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江戸小話, 滝登り

滝 登り

滝 登り

「 みず ー い 、 水 、 水 は いかがです か ー ? 」 今 の 様 に 家 に 水道 が ない むかし は 、 水 を 売る 水 売り の 声 が 、 あちこち で 聞か れて い ました 。

ある 日 の 事 、 両 国 橋 ( りょう ごく ば し ) の 上 で 、 侍 たち が 何やら 慌てて 騒いで い ました 。 それ と 言う の も 、 侍 たち が 仕えて いる 主人 が 、 将軍 さま に 生きた コイ を 差し上げる 事 に なって いた のです が 、 それ を 運んで いた 侍 の おけ の 中 から コイ が ピョーン と 跳ねて 、 そのまま 川 の 中 へ 飛び込んで しまった のです 。 「 これ は 大変な 事 に なって しまった ぞ 。 あれほど の コイ は 、 そう 簡単に は 手 に 入ら ない から な 」 侍 たち が うろうろ と 、 橋 の 上 を 行ったり 来たり して いる と 、 ちょうど 通りかかった 水 売り が 侍 の 話 を 聞いて 、 こう 言い ました 。 「 そんな 事 なら 、 あっし が 捕まえて 差し上げ ましょう 」 「 本当 か 。 それ は ありがたい 。 しかし 、 どう やって 捕まえる のだ ? 」 侍 が 尋ねる と 、 水 売り は 売り物 は の 水 を 橋 の 上 から サラサラサラ と 細 めに 流して 、 コイ に 向かって 言い ました 。 「 コイ や コイ 。 滝 だ よ 、 滝 。 さあ さあ 、 遠慮 無く 登って おい で 。 コイ の 滝 登り だ よ 」 それ を 見て 侍 たち が あきれて いる と 、 逃げた コイ が 水 売り の 言葉 に つられて 、 本当に 登って きた と いう 事 です 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


滝 登り たき|のぼり

滝 登り たき|のぼり

「 みず ー い 、 水 、 水 は いかがです か ー ? |-||すい|すい||いかが です||- 」   今 の 様 に 家 に 水道 が ない むかし は 、 水 を 売る 水 売り の 声 が 、 あちこち で 聞か れて い ました 。 いま||さま||いえ||すいどう|||||すい||うる|すい|うり||こえ||||きか|||

ある 日 の 事 、 両 国 橋 ( りょう ごく ば し ) の 上 で 、 侍 たち が 何やら 慌てて 騒いで い ました 。 |ひ||こと|りょう|くに|きょう||||||うえ||さむらい|||なにやら|あわてて|さわいで|| それ と 言う の も 、 侍 たち が 仕えて いる 主人 が 、 将軍 さま に 生きた コイ を 差し上げる 事 に なって いた のです が 、 それ を 運んで いた 侍 の おけ の 中 から コイ が ピョーン と 跳ねて 、 そのまま 川 の 中 へ 飛び込んで しまった のです 。 ||いう|||さむらい|||つかえて||あるじ||しょうぐん|||いきた|こい||さしあげる|こと||||の です||||はこんで||さむらい||||なか||こい||||はねて||かわ||なか||とびこんで||の です 「 これ は 大変な 事 に なって しまった ぞ 。 ||たいへんな|こと|||| あれほど の コイ は 、 そう 簡単に は 手 に 入ら ない から な 」   侍 たち が うろうろ と 、 橋 の 上 を 行ったり 来たり して いる と 、 ちょうど 通りかかった 水 売り が 侍 の 話 を 聞いて 、 こう 言い ました 。 ||こい|||かんたんに||て||はいら||||さむらい|||||きょう||うえ||おこなったり|きたり|||||とおりかかった|すい|うり||さむらい||はなし||きいて||いい| 「 そんな 事 なら 、 あっし が 捕まえて 差し上げ ましょう 」 「 本当 か 。 |こと||||つかまえて|さしあげ||ほんとう| それ は ありがたい 。 しかし 、 どう やって 捕まえる のだ ? |||つかまえる| 」   侍 が 尋ねる と 、 水 売り は 売り物 は の 水 を 橋 の 上 から サラサラサラ と 細 めに 流して 、 コイ に 向かって 言い ました 。 さむらい||たずねる||すい|うり||うりもの|||すい||きょう||うえ||||ほそ||ながして|こい||むかって|いい| 「 コイ や コイ 。 こい||こい 滝 だ よ 、 滝 。 たき|||たき さあ さあ 、 遠慮 無く 登って おい で 。 ||えんりょ|なく|のぼって|| コイ の 滝 登り だ よ 」   それ を 見て 侍 たち が あきれて いる と 、 逃げた コイ が 水 売り の 言葉 に つられて 、 本当に 登って きた と いう 事 です 。 こい||たき|のぼり|||||みて|さむらい||||||にげた|こい||すい|うり||ことば|||ほんとうに|のぼって||||こと|

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )