×

Nós usamos os cookies para ajudar a melhorar o LingQ. Ao visitar o site, você concorda com a nossa política de cookies.

百物語 - Yōkai​ Stories, 安義橋 ( あきのはし ) の 鬼 – Text to read

百物語 - Yōkai​ Stories, 安義橋 ( あきのはし ) の 鬼

Iniciante 2 Japonês lesson to practice reading

Comece a aprender esta lição agora

安義橋 ( あきのはし ) の 鬼

安義橋 ( あきのはし) の 鬼

むかし むかし 、 近江 の 国 ( おうみ の くに → 滋賀 県 ) の 殿さま の お 屋敷 に 、 家来 の 若者 たち が 集まって おしゃべり を して いました 。 その うち に 一人 の 若者 が 、こんな 事 を 言い ました 。 「なあ 、お前たち 知っている か ? 安義橋 ( あきのはし ) と いう 橋 は 不思議な 橋 で 、 あの 橋 を 渡った 者 は 生きて 帰れない と 言われて いる そうだ 。 うわさ で は 、鬼 が 出る らしい 。 だ から 今では 、人っ子一人 通る 者 が ない そうだ 」それ を 聞いて 、腕自慢 の 一人 が 答えました 。 「鬼 が 出る なんて 、うそ に 決まっている 。 なんなら 、おれ が その 橋 を 渡って みせよう 」「なに ! 本当に 、渡れる の か ? 」「もちろん 、渡れる さ 。 しかし 、 ひと つ 条件 が ある 」「 条件 と は ? 」「この お 屋敷 に ある お 馬 を 、お 借り する 事 だ 。 あの お 馬 は 、日本 一 の 名馬 だ 。 あれ に 乗って 行けば 、鬼 が 出て も 何でもない さ 」この 男 は 、馬 を 借り られる はず は ない と 計算して 言った のです が 、ちょうど その 時 、殿さま が 奥 から 入って 来て 、「話 は 聞いた ぞ 。 それ なら あの 馬 を 、すぐに でも 貸して やろう 」と 、言った のです 。 これ に は 言い出した 男 も 、すっかり 困って しまい ました 。 「あの 、その 、今 の 話 は 、まったく の 冗談 で ございます ので 、はい 」男 は 殿さま の 前 で 何度も 頭 を 下げました が 、ほかの 若者たち が 黙って いません 。 「なんだ 、なんだ 。 今さら 何 を 言って いる のだ 」「そうだ 、そうだ 」「おい 、はやく しろ 。 日 が かたむいた ぞ 」「そう だ 、そう だ 」「ここ は 男らしく 、約束 を 守れ 」「そう だ 、そう だ 」そう 言って いる うちに 、若者 の 何人 か が 馬屋 から 馬 を 引き出して きた のです 。 そして 馬 の 背中 に くら を 置く と 、男 に 言い ました 。 「さあ 、準備 は 出来た ぞ 。 観念 して 行って こい 」こう なって は 、もう 逃げ出す わけ に は いきません 。 (とほほ 。 ・・・つまらない 事 を 言った もの だ )男 は 後悔 し ました が 、仕方なく 立ち上がる と 馬 の そば に 行き 、馬 の 腹帯 が ゆるまない 様 に 強く 締め 直したり 、馬 の お尻 に 油 を たっぷり と 塗ったり しました 。 そして 手 に むち を 一 本 持つ と 、馬 に またがって 出発した のです 。

さて 、 安義橋 ( あきのばし ) の たもと まで やって 来る と 、 もう 、 日 が 暮れかかって いました 。 「 薄気味悪い な 。 ・・・何も 、出なければ よい が 」男 が 馬 を 小走りに 走らせて 橋 の 中 ほど まで 進んだ 時 、薄暗い 橋 の 上 に 誰か が 一人で 立っている の が 見えました 。 「もしかして 、鬼 ? 」しかし よく 見る と 、それ は 女 の 人 でした 。 女 の 人 は 薄紫 色 の 布 を 頭 から かぶって おり 、着物 は 濃い 紫色 で 、赤い はかま を はいています 。 まるで 、都 の 宮仕え の 様 な 服装 です 。 その 女 の 人 が 口 に 手 を あて 、さびしそうな 目 で 男 を 見つめました 。 (若い 女 が 、こんな ところ で どうした の だろう ? 誰 か に 、置き去り に された の だろう か ? )女 の 人 は 男 に 近づく と 、しずかに 顔 を あげて 笑み を 浮かべました 。 (なんて 、美しい の だろう )男 は 一目 で 、女 の 人 に 心 を ひかれました 。 (ここ に 置いて いて は 、かわいそう だ 。 馬 に 乗せて 、家 まで 送って やろう )そう 思い ました が 、(いや 、待てよ 。 こんな 時間 に 若い 女 の 人 が 、たった 一人 で いる の は 怪しい ぞ )と 、考え直す と 、あわてて 馬 を 走らせよう と し ました 。 する と 女 の 人 は 、ふいに 声 を かけて きました 。 「もし 、お 願い で ございます 。 どうか 向こう の 村 まで 、わたし を 連れて 行って ください ませ 。 こんな 所 に 置き去り に されて 、困って おります 」美しい 声 です が 、男 は その 声 を 聞く と 、なぜ か 急に 身震い を し ました 。 (これ は 、人 で は ない ! )そして 馬 に むち を 当てる と 、あわてて その 場 を 逃げ出し ました 。 「まあ 、ひどい 人 。 お待ち ! ・・・待たん か ! 」後ろ から 、大きな 叫び声 が し ました 。 さっき の 女 の 人 の 声 と は 思えない 、まるで 大地 を ゆるがす ような 声 です 。 「 待て ー ! 待たぬ か ー ! 」女 の 人 は 、ドタドタ と 恐ろしい 足音 で 後ろ から 追いかけて きました 。 (鬼 だ ! やはり 鬼 だ ! )男 は そう 思う と 、夢中で 叫びました 。 「観音 さま 、どうか 我 を お 助け ください ! 」しかし 後ろ から 追って くる 足音 を 、どうしても 引き離す 事 が 出来ません 。 それどころか 何度 も 何度 も 馬 の お尻 に 手 を かけて 、男 を 馬 から 引きずり 落とそう と する のです 。 幸い 、馬 の お尻 に は 油 が たっぷり と 塗って ある ので 、手 が 滑って 捕まる 事 は ありません でした 。 男 は 逃げ ながら 、ちらり と 後ろ を 振り向きました 。 する と 先ほど の 美しい 女 は 、世にも 恐ろしい 鬼 に 変わって いた のです 。 鬼 の 身長 は 九 尺 (きゅうしゃく →約 二・七 メートル )で 、まっ赤 な 顔 で 金色 の 目 が ギラギラ と 光って い ます 。 手 の 指 は 三 本 で 、爪 は 刀 の 様 に とがって い ます 。 「観音 さま 、どうか 我 を お 助け ください ! 」男 は 観音 さま に 祈り ながら 、なんとか 村 はずれ まで やってきました 。 人家 の 明かり が 見えて くる と 、ようやく 鬼 は 追う の を あきらめて 、「今日 は 逃がして やる が 、いつか きっと 捕まえて やる ぞ ! 」 と 、 叫ぶ と 、 どこ か へ 行って しまいました 。

男 は やっと の 事 で 、殿さま の お 屋敷 に たどりつきました 。 男 の 帰り を 待って いた 若者 たち が 、足音 を 聞きつけて 出て きました 。 「おい 、どう だった ? 」「鬼 は 、いた か ? 」若者 たち が 聞きました が 、男 は 真っ青な 顔 で 震え ながら 、返事 一 つ 出来ません 。 そこ で 若者 たち は 男 を かかえて お 屋敷 家 の 中 に 連れて 行き 、 男 を 介抱 ( かいほう ) して やりました 。 殿さま も 心配 して 、出て きました 。 殿さま の 顔 を 見て 男 は ようやく 正気 に 戻り 、さっき の 恐ろしい 出来事 を 話し ました 。 それ を 聞いた 殿さま は 、「それ は 災難 だった な 。 だが これ に こりて 、もう つまらない 強がり を 言う で ない ぞ 」と 、男 を たしなめる と 、落ち込む 男 に 乗っていた 馬 を ほうび だ と 言って やりました 。 馬 を もらった 男 は 元気 を 取り戻す と 、家 に 帰って 家族 に 今日 の 話 を 聞かせました 。

さて それ から 男 の 家 に 、色々 と 不思議な 事 が 起こりました 。 突然 家 が 地震 の 様 に ゆれたり 、天井 や 壁 から 奇妙な 声 が 聞こえたり と 。 怖く なった 男 が 占い師 に 頼んで 原因 を 占って もらう と 、占い師 は こう 言い ました 。 「あなた は 、何か の たたり を 受けて い ます 。 すぐに 体 を 清めて 、 ものいみ を する 様 に 」 ものいみ (→ 物忌み ) と は 、 門 を 閉めて 家 の 中 に 引きこもり 、 どんな 人 が 来て も 決して 家 の 中 に 入れて は ならない 事 です 。 男 は 体 を 清める と 、じっと 家 の 中 に 引きこもって い ました 。 ところが その 日 の 夕方 、ドンドン ドン と 門 を たたく 者 が ありました 。 家 の 者 が のぞいて みる と 、そこ に いた のは 男 の 弟 です 。 弟 は 、 みちのく (→ 東北 地方 の 北部 ) の 殿さま の 家来 に なって 、 奥州 ( おうしゅう ) に 住んで います 。 その 弟 が 久しぶり に 京都 へ 帰る 事 に なった ので 、その 途中 、兄 の ところ を 訪ねて きた と いう のでした 。 (より に よって 、悪い 日 に 来た もの だ 。 しかし 弟 に 会って 、病気がち な 母上 の 様子 を 聞きたい 。 ・・・しかし 今日 は 、ものいみ の 日 だ 。 残念 だが 、会う の は よそう )男 は そう 思って 、家 の 者 を 呼ぶ と 、「今日 は 会え ない 。 明日 に なったら 会う から 、今夜 は 他の 人 の 家 を 借りて 泊まる ように 」と 、門 の 中 から 言わせました 。 する と 、弟 は 、「何 を なさけない 事 を おっしゃいます 。 もう 、日 も 暮れて しまい ました 。 わたし 一 人 なら 他の 家 を 借りる 事 も 出来ます が 、しかし 今日 は 家来 も 連れて いる し 、馬 も い ます 。 他の 人 の 家 に 、泊まる わけ に は いきません 。 それ に 、母上 が なくなられた のです よ 。 その 事 も ぜひ 、わたし の 口 から 申し上げたい と 思って 、急いで まいりました のに 」と 、残念 そうに 言い ました 。 これ を 聞いた 男 の 目 に 、涙 が 浮かびました 。 (ああ 、家 で 不思議な 事 が 起こった の は 、母上 が なくなられた と いう 知らせ であった の か )男 は 、ものいみ の 事 を すっかり 忘れて 、家 の 者 に 言いつけました 。 「門 を すぐに 開けよ 。 弟 を ここ に 通せ 」そして なつかし そうに 、弟 を 家 に 迎え入れました 。

男 と 二人 っきり に なった 弟 は 、泣き ながら 母 の 事 を 色々 と 話し ました 。 男 の お嫁さん は 隣 の 部屋 で 二人 が 話し合っている の を 聞いていた のです が 、その うちに 、今まで 仲 の 良かった 二人 が 取っ組み合い を 始めた のです 。 「まあ 、いったい 、どう なすった の です か ! 」お嫁さん は 思わず 声 を かけて 、二人 の ところ に 走り寄りました 。 する と 男 は 、弟 を 下 に 組ふせ ながら 、「刀 を 取って 来い ! まくらもと に ある 刀 を 。 はやく 、はやく ! 」と 、顔 を まっ赤 に して 言う のです 。 「あなた 、気 でも 狂った のです か 。 せっかく いらした 弟 さん に 」「なに を 、ぐずぐず している のだ ! おれ に 、死ね と いう の か ! 」男 が 叫ぶ と 今 まで 下 に いた 弟 が 飛び起きて 、今度 は 男 を 組み ふせて しまい ました 。 「きゃあ ー ! 」お嫁さん は 弟 の 顔 を 見て 、思わず 悲鳴 を 上げました 。 その 弟 の 顔 と いう の が 、いつか 橋 の 上 で 追いかけられた と 話 を して くれた 鬼 の 顔 だった のです 。 そう 気 が ついた 時 に は 、弟 に 化けて いた 鬼 は どこ か へ 行って しまいました 。 お嫁さん の 悲鳴 を 聞きつけて 家中 の 者 が 集まって 来ました が 、すでに 男 は 鬼 に のど を 食いちぎられて いました 。 「それでは 、あの 弟 が 連れて 来た 家来 や 馬 は 、どう なった の だ ? 」みんな が 外 を 調べて みる と 、動物 の 骨 が いくつ も 庭 に 転がって い ました 。 人 や 馬 に 見えた の は 、 この 骸骨 だった の です 。

この 話 は 、すぐに 殿さま たち に 知らされました 。 これ を 聞いた 殿さま は 、「つまらない 冗談 から 、ついに 命 まで 落として しまった か 」と 、男 の 死 を 残念がり 、男 の ために お祈り を し ました 。

その後 、鬼 は 姿 を 見せなく なり 、人々 は 安心 して 安義橋 を 渡れる 様 に なった と いう 事 です 。

おしまい

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE