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火星の記憶 (The Memory of Mars) by Raymond F. Jones, パート17

パート 17

彼 は 用心深く 部屋 の ドア を 開け 、外 に 出た 。 廊下 は 先 を 急ぐ 乗客 で いっぱいだった 。 手 荷物 を 持ち 、興奮 に おたがい 笑い さざめいている 。 彼 も それ に 加わり 、乗務員 を 警戒 し ながら ゆっくり と 歩いた 。 廊下 に 乗務員 は ひとり も いない ようだった 。 絶えず 壁 際 に そって 群衆 と ともに 移動 して いく と 、脱出 室 と 記さ れた 丸い くぼみ に たどり着いた 。 急ぐ 群衆 に 押さ れ でも した か の ように 、彼 は その 中 に 後ろ向き に 入った 。 自動 ドア が 彼 を 受け入れる ため に 開き 、そして 閉じた 。

この 小 部屋 は 法 に よって 船 内 に 何 十 ケ 所 と 設けられた もの の ひとつ だった 。 脱出 室 に は 非常時 に 個人 が 船外 へ 脱出 できる よう 、宇宙 服 が 置かれて ある 。 本来 、使われる はず の ない 部屋 だった 。 緊急 事態 が 発生 して 船 を 捨て なければ ならない とき に 、宇宙 服 を 着て 宇宙 に 出る こと は 、船 に 残る の と 同じ くらい 自殺的な 行為 である と いえる 。 しかし がんこな 立法者 たち は それら の 必要 を 法令 で 定め 、乗客 は この 部屋 と 宇宙服 の 使い方 に ついて おざなりな 説明 を 受ける のである 。 もっとも そんな 説明 は 右 の 耳 から 左 の 耳 へ 通り抜ける だけ な のだ けれど 。

メル は その 説明 を 必死に 思い出そう と した 。 キャビネット に 吊 されている 宇宙服 を 調べている とき 、羽目板 に 同じ 説明 を くり返した 使用 方法 の パネル が 貼られている の を 見つけ 、ほっと 安心した 。 説明 通り に 、ゆっくり と 、ひとつひとつ 手順 を 踏んで 宇宙 服 を 着た 。 装着 に 悪戦苦闘 した の と 、発見 される 恐れ から 、汗 が したたか 噴き出し はじめた 。

見つかる こと なく 、ようやく この 扱いにくい 装備 を 整える こと が できた 。 この 部屋 の エアロック に は 、開けられた とき に 乗務員 に 注意 を うながす 警報 が ついている のだろうか 、と 彼 は 思った 。 一 か 八 か の 賭 だ 。 彼 は ドア の ロック が 宇宙 服 の 中 から しか 操作 でき ない ように なって いる こと に 気 が ついた 。 どうやら 無防備な まま 船 を 離れる こと が できない 仕組み に なっている らしい 。 こんな 安全 策 が とられて いる なら 、警報 は おそらく ついて いない だろう 。 彼 は ロック を ひねり 、部屋 の 中 に 入った 。 外側 の ドア を 開ける と 目の前 に は 宇宙 空間 の 闇 が 広がっていた 。

よもや これほど までに 彼 を すくみ あがらせる もの が あろう と は 思って も い なかった だろう 。 瞬間 、彼 は 膝 が 萎え 、ハッチ の 側面 に しがみついた 。 毛穴 という 毛穴 から 新たに 汗 が 噴き出した 。 やみくもに 噴射 装置 を 押し 、むりやり 宇宙 空間 に 飛び出した 。

船 の 湾曲 に そって 弧 を 描く ように しばらく 進んで から 船体 に 接触 した 。 吐き気 と めまい に くらく らし ながら 、足 と 手 の 磁気 パッド で しがみついた のだ 。

船体 の 外側 に しがみついて いれば 見つからず 、地球 へ の 帰還 飛行 に も 耐えられる と 思って いた 。 身 も 心 も ぐったり した いま 、そんな 計画 は 愚か さ の 極み の ように 思えた 。 吐き そうに なって 目 を 閉じ 、船体 に へばりついた まま 、永遠 の はじまり を 迎えた 。

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