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世界の昔話, イワンのバカ

イワン の バカ

イワン の バカ

むかし むかし 、 ある 国 に 、 お 金持ち の お 百姓 ( ひゃくしょう ) がい ました 。 その お 百姓 に は 、 軍人 の セミョーン 、 たいこ 腹 の タラス 、 頭 の 悪い バカ の イワン と いう 3 人 の 息子 と 、 目 と 耳 の 不 自 田 な マラーニャ と いう 1 人 娘 が い ました 。 イワン の 2 人 の 兄 は 金 使い が 荒く 、 父親 の ところ に 来て は 、 「 財産 を 分けろ 」 と 、 せがみ ます 。 父親 が 、 「 では 、 イワン に 聞く が いい 」 と 、 言い ます と 、 イワン は 、 「 ふーん 。 じゃあ 、 みんな 持って 行けば 」

そんな わけ で 、 イワン と 父親 と 娘 に は 、 おい ぼれ の ウマ 1 頭 だけ が 残り ました 。 大 悪魔 ( あくま ) は これ を 知る と 、 手下 の 小 悪魔 たち に 言いつけ ました 。 「 あの 家族 を バラバラに して やろう と 思った のに 、 仲良く 財産 分け を し ちまう と は とんだ 思い違い だった わい 。 お前 ら 、 や つら に とりついて 、 や つら を メチャクチャに し ちまえ 」 2 匹 の 小 悪魔 は 2 人 の 兄 に とりつく と 、 せっかく 父親 から もらった 財産 を 全て 使って しまい ました 。 3 匹 目 の 小 悪魔 は 畑 仕事 を して いる イワン の ところ へ やって 来る と 、 土 を たがやす スキ の 先 に つかまって 、 さっそく 仕事 の じゃま を し ました 。 けれど イワン は それ に 気づく と 、 スキ を 振り 上げて 悪魔 を 叩き つぶそう と し ます 。 「 わ あ 、 殺さ ないで くれ ! 」 悪魔 は 、 金切り声 を あげ ました 。 「 なんでも 、 望み は かなえて やる から 」 「 ふーん 。 じゃ 、 おれ は 腹 が 痛い から 、 治す 薬 を くれ 」 イワン が 言い ます と 、 悪魔 は 地面 を 掘って 木 の 根 を 取り出し ました 。 「 これ を 飲めば 、 どんな 痛み も なくなる ぜ 」 「 ふーん 」 イワン が 試しに 一 切れ 飲み 込む と 、 お腹 の 痛み は すっかり 治って しまい ました 。

そんな ある 日 、 王さま の 娘 が 病気 に なった ので 、 国 中 に おふれ を 出し ました 。 《 姫 の 病気 を 治した 者 に は 、 ほうび を やる 。 もし それ が 男 で 独身 ならば 、 姫 を 嫁 に やって も よい 》 と 、 いう もの でした 。 イワン の 親 は それ を 知る と 、 「 お前 は 悪魔 から もらった 根っこ が ある だろう 。 あれ を 王さま に 持って 行ったら どう だ 」 と 、 進め ました 。 「 ふーん 。 そう だ ね 」 イワン は さっそく 、 家 を 出 ました 。 ところが 家 の 前 に 、 貧しい 女 の 人 が 立って いて 、 「 あたし は 手 が 悪い んだ 、 治し ておくれ よ 」 と 、 言い ます 。 気 の いい イワン は 、 「 ふーん 。 いい よ 」 と 、 大事な 根っこ を 、 みんな やって しまい ました 。 これ で は 、 王さま に 持って いく 分 が あり ませ ん 。 それ でも イワン は 気 に も せ ず に 、 おい ぼれ ウマ に またがって 城 へ かけつけ ました 。

ところが 不思議な 事 に 、 薬 の かけら も 持って い ない イワン が 城 の 階段 に 一 歩 足 を かけた とたん 、 お姫さま の 病気 が 治って しまった のです 。 喜んだ 王さま は 、 お姫さま を イワン の お 嫁 さん に し ました 。 そして 間もなく 王さま が 亡くなった ので 、 イワン が 国王 と なり ました 。 しかし イワン は すぐ に 王さま の 服 を 脱いで 、 ボロボロ の シャツ に 着がえる と 畑 仕事 を 始め ました 。 妻 に なった お姫さま も イワン の 真似 を して 、 立派な 王妃 ( おうひ ) の 服 を 脱いで そまつな 服 に 着がえる と 、 イワン の 手伝い を 始め ました 。 それ を 見て あきれた 利口 者 は 、 この 国 から みんな 出て 行き 、 真面目に 働いて 暮らす 心 の 良い 人 ばかり が 残り ました 。

小 悪魔 が イワン を 不幸に する の を 失敗 した ので 、 大 悪魔 は カンカンに 怒り 、 立派な 紳士 ( しんし ) に 化けて イワン の 国 に やって 来 ました 。 そして 高い やぐら の 上 に のぼり 、『 手 を 使って 働く 事 の おろか さ 』 に ついて 、 毎日 毎日 演説 ( えんぜつ ) を し ました が 、 イワン の 国 の 人 たち に は チンプンカンプン です 。 そして ある 日 、 大 悪魔 は お腹 が 空いて 足 が 滑り 、 やぐら の てっ ペ ん から まっ さかさまに 落ちて 地面 の 底 に 消えて しまい ました 。

おしまい


イワン の バカ ||ばか Ivan the Fool.

イワン の バカ ||ばか Ivan the Fool

むかし むかし 、 ある 国 に 、 お 金持ち の お 百姓 ( ひゃくしょう ) がい ました 。 |||くに|||かねもち|||ひゃくしょう||| その お 百姓 に は 、 軍人 の セミョーン 、 たいこ 腹 の タラス 、 頭 の 悪い バカ の イワン と いう 3 人 の 息子 と 、 目 と 耳 の 不 自 田 な マラーニャ と いう 1 人 娘 が い ました 。 ||ひゃくしょう|||ぐんじん||||はら|||あたま||わるい|ばか|||||じん||むすこ||め||みみ||ふ|じ|た|||||じん|むすめ||| イワン の 2 人 の 兄 は 金 使い が 荒く 、 父親 の ところ に 来て は 、 「 財産 を 分けろ 」 と 、 せがみ ます 。 ||じん||あに||きむ|つかい||あらく|ちちおや||||きて||ざいさん||わけろ||| Ivan's two older brothers are savage spenders, and when they come to their father, they urge them to "divide their fortune." 父親 が 、 「 では 、 イワン に 聞く が いい 」 と 、 言い ます と 、 イワン は 、 「 ふーん 。 ちちおや|||||きく||||いい|||||ふ - ん じゃあ 、 みんな 持って 行けば 」 ||もって|いけば

そんな わけ で 、 イワン と 父親 と 娘 に は 、 おい ぼれ の ウマ 1 頭 だけ が 残り ました 。 |||||ちちおや||むすめ||||ぼ れ|||あたま|||のこり| That's why Ivan, his father, and his daughter had only one horse left. 大 悪魔 ( あくま ) は これ を 知る と 、 手下 の 小 悪魔 たち に 言いつけ ました 。 だい|あくま|||||しる||てした||しょう|あくま|||いいつけ| 「 あの 家族 を バラバラに して やろう と 思った のに 、 仲良く 財産 分け を し ちまう と は とんだ 思い違い だった わい 。 |かぞく||ばらばら に||||おもった||なかよく|ざいさん|わけ|||ち まう||||おもいちがい||わ い "I thought I'd break that family apart, but it was a misunderstanding to share my property with each other. お前 ら 、 や つら に とりついて 、 や つら を メチャクチャに し ちまえ 」  2 匹 の 小 悪魔 は 2 人 の 兄 に とりつく と 、 せっかく 父親 から もらった 財産 を 全て 使って しまい ました 。 おまえ|||||||||メチャクチャ に||ち まえ|ひき||しょう|あくま||じん||あに|||||ちちおや|||ざいさん||すべて|つかって|| 3 匹 目 の 小 悪魔 は 畑 仕事 を して いる イワン の ところ へ やって 来る と 、 土 を たがやす スキ の 先 に つかまって 、 さっそく 仕事 の じゃま を し ました 。 ひき|め||しょう|あくま||はたけ|しごと|||||||||くる||つち|||すき||さき||||しごと||||| When the third little devil came to Ivan, who was working in the field, he grabbed the tip of the ski that shook the soil and immediately interrupted his work. けれど イワン は それ に 気づく と 、 スキ を 振り 上げて 悪魔 を 叩き つぶそう と し ます 。 |||||きづく||すき||ふり|あげて|あくま||たたき|||| 「 わ あ 、 殺さ ないで くれ ! ||ころさ|| 」   悪魔 は 、 金切り声 を あげ ました 。 あくま||かなきりごえ||| 「 なんでも 、 望み は かなえて やる から 」 「 ふーん 。 |のぞみ|||||ふ - ん じゃ 、 おれ は 腹 が 痛い から 、 治す 薬 を くれ 」   イワン が 言い ます と 、 悪魔 は 地面 を 掘って 木 の 根 を 取り出し ました 。 |||はら||いたい||なおす|くすり|||||いい|||あくま||じめん||ほって|き||ね||とりだし| 「 これ を 飲めば 、 どんな 痛み も なくなる ぜ 」 「 ふーん 」   イワン が 試しに 一 切れ 飲み 込む と 、 お腹 の 痛み は すっかり 治って しまい ました 。 ||のめば||いたみ||||ふ - ん|||ためしに|ひと|きれ|のみ|こむ||おなか||いたみ|||なおって||

そんな ある 日 、 王さま の 娘 が 病気 に なった ので 、 国 中 に おふれ を 出し ました 。 ||ひ|おうさま||むすめ||びょうき||||くに|なか||||だし| 《 姫 の 病気 を 治した 者 に は 、 ほうび を やる 。 ひめ||びょうき||なおした|もの||||| もし それ が 男 で 独身 ならば 、 姫 を 嫁 に やって も よい 》 と 、 いう もの でした 。 |||おとこ||どくしん||ひめ||よめ|||||||| If it is a man and a bachelor, you may have the princess as a bride. イワン の 親 は それ を 知る と 、 「 お前 は 悪魔 から もらった 根っこ が ある だろう 。 ||おや||||しる||おまえ||あくま|||ねっこ||| When Ivan's parents found out, they said, "You have a root from the devil, don't you? あれ を 王さま に 持って 行ったら どう だ 」 と 、 進め ました 。 ||おうさま||もって|おこなったら||||すすめ| Why don't you take that to your king?" I was very pleased with the results of the project and proceeded. 「 ふーん 。 ふ - ん そう だ ね 」   イワン は さっそく 、 家 を 出 ました 。 ||||||いえ||だ| ところが 家 の 前 に 、 貧しい 女 の 人 が 立って いて 、 「 あたし は 手 が 悪い んだ 、 治し ておくれ よ 」 と 、 言い ます 。 |いえ||ぜん||まずしい|おんな||じん||たって||||て||わるい||なおし||||いい| 気 の いい イワン は 、 「 ふーん 。 き|||||ふ - ん いい よ 」 と 、 大事な 根っこ を 、 みんな やって しまい ました 。 |||だいじな|ねっこ||||| No." And, the important roots were all removed. これ で は 、 王さま に 持って いく 分 が あり ませ ん 。 |||おうさま||もって||ぶん|||| This is not enough to take to the king. それ でも イワン は 気 に も せ ず に 、 おい ぼれ ウマ に またがって 城 へ かけつけ ました 。 ||||き|||||||ぼ れ||||しろ||| But Ivan didn't care. He rode to the castle on the back of a stray horse.

ところが 不思議な 事 に 、 薬 の かけら も 持って い ない イワン が 城 の 階段 に 一 歩 足 を かけた とたん 、 お姫さま の 病気 が 治って しまった のです 。 |ふしぎな|こと||くすり||||もって|||||しろ||かいだん||ひと|ふ|あし||||おひめさま||びょうき||なおって||の です Strangely enough, Ivan, who did not have a shred of medicine, cured the princess of her illness as soon as she stepped onto the castle steps. 喜んだ 王さま は 、 お姫さま を イワン の お 嫁 さん に し ました 。 よろこんだ|おうさま||おひめさま|||||よめ|||| そして 間もなく 王さま が 亡くなった ので 、 イワン が 国王 と なり ました 。 |まもなく|おうさま||なくなった||||こくおう||| しかし イワン は すぐ に 王さま の 服 を 脱いで 、 ボロボロ の シャツ に 着がえる と 畑 仕事 を 始め ました 。 |||||おうさま||ふく||ぬいで|ぼろぼろ||しゃつ||きがえる||はたけ|しごと||はじめ| But Ivan quickly took off his king's clothes, put on a tattered shirt, and began to work in the fields. 妻 に なった お姫さま も イワン の 真似 を して 、 立派な 王妃 ( おうひ ) の 服 を 脱いで そまつな 服 に 着がえる と 、 イワン の 手伝い を 始め ました 。 つま|||おひめさま||||まね|||りっぱな|おうひ|||ふく||ぬいで||ふく||きがえる||||てつだい||はじめ| それ を 見て あきれた 利口 者 は 、 この 国 から みんな 出て 行き 、 真面目に 働いて 暮らす 心 の 良い 人 ばかり が 残り ました 。 ||みて||りこう|もの|||くに|||でて|いき|まじめに|はたらいて|くらす|こころ||よい|じん|||のこり| The smart people were so disgusted by this that they all left the country, leaving only good-hearted people who worked hard and lived honestly.

小 悪魔 が イワン を 不幸に する の を 失敗 した ので 、 大 悪魔 は カンカンに 怒り 、 立派な 紳士 ( しんし ) に 化けて イワン の 国 に やって 来 ました 。 しょう|あくま||||ふこうに||||しっぱい|||だい|あくま||かんかん に|いかり|りっぱな|しんし|||ばけて|||くに|||らい| When the little devil failed to make Ivan unhappy, the big devil became so angry that he transformed himself into a fine gentleman and came to Ivan's country. そして 高い やぐら の 上 に のぼり 、『 手 を 使って 働く 事 の おろか さ 』 に ついて 、 毎日 毎日 演説 ( えんぜつ ) を し ました が 、 イワン の 国 の 人 たち に は チンプンカンプン です 。 |たかい|||うえ|||て||つかって|はたらく|こと||||||まいにち|まいにち|えんぜつ||||||||くに||じん||||| He rose to the top of a high hill and gave speeches day after day about the silliness of working with one's hands, but the people of Ivan's country had no idea what he was talking about. そして ある 日 、 大 悪魔 は お腹 が 空いて 足 が 滑り 、 やぐら の てっ ペ ん から まっ さかさまに 落ちて 地面 の 底 に 消えて しまい ました 。 ||ひ|だい|あくま||おなか||あいて|あし||すべり|||||||||おちて|じめん||そこ||きえて||

おしまい