Ginga Eiyuu Densetsu (LegendoftheGalacticHeroes) Episode 67
同盟 市民 に 告ぐ
卿 ら の 政府 が 卿 ら の 支持 に 値する もの か どう か
再考 すべき 時 が 来た
宇宙 暦 799 年 新 帝国 暦 1年1 1月10日
シュワルツ ・ ラン ツェン レイター の 出撃 と 前後 し て
カイザー ・ ラインハルト の 演説 が 全 宇宙 に 向け て 発せられ た
その 内容 は 同盟 市民 を 驚愕 させる に 十分 で あった
帝国 高等 弁 務 官 ヘルム ー ト ・ レンネンカンプ 上級 大将 の 自殺
同盟 軍 退役 元帥 ヤン ・ ウェン リー の 首都 脱出
それら の 結果 を 生じ せしめる 原因 と なった
弁務官府 から の 干渉 と 同盟 政府 の 策謀
人々 が 欲し て 得 られ なかった 情報 の 全て が
この 時 与え られ た の で ある
余 は 自ら の 不明 と 帝国 政府 の 不 見識 を 認める
これ ら は 非難 に 値する もの で あり
有為 の 人材 を 失い 世 の 平穏 を 破った こと に
断腸 の 念 を 禁じ え ない だが 同時に
余 は 同盟 政府 の 無能 と 不実 を 看過 する こと は できぬ
故 レンネンカンプ 高等 弁務官 が
ヤン 元帥 の 逮捕 を 要求 し た こと は 不当 で あった
ならば こそ 同盟 政府 は その 不当 なる こと を 余 に 訴え
同盟 に とって 最大 の 功労者 たる ヤン 元帥 の 正当 な 権利 を
擁護 す べき で あった のに 強者 に こび て
自ら の 法 を すら 犯し た の だ
しかも その 策 動 が 失敗 する と
報復 を 免れる ため に 高等 弁務官 の 身柄 を 売り渡す と
一 時 の 利益 の ため に 国家 の 功労者 を 売る
直後 に は 翻って 余 の 代理人 を も 売る
共和 政体 の 矜持 と その 存在 意義 は どこ へ 行った か
もはや 現時点 に おい て の 不正義 と は
この ような 政体 を 認める こと に こそ に ある
バーラト の 和 約 の 精神 は 既に 汚さ れた
これ を 正す に は 実力 を もって する しか ない
おい
ヤン 元帥 に 事態 の 責任 が 全くない わけ で は ない が
彼 は 被害者 で あり 自己 の 権利 を 守った だけ である
ヤン 元帥 が 余 の 元 へ 出頭 する なら
余 は 彼 と 彼の 一党 を 厚く 遇する であろう
ん ?
契約 金 は くれ ない の か な
これ で 同盟 政府 に 復帰 する 道 は 完全 に 断たれた
これ まで 物資 を 食い潰し ながら
エル ・ ファシル から の 呼びかけ に 応じ ず に き た の も
ムダ に なって しまった わけ だ
しかし 独自 に 第 三 勢力 を 築く と いって も な …
イゼルローン に 帰る か
そして エル ・ ファシル を 押さえ て 回廊 へ の 出入り口 を 確保 する
アッテンボロ ―の 案 に 乗って みよう か
カイザー ・ ラインハルト は 恐らく ルッツ 提督 に
イゼルローン 要塞 から 出撃 する よう 命令 する だろう
大規模 な 包囲 挟撃 戦 は 彼 が 最も 好む ところ だろう から な
そこ に 乗じる 機会 が 生まれる
同盟 領 へ の 再 侵攻 を 宣言 する まで の カイザ ー ・ ラインハルト に は
明らか な バイオリズム の 低下 が 見られた
だが その 間 に も 統治者 と して の 種々 の 問題 の 解決 に 当たり
それ を 滞ら せて は い ない
それ は ラインハルト を 補佐 する 主席 秘書 官
ヒルデガルド ・ フォン ・ マリ ー ンドルフ の 力 に よる ところ も 大きかった
フロイライン この 前 の 舌禍 事件 の 処置 は どう なった か ?
はい 軽率 な 発言 を し た 者 に は 譴責 処分 を 加え
この 件 を 密告 し た 者 は 更に 重く 降等 処分 と いたし まし た
フロイライン は 物事 の 道理 を よく わきまえ て いる
密告 など を 余 が 喜ぶ と 思っている や から に は
よい 教訓 と なった で あろう
これ から も 何 か と フロイライン に 託す こと に なり そう だ な
恐れ入り ます
お 言葉 に 甘え まし て お 願い いたし ます
昨今 急速 に 宮廷 と 政府 に 広がり つつ ある
好ましから ざる 風潮 に つい て 陛下 から
ご 注意 いただき たく 思う の です が 風潮 ?
陛下 に 対する 尊敬 の 念 を 表わす こと は 当然 と し ても
それ を 道具 に する ような 傾向 が ござい ます
具体 的 に は どう いう こと な の だ ?
例えば 同僚 たち で あいさつ を 交わし たり 乾杯 し たり する 時
「 ジーク ・ カイザー 」 と 唱え ない者 が 非難 さ れ
上司 が それ を 考課表 に 付ける と いう ような こと です
くだら ぬ こと だ な おっしゃる とおり です
ゆえに 陛下 から その 旨 を 臣下 一同 に
申し渡し て いただき とう ござい ます
他人 を 非難 し 陥れる こと で 自己 の 栄達 を 図ろう と する 風潮 に
先制 の 一撃 を 加え て いただき たい の です けれど
その ような こと まで 気にかける の で は
フロイライン も 苦労 が 絶え ぬ な
だが 悪い 芽 は 早く 摘む べき だろう
分かった 今日 の うち に 布告 を 出そう
お 聞き入れ くださって 感謝 いたし ます
キルヒアイス 提督 が 生き て い らし たら
私 が こんなに 出しゃばる 必要 も ない の だ けれど …
ところで
フロイライン ・ マリーン ドルフ に は 今回 の 出兵 に 関し て
何 か 妙手 が ある で は ない か ?
もし 陛下 が ご 希望 に なる の で したら
2 週間 以上 要する こと なく
これ 以上 の 戦火 を 交える こと も なく
同盟 元首 の 身柄 を ここ へ 差し出させます が
何 を 用い て 枝 から 果実 を もぎ取る の だ ?
一片 の 通信 文 を もって
分かった 共食い を させる ので あろう
フロイライン ・ マリーン ドルフ 違う か ?
御意 どちら か と いえ ば
それ は オーベル シュタイン 元帥 の 領分 に 属する 発案 だ な
知者 は 時 に 同じ 橋 を 渡る もの らしい
それ で その 策 の 長所 は ?
同盟 市 と ハイネ セン に 戦火 を 及ぼさ ず
非戦闘員 を 巻き込ま ず に 済む こと
同盟 崩壊 の 責任 を 彼ら 自身 に 帰せ しめ
市民 の 恨み の 方向 を そらせ うる こと
欠点 は ?少なくとも
短期 的 に ヤン ・ ウェンリ ー 元帥 の 一 党 に 力 を 与える こと に なり ま しょ う
彼 しか 頼る 者 が い ない の です から
陛下 の 敵 は ことごとく 彼 の 周囲 に 集まる はず です
それ に …それ に ?
この 策 が 成功 し た 後 で 陛下 の 後味 が お 悪く なり ましょう
正面 から 同盟 軍 を 撃砕する こと を お望み な の でしょ う から
フロイライン ・ マリ ー ンドルフ は人 の 心 を 映す 銀 の 鏡 を 持って いる よう だ な
ですけれど 私 たち が 策 を 弄さ ず とも
崩壊 に 直面 し て 人心 の 動揺 する ところ
必ず こちら の 求め も しない 商品 を 売りつけ に 来る者 が いる でしょ う
あり 得る こと だ な
ご用 でしょ う か 小 休止 だ
コーヒー を 頼む エミール フロイライン の 分 も な
はい
とても いい 子 で すわ ね
あれ が いる もの で 余 は 身辺 に 不自由 せ ず に 済む
いい 医者 に なる だろう
たとえ 技術 が 完璧 で なく とも 患者 が 喜んで 命 を 託す よう な
余 に は 弟 が いない から …
ご自身 が 常に アンネローゼ 様 の 弟 の 立場 に い らし た から
それ を 変え て みる こと に 楽しみ を 覚え て いらっしゃる の ね
あっ 立場 …
私 の 立場 は 何 な の かしら
若い 偉大 な 征服者 の 忠実 な 秘書官
それ だけ
長官 ! おう スーン ・ スール 少佐 か
元気 そう じゃ のう はっ はい !
わし は ほれ 足 が 言う こと を 聞か ん で な
どうぞ 小 官 に お つかまり ください
どうぞ どうぞ
さあ 長官 ああ いやいや
わし は 退役 し た 身 だ こっち で いい
ですが 閣下 軍服 を 着用 し て ここ へ いらし た と いう こと は
現役 に 復帰 し て 帝国 と 戦って い ただ ける の でしょ う ?
また 我々 を 指揮 し て くださる の でしょ う ?
うーん わし は ヤン 提督 と 違って
50 年 以上 も 同盟 政府 から 給料 を もらって きた
今更 知ら ぬ 顔 を 決め込む わけ に も いかん ので な
閣下 私 も お供 し ます
貴 官 は 何 歳 だ ? は ? 27 歳 です が
うーん 残念 だ な
30 歳 以下 の 未成年 は 今回 同行 する こと は できん よ
これ は 大人 だけ の 宴会 な の で な
そんな !閣下 …
いい か ね スール 少佐 貴 官 に は 重要 な 任務 を 与える
おろそか に 考え て は いかん よ
ヤン ・ ウェン リー 提督 の 元 へ 赴け
そして 伝え て くれ
わし の 敵 を 討と う など と 考え て は いかん
貴官 に は 貴官 に しか 成し え ぬ 課題 が ある はず だ と な
閣下 !
いや こんな 伝言 を 託し て も ムダ に なる かも しれん が な
わし と して は 50 も 年下 の ヒヨッコ に
二 度 も 負ける とは 思えん し
あくまで も 万が一 不覚 を 取った 場合 の こと だ
お かえり なさい 閣下 うん
30 歳 以下 の 者 は 連れ て いかない と おっしゃった そうです が
私 は 38 歳 です
同行 させて いただく 資格 が ある と 思い ます が
いや …
は あ 貴 官 も 困った 人 だ
ヤン 提督 に は いくら でも人材 が 必要 だ ろ う に
あまり 先輩 面 が 多い と 若い 者 は 持て余し ます よ
ヤン 提督 に は キャゼルヌ 一人 で 十分 でしょ う
カイザ ー ・ ラインハルト は 貴 官 や わし を 戦争 犯罪人 と し て 処 断 し なかった
個人 的 に は 恩義 すら ある が あえて それ に 背 こ う
こんな だらしない 国 に 若い 者 が こだわる 必要 も ない が
わし は もう 十分 に 生き た
ああ そう だ スール 少佐
わし の 家 の 地下室 に 黄色い 木箱 が あって な
ブランデー の 逸品 が 2 本 入って おる
1 本 を ヤン 提督 へ の 土産 に 持っていって くれ ん か
翌 11 日 カイザー ・ ラインハルト は
第 2 次 ラグナ ロック 作戦 の 陣容 を 発表 し た
既に 先発 し た ビッテンフェルト 上級 大将 の 第 一 陣
シュワルツ ・ ランツェンレイタ ー に 続く の は 宇宙 艦隊 指令 長官 に し て
「疾風 」の 異名 を 持つ ミッターマイヤー 元帥 の 艦隊
その 後ろ に 旧 レンネンカンプ 艦隊 を 二 分 し た
クナップ シュタイン グリルパルツァー 両 大将 の 艦隊
更に グローテヴォール 大将 ヴァーゲンザイル 大将
ク ー リヒ 中将 マイフォ ー ハ ー 中将 ら の 艦隊 が 続き
中段 を アイゼナッハ 上級 大将 が 固める それ ら の 艦隊 と
後方 の ラインハルト 直営 の 艦隊 と を つなぐ 重要 な 位置 は
ファーレンハイト 上級 大将 が 占める
総 司令 官 たる カイザ ー ・ ラインハルト を 補佐 する 主席 幕僚 は
統帥 本部 総長 ロイエンタール 元帥
その 下 で 艦隊 運用 を 担当 する の は ベルゲン グリューン 大将
カイザー の 高級 副官 シュトライト 中将
次 席 副 官 リュッケ 少佐 親 衛 隊長 キスリング 准将 ら の 他
主席 秘書 官 と し て ヒルデガルド ・ フォン ・ マリ ー ンドルフ も
総 旗 艦 ブリュンヒルト に 同乗 する
最後尾 を 守る の は バーミリオン 会戦 で の 勇 戦 で
「鉄壁 」の 異名 を 取った ミュラー 上級 大将
そして ヤン の 予測 どおり イゼルロ ー ン 要塞 を 守る ルッツ 上級 大将 に も
戦線 参加 が 命ぜ られる こと に なって いる
一方 軍務 尚 書 オ ー ベルシュタイン 元帥 は フェザ ー ン 残留 が 命ぜられ
民政 を 委ね られ た 工部 尚書 シルヴァーベルヒ と 共に
留守 を 預かる こと に 決せられた
閣下 は 再度 の 出兵 に は 反対 なさる と 思って おり まし た が
いや あれ で よい の だ
しかし 準備 不足 で の 性急 な 再 出兵 は
ある 意味 で は 危険 で は ありませ ん か
準備 不足 は 敵 とても 同じ 条件 だ
重要 な こと は 常に 状況 を 作る 立場 に 身 を 置き
敵 に 主導権 を 与え ない こと だ
それ に カイザー の 本領 は 果断 即行 に ある
座 し て 変化 を 待つ の は
考え て み れ ば カイザー に ふさわしく ない
おっしゃる とおり です な
その 頃 自由 惑星 同盟 の 全土 は 混乱 の 極 に あった
全土 が 焦土 と 化 そ う と も 徹底 抗戦 する べき だ と 叫ぶ 者
無条件 降伏 を 主張 する 者
都市 部 を 避けて 山間部 に 避難する 者
ただ 嘆く だけ の 者
果て は パニック を 起こし た 一般 市民 が
脱出 の 道 を 求め て 宇宙 港 に 詰めかけ 暴動 と なって
治安 警察 と 市民 が 衝突 し 数 千 人 の 死者 を 出し て い た
ビュコック 元帥 は ヤン ・ ウェンリ ー と 戦う こと は 拒否 し た が
相手 が カイザ ー ・ ラインハルト で あれ ば 戦う と いう の か
別に 不思議 な こと で は ない でしょ う
どう か お 考え いただき たい もの です
長年 に わたって ビュコック 元帥 は あなた と 親交 が ありました
なのに なぜ あなた と 会おう と しない の か
元首 の 座 に 就く 前 の あなた を
あまり に ご存じ だ から だ と お 思い に なり ませ ん か
私 が 人 が 変わった と 言い たい の か
ビュコック 元帥 が 変わった の で は あり ませ ん
それ は お 認め くださる でしょ う
いや 私 は …
これ と いう の も ヤン ・ ウェンリ ー が … は ?
高等 弁 務 官 を 殺し た の も …
軍 を 私物化 し 軍閥化 は …
民主 政治 の 敵 は …
敵 艦 隊 発見 敵 艦 隊 発見
こんな 所 で 敵 だ と ?
10 隻 ほど の 小 集団 が 接近 し て きます
10 隻 ?話 に ならん
強大 な 敵 と 戦って こそ 武人 の 矜持 と いう もの だ
相手 に せず このまま 進め
向こう から 攻撃 し て くる と いう の なら
一撃 で 粉砕 し て やる が な
敵 艦 より 入電 「我 に 交戦 の 意思 なし 」
「 交渉 に 応じられよ 」 交渉 ?
先方 は 同盟 政府 の 特使 ウイリアム ・ オ ー デッツ と 名乗って おります
撤兵 の 交渉 を 求める と 言って きて おり ます
撤兵 の 交渉 だ と ?
こう 回答 しろ 「本職 に は 交渉 の 権限 が ない 」
「後続 の ミッターマイヤー 元帥 に 面談 する こと だ 」
「航行 の 安全 は 保障 する 」と な
案内 に 1 隻 つけて やれ
どう いたし ましょ う 特使 や む を 得 ん
いや イノシシ 武者 の ビッテンフェルト より
ミッターマイヤー 元帥 の ほう が 話 が 分かる に 違いない
言う とおり に しよ う
政府 特使 の 一行 は 帝国 駆逐艦 の 先導 で
そのまま 航行 を 続け
3 日 後 ミッタ ー マイヤ ー の 直接 指揮 する 艦隊 に 接触 する こと が でき た
ビッテンフェルト め 厄介 な 客 を 俺 に 押しつけ て おい て
その 間 に 前進 し 差 を 広げる つもり だ な
では 我々 も 無視 いたし ます か
宇宙 艦隊 指令 長官 と いう 立場 上 そう も ゆく まい
とにかく 会 お う
バーラト の 和 約 に おい て
自由 惑星 同盟 の 主権 と 領域 は 保全 を 約束 さ れ た はず で ある
に も かかわらず 今 銀河 帝国 は 和約 の 条文 と 精神 に 背き
ひたすら 無法 な 暴力 を もって 我 が 領土 を 蹂躙 しよ う と し て いる
現在 に おける 反感 と 未来 に おける 批判 等 を 望まれ ぬ なら
即座 に 軍 を 引き 外交 折衝 に よって こそ
自説 を 主張 なさる べき で あろう
従って 私 の …何 を 言う か !
和 約 に 背き カイザ ー の 全権 代理 たる レンネンカンプ 弁 務 官 を 害し た の は 誰 か
卿 ら 同盟 政府 で は ない か
卿 ら に 和約 を 順守 する 意思 なく また 能力 なし と 見て
マイン ・ カイザー は 親 征 の 軍 を 起こし た もう た の だ
卿 ら に 良識 が ある なら 陛下 の 御前 に ひざまずき
無用 の 流血 を 回避 する べき で は ない か
レンネンカンプ 弁 務 官 は 自殺 さ れ た の で あり
その 窮状 に 彼 を 追い詰め た の は ヤン ・ ウェン リー 一 党 です
では その ヤン ・ ウェンリ ー 一 党 を なぜ 放置 し て おく ?
貴 官 ら 帝国 軍 が 我 が 同盟 政府 に 時間 を 与え て くださらぬ から です
時間 か 時間 が あれば ヤン ・ ウェンリー 一党 は より 力 を つけ
卿 ら 同盟 政府 は やせ細る だけ の こと で あろう よ
たとえ ヤン に 10 倍 する 兵力 を 有し て い た とて
卿 ら が ヤン に 勝てる と は 思えぬ な
あるいは 貴 官 の おっしゃる とおり かも しれません
何しろ ヤン に 100 倍する 兵力 を お 持ち の カイザ ー ・ ラインハルト 陛下 さえ
ヤン に 対し て 御 手 を こまね い て おら れる
私 ども 非 才 の 身 にて は 到底 彼 に 敵 する こと は
かない ませ んでしょ う な
貴様 は 陛下 を 侮辱 する か !
やめ ぬ か !卿 ら は 武人 で あろう
単身 しかも 素手 で 敵 中 に 乗り込んで きた 人間 を 殺し
誰 に 向かって 功 を 誇る つもり か
1 つ 卿 に 問う が
もし ここ に いる 提督 たち の 1 人 が 同盟 首都 に 赴き
卿 ら の 元首 を 侮辱 し た と する
死 を もって その 罪 を あがなわせよ うと 望む 者 が
今 の 同盟 軍 の 幹部 に いる だろう か
おり ます まい 残念 ながら
では ヤン ・ ウェン リー の 部下 は どう だ ?
命 を 懸けて 上官 を 救出 し た が
マイン ・ カイザ ー は 大 なり と いえ ども 同盟 政府 を 恐れ ず
小 なり と いえ ども ヤン ・ ウェンリー 一 党 を 恐れた もう
その ゆえん を 卿 自身 が 明らか に し た わけ だ が
特使 に は ご苦労 だった が もはや 語り合う べき こと も ない よう だ
もし この 上 主張 し たい こと が ある なら
直接 陛下 に 申し上げる が よい
それ は よい が 元帥 閣下 に は
私 が カイザ ー に 撤兵 を お 願い する まで 軍事 行動 を 控え て いただきたい
そう は いか ぬ 卿 が 陛下 に お 会い される の は 卿 の 自由 だ が
それ に よって 我が 軍 の 行動 は 何ら 掣肘 さ れる もの で は ない
新た な 勅命 が 下らぬ かぎり 我ら は 同盟 領 に 侵攻 し
抵抗 を 排除 せよ と の 勅命 に 従う のみ
もし 卿 が 我ら の 侵攻 を とどめ たい と お 考え なら
一刻 も 早く マイン ・ カイザー の 元 へ 赴か れよ
この 場 に あって 雄弁 を 駆使 し て も 無意味 で あろう
フェザーン へ 向かう カイザー に 直訴 する しか ない
あの 竜 頭 蛇 尾 の おしゃべり は どう し た ?
カイザー に 直訴 する ため に フェザーン 方面 に 去り まし た が
そう か よろしい の です か
この 俺 を すら 説得 し 得 ない者 が カイザ ー を 説得 できる 道理 も なか ろ う
それ に カイザー へ の 直訴 は 妨げ て は ならん こと に なっている
一応 注意 を する ように 連絡 だけ は し て おく か
この 時 ミッターマイヤー が 感じた 漠然と し た 不安 は
後日 思い も かけ ぬ 形 で 現実 の もの と なる
宇宙 暦 799 年 新 帝国 暦 1 年 11 月
帝国 軍 は 重厚 な 布陣 と 怒濤 の ような エネルギー を もって
同盟 全土 を のみ 尽くそ う と 動き出し た
民主 共和 制 の 最後 の 砦 と し て
イゼルローン 攻略 の 足がかり と し て
ヤン は ついに その 地 に 戻って きた
旅 を 終え た ユリアン が ハイネセン を 後 に し た ムライ たち が
そして 各地 から の 義勇兵 が
目指す その 目的地 は 1 つ
次回 「 銀河 英雄 伝説 」 第 68 話 「 エル ・ ファシル へ 」
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