Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes ) Episode 5
銀河 帝国 の 名門 カストロプ 公爵 家
先 の 財務 尚書 で あった カストロプ 公 オイゲン は
その 職権 を 乱用 し て 私腹 を 肥やし て い た
その 死 に 際し 帝国 は
その 不正 に 得た 資産 の 返還 を 求めた
だが カストロプ 公 の 嫡男 マクシミリアン は これ に 反発 し
その 財力 を 背景 に して 反乱 を 企て た
マクシミリアン 殿 私 は 一門 と して みすみす
この カストロプ 家 が 滅びる の を 見る に 堪えない の だ
滅びる ? このまま で は そう なる
既に 3000 の 討伐軍 が この 星 に 向かっている の だ
たかだか 地方領 が 帝国 に かなう と お思い か
何 が 帝国 か
父上 には 文句 の 一つ も 言え なんだ くせ に
他 の 貴族 へ の 見せしめ に する つもり な の だろう が そう は いかん
余 の 力 を 思い知ら せ て やる
マクシミリアン 殿
その 討伐軍 と やら が 着いた よう だ
我が国 が 帝国 に 対抗 できる 証拠 を お 見せ でき ます な
敵 ラパート 星 の 衛星軌道 上 に 戦闘 衛星
全艦 砲撃 開始
あれ は ? 聞いた こと が あろう
か の 同盟 首都 を 守る 「 アルテミス の 首飾り 」
まさか そう 同じ 物 だ
見る が いい あの ザマ を
逃がす か
帝国 など 恐 る る に 足ら ん
どうして あんな 物 を いささか 値 は 張った が
この 銀河 では 金 さえ 出せば 何でも 用意 する 所 が あって な
フェザーン ここ まで 話し た からに は
しばらく ご 逗留 いただき ます か な
マリーンドルフ 伯 を 連れて ゆけ
愚か な フェザーン に そそのかされた か
カストロプ の 件 は それ で よい
帝国 は アスターテ で 勝ち 過ぎ た
まあ 多少 なり と も 勢力 を そいで おく に しく は ない と
もっとも あの 金髪 の 小僧 が 出て くれ ば
どう なる か
アスターテ 星域 で の 勝利 に より 帝国 元帥 と なった ラインハルト は
新た に 元帥府 を 開き その 陣営 の 強化 に 着手した
まず 新た に 平民 や 下級 貴族 から 艦隊 司令官 を 登用した
アウグスト ・ ザムエル ・ ワーレン 中将
コルネリアス ・ ルッツ 中将
カール ・ グスタフ ・ ケンプ 中将
フリッツ ・ ヨーゼフ ・ ビッテンフェルト 中将
エルネスト ・ メック リンガー 中将
ウォルフガング ・ ミッターマイヤー 中将
オスカー ・ フォン ・ ロイエンタール 中将
いずれ も 若く 有能な 指揮官 たち で ある
そして ジークフリード ・ キルヒアイス を
一挙に 少将 に 昇進させ 提督 の 列 に 加えた
出動 命令 が あった
と 言って も 卿 たち すべて に ではない
カストロプ の 乱 は 聞いている な
シュムーデ 提督 以下 討伐軍 3000 が
首飾り と 称する 防空 システム の 前 に 全滅 し
提督 も 戦死した
キルヒアイス 少将 はっ
勅命 で ある
「 帝国 に 対し 反旗 を 翻す 」
「 マクシミリアン ・ フォン ・ カストロプ に 対し 」
「 2000 の 艦隊 を もって 討伐 に 当たる べし 」
はっ 勅命 謹んで お 受けいたします
我々 にも お 声 が かかる と 思っていた が な
我ら も 今や 一個 艦隊 を 預かる 身 だ
たかだか 地方 反乱 など に 気楽 に は 出て いけ なくなった と いう こと さ
窮屈 な こと だ しかし 勅命 が 直接 下る と は
いささか 見え透 い て は いる が な うん ?
勅命 が 下れ ば キルヒアイス に はく が つく
まして 前回 より 少ない 戦力 で 勝った と なれ ば
中将 に 昇進 は 間違い ない か
勝て ば な
よろしい の です か な
あの 赤毛 の 小僧 まで 手柄 を 立てる と なる と
ロー エン グラム 伯 の 勢力 が 増す こと に なり ます ぞ
キルヒアイス 少将 は ロー エン グラム 伯 の 腹心 じゃ
恩 を 売って おけ ば 後日 何 か と 役立つ こと も あ ろ う
それにしても 財務 尚書 殿 は 苦労性 じゃ な
それ も これ も 成功 すれば の 話 じゃ て
ジーク 無事 で
ああ ツイて ない なあ 転属 の 次 は 出撃 か
ボヤ く なって 俺 たち は これ が 仕事 よ
おい それ を 取って くれ でも ね
あの 金髪 の 元帥 さん は 強かった から な
旗 艦 ブリュンヒルト に 乗って る 時 は
安心感 が ありました けど ね よく 言う よ
ああ せっかく の ラッキー も これ まで か
そう と も 限らん さ あの 赤毛 の 少将 閣下 も
なかなか やり そう じゃない か そう です か ? 何で 分かるん です
人生 経験 って やつさ
はあ ?
ベルゲン グリューン
確か に ローエングラム 伯 は 名将 だ 戦争 の 天才 と 言っても いい
しかし その 副官 が 名将 で ある 保証 が ある か ?
付録 は しょせん 付録 さ
言い過ぎ だぞ ベルゲン グリューン 酔ってる な
ああ 酔って いる とも シラフ で やって いられる か
前回 失敗 し た 時 より 兵力 が 少ない ん だ ぞ
だからこそ
だからこそ 酒 など 飲んでる 時 では なかろう
放っと いてくれ おっ
おい 閣下 だぞ
ビューロー 大佐 艦隊 編成 の 確認 を し たい と 思い ます
艦 橋 へ い らし て ください はっ
閣下 小官 は 艦隊 の 編成 より
全体 の 数 の 方 に 問題 が ある の ではない か と
愚考 を つかま つりまする が ?
おい よさない か
前回 失敗した 時 より 少数 の 兵力 で 勝つ
成功 すれば 確か に 万々歳 でしょう しかし 現実 は
閣下 や 元帥 閣下 の 思惑 どおり に いく と は 限ら ない
その とおり です 大佐
閣下 !
まさか 失敗 を 覚悟 で やって おられる の ではない でしょう な
確か に 艦隊 の 絶対数 が 少ない から
その 分 犠牲 も 少なくて 済む でしょう が ね
大佐 編成 表 を 閣下 !
これ を 見てください
変わった 編成 です な
これ は … 何 を 考えて いるん です
工作艦 ばかり こんなに 集めて
私 も ロー エン グラム 閣下 も
もちろん この 作戦 に 成功 する こと を 考えています
何 ? 敵 は わずか 2000 だと ?
帝国軍 の やつら 何 を 考えて おる
我が国 の 力 が まだ 分からん の か 余 を なめて おる の か
よもや と は 思い ます が 何 か 策 が あって の こと で は ?
何 ? 策 だ と ?
一体 どんな 勝算 が ある という の だ
あの 首飾り は 無敵 だと
フェザーン の やつら は 保証した ではない か
どんな 策 が ある と いう の だ
どいつ も こいつ も 無能ながん 首並べ おって
役立たず どもめ !
幸い 問題 の 戦闘 衛星 には 微弱 ながら 引力 が あります し
本星 に も 影響 せず に 済む はず です
なるほど 確か に 誰 でも 考え そう な 手 です が
これ を ここ まで 大規模 に 使う の は 前例 が ない でしょ う な
首飾り の 宝石 に 鎖 を つけて やろう って わけ です な
それ も とびきり 派手 な やつ を
カルトロプ の やつら 頼み の 綱 を 失って どう します か
それ で 諦めて 降伏して くれれば よい の です が
そりゃあ 楽 で いい でしょう な
首飾り さえ 片づけて しまえば 後 は ドカン と 一 発
おや 本気 の よう です な
「 甘い 」 と 言いたい よう です ね
いや 閣下 の 思惑 どおり 運ぶ の を 期待しています よ
その 方 が 我々 も 楽 で いい
甘い か
2人 とも もう 子ども じゃない から
ワイン の 方 が よかった かしら ?
姉上 の 手作り と なれば どんな 物 でも 喜ん で
まあ それ で お世辞 の つもり ?
いえ キルヒアイス が いつも そう 言う ので つい
なあ ? キルヒアイス
それ は ひどい です よ ラインハルト 様
いけません よ ラインハルト ジーク を からかって は
それ より 地下 の 倉庫 から 好き な ワイン を 選んで らっしゃい
帝国 元帥 閣下 に 雑用 を お 頼み し て 申し訳ない けど
姉上 こそ 私 を からかうん です ね
いい です よ 雑用 でも 何でも 相務めます と も
ジーク いつも 弟 が お 世話 に なって い ます ね
いえ 私 の 方 こそ お 世話 に なる ばかり です
そんな こと は ありません
ラインハルト は 口 に こそ 出さない けど
あなた を 本当 に 頼り に し て い ます
どうか これ から も 弟 の こと を お願いします ね
恐縮 です 私 など に
ジーク あなた は もっと 自分 の こと を 評価 すべき です よ
ラインハルト には 確かに 才能 が あります
他 の 誰 に も ない 才能 が
でも ジーク 弟 は あなた ほど 大人 では ありません
その 瞳 は 遠く を 見過ぎて いて
足元 が 見え なくなる こと が ある の です
特に ラインハルト の 道 が 戦い の 道 で ある 以上
その 足元 に 何 が ある か 何 に よって 築かれた 道 なの か
それ を 忘れる ような こと が あれば
ジーク そんな 時 は ラインハルト を 叱って やって
ラインハルト を いさめる こと が できる の は あなた だけ なの です
もし ラインハルト が あなた の 言う 事 も 聞き入れ なく なったら
その 時 は 弟 も 終わり です
そして ラインハルト が 破滅 する 時 は …
アンネローゼ 様
ごめんなさい ね ジーク 無理 な こと ばかり お願いして
でも 私 に は 他 に 頼る 人 が いない の です
お 任せ ください アンネローゼ 様
私 に できる 限り の こと は この 身 に 代え まして も
やって みよう ラインハルト 様 の ため そして …
まだ 半分 以上 残って たん じゃない の か ?
卿 の 言う とおり 酒 など 飲 ん で いる 時 じゃ な さ そう だ から な
どこ へ 行く
タンク ベッド で ひと 眠り 酒 を 抜く の さ
閣下 工作 艦 の 展開 を 終了 し まし た
次 の ご 指示 を
早速 始めて ください
おのれ 何 を 企んで おる 一向 に 動かん ではない か
もっと 拡大 できん の か これ が 最大 で ございます
お前 見て まいれ は ?
「 行って 見て まいれ 」 と 言う の だ 敵 の ただ中 に です か ?
ここ に いて も 何 も できんで あろう 行って 忠義 を 示せ
そんな ご 無体 な 何 を 申す か !
貴様 わし へ の 忠誠 は どこ へ やった か
この … この 恩知らず が !
おお すま ぬ そち たち を 叱った の ではない の だぞ
貴様 なぜ よける か
お … お 許し を
敵 が 動き出しました ぞ 何 ?
おお やっと 来 おった か
何 を … 余計 な こと を 言い おって
要ら ぬ 心配 を した ではない か
何の こと は ない やつら は 攻めあぐんで いた だけ の こと だ
目 に もの を 見せて やる ぞ
首飾り の 自動 防衛 機能 の 力 を 思い知る が いい
ほら もっと 寄って こい そう だ そのまま
そら 撃て !
どうした
何 が 起こった どう なって いる の だ
誰 か 説明しろ あれ は !
何 だ あれ は
敵 戦闘 衛星 消滅
やった な ああ
やはり 本気 か
どう なったん です か ?
さっき 工作艦 が 出て いったろう
多分 指向性 の ある ゼッフル 粒子 を 使った の さ
ゼッフル 粒子 って あの 気体 爆薬 の ?
気体 爆薬 ね まあ 似 た よう な もん だ
見 て の とおり あなた 方 の 頼む 首 飾り は 破壊 し まし た
この 上 は 無益 な 抵抗 を やめて 降伏 する よう 勧告します
事件 の 首謀者 も 共謀者 も 必ず 寛大 な 処置 が 下る よう
私 が 責任 を 持って 取り計らい ます
ですから …
やはり 「 甘い 」 と 言いた そう です ね
いや ただ 考え て い た ん です よ
ローエングラム 伯 なら どう した だろう かって ね
しかし あの 様子 だと 楽 に は いきません かな
いや 案外 楽 に 済む と 思う ね
もっとも 司令官 閣下 の 思惑 と は 少し 違う かもしれません が
ウソ だ ! 帝国 に 逆らった者 を 生かして おく はず が ない
第一 生かして おかれた ためし が ない
これ は ワナ だ ワナ に 違いない
出 て いけ ば 私 は 殺さ れる 殺さ れる
お前 ら も だ 一族 郎党 皆殺しだ わし は 破滅 だ
貴様 の せい だ
貴様 が わし を たきつけ た の だ
貴様 も 貴様 も 貴様 も
こんな こと なら おとなしく 資産 を 返上 すれば よかった
それ を … そう だ そもそも 父上 が いけ ない の だ
汚職 を した の は 父上 なの だから な
そう で あろう ? そして フェザーン
あの 守銭奴 ども が 余計 な 物 を 売りつけ ね ば
フェザーン ? そう で あった フェザーン だ
フェザーン に 亡命 する ぞ
何 を して おる ? すぐ 支度しろ
宝石 は 持てる だけ 用意しろ よ
おお 女 たち も 連れ て まいる ぞ ええ ?
亡命 と 申されまして も
今 と なって は 脱出 も 不可能 か と 思われます
そう じゃ な よし お前 身代わり に なれ
は ? 焼身自殺 に しよう
顔 を 焼いて しまえば しばらく ごまかせる で あろう
それ は よい と して … そう じゃ
マリーン ドルフ 伯 も 連れて まいれ よ 人質 に なる から な
閣下 うん ?
もっと よい 方法 が ございます
おお さすが だ 何 だ 申して みよ
それ は こう する の です
何 を する 血迷った か あなた の 首 を 差し出せ ば
その 功 で 許される かもしれない と いう こと です よ
貴様 この 裏切り者 め
何 を して おる こやつ を 殺せ
貴様 ら
上空 の 艦隊 に 連絡 しよう
「 我々 は 悪逆 な 支配者 から 解放された 」 と
やった な うん
大佐 上陸 部隊 の 指揮 を お願いします
はっ
全軍 に 徹底 さ せ て ください 略奪 暴行 など は 一切 禁止
破る 者 は 極 刑 に 処す と はっ
お 若い な ああ
だが 誠 の 名将 か
お 父 様 おお ヒルダ
心配 かけ た な
わずか 2日 で しか も 無血 占領 です ぞ
これほど の 手並み と は 侮れません な
よい ではない か 人 は 使い方 次第
それ だけ 使い で が ある と いう こと じゃ
やる じゃない か ああ
ご 苦労 だった 申し訳ありません
何 を 謝る
帝国 の 新た な 英雄 だ と みんな も 言って いる
2 日間 の 無血 占領 見事 だ
血 は 流れました
首謀者 を 死なせて しまいました
申し訳ありません そう だった な
だが あれ は 今 まで の 帝国 の 陰 が カストロプ を 死なせた の だ
お前 の せい で は ない はい
キルヒアイス
俺 たち の やり方 は それ と は 違う
そう だ な ? はい
キルヒアイス
お前 は 優しい な
ジークフリード ・ キルヒアイス か
面白い な しかし それ だけ の 男
よく ローエングラム 伯 の 下 に 甘んじて おる な
幼い 頃 から の 親友 と か 親友 か
何 に しろ もっと よく 知る こと だ
そう なれば 使い道 も 出て くる。 はい、ところ で
アルテミス の 首飾り の 件 いかに いたしましょう
「 いかに 」 と は ? 弱点 が ある こと を 同盟 に 知らせる べき か と
なぜ その 弱点 が 分かった の か ね
ああ そう でした
ジークフリード ・ キルヒアイス は
カストロプ 星系 の 反乱 鎮圧 の 功績 に より 中将 に 任じられた
これ に より ローエングラム 陣営 の ナンバー 2 と
誰 も が 認める ところ と なった
一方 その 頃 自由 惑星 同盟 では
ヤンウェンリー の イゼルローン 要塞 攻略 の 準備 が
着々 と 進められていた
最強 の 白兵戦 部隊 と 言われる 同盟軍 ローゼンリッター 連隊 は
いつ 裏切る か 分から ぬ 危険 な 集団 と 言われている
ヤン は 自ら の 第 13 艦隊 に この 連隊 を 加え
イゼルローン 攻略 に 向かう
次回 「 銀河 英雄 伝説 」 第 6 話 「 薔薇 の 騎士 」
銀河 の 歴史 が また 1 ページ