうりょく||おわり||とどける|よう に|しじ||

なんだ よ それ

その代わり と 言って は なんだ が そのかわり||いって|||

彼女 達 と 三 途 神社 の 行く末 を 幕府 で 保証 して くれる よう お 願い し たい かのじょ|さとる||みっ|と|じんじゃ||ゆくすえ||ばくふ||ほしょう|||||ねがい||

おい あんた それ は

あたし の 跡継ぎ は 分かる よ な ||あとつぎ||わかる||

ただ あの 子 も まだ 万全に 回復 した わけで は ない ||こ|||ばんぜんに|かいふく||||

誰 か 人 の 心 に 関する 教養 と 優し さ を 持つ 人間 を 幕府 から 派遣 して くれ だれ||じん||こころ||かんする|きょうよう||やさし|||もつ|にんげん||ばくふ||はけん||

魑魅 魍魎 の 住む 幕府 と いえ ど ちみ|もうりょう||すむ|ばくふ|||

一 人 くらい は 心当たり が ある だろう ひと|じん|||こころあたり|||

負け を 認める って ことか まけ||みとめる||

いや 言ったろう |いったろう

あたし は 負ける わけに は いか ない と あの 子 たち を 守る ため に ね ||まける|||||||こ|||まもる|||

ただ 矛盾 した こと を 言う ようだ けど |むじゅん||||いう||

この 勝負 負けて も いい と 思って いた んだ |しょうぶ|まけて||||おもって||

刀 の 毒 でも って 彼女 達 を 助ける なんて   間違って いる かたな||どく|||かのじょ|さとる||たすける||まちがって|

あたし は 常に そう 考えて いた ||とわに||かんがえて|

刀 は 薬 と して 作用 して いる が かたな||くすり|||さよう|||

それ で 手放せ なく なって しまう んじゃ ||てばなせ||||

やっぱり 薬 じゃ なくて 毒 だ |くすり|||どく|

だから 待って いた んだ よ |まって|||

あたし の 下らない 思惑 を 打ち砕いて くれる ||くだらない|おもわく||うちくだいて|

きみ たち の ような 人間 が 来る の を ね ||||にんげん||くる|||

無論 まだ 負け は 認めて ない が むろん||まけ||みとめて||

それ が 千 刀 · 鎩 の 最初の 一 本 だ ||せん|かたな|||さいしょの|ひと|ほん|

なぜ 分かる |わかる

とがめ が 言って た ||いって|

『 刀 に は 魂 が 宿る 』 かたな|||たましい||やどる

刀 は 持ち主 を 選ぶ かたな||もちぬし||えらぶ

ただし 斬る 相手 は 選ば ない |きる|あいて||えらば|

千 刀 · 鎩 は あんた を 選んだ せん|かたな|||||えらんだ

俺 が とがめ を 選んだ ように な おれ||||えらんだ|よう に|

いかにも

虚 刀 流 七 代 目 当主 鑢 七 花 だ きょ|かたな|りゅう|なな|だい|め|とうしゅ|やすり|なな|か|

来 いよ らい|

出雲 大山 三 途 神社 いや いずも|おおやま|みっ|と|じんじゃ|

千 刀 流 十二 代 目 当主 敦賀 迷彩 だ せん|かたな|りゅう|じゅうに|だい|め|とうしゅ|つるが|めいさい|

行く さ 千 刀 流 の 千 の 奥義 を 見せて やる いく||せん|かたな|りゅう||せん||おうぎ||みせて|

ああ ただし その頃 に は あんた は 八 つ 裂き に なって いる だろう けど な ||そのころ|||||やっ||さき||||||

空中 一 刀 くうちゅう|ひと|かたな

億 文字 斬り おく|もじ|きり

虚 刀 流 きょ|かたな|りゅう

『 鏡 花 水 月 』 きよう|か|すい|つき

とがめ 勝った ぞ |かった|

見て の 通り だ みて||とおり|

誤 審 の 生じる 余地 は ねえ よ な ご|しん||しょうじる|よち||||

七 花 何も なな|か|なにも

うん   どうした

でか した ぞ

やはり こう なり ました か

千 人 の 巫女 と 三 途 神社 の 行く末 は 必ず 幕府 が 保証 しよう せん|じん||いちこ||みっ|と|じんじゃ||ゆくすえ||かならず|ばくふ||ほしょう|

ありがとう ございます

これ から どう なる んだろう な この 神社 |||||||じんじゃ

刀 が ない んだ から かたな||||

武装 神社 じゃ い られ ない だろう ぶそう|じんじゃ|||||

確かに たしかに

しかし それ は 刀 に よって 変わって いた もの が |||かたな|||かわって|||

元 に 戻る だけ の 話 だ もと||もどる|||はなし|

だったら 迷彩 も 最初 から そう すれば よかった のに な |めいさい||さいしょ||||||

迷彩 は 変 体 刀 の 所有 者 だった めいさい||へん|からだ|かたな||しょゆう|もの|

四季 崎 の 刀 の 毒 と 無縁で は なかった はず しき|さき||かたな||どく||むえんで|||

奪わ れ でも せ ん 限り 手放せ なかったろう よ うばわ|||||かぎり|てばなせ||

あんた は どう な んだ

俺 が 負けて たら おれ||まけて|

約束 通り あいつ に 『 鉋 』 と 『 鈍 』 を 渡して いた の か やくそく|とおり|||かんな||どん||わたして|||

ご に ょご に ょ

ご に ょご に ょ

いや その

私 は そな た が 負ける こと など あり 得 ん と わたくし|||||まける||||とく||

だから

は いはい

この 階段 と も お さらば か |かいだん|||||

名残惜しい ぜ なごりおしい|

神社 で なく 階段 が 名残惜しい の か じんじゃ|||かいだん||なごりおしい||

おかしな 奴 だ な |やつ||

いや

とがめ を こんなふうに 抱っこ する 機会 なんて もう ない だろう から さ |||だっこ||きかい||||||

ち ぇり お

この 時 は まだ 行く先 に |じ|||ゆくさき|

日本 最強 の 剣士 薄 刀 『 針 』 の 所有 者 錆 白 兵 が 待ち構えて いる など にっぽん|さいきょう||けんし|うす|かたな|はり||しょゆう|もの|さび|しろ|つわもの||まちかまえて||

夢にも 思って おり ませ ん でした ゆめにも|おもって||||

錆 白 兵 と 七 花 の 一騎打ち どう なる こと やら さび|しろ|つわもの||なな|か||いっきうち||||

刀 語 ―― 今月 今 宵 の お楽しみ は ここ まで に ございます かたな|ご|こんげつ|いま|よい||おたのしみ|||||

日本 最強 錆 白 兵 にっぽん|さいきょう|さび|しろ|つわもの

いかに 七 花 の 虚 刀 流 が 強力だ と して も |なな|か||きょ|かたな|りゅう||きょうりょくだ|||

今回 ばかり は 安心 出来 ない こんかい|||あんしん|でき|

いや 安心 出来る 出来 ない など と 思う 遥か 以前 の 問題 だ |あんしん|できる|でき||||おもう|はるか|いぜん||もんだい|

刀 集 め の 旅 四 本 目 に して かたな|しゅう|||たび|よっ|ほん|め||

鑢 七 花 史上 最大 の 危機 やすり|なな|か|しじょう|さいだい||きき

とがめ 史上 最大 の 奇 策 |しじょう|さいだい||き|さく

聖地 巌 流 島 に 新たな 歴史 が 刻ま れる …… の か せいち|いわお|りゅう|しま||あらたな|れきし||きざま|||

次回   刀 語 薄 刀 『 針 』 じかい|かたな|ご|うす|かたな|はり

あどけな さ は 童 女 の 手 毬 に 込めた 挨拶 |||わらべ|おんな||て|いが||こめた|あいさつ

銀 を 飲んで も   いざ 輝け ぬ かな ぎん||のんで|||かがやけ||

一 つ 人 を 逢え ない   身 病 ひと||じん||あえ||み|びょう

嵐 の 如く   狂 える 胸 あらし||ごとく|くる||むね

まだ とき   なお とき

永遠 は   とこしえ に   届か ない 場所 えいえん||||とどか||ばしょ

阿 修羅 阿 修羅 の   澄む 夜風 がち きる おもね|しゅら|おもね|しゅら||すむ|よかぜ||

瞬間 を 花 が 向ける しゅんかん||か||むける

血 の 影 に 千 の 墓 標 ち||かげ||せん||はか|しるべ