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銀河英雄伝説 01黎明篇, 第三章 帝国の残照 (2)

第 三 章 帝国 の 残照 (2)

帝国 ・ 同盟 両者 の 反発 と 警戒 を よび 、 双方 に よる 連合 の 結成 を 見 、 宇宙 から 存在 を 抹殺 さ れる こと に なり かね なかった 。 帝国 と 同盟 が 連合 すれば 、 その 勢力 は 八八 であり 、 ただ 一 戦 で フェザーン を 滅ぼす こと が 可能である 。 と いって 弱 すぎれば 、 その 存在 は 無 価値 な もの と なり 、 帝国 に も 同盟 に も 、 その 独立 を 尊重 さ せる こと が でき なく なる であろう 。

帝国 が フェザーン の 独立 を 奪う べく はかれば 、 フェザーン は 同盟 に 身 を よせる 意思 を しめした 。 同盟 が フェザーン に 野心 を いだけば 、 フェザーン は 帝国 の ほう を むいて 媚態 を みせた 。 双方 に 必要な 物資 を 供給 し 、 その 内部 に 喰 い こみ 、 権力 者 を 籠 絡 し ながら 、 フェザーン は したたかに 生きのびて きた のである 。

その したたかな 国民 を 統治 する 五 代 目 の 指導 者 が 彼 、 アドリアン ・ ルビンスキー な のだ 。

帝国 と 同盟 の 一方 が 他方 を 征服 したり して は こまる 。 両 勢力 は バランス を たもって 並 存 す べきであり 、 もし 滅びる もの なら 同時に 滅びて もらわ ねば なら ない 。 それ も フェザーン を まきこんだり する こと なく だ 。

フェザーン が 歴史 を 制御 する 。 それ も 軍事 力 など 使わ ず 、 富 力 と 術 策 に よって である 。 大 艦 巨砲 を 擁し 、 流血 を もって けっきょく は 国力 の 疲弊 と 社会 の 荒廃 を 招く 愚 は 、 両 大国 に まかせて おけば よい 。 絶対 君主 制 の 銀河 帝国 であれ 、 民主 的 共和 制 の 自由 惑星 同盟 であれ 、 要するに 殺戮 と 破壊 以外 の 手段 で 国 を まもる すべ を もた ない 、 旧弊 きわまる 低 能 ども で は ない か 。 奴 ら は 自己 の 正統 性 に 陶酔 し ながら フェザーン の 掌 の うえ で 踊って いれば よい のである 。

と は いえ 、 ローエングラム 伯 と ヤン 、 両者 の 登場 に は 、 あたらしい 時代 の 予兆 を 感じ させる なに か が ある 。 両者 の 今後 を 注視 する 必要 が ある だろう 。 過大 評価 かも しれ ない が 、 嗅覚 は するどく 切札 は 多い に こした こと は ない のだ 。

Ⅱ 惑星 オーディン の 西 半球 を 夜 の やわらかな 掌 が つつみこんで いる 。 そこ が 帝国 領 であれ 同盟 領 であれ 、 自転 する 惑星 は 昼夜 の 交替 から のがれる こと は でき ない 。 銀河 系 宇宙 の 森羅 万象 を 支配 しよう と こころざした ルドルフ 大帝 で さえ 、 天体 の 運行 を 止める こと は 不可能だった のだ 。 しかも それ ら の 天体 の 運動 は 一律 の 周期 を もって は おら ず 、 ある 惑星 の 自転 周期 は 一八 時間 半 、 べつの 惑星 に おいて は 四〇 時間 と 、 それぞれ 無二 の 個性 を 主張 して いる 。

いっぽう 、 人間 の 体 内 時計 は 、 発祥 の 地 たる 太陽 系 第 三 惑星 に 居住 して いた とき でも 、 じつは その 自転 周期 と 一 時間 ずれた 二五 時間 単位 で うごいて いた 。 それ を 各人 で 調整 して 二四 時間 単位 の 生活 を 送って いた のである 。 習慣 と して は 二四 時間 制 が 確立 して いた のだ 。 恒星 間 飛行 を なしとげた 人類 は 、 昼夜 のべつ を 心理 的に 調節 する と いう 難題 に 直面 する こと に なった 。

宇宙 船 、 宇宙 空間 都市 、 各種の 理由 に よって 人工 的な 環境 を 必要 と する 惑星 、 など は あまり 問題 が なかった 。 二四 時間 周期 の 生活 に 環境 の ほう を あわせて しまう から である 。 人工 照明 に よって 昼 を 明るく し 、 夜 を 暗く する 。 このような 場所 で は 、 温度 を 調節 して 、 夜明け 直前 を もっとも 低温 に する し 、 夏 と 冬 と で 温度 だけ で なく 夜 の 長 さ も 変化 さ せる 。

また 、 自転 周期 が 極端に 長い か あるいは 短い 惑星 で は 、 強引に 一 日 二四 時間 制 を しき 、

「 今日 は 一 日 中 、 夜 です な 。 あさって 、 陽 が 昇る そうです 」

と か 、

「 この 惑星 で は 一 日 二 回 夕 陽 が 見 られます よ 」 など と いう 会話 が 生まれて いる 。

こまる の は むしろ 、 二一 時間 半 と か 二七 時間 など と いう 地球 に ちかい 自転 周期 を もつ 惑星 で 、 試行 錯誤 の すえ 、 自転 周期 を 二四 等分 して 惑星 地方 時 を 使用 する 派 と 、 多少 の 不便 を 忍んで 標準 二四 時 制 を 使用 する 派 に 分かれた 。 いずれ に せよ 、 神経 を 太く して 慣れる しか ない のである 。

二四 時間 が 一 日 、 三六五 日 が 一 年 。 この 、 いわゆる 〝 標準 暦 〟 は 帝国 に おいて も 同盟 に おいて も 使用 されて いる 。 銀河 帝国 の 一 月 一 日 は 自由 惑星 同盟 でも 一 月 一 日 な のだ 。

「 いつまでも 地球 の 呪縛 に 縛られて いる こと は ない 。 地球 は すでに 人類 社会 の 中心 で は ない し 、 宇宙 暦 も 施行 さ れた のだ 。 あらたな 時間 の 基準 を もうける べきで は ない か 」

古い こと イコール 悪い こと 、 と 考える 人々 の なか に は そう 主張 する 者 も いた が 、 では なに を もって あたらしい 基準 と する か と いう と 、 誰 も が 納得 できる 解答 など あり は し ない のだった 。 けっきょく 、 古くから の 習慣 が 最大 の 支持 ―― かならずしも 積極 的で は ない に しろ ―― を えて 、 今日 に いたって いる のだった 。

〝 地球 の 呪縛 〟 は 度量衡 の 単位 に も およんで いる 。 一 グラム は 、 一 立 方 センチ の 水 を 四 度 C の 温度 の とき 、 地球 の 重力 下 で 計測 した 重量 である 。 そして 一 センチ と は 地球 の 周囲 の 四〇億 分 の 一 の 長 さ な のだ 。 これら の 単位 も また 全 人類 社会 で 共通に もちい られて いる 。 ルドルフ 大帝 は 度量衡 の 単位 を 変換 しよう と 試みた こと が あった 。 彼 自身 の 身長 を 一 カイゼル ・ ファーデン 、 彼 自身 の 体重 を 一 カイゼル ・ セントナー と して すべて の 単位 の 基準 に しよう と した のである 。 しかし これ は 考案 さ れた のみ で 実行 に は うつさ れ なかった 。

非 合理 に すぎた から で は ない 。 諮問 を うけた 当時 の 財務 卿 クレーフェ が 、 うやうやしく ひと つ の 資料 を 皇帝 に 提出 した のである 。 それ は 、 度量衡 の 単位 を 変換 する に は 人類 社会 に おける すべて の コンピューター の 記憶 回路 や 計器 類 を 刷新 せ ねば なら ぬ と し 、 それ に 要する 経費 を 試算 した もの だった 。 おりから 、 通貨 単位 を クレジット から 帝国 マルク に 変えた ばかり で も あり 、 資料 に ならべ られた 0 の 数 は 、 さすが に 剛 腹 な ルドルフ も 鼻 白む ほど の もの だった と 伝えられる 。 こうして メートル と グラム は 生存 を 許さ れる こと に なった が 、 今日 の 通説 で は クレーフェ の 試算 は あきらかに 過大な 数値 であり 、 限度 を 知ら ない ルドルフ の 自己 神聖 化 にたいして 、 温和な だけ が 長所 と 思われて いた クレーフェ が 無言 の 反抗 を 敢行 した のだ 、 と 言われて いる 。 …… 銀河 帝国 皇帝 の 居城 、 新 無 憂宮 は 壮麗な 姿 を 夜空 の 下 に 浮かびあがら せて いた 。

独立 した 、 あるいは たがいに 連結 さ れた 大小 の 建物 、 無数の 噴水 、 自然の 森 と 人工 の 森 、 沈 床 式 の 薔薇 園 、 彫刻 、 花壇 、 四 阿 、 芝生 の 際限 ない つらなり 、 それ ら が 巧妙な 照明 効果 に よって 、 視 神経 を 刺激 し ない よう 配慮 さ れた 淡い 銀色 に つつまれて いる 。 宮殿 は 一〇〇〇 以上 の 恒星 系 を 支配 統治 する 政治 の 中枢 である 。 周囲 に は 官庁 群 が 配置 されて いる が 、 高層 建築 は ひと つ も ない 。 主要 部分 は むしろ 地下 に ある 。 臣民 が 高い 位置 から 皇帝 陛下 の 宮殿 を ながめ おろす など 、 許し がたい 不 敬 だ から である 。 オーディン の 上空 を めぐる 多数 の 衛星 も 、 宮殿 の 真 上 を 通過 する こと は 絶対 に ない 。

宮殿 に は 五万 人 を こす 侍 従 や 女官 が 働いて いる 。 機械 力 で すむ ところ に 人間 を 使う の が 、 地位 の 高 さ と 権力 の 強大 さ を 証明 する 時代 な のだ 。 調理 、 清掃 、 客人 の 案内 、 庭園 の 管理 、 放し飼い に さ れた 鹿 の 世話 、 すべて が 人力 に よって なされる 。 それ こそ が 王者 の 贅沢な のだ 。

宮殿 に は 走 路 も エスカレーター も ない 。 自身 の 脚 で 廊下 を 歩き 、 階段 を 昇降 しなければ なら ない 。 これ は 皇帝 で さえ そうである 。

〝 偉大なる ルドルフ 〟 は 、 肉体 的な 強 さ も 統治 者 の 条件 の ひと つ と 考えて いた のだ 。 自分 の 脚 で 歩く こと も かなわ ぬ 者 が 、 巨大な 帝国 を 肩 の うえ に のせる こと が できる だろう か ?

宮殿 に は いく つ か の 謁見 室 が ある が 、 その 夜 、 無数の 高官 に 埋めつくさ れた の は 〝 黒 真珠 の 間 〟 だった 。 アスターテ 会戦 に おいて 暴 戻 な 叛乱 軍 を 撃破 し 、 帝 威 を 輝か せた ローエングラム 伯 ラインハルト にたいして 、 帝国 元帥 杖 の 授与 式 が おこなわ れる のだ 。 帝国 元帥 は 、 ただ 上級 大将 より 一 階級 高い と いう に とどまら ない 。 年額 二五〇万 帝国 マルク に のぼる 終身 年金 が つく だけ で なく 、 大 逆 罪 以外 の 犯罪 に ついて は 刑法 を もって 処罰 さ れる こと は なく 、 元帥 府 を 開設 して 幕僚 を 自由に 任免 する こと が できる 。

これら の 特権 を 享受 する 帝国 元帥 は 現在 四 名 だけ だ が 、 今回 それ に ローエングラム 伯 ラインハルト が くわわって 五 名 に なる 。 しかも ローエングラム 伯 は 帝国 宇宙 艦隊 副 司令 長官 に 任じ られ 、 一八 個 艦隊 から なる 帝国 宇宙 艦隊 の 半数 を 指揮 下 に おく こと に なる と いう 。

「 つぎ は 爵位 だろう 。 伯 から 侯 へ な 」

広大な 〝 黒 真珠 の 間 〟 の 片隅 で 、 そう ささやき かわす 人々 が いる 。 古来 、 噂 話 は 火 と ともに 人類 の よき 友人 だった 。 この 友人 を 愛する 人 は 、 時代 と 状況 を 問わ ず 、 豪 奢 な 宮殿 に も うらぶれた 貧民 街 に も 絶える こと は ない 。

皇帝 の 玉 座 に ちかい 位置 に は 、 帝国 に おける 最高の 地位 を 所有 する 人々 が たたずんで いる 。 大 貴族 、 高級 の 文 官 または 武官 、 あるいは それ ら の いく つ か を かねた 者 。 彼ら は 幅 六 メートル の 赤 を 基調 と した 絨毯 ―― それ は 二〇〇 名 の 職人 が 四 半 世紀 を かけて 織り あげた もの である ―― を 挟んで 列 を つくって いた 。 その いっぽう は 文 官 の 列 で 、 最上 の 位置 に リヒテンラーデ 侯 が いる 。

帝国 政府 国務 尚 書 の リヒテンラーデ 侯 は 、 帝国 宰相 代理 と して 閣議 を 主宰 して いる 。 とがった 鼻 と 、 雪 の ような 銀 髪 と 、 するどい と いう より は 険しい 眼光 を 有する 七五 歳 の 老人 だ 。 彼 から 下方 へ 流れる と 、 ゲルラッハ 財務 尚 書 、 フレーゲル 内務 尚 書 、 ルンプ 司法 尚 書 、 ウィルヘルミ 科学 尚 書 、 ノイケルン 宮内 尚 書 、 キールマンゼク 内閣 書記 官長 …… と いう 人々 が 居並んで いる 。

反対 側 に は 武官 の 列 が ある 。 軍務 尚 書 エーレンベルク 元帥 、 帝国 軍 統帥 本部 総長 シュタインホフ 元帥 、 幕僚 総監 クラーゼン 元帥 、 宇宙 艦隊 司令 長官 ミュッケンベルガー 元帥 、 装甲 擲 弾 兵 総監 オフレッサー 上級 大将 、 近 衛兵 総監 ラムスドルフ 上級 大将 、 憲兵 総監 クラーマー 大将 、 それ に 一八 個 艦隊 の 司令 官 たち ……。

古風な ラッパ の 澄んだ ひびき が 、| 同 に 姿勢 を 正さ せた 。 木 の 葉 が 風 に 騒ぐ か の ような ざわめき が 静まる 。 至 尊 者 の 入来 を 告げる 式部 官 の 声 が 参会 者 の 鼓膜 を たたいた 。


第 三 章 帝国 の 残照 (2) だい|みっ|しょう|ていこく||ざんしょう

帝国 ・ 同盟 両者 の 反発 と 警戒 を よび 、 双方 に よる 連合 の 結成 を 見 、 宇宙 から 存在 を 抹殺 さ れる こと に なり かね なかった 。 ていこく|どうめい|りょうしゃ||はんぱつ||けいかい|||そうほう|||れんごう||けっせい||み|うちゅう||そんざい||まっさつ||||||| 帝国 と 同盟 が 連合 すれば 、 その 勢力 は 八八 であり 、 ただ 一 戦 で フェザーン を 滅ぼす こと が 可能である 。 ていこく||どうめい||れんごう|||せいりょく||はちはち|||ひと|いくさ||||ほろぼす|||かのうである と いって 弱 すぎれば 、 その 存在 は 無 価値 な もの と なり 、 帝国 に も 同盟 に も 、 その 独立 を 尊重 さ せる こと が でき なく なる であろう 。 ||じゃく|||そんざい||む|かち|||||ていこく|||どうめい||||どくりつ||そんちょう||||||||

帝国 が フェザーン の 独立 を 奪う べく はかれば 、 フェザーン は 同盟 に 身 を よせる 意思 を しめした 。 ていこく||||どくりつ||うばう|||||どうめい||み|||いし|| 同盟 が フェザーン に 野心 を いだけば 、 フェザーン は 帝国 の ほう を むいて 媚態 を みせた 。 どうめい||||やしん|||||ていこく|||||びたい|| 双方 に 必要な 物資 を 供給 し 、 その 内部 に 喰 い こみ 、 権力 者 を 籠 絡 し ながら 、 フェザーン は したたかに 生きのびて きた のである 。 そうほう||ひつような|ぶっし||きょうきゅう|||ないぶ||しょく|||けんりょく|もの||かご|から||||||いきのびて||

その したたかな 国民 を 統治 する 五 代 目 の 指導 者 が 彼 、 アドリアン ・ ルビンスキー な のだ 。 ||こくみん||とうち||いつ|だい|め||しどう|もの||かれ||||

帝国 と 同盟 の 一方 が 他方 を 征服 したり して は こまる 。 ていこく||どうめい||いっぽう||たほう||せいふく|||| 両 勢力 は バランス を たもって 並 存 す べきであり 、 もし 滅びる もの なら 同時に 滅びて もらわ ねば なら ない 。 りょう|せいりょく||ばらんす|||なみ|ぞん||||ほろびる|||どうじに|ほろびて|||| それ も フェザーン を まきこんだり する こと なく だ 。

フェザーン が 歴史 を 制御 する 。 ||れきし||せいぎょ| それ も 軍事 力 など 使わ ず 、 富 力 と 術 策 に よって である 。 ||ぐんじ|ちから||つかわ||とみ|ちから||じゅつ|さく||| 大 艦 巨砲 を 擁し 、 流血 を もって けっきょく は 国力 の 疲弊 と 社会 の 荒廃 を 招く 愚 は 、 両 大国 に まかせて おけば よい 。 だい|かん|きょほう||ようし|りゅうけつ|||||こくりょく||ひへい||しゃかい||こうはい||まねく|ぐ||りょう|たいこく|||| 絶対 君主 制 の 銀河 帝国 であれ 、 民主 的 共和 制 の 自由 惑星 同盟 であれ 、 要するに 殺戮 と 破壊 以外 の 手段 で 国 を まもる すべ を もた ない 、 旧弊 きわまる 低 能 ども で は ない か 。 ぜったい|くんしゅ|せい||ぎんが|ていこく||みんしゅ|てき|きょうわ|せい||じゆう|わくせい|どうめい||ようするに|さつりく||はかい|いがい||しゅだん||くに|||||||きゅうへい||てい|のう||||| 奴 ら は 自己 の 正統 性 に 陶酔 し ながら フェザーン の 掌 の うえ で 踊って いれば よい のである 。 やつ|||じこ||せいとう|せい||とうすい|||||てのひら||||おどって|||

と は いえ 、 ローエングラム 伯 と ヤン 、 両者 の 登場 に は 、 あたらしい 時代 の 予兆 を 感じ させる なに か が ある 。 ||||はく|||りょうしゃ||とうじょう||||じだい||よちょう||かんじ||||| 両者 の 今後 を 注視 する 必要 が ある だろう 。 りょうしゃ||こんご||ちゅうし||ひつよう||| 過大 評価 かも しれ ない が 、 嗅覚 は するどく 切札 は 多い に こした こと は ない のだ 。 かだい|ひょうか|||||きゅうかく|||きりふだ||おおい||||||

Ⅱ 惑星 オーディン の 西 半球 を 夜 の やわらかな 掌 が つつみこんで いる 。 わくせい|||にし|はんきゅう||よ|||てのひら||| そこ が 帝国 領 であれ 同盟 領 であれ 、 自転 する 惑星 は 昼夜 の 交替 から のがれる こと は でき ない 。 ||ていこく|りょう||どうめい|りょう||じてん||わくせい||ちゅうや||こうたい|||||| 銀河 系 宇宙 の 森羅 万象 を 支配 しよう と こころざした ルドルフ 大帝 で さえ 、 天体 の 運行 を 止める こと は 不可能だった のだ 。 ぎんが|けい|うちゅう||しんら|ばんしょう||しはい|||||たいてい|||てんたい||うんこう||とどめる|||ふかのうだった| しかも それ ら の 天体 の 運動 は 一律 の 周期 を もって は おら ず 、 ある 惑星 の 自転 周期 は 一八 時間 半 、 べつの 惑星 に おいて は 四〇 時間 と 、 それぞれ 無二 の 個性 を 主張 して いる 。 ||||てんたい||うんどう||いちりつ||しゅうき|||||||わくせい||じてん|しゅうき||いちはち|じかん|はん||わくせい||||よっ|じかん|||むに||こせい||しゅちょう||

いっぽう 、 人間 の 体 内 時計 は 、 発祥 の 地 たる 太陽 系 第 三 惑星 に 居住 して いた とき でも 、 じつは その 自転 周期 と 一 時間 ずれた 二五 時間 単位 で うごいて いた 。 |にんげん||からだ|うち|とけい||はっしょう||ち||たいよう|けい|だい|みっ|わくせい||きょじゅう|||||||じてん|しゅうき||ひと|じかん||にご|じかん|たんい||| それ を 各人 で 調整 して 二四 時間 単位 の 生活 を 送って いた のである 。 ||かくじん||ちょうせい||にし|じかん|たんい||せいかつ||おくって|| 習慣 と して は 二四 時間 制 が 確立 して いた のだ 。 しゅうかん||||にし|じかん|せい||かくりつ||| 恒星 間 飛行 を なしとげた 人類 は 、 昼夜 のべつ を 心理 的に 調節 する と いう 難題 に 直面 する こと に なった 。 こうせい|あいだ|ひこう|||じんるい||ちゅうや|||しんり|てきに|ちょうせつ||||なんだい||ちょくめん||||

宇宙 船 、 宇宙 空間 都市 、 各種の 理由 に よって 人工 的な 環境 を 必要 と する 惑星 、 など は あまり 問題 が なかった 。 うちゅう|せん|うちゅう|くうかん|とし|かくしゅの|りゆう|||じんこう|てきな|かんきょう||ひつよう|||わくせい||||もんだい|| 二四 時間 周期 の 生活 に 環境 の ほう を あわせて しまう から である 。 にし|じかん|しゅうき||せいかつ||かんきょう||||||| 人工 照明 に よって 昼 を 明るく し 、 夜 を 暗く する 。 じんこう|しょうめい|||ひる||あかるく||よ||くらく| このような 場所 で は 、 温度 を 調節 して 、 夜明け 直前 を もっとも 低温 に する し 、 夏 と 冬 と で 温度 だけ で なく 夜 の 長 さ も 変化 さ せる 。 |ばしょ|||おんど||ちょうせつ||よあけ|ちょくぜん|||ていおん||||なつ||ふゆ|||おんど||||よ||ちょう|||へんか||

また 、 自転 周期 が 極端に 長い か あるいは 短い 惑星 で は 、 強引に 一 日 二四 時間 制 を しき 、 |じてん|しゅうき||きょくたんに|ながい|||みじかい|わくせい|||ごういんに|ひと|ひ|にし|じかん|せい||

「 今日 は 一 日 中 、 夜 です な 。 きょう||ひと|ひ|なか|よ|| あさって 、 陽 が 昇る そうです 」 |よう||のぼる|そう です

と か 、

「 この 惑星 で は 一 日 二 回 夕 陽 が 見 られます よ 」 |わくせい|||ひと|ひ|ふた|かい|ゆう|よう||み|| など と いう 会話 が 生まれて いる 。 |||かいわ||うまれて|

こまる の は むしろ 、 二一 時間 半 と か 二七 時間 など と いう 地球 に ちかい 自転 周期 を もつ 惑星 で 、 試行 錯誤 の すえ 、 自転 周期 を 二四 等分 して 惑星 地方 時 を 使用 する 派 と 、 多少 の 不便 を 忍んで 標準 二四 時 制 を 使用 する 派 に 分かれた 。 ||||にいち|じかん|はん|||にしち|じかん||||ちきゅう|||じてん|しゅうき|||わくせい||しこう|さくご|||じてん|しゅうき||にし|とうぶん||わくせい|ちほう|じ||しよう||は||たしょう||ふべん||しのんで|ひょうじゅん|にし|じ|せい||しよう||は||わかれた いずれ に せよ 、 神経 を 太く して 慣れる しか ない のである 。 |||しんけい||ふとく||なれる|||

二四 時間 が 一 日 、 三六五 日 が 一 年 。 にし|じかん||ひと|ひ|さんろくご|ひ||ひと|とし この 、 いわゆる 〝 標準 暦 〟 は 帝国 に おいて も 同盟 に おいて も 使用 されて いる 。 ||ひょうじゅん|こよみ||ていこく||||どうめい||||しよう|| 銀河 帝国 の 一 月 一 日 は 自由 惑星 同盟 でも 一 月 一 日 な のだ 。 ぎんが|ていこく||ひと|つき|ひと|ひ||じゆう|わくせい|どうめい||ひと|つき|ひと|ひ||

「 いつまでも 地球 の 呪縛 に 縛られて いる こと は ない 。 |ちきゅう||じゅばく||しばられて|||| 地球 は すでに 人類 社会 の 中心 で は ない し 、 宇宙 暦 も 施行 さ れた のだ 。 ちきゅう|||じんるい|しゃかい||ちゅうしん|||||うちゅう|こよみ||しこう||| あらたな 時間 の 基準 を もうける べきで は ない か 」 |じかん||きじゅん||||||

古い こと イコール 悪い こと 、 と 考える 人々 の なか に は そう 主張 する 者 も いた が 、 では なに を もって あたらしい 基準 と する か と いう と 、 誰 も が 納得 できる 解答 など あり は し ない のだった 。 ふるい||いこーる|わるい|||かんがえる|ひとびと||||||しゅちょう||もの|||||||||きじゅん|||||||だれ|||なっとく||かいとう|||||| けっきょく 、 古くから の 習慣 が 最大 の 支持 ―― かならずしも 積極 的で は ない に しろ ―― を えて 、 今日 に いたって いる のだった 。 |ふるくから||しゅうかん||さいだい||しじ||せっきょく|てきで|||||||きょう||||

〝 地球 の 呪縛 〟 は 度量衡 の 単位 に も およんで いる 。 ちきゅう||じゅばく||どりょうこう||たんい|||| 一 グラム は 、 一 立 方 センチ の 水 を 四 度 C の 温度 の とき 、 地球 の 重力 下 で 計測 した 重量 である 。 ひと|ぐらむ||ひと|た|かた|せんち||すい||よっ|たび|||おんど|||ちきゅう||じゅうりょく|した||けいそく||じゅうりょう| そして 一 センチ と は 地球 の 周囲 の 四〇億 分 の 一 の 長 さ な のだ 。 |ひと|せんち|||ちきゅう||しゅうい||よっ|おく|ぶん||ひと||ちょう||| これら の 単位 も また 全 人類 社会 で 共通に もちい られて いる 。 ||たんい|||ぜん|じんるい|しゃかい||きょうつうに||| ルドルフ 大帝 は 度量衡 の 単位 を 変換 しよう と 試みた こと が あった 。 |たいてい||どりょうこう||たんい||へんかん|||こころみた||| 彼 自身 の 身長 を 一 カイゼル ・ ファーデン 、 彼 自身 の 体重 を 一 カイゼル ・ セントナー と して すべて の 単位 の 基準 に しよう と した のである 。 かれ|じしん||しんちょう||ひと|||かれ|じしん||たいじゅう||ひと|||||||たんい||きじゅん||||| しかし これ は 考案 さ れた のみ で 実行 に は うつさ れ なかった 。 |||こうあん|||||じっこう|||||

非 合理 に すぎた から で は ない 。 ひ|ごうり|||||| 諮問 を うけた 当時 の 財務 卿 クレーフェ が 、 うやうやしく ひと つ の 資料 を 皇帝 に 提出 した のである 。 しもん|||とうじ||ざいむ|きょう|||||||しりょう||こうてい||ていしゅつ|| それ は 、 度量衡 の 単位 を 変換 する に は 人類 社会 に おける すべて の コンピューター の 記憶 回路 や 計器 類 を 刷新 せ ねば なら ぬ と し 、 それ に 要する 経費 を 試算 した もの だった 。 ||どりょうこう||たんい||へんかん||||じんるい|しゃかい|||||こんぴゅーたー||きおく|かいろ||けいき|るい||さっしん|||||||||ようする|けいひ||しさん||| おりから 、 通貨 単位 を クレジット から 帝国 マルク に 変えた ばかり で も あり 、 資料 に ならべ られた 0 の 数 は 、 さすが に 剛 腹 な ルドルフ も 鼻 白む ほど の もの だった と 伝えられる 。 |つうか|たんい||くれじっと||ていこく|まるく||かえた|||||しりょう|||||すう||||かたし|はら||||はな|しらむ||||||つたえられる こうして メートル と グラム は 生存 を 許さ れる こと に なった が 、 今日 の 通説 で は クレーフェ の 試算 は あきらかに 過大な 数値 であり 、 限度 を 知ら ない ルドルフ の 自己 神聖 化 にたいして 、 温和な だけ が 長所 と 思われて いた クレーフェ が 無言 の 反抗 を 敢行 した のだ 、 と 言われて いる 。 |めーとる||ぐらむ||せいぞん||ゆるさ||||||きょう||つうせつ|||||しさん|||かだいな|すうち||げんど||しら||||じこ|しんせい|か||おんわな|||ちょうしょ||おもわれて||||むごん||はんこう||かんこう||||いわれて| …… 銀河 帝国 皇帝 の 居城 、 新 無 憂宮 は 壮麗な 姿 を 夜空 の 下 に 浮かびあがら せて いた 。 ぎんが|ていこく|こうてい||いじろ|しん|む|ゆうみや||そうれいな|すがた||よぞら||した||うかびあがら||

独立 した 、 あるいは たがいに 連結 さ れた 大小 の 建物 、 無数の 噴水 、 自然の 森 と 人工 の 森 、 沈 床 式 の 薔薇 園 、 彫刻 、 花壇 、 四 阿 、 芝生 の 際限 ない つらなり 、 それ ら が 巧妙な 照明 効果 に よって 、 視 神経 を 刺激 し ない よう 配慮 さ れた 淡い 銀色 に つつまれて いる 。 どくりつ||||れんけつ|||だいしょう||たてもの|むすうの|ふんすい|しぜんの|しげる||じんこう||しげる|しず|とこ|しき||ばら|えん|ちょうこく|かだん|よっ|おもね|しばふ||さいげん||||||こうみょうな|しょうめい|こうか|||し|しんけい||しげき||||はいりょ|||あわい|ぎんいろ||| 宮殿 は 一〇〇〇 以上 の 恒星 系 を 支配 統治 する 政治 の 中枢 である 。 きゅうでん||ひと|いじょう||こうせい|けい||しはい|とうち||せいじ||ちゅうすう| 周囲 に は 官庁 群 が 配置 されて いる が 、 高層 建築 は ひと つ も ない 。 しゅうい|||かんちょう|ぐん||はいち||||こうそう|けんちく||||| 主要 部分 は むしろ 地下 に ある 。 しゅよう|ぶぶん|||ちか|| 臣民 が 高い 位置 から 皇帝 陛下 の 宮殿 を ながめ おろす など 、 許し がたい 不 敬 だ から である 。 しんみん||たかい|いち||こうてい|へいか||きゅうでん|||||ゆるし||ふ|たかし||| オーディン の 上空 を めぐる 多数 の 衛星 も 、 宮殿 の 真 上 を 通過 する こと は 絶対 に ない 。 ||じょうくう|||たすう||えいせい||きゅうでん||まこと|うえ||つうか||||ぜったい||

宮殿 に は 五万 人 を こす 侍 従 や 女官 が 働いて いる 。 きゅうでん|||ごまん|じん|||さむらい|じゅう||にょかん||はたらいて| 機械 力 で すむ ところ に 人間 を 使う の が 、 地位 の 高 さ と 権力 の 強大 さ を 証明 する 時代 な のだ 。 きかい|ちから|||||にんげん||つかう|||ちい||たか|||けんりょく||きょうだい|||しょうめい||じだい|| 調理 、 清掃 、 客人 の 案内 、 庭園 の 管理 、 放し飼い に さ れた 鹿 の 世話 、 すべて が 人力 に よって なされる 。 ちょうり|せいそう|きゃくじん||あんない|ていえん||かんり|はなしがい||||しか||せわ|||じんりょく||| それ こそ が 王者 の 贅沢な のだ 。 |||おうじゃ||ぜいたくな|

宮殿 に は 走 路 も エスカレーター も ない 。 きゅうでん|||はし|じ||えすかれーたー|| 自身 の 脚 で 廊下 を 歩き 、 階段 を 昇降 しなければ なら ない 。 じしん||あし||ろうか||あるき|かいだん||しょうこう||| これ は 皇帝 で さえ そうである 。 ||こうてい|||そう である

〝 偉大なる ルドルフ 〟 は 、 肉体 的な 強 さ も 統治 者 の 条件 の ひと つ と 考えて いた のだ 。 いだいなる|||にくたい|てきな|つよ|||とうち|もの||じょうけん|||||かんがえて|| 自分 の 脚 で 歩く こと も かなわ ぬ 者 が 、 巨大な 帝国 を 肩 の うえ に のせる こと が できる だろう か ? じぶん||あし||あるく|||||もの||きょだいな|ていこく||かた|||||||||

宮殿 に は いく つ か の 謁見 室 が ある が 、 その 夜 、 無数の 高官 に 埋めつくさ れた の は 〝 黒 真珠 の 間 〟 だった 。 きゅうでん|||||||えっけん|しつ|||||よ|むすうの|こうかん||うずめつくさ||||くろ|しんじゅ||あいだ| アスターテ 会戦 に おいて 暴 戻 な 叛乱 軍 を 撃破 し 、 帝 威 を 輝か せた ローエングラム 伯 ラインハルト にたいして 、 帝国 元帥 杖 の 授与 式 が おこなわ れる のだ 。 |かいせん|||あば|もど||はんらん|ぐん||げきは||みかど|たけし||かがやか|||はく|||ていこく|げんすい|つえ||じゅよ|しき|||| 帝国 元帥 は 、 ただ 上級 大将 より 一 階級 高い と いう に とどまら ない 。 ていこく|げんすい|||じょうきゅう|たいしょう||ひと|かいきゅう|たかい||||| 年額 二五〇万 帝国 マルク に のぼる 終身 年金 が つく だけ で なく 、 大 逆 罪 以外 の 犯罪 に ついて は 刑法 を もって 処罰 さ れる こと は なく 、 元帥 府 を 開設 して 幕僚 を 自由に 任免 する こと が できる 。 ねんがく|にご|よろず|ていこく|まるく|||しゅうしん|ねんきん||||||だい|ぎゃく|ざい|いがい||はんざい||||けいほう|||しょばつ||||||げんすい|ふ||かいせつ||ばくりょう||じゆうに|にんめん||||

これら の 特権 を 享受 する 帝国 元帥 は 現在 四 名 だけ だ が 、 今回 それ に ローエングラム 伯 ラインハルト が くわわって 五 名 に なる 。 ||とっけん||きょうじゅ||ていこく|げんすい||げんざい|よっ|な||||こんかい||||はく||||いつ|な|| しかも ローエングラム 伯 は 帝国 宇宙 艦隊 副 司令 長官 に 任じ られ 、 一八 個 艦隊 から なる 帝国 宇宙 艦隊 の 半数 を 指揮 下 に おく こと に なる と いう 。 ||はく||ていこく|うちゅう|かんたい|ふく|しれい|ちょうかん||にんじ||いちはち|こ|かんたい|||ていこく|うちゅう|かんたい||はんすう||しき|した|||||||

「 つぎ は 爵位 だろう 。 ||しゃくい| 伯 から 侯 へ な 」 はく||こう||

広大な 〝 黒 真珠 の 間 〟 の 片隅 で 、 そう ささやき かわす 人々 が いる 。 こうだいな|くろ|しんじゅ||あいだ||かたすみ|||||ひとびと|| 古来 、 噂 話 は 火 と ともに 人類 の よき 友人 だった 。 こらい|うわさ|はなし||ひ|||じんるい|||ゆうじん| この 友人 を 愛する 人 は 、 時代 と 状況 を 問わ ず 、 豪 奢 な 宮殿 に も うらぶれた 貧民 街 に も 絶える こと は ない 。 |ゆうじん||あいする|じん||じだい||じょうきょう||とわ||たけし|しゃ||きゅうでん||||ひんみん|がい|||たえる|||

皇帝 の 玉 座 に ちかい 位置 に は 、 帝国 に おける 最高の 地位 を 所有 する 人々 が たたずんで いる 。 こうてい||たま|ざ|||いち|||ていこく|||さいこうの|ちい||しょゆう||ひとびと||| 大 貴族 、 高級 の 文 官 または 武官 、 あるいは それ ら の いく つ か を かねた 者 。 だい|きぞく|こうきゅう||ぶん|かん||ぶかん||||||||||もの 彼ら は 幅 六 メートル の 赤 を 基調 と した 絨毯 ―― それ は 二〇〇 名 の 職人 が 四 半 世紀 を かけて 織り あげた もの である ―― を 挟んで 列 を つくって いた 。 かれら||はば|むっ|めーとる||あか||きちょう|||じゅうたん|||ふた|な||しょくにん||よっ|はん|せいき|||おり|||||はさんで|れつ||| その いっぽう は 文 官 の 列 で 、 最上 の 位置 に リヒテンラーデ 侯 が いる 。 |||ぶん|かん||れつ||さいじょう||いち|||こう||

帝国 政府 国務 尚 書 の リヒテンラーデ 侯 は 、 帝国 宰相 代理 と して 閣議 を 主宰 して いる 。 ていこく|せいふ|こくむ|しよう|しょ|||こう||ていこく|さいしょう|だいり|||かくぎ||しゅさい|| とがった 鼻 と 、 雪 の ような 銀 髪 と 、 するどい と いう より は 険しい 眼光 を 有する 七五 歳 の 老人 だ 。 |はな||ゆき|||ぎん|かみ|||||||けわしい|がんこう||ゆうする|しちご|さい||ろうじん| 彼 から 下方 へ 流れる と 、 ゲルラッハ 財務 尚 書 、 フレーゲル 内務 尚 書 、 ルンプ 司法 尚 書 、 ウィルヘルミ 科学 尚 書 、 ノイケルン 宮内 尚 書 、 キールマンゼク 内閣 書記 官長 …… と いう 人々 が 居並んで いる 。 かれ||かほう||ながれる|||ざいむ|しよう|しょ||ないむ|しよう|しょ||しほう|しよう|しょ||かがく|しよう|しょ||くない|しよう|しょ||ないかく|しょき|かんちょう|||ひとびと||いならんで|

反対 側 に は 武官 の 列 が ある 。 はんたい|がわ|||ぶかん||れつ|| 軍務 尚 書 エーレンベルク 元帥 、 帝国 軍 統帥 本部 総長 シュタインホフ 元帥 、 幕僚 総監 クラーゼン 元帥 、 宇宙 艦隊 司令 長官 ミュッケンベルガー 元帥 、 装甲 擲 弾 兵 総監 オフレッサー 上級 大将 、 近 衛兵 総監 ラムスドルフ 上級 大将 、 憲兵 総監 クラーマー 大将 、 それ に 一八 個 艦隊 の 司令 官 たち ……。 ぐんむ|しよう|しょ||げんすい|ていこく|ぐん|とうすい|ほんぶ|そうちょう||げんすい|ばくりょう|そうかん||げんすい|うちゅう|かんたい|しれい|ちょうかん||げんすい|そうこう|なげう|たま|つわもの|そうかん||じょうきゅう|たいしょう|ちか|えいへい|そうかん||じょうきゅう|たいしょう|けんぺい|そうかん||たいしょう|||いちはち|こ|かんたい||しれい|かん|

古風な ラッパ の 澄んだ ひびき が 、| 同 に 姿勢 を 正さ せた 。 こふうな|||すんだ|||どう||しせい||たださ| 木 の 葉 が 風 に 騒ぐ か の ような ざわめき が 静まる 。 き||は||かぜ||さわぐ||||||しずまる 至 尊 者 の 入来 を 告げる 式部 官 の 声 が 参会 者 の 鼓膜 を たたいた 。 いたる|とうと|もの||いりき||つげる|しきぶ|かん||こえ||さんかい|もの||こまく||