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江戸小話, あわて医者

あわて 医者

むかし 、 一人前 の 医者 は 脇差し ( わきざし ) と 言う 、 短い 刀 を 腰 に さして 仕事 に 出かけた そうです 。

さて 、 ある ところ に 、 とても 慌て 者 の 医者 が い ました 。 ある 日 の 事 、 日頃 から 世話に なって いる 旦那 が 急病 だ と いう ので 、 医者 は 慌てて 家 を 飛び出した のです が 、 あんまり 慌てて いた ので 、 脇差し と 間違えて ゴマ など を すりつぶす 、 すりこ木 を 腰 に さして 出かけた のです 。 そして 無事に 診察 を 終えて 屋敷 から 帰る 時 、 その 家 の 奥さん が 医者 の 脇差し を 差し出そう と する と 、 何と それ が すりこ木 だった のです 。 奥さん は おかしい の を こらえて 、 「 ぷぷ っ 、・・・ せっ 、 先生 。 どうぞ すりこ ・・・、 いえ 、 お 協 差 を 」 と 、 差し出し し ました 。 これ を 見た 医者 は 、 自分 が 腰 に 差して 来た の が すりこ木 だった の に 気 が ついて 、 「 これ は 、 これ は 」 と 、 受け取る と 、 恥ずかし そうに 言い ました 。 「 まったく もって 、 お 恥ずかしい 。 こうした 事 に 気 を 配る の は 妻 の 役目 。 家 に 帰り ましたら 、 うっかり 者 の 妻 を 叱って おき ましょう 」 そして あいさつ も そこそこ に 家 ヘ 飛んで 帰った のです が 、 医者 は 家 を 間違えて 隣 の 家 ヘ 飛び込んで しまい ました 。 そして 、 突然 は 入って 来た 医者 に びっくり して いる 隣 の 女房 に 怒鳴りつけ ました 。 「 こら ! この まぬけ め ! より に も よって 、 脇差し と すりこ木 を 間違える と は 何事 だ ! おかげ で とんだ 恥 を かいた で は ない か ! 」 「 まあ 、 これ は お 隣り の 先生 。 一体 、 何の 事 で ございます ? 」 「 へ っ ? 隣 ? あっ ! や やっ ! 」 家 を 間違えた 事 に 気 が ついた 医者 は 、 慌てて 自分 の 家 へ 飛び込む と 、 今度 は 自分 の 女房 に 頭 を 下げて 謝り ました 。 「 ただいま は 、 とんだ ご 無礼 を 申し ました 。 どうぞ 、 どうぞ 、 ご かんべん ください ませ ー 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


あわて 医者

むかし 、 一人前 の 医者 は 脇差し ( わきざし ) と 言う 、 短い 刀 を 腰 に さして 仕事 に 出かけた そうです 。

さて 、 ある ところ に 、 とても 慌て 者 の 医者 が い ました 。 ある 日 の 事 、 日頃 から 世話に なって いる 旦那 が 急病 だ と いう ので 、 医者 は 慌てて 家 を 飛び出した のです が 、 あんまり 慌てて いた ので 、 脇差し と 間違えて ゴマ など を すりつぶす 、 すりこ木 を 腰 に さして 出かけた のです 。 そして 無事に 診察 を 終えて 屋敷 から 帰る 時 、 その 家 の 奥さん が 医者 の 脇差し を 差し出そう と する と 、 何と それ が すりこ木 だった のです 。 奥さん は おかしい の を こらえて 、 「 ぷぷ っ 、・・・ せっ 、 先生 。 どうぞ すりこ ・・・、 いえ 、 お 協 差 を 」 と 、 差し出し し ました 。 これ を 見た 医者 は 、 自分 が 腰 に 差して 来た の が すりこ木 だった の に 気 が ついて 、 「 これ は 、 これ は 」 と 、 受け取る と 、 恥ずかし そうに 言い ました 。 「 まったく もって 、 お 恥ずかしい 。 こうした 事 に 気 を 配る の は 妻 の 役目 。 家 に 帰り ましたら 、 うっかり 者 の 妻 を 叱って おき ましょう 」   そして あいさつ も そこそこ に 家 ヘ 飛んで 帰った のです が 、 医者 は 家 を 間違えて 隣 の 家 ヘ 飛び込んで しまい ました 。 そして 、 突然 は 入って 来た 医者 に びっくり して いる 隣 の 女房 に 怒鳴りつけ ました 。 「 こら ! この まぬけ め ! より に も よって 、 脇差し と すりこ木 を 間違える と は 何事 だ ! おかげ で とんだ 恥 を かいた で は ない か ! 」 「 まあ 、 これ は お 隣り の 先生 。 一体 、 何の 事 で ございます ? 」 「 へ っ ? 隣 ? あっ ! や やっ ! 」   家 を 間違えた 事 に 気 が ついた 医者 は 、 慌てて 自分 の 家 へ 飛び込む と 、 今度 は 自分 の 女房 に 頭 を 下げて 謝り ました 。 「 ただいま は 、 とんだ ご 無礼 を 申し ました 。 どうぞ 、 どうぞ 、 ご かんべん ください ませ ー 」

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )