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刀語, Katanagatari Episode 10 (1)

Katanagatari Episode 10 (1)

とがめ

とがめ

大丈夫 か

とがめ とがめ

とがめ しっかり しろ とがめ

とがめ とがめ

とがめ とがめ とがめ

尾張 幕府 家 鳴 将軍 直轄 預奉 所 軍 所 総 監督 奇 策 士 とがめ が

何やら 不思議な 現象 に 遭って いる の は 今 から 3 日 前

虚 刀 流 七 代 目 当主 鑢 七 花 と 共に ここ 奥 州 百 刑 場 にて

10 本 目 の 「 誠 刀 · 銓 」 の 所有 者

彼我 木 輪廻 に 会って から で ございます

百 刑 場

それ は 飛騨 鷹 比 等 はじめ 反乱 に かかわった 者 が

皆 処刑 さ れた 公開 処刑 場 であり

2 人 に とって 因縁 の 場所 な ので ございます

何 だろう

胸 が 痛 え

締め付け られる ような

自分 の 大事な もの が 失わ れた ような

踏みにじら れた ような 気 が する

とがめ

まさか こんな 形 で 故郷 を 訪れる こと に なろう と は

思って おら ん かった が な

やれやれ だ

なあ 本当に こんな 所 に 仙人 が いる の か

どう 見て も 人 が 住んで いる 様子 は ない ぜ

これ から 手当たり次第 近く の 村 を 当たって いく って こと な の か

いや その 必要 は ない

彼我 木 輪廻 は ここ に いる

ただ 姿 を 現さ ぬ だけ で な

何 を 言って

どうして こんな 所 に 女の子 が

へえ 君 に は 僕 が そういうふうに 見える の かい

女の子 に なる の は 久しぶりだ な

まあ 堪能 さ せて もらう さ

そう いう わけで 初め まして

僕 は 彼我 木 輪廻 だ よ

今後 よろしく お 見 知り おき を って ところ かな

あんた が 彼我 木 輪廻 仙人 の

いかにも

や あ とがめちゃ ん

言わ なくて も 分かって いる よ

「 誠 刀 · 銓 」 が 欲しい んだろう

そうかい そうかい

いい よ あげる

そこ に 埋めて ある から 好きな ように 掘り出し なさい

たぶん 10 丈 くらい の 深 さかな

もちろん 君 1 人 で やって よ ね とがめちゃ ん

ちょうど 君 の 立って いる 真 下 だ から

まっ 頑張って みて よ ね

消えた

とがめ 大丈夫 か

もう 朝 か

無 茶 す んな よ

今日 ぐらい 休め って

そう いう わけに は いか ぬ

1 人 で 10 丈 掘ら ねば なら ぬ ので な

てい うか 奇 策 は どう した んだ よ

いつも の とがめ なら 奇 策 を 練って 彼我 木 と 交渉 する だ ろ

会い たく ない

えっ

彼我 木 輪廻 に 会って から

とがめ は 絶対 変だ

追い詰め られて いる って いう か

そんな とがめ 俺 見て られ ねえ よ

なら 見る な

彼我 木 輪廻 か

どうかした の かい 鑢君

とがめ ちゃん は 今日 も 穴 掘り に 夢中 か な

あんた が 10 丈 の 深 さ に 銓 を 埋めた せい で な

どうして 「 誠 刀 · 銓 」 を 埋めた んだ

あんな 刀 邪魔な だけ だ から ね

かといって 友人 と して もらった もの を 捨てる の も なんだ し

つまり 埋める の が 一 番 よかった んだ

友人 から もらった

そう だ よ

四季 崎記 紀 本人 から ね

四季 崎記 紀 から うん

うん

「 うん 」 って

あんた いったい 何 歳 だ よ

およそ 300 歳

人間 だった ころ を 含めれば 350 歳 か な

あんた 俺 とど っか で 会った こと ない か

ない よ

僕 は これ でも 仙人 だ から ね

基本 的に 俗 世 から は 離れて いる

でも 俺 は あんた を 知っている ような 気 が する

それ は ね 君 が この 僕 を そういうふうに 見て いる と いう だけ な んだ よ

僕 は ね 君 の 記憶 の 投影 なんだ

記憶 の 投影

そ 君 の 正当なる 記憶 に 基づく 正当なる 認識 だ

誇り に こける まで も なく ね

人 は 僕 と いう 存在 を 通して 自分 の 記憶 を 覗く こと に なる の さ

僕 は 居ながら に して この世 に 存在 して い ない

それ が 仙人 と いう こと だ

よく 分から ねえ な

一体 仙人 って 何 な んだ

そう だ ね 一言 で 言えば

仙人 は 人 に とって 鏡 みたいな もん だ よ

鏡 あ 真実 を 映し出す 魔法 の 鏡 って ところ かな 鑢君 こんな 外国 の 童話 を 知っている かな

何 だ よ

と わる 所 に 女王 様 が いて さ

そんな 女王 様 が 鏡 に 対して 聞く わけだ よ

鏡 よ 鏡 鏡 さん

この世 に 一 番 美し の は 誰 と

女王 様 と して は ここ で 自分 だ っと 答えて 欲し だ けれど

鏡 は 女王 様 が 大嫌いな 違う 人物 の 名前 を 答える んだ

けど さ 鑢君 これ って どう 思う

鏡 が そう な 事 答える と 思う かい

思う も 思わ ねい も 鏡 が しゃべる わけ ね い だ ろ

そう

答え の は 鏡 じゃ ない

女王 様 自身 の 心根 が

自身 の 虚栄 心 に 対して そう 言った に すぎ ない だ

あんた の 話 だ と 全部 見る 側 の 都合 みて えだ な

仙人 は 何も し ない んだ

と いう より も 何も でき ない

何 か しでかす の は いつも 君 ら 人間 な んだ よ

そう 言わ れて 思い当たる 節 は ない かいこ の 僕 の 姿 に

君 が 僕 を 見た 瞬間 に 形成 さ れた この 僕 の 存在 に

凍 空 こなゆき

姉ちゃん

汽口 慚愧 か

敦賀 迷彩

凍 空 こなゆき

姉ちゃん

汽口 慚愧

それ に 敦賀 迷彩 ね

俺 は この 3 人 に 負けた こと が ある

3 人

敦賀 迷彩 に は 負けちゃ い ねえ が

かなり 苦い 経験 みたいだ ね

後悔 と 罪悪 感 だ ろ

鑢君 自分 の 記憶 を のぞく と は

自分 の 苦手 意識 を のぞく と いう こと だ よ

自分 の 記憶 って いう の は たいてい の 揚 合 都合 よく 改変 さ れて る から ね

しかし この 僕 を 通して しまえば そう は いか ない

どうやら 僕 は 失敗 して しまった ようだ よ

こう やって 最後に 君 に 伝える べき こと を 伝え られた んだ から

それ で よし と しよう

僕 と いる と

いや応 なし に 苦手な 思い出 したく も ない 己 の 記憶 と 向き合う こと に なる の さ

鑢君

人知 を 超えた 仙人 たる 僕 の 見る ところ

君 は ここ ら で そろそろ 自分 の 苦手 意識 と 向き合う こと が 必要だろう

真庭 忍 軍 十二 頭領 も たった 2 人 に なって しまった と いう わけだ

ど どう し ましょう 鳳凰 さま

どう しよう も ない

鴛鴦 1 人 欠けた ところ で

いまさら 計画 を 変更 する わけに も いく まい

このまま われら は 奥 州 を 目指す

それ に あの 男 が いつ 現れる か 分から ない ので な

な 何者 だった んでしょう

否定 姫 の 配下 だ と われ は 読む

ひ 否定 姫

ほ 鳳鳳 さま

ひょっとして あの 男 の 正体 に 心当たり が お あり でしょう か

この 間 から の 鳳凰 さま の 言いよう を 聞いて いる と

まるで あの 男 の こと を 古くから 知っている か の よう で

鋭い なお 前 は

心当たり が ある だけ だ

おそらくは われ の 勘違い だろう

か 勘違い

そう だ あの 男 が 生きて いる はず は ない のだ

まして 否定 姫 の 下 など で 働いて いる わけ も ない

あれ は 誇り 高き 忍者 だった

お前 の 生まれる 前 の 話 だ よ

に 忍者

お 友達 だった のです か

だから あの 男 で は ない

あの 男 は すでに 死んだ のだ

誇り 高き 忍者 は この 時代 に は 生きて い ない

われら も 含めて な

人 鳥 もしも 奇 策 士 と の 交渉 に 成功 し

われら が 完成 形 変 体 刀 を 全て 手 に する こと が できた なら

われ も 現役 の 引き 時 だろう

十二 頭領 を 10 人 も 失った 責任 は われ が 取ら ねば なる まい

次の 世代 へ と 希望 を 託す こと に しよう

ご ご 冗談 を

冗談 で は ない さ

どころ か われ の 跡 を 継ぐ の は お前 しか おら ん と 思って いる よ 人 鳥

結局 の ところ 時代 の 遺物 な のだ

奇 策 士 も 虚 刀 流 も 否定 姫 も

そして 四季 崎記 紀 の 完成 形 変 体 刀 も

鳳凰 さま

さて 道 行き を 急ぐ と しよう

あの 洋装 仮面 の 男 が いつ 襲撃 して くる かも 分から ん

そ そうです ね

や あ 鑢君

暇 そうだ ね

剣 を 取った 方 が 弱く なる など まるで 呪い の ようです ね

呪い

虚 刀 流 桔梗

痛 て て て て

さすが です ね

もう 少し の 間 は ごまかせる か と 思った のです が

これ が 限界 です

参り ました 七 花 殿

どう でしょう

七 花 殿 の お 悩み に

何らか の 風穴 は 開け られた ので は ない か と 自負 いたし ます が

いや よく 分から ねえ んだ けど

わたし が 言い たい の は 「 一 芸 に 秀でる 者 は 万 芸 に 秀でる 」 と いう こと です

初心 者 の わたし でも

戦え と 言わ れれば ある 程度 の 徒手 空 拳 の 振る舞い は 可能な のです

つまり 木刀 を 持った こと で あそこ まで 弱く なる の は おかし いって こと だ よ な

ですから わたし は 「 呪い 」 と いう 言葉 を 使って しまった

これ は 剣士 と して の わたし の 勘 です が

心 王 一 鞘流 が 心 王 一 鞘流 である ため に 必要な 概念 が 幾 つ か ある ように

七 花 殿 の 虚 刀 流 が 虚 刀 流 である ため に

必要な 概念 が ある の かも しれ ませ ん

姉ちゃん

わたし は 刀 だ わ

あなた も 刀

七 花

わたし の 弟

わたし を やっと 殺して くれる

ヤダ

俺 は

俺 は

刀 が 刀 を 使おう と する と こう なって しまう

刀 に 関する 才能 を 一切 持た ぬ

それ が 虚 刀 流

姉ちゃん

刀 が 刀 を 使っちゃ いけ ねえ

それ が あんた の 言う 虚 刀 流 の 呪い な んだ な

おめでとう 鑢君

何 か 分かった みたいだ ねえ

ホントに よかった ねえ

一 つ 気 に なって んだ けど

何 だい

あんた の 姿 や 中身 は

「 見る 側 の 記憶 の 投影 だ 」 って 言って たよ な

その とおり

じゃあ その 人 を 食った 性格 って の は 誰 な んだ

ああ これ は とがめ ちゃん に とって

僕 は そういう 人だって こと だ よ

あんた とがめ の 記憶 から も 形成 さ れて いる の か

そう だ よ

君 ら は 2 人 で 一緒に 僕 を 見た から ね

姿 や 立ち居振る舞い は 君 の 記憶 から

この 性格 は 彼女 の 記憶 から の ようだ ね

あの とがめ に 苦手な もん なんか ある の か よ

苦手な もの を

思い出した くも ない 記憶 を 持た ない もの なんて い ない よ

とがめ の 苦手な やつ

飛騨 鷹 比 等

ひ 飛騨 鷹 比 等

ああ

あやつ の 性格 は わたし の 父親 に うり二つだ

あの もったいぶった しゃべり 方

ふざけた 態度

砕けた 態度

何より わたし に 肉体 労働 を 強いる と いう この 嫌がらせ

わたし が 最も 苦手 と した あの 男 が いかにも やり そうな こと な のだ よ

そ そう か

己 の 苦手 意識 と 向き合え か

どうりで ここ へ 来て から と いう もの あの 男 の こと を 思い出す わけだ

いま わ の 際 に 父 が わたし に 何 か を 言い残した ような のだ よ

そんな 大切な こと すら 忘れて いた

今ごろ あの 不愉快な 女 は 彼我 木 輪廻 に 会って いる の かしら ね

仙人 の 彼我 木 輪廻 です か

しかし より に よって あの 仙人 に 「 誠 刀 · 銓 」 を 託す と は

姫 さま も ずいぶんな ま ね を なさ い ます ね

いつも の 奇 策 士 に 対する 嫌がらせ な のでしょう か

勘違い し ないで よ

別に わたし が 彼我 木 輪廻 に 託した わけじゃ ない わ

むしろ あいつ が 所有 して いる せい で 困って る くらい な んだ から

それ より 「 毒 刀 · 鍍 」

四季 崎記 紀 の 作り し 変 体 刀 の 中 でも 最も 強い 毒 を 持つ 鍍


Katanagatari Episode 10 (1) Katanagatari Episode 10 (1)

とがめ

とがめ

大丈夫 か だいじょうぶ|

とがめ   とがめ

とがめ   しっかり しろ とがめ

とがめ   とがめ

とがめ とがめ とがめ

尾張 幕府 家 鳴 将軍 直轄 預奉 所 軍 所 総 監督   奇 策 士 とがめ が おわり|ばくふ|いえ|な|しょうぐん|ちょっかつ|よほう|しょ|ぐん|しょ|そう|かんとく|き|さく|し||

何やら 不思議な 現象 に 遭って いる の は   今 から 3 日 前 なにやら|ふしぎな|げんしょう||あって||||いま||ひ|ぜん

虚 刀 流 七 代 目 当主 鑢 七 花 と 共に ここ 奥 州 百 刑 場 にて きょ|かたな|りゅう|なな|だい|め|とうしゅ|やすり|なな|か||ともに||おく|しゅう|ひゃく|けい|じょう|

10 本 目 の  「 誠 刀 · 銓 」 の 所有 者 ほん|め||まこと|かたな|せん||しょゆう|もの

彼我 木 輪廻 に 会って から で ございます ひが|き|りんね||あって|||

百 刑 場 ひゃく|けい|じょう

それ は 飛騨 鷹 比 等 はじめ 反乱 に かかわった 者 が ||ひだ|たか|ひ|とう||はんらん|||もの|

皆 処刑 さ れた 公開 処刑 場 であり みな|しょけい|||こうかい|しょけい|じょう|

2 人 に とって 因縁 の 場所 な ので ございます じん|||いんねん||ばしょ|||

何 だろう なん|

胸 が 痛 え むね||つう|

締め付け られる ような しめつけ||

自分 の 大事な もの が 失わ れた ような じぶん||だいじな|||うしなわ||

踏みにじら れた ような 気 が する ふみにじら|||き||

とがめ

まさか こんな 形 で 故郷 を 訪れる こと に なろう と は ||かた||こきょう||おとずれる|||||

思って おら ん かった が な おもって|||||

やれやれ だ

なあ   本当に こんな 所 に 仙人 が いる の か |ほんとうに||しょ||せんにん||||

どう 見て も 人 が 住んで いる 様子 は ない ぜ |みて||じん||すんで||ようす|||

これ から 手当たり次第 近く の 村 を 当たって いく って こと な の か ||てあたりしだい|ちかく||むら||あたって||||||

いや   その 必要 は ない ||ひつよう||

彼我 木 輪廻 は   ここ に いる ひが|き|りんね||||

ただ   姿 を 現さ ぬ だけ で な |すがた||あらわさ||||

何 を 言って なん||いって

どうして こんな 所 に 女の子 が ||しょ||おんなのこ|

へえ   君 に は 僕 が そういうふうに 見える の かい |きみ|||ぼく|||みえる||

女の子 に なる の は 久しぶりだ な おんなのこ|||||ひさしぶりだ|

まあ   堪能 さ せて もらう さ |たんのう||||

そう いう わけで 初め まして |||はじめ|

僕 は 彼我 木 輪廻 だ よ ぼく||ひが|き|りんね||

今後 よろしく お 見 知り おき を って ところ かな こんご|||み|しり|||||

あんた が 彼我 木 輪廻 仙人 の ||ひが|き|りんね|せんにん|

いかにも

や あ   とがめちゃ ん

言わ なくて も 分かって いる よ いわ|||わかって||

「 誠 刀 · 銓 」 が   欲しい んだろう まこと|かたな|せん||ほしい|

そうかい   そうかい

いい よ   あげる

そこ に 埋めて ある から 好きな ように 掘り出し なさい ||うずめて|||すきな|よう に|ほりだし|

たぶん  10 丈 くらい の 深 さかな |たけ|||ふか|

もちろん   君 1 人 で やって よ ね とがめちゃ ん |きみ|じん||||||

ちょうど   君 の 立って いる 真 下 だ から |きみ||たって||まこと|した||

まっ   頑張って みて よ ね |がんばって|||

消えた きえた

とがめ   大丈夫 か |だいじょうぶ|

もう   朝 か |あさ|

無 茶 す んな よ む|ちゃ|||

今日 ぐらい 休め って きょう||やすめ|

そう いう わけに は いか ぬ

1 人 で 10 丈 掘ら ねば なら ぬ ので な じん||たけ|ほら|||||

てい うか 奇 策 は どう した んだ よ ||き|さく|||||

いつも の とがめ なら 奇 策 を 練って 彼我 木 と 交渉 する だ ろ ||||き|さく||ねって|ひが|き||こうしょう|||

会い たく ない あい||

えっ

彼我 木 輪廻 に 会って から ひが|き|りんね||あって|

とがめ は 絶対 変だ ||ぜったい|へんだ

追い詰め られて いる って いう か おいつめ|||||

そんな とがめ 俺 見て られ ねえ よ ||おれ|みて|||

なら   見る な |みる|

彼我 木 輪廻 か ひが|き|りんね|

どうかした の かい   鑢君 |||やすりくん

とがめ ちゃん は 今日 も 穴 掘り に 夢中 か な |||きょう||あな|ほり||むちゅう||

あんた が 10 丈 の 深 さ に 銓 を 埋めた せい で な ||たけ||ふか|||せん||うずめた|||

どうして 「 誠 刀 · 銓 」 を 埋めた んだ |まこと|かたな|せん||うずめた|

あんな 刀 邪魔な だけ だ から ね |かたな|じゃまな||||

かといって 友人 と して もらった もの を 捨てる の も なんだ し |ゆうじん||||||すてる||||

つまり 埋める の が 一 番   よかった んだ |うずめる|||ひと|ばん||

友人 から もらった ゆうじん||

そう だ よ

四季 崎記 紀   本人 から ね しき|さきき|き|ほんにん||

四季 崎記 紀 から うん しき|さきき|き||

うん

「 うん 」 って

あんた いったい 何 歳 だ よ ||なん|さい||

およそ 300 歳 |さい

人間 だった ころ を 含めれば 350 歳 か な にんげん||||ふくめれば|さい||

あんた 俺 とど っか で 会った こと ない か |おれ||||あった|||

ない よ

僕 は これ でも 仙人 だ から ね ぼく||||せんにん|||

基本 的に 俗 世 から は 離れて いる きほん|てきに|ぞく|よ|||はなれて|

でも   俺 は あんた を 知っている ような 気 が する |おれ||||しっている||き||

それ は ね 君 が この 僕 を そういうふうに 見て いる と いう だけ な んだ よ |||きみ|||ぼく|||みて|||||||

僕 は ね 君 の 記憶 の 投影 なんだ ぼく|||きみ||きおく||とうえい|

記憶 の 投影 きおく||とうえい

そ   君 の 正当なる 記憶 に 基づく 正当なる 認識 だ |きみ||せいとうなる|きおく||もとづく|せいとうなる|にんしき|

誇り に こける まで も なく ね ほこり||||||

人 は 僕 と いう 存在 を 通して 自分 の 記憶 を 覗く こと に なる の さ じん||ぼく|||そんざい||とおして|じぶん||きおく||のぞく|||||

僕 は 居ながら に して この世 に 存在 して い ない ぼく||いながら|||このよ||そんざい|||

それ が 仙人 と いう こと だ ||せんにん||||

よく 分から ねえ な |わから||

一体 仙人 って 何 な んだ いったい|せんにん||なん||

そう だ ね   一言 で 言えば |||いちげん||いえば

仙人 は 人 に とって 鏡 みたいな もん だ よ せんにん||じん|||きよう||||

鏡 あ   真実 を 映し出す 魔法 の 鏡 って ところ かな きよう||しんじつ||うつしだす|まほう||きよう||| 鑢君   こんな 外国 の 童話 を 知っている かな やすりくん||がいこく||どうわ||しっている|

何 だ よ なん||

と わる 所 に 女王 様 が いて さ ||しょ||じょおう|さま|||

そんな 女王 様 が 鏡 に 対して 聞く わけだ よ |じょおう|さま||きよう||たいして|きく||

鏡 よ 鏡   鏡 さん きよう||きよう|きよう|

この世 に 一 番 美し の は 誰 と このよ||ひと|ばん|うつくし|||だれ|

女王 様 と して は ここ で 自分 だ っと 答えて 欲し だ けれど じょおう|さま||||||じぶん|||こたえて|ほし||

鏡 は 女王 様 が 大嫌いな 違う 人物 の 名前 を 答える んだ きよう||じょおう|さま||だいきらいな|ちがう|じんぶつ||なまえ||こたえる|

けど さ 鑢君   これ って どう 思う ||やすりくん||||おもう

鏡 が そう な 事 答える と 思う かい きよう||||こと|こたえる||おもう|

思う も 思わ ねい も   鏡 が しゃべる わけ ね い だ ろ おもう||おもわ|||きよう|||||||

そう

答え の は   鏡 じゃ ない こたえ|||きよう||

女王 様 自身 の 心根 が じょおう|さま|じしん||こころね|

自身 の 虚栄 心 に 対して そう 言った に すぎ ない だ じしん||きょえい|こころ||たいして||いった||||

あんた の 話 だ と 全部 見る 側 の 都合 みて えだ な ||はなし|||ぜんぶ|みる|がわ||つごう|||

仙人 は 何も し ない んだ せんにん||なにも|||

と いう より も   何も でき ない ||||なにも||

何 か しでかす の は いつも 君 ら 人間 な んだ よ なん||||||きみ||にんげん|||

そう 言わ れて 思い当たる 節 は ない かいこ の 僕 の 姿 に |いわ||おもいあたる|せつ|||||ぼく||すがた|

君 が 僕 を 見た 瞬間 に 形成 さ れた この 僕 の 存在 に きみ||ぼく||みた|しゅんかん||けいせい||||ぼく||そんざい|

凍 空 こなゆき こお|から|

姉ちゃん ねえちゃん

汽口 慚愧 か きくち|ざんき|

敦賀 迷彩 つるが|めいさい

凍 空 こなゆき こお|から|

姉ちゃん ねえちゃん

汽口 慚愧 きくち|ざんき

それ に 敦賀 迷彩 ね ||つるが|めいさい|

俺 は   この 3 人 に 負けた こと が ある おれ|||じん||まけた|||

3 人 じん

敦賀 迷彩 に は 負けちゃ い ねえ が つるが|めいさい|||まけちゃ|||

かなり 苦い 経験 みたいだ ね |にがい|けいけん||

後悔 と 罪悪 感 だ ろ こうかい||ざいあく|かん||

鑢君 自分 の 記憶 を のぞく と は やすりくん|じぶん||きおく||||

自分 の 苦手 意識 を のぞく と いう こと だ よ じぶん||にがて|いしき|||||||

自分 の 記憶 って いう の は たいてい の 揚 合 都合 よく 改変 さ れて る から ね じぶん||きおく|||||||よう|ごう|つごう||かいへん|||||

しかし この 僕 を 通して しまえば そう は いか ない ||ぼく||とおして|||||

どうやら 僕 は 失敗 して しまった ようだ よ |ぼく||しっぱい||||

こう やって 最後に 君 に 伝える べき こと を 伝え られた んだ から ||さいごに|きみ||つたえる||||つたえ|||

それ で よし と しよう

僕 と いる と ぼく|||

いや応 なし に 苦手な 思い出 したく も ない 己 の 記憶 と 向き合う こと に なる の さ いやおう|||にがてな|おもいで||||おのれ||きおく||むきあう|||||

鑢君 やすりくん

人知 を 超えた 仙人 たる 僕 の 見る ところ じんち||こえた|せんにん||ぼく||みる|

君 は ここ ら で そろそろ 自分 の 苦手 意識 と 向き合う こと が 必要だろう きみ||||||じぶん||にがて|いしき||むきあう|||ひつようだろう

真庭 忍 軍 十二 頭領 も たった 2 人 に なって しまった と いう わけだ まにわ|おし|ぐん|じゅうに|とうりょう|||じん||||||

ど   どう し ましょう 鳳凰 さま ||||ほうおう|

どう しよう も ない

鴛鴦 1 人   欠けた ところ で おしどり|じん|かけた||

いまさら 計画 を 変更 する わけに も いく まい |けいかく||へんこう|||||

このまま われら は 奥 州 を 目指す |||おく|しゅう||めざす

それ に あの 男 が いつ 現れる か   分から ない ので な |||おとこ|||あらわれる||わから|||

な   何者 だった んでしょう |なにもの||

否定 姫 の 配下 だ と   われ は 読む ひてい|ひめ||はいか|||||よむ

ひ   否定 姫 |ひてい|ひめ

ほ   鳳鳳 さま |おおとりおおとり|

ひょっとして あの 男 の 正体 に 心当たり が お あり でしょう か ||おとこ||しょうたい||こころあたり|||||

この 間 から の 鳳凰 さま の 言いよう を 聞いて いる と |あいだ|||ほうおう|||いいよう||きいて||

まるで あの 男 の こと を 古くから 知っている か の よう で ||おとこ||||ふるくから|しっている||||

鋭い なお 前 は するどい||ぜん|

心当たり が ある だけ だ こころあたり||||

おそらくは われ の 勘違い だろう |||かんちがい|

か   勘違い |かんちがい

そう だ あの 男 が 生きて いる はず は ない のだ |||おとこ||いきて|||||

まして 否定 姫 の 下 など で 働いて いる わけ も ない |ひてい|ひめ||した|||はたらいて||||

あれ は 誇り 高き   忍者 だった ||ほこり|たかき|にんじゃ|

お前 の 生まれる 前 の 話 だ よ おまえ||うまれる|ぜん||はなし||

に   忍者 |にんじゃ

お 友達 だった のです か |ともだち||の です|

だから あの 男 で は ない ||おとこ|||

あの 男 は すでに 死んだ のだ |おとこ|||しんだ|

誇り 高き 忍者 は この 時代 に は 生きて い ない ほこり|たかき|にんじゃ|||じだい|||いきて||

われら も 含めて な ||ふくめて|

人 鳥   もしも 奇 策 士 と の 交渉 に 成功 し じん|ちょう||き|さく|し|||こうしょう||せいこう|

われら が 完成 形 変 体 刀 を 全て 手 に する こと が できた なら ||かんせい|かた|へん|からだ|かたな||すべて|て||||||

われ も 現役 の 引き 時 だろう ||げんえき||ひき|じ|

十二 頭領 を 10 人 も 失った 責任 は われ が 取ら ねば なる まい じゅうに|とうりょう||じん||うしなった|せきにん||||とら|||

次の 世代 へ と 希望 を 託す こと に しよう つぎの|せだい|||きぼう||たくす|||

ご   ご 冗談 を ||じょうだん|

冗談 で は ない さ じょうだん||||

どころ か   われ の 跡 を 継ぐ の は お前 しか おら ん と 思って いる よ 人 鳥 ||||あと||つぐ|||おまえ|||||おもって|||じん|ちょう

結局 の ところ   時代 の 遺物 な のだ けっきょく|||じだい||いぶつ||

奇 策 士 も 虚 刀 流 も 否定 姫 も き|さく|し||きょ|かたな|りゅう||ひてい|ひめ|

そして 四季 崎記 紀 の 完成 形 変 体 刀 も |しき|さきき|き||かんせい|かた|へん|からだ|かたな|

鳳凰 さま ほうおう|

さて   道 行き を 急ぐ と しよう |どう|いき||いそぐ||

あの   洋装 仮面 の 男 が いつ 襲撃 して くる かも 分から ん |ようそう|かめん||おとこ|||しゅうげき||||わから|

そ   そうです ね |そう です|

や あ   鑢君 ||やすりくん

暇 そうだ ね いとま|そう だ|

剣 を 取った 方 が 弱く なる など まるで   呪い の ようです ね けん||とった|かた||よわく||||まじない||よう です|

呪い まじない

虚 刀 流   桔梗 きょ|かたな|りゅう|ききょう

痛 て て て て つう||||

さすが です ね

もう 少し の 間 は ごまかせる か と 思った のです が |すこし||あいだ|||||おもった|の です|

これ が 限界 です ||げんかい|

参り ました   七 花 殿 まいり||なな|か|しんがり

どう でしょう

七 花 殿 の お 悩み に なな|か|しんがり|||なやみ|

何らか の 風穴 は 開け られた ので は ない か と 自負 いたし ます が なんらか||かざあな||あけ|||||||じふ|||

いや   よく 分から ねえ んだ けど ||わから|||

わたし が 言い たい の は 「 一 芸 に 秀でる 者 は 万 芸 に 秀でる 」 と いう こと です ||いい||||ひと|げい||ひいでる|もの||よろず|げい||ひいでる||||

初心 者 の わたし でも しょしん|もの|||

戦え と 言わ れれば   ある 程度 の 徒手 空 拳 の 振る舞い は 可能な のです たたかえ||いわ|||ていど||としゅ|から|けん||ふるまい||かのうな|の です

つまり 木刀 を 持った こと で あそこ まで 弱く なる の は おかし いって こと だ よ な |ぼくとう||もった|||||よわく|||||||||

ですから   わたし は 「 呪い 」 と いう 言葉 を 使って しまった |||まじない|||ことば||つかって|

これ は 剣士 と して の わたし の 勘 です が ||けんし||||||かん||

心 王 一 鞘流 が 心 王 一 鞘流 である ため に 必要な 概念 が 幾 つ か ある ように こころ|おう|ひと|さやりゅう||こころ|おう|ひと|さやりゅう||||ひつような|がいねん||いく||||よう に

七 花 殿 の 虚 刀 流 が 虚 刀 流 である ため に なな|か|しんがり||きょ|かたな|りゅう||きょ|かたな|りゅう|||

必要な 概念 が ある の かも しれ ませ ん ひつような|がいねん|||||||

姉ちゃん ねえちゃん

わたし は 刀 だ わ ||かたな||

あなた も 刀 ||かたな

七 花 なな|か

わたし の 弟 ||おとうと

わたし を やっと 殺して くれる |||ころして|

ヤダ

俺 は おれ|

俺 は おれ|

刀 が 刀 を 使おう と する と こう なって しまう かたな||かたな||つかおう||||||

刀 に 関する 才能 を   一切 持た ぬ かたな||かんする|さいのう||いっさい|もた|

それ が   虚 刀 流 ||きょ|かたな|りゅう

姉ちゃん ねえちゃん

刀 が 刀 を 使っちゃ いけ ねえ かたな||かたな||つかっちゃ||

それ が あんた の 言う 虚 刀 流 の 呪い な んだ な ||||いう|きょ|かたな|りゅう||まじない|||

おめでとう 鑢君 |やすりくん

何 か 分かった みたいだ ねえ なん||わかった||

ホントに よかった ねえ ほんとに||

一 つ   気 に なって んだ けど ひと||き||||

何 だい なん|

あんた の 姿 や 中身 は ||すがた||なかみ|

「 見る 側 の 記憶 の 投影 だ 」 って 言って たよ な みる|がわ||きおく||とうえい|||いって||

その とおり

じゃあ   その 人 を 食った 性格 って の は 誰 な んだ ||じん||くった|せいかく||||だれ||

ああ これ は   とがめ ちゃん に とって

僕 は   そういう 人だって こと だ よ ぼく|||ひとだって|||

あんた   とがめ の 記憶 から も 形成 さ れて いる の か |||きおく|||けいせい|||||

そう だ よ

君 ら は 2 人 で 一緒に   僕 を 見た から ね きみ|||じん||いっしょに|ぼく||みた||

姿 や   立ち居振る舞い は 君 の 記憶 から すがた||たちいふるまい||きみ||きおく|

この 性格 は 彼女 の 記憶 から の ようだ ね |せいかく||かのじょ||きおく||||

あの   とがめ に 苦手な もん なんか ある の か よ |||にがてな||||||

苦手な もの を にがてな||

思い出した くも ない 記憶 を 持た ない もの なんて い ない よ おもいだした|||きおく||もた||||||

とがめ の 苦手な やつ ||にがてな|

飛騨 鷹 比 等 ひだ|たか|ひ|とう

ひ   飛騨 鷹 比 等 |ひだ|たか|ひ|とう

ああ

あやつ の 性格 は わたし の 父親 に うり二つだ ||せいかく||||ちちおや||うりふたつだ

あの もったいぶった しゃべり 方 |||かた

ふざけた 態度 |たいど

砕けた 態度 くだけた|たいど

何より わたし に 肉体 労働 を 強いる と いう この 嫌がらせ なにより|||にくたい|ろうどう||しいる||||いやがらせ

わたし が 最も 苦手 と した あの 男 が いかにも やり そうな こと な のだ よ ||もっとも|にがて||||おとこ||||そう な||||

そ   そう か

己 の 苦手 意識 と 向き合え か おのれ||にがて|いしき||むきあえ|

どうりで ここ へ 来て から と いう もの あの 男 の こと を 思い出す わけだ |||きて||||||おとこ||||おもいだす|

いま わ の 際 に 父 が わたし に 何 か を 言い残した ような のだ よ |||さい||ちち||||なん|||いいのこした|||

そんな 大切な こと すら 忘れて いた |たいせつな|||わすれて|

今ごろ あの 不愉快な 女 は 彼我 木 輪廻 に 会って いる の かしら ね いまごろ||ふゆかいな|おんな||ひが|き|りんね||あって||||

仙人 の 彼我 木 輪廻 です か せんにん||ひが|き|りんね||

しかし より に よって あの 仙人 に 「 誠 刀 · 銓 」 を 託す と は |||||せんにん||まこと|かたな|せん||たくす||

姫 さま も ずいぶんな ま ね を なさ い ます ね ひめ|||||||な さ|||

いつも の 奇 策 士 に 対する 嫌がらせ な のでしょう か ||き|さく|し||たいする|いやがらせ|||

勘違い し ないで よ かんちがい|||

別に わたし が 彼我 木 輪廻 に 託した わけじゃ ない わ べつに|||ひが|き|りんね||たくした|||

むしろ あいつ が 所有 して いる せい で 困って る くらい な んだ から |||しょゆう|||||こまって|||||

それ より 「 毒 刀 · 鍍 」 ||どく|かたな|と

四季 崎記 紀 の 作り し 変 体 刀 の 中 でも 最も 強い 毒 を 持つ 鍍 しき|さきき|き||つくり||へん|からだ|かたな||なか||もっとも|つよい|どく||もつ|と