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銀河英雄伝説, Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes) Episode 56 (1)

Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes ) Episode 56 (1)

僕ら が 向かって いる 地球 それ は 人類 の 発祥 の 地 だ

だが 今 は 歴史 の 中 に 埋もれ

忘れ られ た 辺境 の 一 惑星 に 過ぎ ない

なぜ そう なった の か

学校 の 歴史 の 授業 で 触れ られ た 以上 の こと を

僕 も よく 知ら ない

この 旅 の 時間 を 利用 し て 改めて 振り返って みよ う と 思う

かつて 人類 は 地球 と いう

ただ 1 つ の 惑星 の 表面 で 生活 し て い た

西暦 2039 年

当時 地球 を 二 分 する 勢力 で あった ノーザン ・ コンドミニアム と

ユナイテッド ・ ステーツ ・ オブ ・ ユーラブリカ は

全面 戦争 に 突入 し た

熱 核 兵器 を 使用 し た 十三 日 戦争 に よって

世界 の 主な 大 都市 群 は 壊滅 し

以後 90 年 に わたる 抗争 と 戦乱 の 時代 が 続 い た

人類 の 総 人口 も 10 億 に まで 減少 し

生き残った 人々 は 統一 政体 の 樹立 を 願って い まし た

それ は 単に 安定 し た 社会 秩序 の 確立 を 望む と いう より

これ 以上 の 戦争 を なくす ため に は 従来 の 主権 国家 と いう 考え 方 を

捨て去 ろ う と し た と 言 える の で は ない でしょ う か

西暦 2129 年

そう し た もくろみ の もと に 地球 統一 政府 が 誕生 する

統一 政府 の 首都 は オーストラリア 大陸 の 東 北部

太平洋 に 面し た ブリスベン に 定め られ 再建 は 急速 に 進 ん だ

人々 は 熱狂 的 に 大小 の 事業 に 取り組み

都市 を 建設 し 荒野 を 緑化 し た

更に 宇宙 と いう フロンティア に 歩み を 進め

西暦 2166 年 に は 木星 の 衛星 イオ に

開発 基地 を 建設 する に 至った

この 当時 統一 政府 内 に おい て 最も 活力 的 な 部局 は

宇宙 省 だった と 言 える でしょ う

その 巨大 な 機構 の 本部 は 月面 に 置か れ

2200 年 代 の 半ば に は

その 人 口 は 首都 ブリスベン を しのぐ に 至り

「 ブリスベン は 地球 の 首都 だ が ルナ シティー は 太陽 系 の 首都 だ 」

と まで 言わ れ た の です

それ から しばらく の 間 人類 の 実質 的 な 生存 圏 は

太陽 系 内部 に とどまった

2253 年 に は 最初 の 恒星 間 探査 船 が アルファ ・ ケンタ ウリ に 発進 し た が

20 年 後 に なって も 帰還 せ ず 人々 を 落胆 さ せ た

もっとも 当時 の 人類 の 総 人口 は まだ 40 億 人 で あった から

太陽 系 内部 だけ でも 十分 な 居住 空間 が 確保 さ れ て い た が

西暦 2360 年

アント ネル ・ ヤノーシュ 博士 を 長 と する 宇宙 省 技術 陣 は

ついに 人類 の 夢 で あった 超 光速 航行 を 実現 さ せ た

ワープ 航法 は 最初 その 距離 も 短く

人体 特に 女性 の 出産 能力 に 著しい 悪 影響 が 見 られ た が

2391 年 に は 完全 な 実用 化 に こぎつけ た

2402 年

カノープス 星 系 に 居住 可能 の 惑星 が 発見 さ れ

恒星 間 移住 時代 を 迎える

だが それ は 単一 の 権力 体制 に

亀裂 が 生じる 第 一 歩 で も あった の です

2404 年 に 第 一 次 恒星 移民 団 が 進 発 し た 時

ブリスベン で は 統一 政府 の 首脳 たち が 額 を 集め

あまり に も 遠い 入植 地 に どの 程度 の 自治 権 を 認める か

延々 と 討議 を 続け て い た の で し た

( ノック の 音 ) どうぞ

お っ なん だ なん だ 1 人 で 隠れ て 何 を 見 てる ん だ

ポルノ か ? まさか

ちょっと 地球 に つい て 予習 し て い た ん です よ

なん だ 不健全 な 奴 だ な

一緒に ご覧 に なり ます ?

まあ 他 に やる こと も ない し な

色っぽい シーン ある ?

あり ませ ん

最初 は 宇宙 省 航路 局 航行 安全 部 と し て

ささやか に 発足 し た 一 機構 が 宇宙 省 保安 局 に 昇格 し

省 次官 を 長官 と する 宇宙 警備 隊 に なり

ついに 西暦 2484 年 宇宙 軍 の 成立 を 見る

これ は 統一 政府 の 成立 以前 に

天空 の 高 み から 弱小 諸国 を 強迫 し 威圧 し た

ノーザン ・ コンドミニアム 宇宙 軍 と は

まったく 異なる 性格 の もの で

市民 の 航行 の 安全 を 確保 し

犯罪 と 事故 から 人権 及び 経済 機構 を 守る ため の

治安 システム で ある と 説明 さ れ まし た

歴史 的 に 見 て あらゆる 軍隊 が 平和 防衛 を 唱え つつ

侵略 と 外 征 に 狂奔 し た もの で ある と いう 事実 を

この 時代 の 人々 も また 忘れ去って しまって い た の です

「 軍隊 と は 一 国 内 に おける 最強 の 暴力 組織 で ある 」

と いう 命題 は 歴史 を 知る 者 に とって

いわば 常識 でしょ う

しかも 全 人類 の 統一 国家 に おい て は

外敵 は 存在 し 得 ない の です から 最小 限 の 武力 で 事 足りる はず です

で ある に も かかわら ず この 宇宙 軍 は 際限 なく 肥大 化 し

その 組織 内部 は 著しい 退廃 を 続け た の です

高級 軍人 と は 武装 し た 貴族 の 別名 で ある の か !

1 つ の 例 と し て 第 4 方面 総 監部 に 所属 する

宇宙 空母 デキシーランド の 艦長 アーノルド ・ F ・ バーチ 大佐 の

優雅 な 生活 ぶり を 拝見 する と しよ う

彼 の 部屋 は 執務 室 居間 寝室 バス ルーム から 成り

総 面積 240 平米

ちなみに 彼 の 部屋 の 下 は 兵士 たち の 居室 で あって

同じ 面積 に 90 名 が 詰め込ま れ て いる

労働 力 の 面 から 言え ば 艦長 に 副 官 が つく の は 当然 と し て

女性 秘書 1 名 従 卒 6 名 専用 コック 2 名

専用 看護 婦 1 名 が 彼 に 仕え て いる

むろん 彼ら の 給料 は 国民 の 租税 の 中 から 支払わ れる の だ が

より 悲しみ を 誘う の は 専用 看護 婦 を 必要 と する 病人 が

一 艦 の 指揮 を 押しつけ られ て いる と いう

非 人道 的 事実 で ある

つまら ん 皮肉 を 言う な ! そう だ そう だ

この 告発 は かえって 非難 の 的 と なった

既に 議会 も 言論 界 も

軍部 の 代弁 者 が 多数 派 を 占め て い た の で ある

また この 頃 に なる と 恒星 間 航行 も

技術 と 距離 の 壁 を 前 に し て ひと つ の 限界 が 見え て き て い た

2480 年 人類 の 生存 圏 は

地球 を 中心 と する 半径 60 光年 の 球 状 に 広がって い た が

2530 年 に は 半径 84 光年

2580 年 に は 91 光年

2630 年 に は 94 光年 と 停滞 の 状況 は 明らか だった

そんな 中 に も かかわら ず 軍隊 だけ が

肥大 化 を 続け て い た の だった

同時に 経済 的 な 不公平 も 募って い た

資源 の 枯渇 し た 地球 は 既に 第 一 次 産業 を 放棄 し

資本 と 金融 のみ に よって 植民 星 の 産業 を 支配 し

利益 と 資源 を 独占 的 に 吸い上げ て い た

政治 的 に は 植民 星 に は それぞれ の 自治 権 が 認め られ て い た が

それ は 形 だけ の もの に 過ぎ ず

また あくまで も 地球 の 一部分 と し て の 権利 で あって

地球 と 対等 の 関係 で は なかった

汎 人類 評議 会 と いう 機構 も 設け られ て は い た が

代議員 の 7 割 は 地球 から の 選出 で

議決 は 7 割 の 賛同 を 必要 と し て い た ので

実質 的 に は 地球 以外 の 植民 星 から の 動議 が

可決 さ れる こと は 皆無 だった

地球 資本 の 圧力 に よって

単一 作物 の 栽培 を 強制 さ れ た 揚げ句

その 作物 を 買いたたか れ 飢餓 に 瀕し た 植民 星 も ある の だ !

かく の ごとき 富 の 地球 へ の 偏在 を 是正 す べき で は ない の か !

そう だ ! 是正 しろ !

植民 星 の 人民 が 貧困 な の は

彼ら 自身 の 無能 さ に 原 因 が ある

我々 地球 市民 に 罪 が ある など と いう の は

自立 心 と 向上 心 を 欠く 奴隷 的 精神 の 表れ で しか ない !

当時 地球 に は 資源 が 欠け て い まし た

そして 地球 人 に は 想像 力 が 欠け て い まし た

想像 力 の 欠如 する ところ 地球 の 住人 たち は 傲然 と

強者 の 論理 を 貫 い た の です

強者 の 強者 たる ゆえん は 武力 と 富 で あった

資本 主義 の 名 の 下 に 地球 は 植民 星 の 富 を 収 奪 し

それ に よって 軍事 力 を 強化 し た

いわば 植民 星 の 人々 は 自分 たち を 監視 し

弾圧 する 兵士 たち を 養わ さ れ た の で ある

忍耐 の 極み に 達し た 植民 星 側 で は

西暦 2682 年 に 至り 結束 し て 地球 側 に 要求 を 突きつけ た

第 1 に 肥大 化 し た 軍備 の 縮小

第 2 に 汎 人類 評議 会 の 議席 数 を 人口 に 応じ た 配分 に 変える こと

第 3 に 地球 資本 に よる 植民 星 に 対する

内政 干渉 を やめる こと

これ に 対し て 地球 は まず

汎 人類 評議 会 の 分担 金 の 拠出 を 停止 する こと で 応じ た が

植民 星 の 不満 を 抑える べく 対 策 を 講じる 必要 に 迫ら れ た

当時 反 地球 派 の 急 先鋒 は シリウス 星 系 で し た

地球 は これ を 逆 に 利用 する こと を 考え

意図 的 に 怪 情報 を 流し 始め た の です

いわ く 「 シリウス が 事 ある ごと に 地球 を 非難 する の は 」

「 平等 を 目指し て など で は なく 地球 に 代わって 」

「 人類 社会 の 支配 者 たら ん と する 野心 の ため で ある 」

「 シリウス こそ 地球 と 各 植民 星 の 共通 の 敵 で あり 」

「 人類 を 脅かす 存在 な の で ある 」

「 シリウス は 着々 と 国力 を 蓄え 」

「 軍備 を 増強 し スパイ 網 を 完成 さ せ つつ ある 」

「 シリウス に 注意 せよ 」

俗 に 言う 「 シリウス 脅威 論 」 です

最初 地球 は 悪意 に 満ち た 喜び を もって

シリウス の 虚像 が 拡大 し て いく の を 見守って い まし た しかし

地球 が シリウス の 脅威 を 誇大 に 宣伝 し て いく うち に

計算 外 の 効果 が 表れ て き まし た

シリウス 自身 が 地球 を 凌 駕 せんと する 実力 と

意志 の 存在 を 信じ 始め て しまった の です

つまり うわさ に 乗せ られる 形 で その 気 に なって しまった の です

シリウス を 仮想 敵 に 仕立てる 地球 の 政略 は

失笑 す べき 結果 を 生 ん だ

いく つ か の 植民 星 が 地球 に 対する 反感 の あまり

シリウス の ほう に 身 を 寄せ 始め た の で ある

「 地球 の 専横 に 反対 する に は シリウス に 頼る ほか ない 」

そう 思わ せ た の は 他なら ぬ 地球 自身 だった の です

かくして 反 地球 陣営 の 盟主 の 座 に つい た シリウス に 対し

地球 は 武力 に よる 懲罰 を 加える こと を 決し

同時に 反 地球 勢力 を 一掃 する こと を 考え た

西暦 2689 年


Ginga Eiyuu Densetsu (Legend of the Galactic Heroes ) Episode 56 (1) ginga|eiyuu|densetsu|legend|||galactic|heroes|episode

僕ら が 向かって いる 地球 それ は 人類 の 発祥 の 地 だ ぼくら||むかって||ちきゅう|||じんるい||はっしょう||ち| The planet Terra that we're heading for is the homeland of mankind.

だが 今 は 歴史 の 中 に 埋もれ |いま||れきし||なか||うずもれ But now it's buried in history, little more than a single forgotten frontier planet.

忘れ られ た 辺境 の 一 惑星 に 過ぎ ない わすれ|||へんきょう||ひと|わくせい||すぎ|

なぜ そう なった の か I don't really know why it turned out that way

学校 の 歴史 の 授業 で 触れ られ た 以上 の こと を がっこう||れきし||じゅぎょう||ふれ|||いじょう||| outside of what was covered in history class back when I was in school.

僕 も よく 知ら ない ぼく|||しら|

この 旅 の 時間 を 利用 し て 改めて 振り返って みよ う と 思う |たび||じかん||りよう|||あらためて|ふりかえって||||おもう I was thinking that I'd use the time this trip takes to try reviewing that.

かつて 人類 は 地球 と いう |じんるい||ちきゅう|| Mankind once only lived on the surface of a single planet then known as Earth.

ただ 1 つ の 惑星 の 表面 で 生活 し て い た |||わくせい||ひょうめん||せいかつ||||

西暦 2039 年 せいれき|とし In A.D. 2039, the two powers that split the Earth in two,

当時 地球 を 二 分 する 勢力 で あった ノーザン ・ コンドミニアム と とうじ|ちきゅう||ふた|ぶん||せいりょく|||||

ユナイテッド ・ ステーツ ・ オブ ・ ユーラブリカ は ||おぶ||

全面 戦争 に 突入 し た ぜんめん|せんそう||とつにゅう|| charged into all-out war.

熱 核 兵器 を 使用 し た 十三 日 戦争 に よって ねつ|かく|へいき||しよう|||じゅうさん|ひ|せんそう|| Through the use of thermonuclear weaponry,

世界 の 主な 大 都市 群 は 壊滅 し せかい||おもな|だい|とし|ぐん||かいめつ| the main metropolises of the world were destroyed in the 13 Day War,

以後 90 年 に わたる 抗争 と 戦乱 の 時代 が 続 い た いご|とし|||こうそう||せんらん||じだい||つづ|| leading into an era of disputes and wars that continued for ninety years.

人類 の 総 人口 も 10 億 に まで 減少 し じんるい||そう|じんこう||おく|||げんしょう|

生き残った 人々 は 統一 政体 の 樹立 を 願って い まし た いきのこった|ひとびと||とういつ|せいたい||じゅりつ||ねがって||| and the surviving people wished to establish a unified government.

それ は 単に 安定 し た 社会 秩序 の 確立 を 望む と いう より ||たんに|あんてい|||しゃかい|ちつじょ||かくりつ||のぞむ||| Perhaps more than a simple wish to establish a system of societal order,

これ 以上 の 戦争 を なくす ため に は 従来 の 主権 国家 と いう 考え 方 を |いじょう||せんそう||||||じゅうらい||しゅけん|こっか|||かんがえ|かた| it could be said they wished to abandon the thinking of all sovereign nations up until that point

捨て去 ろ う と し た と 言 える の で は ない でしょ う か すてさ|||||||げん|||||||| in order to prevent any further war.

西暦 2129 年 せいれき|とし In A.D. 2129,

そう し た もくろみ の もと に 地球 統一 政府 が 誕生 する |||||||ちきゅう|とういつ|せいふ||たんじょう|

統一 政府 の 首都 は オーストラリア 大陸 の 東 北部 とういつ|せいふ||しゅと||おーすとらりあ|たいりく||ひがし|ほくぶ It was decided that the capital of the United Government

太平洋 に 面し た ブリスベン に 定め られ 再建 は 急速 に 進 ん だ たいへいよう||めんし||||さだめ||さいけん||きゅうそく||すすむ|| would be the city of Brisbane, which faces the Pacific Ocean in north-eastern Australia,

人々 は 熱狂 的 に 大小 の 事業 に 取り組み ひとびと||ねっきょう|てき||だいしょう||じぎょう||とりくみ The people were wildly enthusiastic about projects both large and small,

都市 を 建設 し 荒野 を 緑化 し た とし||けんせつ||こうや||りょくか|| doing things such as constructing towns and greening wastelands.

更に 宇宙 と いう フロンティア に 歩み を 進め さらに|うちゅう|||||あゆみ||すすめ Furthermore, they continued stepping into the frontier known as space,

西暦 2166 年 に は 木星 の 衛星 イオ に せいれき|とし|||もくせい||えいせい|| and in A.D. 2166,

開発 基地 を 建設 する に 至った かいはつ|きち||けんせつ|||いたった

この 当時 統一 政府 内 に おい て 最も 活力 的 な 部局 は |とうじ|とういつ|せいふ|うち||||もっとも|かつりょく|てき||ぶきょく| At that time,

宇宙 省 だった と 言 える でしょ う うちゅう|しょう|||げん|||

その 巨大 な 機構 の 本部 は 月面 に 置か れ |きょだい||きこう||ほんぶ||げつめん||おか| The headquarters of that massive organization was placed on the surface of the moon,

2200 年 代 の 半ば に は とし|だい||なかば|| and in the mid 2200s,

その 人 口 は 首都 ブリスベン を しのぐ に 至り |じん|くち||しゅと|||||いたり as a result of the population exceeding even that of Brisbane,

「 ブリスベン は 地球 の 首都 だ が ルナ シティー は 太陽 系 の 首都 だ 」 ||ちきゅう||しゅと||||してぃー||たいよう|けい||しゅと| it was said that "Brisbane is the capital of Earth, but Luna City is the capital of the solar system."

と まで 言わ れ た の です ||いわ||||

それ から しばらく の 間 人類 の 実質 的 な 生存 圏 は ||||あいだ|じんるい||じっしつ|てき||せいぞん|けん| For a while after that,

太陽 系 内部 に とどまった たいよう|けい|ないぶ||

2253 年 に は 最初 の 恒星 間 探査 船 が アルファ ・ ケンタ ウリ に 発進 し た が とし|||さいしょ||こうせい|あいだ|たんさ|せん||||うり||はっしん||| In 2253, the first interstellar probe ship departed for Alpha Centauri,

20 年 後 に なって も 帰還 せ ず 人々 を 落胆 さ せ た とし|あと||||きかん|||ひとびと||らくたん||| but when twenty years passed without it returning, the people were discouraged.

もっとも 当時 の 人類 の 総 人口 は まだ 40 億 人 で あった から |とうじ||じんるい||そう|じんこう|||おく|じん||| The population was still just four billion,

太陽 系 内部 だけ でも 十分 な 居住 空間 が 確保 さ れ て い た が たいよう|けい|ないぶ|||じゅうぶん||きょじゅう|くうかん||かくほ||||||

西暦 2360 年 せいれき|とし In A.D. 2360,

アント ネル ・ ヤノーシュ 博士 を 長 と する 宇宙 省 技術 陣 は |ねる||はかせ||ちょう|||うちゅう|しょう|ぎじゅつ|じん| Dr. Antonel Janos of the Ministry of Space's engineering staff

ついに 人類 の 夢 で あった 超 光速 航行 を 実現 さ せ た |じんるい||ゆめ|||ちょう|こうそく|こうこう||じつげん||| finally realized the dream of mankind in the form of faster than light navigation.

ワープ 航法 は 最初 その 距離 も 短く |こうほう||さいしょ||きょり||みじかく Warp navigation at first only achieved short distances,

人体 特に 女性 の 出産 能力 に 著しい 悪 影響 が 見 られ た が じんたい|とくに|じょせい||しゅっさん|のうりょく||いちじるしい|あく|えいきょう||み|||

2391 年 に は 完全 な 実用 化 に こぎつけ た とし|||かんぜん||じつよう|か||| but in 2391, practical implementation was finally reached.

2402 年 とし

カノープス 星 系 に 居住 可能 の 惑星 が 発見 さ れ |ほし|けい||きょじゅう|かのう||わくせい||はっけん|| a habitable planet was discovered in the Canopus star system,

恒星 間 移住 時代 を 迎える こうせい|あいだ|いじゅう|じだい||むかえる and the era of interstellar migration began.

だが それ は 単一 の 権力 体制 に |||たんいつ||けんりょく|たいせい|

亀裂 が 生じる 第 一 歩 で も あった の です きれつ||しょうじる|だい|ひと|ふ||||| that would cause fissures to appear in the simple system of political power.

2404 年 に 第 一 次 恒星 移民 団 が 進 発 し た 時 とし||だい|ひと|つぎ|こうせい|いみん|だん||すすむ|はつ|||じ In 2404, when interstellar colonization first started,

ブリスベン で は 統一 政府 の 首脳 たち が 額 を 集め |||とういつ|せいふ||しゅのう|||がく||あつめ the leaders of the United Government in Brisbane gathered,

あまり に も 遠い 入植 地 に どの 程度 の 自治 権 を 認める か |||とおい|にゅうしょく|ち|||ていど||じち|けん||みとめる|

延々 と 討議 を 続け て い た の で し た えんえん||とうぎ||つづけ|||||||

( ノック の 音 ) どうぞ ||おと|

お っ なん だ なん だ 1 人 で 隠れ て 何 を 見 てる ん だ ||||||じん||かくれ||なん||み|||

ポルノ か ? まさか ぽるの|| A porno?

ちょっと 地球 に つい て 予習 し て い た ん です よ |ちきゅう||||よしゅう||||||| I was just preparing a little as we approach Terra.

なん だ 不健全 な 奴 だ な ||ふけんぜん||やつ|| Man, you aren't healthy, are you?

一緒に ご覧 に なり ます ? いっしょに|ごらん||| Do you want to watch with me?

まあ 他 に やる こと も ない し な |た|||||||

色っぽい シーン ある ? いろっぽい|しーん| Are there any sexy scenes?

あり ませ ん There aren't.

最初 は 宇宙 省 航路 局 航行 安全 部 と し て さいしょ||うちゅう|しょう|こうろ|きょく|こうこう|あんぜん|ぶ||| What was first founded as the modest "Ministry of Space Navigation Safety Department"

ささやか に 発足 し た 一 機構 が 宇宙 省 保安 局 に 昇格 し ||ほっそく|||ひと|きこう||うちゅう|しょう|ほあん|きょく||しょうかく| rose in status to the "Ministry of Space Department of Public Peace,"

省 次官 を 長官 と する 宇宙 警備 隊 に なり しょう|じかん||ちょうかん|||うちゅう|けいび|たい|| and then with the vice minister becoming the director it became the "Space Garrison,"

ついに 西暦 2484 年 宇宙 軍 の 成立 を 見る |せいれき|とし|うちゅう|ぐん||せいりつ||みる

これ は 統一 政府 の 成立 以前 に ||とういつ|せいふ||せいりつ|いぜん| This was explained to be a security system,

天空 の 高 み から 弱小 諸国 を 強迫 し 威圧 し た てんくう||たか|||じゃくしょう|しょこく||きょうはく||いあつ|| completely different in nature from the Northern Condominium Space Force

ノーザン ・ コンドミニアム 宇宙 軍 と は ||うちゅう|ぐん|| that had threatened the minor powers from above since the formation of the United Government,

まったく 異なる 性格 の もの で |ことなる|せいかく|||

市民 の 航行 の 安全 を 確保 し しみん||こうこう||あんぜん||かくほ| and it existed to guarantee safe navigation for the civilians

犯罪 と 事故 から 人権 及び 経済 機構 を 守る ため の はんざい||じこ||じんけん|および|けいざい|きこう||まもる|| and to keep them safe from crime and accidents,

治安 システム で ある と 説明 さ れ まし た ちあん|しすてむ||||せつめい|||| as well as to protect economic organizations.

歴史 的 に 見 て あらゆる 軍隊 が 平和 防衛 を 唱え つつ れきし|てき||み|||ぐんたい||へいわ|ぼうえい||となえ| In this era, the people had forgotten the fact that, historically,

侵略 と 外 征 に 狂奔 し た もの で ある と いう 事実 を しんりゃく||がい|すすむ||きょうほん||||||||じじつ|

この 時代 の 人々 も また 忘れ去って しまって い た の です |じだい||ひとびと|||わすれさって||||| all while rushing into aggression and foreign campaigns.

「 軍隊 と は 一 国 内 に おける 最強 の 暴力 組織 で ある 」 ぐんたい|||ひと|くに|うち|||さいきょう||ぼうりょく|そしき|| The thesis that "armies are the strongest organizations for violence in a nation"

と いう 命題 は 歴史 を 知る 者 に とって ||めいだい||れきし||しる|もの|| should be common sense for those who know history.

いわば 常識 でしょ う |じょうしき||

しかも 全 人類 の 統一 国家 に おい て は |ぜん|じんるい||とういつ|こっか|||| since mankind formed a single United Government in order to not have any external enemies,

外敵 は 存在 し 得 ない の です から 最小 限 の 武力 で 事 足りる はず です がいてき||そんざい||とく|||||さいしょう|げん||ぶりょく||こと|たりる||

で ある に も かかわら ず この 宇宙 軍 は 際限 なく 肥大 化 し |||||||うちゅう|ぐん||さいげん||ひだい|か| And yet this Space Force expanded endlessly with no concern for that,

その 組織 内部 は 著しい 退廃 を 続け た の です |そしき|ないぶ||いちじるしい|たいはい||つづけ||| and inside the organization remarkable corruption continued.

高級 軍人 と は 武装 し た 貴族 の 別名 で ある の か ! こうきゅう|ぐんじん|||ぶそう|||きぞく||べつめい|||| Are high-level soldiers

1 つ の 例 と し て 第 4 方面 総 監部 に 所属 する ||れい||||だい|ほうめん|そう|かんぶ||しょぞく| As a single example,

宇宙 空母 デキシーランド の 艦長 アーノルド ・ F ・ バーチ 大佐 の うちゅう|くうぼ|||かんちょう||f||たいさ| of Captain Arnold F. Bach

優雅 な 生活 ぶり を 拝見 する と しよ う ゆうが||せいかつ|||はいけん|||| which is attached to the Inspection Department

彼 の 部屋 は 執務 室 居間 寝室 バス ルーム から 成り かれ||へや||しつむ|しつ|いま|しんしつ|ばす|るーむ||なり In his quarters there is an office, a living room, a bedroom, and a bathroom,

総 面積 240 平米 そう|めんせき|ひら べい for a gross area of 240 square meters.

ちなみに 彼 の 部屋 の 下 は 兵士 たち の 居室 で あって |かれ||へや||した||へいし|||きょしつ|| Incidentally, beneath his room is the living area for the soldiers,

同じ 面積 に 90 名 が 詰め込ま れ て いる おなじ|めんせき||な||つめこま|||

労働 力 の 面 から 言え ば 艦長 に 副 官 が つく の は 当然 と し て ろうどう|ちから||おもて||いえ||かんちょう||ふく|かん|||||とうぜん||| As for the staff,

女性 秘書 1 名 従 卒 6 名 専用 コック 2 名 じょせい|ひしょ|な|じゅう|そつ|な|せんよう|こっく|な but he also has a female secretary, six orderlies, two personal cooks,

専用 看護 婦 1 名 が 彼 に 仕え て いる せんよう|かんご|ふ|な||かれ||つかえ|| and a personal nurse assigned to him.

むろん 彼ら の 給料 は 国民 の 租税 の 中 から 支払わ れる の だ が |かれら||きゅうりょう||こくみん||そぜい||なか||しはらわ|||| Their salaries are of course drawn from the taxes paid by the people,

より 悲しみ を 誘う の は 専用 看護 婦 を 必要 と する 病人 が |かなしみ||さそう|||せんよう|かんご|ふ||ひつよう|||びょうにん|

一 艦 の 指揮 を 押しつけ られ て いる と いう ひと|かん||しき||おしつけ|||||

非 人道 的 事実 で ある ひ|じんどう|てき|じじつ|| are forced to follow the his commands in an inhumane manner.

つまら ん 皮肉 を 言う な ! そう だ そう だ ||ひにく||いう||||| Cut the cynicism!

この 告発 は かえって 非難 の 的 と なった |こくはつ|||ひなん||てき|| This indictment instead became the target for criticism.

既に 議会 も 言論 界 も すでに|ぎかい||げんろん|かい| Both the congress and the press

軍部 の 代弁 者 が 多数 派 を 占め て い た の で ある ぐんぶ||だいべん|もの||たすう|は||しめ|||||| were already primarily made of mouthpieces for the military authorities.

また この 頃 に なる と 恒星 間 航行 も ||ころ||||こうせい|あいだ|こうこう| Also, at this time, interstellar navigation was facing a wall in terms of technology and distance,

技術 と 距離 の 壁 を 前 に し て ひと つ の 限界 が 見え て き て い た ぎじゅつ||きょり||かべ||ぜん|||||||げんかい||みえ|||||

2480 年 人類 の 生存 圏 は とし|じんるい||せいぞん|けん| In 2480,

地球 を 中心 と する 半径 60 光年 の 球 状 に 広がって い た が ちきゅう||ちゅうしん|||はんけい|こうねん||たま|じょう||ひろがって|||

2530 年 に は 半径 84 光年 とし|||はんけい|こうねん In 2530, the radius was 84 light years,

2580 年 に は 91 光年 とし|||こうねん in 2580, 91 light years,

2630 年 に は 94 光年 と 停滞 の 状況 は 明らか だった とし|||こうねん||ていたい||じょうきょう||あきらか| and in 2630, it  was 94 light years,

そんな 中 に も かかわら ず 軍隊 だけ が |なか|||||ぐんたい|| In spite of that, the military alone continued to swell.

肥大 化 を 続け て い た の だった ひだい|か||つづけ|||||

同時に 経済 的 な 不公平 も 募って い た どうじに|けいざい|てき||ふこうへい||つのって|| Concurrently, the imbalance of the economy continued to worsen.

資源 の 枯渇 し た 地球 は 既に 第 一 次 産業 を 放棄 し しげん||こかつ|||ちきゅう||すでに|だい|ひと|つぎ|さんぎょう||ほうき| As Earth's resources dried up, they had abandoned their primary industry,

資本 と 金融 のみ に よって 植民 星 の 産業 を 支配 し しほん||きんゆう||||しょくみん|ほし||さんぎょう||しはい| and focused on controlling the capital and financing of the colonized worlds' industries,

利益 と 資源 を 独占 的 に 吸い上げ て い た りえき||しげん||どくせん|てき||すいあげ||| resulting in a monopoly as the colonies' profits and resources were exploited.

政治 的 に は 植民 星 に は それぞれ の 自治 権 が 認め られ て い た が せいじ|てき|||しょくみん|ほし|||||じち|けん||みとめ||||| Politically, the autonomy of each colony was recognized,

それ は 形 だけ の もの に 過ぎ ず ||かた|||||すぎ| but that was only in name.

また あくまで も 地球 の 一部分 と し て の 権利 で あって |||ちきゅう||いちぶぶん|||||けんり|| They had rights as only a portion of Earth, rather than being equals of Earth itself.

地球 と 対等 の 関係 で は なかった ちきゅう||たいとう||かんけい|||

汎 人類 評議 会 と いう 機構 も 設け られ て は い た が ひろし|じんるい|ひょうぎ|かい|||きこう||もうけ|||||| A body known as the "Humanity Congress" was established,

代議員 の 7 割 は 地球 から の 選出 で だいぎいん||わり||ちきゅう|||せんしゅつ| but 70% of the delegates elected were from Earth, and as 70% approval was needed,

議決 は 7 割 の 賛同 を 必要 と し て い た ので ぎけつ||わり||さんどう||ひつよう||||||

実質 的 に は 地球 以外 の 植民 星 から の 動議 が じっしつ|てき|||ちきゅう|いがい||しょくみん|ほし|||どうぎ| in essence the motions of planets other than Earth were never passed.

可決 さ れる こと は 皆無 だった かけつ|||||かいむ|

地球 資本 の 圧力 に よって ちきゅう|しほん||あつりょく|| Due to the pressure of Earth capital,

単一 作物 の 栽培 を 強制 さ れ た 揚げ句 たんいつ|さくもつ||さいばい||きょうせい||||あげく not only are we forced to grow crops for Earth, but they use their advantage to keep prices down,

その 作物 を 買いたたか れ 飢餓 に 瀕し た 植民 星 も ある の だ ! |さくもつ||かいたたか||きが||ひんし||しょくみん|ほし||||

かく の ごとき 富 の 地球 へ の 偏在 を 是正 す べき で は ない の か ! |||とみ||ちきゅう|||へんざい||ぜせい||||||| Mustn't this uneven distribution of wealth favoring Earth be corrected?

そう だ ! 是正 しろ ! ||ぜせい| That's right!

植民 星 の 人民 が 貧困 な の は しょくみん|ほし||じんみん||ひんこん|||

彼ら 自身 の 無能 さ に 原 因 が ある かれら|じしん||むのう|||はら|いん||

我々 地球 市民 に 罪 が ある など と いう の は われわれ|ちきゅう|しみん||ざい|||||||

自立 心 と 向上 心 を 欠く 奴隷 的 精神 の 表れ で しか ない ! じりつ|こころ||こうじょう|こころ||かく|どれい|てき|せいしん||あらわれ||| it's only allowing this slave-like mindset lacking in the spirit of independence and ambition.

当時 地球 に は 資源 が 欠け て い まし た とうじ|ちきゅう|||しげん||かけ|||| At that time, Earth was lacking in resources.

そして 地球 人 に は 想像 力 が 欠け て い まし た |ちきゅう|じん|||そうぞう|ちから||かけ|||| Furthermore, the people of Earth were lacking in imagination.

想像 力 の 欠如 する ところ 地球 の 住人 たち は 傲然 と そうぞう|ちから||けつじょ|||ちきゅう||じゅうにん|||ごうぜん| Even with that deficiency,

強者 の 論理 を 貫 い た の です きょうしゃ||ろんり||つらぬ||||

強者 の 強者 たる ゆえん は 武力 と 富 で あった きょうしゃ||きょうしゃ||||ぶりょく||とみ|| On the grounds that the strong are simply stronger, they justified their wealth and military might.

資本 主義 の 名 の 下 に 地球 は 植民 星 の 富 を 収 奪 し しほん|しゅぎ||な||した||ちきゅう||しょくみん|ほし||とみ||おさむ|だつ| Under the banner of capitalism, Earth plundered the riches of the colony worlds,

それ に よって 軍事 力 を 強化 し た |||ぐんじ|ちから||きょうか|| and used that to further strengthen their military.

いわば 植民 星 の 人々 は 自分 たち を 監視 し |しょくみん|ほし||ひとびと||じぶん|||かんし| The people of the colony worlds were forced to endure

弾圧 する 兵士 たち を 養わ さ れ た の で ある だんあつ||へいし|||やしなわ|||||| supporting the soldiers that monitored and oppressed them.

忍耐 の 極み に 達し た 植民 星 側 で は にんたい||きわみ||たっし||しょくみん|ほし|がわ||

西暦 2682 年 に 至り 結束 し て 地球 側 に 要求 を 突きつけ た せいれき|とし||いたり|けっそく|||ちきゅう|がわ||ようきゅう||つきつけ|

第 1 に 肥大 化 し た 軍備 の 縮小 だい||ひだい|か|||ぐんび||しゅくしょう First, they were to reduce the greatly swollen number of their armaments.

第 2 に 汎 人類 評議 会 の 議席 数 を 人口 に 応じ た 配分 に 変える こと だい||ひろし|じんるい|ひょうぎ|かい||ぎせき|すう||じんこう||おうじ||はいぶん||かえる| Secondly, the number of seats in the Humanity Congress

第 3 に 地球 資本 に よる 植民 星 に 対する だい||ちきゅう|しほん|||しょくみん|ほし||たいする Third, Earth was to stop using its capital to interfere with the colony worlds.

内政 干渉 を やめる こと ないせい|かんしょう|||

これ に 対し て 地球 は まず ||たいし||ちきゅう|| In response to these demands,

汎 人類 評議 会 の 分担 金 の 拠出 を 停止 する こと で 応じ た が ひろし|じんるい|ひょうぎ|かい||ぶんたん|きむ||きょしゅつ||ていし||||おうじ||

植民 星 の 不満 を 抑える べく 対 策 を 講じる 必要 に 迫ら れ た しょくみん|ほし||ふまん||おさえる||たい|さく||こうじる|ひつよう||せまら|| but a plan to suppress the discontent of the colonized planets would soon become necessary.

当時 反 地球 派 の 急 先鋒 は シリウス 星 系 で し た とうじ|はん|ちきゅう|は||きゅう|せんぽう|||ほし|けい||| At that time, the one leading the anti-Earth faction was the Sirius star system.

地球 は これ を 逆 に 利用 する こと を 考え ちきゅう||||ぎゃく||りよう||||かんがえ Planning to use this against them, Earth intentionally started to spread rumors.

意図 的 に 怪 情報 を 流し 始め た の です いと|てき||かい|じょうほう||ながし|はじめ|||

いわ く 「 シリウス が 事 ある ごと に 地球 を 非難 する の は 」 ||||こと||||ちきゅう||ひなん||| According to these,

「 平等 を 目指し て など で は なく 地球 に 代わって 」 びょうどう||まなざし||||||ちきゅう||かわって

「 人類 社会 の 支配 者 たら ん と する 野心 の ため で ある 」 じんるい|しゃかい||しはい|もの|||||やしん||||

「 シリウス こそ 地球 と 各 植民 星 の 共通 の 敵 で あり 」 ||ちきゅう||かく|しょくみん|ほし||きょうつう||てき|| "Sirius is a common enemy to both Earth and the various colony worlds,"

「 人類 を 脅かす 存在 な の で ある 」 じんるい||おびやかす|そんざい|||| "one which threatens the existence of mankind."

「 シリウス は 着々 と 国力 を 蓄え 」 ||ちゃくちゃく||こくりょく||たくわえ "Sirius is steadily using its resources to build up national power and augment its armaments,"

「 軍備 を 増強 し スパイ 網 を 完成 さ せ つつ ある 」 ぐんび||ぞうきょう||すぱい|あみ||かんせい||||

「 シリウス に 注意 せよ 」 ||ちゅうい| "Look out for Sirius!"

俗 に 言う 「 シリウス 脅威 論 」 です ぞく||いう||きょうい|ろん| This is commonly referred to as the "Sirian Menace Doctrine."

最初 地球 は 悪意 に 満ち た 喜び を もって さいしょ|ちきゅう||あくい||みち||よろこび|| With ill intent,

シリウス の 虚像 が 拡大 し て いく の を 見守って い まし た しかし ||きょぞう||かくだい||||||みまもって||||

地球 が シリウス の 脅威 を 誇大 に 宣伝 し て いく うち に ちきゅう||||きょうい||こだい||せんでん|||||

計算 外 の 効果 が 表れ て き まし た けいさん|がい||こうか||あらわれ||||

シリウス 自身 が 地球 を 凌 駕 せんと する 実力 と |じしん||ちきゅう||しの|が|||じつりょく| Sirius itself started to believe it possessed power and intention

意志 の 存在 を 信じ 始め て しまった の です いし||そんざい||しんじ|はじめ|||| exceeding that of Earth.

つまり うわさ に 乗せ られる 形 で その 気 に なって しまった の です |||のせ||かた|||き||||| In other words,

シリウス を 仮想 敵 に 仕立てる 地球 の 政略 は ||かそう|てき||したてる|ちきゅう||せいりゃく| Considering Earth's political maneuver of tailoring Sirius as an imaginary enemy,

失笑 す べき 結果 を 生 ん だ しっしょう|||けっか||せい|| it was a laughable result.

いく つ か の 植民 星 が 地球 に 対する 反感 の あまり ||||しょくみん|ほし||ちきゅう||たいする|はんかん|| Countless colony worlds were overjoyed to rise in revolt against Earth,

シリウス の ほう に 身 を 寄せ 始め た の で ある ||||み||よせ|はじめ|||| and started to join with Sirius.

「 地球 の 専横 に 反対 する に は シリウス に 頼る ほか ない 」 ちきゅう||せんおう||はんたい||||||たよる|| In order to oppose Earth's tyranny, they had no choice but to rely on Sirius.

そう 思わ せ た の は 他なら ぬ 地球 自身 だった の です |おもわ|||||ほかなら||ちきゅう|じしん||| It was Earth itself that made them think this way.

かくして 反 地球 陣営 の 盟主 の 座 に つい た シリウス に 対し |はん|ちきゅう|じんえい||めいしゅ||ざ||||||たいし Thus, in regards to Sirius, who was the leader of those opposing Earth's tyranny,

地球 は 武力 に よる 懲罰 を 加える こと を 決し ちきゅう||ぶりょく|||ちょうばつ||くわえる|||けっし Earth decided to use military might to reprimand them,

同時に 反 地球 勢力 を 一掃 する こと を 考え た どうじに|はん|ちきゅう|せいりょく||いっそう||||かんがえ| and at the same time they were hoping to eradicate anti-Earth sentiments.

西暦 2689 年 せいれき|とし In A.D. 2689,