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江戸小話, 日本一の親孝行

日本 一 の 親孝行

日本 一 の 親孝行

両 国 ( りょう ごく → 東京 ) に 、 ちょっと 変わった 見世物 小屋 ( みせもの ご や ) が あり ました 。 「 さあ さあ 、 日本 一 の 親孝行 は 、 こちら だ よ 。 お 代 は 、 見て から で けっこう 。 入って 、 入って 。 日本 一 の 親孝行だ よ 」 いせい の 良い 口上 ( こうじょう → 見世物 の 内容 紹介 ) に つられて 、 多く の 人 が 中 に 入り ます と 、 正面 に 七十 ぐらい の おばあ さん と 、 四十 ばかり の 男 が すわって おり ます 。 おばあ さん が 、 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 腰 を 、 叩いて おくれ 」 と 、 言えば 、 そば の 男 が 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 おばあ さん の 腰 を 叩き ます 。 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 肩 を 、 もんで おくれ 」 と 、 言えば 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 肩 を もみ ます 。 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 今夜 の おかず に は 、 竹 の 子 を ほって きて 食 ベ さ せ ておくれ 」 と 、 言えば 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 神妙 ( しんみょう → すなお ) に 答え ます 。 その あげく 、 お ばあさん が 、 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 しょうべん に 、 行き と うなった 」 と 、 言えば 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 息子 は 背中 を さし 差し出して お ばあさん を 背負う と 、 息子 は 舞台 ( ぶたい ) を ぐるり と 一回り して 楽屋 ( がくや → 関係 者 の 部屋 ) へ ひっこんで しまい ました 。 見物人 が あっけにとられて いる と 、 見世物 師 が 言い ました 。 「 はい 、 おしま ー い 、 おしま ー い 。 前 の 方 から 順々 に お 帰り ー っ 」

むかし は こんな 見せ物 小屋 が 、 本当に あった そうです 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


日本 一 の 親孝行 にっぽん|ひと||おやこうこう

日本 一 の 親孝行 にっぽん|ひと||おやこうこう

両 国 ( りょう ごく → 東京 ) に 、 ちょっと 変わった 見世物 小屋 ( みせもの ご や ) が あり ました 。 りょう|くに|||とうきょう|||かわった|みせもの|こや|||||| 「 さあ さあ 、 日本 一 の 親孝行 は 、 こちら だ よ 。 ||にっぽん|ひと||おやこうこう|||| お 代 は 、 見て から で けっこう 。 |だい||みて||| 入って 、 入って 。 はいって|はいって 日本 一 の 親孝行だ よ 」   いせい の 良い 口上 ( こうじょう → 見世物 の 内容 紹介 ) に つられて 、 多く の 人 が 中 に 入り ます と 、 正面 に 七十 ぐらい の おばあ さん と 、 四十 ばかり の 男 が すわって おり ます 。 にっぽん|ひと||おやこうこうだ||||よい|こうじょう||みせもの||ないよう|しょうかい|||おおく||じん||なか||はいり|||しょうめん||しちじゅう||||||しじゅう|||おとこ|||| おばあ さん が 、 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 ||||こう|じょ||| 腰 を 、 叩いて おくれ 」 と 、 言えば 、 そば の 男 が 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 おばあ さん の 腰 を 叩き ます 。 こし||たたいて|||いえば|||おとこ|||||||||こし||たたき| 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 |こう|じょ||| 肩 を 、 もんで おくれ 」 と 、 言えば 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 肩 を もみ ます 。 かた|||||いえば|||||かた||| 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 |こう|じょ||| 今夜 の おかず に は 、 竹 の 子 を ほって きて 食 ベ さ せ ておくれ 」 と 、 言えば 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 神妙 ( しんみょう → すなお ) に 答え ます 。 こんや|||||たけ||こ||||しょく||||||いえば|||||しんみょう||||こたえ| その あげく 、 お ばあさん が 、 「 これ 、 孝 助 ( こう すけ ) や 。 ||||||こう|じょ||| しょうべん に 、 行き と うなった 」 と 、 言えば 、 「 はい 、 かしこまり ました 」 と 、 息子 は 背中 を さし 差し出して お ばあさん を 背負う と 、 息子 は 舞台 ( ぶたい ) を ぐるり と 一回り して 楽屋 ( がくや → 関係 者 の 部屋 ) へ ひっこんで しまい ました 。 ||いき||||いえば|||||むすこ||せなか|||さしだして||||せおう||むすこ||ぶたい|||||ひとまわり||がくや||かんけい|もの||へや|||| 見物人 が あっけにとられて いる と 、 見世物 師 が 言い ました 。 けんぶつにん|||||みせもの|し||いい| 「 はい 、 おしま ー い 、 おしま ー い 。 ||-|||-| 前 の 方 から 順々 に お 帰り ー っ 」 ぜん||かた||じゅんじゅん|||かえり|-|

むかし は こんな 見せ物 小屋 が 、 本当に あった そうです 。 |||みせもの|こや||ほんとうに||そう です

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )