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イタズラなKiss〜Love in TOKYO, イタズラなKiss〜Love in TOKYO#4

イタズラ な Kiss 〜Love in TOKYO#4

( 相原 琴子 ( あいはら ことこ )) 生まれて 初めて 書いた ラブレター ―

決して 読んで もらえ ない ラブレター

ひどい 手紙 見た の ?

( 入江 紀子 ( いりえ のりこ )) 琴子 ちゃん は

お 兄ちゃん の お 嫁 さん に なったら いい じゃない の

( 池沢 金之助 ( いけざわ きんのすけ )) 結婚 なんか お 話 に も なら へん で

( 入江 直樹 ( なおき )) 人 の 気持ち なんて 分から ない

今日 は 嫌い でも ―

あした は 好き に なって る かも しれ ない から ね

( 琴子 ) な … 何 言って ん の ?

あーっ 待って !

ハッハッハッ …―

安心 しろ よ おつきあい する つもり ない から

からかった の ?

( 琴子 ) 高校 最後 の 夏 休み の 思い出 は ―

これ と いって 何も なかった けれど ―

入江 君 と 飲んだ モーニング コーヒー の 香り は ―

きっと 忘れ ない

( 琴子 ) 時 の 流れ は 早い もの で ―

季節 は 夏 から 秋 ―

秋 から 冬 へ と 移り変わって いき ―

どうにか 大学 進学 が 決まった の は いい けど ―

私 と 入江 君 の 関係 は ―

相変わらず ―

何も 進展 し ない まま で

( 小森 ( こもり ) じんこ ) かわいい

( 石川 理美 ( いしかわ さとみ )) じんこ も すごい 似合って る ね

( じんこ ) 今年 は 紺 に した の 去年 は 黄色 だった から

( 理美 ) そうだ よ ね ちょっと 大人 の じんこ で キャー

( 理美 ) そうだ よ ね ちょっと 大人 の じんこ で キャー

( 琴子 ) じんこ ! 理美 !

( 琴子 ) じんこ ! 理美 !

( 理美 ・ じんこ ) あーっ !

あけましておめでとう

( 理美 ・ じんこ ) あけましておめでとう 琴子

( 理美 ) あれ ? 今年 は 琴子 も 着物 着た んだ

うん 入江 君 の お 母さん に 着付けて もらった んだ

かわいい 似合って る よ

ウフ ありがとう

あれ ? じんこ ちょっと 太った ?

ちょ … やめて よ 気 に して る んだ から

だけど さ もう 受験 勉強 から 解放 された って 思う と

クリスマス ケーキ も おせち も おいしく って

( 琴子 ) うん 分かる 分かる

でも さ 3 人 と も 同じ 斗南 ( となん ) 大学 に 進めて よかった ね

ほんと 春 から 私 たち も 女子大生 ―

今年 は いい 1 年 に しよう ね

( 琴子 ) うん じゃあ 早速 行く か

( 理美 ) 行く か

( じんこ ) あっ 並んで る ね

( 理美 ) すごい ね

すてき な 大学 生活 に なり ます ように

今年 こそ 彼氏 でき ます ように

( 理美 ) はぁ …

琴子 真剣 だ ね

無言 でも 何 を 願って る か バレバレ ね

( じんこ ) ねえ おみくじ 引こう よ

これ !

( じんこ ) じゃあ 私 は ね これ に しよう

( 理美 ) どれ に しよう か な ―

これっ

おおっ すご ~ い

大吉 だ ~ っ !

大吉 だ ~ っ !

( 理美 ) 来た ~ 私 も !

( 理美 ) 来た ~ 私 も !

( 理美 ) 来た ~ 私 も !

( じんこ ) 何と 私 も !

( じんこ ) 何と 私 も !

( 琴子 ) お ー すごい 3 人 そろって すごい ―

えっ 待って !

えっ 待って !

( 理美 ) え ?

( 理美 ) え ?

( 琴子 )“ 待ち 人 来る 楽しみ に 待ち なさい ”

(3 人 の 歓声 )

どう しよう 大丈夫 ?

どう しよう 大丈夫 ?

( 理美 ) え 何 ? 何 ? 私 の 何 だ ろ ね …

( 理美 ) え 何 ? 何 ? 私 の 何 だ ろ ね …

( 理美 ) え 何 ? 何 ? 私 の 何 だ ろ ね …

( 琴子 ) うん ?

( 琴子 ) うん ?

“ 来ない けれど 便り あり ” どういう こと だ ? これ は ―

来ない の ? 今年 も 来ない の ?

来ない の ? 今年 も 来ない の ?

( じんこ )〝 野心 を 持つ と 来ない です 〞―

( じんこ )〝 野心 を 持つ と 来ない です 〞―

ええ ~ っ ?

( 銀太郎 ( ぎんたろう )) 兄貴

この こと 琴子 に は 絶対 言う な よ

( 銀太郎 ) でも …

( 銀太郎 ) でも …

ええ から

ええ から

言 ( ゆ ) うな ゆう たら 言う な

兄貴

( 入江 重樹 ( しげき )) おめでとう !

( 紀子 ) おめでとう !

( 相原 重雄 ( しげお )) ホッホー

( クラッカー が 鳴る 音 )

( 紀子 たち の 笑い声 )

( 重樹 ) それ で は 琴子 ちゃん の 大学 進学 決定 を 祝って 乾杯 !

( 紀子 ・ 重雄 ) 乾杯 !

( 紀子 ・ 重雄 ) 乾杯 !

( 重樹 ) はい おめでとう

( 重樹 ) はい おめでとう

琴子 ちゃん おめでとう

( 重雄 ) ああ ~

( 重雄 ) ああ ~

さあ それ で は みんな いただき ましょう

さあ それ で は みんな いただき ましょう

さあ それ で は みんな いただき ましょう

( 重雄 ) さあ いただき ましょう

( 重雄 ) さあ いただき ましょう

( 重雄 ) さあ いただき ましょう

( 紀子 ) わ あ フフフ

私 の ため に 皆さん ほんとに ありがとう ございます

( 重樹 ) いや いや いや

いや ー この 間 まで まだ 小さい と 思って た 琴子 が

春 から もう 大学生 か フフ

天国 で お 母さん が どれ だけ 喜んで る こと か

お 父さん

お 父さん

( 重雄 ) ごめん ―

( 重雄 ) ごめん ―

ごめん ごめん

なあ 直樹 も 琴子 ちゃん に 続いて 受験 頑張 ん ない と な

( 入江 裕樹 ( ゆうき )) お 兄ちゃん は 琴子 みたい な ばか と は 違う

余裕 で 東大 合格 だ

裕樹 ハハハ …

あっ そうだ

はい 入江 君 これ

( 紀子 ) まあ フフフ

( 紀子 ) まあ フフフ

( 重樹 ) おお ?

( 紀子 ) まあ フフフ

( 琴子 ) 私 が 内部 進学 できた の も

入江 君 に テスト 勉強 見て もらった おかげ だ し

お 礼 って ほど じゃない んだ けど

わあ すてき 早く 開けて みせて よ お 兄ちゃん

わあ すてき 早く 開けて みせて よ お 兄ちゃん

( 重樹 ) うん うん うん

( 重樹 ) うん うん うん

フフッ

何 だ あ ? これ

ヘッドマッサージ 器 です

( 重雄 ) ふーん

( 重雄 ) ふーん

( 琴子 ) 入江 君 東大 目指して 外部 受験 する でしょ ?―

( 琴子 ) 入江 君 東大 目指して 外部 受験 する でしょ ?―

まだ 勉強 あって 大変だ と 思う から

泡立て 器 みたい

じじ くせえ

( 重樹 ) こら 裕樹

いい から 使って み なさい よ お 兄ちゃん

いい から 使って み なさい よ お 兄ちゃん

( 重樹 ) ああ そう だ よ そう だ よ

( 重樹 ) ああ そう だ よ そう だ よ

( 直樹 ) 俺 は いい よ

それ に 東大 どころ か

大学 に 行く か どう かも 決めて ない し

( 重樹 の せき払い )

あっ あの 裕樹 ちょっと それ 見 して ごらん なさい

どう やって どう やって 使う ん だろう ね

頭 に

頭 に

( 重樹 ) 頭 に ね

( 重樹 ) 頭 に ね

( 琴子 ) そんな …―

東大 間違い なし の 天才 の 入江 君 が ―

大学 に 行か ない かも しれ ない って ―

どういう こと ?

♪~

( 琴子 の あくび )

( じんこ ) 口 ( くち ) 口 っ

( 理美 ) でかい 口

( じんこ ) 受験 勉強 の ない 3 学期 って 天国 ね

( 理美 ) ほんと

あっ 見て 見て 見て 見て

( じんこ ) 何か すごい 風景

私 たち が 余裕 で 遊んで る のに A 組 が 必死 なんて

何か 不思議 だ よ ね

うん まあ もう すぐ センター 試験 だ から ね ~

( じんこ ) だが 入江 直樹 だけ は 余裕 … と

( 理美 ) 信じらんない ―

この 時期 に 受験 に 関係ない 本 を 悠々 と 読んで られる なんて

ねえ 入江 直樹 の 第一 志望 って やっぱ 東大 な の ?

東大 どころ か

大学 に 行く か どう か も 決めて ない し

( じんこ ) 琴子 ―

琴子

えっ ?

ああ どう なん だろう ね

受かったら 行く ん じゃない ?

何 言って ん の 入江 なら 受かる に 決まって ん じゃん

でも 琴子 さみしく なっ ちゃう ね

大学 ばらばら に なっ ちゃう なんて

でも 入江 君 の 将来 の ため だ もん 応援 し ちゃう !

応援 し ちゃう !

( 理美 ) じんこ 無理 が ある ハハ 八ッ

( 理美 ) じんこ 無理 が ある ハハ 八ッ

( じんこ ) 無理 ある ? うそ でしょ

おば 様 あの …

( 紀子 ) うん ?

裁縫 道具 を お 借り する こと って でき ます か ?

あっ いい わ よ あっ ちょっと 待って て ね

はい

♪~

あっ 曲がっ ちゃった

大丈夫 よ ゆっくり やって みて

はい

その お守り お 兄ちゃん に ?

ありがと ね 琴子 ちゃん

お 兄ちゃん の 大学 受験 の こと 一番 思って くれて る の は

実は 琴子 ちゃん かも ね フフフ …

入江 君 大学 行か ない かも しれ ない なんて

うそ です よ ね ?

うーん

大学 に 行き たく ない わけ じゃない ん だろう けど

もしかしたら パパ の 期待 が 大き すぎる の かも

パパ 自分 が 東大 出身 でしょ

それ で お 兄ちゃん に も 同じ 東大 に 行って

いずれ は パパ の 会社 を

継いで ほしい って 思って る んだ けど

そういう ふう に 期待 されて る こと が

もしかしたら お 兄ちゃん に は 重荷 な の かも ね

( 直樹 ) はい

ちょっと いい かな ?

( 琴子 ) はい

あした センター 試験 でしょ ? だ から

受ける よ ね ? センター 試験

願書 は 出した

よかった

他 に 行き たい 大学 が あったら 仕方ない けど

でも 東大 に 行ったら

おじさん も おばさん も 喜ぶ と 思う よ

私 なんか 親 に 迷惑 かけ っぱなし だ し さ

そんな ふう に 親 を 喜ば せる チャンス が

たくさん ある 入江 君 が うらやましい

あ … じゃあ それ だけ

お前 さ

大学 行って どう する の ?

どう する って …

勉強 したり 友達 作ったり

好き でも ない 勉強 を わざわざ し に 行く 気 か よ

分かんない よ な

何で みんな そんなに 必死 に 大学 に 行き たい の か

そりゃあ 入江 君 みたい な 人 が 勉強 する ため に

大学 は ある ん だろう けど

俺 大学 なんて 行き たい と 思って ない よ

別に 大学 で 教えて もらわ なくて も

勉強 し た けりゃ 自分 で できる し

でも それ だけ じゃない でしょ

将来 やり たい こと の ため の 資格 と か

じゃあ お前 は 何 やり たい の ?

そんな の まだ 分かんない けど …

あっ そうだ

大学 行く 時間 って それ を 探し に 行く 時間 な んだ よ ―

将来 自分 が 何 を やり たい の か を

入江 君 は さ その 頭脳 を 独り占め しちゃ 駄目だ よ

日本 の 発展 に 役立た せ ない と ね

お前 って すごい よ な

前 から 思って た んだ けど

何で そんなに 一生懸命に なれる んだろう って

そんで 一生懸命 に やる のに

何で それ が でき ない の か な あって

感心 しちゃ って

何 それ 嫌 み ?

何 か …

そっち の 方 が うらやましい 気 が する

あした 早い から もう 寝る わ

うん おやすみ

あっ じゃあ これ 付け とく ね

( ドア が 開く 音 )

( ドア が 閉まる 音 )

フフッ ―

ヒヒヒ …

完璧

ファイト

お 兄ちゃん 遅い わ ね

( 重樹 ) あ … あいつ まさか

センター 試験 受け ない 気 じゃない だろう なあ

大丈夫 たい イリ ちゃん の 気持ち は 届い とう

( 重樹 ) うーん でも 思い込んだら 頑固 な とこ ある け ね

( 直樹 ) 何 ?

ああっ おはよう お 兄ちゃん

いい 朝 ねえ ―

いい 朝 ねえ ―

( 重樹 ) うん

( 重樹 ) うん

( 重樹 ) うん

はい お 弁当

はい お 弁当

ありがとう

( せき込み )

どうした ? 直樹

何か ちょっと 熱っぽい

風邪 ひいた みたい

こんな 大事 な 日 に

大変 だ わ あっ 卵酒 卵酒

いやいや 喉 に は ネギ を

( 裕樹 ) 薬 薬 薬 !

( 重樹 ) ああ ぬかみそ も あった か

いい よ もう 行く から

( 紀子 ) えっ ? あっ 朝 御飯 は ?

( 直樹 ) 食欲 ない これ で いい

( 紀子 ) え えっ ?

( 琴子 ) 入江 君 入江 君 これ 飲んで この 薬 ―

よく 効く の よ

うん これ で 安心 だ

まさか と は 思う けど この 薬 眠く なら ない よ な ?

はっ !

服用 後 は 自動車 の 運転 を 避けて ください …

( 重樹 が 鼻 を 鳴らす 音 )

( 重樹 ) 吐け 直樹 吐く んだ 直樹 !

( 重雄 ) イリ ちゃん 俺 が 押さえ とく けん 指 入れ !

( 重雄 ) イリ ちゃん 俺 が 押さえ とく けん 指 入れ !

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く !

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く !

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く !

( 重樹 ) あーん して あーん して

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く !

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く !

( 直樹 ) もう いい よ !―

( 直樹 ) もう いい よ !―

いってきます

入江 君 大丈夫 かな ?

( 渡辺 ( わたなべ )) ハァ ハァ … おはよう

( 直樹 ) おはよう

( 渡辺 ) あれ ? その お守り 手作り ?―

もしかして 一緒に 住んで る 彼女 が 作って くれた と か ?

会場 に 着いたら 捨てる

( 渡辺 ) そんな ! かわいそう じゃん

俺 彼女 結構 好み だ けど なあ

( 女性 ) すいません 降り ます

ありがとう ございました

( 渡辺 ) どうした ? 入江

あいつ

( 渡辺 ) お守り が ドア に 挟まって る 引きちぎれ よ

( 渡辺 ) おい びくとも して ない ぞ

はぁ …

( 渡辺 ) 入江 急げ

( 直樹 ) 渡辺 お前 先 に 行け

でも お前 は ?

俺 は 早めに なんとか する から

( 発車 の ベル )

悪い 先 行く ぞ 後 で 会場 で な

( 直樹 ) おう

すいません

( ブザー 音 )

すいません エレベーター が 停止 し ました

すいません

( 渡辺 ) はぁ …

( 直樹 ) おい !

よかった 入江 随分 かかった な

( 直樹 ) 駅員 に しこたま 絞られた

何か いたずら で エレベーター 止める の が

はやって る らしく って

今 まで の も お前 が 犯人 なん じゃない か って

話 は 後 だ さっ 中 行こう

( 渡辺 ) そう いえば あの お守り は どう した んだ ?

( 直樹 ) あっ

( 渡辺 ) しぶとい なあ

それ 縁起 悪い んじゃ ない か ?

( 直樹 ) だ よ な ―

外し ちまおう

何か やたら あっさり 取れた わ

( 渡辺 ) 入江 !

( 男子 生徒 ) 階段 から 人 が 落ちた ぞ

( 男子 生徒 ) 誰 か 誰か いません か ?

( 養護 教諭 )2 人 と も 保健室 へ 運んで 今 すぐ !

( 渡辺 ) 何て 恐ろしい お守り

( 男子 生徒 ) せーの

( 養護 教諭 ) ゆっくり で いい よ

♪~

( ドア が 開く 音 )

すいません 遅く なり ました

( 試験 官 ) 階段 から 落ちた 生徒 だ ね ? さあ 急いで 残り 時間 30 分 だ

はい

あの とき だ

ありがとう

( 渡辺 ) なあ 入江 ―

聞く の も 悪い けど どう だった ?

問題 は ほとんど 見ず に 想像 で 答え を 書いた

( 渡辺 ) まあ お前 なら なんとか なって る よ

( 琴子 ) ファイト !

あの 女

( 渡辺 ) どうした ?

もし かして その お 弁当 も あの 子 が 作った と か ?

食わ ない 方 が いい 腹 でも 下したら 大変

こんなん で よかったら

ありがとう 恩 に 着る

なあ 余計 な お世話 だ けど

あの お守り も 捨てた 方 が いい ぞ

保健室 で 気付いたら なく なって た よ

それ は よかった これ で 災い も 去った な

♪~

残り 10 分 だ よ

♪~

( 渡辺 ) 大変だった なあ 入江

でも お前 は これ くらい の アクシデント が あって ―

ちょうど 普通 ぐらい の 人 だ よ

… って フォロー に なって ない か

( 養護 教諭 ) あら あなた

今日 は 大変だった わ ね

先ほど は ありがとう ございました

まあ 骨 は 折れて ない けど しばらく は 安静に ね

はい ありがとう ございます

あ … あっ そうだ

あなた のだ と は 思う んだ けど 階段 に 落ちて いた お守り

胸 の ポケット に 入れて おいた わ よ ―

手作り だった から ―

大事な もの な んじゃ ない か な と 思って

フフッ お守り の ご利益 ある と いい わ ね ―

ああ うらやましい

俺 あの 子 と お前 は 一生 一緒に いる 気 が する

やめろ

お 兄ちゃん そろそろ 帰って くる 時間 な のに 遅い わ ねえ

( ドア が 開く 音 )

( 紀子 ) あっ ウフ

( 裕樹 ) お 兄ちゃん だ

( 裕樹 ) お 兄ちゃん だ

( 紀子 ) お 兄ちゃん どうした の ? 一体 何 が あった の ?

転んだ

( 紀子 ) え えっ ? それ に した って ひどい けが

お守り 効か なかった んだ

いや ものすごーく 効いた よ

それ どういう 意味 ?

もう いい

寝る

お 兄ちゃん

( チャイム )

( 女子 生徒 ) センター 駄目だった

( 女子 生徒 ) 私 も もう 私立 に 懸ける しか ない や

入江 は 大丈夫だ よ 全国 一 の 天才 だ よ

いや 今回 ばかり は そう と も 言え ない 気 が …

( 理美 ) 琴子 ! じんこ !

聞いた ? 入江 東大 受ける って

うそ ! それ どこ で 聞いて きた の ?

今 職員室 で うわさ に なって た の

東大 受ける 生徒 の 中 でも ぶっちぎり の 成績 だって

さっすが 天才

ちょ … ちょっと 琴子 あんた 何で 泣いて る の よ ?

いや …

うれしくて

フフッ 私 入江 君 に おめでとう って 言って くる ね

フフフフッ

青春 だ ね うん うん

( 琴子 ) あんな けが して た のに ちゃんと 結果 を 出す なんて ―

私 の 好き な 人 は ほんとに かっこいい んだ ―

もしかして ―

あの お守り も ちょっと は 役 に 立った の か なあ

ヒヒヒヒッ

東大 を 受け られる の も 全て 君 の お守り の おかげ だ よ

ありがとう

( 渡辺 ) あっ 危ない !

あっ ! A 組 の 人

ちょっと ! どうした ん です か ?―

おっ ちょっ … もしかして センター 試験 の 結果 が ?

やっぱり

やっぱり 入江 センター 試験 駄目 だった の ?

何 言って る んです か ? 入江 君 は 大丈夫 です よ

東大 も 受け られる みたい です

え えっ !?―

すごい あの 状態 で ?

あの 状態 ?

そりゃあ 悲惨 の 一言 だった よ

あんな 入江 見た こと なかった

あの お守り の せい だ と して も

あの お守り ?

やばっ !

ちょっ そ … それ どういう こと です か ?

( 渡辺 ) 何でもない 何でもない から

( 琴子 ) 気 に なる んだ から 教えて ください

( 渡辺 ) やめて くれ 話す よ 話す から

( 琴子 ) わっ ―

すいません

俺 は これ から 第一 志望 の 早稲田 の 受験 を 控えて いる んだ

ほんと 君 の デス パワー って すごい ね

デス パワー ?

今 と なって は 笑い話 だ けど

あの 日 君 の お守り の パワー で 大変な こと が …

( 琴子 ) けが も 何もかも ―

お守り の せい だった なんて ―

私 …―

入江 君 に ものすごい 迷惑 かけ ちゃった

( 琴子 ) どう か 入江 君 が 東大 に 受かり ます ように ―

入江 家 の みんな の 夢 が かない ます ように ―

( 琴子 ) きっと この とおり に なる ―

ちょっと 気 が 早い かも しれ ない けど ―

試験 の 翌日 バレンタイン に これ 渡す んだ

はっ …

( 琴子 ) そして 運命 の 日 が やってきた

( 直樹 ) いってきます

… って みんな で そろって 見送る こと ない だろう

だって 心配 で

何 だったら 車 で 送って いこう か ?

大丈夫だ よ 足 の けが だって 治った んだ し

いってきます

気 を 付けて ね

( 重樹 ・ 重雄 ) いってらっしゃい

いってらっしゃい

( ドア が 閉まる 音 )

( 渡辺 ) そりゃあ 悲惨 の 一言 だった よ

あんな 入江 見た こと なかった ―

あの お守り の せい だ と して も

( 紀子 ) あっ 琴子 ちゃん ?

( 琴子 ) 私 入江 君 が 東大 の 門 くぐる まで 見送って き ます

何か あったら 心配 な ので

いってきます

( 紀子 ) いってらっしゃい

( 重樹 ・ 重雄 ) いってらっしゃい

♪~

ついてきて る の バレバレ な んです けど

ハハハ … 東大 の 前 まで お 見送り しよう か と 思って

おおっ 滑った !―

おお … お … お …

ごめんなさい 受験 生 の 前 で

何で バナナ ?

あ 痛っ

( 琴子 ) おお さすが みんな 頭 よさ そう

お前 何か 歩き 方 変 じゃない ?

そう ? 普通 だ よ

顔色 も 悪い けど

あ … ただ 緊張 して る だけ

お前 が 緊張 して どう す んだ よ ?

受験 す ん の 俺 だ ぞ

あっ …―

うん ―

うう …

( 琴子 ) どう しよう こんな お腹 の 痛み 初めて ―

でも 駄目 ―

入江 君 が 東大 の 門 を くぐる まで は ―

それ まで は ―

心配 かけ ちゃ 駄目

おい お前 本当に 大丈夫 か ?

ああ もちろん

試験 頑張って ね いってらっしゃい

あっ うっ

トイレ … トイレ …

ああ … あっ

( 女性 ) どうした ん です か ?

誰か ! 誰か いません か ?

( 女性 ) 大丈夫 です か ? どうした ん です か ?

いきなり 倒れて …

( 女性 ) 大丈夫 です か ? しっかり して ください

( 直樹 ) すいません ―

おい 大丈夫 か ?―

すいません 病院 病院 どこ です か ?

( 女性 ) あっ 確か 向こう に

( 琴子 ) 入江 君 ―

試験 に 行って ―

入江 君 遅れ ちゃう よ ―

試験 受けて ―

おじ 様 も おば 様 も ―

裕樹 君 も ―

みんな ―

応援 して る んだ から

( 紀子 ) 琴子 ちゃん ―

( 紀子 ) 琴子 ちゃん ―

( 重雄 ) 琴子 琴子

( 重雄 ) 琴子 琴子

( 重雄 ) 琴子 琴子

琴子 ちゃん

( 重雄 ) 琴子 琴子

( 重樹 ) 琴子 ちゃん

お 父さん

おば 様 ―

おじ 様 ―

私 …―

何で ここ に ?

( 紀子 ) 琴子 ちゃん 大丈夫 ?

( 重雄 ) 急性 盲腸炎 だった んだ ―

でも 薬 で 散らした から もう 大丈夫 だ ―

今日 中 に 家 に 帰れる から な

( 重樹 ) よかった な 琴子 ちゃん

( 琴子 ) 入江 君 は ?

私 たち が 来た とき に は もう い なかった わ

きっと うち に 電話 して から すぐに 東大 に 向かった の よ

今頃 は 試験 の 真っ最中 じゃない ?

よかった

私 の せい で 入江 君 が 東大 受け られ なかったら

人生 が 狂っ ちゃったら どう しよう か と …

琴子 ちゃん

自分 が こんなに 苦しい とき に

お 兄ちゃん の こと 一番 に 心配 して くれる なんて

( 直樹 ) 俺 が どうした って ?

直樹 !

お お前 受験 に 行った ん じゃない の か ?

( 直樹 ) 腹 減った から 飯 食い に 出て た

じゃあ 受験 は ?

東大 は ?

東大 ? 受けて ない けど

はあ !?

( 紀子 ) ああ …

そんな …

そんな …

( 重雄 ) イリ ちゃん 奥さん 坊っちゃん ほんとに 申し訳ない

( 重樹 ) アイ ちゃん

うち の 娘 の せい で 大事 な 息子 さん を 大変 な 目 に …

( 重樹 ) なん … 頭 上げん ね ―

受験 に 行か ん やった ん は 直樹 が 勝手に やった こと や け

( 紀子 ) そう です よ それ に いくら 東大 に 受かって も ―

あそこ で 琴子 ちゃん を 見捨てる ような 子 だったら

私 は がっかり です よ

( 重雄 ) でも …

( 重雄 ) でも …

( 重樹 ) いや そう たい そう たい ―

( 重樹 ) いや そう たい そう たい ―

こう なる 運命 やった ん や け ―

こう なる 運命 やった ん や け ―

( 重雄 ) いや もう …

( 重雄 ) いや もう …

( 重雄 ) いや もう …

ええ て ええ けえ …―

ええ て ええ けえ …―

ええ て ええ けえ …―

( 紀子 ) 頭 頭 上げて ください

( 紀子 ) 頭 頭 上げて ください

アイ ちゃん ええ って

( 琴子 ) 私 の せい で ―

入江 家 に とって 最悪 の こと が 起こって しまった

♪~

( 琴子 ) “ 入江 家 の 皆さん ”―

“ 今 まで ありがとう ございました ”

さようなら 入江 君

( 琴子 ) “ これ 以上 皆さん に 迷惑 を かける こと は でき ません ”―

“ 私 は ”―

“ 皆さん の 目 の 届か ない 所 で 生きて いき ます ”

どこ 行こう

寒い

( 直樹 ) なら 缶 コーヒー 持つ か ?

入江 君 ―

ど して ?

別に

寝れ なかった から ちょっと 散歩

( 琴子 ) あったかい

止め ないで

私 これ 以上 入江 君 に …

別に 止めて ない けど

じゃあ さよなら

俺 が 東大 行か なかった から 出て 行く の か よ ?

私 って やっぱり 入江 君 の 疫病神 だ と 思って

東大 だけ じゃない センター 試験 の こと だって

聞いた の

A 組 の 渡辺 君 に

もしかして

私 って 入江 君 に とって 何か とんでもない 人間 な の かも

そう かも な

ほんと ―

お前 と いて いい こと が あった ためし が ない もん な

俺 の ペース が いつも めちゃくちゃ に されて

学校 で は うわさ 立て られる し

勉強 教え させ られる し

しまい に は 受験 まで

私 って 最悪

でも …

結構 面白かった

あんなに ハラハラ した の 生まれて 初めて だった

試験 の 結果 が 怖かった の も 初めて

すごい 体験 だった よ

でも 東大 は ?

言っ とく けど

東大 受け なかった の は お前 の せい じゃない から

( 琴子 ) え ?

お前 を 病院 に 置いた 後 に 行った って

受験 に は 十分 間に合った んだ

じゃあ 何で ?

お前 が 大学 は 何 を する の か

決め に 行く 場所 だって 言って た だろ ?

だったら 最近 お前 と いて

ハラハラ する の も 刺激 が あって 面白い し

このまま エスカレーター で 斗南 に 残る の も 悪く ない なって

まあ 前 から 東大 行って 何 する んだ って 思って た し

私 が いる から 同じ 大学 に した って こと ?

別に そういう 意味 じゃない よ

でも

( 直樹 ) いい から もう 行け ―

元気 で な

( 琴子 ) あっ ちょ ちょっと 待って

あの 私 もう 少し 入江 家 に いて も いい ?

もう 迷惑 は かけ ない から

( 直樹 ) うそつけ

お前 が 迷惑 かけ ない わけない だろ

そう よ ね

じゃあ 刺激 の ある 生活 を お 約束 する わ

調子 の いい やつ だ な お前 は

ああ

おっ !

ねえ 今日 って もう バレンタイン だ よ ね ?

だから 何 な んだ よ ?

チョコ でも くれ ん の ?

ごめん もしかして 期待 して た ?

別に

♪~

ある じゃん

まずっ

( 琴子 ) ホワイト バレンタイン ―

今年 は 私 の 思い は 空回り して しまった けれど ―

いつか きっと ―

私 の 思い が ―

伝わり ます ように

♪~

ファースト キッス ?

( 理美 ) 卒業 式 の 日 に キス した カップル は 永遠 に 結ばれる って いう

( じんこ ・ 琴子 ・ 理美 ) おーっ

( じんこ ) 最高 の 卒業 式 と 謝恩会 に しよう ね

( 金之助 ) 琴子 俺 や あかん か !

( 琴子 ) 私 金 ちゃん の こと 嫌い って いう わけじゃ

( 金之助 ) 俺 は な 今夜 琴子 と キス す ん の や

( 直樹 ) 夢 なら 寝て みれば ?

琴子 は 俺 の こと 好き に なって くれる ん か ?

( 金之助 ) 誰 が 一番 自分 を 大事 に して くれる かって こと に ―

気付いた ん やろ

この 冷血 男 !


イタズラ な Kiss 〜Love in TOKYO#4 いたずら||kiss|love||tokyo Mischievous Kiss - Love in TOKYO #4 Озорной поцелуй - Любовь в ТОКИО #4

( 相原 琴子 ( あいはら ことこ )) 生まれて 初めて 書いた ラブレター ― あいはら|ことこ|あい はら|こと こ|うまれて|はじめて|かいた| (Kotoko Aihara (Kotoko Aihara)) The first love letter I wrote in my life ―

決して 読んで もらえ ない ラブレター けっして|よんで||| A love letter that you will never read

ひどい 手紙 見た の ? |てがみ|みた| Did you see the terrible letter?

( 入江 紀子 ( いりえ のりこ )) 琴子 ちゃん は いりえ|としこ|||ことこ||

お 兄ちゃん の お 嫁 さん に なったら いい じゃない の |にいちゃん|||よめ|||||じゃ ない| I wish I could be my brother's wife

( 池沢 金之助 ( いけざわ きんのすけ )) 結婚 なんか お 話 に も なら へん で いけさわ|きんのすけ|いけ ざ わ|きん の すけ|けっこん|||はなし||||| (Kinnosuke Ikezawa (Ikezawa Kinnosuke)) Marriage or something like that

( 入江 直樹 ( なおき )) 人 の 気持ち なんて 分から ない いりえ|なおき|な おき|じん||きもち||わから|

今日 は 嫌い でも ― きょう||きらい|

あした は 好き に なって る かも しれ ない から ね ||すき||||||||

( 琴子 ) な … 何 言って ん の ? ことこ||なん|いって||

あーっ 待って ! あー っ|まって

ハッハッハッ …―

安心 しろ よ おつきあい する つもり ない から あんしん|||||||

からかった の ?

( 琴子 ) 高校 最後 の 夏 休み の 思い出 は ― ことこ|こうこう|さいご||なつ|やすみ||おもいで|

これ と いって 何も なかった けれど ― |||なにも||

入江 君 と 飲んだ モーニング コーヒー の 香り は ― いりえ|きみ||のんだ|もーにんぐ|こーひー||かおり|

きっと 忘れ ない |わすれ| I will never forget

( 琴子 ) 時 の 流れ は 早い もの で ― ことこ|じ||ながれ||はやい||

季節 は 夏 から 秋 ― きせつ||なつ||あき

秋 から 冬 へ と 移り変わって いき ― あき||ふゆ|||うつりかわって|

どうにか 大学 進学 が 決まった の は いい けど ― |だいがく|しんがく||きまった||||

私 と 入江 君 の 関係 は ― わたくし||いりえ|きみ||かんけい|

相変わらず ― あいかわらず

何も 進展 し ない まま で なにも|しんてん||||

( 小森 ( こもり ) じんこ ) かわいい こもり||じん こ|

( 石川 理美 ( いしかわ さとみ )) じんこ も すごい 似合って る ね いしかわ|り び|いし かわ||じん こ|||にあって||

( じんこ ) 今年 は 紺 に した の 去年 は 黄色 だった から じん こ|ことし||こん||||きょねん||きいろ|| (Jinko) I made it dark blue this year because it was yellow last year

( 理美 ) そうだ よ ね ちょっと 大人 の じんこ で キャー り び|そう だ||||おとな||じん こ|| (Rimi) That's right, it's a little adult Jinko

( 理美 ) そうだ よ ね ちょっと 大人 の じんこ で キャー り び|そう だ||||おとな||じん こ||

( 琴子 ) じんこ ! 理美 ! ことこ|じん こ|り び

( 琴子 ) じんこ ! 理美 ! ことこ|じん こ|り び

( 理美 ・ じんこ ) あーっ ! り び|じん こ|あー っ

あけましておめでとう あけ まして おめでとう

( 理美 ・ じんこ ) あけましておめでとう 琴子 り び|じん こ|あけ まして おめでとう|ことこ

( 理美 ) あれ ? 今年 は 琴子 も 着物 着た んだ り び||ことし||ことこ||きもの|きた|

うん 入江 君 の お 母さん に 着付けて もらった んだ |いりえ|きみ|||かあさん||きつけて||

かわいい 似合って る よ |にあって||

ウフ ありがとう

あれ ? じんこ ちょっと 太った ? |じん こ||ふとった

ちょ … やめて よ 気 に して る んだ から |||き|||||

だけど さ もう 受験 勉強 から 解放 された って 思う と |||じゅけん|べんきょう||かいほう|さ れた||おもう|

クリスマス ケーキ も おせち も おいしく って くりすます|けーき|||||

( 琴子 ) うん 分かる 分かる ことこ||わかる|わかる

でも さ 3 人 と も 同じ 斗南 ( となん ) 大学 に 進めて よかった ね ||じん|||おなじ|と みなみ|と なん|だいがく||すすめて||

ほんと 春 から 私 たち も 女子大生 ― |はる||わたくし|||じょし だい せい

今年 は いい 1 年 に しよう ね ことし|||とし|||

( 琴子 ) うん じゃあ 早速 行く か ことこ|||さっそく|いく|

( 理美 ) 行く か り び|いく|

( じんこ ) あっ 並んで る ね じん こ||ならんで||

( 理美 ) すごい ね り び||

すてき な 大学 生活 に なり ます ように ||だいがく|せいかつ|||| I wish you a wonderful university life

今年 こそ 彼氏 でき ます ように ことし||かれ し|||

( 理美 ) はぁ … り び|は ぁ

琴子 真剣 だ ね ことこ|しんけん||

無言 でも 何 を 願って る か バレバレ ね むごん||なん||ねがって||||

( じんこ ) ねえ おみくじ 引こう よ じん こ|||ひこう|

これ !

( じんこ ) じゃあ 私 は ね これ に しよう じん こ||わたくし|||||

( 理美 ) どれ に しよう か な ― り び||||| (Rimi) Which one should I choose?

これっ これ っ

おおっ すご ~ い おお っ||

大吉 だ ~ っ ! だいきち||

大吉 だ ~ っ ! だいきち||

( 理美 ) 来た ~ 私 も ! り び|きた|わたくし|

( 理美 ) 来た ~ 私 も ! り び|きた|わたくし|

( 理美 ) 来た ~ 私 も ! り び|きた|わたくし|

( じんこ ) 何と 私 も ! じん こ|なんと|わたくし|

( じんこ ) 何と 私 も ! じん こ|なんと|わたくし|

( 琴子 ) お ー すごい 3 人 そろって すごい ― ことこ||-||じん||

えっ 待って ! |まって

えっ 待って ! |まって

( 理美 ) え ? り び|

( 理美 ) え ? り び|

( 琴子 )“ 待ち 人 来る 楽しみ に 待ち なさい ” ことこ|まち|じん|くる|たのしみ||まち|

(3 人 の 歓声 ) じん||かんせい

どう しよう 大丈夫 ? ||だいじょうぶ

どう しよう 大丈夫 ? ||だいじょうぶ

( 理美 ) え 何 ? 何 ? 私 の 何 だ ろ ね … り び||なん|なん|わたくし||なん|||

( 理美 ) え 何 ? 何 ? 私 の 何 だ ろ ね … り び||なん|なん|わたくし||なん|||

( 理美 ) え 何 ? 何 ? 私 の 何 だ ろ ね … り び||なん|なん|わたくし||なん|||

( 琴子 ) うん ? ことこ|

( 琴子 ) うん ? ことこ|

“ 来ない けれど 便り あり ” どういう こと だ ? これ は ― こ ない||たより||||||

来ない の ? 今年 も 来ない の ? こ ない||ことし||こ ない|

来ない の ? 今年 も 来ない の ? こ ない||ことし||こ ない|

( じんこ )〝 野心 を 持つ と 来ない です 〞― じん こ|やしん||もつ||こ ない|

( じんこ )〝 野心 を 持つ と 来ない です 〞― じん こ|やしん||もつ||こ ない|

ええ ~ っ ?

( 銀太郎 ( ぎんたろう )) 兄貴 ぎん たろう|ぎん たろう|あにき

この こと 琴子 に は 絶対 言う な よ ||ことこ|||ぜったい|いう||

( 銀太郎 ) でも … ぎん たろう|

( 銀太郎 ) でも … ぎん たろう|

ええ から

ええ から

言 ( ゆ ) うな ゆう たら 言う な げん|||||いう|

兄貴 あにき

( 入江 重樹 ( しげき )) おめでとう ! いりえ|しげき||

( 紀子 ) おめでとう ! としこ|

( 相原 重雄 ( しげお )) ホッホー あいはら|しげお|しげ お|

( クラッカー が 鳴る 音 ) くらっかー||なる|おと

( 紀子 たち の 笑い声 ) としこ|||わらいごえ

( 重樹 ) それ で は 琴子 ちゃん の 大学 進学 決定 を 祝って 乾杯 ! しげき||||ことこ|||だいがく|しんがく|けってい||いわって|かんぱい

( 紀子 ・ 重雄 ) 乾杯 ! としこ|しげお|かんぱい

( 紀子 ・ 重雄 ) 乾杯 ! としこ|しげお|かんぱい

( 重樹 ) はい おめでとう しげき||

( 重樹 ) はい おめでとう しげき||

琴子 ちゃん おめでとう ことこ||

( 重雄 ) ああ ~ しげお|

( 重雄 ) ああ ~ しげお|

さあ それ で は みんな いただき ましょう

さあ それ で は みんな いただき ましょう

さあ それ で は みんな いただき ましょう

( 重雄 ) さあ いただき ましょう しげお|||

( 重雄 ) さあ いただき ましょう しげお|||

( 重雄 ) さあ いただき ましょう しげお|||

( 紀子 ) わ あ フフフ としこ|||

私 の ため に 皆さん ほんとに ありがとう ございます わたくし||||みなさん|||

( 重樹 ) いや いや いや しげき|||

いや ー この 間 まで まだ 小さい と 思って た 琴子 が |-||あいだ|||ちいさい||おもって||ことこ|

春 から もう 大学生 か フフ はる|||だいがくせい||

天国 で お 母さん が どれ だけ 喜んで る こと か てんごく|||かあさん||||よろこんで|||

お 父さん |とうさん

お 父さん |とうさん

( 重雄 ) ごめん ― しげお|

( 重雄 ) ごめん ― しげお|

ごめん ごめん

なあ 直樹 も 琴子 ちゃん に 続いて 受験 頑張 ん ない と な |なおき||ことこ|||つづいて|じゅけん|がんば|||| Naoki also has to do her best to take the exam following Kotoko-chan.

( 入江 裕樹 ( ゆうき )) お 兄ちゃん は 琴子 みたい な ばか と は 違う いりえ|ひろき|||にいちゃん||ことこ||||||ちがう

余裕 で 東大 合格 だ よゆう||とうだい|ごうかく|

裕樹 ハハハ … ひろき|

あっ そうだ |そう だ

はい 入江 君 これ |いりえ|きみ|

( 紀子 ) まあ フフフ としこ||

( 紀子 ) まあ フフフ としこ||

( 重樹 ) おお ? しげき|

( 紀子 ) まあ フフフ としこ||

( 琴子 ) 私 が 内部 進学 できた の も ことこ|わたくし||ないぶ|しんがく|||

入江 君 に テスト 勉強 見て もらった おかげ だ し いりえ|きみ||てすと|べんきょう|みて||||

お 礼 って ほど じゃない んだ けど |れい|||じゃ ない||

わあ すてき 早く 開けて みせて よ お 兄ちゃん わ あ||はやく|あけて||||にいちゃん

わあ すてき 早く 開けて みせて よ お 兄ちゃん わ あ||はやく|あけて||||にいちゃん

( 重樹 ) うん うん うん しげき|||

( 重樹 ) うん うん うん しげき|||

フフッ

何 だ あ ? これ なん|||

ヘッドマッサージ 器 です |うつわ|

( 重雄 ) ふーん しげお|ふ - ん

( 重雄 ) ふーん しげお|ふ - ん

( 琴子 ) 入江 君 東大 目指して 外部 受験 する でしょ ?― ことこ|いりえ|きみ|とうだい|めざして|がいぶ|じゅけん||

( 琴子 ) 入江 君 東大 目指して 外部 受験 する でしょ ?― ことこ|いりえ|きみ|とうだい|めざして|がいぶ|じゅけん||

まだ 勉強 あって 大変だ と 思う から |べんきょう||たいへんだ||おもう|

泡立て 器 みたい あわだて|うつわ|

じじ くせえ |くせ え

( 重樹 ) こら 裕樹 しげき||ひろき

いい から 使って み なさい よ お 兄ちゃん ||つかって|||||にいちゃん

いい から 使って み なさい よ お 兄ちゃん ||つかって|||||にいちゃん

( 重樹 ) ああ そう だ よ そう だ よ しげき|||||||

( 重樹 ) ああ そう だ よ そう だ よ しげき|||||||

( 直樹 ) 俺 は いい よ なおき|おれ|||

それ に 東大 どころ か ||とうだい||

大学 に 行く か どう かも 決めて ない し だいがく||いく||||きめて||

( 重樹 の せき払い ) しげき||せきばらい

あっ あの 裕樹 ちょっと それ 見 して ごらん なさい ||ひろき|||み|||

どう やって どう やって 使う ん だろう ね ||||つかう|||

頭 に あたま|

頭 に あたま|

( 重樹 ) 頭 に ね しげき|あたま||

( 重樹 ) 頭 に ね しげき|あたま||

( 琴子 ) そんな …― ことこ|

東大 間違い なし の 天才 の 入江 君 が ― とうだい|まちがい|||てんさい||いりえ|きみ|

大学 に 行か ない かも しれ ない って ― だいがく||いか|||||

どういう こと ?

♪~

( 琴子 の あくび ) ことこ||

( じんこ ) 口 ( くち ) 口 っ じん こ|くち||くち|

( 理美 ) でかい 口 り び|で かい|くち

( じんこ ) 受験 勉強 の ない 3 学期 って 天国 ね じん こ|じゅけん|べんきょう|||がっき||てんごく|

( 理美 ) ほんと り び|

あっ 見て 見て 見て 見て |みて|みて|みて|みて

( じんこ ) 何か すごい 風景 じん こ|なん か||ふうけい

私 たち が 余裕 で 遊んで る のに A 組 が 必死 なんて わたくし|||よゆう||あそんで|||a|くみ||ひっし|

何か 不思議 だ よ ね なん か|ふしぎ|||

うん まあ もう すぐ センター 試験 だ から ね ~ ||||せんたー|しけん|||

( じんこ ) だが 入江 直樹 だけ は 余裕 … と じん こ||いりえ|なおき|||よゆう|

( 理美 ) 信じらんない ― り び|しんじ らん ない

この 時期 に 受験 に 関係ない 本 を 悠々 と 読んで られる なんて |じき||じゅけん||かんけいない|ほん||ゆうゆう||よんで||

ねえ 入江 直樹 の 第一 志望 って やっぱ 東大 な の ? |いりえ|なおき||だい ひと|しぼう||や っぱ|とうだい||

東大 どころ か とうだい||

大学 に 行く か どう か も 決めて ない し だいがく||いく|||||きめて||

( じんこ ) 琴子 ― じん こ|ことこ

琴子 ことこ

えっ ?

ああ どう なん だろう ね

受かったら 行く ん じゃない ? うかったら|いく||じゃ ない

何 言って ん の 入江 なら 受かる に 決まって ん じゃん なん|いって|||いりえ||うかる||きまって||じゃ ん

でも 琴子 さみしく なっ ちゃう ね |ことこ||な っ|ちゃ う|

大学 ばらばら に なっ ちゃう なんて だいがく|||な っ|ちゃ う|

でも 入江 君 の 将来 の ため だ もん 応援 し ちゃう ! |いりえ|きみ||しょうらい|||||おうえん||ちゃ う

応援 し ちゃう ! おうえん||ちゃ う

( 理美 ) じんこ 無理 が ある ハハ 八ッ り び|じん こ|むり||||やっ ッ

( 理美 ) じんこ 無理 が ある ハハ 八ッ り び|じん こ|むり||||やっ ッ

( じんこ ) 無理 ある ? うそ でしょ じん こ|むり|||

おば 様 あの … |さま|

( 紀子 ) うん ? としこ|

裁縫 道具 を お 借り する こと って でき ます か ? さいほう|どうぐ|||かり||||||

あっ いい わ よ あっ ちょっと 待って て ね ||||||まって||

はい

♪~

あっ 曲がっ ちゃった |きょく が っ|ちゃ った

大丈夫 よ ゆっくり やって みて だいじょうぶ||||

はい

その お守り お 兄ちゃん に ? |おもり||にいちゃん|

ありがと ね 琴子 ちゃん あり が と||ことこ|

お 兄ちゃん の 大学 受験 の こと 一番 思って くれて る の は |にいちゃん||だいがく|じゅけん|||ひと ばん|おもって||||

実は 琴子 ちゃん かも ね フフフ … じつは|ことこ||||

入江 君 大学 行か ない かも しれ ない なんて いりえ|きみ|だいがく|いか|||||

うそ です よ ね ?

うーん

大学 に 行き たく ない わけ じゃない ん だろう けど だいがく||いき||||じゃ ない|||

もしかしたら パパ の 期待 が 大き すぎる の かも |ぱぱ||きたい||おおき|||

パパ 自分 が 東大 出身 でしょ ぱぱ|じぶん||とうだい|しゅっしん|

それ で お 兄ちゃん に も 同じ 東大 に 行って |||にいちゃん|||おなじ|とうだい||おこなって

いずれ は パパ の 会社 を ||ぱぱ||かいしゃ|

継いで ほしい って 思って る んだ けど ついで|||おもって|||

そういう ふう に 期待 されて る こと が |||きたい|さ れて|||

もしかしたら お 兄ちゃん に は 重荷 な の かも ね ||にいちゃん|||おもに||||

( 直樹 ) はい なおき|

ちょっと いい かな ?

( 琴子 ) はい ことこ|

あした センター 試験 でしょ ? だ から |せんたー|しけん|||

受ける よ ね ? センター 試験 うける|||せんたー|しけん

願書 は 出した がんしょ||だした

よかった

他 に 行き たい 大学 が あったら 仕方ない けど た||いき||だいがく|||しかたない|

でも 東大 に 行ったら |とうだい||おこなったら

おじさん も おばさん も 喜ぶ と 思う よ ||||よろこぶ||おもう|

私 なんか 親 に 迷惑 かけ っぱなし だ し さ わたくし||おや||めいわく|||||

そんな ふう に 親 を 喜ば せる チャンス が |||おや||よろこば||ちゃんす|

たくさん ある 入江 君 が うらやましい ||いりえ|きみ||

あ … じゃあ それ だけ

お前 さ おまえ|

大学 行って どう する の ? だいがく|おこなって|||

どう する って …

勉強 したり 友達 作ったり べんきょう||ともだち|つくったり

好き でも ない 勉強 を わざわざ し に 行く 気 か よ すき|||べんきょう|||||いく|き||

分かんない よ な わか ん ない||

何で みんな そんなに 必死 に 大学 に 行き たい の か なんで|||ひっし||だいがく||いき|||

そりゃあ 入江 君 みたい な 人 が 勉強 する ため に そりゃ あ|いりえ|きみ|||じん||べんきょう|||

大学 は ある ん だろう けど だいがく|||||

俺 大学 なんて 行き たい と 思って ない よ おれ|だいがく||いき|||おもって||

別に 大学 で 教えて もらわ なくて も べつに|だいがく||おしえて|||

勉強 し た けりゃ 自分 で できる し べんきょう||||じぶん|||

でも それ だけ じゃない でしょ |||じゃ ない|

将来 やり たい こと の ため の 資格 と か しょうらい|||||||しかく||

じゃあ お前 は 何 やり たい の ? |おまえ||なん|||

そんな の まだ 分かんない けど … |||わか ん ない|

あっ そうだ |そう だ

大学 行く 時間 って それ を 探し に 行く 時間 な んだ よ ― だいがく|いく|じかん||||さがし||いく|じかん|||

将来 自分 が 何 を やり たい の か を しょうらい|じぶん||なん||||||

入江 君 は さ その 頭脳 を 独り占め しちゃ 駄目だ よ いりえ|きみ||||ずのう||ひとりじめ||だめだ|

日本 の 発展 に 役立た せ ない と ね にっぽん||はってん||やくだた||||

お前 って すごい よ な おまえ||||

前 から 思って た んだ けど ぜん||おもって|||

何で そんなに 一生懸命に なれる んだろう って なんで||いっしょうけんめいに|||

そんで 一生懸命 に やる のに |いっしょうけんめい|||

何で それ が でき ない の か な あって なんで||||||||

感心 しちゃ って かんしん||

何 それ 嫌 み ? なん||いや|

何 か … なん|

そっち の 方 が うらやましい 気 が する ||かた|||き||

あした 早い から もう 寝る わ |はやい|||ねる|

うん おやすみ |お やすみ

あっ じゃあ これ 付け とく ね |||つけ||

( ドア が 開く 音 ) どあ||あく|おと

( ドア が 閉まる 音 ) どあ||しまる|おと

フフッ ―

ヒヒヒ …

完璧 かんぺき

ファイト ふぁいと

お 兄ちゃん 遅い わ ね |にいちゃん|おそい||

( 重樹 ) あ … あいつ まさか しげき|||

センター 試験 受け ない 気 じゃない だろう なあ せんたー|しけん|うけ||き|じゃ ない||

大丈夫 たい イリ ちゃん の 気持ち は 届い とう だいじょうぶ|||||きもち||とど い|

( 重樹 ) うーん でも 思い込んだら 頑固 な とこ ある け ね しげき|||おもいこんだら|がんこ|||||

( 直樹 ) 何 ? なおき|なん

ああっ おはよう お 兄ちゃん ああ っ|||にいちゃん

いい 朝 ねえ ― |あさ|

いい 朝 ねえ ― |あさ|

( 重樹 ) うん しげき|

( 重樹 ) うん しげき|

( 重樹 ) うん しげき|

はい お 弁当 ||べんとう

はい お 弁当 ||べんとう

ありがとう

( せき込み ) せきこみ

どうした ? 直樹 |なおき

何か ちょっと 熱っぽい なん か||ねつっぽい

風邪 ひいた みたい かぜ||

こんな 大事 な 日 に |だいじ||ひ|

大変 だ わ あっ 卵酒 卵酒 たいへん||||たまご さけ|たまご さけ

いやいや 喉 に は ネギ を |のど|||ねぎ|

( 裕樹 ) 薬 薬 薬 ! ひろき|くすり|くすり|くすり

( 重樹 ) ああ ぬかみそ も あった か しげき|||||

いい よ もう 行く から |||いく|

( 紀子 ) えっ ? あっ 朝 御飯 は ? としこ|||あさ|ごはん|

( 直樹 ) 食欲 ない これ で いい なおき|しょくよく||||

( 紀子 ) え えっ ? としこ||

( 琴子 ) 入江 君 入江 君 これ 飲んで この 薬 ― ことこ|いりえ|きみ|いりえ|きみ||のんで||くすり

よく 効く の よ |きく||

うん これ で 安心 だ |||あんしん|

まさか と は 思う けど この 薬 眠く なら ない よ な ? |||おもう|||くすり|ねむく||||

はっ !

服用 後 は 自動車 の 運転 を 避けて ください … ふくよう|あと||じどうしゃ||うんてん||さけて|

( 重樹 が 鼻 を 鳴らす 音 ) しげき||はな||ならす|おと

( 重樹 ) 吐け 直樹 吐く んだ 直樹 ! しげき|はけ|なおき|はく||なおき

( 重雄 ) イリ ちゃん 俺 が 押さえ とく けん 指 入れ ! しげお|||おれ||おさえ|||ゆび|いれ

( 重雄 ) イリ ちゃん 俺 が 押さえ とく けん 指 入れ ! しげお|||おれ||おさえ|||ゆび|いれ

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く ! としこ|せんめん|うつわ|もってきて|はやく|はやく

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く ! としこ|せんめん|うつわ|もってきて|はやく|はやく

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く ! としこ|せんめん|うつわ|もってきて|はやく|はやく

( 重樹 ) あーん して あーん して しげき|あー ん||あー ん|

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く ! としこ|せんめん|うつわ|もってきて|はやく|はやく

( 紀子 ) 洗面 器 持ってきて 早く 早く ! としこ|せんめん|うつわ|もってきて|はやく|はやく

( 直樹 ) もう いい よ !― なおき|||

( 直樹 ) もう いい よ !― なおき|||

いってきます いって き ます

入江 君 大丈夫 かな ? いりえ|きみ|だいじょうぶ|

( 渡辺 ( わたなべ )) ハァ ハァ … おはよう わたなべ|わた な べ|||

( 直樹 ) おはよう なおき|

( 渡辺 ) あれ ? その お守り 手作り ?― わたなべ|||おもり|てづくり

もしかして 一緒に 住んで る 彼女 が 作って くれた と か ? もし かして|いっしょに|すんで||かのじょ||つくって|||

会場 に 着いたら 捨てる かいじょう||ついたら|すてる

( 渡辺 ) そんな ! かわいそう じゃん わたなべ|||じゃ ん

俺 彼女 結構 好み だ けど なあ おれ|かのじょ|けっこう|よしみ|||

( 女性 ) すいません 降り ます じょせい||ふり|

ありがとう ございました

( 渡辺 ) どうした ? 入江 わたなべ||いりえ

あいつ

( 渡辺 ) お守り が ドア に 挟まって る 引きちぎれ よ わたなべ|おもり||どあ||はさまって||ひきちぎれ|

( 渡辺 ) おい びくとも して ない ぞ わたなべ|||||

はぁ … は ぁ

( 渡辺 ) 入江 急げ わたなべ|いりえ|いそげ

( 直樹 ) 渡辺 お前 先 に 行け なおき|わたなべ|おまえ|さき||いけ

でも お前 は ? |おまえ|

俺 は 早めに なんとか する から おれ||はや めに|||

( 発車 の ベル ) はっしゃ||べる

悪い 先 行く ぞ 後 で 会場 で な わるい|さき|いく||あと||かいじょう||

( 直樹 ) おう なおき|

すいません

( ブザー 音 ) ぶざー|おと

すいません エレベーター が 停止 し ました |えれべーたー||ていし||

すいません

( 渡辺 ) はぁ … わたなべ|は ぁ

( 直樹 ) おい ! なおき|

よかった 入江 随分 かかった な |いりえ|ずいぶん||

( 直樹 ) 駅員 に しこたま 絞られた なおき|えきいん||しこ たま|しぼら れた

何か いたずら で エレベーター 止める の が なん か|||えれべーたー|とどめる|| Stopping the elevator for some mischief

はやって る らしく って

今 まで の も お前 が 犯人 なん じゃない か って いま||||おまえ||はんにん||じゃ ない||

話 は 後 だ さっ 中 行こう はなし||あと|||なか|いこう

( 渡辺 ) そう いえば あの お守り は どう した んだ ? わたなべ||||おもり||||

( 直樹 ) あっ なおき|

( 渡辺 ) しぶとい なあ わたなべ||

それ 縁起 悪い んじゃ ない か ? |えんぎ|わるい|||

( 直樹 ) だ よ な ― なおき|||

外し ちまおう はずし|ち まおう

何か やたら あっさり 取れた わ なん か|||とれた|

( 渡辺 ) 入江 ! わたなべ|いりえ

( 男子 生徒 ) 階段 から 人 が 落ちた ぞ だんし|せいと|かいだん||じん||おちた|

( 男子 生徒 ) 誰 か 誰か いません か ? だんし|せいと|だれ||だれ か|いま せ ん|

( 養護 教諭 )2 人 と も 保健室 へ 運んで 今 すぐ ! ようご|きょうゆ|じん|||ほけん しつ||はこんで|いま|

( 渡辺 ) 何て 恐ろしい お守り わたなべ|なんて|おそろしい|おもり

( 男子 生徒 ) せーの だんし|せいと|せ - の

( 養護 教諭 ) ゆっくり で いい よ ようご|きょうゆ||||

♪~

( ドア が 開く 音 ) どあ||あく|おと

すいません 遅く なり ました |おそく||

( 試験 官 ) 階段 から 落ちた 生徒 だ ね ? さあ 急いで 残り 時間 30 分 だ しけん|かん|かいだん||おちた|せいと||||いそいで|のこり|じかん|ぶん|

はい

あの とき だ

ありがとう

( 渡辺 ) なあ 入江 ― わたなべ||いりえ

聞く の も 悪い けど どう だった ? きく|||わるい|||

問題 は ほとんど 見ず に 想像 で 答え を 書いた もんだい|||み ず||そうぞう||こたえ||かいた

( 渡辺 ) まあ お前 なら なんとか なって る よ わたなべ||おまえ|||||

( 琴子 ) ファイト ! ことこ|ふぁいと

あの 女 |おんな

( 渡辺 ) どうした ? わたなべ|

もし かして その お 弁当 も あの 子 が 作った と か ? ||||べんとう|||こ||つくった||

食わ ない 方 が いい 腹 でも 下したら 大変 くわ||かた|||はら||くだしたら|たいへん

こんなん で よかったら

ありがとう 恩 に 着る |おん||きる

なあ 余計 な お世話 だ けど |よけい||お せわ||

あの お守り も 捨てた 方 が いい ぞ |おもり||すてた|かた|||

保健室 で 気付いたら なく なって た よ ほけん しつ||きづいたら||||

それ は よかった これ で 災い も 去った な |||||わざわい||さった|

♪~

残り 10 分 だ よ のこり|ぶん||

♪~

( 渡辺 ) 大変だった なあ 入江 わたなべ|たいへんだった||いりえ

でも お前 は これ くらい の アクシデント が あって ― |おまえ|||||||

ちょうど 普通 ぐらい の 人 だ よ |ふつう|||じん||

… って フォロー に なって ない か |ふぉろー||||

( 養護 教諭 ) あら あなた ようご|きょうゆ||

今日 は 大変だった わ ね きょう||たいへんだった||

先ほど は ありがとう ございました さきほど|||

まあ 骨 は 折れて ない けど しばらく は 安静に ね |こつ||おれて|||||あんせいに|

はい ありがとう ございます

あ … あっ そうだ ||そう だ

あなた のだ と は 思う んだ けど 階段 に 落ちて いた お守り ||||おもう|||かいだん||おちて||おもり

胸 の ポケット に 入れて おいた わ よ ― むね||ぽけっと||いれて|||

手作り だった から ― てづくり||

大事な もの な んじゃ ない か な と 思って だいじな||||||||おもって

フフッ お守り の ご利益 ある と いい わ ね ― |おもり||ごりやく|||||

ああ うらやましい

俺 あの 子 と お前 は 一生 一緒に いる 気 が する おれ||こ||おまえ||いっしょう|いっしょに||き||

やめろ

お 兄ちゃん そろそろ 帰って くる 時間 な のに 遅い わ ねえ |にいちゃん||かえって||じかん|||おそい||

( ドア が 開く 音 ) どあ||あく|おと

( 紀子 ) あっ ウフ としこ||

( 裕樹 ) お 兄ちゃん だ ひろき||にいちゃん|

( 裕樹 ) お 兄ちゃん だ ひろき||にいちゃん|

( 紀子 ) お 兄ちゃん どうした の ? 一体 何 が あった の ? としこ||にいちゃん|||いったい|なん|||

転んだ ころんだ

( 紀子 ) え えっ ? それ に した って ひどい けが としこ|||||||| (Noriko) What? It ’s a terrible injury

お守り 効か なかった んだ おもり|きか||

いや ものすごーく 効いた よ |ものすご - く|きいた|

それ どういう 意味 ? ||いみ

もう いい

寝る ねる

お 兄ちゃん |にいちゃん

( チャイム ) ちゃいむ

( 女子 生徒 ) センター 駄目だった じょし|せいと|せんたー|だめだった

( 女子 生徒 ) 私 も もう 私立 に 懸ける しか ない や じょし|せいと|わたくし|||しりつ||かける|||

入江 は 大丈夫だ よ 全国 一 の 天才 だ よ いりえ||だいじょうぶだ||ぜんこく|ひと||てんさい||

いや 今回 ばかり は そう と も 言え ない 気 が … |こんかい||||||いえ||き|

( 理美 ) 琴子 ! じんこ ! り び|ことこ|じん こ

聞いた ? 入江 東大 受ける って きいた|いりえ|とうだい|うける|

うそ ! それ どこ で 聞いて きた の ? ||||きいて||

今 職員室 で うわさ に なって た の いま|しょくいん しつ||||||

東大 受ける 生徒 の 中 でも ぶっちぎり の 成績 だって とうだい|うける|せいと||なか||ぶ っち ぎり||せいせき|

さっすが 天才 さっす が|てんさい

ちょ … ちょっと 琴子 あんた 何で 泣いて る の よ ? ||ことこ||なんで|ないて|||

いや …

うれしくて

フフッ 私 入江 君 に おめでとう って 言って くる ね |わたくし|いりえ|きみ||||いって||

フフフフッ

青春 だ ね うん うん せいしゅん||||

( 琴子 ) あんな けが して た のに ちゃんと 結果 を 出す なんて ― ことこ|||||||けっか||だす|

私 の 好き な 人 は ほんとに かっこいい んだ ― わたくし||すき||じん||||

もしかして ― もし かして

あの お守り も ちょっと は 役 に 立った の か なあ |おもり||||やく||たった|||

ヒヒヒヒッ

東大 を 受け られる の も 全て 君 の お守り の おかげ だ よ とうだい||うけ||||すべて|きみ||おもり||||

ありがとう

( 渡辺 ) あっ 危ない ! わたなべ||あぶない

あっ ! A 組 の 人 |a|くみ||じん

ちょっと ! どうした ん です か ?―

おっ ちょっ … もしかして センター 試験 の 結果 が ? お っ|ちょ っ|もし かして|せんたー|しけん||けっか|

やっぱり

やっぱり 入江 センター 試験 駄目 だった の ? |いりえ|せんたー|しけん|だめ||

何 言って る んです か ? 入江 君 は 大丈夫 です よ なん|いって||||いりえ|きみ||だいじょうぶ||

東大 も 受け られる みたい です とうだい||うけ|||

え えっ !?―

すごい あの 状態 で ? ||じょうたい|

あの 状態 ? |じょうたい

そりゃあ 悲惨 の 一言 だった よ そりゃ あ|ひさん||いちげん|| That was a word of misery.

あんな 入江 見た こと なかった |いりえ|みた||

あの お守り の せい だ と して も |おもり||||||

あの お守り ? |おもり

やばっ ! や ばっ

ちょっ そ … それ どういう こと です か ? ちょ っ||||||

( 渡辺 ) 何でもない 何でもない から わたなべ|なんでもない|なんでもない|

( 琴子 ) 気 に なる んだ から 教えて ください ことこ|き|||||おしえて|

( 渡辺 ) やめて くれ 話す よ 話す から わたなべ|||はなす||はなす|

( 琴子 ) わっ ― ことこ|わ っ

すいません

俺 は これ から 第一 志望 の 早稲田 の 受験 を 控えて いる んだ おれ||||だい ひと|しぼう||わせだ||じゅけん||ひかえて||

ほんと 君 の デス パワー って すごい ね |きみ|||ぱわー|||

デス パワー ? |ぱわー

今 と なって は 笑い話 だ けど いま||||わらいばなし||

あの 日 君 の お守り の パワー で 大変な こと が … |ひ|きみ||おもり||ぱわー||たいへんな||

( 琴子 ) けが も 何もかも ― ことこ|||なにもかも

お守り の せい だった なんて ― おもり||||

私 …― わたくし

入江 君 に ものすごい 迷惑 かけ ちゃった いりえ|きみ|||めいわく||ちゃ った

( 琴子 ) どう か 入江 君 が 東大 に 受かり ます ように ― ことこ|||いりえ|きみ||とうだい||うかり||

入江 家 の みんな の 夢 が かない ます ように ― いりえ|いえ||||ゆめ||||

( 琴子 ) きっと この とおり に なる ― ことこ|||||

ちょっと 気 が 早い かも しれ ない けど ― |き||はやい||||

試験 の 翌日 バレンタイン に これ 渡す んだ しけん||よくじつ|ばれんたいん|||わたす|

はっ …

( 琴子 ) そして 運命 の 日 が やってきた ことこ||うんめい||ひ||

( 直樹 ) いってきます なおき|いって き ます

… って みんな で そろって 見送る こと ない だろう ||||みおくる|||

だって 心配 で |しんぱい|

何 だったら 車 で 送って いこう か ? なん||くるま||おくって||

大丈夫だ よ 足 の けが だって 治った んだ し だいじょうぶだ||あし||||なおった||

いってきます いって き ます

気 を 付けて ね き||つけて|

( 重樹 ・ 重雄 ) いってらっしゃい しげき|しげお|いって らっしゃい

いってらっしゃい いって らっしゃい

( ドア が 閉まる 音 ) どあ||しまる|おと

( 渡辺 ) そりゃあ 悲惨 の 一言 だった よ わたなべ|そりゃ あ|ひさん||いちげん||

あんな 入江 見た こと なかった ― |いりえ|みた||

あの お守り の せい だ と して も |おもり||||||

( 紀子 ) あっ 琴子 ちゃん ? としこ||ことこ|

( 琴子 ) 私 入江 君 が 東大 の 門 くぐる まで 見送って き ます ことこ|わたくし|いりえ|きみ||とうだい||もん|||みおくって||

何か あったら 心配 な ので なん か||しんぱい||

いってきます いって き ます

( 紀子 ) いってらっしゃい としこ|いって らっしゃい

( 重樹 ・ 重雄 ) いってらっしゃい しげき|しげお|いって らっしゃい

♪~

ついてきて る の バレバレ な んです けど

ハハハ … 東大 の 前 まで お 見送り しよう か と 思って |とうだい||ぜん|||みおくり||||おもって

おおっ 滑った !― おお っ|すべった

おお … お … お …

ごめんなさい 受験 生 の 前 で |じゅけん|せい||ぜん|

何で バナナ ? なんで|ばなな

あ 痛っ |つう っ

( 琴子 ) おお さすが みんな 頭 よさ そう ことこ||||あたま|よ さ|

お前 何か 歩き 方 変 じゃない ? おまえ|なん か|あるき|かた|へん|じゃ ない

そう ? 普通 だ よ |ふつう||

顔色 も 悪い けど かおいろ||わるい|

あ … ただ 緊張 して る だけ ||きんちょう|||

お前 が 緊張 して どう す んだ よ ? おまえ||きんちょう|||||

受験 す ん の 俺 だ ぞ じゅけん||||おれ||

あっ …―

うん ―

うう … う う

( 琴子 ) どう しよう こんな お腹 の 痛み 初めて ― ことこ||||おなか||いたみ|はじめて

でも 駄目 ― |だめ

入江 君 が 東大 の 門 を くぐる まで は ― いりえ|きみ||とうだい||もん||||

それ まで は ―

心配 かけ ちゃ 駄目 しんぱい|||だめ

おい お前 本当に 大丈夫 か ? |おまえ|ほんとうに|だいじょうぶ|

ああ もちろん

試験 頑張って ね いってらっしゃい しけん|がんばって||いって らっしゃい

あっ うっ |う っ

トイレ … トイレ … といれ|といれ

ああ … あっ

( 女性 ) どうした ん です か ? じょせい||||

誰か ! 誰か いません か ? だれ か|だれ か|いま せ ん|

( 女性 ) 大丈夫 です か ? どうした ん です か ? じょせい|だいじょうぶ||||||

いきなり 倒れて … |たおれて

( 女性 ) 大丈夫 です か ? しっかり して ください じょせい|だいじょうぶ|||||

( 直樹 ) すいません ― なおき|

おい 大丈夫 か ?― |だいじょうぶ|

すいません 病院 病院 どこ です か ? |びょういん|びょういん|||

( 女性 ) あっ 確か 向こう に じょせい||たしか|むこう|

( 琴子 ) 入江 君 ― ことこ|いりえ|きみ

試験 に 行って ― しけん||おこなって

入江 君 遅れ ちゃう よ ― いりえ|きみ|おくれ|ちゃ う|

試験 受けて ― しけん|うけて

おじ 様 も おば 様 も ― |さま|||さま|

裕樹 君 も ― ひろき|きみ|

みんな ―

応援 して る んだ から おうえん||||

( 紀子 ) 琴子 ちゃん ― としこ|ことこ|

( 紀子 ) 琴子 ちゃん ― としこ|ことこ|

( 重雄 ) 琴子 琴子 しげお|ことこ|ことこ

( 重雄 ) 琴子 琴子 しげお|ことこ|ことこ

( 重雄 ) 琴子 琴子 しげお|ことこ|ことこ

琴子 ちゃん ことこ|

( 重雄 ) 琴子 琴子 しげお|ことこ|ことこ

( 重樹 ) 琴子 ちゃん しげき|ことこ|

お 父さん |とうさん

おば 様 ― |さま

おじ 様 ― |さま

私 …― わたくし

何で ここ に ? なんで||

( 紀子 ) 琴子 ちゃん 大丈夫 ? としこ|ことこ||だいじょうぶ

( 重雄 ) 急性 盲腸炎 だった んだ ― しげお|きゅうせい|もうちょう えん||

でも 薬 で 散らした から もう 大丈夫 だ ― |くすり||ちらした|||だいじょうぶ|

今日 中 に 家 に 帰れる から な きょう|なか||いえ||かえれる||

( 重樹 ) よかった な 琴子 ちゃん しげき|||ことこ|

( 琴子 ) 入江 君 は ? ことこ|いりえ|きみ|

私 たち が 来た とき に は もう い なかった わ わたくし|||きた|||||||

きっと うち に 電話 して から すぐに 東大 に 向かった の よ |||でんわ||||とうだい||むかった||

今頃 は 試験 の 真っ最中 じゃない ? いまごろ||しけん||まっさいちゅう|じゃ ない

よかった

私 の せい で 入江 君 が 東大 受け られ なかったら わたくし||||いりえ|きみ||とうだい|うけ||

人生 が 狂っ ちゃったら どう しよう か と … じんせい||くる っ|ちゃ ったら||||

琴子 ちゃん ことこ|

自分 が こんなに 苦しい とき に じぶん|||くるしい||

お 兄ちゃん の こと 一番 に 心配 して くれる なんて |にいちゃん|||ひと ばん||しんぱい|||

( 直樹 ) 俺 が どうした って ? なおき|おれ|||

直樹 ! なおき

お お前 受験 に 行った ん じゃない の か ? |おまえ|じゅけん||おこなった||じゃ ない||

( 直樹 ) 腹 減った から 飯 食い に 出て た なおき|はら|へった||めし|くい||でて|

じゃあ 受験 は ? |じゅけん|

東大 は ? とうだい|

東大 ? 受けて ない けど とうだい|うけて||

はあ !? は あ

( 紀子 ) ああ … としこ|

そんな …

そんな …

( 重雄 ) イリ ちゃん 奥さん 坊っちゃん ほんとに 申し訳ない しげお|||おくさん|ぼっちゃん||もうしわけない

( 重樹 ) アイ ちゃん しげき||

うち の 娘 の せい で 大事 な 息子 さん を 大変 な 目 に … ||むすめ||||だいじ||むすこ|||たいへん||め|

( 重樹 ) なん … 頭 上げん ね ― しげき||あたま|じょうげん|

受験 に 行か ん やった ん は 直樹 が 勝手に やった こと や け じゅけん||いか|||||なおき||かってに||||

( 紀子 ) そう です よ それ に いくら 東大 に 受かって も ― としこ|||||||とうだい||うかって|

あそこ で 琴子 ちゃん を 見捨てる ような 子 だったら ||ことこ|||みすてる||こ|

私 は がっかり です よ わたくし||||

( 重雄 ) でも … しげお|

( 重雄 ) でも … しげお|

( 重樹 ) いや そう たい そう たい ― しげき|||||

( 重樹 ) いや そう たい そう たい ― しげき|||||

こう なる 運命 やった ん や け ― ||うんめい||||

こう なる 運命 やった ん や け ― ||うんめい||||

( 重雄 ) いや もう … しげお||

( 重雄 ) いや もう … しげお||

( 重雄 ) いや もう … しげお||

ええ て ええ けえ …― |||け え

ええ て ええ けえ …― |||け え

ええ て ええ けえ …― |||け え

( 紀子 ) 頭 頭 上げて ください としこ|あたま|あたま|あげて|

( 紀子 ) 頭 頭 上げて ください としこ|あたま|あたま|あげて|

アイ ちゃん ええ って

( 琴子 ) 私 の せい で ― ことこ|わたくし|||

入江 家 に とって 最悪 の こと が 起こって しまった いりえ|いえ|||さいあく||||おこって|

♪~

( 琴子 ) “ 入江 家 の 皆さん ”― ことこ|いりえ|いえ||みなさん

“ 今 まで ありがとう ございました ” いま|||

さようなら 入江 君 |いりえ|きみ

( 琴子 ) “ これ 以上 皆さん に 迷惑 を かける こと は でき ません ”― ことこ||いじょう|みなさん||めいわく||||||ませ ん

“ 私 は ”― わたくし|

“ 皆さん の 目 の 届か ない 所 で 生きて いき ます ” みなさん||め||とどか||しょ||いきて||

どこ 行こう |いこう

寒い さむい

( 直樹 ) なら 缶 コーヒー 持つ か ? なおき||かん|こーひー|もつ|

入江 君 ― いりえ|きみ

ど して ?

別に べつに

寝れ なかった から ちょっと 散歩 ね れ||||さんぽ

( 琴子 ) あったかい ことこ|

止め ないで とどめ|

私 これ 以上 入江 君 に … わたくし||いじょう|いりえ|きみ|

別に 止めて ない けど べつに|とどめて||

じゃあ さよなら

俺 が 東大 行か なかった から 出て 行く の か よ ? おれ||とうだい|いか|||でて|いく|||

私 って やっぱり 入江 君 の 疫病神 だ と 思って わたくし|||いりえ|きみ||えきびょう しん|||おもって

東大 だけ じゃない センター 試験 の こと だって とうだい||じゃ ない|せんたー|しけん|||

聞いた の きいた|

A 組 の 渡辺 君 に a|くみ||わたなべ|きみ|

もしかして もし かして

私 って 入江 君 に とって 何か とんでもない 人間 な の かも わたくし||いりえ|きみ|||なん か||にんげん||| Maybe I'm a ridiculous person for Irie-kun

そう かも な

ほんと ―

お前 と いて いい こと が あった ためし が ない もん な おまえ|||||||||||

俺 の ペース が いつも めちゃくちゃ に されて おれ||ぺーす|||||さ れて

学校 で は うわさ 立て られる し がっこう||||たて||

勉強 教え させ られる し べんきょう|おしえ|さ せ||

しまい に は 受験 まで |||じゅけん|

私 って 最悪 わたくし||さいあく

でも …

結構 面白かった けっこう|おもしろかった

あんなに ハラハラ した の 生まれて 初めて だった |はらはら|||うまれて|はじめて|

試験 の 結果 が 怖かった の も 初めて しけん||けっか||こわかった|||はじめて

すごい 体験 だった よ |たいけん||

でも 東大 は ? |とうだい|

言っ とく けど げん っ||

東大 受け なかった の は お前 の せい じゃない から とうだい|うけ||||おまえ|||じゃ ない|

( 琴子 ) え ? ことこ|

お前 を 病院 に 置いた 後 に 行った って おまえ||びょういん||おいた|あと||おこなった|

受験 に は 十分 間に合った んだ じゅけん|||じゅうぶん|まにあった|

じゃあ 何で ? |なんで

お前 が 大学 は 何 を する の か おまえ||だいがく||なん||||

決め に 行く 場所 だって 言って た だろ ? きめ||いく|ばしょ||いって||だ ろ

だったら 最近 お前 と いて |さいきん|おまえ||

ハラハラ する の も 刺激 が あって 面白い し はらはら||||しげき|||おもしろい|

このまま エスカレーター で 斗南 に 残る の も 悪く ない なって |えすかれーたー||と みなみ||のこる|||わるく||

まあ 前 から 東大 行って 何 する んだ って 思って た し |ぜん||とうだい|おこなって|なん||||おもって||

私 が いる から 同じ 大学 に した って こと ? わたくし||||おなじ|だいがく||||

別に そういう 意味 じゃない よ べつに||いみ|じゃ ない|

でも

( 直樹 ) いい から もう 行け ― なおき||||いけ

元気 で な げんき||

( 琴子 ) あっ ちょ ちょっと 待って ことこ||||まって

あの 私 もう 少し 入江 家 に いて も いい ? |わたくし||すこし|いりえ|いえ||||

もう 迷惑 は かけ ない から |めいわく||||

( 直樹 ) うそつけ なおき|うそ つけ

お前 が 迷惑 かけ ない わけない だろ おまえ||めいわく||||だ ろ

そう よ ね

じゃあ 刺激 の ある 生活 を お 約束 する わ |しげき|||せいかつ|||やくそく||

調子 の いい やつ だ な お前 は ちょうし||||||おまえ|

ああ

おっ ! お っ

ねえ 今日 って もう バレンタイン だ よ ね ? |きょう|||ばれんたいん|||

だから 何 な んだ よ ? |なん||| So what is it?

チョコ でも くれ ん の ? ちょこ||||

ごめん もしかして 期待 して た ? |もし かして|きたい||

別に べつに

♪~

ある じゃん |じゃ ん

まずっ まず っ

( 琴子 ) ホワイト バレンタイン ― ことこ|ほわいと|ばれんたいん

今年 は 私 の 思い は 空回り して しまった けれど ― ことし||わたくし||おもい||からまわり|||

いつか きっと ―

私 の 思い が ― わたくし||おもい|

伝わり ます ように つたわり||

♪~

ファースト キッス ? ふぁーすと|

( 理美 ) 卒業 式 の 日 に キス した カップル は 永遠 に 結ばれる って いう り び|そつぎょう|しき||ひ||きす||かっぷる||えいえん||むすばれる||

( じんこ ・ 琴子 ・ 理美 ) おーっ じん こ|ことこ|り び|お - っ

( じんこ ) 最高 の 卒業 式 と 謝恩会 に しよう ね じん こ|さいこう||そつぎょう|しき||しゃおん かい|||

( 金之助 ) 琴子 俺 や あかん か ! きんのすけ|ことこ|おれ||あか ん|

( 琴子 ) 私 金 ちゃん の こと 嫌い って いう わけじゃ ことこ|わたくし|きむ||||きらい|||

( 金之助 ) 俺 は な 今夜 琴子 と キス す ん の や きんのすけ|おれ|||こんや|ことこ||きす||||

( 直樹 ) 夢 なら 寝て みれば ? なおき|ゆめ||ねて|

琴子 は 俺 の こと 好き に なって くれる ん か ? ことこ||おれ|||すき|||||

( 金之助 ) 誰 が 一番 自分 を 大事 に して くれる かって こと に ― きんのすけ|だれ||ひと ばん|じぶん||だいじ||||||

気付いた ん やろ きづいた||

この 冷血 男 ! |れいけつ|おとこ