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三姉妹探偵団 1, 三姉妹探偵団01 chapter 06 (1)

三 姉妹 探偵 団 01 chapter 06 (1)

6 第 二 の 犠牲

夕 里子 は 、 ゆっくり と 、 夜 の 道 を 歩いて いた 。

珠美 を 一応 病院 へ 連れて 行き 、 検査 した 方 が いい と いう ので 、 今 日一日 だけ 、 入院 さ せる こと に した のである 。

あれ や これ や で 、 こんな 時間 に なって しまった 。

しかし 、 珠美 に は 参った 。 検査 と 聞く と 、 その 度 に 、

「 それ 、 いくら かかる んです か ? と 訊 く のだ

夕 里子 は 顔 から 火 が 出る ような 思い であった 。

それにしても ── と 夕 里子 は 、 駅 から の 道 を 、 ゆっくり と 歩き ながら 、 考えた 。 そもそも が 無理だった ので は ない か 。

言い出した の が 、 自分 だった だけ に 、 夕 里子 は 責任 を 感じる のだ 。 子供 たち 三 人 で 、 犯人 を 探し出す など と 、 無 茶 を 言い出して 、 万一 、 誰 か が 犠牲 に でも なったら 、 どう なる だろう ?

もちろん 、 珠美 が 襲わ れた の は 、 父 の 事件 と は 関係 ある まい 。 しかし 、 あれ でも し 、 珠美 が 犯人 に 襲わ れ でも したら 、 どう なって いた か 。 もし 珠美 が 殺さ れる ような こと が あったら 、 たとえ 、 犯人 が 捕まって も 、 何の 意味 が ある だろう か 。

夕 里子 は 、 考え 直さ なくて は いけない 、 と 思った 。 もし やる と して も ── 捜査 を 続ける と して も 、 あまり 危険 を 伴う もの に 、 姉 や 妹 を 巻き込んで は いけない 。 私 が やれば いい 。 いや 、 こう 考える こと 自体 が 、 驕 り な の かも しれ ない が 。

これ は 殺人 の 捜査 な のだ 。 遊び で は ない 。

頭 で は 分 って いて も 、 今 まで 、 それ を 実感 した こと が なかった 。

珠美 の 負傷 で 、 夕 里子 は 目 を 覚まさ れた ような 思い であった 。

道 が 暗く なって 、 少し 夕 里子 は 足 を 早めた 。 その とき 、 誰 か の 足音 が 後ろ から 近付いて 来た と 思う と 、 振り向く 間もなく 、 追い抜いて 行って しまった 。

「 あれ ……」

と 、 夕 里子 は 呟いた 。

もし かして 、 今 の は …… 敦子 の 母親 、 紀子 じゃ なかった だろう か ? 暗かった し 、 よく は 分 ら なかった が 。

でも 、 あんなに 走って 行く なんて は ず が ない 。 女 の 人 で は あった ようだ が 、 後ろ姿 が 、 ちょっと 似て 見えた だけ な のだろう ……。

道 が 、 少し 明るく なる 。 そこ へ 出た とき に は 、 追い抜いて 行った 人影 は 、 もう とっくに 見え なく なって いた 。

紀子 は 、 必死で 走って いた 。 駅前 の 電話 ボックス でかけた のだ が 、 家 まで は 、 やはり 距離 も ある 。 間に合う だろう か ?

ほとんど 普段 走る と いう こと の ない 紀子 だ が 、 今 は 必死だった 。 心臓 が 破裂 する か と 思った が 、 構わ ず に 走り 続けた 。

夫 と 敦子 が 殺人 者 の 手 に かかって 、 血まみれで 倒れて いる 光景 が 、 脳裏 を かすめる 。

大丈夫だ 。

きっと 大丈夫だ 。 夫 だって 、 そう 簡単に やられ は し ない だろう し 、 夕 里子 だって いる のだ 。

あの 男 は あんな こと を 言った が 、 あれ は 、 ハッタリ だ 。 三 人 も の 人間 を 一 人 で 、 一度に 殺せる もの で は ない 。

大丈夫だ 。

大丈夫だ 。

くり返し そう 言い聞かせる 度 に 、 しかし 、 万が一 、 と いう 思い も 強まって 来た 。

もう すぐだ ! もう すぐ 家 が 見える 。 火 は つけ られて い ない 。 燃え上って いれば 、 炎 が 見える はずである 。

紀子 は 少し ホッ と して 、 足取り を 緩めた 。 家 が 見えた ! ── 明り が 点いて いる の が 、 理由 も なく 、 紀子 を 安心 さ せた 。

同時に 、 急に 、 溢れ出て 来る 涙 で 、 視界 が 曇った 。 私 の いる 所 は 、 あそこ しか ない 、 と 思った 。 夫 と 娘 の いる 、 あの 家 だけ だ 。

家 へ 帰って 、 警察 へ 電話 を かければ 、 総 て は 終る 。 いや 、 自分 の 罪 が 消え ない こと は 百 も 承知 だ が 、 夫 に は どんな こと を して も 許して もらわ なくて は なら ない 。 私 の 家 は 、 あそこ に しか ない のだ もの ……。

「 もう 歩け ない ……」

紀子 は 、 一旦 足 を 緩める と 、 もう どんどん スピード は 落ちる 一方 で 、 喘ぎ喘ぎ 、 やっと 家 の そば まで 辿り着いた 。

「 敦子 …… あなた ……」

表 から 呼ぼう と する のだ が 、 何しろ 激しい 動 悸 と 息切れ で 、 声 に なら ない のだ 。

玄関 へ 向 って 、 足 を 運んで 行く 。

突然 、 暗がり から 、 腕 が のびて 、 紀子 の 首 へ 巻きつく と 、 そのまま 地面 へ 押し倒す 。

紀子 は 、 叫ぼう と した 。 しかし 、 もう 、 絞め つける 腕 と 手 は 、 その 声 の 通る 隙間 を 残して い なかった 。 紀子 の 手 が 、 地面 を かきむしった 。 足 が 地 を けって 、 靴 が 飛んだ 。

やがて 、 紀子 は 動か なく なった 。

男 は 激しい 息 を ついて 、 ゆっくり と 起き上り かけた が 、

「 誰 か いる の ? と 敦子 の 声 が して 、 ハッと 身 を 伏せた 。

玄関 の ドア が 細く 開いた 。 チェーン を かけた まま 開けて いる のだ 。

「 夕 里子 ? ── 違う の ? ── ママ な の ? 返事 して 」

敦子 は しばらく 待って 、 ドア を 閉めた 。

「 誰 も い ない よ 」

と 、 中 から 、 声 が 洩 れて 来た 。

男 は そろそろ と 起き上る と 、 紀子 の 服 を 探り 始めた 。 そして 、 手 に 通して いた バッグ を つかむ と 、 それ を 手 に 、 しばらく あたり の 様子 を うかがって から 、 静かに その 場 を 離れて 行った 。

夕 里子 は 、 安東 の 家 の 方 へ 先 に 寄ろう か と 思った 。

一応 の こと は 、 綾子 に も 言って ある のだ が 、 なにしろ 心配 性 である 。 心配 ない のだ と 言って おく 方 が いい かも しれ ない 。

しかし 、 こんな 時間 に 立ち寄る と いう の も 、 ちょっと ためらわ れた 。 むしろ 、 明日 の 朝 に でも 行けば いい かも しれ ない 。

そう 思い 直して 、 片瀬 家 の 方 へ と 足 を 向ける 。 どっち も 大した 距離 で は ない 。

ふっと 、 足音 が 聞こえた ような 気 が して 、 夕 里子 は 振り向いた 。 ── 誰 か が 、 背後 を 駆け抜けて 行った ような 気 が した のだ 。

しばらく 立ち止まって いた が 、 もう 、 それ きり 何の 物音 も し ない 。 気のせい だった の か 。 夕 里子 は 肩 を すくめて 歩いて 行った 。

片瀬 家 に は 、 まだ 明り が 点いて いる 。 母親 の 帰り を 待って いる のだろう か ?

夕 里子 は 、 片瀬 に 、 あの 電話 の こと を 、 打ち明けた もの か どう か 、 と 悩んで いた 。 しかし 、 どっち に して も 結果 は 変り ない 。 それ ならば 、 なまじ 敦子 に 悩み の 種 を 与える ばかり かも しれ ない ……。

玄関 の 少し 手前 で 、 夕 里子 は 何 か を けっ とばして 、 足 を 止めた 。 転がって 行った の は 、 靴 の 片方 だった 。 ── 女 物 の 靴 だ 。

どうして こんな 所 に ある のだろう ?

夕 里子 は 二 、 三 歩 戻って 、 それ に 気付いた 。 足 が 、 暗がり の 奥 から 、 出て いる 。 ── 夕 里子 は 、 顔 から 血の気 が ひく の が 分 った 。

そっと 、 近付いて 、 覗き込んで みる 。 暗がり に 目 が 慣れて 来る と 、 やがて 、 片瀬 紀子 の 顔 が 、 ぼんやり と 見えて 来た ……。

夕 里子 は 、 短い 悲鳴 を 上げる と 、 玄関 へ 向 って 走った 。

「 開けて ! 敦子 ! 開けて ! 思い切り ドア を 叩く 。

「── どうした の ? 敦子 が 目 を 丸く して 立って いた 。

「 お 父さん を 呼んで 」

「 え ? 何 な の ? 「 いい から 、 お 父さん を ──」

夕 里子 は めまい が して 、 よろけ そうに なった 。 「 早く ! 声 を 聞きつけて 、 片瀬 が やって 来た 。

「 どう した んだ ね 」

「 来て 下さい 」

「 どこ へ ? 「 表 です 。 すぐ そこ です 」

「 何 だって いう ん だい 、 一体 ? 「 いい から 、 来て 下さい ! と 、 夕 里子 は 叫んだ 。

片瀬 が サンダル を 引っかけて 、 降りて 来る 。

「 そこ に ……」

ドア を 大きく 開く と 、 光 が 家 の 前 を 照らし出す 。 表 に 出た 片瀬 は 、 夕 里子 の 指さす 方 へ 目 を 向けた 。

「 紀子 ! 父親 の 声 に 、 敦子 は 裸足 で 飛び出して 来た 。

「 ママ ! ── どうした の ? ママ が どうした の ? 夕 里子 は 、 その 場 に 、 力 を 失って 座り込んで しまった 。

「── なるほど 」

その 刑事 は 、 あまり 熱心 そうで は なかった 。 眠って いる の を 叩き起こさ れた の か 、 しきりに 欠 伸 が 出 そうに なる の を 、 かみ殺して いた 。

夕 里子 は 腹 が 立った が 、 片瀬 も 敦子 も 、 今 は 腹 を 立てる ほど の 余裕 も ない ようだ 。

居間 の 中 は 、 かなり 冷えて いた 。 もう 明け方 に なる 。

「 する と 、 奥さん が なぜ 戻って 来た か 、 お 分 り に なら ない んです ね 」

と 、 刑事 は 訊 いた 。

「 はい 。 分 り ませ ん 」

「 ここ は ママ の 家 よ 。 帰って 来る の が 当り前じゃ ない の 」

敦子 が 声 を 震わせて 言った 。 「 パパ が 追い出した の よ ! ママ を 殺した んだ わ ! 「 敦子 ……」

夕 里子 が 敦子 の 肩 を 抱いた 。 敦子 が 、 夕 里子 の 肩 へ 顔 を 埋めて 、 声 を 殺して 泣いた 。

「 何と 言わ れて も 仕方 あり ませ ん 」

と 、 片瀬 は 力なく 言った 。

居間 の ドア が 開いて 、 国友 刑事 が 入って 来た 。

「 国友 さん 」

夕 里子 が 声 を 出す と 、 国友 は ちょっと 肯 いて 見せた 。

「 大変な こと に なった ね 」

「 ええ 。 ── あの ── 実は 私 、 申し上げ なきゃ いけない こと が ある んです 」

国友 の 顔 を 見て 、 やっと 言葉 が 出て 来た 。

「 何 だい ? 夕 里子 は 、 紀子 あて に かかって 来た 電話 の こと 、 そして 、 昨夜 、 誰 か が 自分 を 追い抜いて 走って 行った こと を 話した 。

「 私 が 電話 の こと を 黙って いた せい で 、 こんな こと に なった ような 気 が して ……。 片瀬 さん 、 すみません 」

と 夕 里子 は 頭 を 下げた 。

「 いや 、 あんた の せい じゃ ない よ 。 私 に 紀子 へ の 思いやり が 足りなかった んだ 」

敦子 は 、 涙ぐみ ながら 、

「 可哀そうな ママ ……」

と 呟いた 。

「 その 、 君 を 追い抜いて 行った の が 奥さん だ と したら 、 何 を そんなに 急いで いた んだろう ? と 国友 が 言った 。

誰 も 答え られ ない 。 夕 里子 は 言った 。

「 でも 、 本当に 凄い 勢い だった わ 。 よほど 一刻 を 争う こと が あった んだ わ 、 きっと 」

「 一刻 を 争う 、 か ……。 すると 犯人 は それ を 予期 して いて 、 あそこ で 待ち 伏せて いた の かも しれ ない な 」

国友 は ちょっと 考えて から 、「 そうだ 。 何 か 盗ま れて いる 物 は ? 「 バッグ が ない わ 。 ママ が 持って 出た んだ けど 」

「 バッグ ね 。 どんな バッグ か 教えて くれ 」

と 担当 の 刑事 が 手帳 を かまえる 。

敦子 が バッグ の 特徴 など を 説明 して いる 間 に 、 夕 里子 は 国友 と 一緒に 居間 を 出た 。

「 不幸 が 続いた ね 」

と 国友 が 言った 。

「 偶然 かしら 」

「 と いう と ? 「 こんなに 身近な 所 で 人殺し なんて ……。 二 度 も 起る なんて おかしい わ 」

「 同じ 犯人 ? しかし 、 偶然 って こと は ある もん だ から ね 」

「 それ は 分 る んだ けど ……」

「 犯人 は たぶん その 電話 の 男 だろう 。 物 盗 り と は 思え ない 。 あんな 家 の 玄関 の 前 で 襲う なんて ね 。 計画 的な 犯行 と しか 考え られ ない よ 。 ── その 奥さん は 、 相手 の 男 が 誰 な の か 、 気付いて いた の かも しれ ない な 。 だから 男 が 口 を 塞いだ ……」

「 でも 、 それ なら なぜ 訊 かれた とき に 、 そう 言わ なかった の かしら ? 「 うん ……。 その とき は まだ 分 ら なかった の か 、 それとも 確信 が なかった か 」

夕 里子 は ゆっくり 肯 いた 。

「 でも …… どこ か で パパ の 事件 と つながる ような 気 が する の 。 そんな 感じ が ……」

二 人 が 玄関 から 表 に 出る と 、 捜査 員 たち が 、 犯人 が 残した 手がかり を 求めて 、 地面 に かがみ 込んだり 、 這い 回ったり して いた 。

「 おい ! と 声 が して 、 サンダル ば き で やって 来た の は 、 安東 だった 。 綾子 も 後 から ついて 来る 。

「 あ 、 先生 」

「 どうした ? 片瀬 さん の 奥さん が どうかした の か 」

「 殺さ れた んです 」

「 何て こと だ 。 ── 世 も 末 だ な 」

と 安東 は 首 を 振った 。 「 牛乳 屋 の 奴 が 話して くれて な 。 びっくり して 飛んで 来た んだ 」

「 怖い わ ……」

綾子 が 青く なって 、 安東 の 腕 に しがみついた 。 夕 里子 は 、 ちょっと 妙な 気 が した 。 ただ 無意識に しがみついた 、 と いう の と は 違う ような 気 が した から である 。

「 そうだ 。 珠美 君 は 大丈夫 か な 」

と 安東 が 言った 。

「 私 が 病院 へ 行き ます 」

と 、 夕 里子 は 言った 。 「 今日 は 学校 の 方 は お 休み に して 下さい 」

「 分 った 。 しかし 、 無 茶 な 奴 だ な 」

「 私 、 行って も いい けど ──」

と 、 綾子 が 言い出した 。

「 だめ よ 、 お 姉さん は 会社 が ある じゃ ない の ! と 、 夕 里子 は 姉 を にらみつけた 。

「── そう だ 、 忘れる ところ だった 」

と 、 国友 が 言った 。


三 姉妹 探偵 団 01 chapter 06 (1) みっ|しまい|たんてい|だん|

6  第 二 の 犠牲 だい|ふた||ぎせい 6 Second Sacrifice

夕 里子 は 、 ゆっくり と 、 夜 の 道 を 歩いて いた 。 ゆう|さとご||||よ||どう||あるいて| Yuuriko was slowly walking on the night road.

珠美 を 一応 病院 へ 連れて 行き 、 検査 した 方 が いい と いう ので 、 今 日一日 だけ 、 入院 さ せる こと に した のである 。 たまみ||いちおう|びょういん||つれて|いき|けんさ||かた||||||いま|ひいちにち||にゅういん|||||| Because it is better to take Shumi to the hospital and examine it for a while, I decided to stay in the hospital only for one day today.

あれ や これ や で 、 こんな 時間 に なって しまった 。 ||||||じかん||| That's it, this time has come.

しかし 、 珠美 に は 参った 。 |たまみ|||まいった However, I went to Tamami. 検査 と 聞く と 、 その 度 に 、 けんさ||きく|||たび| Every time when I check and listen,

「 それ 、 いくら かかる んです か ? "How much does it cost? と 訊 く のだ |じん||

夕 里子 は 顔 から 火 が 出る ような 思い であった 。 ゆう|さとご||かお||ひ||でる||おもい| Yuuriko thought that a fire would come out of her face.

それにしても ── と 夕 里子 は 、 駅 から の 道 を 、 ゆっくり と 歩き ながら 、 考えた 。 ||ゆう|さとご||えき|||どう||||あるき||かんがえた Even so-Yuuriko thought about the way from the station while walking slowly. そもそも が 無理だった ので は ない か 。 ||むりだった|||| Isn't it impossible in the first place?

言い出した の が 、 自分 だった だけ に 、 夕 里子 は 責任 を 感じる のだ 。 いいだした|||じぶん||||ゆう|さとご||せきにん||かんじる| Yuuriko feels responsible only because he was the one who said. 子供 たち 三 人 で 、 犯人 を 探し出す など と 、 無 茶 を 言い出して 、 万一 、 誰 か が 犠牲 に でも なったら 、 どう なる だろう ? こども||みっ|じん||はんにん||さがしだす|||む|ちゃ||いいだして|まんいち|だれ|||ぎせい|||||| If three children say that they are looking for the culprit, and if they are at the expense of someone else, what will happen?

もちろん 、 珠美 が 襲わ れた の は 、 父 の 事件 と は 関係 ある まい 。 |たまみ||おそわ||||ちち||じけん|||かんけい|| Of course, it wasn't related to my father's case that Sumi was attacked. しかし 、 あれ でも し 、 珠美 が 犯人 に 襲わ れ でも したら 、 どう なって いた か 。 ||||たまみ||はんにん||おそわ||||||| But, if that were the case, and if Shumi was attacked by the criminal, what would it be like? もし 珠美 が 殺さ れる ような こと が あったら 、 たとえ 、 犯人 が 捕まって も 、 何の 意味 が ある だろう か 。 |たまみ||ころさ|||||||はんにん||つかまって||なんの|いみ|||| If there was something that would kill Shumei, what would that mean even if the perpetrator was caught?

夕 里子 は 、 考え 直さ なくて は いけない 、 と 思った 。 ゆう|さとご||かんがえ|なおさ|||||おもった Yuriko thought that she had to rethink her mind. もし やる と して も ── 捜査 を 続ける と して も 、 あまり 危険 を 伴う もの に 、 姉 や 妹 を 巻き込んで は いけない 。 |||||そうさ||つづける|||||きけん||ともなう|||あね||いもうと||まきこんで|| If you do it-even if you continue the investigation, don't involve your sister or sister in something too dangerous. 私 が やれば いい 。 わたくし||| I should do it. いや 、 こう 考える こと 自体 が 、 驕 り な の かも しれ ない が 。 ||かんがえる||じたい||きょう||||||| No, thinking about this may itself be miserable.

これ は 殺人 の 捜査 な のだ 。 ||さつじん||そうさ|| This is a murder investigation. 遊び で は ない 。 あそび||| It is not a play.

頭 で は 分 って いて も 、 今 まで 、 それ を 実感 した こと が なかった 。 あたま|||ぶん||||いま||||じっかん|||| Even though I knew it with my head, I had never realized it before.

珠美 の 負傷 で 、 夕 里子 は 目 を 覚まさ れた ような 思い であった 。 たまみ||ふしょう||ゆう|さとご||め||さまさ|||おもい| It was thought that Yuuriko was awake because of the injury at Shumi.

道 が 暗く なって 、 少し 夕 里子 は 足 を 早めた 。 どう||くらく||すこし|ゆう|さとご||あし||はやめた As the road became dark, Yuuriko got a little faster. その とき 、 誰 か の 足音 が 後ろ から 近付いて 来た と 思う と 、 振り向く 間もなく 、 追い抜いて 行って しまった 。 ||だれ|||あしおと||うしろ||ちかづいて|きた||おもう||ふりむく|まもなく|おいぬいて|おこなって| At that time, when I thought that someone's footsteps came from behind, I turned around and soon overtook it.

「 あれ ……」 " that ……"

と 、 夕 里子 は 呟いた 。 |ゆう|さとご||つぶやいた

もし かして 、 今 の は …… 敦子 の 母親 、 紀子 じゃ なかった だろう か ? ||いま|||あつこ||ははおや|としこ|||| By the way, now ... was Reiko 's mother, Noriko? 暗かった し 、 よく は 分 ら なかった が 。 くらかった||||ぶん||| It was dark and I didn't know well.

でも 、 あんなに 走って 行く なんて は ず が ない 。 ||はしって|いく||||| But there is no excuse not to run that much. 女 の 人 で は あった ようだ が 、 後ろ姿 が 、 ちょっと 似て 見えた だけ な のだろう ……。 おんな||じん||||||うしろすがた|||にて|みえた||| She seemed to have been a woman, but her back figure just looked a bit similar ....

道 が 、 少し 明るく なる 。 どう||すこし|あかるく| The road gets a little brighter. そこ へ 出た とき に は 、 追い抜いて 行った 人影 は 、 もう とっくに 見え なく なって いた 。 ||でた||||おいぬいて|おこなった|ひとかげ||||みえ||| When I went out there, the person who had overtaken was already invisible for a long time.

紀子 は 、 必死で 走って いた 。 としこ||ひっしで|はしって| Noriko was running desperately. 駅前 の 電話 ボックス でかけた のだ が 、 家 まで は 、 やはり 距離 も ある 。 えきまえ||でんわ|ぼっくす||||いえ||||きょり|| I called at the station's front phone box, but there is also a distance to the house. 間に合う だろう か ? まにあう|| Is it in time?

ほとんど 普段 走る と いう こと の ない 紀子 だ が 、 今 は 必死だった 。 |ふだん|はしる||||||としこ|||いま||ひっしだった It is Noriko who almost never runs, but now she was desperate. 心臓 が 破裂 する か と 思った が 、 構わ ず に 走り 続けた 。 しんぞう||はれつ||||おもった||かまわ|||はしり|つづけた I thought that my heart would burst, but I continued to run without hesitation.

夫 と 敦子 が 殺人 者 の 手 に かかって 、 血まみれで 倒れて いる 光景 が 、 脳裏 を かすめる 。 おっと||あつこ||さつじん|もの||て|||ちまみれで|たおれて||こうけい||のうり|| The sight of her husband and Miko falling on the murderer's hand and falling in a bloody coat makes her mind faint.

大丈夫だ 。 だいじょうぶだ

きっと 大丈夫だ 。 |だいじょうぶだ 夫 だって 、 そう 簡単に やられ は し ない だろう し 、 夕 里子 だって いる のだ 。 おっと|||かんたんに|||||||ゆう|さとご||| Even my husband will not be able to get away with it so easily, and she is Yuuri Yuko.

あの 男 は あんな こと を 言った が 、 あれ は 、 ハッタリ だ 。 |おとこ|||||いった||||| That man said something like that, but that is addicting. 三 人 も の 人間 を 一 人 で 、 一度に 殺せる もの で は ない 。 みっ|じん|||にんげん||ひと|じん||いちどに|ころせる|||| It is not something that can kill three people alone at one time.

大丈夫だ 。 だいじょうぶだ

大丈夫だ 。 だいじょうぶだ

くり返し そう 言い聞かせる 度 に 、 しかし 、 万が一 、 と いう 思い も 強まって 来た 。 くりかえし||いいきかせる|たび|||まんがいち|||おもい||つよまって|きた Every time I say it repeatedly, however, the thought that it should happen has also strengthened.

もう すぐだ ! It is soon! もう すぐ 家 が 見える 。 ||いえ||みえる I can see my house soon. 火 は つけ られて い ない 。 ひ||||| There is no fire. 燃え上って いれば 、 炎 が 見える はずである 。 もえあがって||えん||みえる| If you are burning up, you should be able to see the flame.

紀子 は 少し ホッ と して 、 足取り を 緩めた 。 としこ||すこし|ほっ|||あしどり||ゆるめた Noriko felt a little relieved and relaxed his gait. 家 が 見えた ! いえ||みえた I saw a house! ── 明り が 点いて いる の が 、 理由 も なく 、 紀子 を 安心 さ せた 。 あかり||ついて||||りゆう|||としこ||あんしん|| 明 The light was on, but for no reason, I relieved Noriko.

同時に 、 急に 、 溢れ出て 来る 涙 で 、 視界 が 曇った 。 どうじに|きゅうに|あふれでて|くる|なみだ||しかい||くもった At the same time, suddenly, with the tears coming over, the view became cloudy. 私 の いる 所 は 、 あそこ しか ない 、 と 思った 。 わたくし|||しょ||||||おもった 夫 と 娘 の いる 、 あの 家 だけ だ 。 おっと||むすめ||||いえ|| It is only that house with her husband and daughter.

家 へ 帰って 、 警察 へ 電話 を かければ 、 総 て は 終る 。 いえ||かえって|けいさつ||でんわ|||そう|||おわる If you go home and call the police, everything is over. いや 、 自分 の 罪 が 消え ない こと は 百 も 承知 だ が 、 夫 に は どんな こと を して も 許して もらわ なくて は なら ない 。 |じぶん||ざい||きえ||||ひゃく||しょうち|||おっと||||||||ゆるして||||| Well, I know one hundred that my sins won't disappear, but I have to forgive my husband for whatever he does. 私 の 家 は 、 あそこ に しか ない のだ もの ……。 わたくし||いえ||||||| My house is only there over there ....

「 もう 歩け ない ……」 |あるけ| "I can't walk anymore ..."

紀子 は 、 一旦 足 を 緩める と 、 もう どんどん スピード は 落ちる 一方 で 、 喘ぎ喘ぎ 、 やっと 家 の そば まで 辿り着いた 。 としこ||いったん|あし||ゆるめる||||すぴーど||おちる|いっぽう||あえぎあえぎ||いえ||||たどりついた Once Noriko loosens his feet, while his speed slows down, she pants and finally reaches the side of her house.

「 敦子 …… あなた ……」 あつこ|

表 から 呼ぼう と する のだ が 、 何しろ 激しい 動 悸 と 息切れ で 、 声 に なら ない のだ 。 ひょう||よぼう|||||なにしろ|はげしい|どう|き||いきぎれ||こえ|||| I try to call it from the front, but I can not turn into a voice because of intense movement and breathlessness.

玄関 へ 向 って 、 足 を 運んで 行く 。 げんかん||むかい||あし||はこんで|いく Head to the front door and take a walk.

突然 、 暗がり から 、 腕 が のびて 、 紀子 の 首 へ 巻きつく と 、 そのまま 地面 へ 押し倒す 。 とつぜん|くらがり||うで|||としこ||くび||まきつく|||じめん||おしたおす Suddenly, from the dark, with arms stretched and wrapped around Noriko's neck, he pushed it down to the ground.

紀子 は 、 叫ぼう と した 。 としこ||さけぼう|| Noriko tried to shout. しかし 、 もう 、 絞め つける 腕 と 手 は 、 その 声 の 通る 隙間 を 残して い なかった 。 ||しめ||うで||て|||こえ||とおる|すきま||のこして|| However, the strangling arms and hands no longer left a gap for the voice to pass through. 紀子 の 手 が 、 地面 を かきむしった 。 としこ||て||じめん|| Noriko's hand scratched the ground. 足 が 地 を けって 、 靴 が 飛んだ 。 あし||ち|||くつ||とんだ My feet hit the ground and my shoes flew.

やがて 、 紀子 は 動か なく なった 。 |としこ||うごか|| Soon, Noriko stopped moving.

男 は 激しい 息 を ついて 、 ゆっくり と 起き上り かけた が 、 おとこ||はげしい|いき|||||おきあがり|| The man took a strong breath and slowly got up and started

「 誰 か いる の ? だれ||| "Is there anyone? と 敦子 の 声 が して 、 ハッと 身 を 伏せた 。 |あつこ||こえ|||はっと|み||ふせた And the voice of Ms. Yuko turned her down.

玄関 の ドア が 細く 開いた 。 げんかん||どあ||ほそく|あいた The front door thinly opened. チェーン を かけた まま 開けて いる のだ 。 ちぇーん||||あけて|| It's open with the chain on.

「 夕 里子 ? ゆう|さとご ── 違う の ? ちがう| ── ママ な の ? まま|| 返事 して 」 へんじ|

敦子 は しばらく 待って 、 ドア を 閉めた 。 あつこ|||まって|どあ||しめた Reiko waited for a while and closed the door.

「 誰 も い ない よ 」 だれ|||| "There is no one"

と 、 中 から 、 声 が 洩 れて 来た 。 |なか||こえ||えい||きた A voice was leaked from inside.

男 は そろそろ と 起き上る と 、 紀子 の 服 を 探り 始めた 。 おとこ||||おきあがる||としこ||ふく||さぐり|はじめた As soon as he got up, he began to search for Noriko's clothes. そして 、 手 に 通して いた バッグ を つかむ と 、 それ を 手 に 、 しばらく あたり の 様子 を うかがって から 、 静かに その 場 を 離れて 行った 。 |て||とおして||ばっぐ||||||て|||||ようす||||しずかに||じょう||はなれて|おこなった Then I grabbed the bag that I had in my hand, looked at it for a while, looked around for a while, and then left the place quietly.

夕 里子 は 、 安東 の 家 の 方 へ 先 に 寄ろう か と 思った 。 ゆう|さとご||あんどう||いえ||かた||さき||よろう|||おもった Yuuriko wondered if he would like to stop at the Andong house first.

一応 の こと は 、 綾子 に も 言って ある のだ が 、 なにしろ 心配 性 である 。 いちおう||||あやこ|||いって|||||しんぱい|せい| First of all, although it is said to Reiko, it is anxious about anything. 心配 ない のだ と 言って おく 方 が いい かも しれ ない 。 しんぱい||||いって||かた||||| It may be better to say that you don't worry.

しかし 、 こんな 時間 に 立ち寄る と いう の も 、 ちょっと ためらわ れた 。 ||じかん||たちよる||||||| However, it was a little hesitation to stop at such a time. むしろ 、 明日 の 朝 に でも 行けば いい かも しれ ない 。 |あした||あさ|||いけば|||| Rather, it may be better to go tomorrow morning.

そう 思い 直して 、 片瀬 家 の 方 へ と 足 を 向ける 。 |おもい|なおして|かたせ|いえ||かた|||あし||むける That's why I turned my feet toward the Katase family. どっち も 大した 距離 で は ない 。 ||たいした|きょり||| Neither is a great distance.

ふっと 、 足音 が 聞こえた ような 気 が して 、 夕 里子 は 振り向いた 。 |あしおと||きこえた||き|||ゆう|さとご||ふりむいた I felt like I heard footsteps, Yuuriko turned around. ── 誰 か が 、 背後 を 駆け抜けて 行った ような 気 が した のだ 。 だれ|||はいご||かけぬけて|おこなった||き||| -I felt like someone ran past behind me.

しばらく 立ち止まって いた が 、 もう 、 それ きり 何の 物音 も し ない 。 |たちどまって||||||なんの|ものおと||| I stopped for a while, but I will not make any noise anymore. 気のせい だった の か 。 きのせい||| 夕 里子 は 肩 を すくめて 歩いて 行った 。 ゆう|さとご||かた|||あるいて|おこなった Yuuriko shrugged and walked.

片瀬 家 に は 、 まだ 明り が 点いて いる 。 かたせ|いえ||||あかり||ついて| The Katase family is still bright. 母親 の 帰り を 待って いる のだろう か ? ははおや||かえり||まって||| Are you waiting for your mother 's return?

夕 里子 は 、 片瀬 に 、 あの 電話 の こと を 、 打ち明けた もの か どう か 、 と 悩んで いた 。 ゆう|さとご||かたせ|||でんわ||||うちあけた||||||なやんで| Yuuriko was asking Katase if she had confessed to the phone. しかし 、 どっち に して も 結果 は 変り ない 。 |||||けっか||かわり| However, the result does not change either way. それ ならば 、 なまじ 敦子 に 悩み の 種 を 与える ばかり かも しれ ない ……。 |||あつこ||なやみ||しゅ||あたえる|||| If that is the case, it may be just giving the seed of trouble to the raw eggplant ......

玄関 の 少し 手前 で 、 夕 里子 は 何 か を けっ とばして 、 足 を 止めた 。 げんかん||すこし|てまえ||ゆう|さとご||なん|||||あし||とどめた Just before the entrance, Yuuriko broke something and stopped her leg. 転がって 行った の は 、 靴 の 片方 だった 。 ころがって|おこなった|||くつ||かたほう| It was one side of the shoes that went down. ── 女 物 の 靴 だ 。 おんな|ぶつ||くつ| 靴 Women's shoes.

どうして こんな 所 に ある のだろう ? ||しょ||| Why is it in such a place?

夕 里子 は 二 、 三 歩 戻って 、 それ に 気付いた 。 ゆう|さとご||ふた|みっ|ふ|もどって|||きづいた Yuuriko went back a couple of steps and noticed it. 足 が 、 暗がり の 奥 から 、 出て いる 。 あし||くらがり||おく||でて| My feet are coming out of the depths of darkness. ── 夕 里子 は 、 顔 から 血の気 が ひく の が 分 った 。 ゆう|さとご||かお||ちのけ|||||ぶん| -Yuuriko found that her face felt bloody.

そっと 、 近付いて 、 覗き込んで みる 。 |ちかづいて|のぞきこんで| Gently, approach and look into it. 暗がり に 目 が 慣れて 来る と 、 やがて 、 片瀬 紀子 の 顔 が 、 ぼんやり と 見えて 来た ……。 くらがり||め||なれて|くる|||かたせ|としこ||かお||||みえて|きた As the eyes got used to the darkness, eventually, Noriko Katase's face looked dimly ....

夕 里子 は 、 短い 悲鳴 を 上げる と 、 玄関 へ 向 って 走った 。 ゆう|さとご||みじかい|ひめい||あげる||げんかん||むかい||はしった Yuuriko ran to the front when she screamed a short scream.

「 開けて ! あけて 敦子 ! あつこ 開けて ! あけて 思い切り ドア を 叩く 。 おもいきり|どあ||たたく I knock on the door.

「── どうした の ? 敦子 が 目 を 丸く して 立って いた 。 あつこ||め||まるく||たって| Reiko stood with her eyes round.

「 お 父さん を 呼んで 」 |とうさん||よんで

「 え ? 何 な の ? なん|| 「 いい から 、 お 父さん を ──」 |||とうさん| "Because it is good, 父 Father"

夕 里子 は めまい が して 、 よろけ そうに なった 。 ゆう|さとご||||||そう に| Yuuriko was dizzy and seemed to get lost. 「 早く ! はやく 声 を 聞きつけて 、 片瀬 が やって 来た 。 こえ||ききつけて|かたせ|||きた After hearing the voice, Katase came.

「 どう した んだ ね 」

「 来て 下さい 」 きて|ください

「 どこ へ ? 「 表 です 。 ひょう| すぐ そこ です 」 It is right there "

「 何 だって いう ん だい 、 一体 ? なん|||||いったい "What the hell is that? 「 いい から 、 来て 下さい ! ||きて|ください と 、 夕 里子 は 叫んだ 。 |ゆう|さとご||さけんだ

片瀬 が サンダル を 引っかけて 、 降りて 来る 。 かたせ||さんだる||ひっかけて|おりて|くる Katase grabs the sandals and comes down.

「 そこ に ……」 " there ……"

ドア を 大きく 開く と 、 光 が 家 の 前 を 照らし出す 。 どあ||おおきく|あく||ひかり||いえ||ぜん||てらしだす When the door is opened wide, the light illuminates the front of the house. 表 に 出た 片瀬 は 、 夕 里子 の 指さす 方 へ 目 を 向けた 。 ひょう||でた|かたせ||ゆう|さとご||ゆびさす|かた||め||むけた Katase, who appeared in the table, turned to look at Yuuriko's direction.

「 紀子 ! としこ 父親 の 声 に 、 敦子 は 裸足 で 飛び出して 来た 。 ちちおや||こえ||あつこ||はだし||とびだして|きた Reiko jumped out barefoot in the father's voice.

「 ママ ! まま ── どうした の ? ど う What happened? ママ が どうした の ? まま||| What happened to your mom? 夕 里子 は 、 その 場 に 、 力 を 失って 座り込んで しまった 。 ゆう|さとご|||じょう||ちから||うしなって|すわりこんで| Yuriko lost her strength and sat down there.

「── なるほど 」

その 刑事 は 、 あまり 熱心 そうで は なかった 。 |けいじ|||ねっしん|そう で|| The detective didn't seem so keen. 眠って いる の を 叩き起こさ れた の か 、 しきりに 欠 伸 が 出 そうに なる の を 、 かみ殺して いた 。 ねむって||||たたきおこさ|||||けつ|しん||だ|そう に||||かみころして| I was staring at whether I was awakened that I was asleep, or that I was almost in a state of failure.

夕 里子 は 腹 が 立った が 、 片瀬 も 敦子 も 、 今 は 腹 を 立てる ほど の 余裕 も ない ようだ 。 ゆう|さとご||はら||たった||かたせ||あつこ||いま||はら||たてる|||よゆう||| Yuriko was upset, but neither Katase nor Ayako seems to have enough time to get upset now.

居間 の 中 は 、 かなり 冷えて いた 。 いま||なか|||ひえて| The living room was quite cold. もう 明け方 に なる 。 |あけがた|| It will be early morning.

「 する と 、 奥さん が なぜ 戻って 来た か 、 お 分 り に なら ない んです ね 」 ||おくさん|||もどって|きた|||ぶん|||||| "If you do, you will not know why your wife came back."

と 、 刑事 は 訊 いた 。 |けいじ||じん|

「 はい 。 分 り ませ ん 」 ぶん|||

「 ここ は ママ の 家 よ 。 ||まま||いえ| 帰って 来る の が 当り前じゃ ない の 」 かえって|くる|||あたりまえじゃ|| It 's not obvious that you will come back home "

敦子 が 声 を 震わせて 言った 。 あつこ||こえ||ふるわせて|いった Reiko shook her voice and said, 「 パパ が 追い出した の よ ! ぱぱ||おいだした|| "Daddy 's driven out! ママ を 殺した んだ わ ! まま||ころした|| I killed my mom! 「 敦子 ……」 あつこ

夕 里子 が 敦子 の 肩 を 抱いた 。 ゆう|さとご||あつこ||かた||いだいた 敦子 が 、 夕 里子 の 肩 へ 顔 を 埋めて 、 声 を 殺して 泣いた 。 あつこ||ゆう|さとご||かた||かお||うずめて|こえ||ころして|ないた Yuko burys her face on Yuuriko's shoulder and kills her voice crying.

「 何と 言わ れて も 仕方 あり ませ ん 」 なんと|いわ|||しかた||| "It doesn't matter what you say."

と 、 片瀬 は 力なく 言った 。 |かたせ||ちからなく|いった Said Katase without force.

居間 の ドア が 開いて 、 国友 刑事 が 入って 来た 。 いま||どあ||あいて|くにとも|けいじ||はいって|きた The door of the living room opened, and a detective came in.

「 国友 さん 」 くにとも|

夕 里子 が 声 を 出す と 、 国友 は ちょっと 肯 いて 見せた 。 ゆう|さとご||こえ||だす||くにとも|||こう||みせた When Yuuriko uttered, Kutumi shook her a bit.

「 大変な こと に なった ね 」 たいへんな|||| "It was a big deal, right?"

「 ええ 。 ── あの ── 実は 私 、 申し上げ なきゃ いけない こと が ある んです 」 |じつは|わたくし|もうしあげ|||||| あ 実 こ と Actually there is something I have to say.

国友 の 顔 を 見て 、 やっと 言葉 が 出て 来た 。 くにとも||かお||みて||ことば||でて|きた After seeing the face of a national friend, the words finally came out.

「 何 だい ? なん| 夕 里子 は 、 紀子 あて に かかって 来た 電話 の こと 、 そして 、 昨夜 、 誰 か が 自分 を 追い抜いて 走って 行った こと を 話した 。 ゆう|さとご||としこ||||きた|でんわ||||さくや|だれ|||じぶん||おいぬいて|はしって|おこなった|||はなした Yuuriko talked about the phone that was sent to Noriko and that last night somebody had overtaken and ran.

「 私 が 電話 の こと を 黙って いた せい で 、 こんな こと に なった ような 気 が して ……。 わたくし||でんわ||||だまって|||||||||き|| "I felt like I was doing something like this because I was silent on the phone .... 片瀬 さん 、 すみません 」 かたせ||

と 夕 里子 は 頭 を 下げた 。 |ゆう|さとご||あたま||さげた

「 いや 、 あんた の せい じゃ ない よ 。 私 に 紀子 へ の 思いやり が 足りなかった んだ 」 わたくし||としこ|||おもいやり||たりなかった| I didn't have enough consideration for Noriko. "

敦子 は 、 涙ぐみ ながら 、 あつこ||なみだぐみ| Yuko, with tears,

「 可哀そうな ママ ……」 かわいそうな|まま

と 呟いた 。 |つぶやいた

「 その 、 君 を 追い抜いて 行った の が 奥さん だ と したら 、 何 を そんなに 急いで いた んだろう ? |きみ||おいぬいて|おこなった|||おくさん||||なん|||いそいで|| と 国友 が 言った 。 |くにとも||いった

誰 も 答え られ ない 。 だれ||こたえ|| No one can answer it. 夕 里子 は 言った 。 ゆう|さとご||いった

「 でも 、 本当に 凄い 勢い だった わ 。 |ほんとうに|すごい|いきおい|| "But it was really amazing. よほど 一刻 を 争う こと が あった んだ わ 、 きっと 」 |いっこく||あらそう|||||| I have been fighting for a very long time, I'm sure "

「 一刻 を 争う 、 か ……。 いっこく||あらそう| すると 犯人 は それ を 予期 して いて 、 あそこ で 待ち 伏せて いた の かも しれ ない な 」 |はんにん||||よき|||||まち|ふせて|||||| Then the criminal was expecting it and might have been ambush there.

国友 は ちょっと 考えて から 、「 そうだ 。 くにとも|||かんがえて||そう だ Gutomo thought a bit, "Yes. 何 か 盗ま れて いる 物 は ? なん||ぬすま|||ぶつ| What is the thing being stolen? 「 バッグ が ない わ 。 ばっぐ||| ママ が 持って 出た んだ けど 」 まま||もって|でた|| My mom took it out, "

「 バッグ ね 。 ばっぐ| どんな バッグ か 教えて くれ 」 |ばっぐ||おしえて| Please tell me what kind of bag "

と 担当 の 刑事 が 手帳 を かまえる 。 |たんとう||けいじ||てちょう|| And the detective in charge hold a notebook.

敦子 が バッグ の 特徴 など を 説明 して いる 間 に 、 夕 里子 は 国友 と 一緒に 居間 を 出た 。 あつこ||ばっぐ||とくちょう|||せつめい|||あいだ||ゆう|さとご||くにとも||いっしょに|いま||でた While Yuko was describing the characteristics of the bag, Yuuriko left the living room with Kunitomo.

「 不幸 が 続いた ね 」 ふこう||つづいた| "Unhappy continued,"

と 国友 が 言った 。 |くにとも||いった

「 偶然 かしら 」 ぐうぜん| "I wonder if it happened by accident"

「 と いう と ? 「 こんなに 身近な 所 で 人殺し なんて ……。 |みぢかな|しょ||ひとごろし| "What a murderer in such a familiar place .... 二 度 も 起る なんて おかしい わ 」 ふた|たび||おこる||| It is strange that it will happen twice.

「 同じ 犯人 ? おなじ|はんにん しかし 、 偶然 って こと は ある もん だ から ね 」 |ぐうぜん|||||||| However, there is nothing wrong with chance. "

「 それ は 分 る んだ けど ……」 ||ぶん|||

「 犯人 は たぶん その 電話 の 男 だろう 。 はんにん||||でんわ||おとこ| "The criminal is probably the man on the phone. 物 盗 り と は 思え ない 。 ぶつ|ぬす||||おもえ| I do not think that it is a thing theft. あんな 家 の 玄関 の 前 で 襲う なんて ね 。 |いえ||げんかん||ぜん||おそう|| You attack in front of the front door of such a house. 計画 的な 犯行 と しか 考え られ ない よ 。 けいかく|てきな|はんこう|||かんがえ||| I can only think of it as a planned crime. ── その 奥さん は 、 相手 の 男 が 誰 な の か 、 気付いて いた の かも しれ ない な 。 |おくさん||あいて||おとこ||だれ||||きづいて|||||| -The wife may have noticed who the other man is. だから 男 が 口 を 塞いだ ……」 |おとこ||くち||ふさいだ That's why a man blocked his mouth ...... "

「 でも 、 それ なら なぜ 訊 かれた とき に 、 そう 言わ なかった の かしら ? ||||じん|||||いわ||| "But then why did you not say that when you were scolded? 「 うん ……。 その とき は まだ 分 ら なかった の か 、 それとも 確信 が なかった か 」 ||||ぶん||||||かくしん||| "Did you not know at that time or were you not convinced?"

夕 里子 は ゆっくり 肯 いた 。 ゆう|さとご|||こう|

「 でも …… どこ か で パパ の 事件 と つながる ような 気 が する の 。 ||||ぱぱ||じけん||||き||| "But ... I feel like I'm going to connect with Papa's case somewhere. そんな 感じ が ……」 |かんじ|

二 人 が 玄関 から 表 に 出る と 、 捜査 員 たち が 、 犯人 が 残した 手がかり を 求めて 、 地面 に かがみ 込んだり 、 這い 回ったり して いた 。 ふた|じん||げんかん||ひょう||でる||そうさ|いん|||はんにん||のこした|てがかり||もとめて|じめん|||こんだり|はい|まわったり|| When the two came to the front from the front door, the investigators scooped and crawled on the ground in search of clues left by the perpetrators.

「 おい ! と 声 が して 、 サンダル ば き で やって 来た の は 、 安東 だった 。 |こえ|||さんだる|||||きた|||あんどう| And it was Andong that came in with the sandals. 綾子 も 後 から ついて 来る 。 あやこ||あと|||くる Ayako will come later.

「 あ 、 先生 」 |せんせい

「 どうした ? 片瀬 さん の 奥さん が どうかした の か 」 かたせ|||おくさん||||

「 殺さ れた んです 」 ころさ||

「 何て こと だ 。 なんて|| " Oh my God . ── 世 も 末 だ な 」 よ||すえ|| -The world is too late "

と 安東 は 首 を 振った 。 |あんどう||くび||ふった 「 牛乳 屋 の 奴 が 話して くれて な 。 ぎゅうにゅう|や||やつ||はなして|| "A milk shop guy talks to me. びっくり して 飛んで 来た んだ 」 ||とんで|きた| I was surprised and flew away "

「 怖い わ ……」 こわい|

綾子 が 青く なって 、 安東 の 腕 に しがみついた 。 あやこ||あおく||あんどう||うで|| 夕 里子 は 、 ちょっと 妙な 気 が した 。 ゆう|さとご|||みょうな|き|| Yuuriko felt a little strange. ただ 無意識に しがみついた 、 と いう の と は 違う ような 気 が した から である 。 |むいしきに|||||||ちがう||き|||| It was because I felt that it was different from saying that I was clinged unconsciously.

「 そうだ 。 そう だ 珠美 君 は 大丈夫 か な 」 たまみ|きみ||だいじょうぶ|| I wonder if you are OK.

と 安東 が 言った 。 |あんどう||いった

「 私 が 病院 へ 行き ます 」 わたくし||びょういん||いき|

と 、 夕 里子 は 言った 。 |ゆう|さとご||いった 「 今日 は 学校 の 方 は お 休み に して 下さい 」 きょう||がっこう||かた|||やすみ|||ください "Please take a rest from school today"

「 分 った 。 ぶん| しかし 、 無 茶 な 奴 だ な 」 |む|ちゃ||やつ|| But you're a stupid guy "

「 私 、 行って も いい けど ──」 わたくし|おこなって||| "I can go there, but ──"

と 、 綾子 が 言い出した 。 |あやこ||いいだした And, Reiko came out.

「 だめ よ 、 お 姉さん は 会社 が ある じゃ ない の ! |||ねえさん||かいしゃ||||| と 、 夕 里子 は 姉 を にらみつけた 。 |ゆう|さとご||あね||

「── そう だ 、 忘れる ところ だった 」 ||わすれる|| "Yes, I was about to forget"

と 、 国友 が 言った 。 |くにとも||いった