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盾の勇者成りがり02, 盾 の 勇者 の 成り上がり 02 Prologue

盾 の 勇者 の 成り上がり 02 Prologue

プロローグ 分け 合う 痛み

その日 、 俺 は 城 の 倉庫 で 目 を 覚ました 。

埃 臭くて ウンザリする 。 だけど …… 目覚め は 悪く は ない 。

「 す ぅ …… す ぅ ……」

俺 の 隣 に ある 藁 の 束 の 中 から 寝息 が 聞こえてくる 。 そこ に は ラフタリア と いう 少女 が 眠っていた 。

まずは 今 まで の 出来事 を 反芻していこう と 思う 。

俺 の 名前 は 岩谷 尚文 。 大学 二年生 だ 。

普通に 日本 で 生まれ 、 自分 で 言う の も なんだ が オタク 趣味 に ハマ っていた 日本人 だった 。

何の 因果 か 図書館 で 見つけた 本 、 四聖武器書 と いう 本 を 読んでいる うち に 、 気 が 付いたら その 物語 の 登場 人物 、 盾 の 勇者 と して 召喚されていた 。

この 世界 は 波 と いわれる 魔物 が 次元 の 裂け目 から 大量に 現れる 謎 の 災害 に 襲われており 、 その 災害 を 乗り越える ため に 勇者 を 召喚 した のだ と いう 。 そして 、 俺 の 持つ この 盾 は 、 どんな 呪い が 掛け られて いる の か は 不明だ が 装備 を 外す こと が でき ず 、 しかも 守る こと しか でき ない と いう 大 問題 を 抱えて いる 。

だけど 俺 は ネット ゲーム の 経験 を 生かし 、 自分 は 守る こと に 重点 を 置き 攻撃 は 仲間 に 頼ろう と した 。

そんな 大 冒険 が 始まる と 胸 を 高鳴ら せて いた のだ が 、 卑劣な 罠 に 掛かり 、 あら ぬ 疑い に よって 冤罪 を 被って しまった 。 その 所 為 で 俺 は 人間 不信 に なり 、 仲間 は 出来 ず 、 無一文で 城 を 追い出さ れて 生活 する 羽目 に なった 。

じゃあ 波 と 戦わなければ 良い と 思う だろう が そう は いか ない 。

勇者 は この 異 世界 の 波 と いう 災害 に よって 大体 一 ヶ月 毎 に 、 その 波 に 対処 する ため 、 強制 的に 召喚 さ れて しまう と いう 問題 が ある 。

守り たく も ない 連中 を 命 を 懸けて 守ら ねば なら ない と いう 使命 を 無理やり 与え られ 、 時に 石 を 投げ られ つつ 俺 は 必死に 金 を 稼いだ 。

で 、 俺 の 隣 の 藁 の 束 で 寝て いる 女の子 …… ラフタリア を 亜人 奴隷 と して 購入 した 。

この 世界 で は 奴隷 が 存在 し 、 この 国 メルロマルク で は 亜人 と いう 、 人間 に 似て いる けれど 動物 の 耳 や 尻尾 が ある 者 を 奴隷 と して 使役 して いる 。

買った 当初 は 幼い 女の子 だった のだ が 、 いつの間にか 俺 より 若干 若い 程度 の 外見 に まで 成長 して しまって いた 。 なんでも この 世界 の 亜人 と いう 種族 は 、 急速に Lv を 上げる と それ に 応じて 幼い 者 が 成長 して しまう そうだ 。

最初 は 奴隷 と して コキ 使って やろう と 思って いた が 、 自己 満足な 決闘 を 申し込んで 来た 元康 と の 戦い で 俺 を 信じて くれて 、 自分 の 利益 を 犠牲 に して 行動 して くれた 。 そんな こと も あり 、 今では 大切な 仲間 と して 信頼 する こと に して いる 。 正直 、 この 世界 の 連中 なんて 全員 死んで しまえ と 思って いた けれど 、 少し だけ 助け たい と 思える ように なった 。

「 あ ……」

ラフタリア が 目 を こすり ながら 起き上がる 。

「 おはよう ございます 。 ナオフミ 様 」

「 ああ …… おはよう 」

ラフタリア は かなり の 美 少女 だ 。

顔 の つくり は 芸術 品 に 匹敵 する ほど 整って いて 、 美 少女 と いう 言葉 以外 で 表現 する の も 憚ら れる 。

髪 の 色 は 茶色 で 、 背中 まで 伸ばして おり 、 長くて 若干 カール が 掛かって いる 。 瞳 は 大きく 、 澄んで いる ように 思える 。 色 は 綺麗な 紅茶 色 。 俺 が 今 まで 出会った 女の子 の 中 で 、 その 瞳 の 美し さ は 他 に 類 を 見 ない 。

ここ まで 純粋 そうな 瞳 を 維持 する の は 難しい 。 外見 年齢 に 不相応な ピュア な 瞳 が ラフタリア の チャームポイント だ 。

この ラフタリア と 一緒に 俺 は Lv 上げ と 金 稼ぎ を 最初の 波 …… この 世界 で 二 番 目 の 波 が 発生 する まで 行い 、 幸いに も 乗り切った 波 と の 戦い は 後 で 説明 しよう と 思う 。 問題 は 波 の 後 の こと だった 。

「 では 朝食 を 頂き に 行き ましょう 」

「 そう だ な 、 城 の 食堂 で 貰える かな ? 」 「 おそらくは …… 行って み ましょう 」 と 、 今 まで の 出来事 を 思い出す の は 程々に して 、 俺 達 は 食堂 に 向かった 。

ちなみに 俺 の 汚名 は まだ 雪 が れて おら ず 、 国 の 連中 の 俺 へ の 態度 は よく ない 。 現に 食堂 に 行く と 兵士 が 俺 達 の 行く手 を 遮り 、 勇者 達 が 食事 中 だ とほ ざい た 挙句 、 兵士 の 食事 が 終わって から に しろ と 続ける 。 盾 の 力 で 攻撃 する こと が でき ない と いう 制限 が 無かったら 殴り 飛ばして いる ところ だ 。

俺 も その 勇者 の 一 人 である はずな の に も かかわら ず な !

さて 、 食事 を 終えた 俺 達 は 謁見 の 間 に 通さ れた 。

今回 、 俺 達 が 城 に 居る の は 波 から 世界 を 守った こと の 報酬 を 受け取る ため だ 。

たく 、 支払う の が 翌日 だった の なら さっさと 言えば 良い もの を …… この クズ は 俺 へ の 嫌がらせ に 命 でも 懸けて いる の か 。

ただ で さえ 顔 を 合わせる の も 嫌な 奴 等 と 一緒に 居る んだ 。 胃 に 穴 が 空いたら どう する んだ 。

俺 が クズ と 心 の 中 で 呼んで いる の は 、 この 国 の 国王 オルトクレイ = メルロマルク …… 何 世 だった かな ? 覚え たく も ない 。 ともかく 、 俺 を 召喚 した 国 の 王 だ 。

俺 が 冤罪 の 嫌疑 を 掛け られた 時 、 真実の 追究 なんか 放っておいて 、 俺 に 罪 を 被せ や がった 酷 い 王 だ 。 挙句 、 昨夜 は 権力 を 使って 無理やり 騒ぎ を 起こし や がった 。

「 では 今回 の 波 まで に 対する 報奨 金 と 援助 金 を 渡す と しよう 」

次の 波 に 備える ため の 金 だ 。 クズ 王 は 勇者 全員 に 渡す こと を 約束 して いた 。

ツカツカ と 金 袋 を 持った 側近 が 現れる 。

「 では それぞれ の 勇者 達 に 」

金 袋 の 方 に 視線 が 向く 。

確か 、 月々 の 援助 金 と して 、 最低 でも 銀貨 五〇〇 枚 は 貰える はず 。

今回 の 金 で 何 を 買う か 。

とりあえず ラフタリア の 武器 あたり が 妥当 か ?

あるいは 、 この際 だ から 良い 防 具 を 買う と いう 選択 も ある 。 ああ 、 でも そろそろ 薬 の 調合 で 使う 機材 の 新調 も し たい ところ だ し なぁ 。 実は あの 機材 、 盾 が 反応 して いて 、 吸わ せたら 何 に なる か 興味 が あった んだ よ なぁ 。 ジャラジャラ と いう 金 袋 の 音 に 、 何 を 買おう か と 夢 が 広がる 。

俺 の 目の前 に 金 袋 の 中身 が わかる ように 見せ られる 。

ひ ー ふ ー み ー ………… うん 、 きっちり 数えて 五〇〇 枚 ある 。

「 モトヤス 殿 に は 、 今回 の 活躍 と 依頼 達成 に よる 期待 と を あわせて 銀貨 四〇〇〇 枚 」

おい !

呆 気 け に 取ら れた 俺 は 元康 の 持つ 、 重 そうな 袋 に 目 を 奪わ れた 。 文句 を 言ったら それ こそ 、 何 倍 も の 嫌味 を 言わ れ そうだ から 黙って いる が 、 拳 に 力 が 集まる の を 感じる 。

この モトヤス と 呼ば れた 奴 、 本名 は 『 北村 元康 』。 俺 と 同じく 異 世界 の 日本 から 来た 勇者 で 、 選ば れた 伝説 の 武器 は 槍 。 だから 槍 の 勇者 と 呼ば れて いる 。

年齢 は 二一 歳 。 俺 以外 の 勇者 は この 世界 に よく 似た ゲーム を プレイ した 経験 と 知識 を 持って いる らしい 。 しかし 、 その 知識 を 俺 に は 教え ず 、 俺 以外 の 勇者 は 俺 を ハメ て 蹴落とした のだ 。

で 、 この 元康 、 何でも 女 関係 で 刺さ れて この 世界 に 飛んで きた そうだ 。 あくまで 本人 談 な ので 真偽 は 不明だ 。

この 元康 、 仲間 は 全員 女 、 と いう ハーレム パーティー を 作って いる 無類の 女 好きだ 。

昨夜 の 事 、 ラフタリア が 俺 の 奴隷 と して 戦い を 強い られて いる と 思いこんだ コイツ は 、 ラフタリア を 救う と 意気込んで 強引に 決闘 を 申し込んで きた 。

本来 決闘 と は 双方 が 譲れ ない こと を 賭けて 戦う もの な のだ が 、 コイツ は 俺 に とって 損に しか なら ない 条件 を 提示 し 、 俺 に 攻撃 手段 が 無い こと を 知り ながら 決闘 を 仕掛けて きた 。 もちろん 、 受ける 義理 も 無かった ので 断った が 、 前述 の クズ 王 が 強引に 決闘 を 行わ せた 。 しかも 俺 が 負ければ ラフタリア を 解放 する だけ で 、 元康 に は 何の デメリット も 無い 、 不公平 極まりない 戦い を さ せ られた 。

だからといって 簡単に 負け を 認める わけに は いか ない 。 俺 は 無い 知恵 を 絞って 元康 を 追い詰めた 。 そこ で 卑怯 な 横やり が 入り 、 俺 は 無理やり 負け させ られて しまった 。

最終 的に は 、 ラフタリア が 自ら の 意思 で 元康 の 手 を 拒んで 俺 の 元 に 戻って くれた の が 救い だ 。

そんな 感じ で コイツ は 俺 の 不幸 の 元凶 に 一 枚 噛んで いる 敵 だ 。

正直 言えば 女性 経験 が 豊富 そうな イケメン の ナンパ な 男 と いう の が 元康 の 外見 だ 。

豪華な 銀 の 胸 当て を 着け 、 まさしく 勝ち 組 に 乗った 勇者 と 表現 する の が 正しい だろう 。

「 次に レン 殿 、 やはり 波 に 対する 活躍 と 我が 依頼 を 達成 して くれた 報酬 を プラス して 銀貨 三八〇〇 枚 」

お前 も か !?

クール を 装って いる が 、 元康 に 負けて いる の が 悔しい ような 顔付き で 錬 が 金 袋 を 持って いる 。 しかも 小声 で 『 王女 の お気に入り だ から だ ろ ……』 と 、 毒 づ いて いる 。

この 錬 と いう 奴 は 、 本名 は 『 天 木 き 錬 』 と いい 、 俺 と 同じく 異 世界 の 日本 から 召喚 さ れた 剣 の 勇者 だ 。 歳 は 一六 歳 だった か 。

但し 、 俺 の 知る 日本 で は なく 異 世界 の 日本 …… えっ と 具体 的に いう と VRMMO と いう 架空の 電 脳 世界 に 入る こと が できる ほど 科学 の 進んだ 日本 から この 世界 に 来た と いう 経緯 が ある 。

様々な 日本 が ある ようで 、 昔 の 俺 だったら 錬 の 世界 に も 行って み たい と か 思った だろう 。

錬 は 年 相応 の 身長 で 女 顔 の 美 少年 剣士 だ 。 性格 は クール を 演じて いる 熱血 …… な の か ? 内心 は 他者 を 見下して 、「 俺 の 知る ゲーム 知識 で 世界 を 救う 。 本当の 勇者 は 俺 だ 」 と か 思って い そう 。

「 そして イツキ 殿 …… 貴 殿 の 活躍 は 国 中 に 響いて いる 。 よく あの 困難な 仕事 を 達成 して くれた 。 銀貨 三八〇〇 枚 だ 」

樹 に 至って は 『 この 辺り が 妥当でしょう 』 と 呟き つつ 、 元康 の 方 へ 羨ま し そうな 目 を 向けて いる の が わかった 。

樹 の 本名 は 『 川澄 樹 』、 歳 は 錬 より 一 つ 上 の 一七 歳 。 物腰 の 柔らかい 少年 と いう の が 第 一 印象 だ 。 ただ 、 なんて いう か 儚 げ だ 。 所持 する 伝説 の 武器 は 弓 。

あまり 接点 が ない から よく 知ら ない 。 それ でも 元康 や 錬 の ように ゲーム の 知識 を 持って いて 、 俺 と は 違う 世界 の 日本 出身 だ 。

勇者 の 中 じゃ 一 番 幼く 見える だろう な 。 実 年齢 は 錬 が 一 番 下 だろう けど 。

そんな 事 より も 、 錬 へ の 依頼 って 何 だ よ ? 初めて 聞いた ぞ 。

「 ふん 、 盾 に は もう 少し 頑張って もらわ ねば なら ん な 」

名前 で すら ない ! 誰 が 盾 だ 。

頭 の 血管 が 切れ そうな 苛立ち を 感じる 。 昨日 あれ だけ 我 侭 を ほ ざ いた 貴 様 が 言う の か !?

で 、 俺 が 金 袋 を 受け取ろう と する と 何故 か 引っ込め られた 。

「 奴隷 紋 の 解 呪 代 と して 援助 金 は なし と さ せて もらう ! 」 て め ぇ ! 「…… あの 、 王様 」

ラフタリア が 手 を 上げる 。

「 なんだ ? 亜人 」

「…… その 、 依頼 と は な んです か ? 」 ラフタリア も 察して いる のだろう 。 報酬 が 貰え ない こと に 目 を 瞑って 、 別の 観点 から 尋ねる 。

「 我が国 で 起こった 問題 を 勇者 殿 に 解決 して もらって いる のだ 」

「…… 何故 、 ナオフミ 様 は 依頼 を 受けて い ない のです か ? 初耳 な のです が 」

「 フッ ! 盾 に 何 が できる 」

う ぜ ぇ !

謁見 の 間 が 失笑 に 包ま れる 。

ああ 、 や ばい 。 怒り で 暴れ だし そう 。

「…………」

そう 思った のだ が 、 ラフタリア の 方 から 拳 を ぎゅっと 握り締める 音 が 聞こえて 来た 。

見る と 無言 で 怒り を 押し殺して 震えて いる 。

…… うん 。 堪え きれ そう 。

「 ま 、 全然 活躍 し なかった もん な 」

「 そう です ね 。 波 で は 見掛け ませ ん でした が 何 を して いた のです か ? 」 「 足手まといに なる なんて 勇者 の 風上 に も 置け ない 奴 だ 」 三 勇者 共 が それぞれ 皮肉 混じり に 言った 。

苛立ち も 最高潮 だ 。 せめて 嫌味 だけ でも 言って おく か 。

「 民間 人 を 見殺し に して ボス だけ と 戦って いれば 、 そりゃ あ 大 活躍 だろう さ 。 勇者 様 」

そう 、 コイツ 等 は 波 で 現れた ボス に だけ 目 が 行って 、 今にも 死に そうな 連中 を 無視 して 突撃 して いった 。 その お 鉢 が 回って きて 、 俺 達 は 村 の 連中 を 助けて 歩く こと に なった 。

「 ハッ ! そんな の は 騎士 団 に 任せて おけば 良い んだ よ 」

「 その 騎士 団 が ノロマ だ から 問題 なんだ ろ 。 あの まま だったら 何 人 の 死人 が 出た こと やら …… ボス に しか 目 が 行って い ない 奴 に は それ が わから なかった んだ な 」

元康 、 錬 、 樹 が 騎士 団 の 団長 の 方 を 向く 。 すると 団長 の 奴 、 忌 々 し そうに 頷 うなずいた 。

「 だが 、 勇者 に 波 の 根源 を 対処 して もらわ ねば 被害 が 増大 する の も 事実 、 うぬぼれる な ! 」 この 野郎 …… お前 が それ を 言う の か ? 城 で ふんぞり返って いた だけ の 分 際 で 偉 そうに 。 そもそも 勇者 って 俺 も 勇者 だ よ 。 それとも アレ か 、 盾 は 勇者 じゃ ない って か ?

「 は いはい 。 じゃあ 俺 達 は 色々 と 忙しい んで ね 。 行か せて もらい ます ヨー 」

ここ で ムキ に なって も 意味 は ない 。 この 程度 で 立ち去る の が 妥当だろう 。

「 まて 、 盾 」

「 あ ? なんだ よ 。 俺 は 城 で ふんぞり返って る だけ の クズ 王 と 違って 暇じゃ ない んだ 」

「 お前 は 期待 は ずれ も いい ところ だ 。 消え失せろ ! 二度と 顔 を 見せる な 」

くっ !? コイツ は どこまでも 俺 を 不快に さ せる 野郎 だ !

「 それ は 良かった です ね 、 ナオフミ 様 」

満面 の 笑み で ラフタリア が 答える 。

「…… え ? 」 「 もう 、 こんな 無駄な 場所 へ 来る 必要 が なくなり ました 。 無意味に 時間 を 浪費 する より も 、 もっと 必要な 事 に 貴重な 時間 を 割き ましょう 」

「 あ …… ああ 」

なんか ラフタリア が 頼り に なって きて いる 気 が する 。

ギュッと ラフタリア に 手 を 握ら れた 。 きっと ラフタリア も 怒って いる んだろう 。 一 人 だけ だ と 耐え られ ない 怒り も 鎮まって いく ように 感じた 。

「 ちょっと 待って ください 」

樹 が 手 を 上げて クズ に 異論 を 唱えた 。

「 な んじゃ 弓 の 勇者 殿 ? 」 何 を 言う つもりだ ? どうせ 碌 な 事 を 言わ ない んだろう けど さ 。

「 昨日 の 事 な のです が 、 尚文 さん に 対して 行った 不正 に 関する 問題 を どう 考えて いる のです か ? と 、 尋ねて いる のです 」 一瞬 で 場 の 空気 が 固まった 。

「 どう 、 と は ? 」 「 ですから 、 ラフタリア さん を 賭けた 勇者 同士 の 戦い に おいて 不正 を 行った に も かかわら ず 、 勝手に 奴隷 紋 でした っけ ? …… を 、 解いて おき ながら 援助 金 を 支給 し ない と いう の は どう な のです か と 聞いて いる んです 」

なんだ ? 樹 の 目 が 普段 に も 増して 鋭く 、 クズ を 強く 詰問 して いる ようだった 。

「 そう だ な 、 俺 も 見て いた が 、 明らかに 尚文 は 元康 に ルール 上 で は 勝って いた 」

「 俺 は 負けて ねぇ ! 」 元康 が 異議 を 唱える が 、 錬 と 樹 の 目 は 冷たい 。 「 返答 次第 で は 尚文 さん が 本当に 性 犯罪 を 犯した の か ? と いう 所 まで 遡る こと に なり ます 」

「 あ 、 う ……」

クズ の 奴 が 視線 を 泳が せ ながら 口 を つむぐ 。

「 違い ます わ イツキ 様 、 レン 様 ! 」 派手な 装飾 を 身 に 付け 、 厚い 化粧 を した ビッチ の ような 女 が そこ に 割り込んで 言い放った 。 そう 、 コイツ が 諸悪 の 根源 に して 俺 に 犯罪 者 の 汚名 を 着せた 最低の ビッチ 女 だ !

マイン = スフィア 。 本名 は マルティ と 言う らしい が 、 名前 なんて どう で も いい 。

性格 を 表した 血 の ように ドス 赤い 髪 、 忌 々 しい が 容姿 だけ は 美しい 。

国 が 用意 した 冒険 者 が 誰一人 と して 俺 の 仲間 に なろう と し なかった 中 で 唯一 俺 の 仲間 に なった 。 だが 、 支度 金 と して 支給 さ れた 俺 の 金 を 全て 奪った 挙句 元康 の 元 へ 下り 、 俺 に 性 犯罪 者 の 汚名 を 着せた 、 とんでもなく 腹黒い 女 だ 。

だ から これ から 俺 は 心 の 中 で この クソ むかつく 魔女 を ビッチ と 呼ぶ こと に 決めた 。

しかも 事もあろうに この ビッチ 、 この 国 の 王女 だ と か 。

俺 が 異 世界 に 飛ぶ 前 に 読んで いた 書物 、 四 聖 武器 書 に も ビッチ っぽい 姫 が 出て きた 。 コイツ の 事 な んじゃ ない か と 睨んで いる 。

「 盾 の 勇者 は 一 対 一 の 決闘 に おいて マント の 下 に 魔物 を 隠し持って いた のです 。 ですから 私 の 父 である 国王 は 采 さい配 は いと して 決着 の 判決 を 見送った のです 」

何 を 言って や がる 。 攻撃 の 手段 が 無い 俺 に 対して 一 対 一 で 決闘 を 申し込んだ 時点 で 勝敗 も 糞 も ない だろう が ! 当然 それ を わかって いて 決闘 さ せた んだろう が な 。

「 考え は わかり ます けど ……」

「 納得 は 無理だ ろ 」

樹 と 錬 が 不満 気 に して いる 。

ビッチ の 奴 も 忌 々 し げ に 言い訳 を 考えて いる 。 こういう ビッチ は 悪知恵 だけ は 働く から な 。

「 マイン さん 。 それ でも あなた が 後ろ から 魔法 を 放った こと は 反則 です 」

「 仕事 を して い ない の は 確かだろう が 、 見た 感じ だ と ギルド から の 依頼 も 来て い ない みたいだ し 、 最低 限 の 援助 は 必要な んじゃ ない か ? 実際 、 騎士 団 の 代わり に 村 を 守った んだ ろ ? 」 ビッチ が 小さく 舌打ち する の が 聞こえて くる 。 ざ まあ ない な 。 権力 で 揉み消す に も 、 相手 は 勇者 だ から 騙す に 騙せ ない の は わかって いる だ ろ 。

現状 証拠 で こっち の 方 が 優勢な んだ よ 。 他 に 証人 が い なかった 冤罪 の 時 と 一緒に する な 。

「…… しょうがない 。 では 最低 限 の 援助 金 だけ は 支給 して やろう 。 受け取る が 良い 」

クズ が 高らかに 命令 する と 金 袋 が 俺 に 受け渡さ れる 。

「 では 王様 、 私 達 は おいとま さ せて いただき ます ね 。 勇者 様 方 、 正しい 判断 に 感謝 いたし ます 」

と 軽やかな 歩調 で ラフタリア は 俺 を リード し 、 城 を 後 に する 。

「 負け 犬 の 遠吠え が 」

お前 が 言う な と 言い たく なる 元康 と 、 無言 で 肩 を すくめる 錬 と 樹 。

…… うん 。 理不尽 を 共有 する って 、 こんなに も 気分 が 楽に なる んだ な 。

錬 も 樹 も 、 一応 は 元康 へ の 疑い を 持った ようだ 。 ま 、 見て 見ぬ 振り を して いる のだ から 許し は し ない けど 。

「 では 、 あの 奴隷 商 の テント に 行って 奴隷 紋 を 掛けて もらい ましょう 」

「 え ? 」 城 を 出る と ラフタリア が 振り向いて 言った 。 「 じゃ ない と ナオフミ 様 は 私 を 心から 信じて くれ ませ ん から ね 」

「 いや …… もう 、 別に 奴隷 と か じゃ なくて も 良い んだ ぞ ? 」 「 ダメです 」 「 はい ? 」 「 ナオフミ 様 は 奴隷 以外 を 信じ られ ない 方 です 。 嘘 を 吐いた って ダメです よ 」

…… 俺 は ラフタリア の 育て 方 を 間違えた の かも しれ ない 。

確かに 奴隷 以外 信じ られ ない と いう の は 事実 だ けど 、 ラフタリア は 奴隷 で なく たって 信じて も 良い 。

もしも ラフタリア が 自分 の 事 だけ を 考えて いた なら 、 決闘 の 時 に 元康 の 下 へ 行けば 良かった 。

現に この 国 の 連中 に 嫌わ れて いる 俺 と 一緒に いて 良い 事 なんて 無 いし 。

「 あの さ 、 ラフタリア 」

「 な んです か ? 」 「 別に 呪い を 掛け なくて も 良い んだ ぞ ? 」 「 いいえ 、 掛けて もらい ます 」 …… 何故 、 この 子 は こんなに も こだわる んだ ?

「 私 も ナオフミ 様 に 信じて もらって いる 証 が 欲しい のです 」

その 言葉 を 聞いて 、 純粋に この 子 を 守り たい と 思った 。

俺 の 胸 の 中 に 湧いて くる 思い 、 これ が 恋心 か と も 思う が 、 何 か 引っかかる 。

外見 こそ 大人 だ が 、 ラフタリア は ほんの 少し 前 まで 子供 だった 。 というのも 、 亜人 と いう 種族 は Lv が 上がる と 年齢 以上 に 成熟 して いく と いう 特徴 が ある のだ 。

ラフタリア は 親 を 波 の 災害 に 襲わ れて 亡くして いる 。 だから 、 守り たい と 思う 気持ち は 恋心 と いう より は 親心 に 近い の かも 。 幼い ラフタリア が 大きく 育った から …… そうに 違いない 。

これ が 親心 と いう 物 な のだろう 。 だから 俺 が 親 代わり に なら ねば 。

「 さ 、 行き ましょう 」

そこ まで 言う の なら 止める 必要 は 無い 。 好きな ように させよう 。

俺 達 は 奴隷 を 扱って いる 、 あの テント に 顔 を 出す こと に した のだった 。


盾 の 勇者 の 成り上がり 02 Prologue たて||ゆうしゃ||なり あがり|prologue Der Aufstieg der Schildhelden 02 Prolog The Rise of the Shield Brave 02 Prologue

プロローグ   分け 合う 痛み ぷろろーぐ|わけ|あう|いたみ Prolog Schmerz teilen Prologue share pain

その日 、 俺 は 城 の 倉庫 で 目 を 覚ました 。 その ひ|おれ||しろ||そうこ||め||さました An diesem Tag wachte ich im Lagerhaus des Schlosses auf. On that day, I woke up at the castle warehouse.

埃 臭くて ウンザリする 。 ほこり|くさくて|ウンザリ する Der Staub riecht ekelhaft. It smells dusty. だけど …… 目覚め は 悪く は ない 。 |めざめ||わるく|| Aber ...... ist kein schlechter Ort zum Aufwachen. But ... awakening is not bad.

「 す ぅ …… す ぅ ……」 'Soo ...... Soo ......' "Suu …… Suu ……"

俺 の 隣 に ある 藁 の 束 の 中 から 寝息 が 聞こえてくる 。 おれ||となり|||わら||たば||なか||ねいき||きこえて くる Ich höre ihr Atmen aus dem Strohbündel neben mir. A breath of breath can be heard from a bunch of salmon next to me. そこ に は ラフタリア と いう 少女 が 眠っていた 。 ||||||しょうじょ||ねむって いた Dort schlief ein Mädchen namens Raftalia. There was a girl named Laftalia sleeping there.

まずは 今 まで の 出来事 を 反芻していこう と 思う 。 |いま|||できごと||はんすう して いこう||おもう Zunächst möchte ich auf das zurückblicken, was bisher geschehen ist. First of all, I will try to refute the past events.

俺 の 名前 は 岩谷 尚文 。 おれ||なまえ||いわたに|なおふみ Mein Name ist Iwatani Hisafumi. 大学 二年生 だ 。 だいがく|ふた ねんせい| Ich bin Studentin im zweiten Studienjahr.

普通に 日本 で 生まれ 、 自分 で 言う の も なんだ が オタク 趣味 に ハマ っていた 日本人 だった 。 ふつうに|にっぽん||うまれ|じぶん||いう|||||おたく|しゅみ||はま|って いた|にっぽん じん| Ich bin in Japan geboren, und ich bin ein Japaner, der dem Otaku-Hobby verfallen ist. It was born in Japan normally, and it was a Japanese who was addicted to a geek hobby though it was something to say by oneself.

何の 因果 か 図書館 で 見つけた 本 、 四聖武器書 と いう 本 を 読んでいる うち に 、 気 が 付いたら その 物語 の 登場 人物 、 盾 の 勇者 と して 召喚されていた 。 なんの|いんが||としょ かん||みつけた|ほん|よっ ひじり ぶき しょ|||ほん||よんで いる|||き||ついたら||ものがたり||とうじょう|じんぶつ|たて||ゆうしゃ|||しょうかん さ れて いた Aus irgendeinem Grund fand ich mich bei der Lektüre eines Buches, das ich in der Bibliothek gefunden hatte und das den Titel "Das Buch der vier heiligen Waffen" trug, in der Rolle des Helden des Schildes, einer Figur in der Geschichte, wieder. While reading a book called the Four Holy Weapon Book, which I found in the library, what caused the cause, when I noticed, I was summoned as the character of the story, the hero of the shield.

この 世界 は 波 と いわれる 魔物 が 次元 の 裂け目 から 大量に 現れる 謎 の 災害 に 襲われており 、 その 災害 を 乗り越える ため に 勇者 を 召喚 した のだ と いう 。 |せかい||なみ||いわ れる|まもの||じげん||さけめ||たいりょうに|あらわれる|なぞ||さいがい||おそわ れて おり||さいがい||のりこえる|||ゆうしゃ||しょうかん|||| Diese Welt wurde von einer mysteriösen Katastrophe heimgesucht, bei der Wellen von Dämonen in großer Zahl durch den Dimensionsspalt auftauchen, und die Helden wurden gerufen, um diese Katastrophe zu überwinden. It is said that this world has been attacked by a mysterious disaster where a demon called a wave appears in a large amount from a gap in the dimension, and it has summoned a brave to overcome that disaster. そして 、 俺 の 持つ この 盾 は 、 どんな 呪い が 掛け られて いる の か は 不明だ が 装備 を 外す こと が でき ず 、 しかも 守る こと しか でき ない と いう 大 問題 を 抱えて いる 。 |おれ||もつ||たて|||まじない||かけ||||||ふめいだ||そうび||はずす||||||まもる|||||||だい|もんだい||かかえて| Und dieser Schild, den ich habe, hat ein großes Problem: Ich weiß nicht, was für ein Fluch auf ihm lastet, aber er kann nicht abmontiert werden, und er kann nur geschützt werden. And this shield I have is having a major problem that I can not remove the equipment though I do not know what kind of curse is put on it and I can only protect it.

だけど 俺 は ネット ゲーム の 経験 を 生かし 、 自分 は 守る こと に 重点 を 置き 攻撃 は 仲間 に 頼ろう と した 。 |おれ||ねっと|げーむ||けいけん||いかし|じぶん||まもる|||じゅうてん||おき|こうげき||なかま||たよろう|| Aber ich habe meine Erfahrung in Online-Spielen genutzt, um mich auf meine Verteidigung zu konzentrieren und mich bei Angriffen auf meine Freunde zu verlassen. But I made use of the experience of net games, and I focused on protecting and attacking on my companions.

そんな 大 冒険 が 始まる と 胸 を 高鳴ら せて いた のだ が 、 卑劣な 罠 に 掛かり 、 あら ぬ 疑い に よって 冤罪 を 被って しまった 。 |だい|ぼうけん||はじまる||むね||たかなら|||||ひれつな|わな||かかり|||うたがい|||えんざい||おおって| Sie waren begeistert von der Aussicht auf ein solches Abenteuer, aber sie tappten in eine gemeine Falle und wurden fälschlicherweise für etwas beschuldigt, von dem sie nicht wussten, dass sie es getan hatten. When such a great adventure began, he was thrilled, but he was caught in a sneaky trap and was falsely accused of alleged suspicion. その 所 為 で 俺 は 人間 不信 に なり 、 仲間 は 出来 ず 、 無一文で 城 を 追い出さ れて 生活 する 羽目 に なった 。 |しょ|ため||おれ||にんげん|ふしん|||なかま||でき||むいちもんで|しろ||おいださ||せいかつ||はめ|| Das machte mich misstrauisch gegenüber den Menschen, ich hatte keine Freunde, und ich war gezwungen, mittellos im Schloss zu leben. Because of that reason, I became distrustful of human beings, and I could not make friends, and I was thrown out of the castle without a sentence and became a life to live.

じゃあ 波 と 戦わなければ 良い と 思う だろう が そう は いか ない 。 |なみ||たたかわ なければ|よい||おもう|||||| Man sollte meinen, dass es besser wäre, nicht gegen die Wellen anzukämpfen, aber das ist nicht der Fall. Then you would think it would be good if you didn't fight the waves, but it wouldn't be so.

勇者 は この 異 世界 の 波 と いう 災害 に よって 大体 一 ヶ月 毎 に 、 その 波 に 対処 する ため 、 強制 的に 召喚 さ れて しまう と いう 問題 が ある 。 ゆうしゃ|||い|せかい||なみ|||さいがい|||だいたい|ひと|かげつ|まい|||なみ||たいしょ|||きょうせい|てきに|しょうかん||||||もんだい|| Das Problem ist, dass die Helden etwa jeden Monat gezwungen werden, sich mit dieser außerweltlichen Katastrophenwelle zu befassen. There is a problem that the brave is forced to be summoned to deal with the waves, almost every month, by the disaster called the waves of the different world.

守り たく も ない 連中 を 命 を 懸けて 守ら ねば なら ない と いう 使命 を 無理やり 与え られ 、 時に 石 を 投げ られ つつ 俺 は 必死に 金 を 稼いだ 。 まもり||||れんちゅう||いのち||かけて|まもら||||||しめい||むりやり|あたえ||ときに|いし||なげ|||おれ||ひっしに|きむ||かせいだ Ich war gezwungen, mein Leben zu riskieren, um Menschen zu schützen, die ich nicht schützen wollte, und ich verdiente verzweifelt Geld, während ich manchmal bekifft war. I was forcibly given a mission of having to save my life for those who didn't want to protect me, and sometimes I was able to earn money while throwing stones at times.

で 、 俺 の 隣 の 藁 の 束 で 寝て いる 女の子 …… ラフタリア を 亜人 奴隷 と して 購入 した 。 |おれ||となり||わら||たば||ねて||おんなのこ|||あにん|どれい|||こうにゅう| Also kaufte ich ...... Raftalia, das Mädchen, das in einem Strohbündel neben mir schlief, als untermenschliche Sklavin. So, a girl sleeping in a bunch of chicks next to me ... I bought Laftalia as a slave to the slave.

この 世界 で は 奴隷 が 存在 し 、 この 国 メルロマルク で は 亜人 と いう 、 人間 に 似て いる けれど 動物 の 耳 や 尻尾 が ある 者 を 奴隷 と して 使役 して いる 。 |せかい|||どれい||そんざい|||くに||||あにん|||にんげん||にて|||どうぶつ||みみ||しっぽ|||もの||どれい|||しえき|| In dieser Welt gibt es Sklaven, und in dem Land Merlomark werden Untermenschen - Menschen, die wie Menschen aussehen, aber Tierohren und -schwänze haben - als Sklaven eingesetzt.

買った 当初 は 幼い 女の子 だった のだ が 、 いつの間にか 俺 より 若干 若い 程度 の 外見 に まで 成長 して しまって いた 。 かった|とうしょ||おさない|おんなのこ||||いつのまにか|おれ||じゃっかん|わかい|ていど||がいけん|||せいちょう||| Als ich sie zum ersten Mal kaufte, war sie ein kleines Mädchen, aber bevor ich mich versah, war sie so groß geworden, dass sie ein wenig jünger aussah als ich. At first I bought a little girl, but at some point it had grown to an appearance slightly younger than I. なんでも この 世界 の 亜人 と いう 種族 は 、 急速に Lv を 上げる と それ に 応じて 幼い 者 が 成長 して しまう そうだ 。 ||せかい||あにん|||しゅぞく||きゅうそくに|lv||あげる||||おうじて|おさない|もの||せいちょう|||そう だ As for the tribe of the sub-persons of this world, it is said that if the Lv is raised rapidly, the younger ones will grow accordingly.

最初 は 奴隷 と して コキ 使って やろう と 思って いた が 、 自己 満足な 決闘 を 申し込んで 来た 元康 と の 戦い で 俺 を 信じて くれて 、 自分 の 利益 を 犠牲 に して 行動 して くれた 。 さいしょ||どれい||||つかって|||おもって|||じこ|まんぞくな|けっとう||もうしこんで|きた|もとやす|||たたかい||おれ||しんじて||じぶん||りえき||ぎせい|||こうどう|| Zuerst dachte ich, ich würde ihn als Sklaven benutzen, aber er glaubte an mich und opferte seine eigenen Interessen, um gegen Motoyasu zu kämpfen, der ein Duell zu seiner eigenen Befriedigung vorgeschlagen hatte. At first I was thinking of using a job as a slave, but I applied for a self-gratifying duel Believe me in the fight with Motoyasu and acting at the expense of my own interests The そんな こと も あり 、 今では 大切な 仲間 と して 信頼 する こと に して いる 。 ||||いまでは|たいせつな|なかま|||しんらい||||| Aus diesem Grund vertraue ich ihnen jetzt als wichtige Kollegen. Because of that, I have now decided to trust as an important companion. 正直 、 この 世界 の 連中 なんて 全員 死んで しまえ と 思って いた けれど 、 少し だけ 助け たい と 思える ように なった 。 しょうじき||せかい||れんちゅう||ぜんいん|しんで|||おもって|||すこし||たすけ|||おもえる|| Um ehrlich zu sein, dachte ich früher, dass sie alle tot sein sollten, aber jetzt möchte ich ihnen ein wenig helfen. To be honest, everyone in this world thought it would be dead, but now I wanted to help a little.

「 あ ……」 "A. ......"

ラフタリア が 目 を こすり ながら 起き上がる 。 ||め||||おきあがる Laftalia gets up while rubbing her eyes.

「 おはよう ございます 。 ナオフミ 様 」 |さま Mr. Naofumi "

「 ああ …… おはよう 」

ラフタリア は かなり の 美 少女 だ 。 ||||び|しょうじょ|

顔 の つくり は 芸術 品 に 匹敵 する ほど 整って いて 、 美 少女 と いう 言葉 以外 で 表現 する の も 憚ら れる 。 かお||||げいじゅつ|しな||ひってき|||ととのって||び|しょうじょ|||ことば|いがい||ひょうげん||||はばから| Das Gesicht, das wir geschaffen haben, ist so gut geformt, dass es einem Kunstwerk gleichkommt, und wir zögern, sie anders zu beschreiben als ein schönes Mädchen. The structure of the face is as well-organized as a work of art, and it is confusing to express it in other than the word "beautiful girl".

髪 の 色 は 茶色 で 、 背中 まで 伸ばして おり 、 長くて 若干 カール が 掛かって いる 。 かみ||いろ||ちゃいろ||せなか||のばして||ながくて|じゃっかん|||かかって| Ihr Haar ist braun, reicht bis zum Rücken, ist lang und leicht gelockt. Her hair is brown, extends to her back, and is long and slightly curled. 瞳 は 大きく 、 澄んで いる ように 思える 。 ひとみ||おおきく|すんで|||おもえる Ihre Augen sind groß und scheinen klar zu sein. The eyes are big and seem clear. 色 は 綺麗な 紅茶 色 。 いろ||きれいな|こうちゃ|いろ Die Farbe ist ein schöner Teeton. 俺 が 今 まで 出会った 女の子 の 中 で 、 その 瞳 の 美し さ は 他 に 類 を 見 ない 。 おれ||いま||であった|おんなのこ||なか|||ひとみ||うつくし|||た||るい||み| Von allen Mädchen, die ich in meinem Leben getroffen habe, hat keines solche Augen wie sie.

ここ まで 純粋 そうな 瞳 を 維持 する の は 難しい 。 ||じゅんすい|そう な|ひとみ||いじ||||むずかしい Es ist schwierig, so reine Augen zu behalten. 外見 年齢 に 不相応な ピュア な 瞳 が ラフタリア の チャームポイント だ 。 がいけん|ねんれい||ふそうおうな|||ひとみ||||| Aussehen Raftalias reine Augen, die für ihr Alter unangemessen sind, sind ihr attraktivstes Merkmal.

この ラフタリア と 一緒に 俺 は Lv 上げ と 金 稼ぎ を 最初の 波 …… この 世界 で 二 番 目 の 波 が 発生 する まで 行い 、 幸いに も 乗り切った 波 と の 戦い は 後 で 説明 しよう と 思う 。 |||いっしょに|おれ||lv|あげ||きむ|かせぎ||さいしょの|なみ||せかい||ふた|ばん|め||なみ||はっせい|||おこない|さいわいに||のりきった|なみ|||たたかい||あと||せつめい|||おもう Mit Raftalia arbeitete ich mit der ersten Welle ...... und verdiente Geld, bis die zweite Welle die Welt traf, die ich glücklicherweise überlebte. With this Raphtalia, I'll raise Lv and make money until the first wave ... until the second wave in the world, and fortunately I'll explain the fight against the wave that survived later. 問題 は 波 の 後 の こと だった 。 もんだい||なみ||あと||| Das Problem war, was nach der Welle geschah. The problem was after the waves.

「 では 朝食 を 頂き に 行き ましょう 」 |ちょうしょく||いただき||いき| Dann lass uns gehen und frühstücken." "Let 's go for breakfast now"

「 そう だ な 、 城 の 食堂 で 貰える かな ? |||しろ||しょくどう||もらえる| "Well, can you get it in the castle dining room? 」 「 おそらくは …… 行って み ましょう 」 |おこなって|| "Maybe ... let's go" と 、 今 まで の 出来事 を 思い出す の は 程々に して 、 俺 達 は 食堂 に 向かった 。 |いま|||できごと||おもいだす|||ほどほどに||おれ|さとる||しょくどう||むかった And we remembered about what happened so far and we headed for the dining room.

ちなみに 俺 の 汚名 は まだ 雪 が れて おら ず 、 国 の 連中 の 俺 へ の 態度 は よく ない 。 |おれ||おめい|||ゆき|||||くに||れんちゅう||おれ|||たいど||| By the way, my stigma hasn't snowed yet, and my country's attitude to me is not good. 現に 食堂 に 行く と 兵士 が 俺 達 の 行く手 を 遮り 、 勇者 達 が 食事 中 だ とほ ざい た 挙句 、 兵士 の 食事 が 終わって から に しろ と 続ける 。 げんに|しょくどう||いく||へいし||おれ|さとる||ゆくて||さえぎり|ゆうしゃ|さとる||しょくじ|なか|||||あげく|へいし||しょくじ||おわって|||||つづける In fact, when I went to the cafeteria, the soldiers blocked our way, and after all the brave men were eating, I continued to wait until the soldiers had finished their meals. 盾 の 力 で 攻撃 する こと が でき ない と いう 制限 が 無かったら 殴り 飛ばして いる ところ だ 。 たて||ちから||こうげき||||||||せいげん||なかったら|なぐり|とばして||| If there is no restriction that you can not attack with the power of a shield, you are about to throw away.

俺 も その 勇者 の 一 人 である はずな の に も かかわら ず な ! おれ|||ゆうしゃ||ひと|じん|||||||| Even though I must be one of those heroes!

さて 、 食事 を 終えた 俺 達 は 謁見 の 間 に 通さ れた 。 |しょくじ||おえた|おれ|さとる||えっけん||あいだ||つう さ| Well, after we finished our meal, we were passed during the viewing period.

今回 、 俺 達 が 城 に 居る の は 波 から 世界 を 守った こと の 報酬 を 受け取る ため だ 。 こんかい|おれ|さとる||しろ||いる|||なみ||せかい||まもった|||ほうしゅう||うけとる|| The reason we are in the castle this time is to receive a reward for protecting the world from the waves.

たく 、 支払う の が 翌日 だった の なら さっさと 言えば 良い もの を …… この クズ は 俺 へ の 嫌がらせ に 命 でも 懸けて いる の か 。 |しはらう|||よくじつ|||||いえば|よい||||くず||おれ|||いやがらせ||いのち||かけて||| Taku, if it was the next day to pay, would it be good to say right now ... Is this thing hanging out for harassing me?

ただ で さえ 顔 を 合わせる の も 嫌な 奴 等 と 一緒に 居る んだ 。 |||かお||あわせる|||いやな|やつ|とう||いっしょに|いる| I'm with those guys who don't even want to meet face to face. 胃 に 穴 が 空いたら どう する んだ 。 い||あな||あいたら||| What if there is a hole in the stomach?

俺 が クズ と 心 の 中 で 呼んで いる の は 、 この 国 の 国王 オルトクレイ = メルロマルク …… 何 世 だった かな ? おれ||くず||こころ||なか||よんで|||||くに||こくおう|||なん|よ|| I am calling in my mind Kudzu the king of this country Ort Clay-Merlo Marc ... What a generation? 覚え たく も ない 。 おぼえ||| I do not want to remember either. ともかく 、 俺 を 召喚 した 国 の 王 だ 。 |おれ||しょうかん||くに||おう| Anyway, he is the king of the country that summoned me.

俺 が 冤罪 の 嫌疑 を 掛け られた 時 、 真実の 追究 なんか 放っておいて 、 俺 に 罪 を 被せ や がった 酷 い 王 だ 。 おれ||えんざい||けんぎ||かけ||じ|しんじつの|ついきゅう||ほうっておいて|おれ||ざい||かぶせ|||こく||おう| When I was accused of false accusations, I was a terrible king who guilty of me, leaving me alone in the pursuit of truth. 挙句 、 昨夜 は 権力 を 使って 無理やり 騒ぎ を 起こし や がった 。 あげく|さくや||けんりょく||つかって|むりやり|さわぎ||おこし|| After all, last night I used my power to force a fuss.

「 では 今回 の 波 まで に 対する 報奨 金 と 援助 金 を 渡す と しよう 」 |こんかい||なみ|||たいする|ほうしょう|きむ||えんじょ|きむ||わたす|| "Let 's say we're giving away some bounty and money for this wave."

次の 波 に 備える ため の 金 だ 。 つぎの|なみ||そなえる|||きむ| It's money to prepare for the next wave. クズ 王 は 勇者 全員 に 渡す こと を 約束 して いた 。 くず|おう||ゆうしゃ|ぜんいん||わたす|||やくそく|| King Kuzu had promised to give it to all the brave men.

ツカツカ と 金 袋 を 持った 側近 が 現れる 。 ||きむ|ふくろ||もった|そっきん||あらわれる An aide with a tsukatsuka and a gold bag appears.

「 では それぞれ の 勇者 達 に 」 |||ゆうしゃ|さとる| "Then to each of the heroes"

金 袋 の 方 に 視線 が 向く 。 きむ|ふくろ||かた||しせん||むく The line of sight turns toward the gold bag.

確か 、 月々 の 援助 金 と して 、 最低 でも 銀貨 五〇〇 枚 は 貰える はず 。 たしか|つきづき||えんじょ|きむ|||さいてい||ぎんか|いつ|まい||もらえる| Certainly, you should be able to get at least 500 silver coins as a monthly aid.

今回 の 金 で 何 を 買う か 。 こんかい||きむ||なん||かう| What do you buy with this money?

とりあえず ラフタリア の 武器 あたり が 妥当 か ? |||ぶき|||だとう| First of all, is it appropriate for Laftalia 's weapons?

あるいは 、 この際 だ から 良い 防 具 を 買う と いう 選択 も ある 。 |このさい|||よい|ふせ|つぶさ||かう|||せんたく|| Alternatively, you have the option of buying good armor at this time. ああ 、 でも そろそろ 薬 の 調合 で 使う 機材 の 新調 も し たい ところ だ し なぁ 。 |||くすり||ちょうごう||つかう|きざい||しんちょう||||||| Oh, but it's about time I'd like to set up a new set of equipment to use in the formulation of medicines. 実は あの 機材 、 盾 が 反応 して いて 、 吸わ せたら 何 に なる か 興味 が あった んだ よ なぁ 。 じつは||きざい|たて||はんのう|||すわ||なん||||きょうみ||||| In fact, that equipment, the shield is responding, and I was interested in what it would be like if I let it suck. ジャラジャラ と いう 金 袋 の 音 に 、 何 を 買おう か と 夢 が 広がる 。 |||きむ|ふくろ||おと||なん||かおう|||ゆめ||ひろがる The sound of a gold sack, called Jarrajara, broadens my dream as to what to buy.

俺 の 目の前 に 金 袋 の 中身 が わかる ように 見せ られる 。 おれ||めのまえ||きむ|ふくろ||なかみ||||みせ| You can see the contents of the gold bag in front of me.

ひ ー ふ ー み ー ………… うん 、 きっちり 数えて 五〇〇 枚 ある 。 |-||-||-|||かぞえて|いつ|まい|

「 モトヤス 殿 に は 、 今回 の 活躍 と 依頼 達成 に よる 期待 と を あわせて 銀貨 四〇〇〇 枚 」 |しんがり|||こんかい||かつやく||いらい|たっせい|||きたい||||ぎんか|よっ|まい

おい !

呆 気 け に 取ら れた 俺 は 元康 の 持つ 、 重 そうな 袋 に 目 を 奪わ れた 。 ぼけ|き|||とら||おれ||もとやす||もつ|おも|そう な|ふくろ||め||うばわ| 文句 を 言ったら それ こそ 、 何 倍 も の 嫌味 を 言わ れ そうだ から 黙って いる が 、 拳 に 力 が 集まる の を 感じる 。 もんく||いったら|||なん|ばい|||いやみ||いわ||そう だ||だまって|||けん||ちから||あつまる|||かんじる

この モトヤス と 呼ば れた 奴 、 本名 は 『 北村 元康 』。 |||よば||やつ|ほんみょう||きたむら|もとやす 俺 と 同じく 異 世界 の 日本 から 来た 勇者 で 、 選ば れた 伝説 の 武器 は 槍 。 おれ||おなじく|い|せかい||にっぽん||きた|ゆうしゃ||えらば||でんせつ||ぶき||やり だから 槍 の 勇者 と 呼ば れて いる 。 |やり||ゆうしゃ||よば||

年齢 は 二一 歳 。 ねんれい||にいち|さい 俺 以外 の 勇者 は この 世界 に よく 似た ゲーム を プレイ した 経験 と 知識 を 持って いる らしい 。 おれ|いがい||ゆうしゃ|||せかい|||にた|げーむ||||けいけん||ちしき||もって|| しかし 、 その 知識 を 俺 に は 教え ず 、 俺 以外 の 勇者 は 俺 を ハメ て 蹴落とした のだ 。 ||ちしき||おれ|||おしえ||おれ|いがい||ゆうしゃ||おれ||||けおとした|

で 、 この 元康 、 何でも 女 関係 で 刺さ れて この 世界 に 飛んで きた そうだ 。 ||もとやす|なんでも|おんな|かんけい||ささ|||せかい||とんで||そう だ あくまで 本人 談 な ので 真偽 は 不明だ 。 |ほんにん|だん|||しんぎ||ふめいだ

この 元康 、 仲間 は 全員 女 、 と いう ハーレム パーティー を 作って いる 無類の 女 好きだ 。 |もとやす|なかま||ぜんいん|おんな|||はーれむ|ぱーてぃー||つくって||むるいの|おんな|すきだ

昨夜 の 事 、 ラフタリア が 俺 の 奴隷 と して 戦い を 強い られて いる と 思いこんだ コイツ は 、 ラフタリア を 救う と 意気込んで 強引に 決闘 を 申し込んで きた 。 さくや||こと|||おれ||どれい|||たたかい||つよい||||おもいこんだ|||||すくう||いきごんで|ごういんに|けっとう||もうしこんで|

本来 決闘 と は 双方 が 譲れ ない こと を 賭けて 戦う もの な のだ が 、 コイツ は 俺 に とって 損に しか なら ない 条件 を 提示 し 、 俺 に 攻撃 手段 が 無い こと を 知り ながら 決闘 を 仕掛けて きた 。 ほんらい|けっとう|||そうほう||ゆずれ||||かけて|たたかう|||||||おれ|||そんに||||じょうけん||ていじ||おれ||こうげき|しゅだん||ない|||しり||けっとう||しかけて| もちろん 、 受ける 義理 も 無かった ので 断った が 、 前述 の クズ 王 が 強引に 決闘 を 行わ せた 。 |うける|ぎり||なかった||たった||ぜんじゅつ||くず|おう||ごういんに|けっとう||おこなわ| しかも 俺 が 負ければ ラフタリア を 解放 する だけ で 、 元康 に は 何の デメリット も 無い 、 不公平 極まりない 戦い を さ せ られた 。 |おれ||まければ|||かいほう||||もとやす|||なんの|でめりっと||ない|ふこうへい|きわまりない|たたかい||||

だからといって 簡単に 負け を 認める わけに は いか ない 。 |かんたんに|まけ||みとめる|||| 俺 は 無い 知恵 を 絞って 元康 を 追い詰めた 。 おれ||ない|ちえ||しぼって|もとやす||おいつめた そこ で 卑怯 な 横やり が 入り 、 俺 は 無理やり 負け させ られて しまった 。 ||ひきょう||よこやり||はいり|おれ||むりやり|まけ|さ せ||

最終 的に は 、 ラフタリア が 自ら の 意思 で 元康 の 手 を 拒んで 俺 の 元 に 戻って くれた の が 救い だ 。 さいしゅう|てきに||||おのずから||いし||もとやす||て||こばんで|おれ||もと||もどって||||すくい|

そんな 感じ で コイツ は 俺 の 不幸 の 元凶 に 一 枚 噛んで いる 敵 だ 。 |かんじ||||おれ||ふこう||げんきょう||ひと|まい|かんで||てき|

正直 言えば 女性 経験 が 豊富 そうな イケメン の ナンパ な 男 と いう の が 元康 の 外見 だ 。 しょうじき|いえば|じょせい|けいけん||ほうふ|そう な|||||おとこ|||||もとやす||がいけん|

豪華な 銀 の 胸 当て を 着け 、 まさしく 勝ち 組 に 乗った 勇者 と 表現 する の が 正しい だろう 。 ごうかな|ぎん||むね|あて||つけ||かち|くみ||のった|ゆうしゃ||ひょうげん||||ただしい|

「 次に レン 殿 、 やはり 波 に 対する 活躍 と 我が 依頼 を 達成 して くれた 報酬 を プラス して 銀貨 三八〇〇 枚 」 つぎに||しんがり||なみ||たいする|かつやく||わが|いらい||たっせい|||ほうしゅう||ぷらす||ぎんか|さんはち|まい

お前 も か !? おまえ||

クール を 装って いる が 、 元康 に 負けて いる の が 悔しい ような 顔付き で 錬 が 金 袋 を 持って いる 。 ||よそおって|||もとやす||まけて||||くやしい||かおつき||||きむ|ふくろ||もって| しかも 小声 で 『 王女 の お気に入り だ から だ ろ ……』 と 、 毒 づ いて いる 。 |こごえ||おうじょ||おきにいり||||||どく|||

この 錬 と いう 奴 は 、 本名 は 『 天 木 き 錬 』 と いい 、 俺 と 同じく 異 世界 の 日本 から 召喚 さ れた 剣 の 勇者 だ 。 ||||やつ||ほんみょう||てん|き|||||おれ||おなじく|い|せかい||にっぽん||しょうかん|||けん||ゆうしゃ| 歳 は 一六 歳 だった か 。 さい||いちろく|さい||

但し 、 俺 の 知る 日本 で は なく 異 世界 の 日本 …… えっ と 具体 的に いう と VRMMO と いう 架空の 電 脳 世界 に 入る こと が できる ほど 科学 の 進んだ 日本 から この 世界 に 来た と いう 経緯 が ある 。 ただし|おれ||しる|にっぽん||||い|せかい||にっぽん|||ぐたい|てきに|||vrmmo|||かくうの|いなずま|のう|せかい||はいる|||||かがく||すすんだ|にっぽん|||せかい||きた|||けいい||

様々な 日本 が ある ようで 、 昔 の 俺 だったら 錬 の 世界 に も 行って み たい と か 思った だろう 。 さまざまな|にっぽん||||むかし||おれ||||せかい|||おこなって|||||おもった|

錬 は 年 相応 の 身長 で 女 顔 の 美 少年 剣士 だ 。 ||とし|そうおう||しんちょう||おんな|かお||び|しょうねん|けんし| 性格 は クール を 演じて いる 熱血 …… な の か ? せいかく||||えんじて||ねっけつ||| 内心 は 他者 を 見下して 、「 俺 の 知る ゲーム 知識 で 世界 を 救う 。 ないしん||たしゃ||みくだして|おれ||しる|げーむ|ちしき||せかい||すくう 本当の 勇者 は 俺 だ 」 と か 思って い そう 。 ほんとうの|ゆうしゃ||おれ||||おもって||

「 そして イツキ 殿 …… 貴 殿 の 活躍 は 国 中 に 響いて いる 。 ||しんがり|とうと|しんがり||かつやく||くに|なか||ひびいて| Und Itzki, ...... Ihre Arbeit wird im ganzen Land gehört. よく あの 困難な 仕事 を 達成 して くれた 。 ||こんなんな|しごと||たっせい|| Sie haben diese schwierige Aufgabe gut gemeistert. 銀貨 三八〇〇 枚 だ 」 ぎんか|さんはち|まい|

樹 に 至って は 『 この 辺り が 妥当でしょう 』 と 呟き つつ 、 元康 の 方 へ 羨ま し そうな 目 を 向けて いる の が わかった 。 き||いたって|||あたり||だとうでしょう||つぶやき||もとやす||かた||うらやま||そう な|め||むけて|||| Er murmelte vor sich hin: "Das ist wahrscheinlich ein guter Ort, um anzufangen", während er neidisch zu Motoyasu blickte.

樹 の 本名 は 『 川澄 樹 』、 歳 は 錬 より 一 つ 上 の 一七 歳 。 き||ほんみょう||かわすみ|き|さい||||ひと||うえ||いちしち|さい Sein richtiger Name ist Tatsuki Kawasumi und er ist 17 Jahre alt, ein Jahr älter als Ren. 物腰 の 柔らかい 少年 と いう の が 第 一 印象 だ 。 ものごし||やわらかい|しょうねん|||||だい|ひと|いんしょう| Mein erster Eindruck ist, dass er ein sanftmütiger Junge ist. ただ 、 なんて いう か 儚 げ だ 。 ||||はかな|| Es ist einfach so zerbrechlich. 所持 する 伝説 の 武器 は 弓 。 しょじ||でんせつ||ぶき||ゆみ Seine legendäre Waffe ist der Bogen.

あまり 接点 が ない から よく 知ら ない 。 |せってん|||||しら| それ でも 元康 や 錬 の ように ゲーム の 知識 を 持って いて 、 俺 と は 違う 世界 の 日本 出身 だ 。 ||もとやす|||||げーむ||ちしき||もって||おれ|||ちがう|せかい||にっぽん|しゅっしん|

勇者 の 中 じゃ 一 番 幼く 見える だろう な 。 ゆうしゃ||なか||ひと|ばん|おさなく|みえる|| 実 年齢 は 錬 が 一 番 下 だろう けど 。 み|ねんれい||||ひと|ばん|した||

そんな 事 より も 、 錬 へ の 依頼 って 何 だ よ ? |こと||||||いらい||なん|| 初めて 聞いた ぞ 。 はじめて|きいた|

「 ふん 、 盾 に は もう 少し 頑張って もらわ ねば なら ん な 」 |たて||||すこし|がんばって|||||

名前 で すら ない ! なまえ||| 誰 が 盾 だ 。 だれ||たて|

頭 の 血管 が 切れ そうな 苛立ち を 感じる 。 あたま||けっかん||きれ|そう な|いらだち||かんじる 昨日 あれ だけ 我 侭 を ほ ざ いた 貴 様 が 言う の か !? きのう|||われ|まま|||||とうと|さま||いう||

で 、 俺 が 金 袋 を 受け取ろう と する と 何故 か 引っ込め られた 。 |おれ||きむ|ふくろ||うけとろう||||なぜ||ひっこめ|

「 奴隷 紋 の 解 呪 代 と して 援助 金 は なし と さ せて もらう ! どれい|もん||かい|まじない|だい|||えんじょ|きむ|||||| 」 て め ぇ ! 「…… あの 、 王様 」 |おうさま

ラフタリア が 手 を 上げる 。 ||て||あげる

「 なんだ ? 亜人 」 あにん

「…… その 、 依頼 と は な んです か ? |いらい||||| 」 ラフタリア も 察して いる のだろう 。 ||さっして|| 報酬 が 貰え ない こと に 目 を 瞑って 、 別の 観点 から 尋ねる 。 ほうしゅう||もらえ||||め||つぶって|べつの|かんてん||たずねる

「 我が国 で 起こった 問題 を 勇者 殿 に 解決 して もらって いる のだ 」 わがくに||おこった|もんだい||ゆうしゃ|しんがり||かいけつ||||

「…… 何故 、 ナオフミ 様 は 依頼 を 受けて い ない のです か ? なぜ||さま||いらい||うけて|||| 初耳 な のです が 」 はつみみ|||

「 フッ ! 盾 に 何 が できる 」 たて||なん||

う ぜ ぇ !

謁見 の 間 が 失笑 に 包ま れる 。 えっけん||あいだ||しっしょう||つつま|

ああ 、 や ばい 。 怒り で 暴れ だし そう 。 いかり||あばれ||

「…………」

そう 思った のだ が 、 ラフタリア の 方 から 拳 を ぎゅっと 握り締める 音 が 聞こえて 来た 。 |おもった|||||かた||けん|||にぎりしめる|おと||きこえて|きた

見る と 無言 で 怒り を 押し殺して 震えて いる 。 みる||むごん||いかり||おしころして|ふるえて|

…… うん 。 堪え きれ そう 。 こらえ||

「 ま 、 全然 活躍 し なかった もん な 」 |ぜんぜん|かつやく||||

「 そう です ね 。 波 で は 見掛け ませ ん でした が 何 を して いた のです か ? なみ|||みかけ|||||なん||||| 」 「 足手まといに なる なんて 勇者 の 風上 に も 置け ない 奴 だ 」 あしでまといに|||ゆうしゃ||かざかみ|||おけ||やつ| 三 勇者 共 が それぞれ 皮肉 混じり に 言った 。 みっ|ゆうしゃ|とも|||ひにく|まじり||いった

苛立ち も 最高潮 だ 。 いらだち||さいこうちょう| せめて 嫌味 だけ でも 言って おく か 。 |いやみ|||いって||

「 民間 人 を 見殺し に して ボス だけ と 戦って いれば 、 そりゃ あ 大 活躍 だろう さ 。 みんかん|じん||みごろし|||ぼす|||たたかって||||だい|かつやく|| 勇者 様 」 ゆうしゃ|さま

そう 、 コイツ 等 は 波 で 現れた ボス に だけ 目 が 行って 、 今にも 死に そうな 連中 を 無視 して 突撃 して いった 。 ||とう||なみ||あらわれた|ぼす|||め||おこなって|いまにも|しに|そう な|れんちゅう||むし||とつげき|| その お 鉢 が 回って きて 、 俺 達 は 村 の 連中 を 助けて 歩く こと に なった 。 ||はち||まわって||おれ|さとる||むら||れんちゅう||たすけて|あるく|||

「 ハッ ! そんな の は 騎士 団 に 任せて おけば 良い んだ よ 」 |||きし|だん||まかせて||よい||

「 その 騎士 団 が ノロマ だ から 問題 なんだ ろ 。 |きし|だん|||||もんだい|| あの まま だったら 何 人 の 死人 が 出た こと やら …… ボス に しか 目 が 行って い ない 奴 に は それ が わから なかった んだ な 」 |||なん|じん||しにん||でた|||ぼす|||め||おこなって|||やつ||||||||

元康 、 錬 、 樹 が 騎士 団 の 団長 の 方 を 向く 。 もとやす||き||きし|だん||だんちょう||かた||むく すると 団長 の 奴 、 忌 々 し そうに 頷 うなずいた 。 |だんちょう||やつ|い|||そう に|うなず|

「 だが 、 勇者 に 波 の 根源 を 対処 して もらわ ねば 被害 が 増大 する の も 事実 、 うぬぼれる な ! |ゆうしゃ||なみ||こんげん||たいしょ||||ひがい||ぞうだい||||じじつ|| 」 この 野郎 …… お前 が それ を 言う の か ? |やろう|おまえ||||いう|| 城 で ふんぞり返って いた だけ の 分 際 で 偉 そうに 。 しろ||ふんぞりかえって||||ぶん|さい||えら|そう に そもそも 勇者 って 俺 も 勇者 だ よ 。 |ゆうしゃ||おれ||ゆうしゃ|| それとも アレ か 、 盾 は 勇者 じゃ ない って か ? |||たて||ゆうしゃ||||

「 は いはい 。 じゃあ 俺 達 は 色々 と 忙しい んで ね 。 |おれ|さとる||いろいろ||いそがしい|| 行か せて もらい ます ヨー 」 いか||||

ここ で ムキ に なって も 意味 は ない 。 ||||||いみ|| この 程度 で 立ち去る の が 妥当だろう 。 |ていど||たちさる|||だとうだろう

「 まて 、 盾 」 |たて

「 あ ? なんだ よ 。 俺 は 城 で ふんぞり返って る だけ の クズ 王 と 違って 暇じゃ ない んだ 」 おれ||しろ||ふんぞりかえって||||くず|おう||ちがって|ひまじゃ||

「 お前 は 期待 は ずれ も いい ところ だ 。 おまえ||きたい|||||| 消え失せろ ! きえうせろ 二度と 顔 を 見せる な 」 にどと|かお||みせる|

くっ !?  コイツ は どこまでも 俺 を 不快に さ せる 野郎 だ ! ||||おれ||ふかいに|||やろう|

「 それ は 良かった です ね 、 ナオフミ 様 」 ||よかった||||さま

満面 の 笑み で ラフタリア が 答える 。 まんめん||えみ||||こたえる

「…… え ? 」 「 もう 、 こんな 無駄な 場所 へ 来る 必要 が なくなり ました 。 ||むだな|ばしょ||くる|ひつよう||| 無意味に 時間 を 浪費 する より も 、 もっと 必要な 事 に 貴重な 時間 を 割き ましょう 」 むいみに|じかん||ろうひ|||||ひつような|こと||きちょうな|じかん||さき|

「 あ …… ああ 」

なんか ラフタリア が 頼り に なって きて いる 気 が する 。 |||たより|||||き||

ギュッと ラフタリア に 手 を 握ら れた 。 ぎゅっと|||て||にぎら| きっと ラフタリア も 怒って いる んだろう 。 |||いかって|| 一 人 だけ だ と 耐え られ ない 怒り も 鎮まって いく ように 感じた 。 ひと|じん||||たえ|||いかり||しずまって|||かんじた

「 ちょっと 待って ください 」 |まって|

樹 が 手 を 上げて クズ に 異論 を 唱えた 。 き||て||あげて|くず||いろん||となえた

「 な んじゃ 弓 の 勇者 殿 ? ||ゆみ||ゆうしゃ|しんがり 」 何 を 言う つもりだ ? なん||いう| どうせ 碌 な 事 を 言わ ない んだろう けど さ 。 |ろく||こと||いわ||||

「 昨日 の 事 な のです が 、 尚文 さん に 対して 行った 不正 に 関する 問題 を どう 考えて いる のです か ? きのう||こと||||なおふみ|||たいして|おこなった|ふせい||かんする|もんだい|||かんがえて||| と 、 尋ねて いる のです 」       一瞬 で 場 の 空気 が 固まった 。 |たずねて|||いっしゅん||じょう||くうき||かたまった

「 どう 、 と は ? 」 「 ですから 、 ラフタリア さん を 賭けた 勇者 同士 の 戦い に おいて 不正 を 行った に も かかわら ず 、 勝手に 奴隷 紋 でした っけ ? ||||かけた|ゆうしゃ|どうし||たたかい|||ふせい||おこなった|||||かってに|どれい|もん|| …… を 、 解いて おき ながら 援助 金 を 支給 し ない と いう の は どう な のです か と 聞いて いる んです 」 |といて|||えんじょ|きむ||しきゅう||||||||||||きいて||

なんだ ? 樹 の 目 が 普段 に も 増して 鋭く 、 クズ を 強く 詰問 して いる ようだった 。 き||め||ふだん|||まして|するどく|くず||つよく|きつもん|||

「 そう だ な 、 俺 も 見て いた が 、 明らかに 尚文 は 元康 に ルール 上 で は 勝って いた 」 |||おれ||みて|||あきらかに|なおふみ||もとやす||るーる|うえ|||かって|

「 俺 は 負けて ねぇ ! おれ||まけて| 」 元康 が 異議 を 唱える が 、 錬 と 樹 の 目 は 冷たい 。 もとやす||いぎ||となえる||||き||め||つめたい 「 返答 次第 で は 尚文 さん が 本当に 性 犯罪 を 犯した の か ? へんとう|しだい|||なおふみ|||ほんとうに|せい|はんざい||おかした|| と いう 所 まで 遡る こと に なり ます 」 ||しょ||さかのぼる||||

「 あ 、 う ……」

クズ の 奴 が 視線 を 泳が せ ながら 口 を つむぐ 。 くず||やつ||しせん||えい が|||くち||

「 違い ます わ イツキ 様 、 レン 様 ! ちがい||||さま||さま 」 派手な 装飾 を 身 に 付け 、 厚い 化粧 を した ビッチ の ような 女 が そこ に 割り込んで 言い放った 。 はでな|そうしょく||み||つけ|あつい|けしょう||||||おんな||||わりこんで|いいはなった そう 、 コイツ が 諸悪 の 根源 に して 俺 に 犯罪 者 の 汚名 を 着せた 最低の ビッチ 女 だ ! |||しょあく||こんげん|||おれ||はんざい|もの||おめい||きせた|さいていの||おんな|

マイン = スフィア 。 本名 は マルティ と 言う らしい が 、 名前 なんて どう で も いい 。 ほんみょう||||いう|||なまえ|||||

性格 を 表した 血 の ように ドス 赤い 髪 、 忌 々 しい が 容姿 だけ は 美しい 。 せいかく||あらわした|ち||||あかい|かみ|い||||ようし|||うつくしい

国 が 用意 した 冒険 者 が 誰一人 と して 俺 の 仲間 に なろう と し なかった 中 で 唯一 俺 の 仲間 に なった 。 くに||ようい||ぼうけん|もの||だれひとり|||おれ||なかま||||||なか||ゆいいつ|おれ||なかま|| だが 、 支度 金 と して 支給 さ れた 俺 の 金 を 全て 奪った 挙句 元康 の 元 へ 下り 、 俺 に 性 犯罪 者 の 汚名 を 着せた 、 とんでもなく 腹黒い 女 だ 。 |したく|きむ|||しきゅう|||おれ||きむ||すべて|うばった|あげく|もとやす||もと||くだり|おれ||せい|はんざい|もの||おめい||きせた||はらぐろい|おんな|

だ から これ から 俺 は 心 の 中 で この クソ むかつく 魔女 を ビッチ と 呼ぶ こと に 決めた 。 ||||おれ||こころ||なか|||くそ||まじょ||||よぶ|||きめた

しかも 事もあろうに この ビッチ 、 この 国 の 王女 だ と か 。 |こともあろうに||||くに||おうじょ|||

俺 が 異 世界 に 飛ぶ 前 に 読んで いた 書物 、 四 聖 武器 書 に も ビッチ っぽい 姫 が 出て きた 。 おれ||い|せかい||とぶ|ぜん||よんで||しょもつ|よっ|せい|ぶき|しょ|||||ひめ||でて| コイツ の 事 な んじゃ ない か と 睨んで いる 。 ||こと||||||にらんで|

「 盾 の 勇者 は 一 対 一 の 決闘 に おいて マント の 下 に 魔物 を 隠し持って いた のです 。 たて||ゆうしゃ||ひと|たい|ひと||けっとう|||まんと||した||まもの||かくしもって|| ですから 私 の 父 である 国王 は 采 さい配 は いと して 決着 の 判決 を 見送った のです 」 |わたくし||ちち||こくおう||さい|さいはい||||けっちゃく||はんけつ||みおくった|

何 を 言って や がる 。 なん||いって|| 攻撃 の 手段 が 無い 俺 に 対して 一 対 一 で 決闘 を 申し込んだ 時点 で 勝敗 も 糞 も ない だろう が ! こうげき||しゅだん||ない|おれ||たいして|ひと|たい|ひと||けっとう||もうしこんだ|じてん||しょうはい||くそ|||| 当然 それ を わかって いて 決闘 さ せた んだろう が な 。 とうぜん|||||けっとう|||||

「 考え は わかり ます けど ……」 かんがえ||||

「 納得 は 無理だ ろ 」 なっとく||むりだ|

樹 と 錬 が 不満 気 に して いる 。 き||||ふまん|き|||

ビッチ の 奴 も 忌 々 し げ に 言い訳 を 考えて いる 。 ||やつ||い|||||いいわけ||かんがえて| こういう ビッチ は 悪知恵 だけ は 働く から な 。 |||わるぢえ|||はたらく||

「 マイン さん 。 それ でも あなた が 後ろ から 魔法 を 放った こと は 反則 です 」 ||||うしろ||まほう||はなった|||はんそく|

「 仕事 を して い ない の は 確かだろう が 、 見た 感じ だ と ギルド から の 依頼 も 来て い ない みたいだ し 、 最低 限 の 援助 は 必要な んじゃ ない か ? しごと|||||||たしかだろう||みた|かんじ|||ぎるど|||いらい||きて|||||さいてい|げん||えんじょ||ひつような||| 実際 、 騎士 団 の 代わり に 村 を 守った んだ ろ ? じっさい|きし|だん||かわり||むら||まもった|| 」 ビッチ が 小さく 舌打ち する の が 聞こえて くる 。 ||ちいさく|したうち||||きこえて| ざ まあ ない な 。 権力 で 揉み消す に も 、 相手 は 勇者 だ から 騙す に 騙せ ない の は わかって いる だ ろ 。 けんりょく||もみけす|||あいて||ゆうしゃ|||だます||だませ|||||||

現状 証拠 で こっち の 方 が 優勢な んだ よ 。 げんじょう|しょうこ||||かた||ゆうせいな|| 他 に 証人 が い なかった 冤罪 の 時 と 一緒に する な 。 た||しょうにん||||えんざい||じ||いっしょに||

「…… しょうがない 。 では 最低 限 の 援助 金 だけ は 支給 して やろう 。 |さいてい|げん||えんじょ|きむ|||しきゅう|| 受け取る が 良い 」 うけとる||よい

クズ が 高らかに 命令 する と 金 袋 が 俺 に 受け渡さ れる 。 くず||たからかに|めいれい|||きむ|ふくろ||おれ||うけわたさ|

「 では 王様 、 私 達 は おいとま さ せて いただき ます ね 。 |おうさま|わたくし|さとる||||||| 勇者 様 方 、 正しい 判断 に 感謝 いたし ます 」 ゆうしゃ|さま|かた|ただしい|はんだん||かんしゃ||

と 軽やかな 歩調 で ラフタリア は 俺 を リード し 、 城 を 後 に する 。 |かろやかな|ほちょう||||おれ||||しろ||あと||

「 負け 犬 の 遠吠え が 」 まけ|いぬ||とおぼえ|

お前 が 言う な と 言い たく なる 元康 と 、 無言 で 肩 を すくめる 錬 と 樹 。 おまえ||いう|||いい|||もとやす||むごん||かた|||||き

…… うん 。 理不尽 を 共有 する って 、 こんなに も 気分 が 楽に なる んだ な 。 りふじん||きょうゆう|||||きぶん||らくに|||

錬 も 樹 も 、 一応 は 元康 へ の 疑い を 持った ようだ 。 ||き||いちおう||もとやす|||うたがい||もった| ま 、 見て 見ぬ 振り を して いる のだ から 許し は し ない けど 。 |みて|みぬ|ふり||||||ゆるし||||

「 では 、 あの 奴隷 商 の テント に 行って 奴隷 紋 を 掛けて もらい ましょう 」 ||どれい|しょう||てんと||おこなって|どれい|もん||かけて||

「 え ? 」 城 を 出る と ラフタリア が 振り向いて 言った 。 しろ||でる||||ふりむいて|いった 「 じゃ ない と ナオフミ 様 は 私 を 心から 信じて くれ ませ ん から ね 」 ||||さま||わたくし||こころから|しんじて|||||

「 いや …… もう 、 別に 奴隷 と か じゃ なくて も 良い んだ ぞ ? ||べつに|どれい||||||よい|| 」 「 ダメです 」 だめです 「 はい ? 」 「 ナオフミ 様 は 奴隷 以外 を 信じ られ ない 方 です 。 |さま||どれい|いがい||しんじ|||かた| 嘘 を 吐いた って ダメです よ 」 うそ||はいた||だめです|

…… 俺 は ラフタリア の 育て 方 を 間違えた の かも しれ ない 。 おれ||||そだて|かた||まちがえた||||

確かに 奴隷 以外 信じ られ ない と いう の は 事実 だ けど 、 ラフタリア は 奴隷 で なく たって 信じて も 良い 。 たしかに|どれい|いがい|しんじ|||||||じじつ|||||どれい||||しんじて||よい

もしも ラフタリア が 自分 の 事 だけ を 考えて いた なら 、 決闘 の 時 に 元康 の 下 へ 行けば 良かった 。 |||じぶん||こと|||かんがえて|||けっとう||じ||もとやす||した||いけば|よかった

現に この 国 の 連中 に 嫌わ れて いる 俺 と 一緒に いて 良い 事 なんて 無 いし 。 げんに||くに||れんちゅう||きらわ|||おれ||いっしょに||よい|こと||む|

「 あの さ 、 ラフタリア 」

「 な んです か ? 」 「 別に 呪い を 掛け なくて も 良い んだ ぞ ? べつに|まじない||かけ|||よい|| 」 「 いいえ 、 掛けて もらい ます 」 |かけて|| …… 何故 、 この 子 は こんなに も こだわる んだ ? なぜ||こ|||||

「 私 も ナオフミ 様 に 信じて もらって いる 証 が 欲しい のです 」 わたくし|||さま||しんじて|||あかし||ほしい|

その 言葉 を 聞いて 、 純粋に この 子 を 守り たい と 思った 。 |ことば||きいて|じゅんすいに||こ||まもり|||おもった

俺 の 胸 の 中 に 湧いて くる 思い 、 これ が 恋心 か と も 思う が 、 何 か 引っかかる 。 おれ||むね||なか||わいて||おもい|||こいごころ||||おもう||なん||ひっかかる

外見 こそ 大人 だ が 、 ラフタリア は ほんの 少し 前 まで 子供 だった 。 がいけん||おとな||||||すこし|ぜん||こども| というのも 、 亜人 と いう 種族 は Lv が 上がる と 年齢 以上 に 成熟 して いく と いう 特徴 が ある のだ 。 |あにん|||しゅぞく||lv||あがる||ねんれい|いじょう||せいじゅく|||||とくちょう|||

ラフタリア は 親 を 波 の 災害 に 襲わ れて 亡くして いる 。 ||おや||なみ||さいがい||おそわ||なくして| だから 、 守り たい と 思う 気持ち は 恋心 と いう より は 親心 に 近い の かも 。 |まもり|||おもう|きもち||こいごころ|||||おやごころ||ちかい|| 幼い ラフタリア が 大きく 育った から …… そうに 違いない 。 おさない|||おおきく|そだった||そう に|ちがいない

これ が 親心 と いう 物 な のだろう 。 ||おやごころ|||ぶつ|| だから 俺 が 親 代わり に なら ねば 。 |おれ||おや|かわり|||

「 さ 、 行き ましょう 」 |いき|

そこ まで 言う の なら 止める 必要 は 無い 。 ||いう|||とどめる|ひつよう||ない 好きな ように させよう 。 すきな||さ せよう

俺 達 は 奴隷 を 扱って いる 、 あの テント に 顔 を 出す こと に した のだった 。 おれ|さとる||どれい||あつかって|||てんと||かお||だす||||