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銀河英雄伝説 01黎明篇, 第六章 それぞれの星 (4)

第 六 章 それぞれ の 星 (4)

帝国 に せよ 同盟 に せよ 、 首脳 部 は 、 戦争 と いえば 宇宙 空間 で 戦艦 どうし が 亜 光速 ミサイル を 撃ち あう だけ だ と 思って いる ふし が ある 。 頑迷 な 教条 主義 者 ども が 殺し あい に 血道 を あげて いる あいだ に 、 両 国 の 社会 経済 体制 は 根幹 を フェザーン に にぎられて しまう こと に なる だろう 。 現在 でも 、 両 国 の 発行 して いる 戦時 国債 の 半分 ちかく は 、 直接 間接 に フェザーン が 購入 して いる のだ 。

宇宙 は 人類 の 足跡 の ある ところ 、 すべて フェザーン が 経済 的に 統治 する 。 帝国 政府 も 同盟 政府 も 、 フェザーン に 経済 的 利益 を もたらす べく 、 その 政策 を 代行 する に すぎ なく なる だろう 。 もう すこし 時間 は かかる だろう が 。 そうなれば 、 目的 の 最終 段階 まで あと 半 歩 の 距離 も ない ……。

だが 、 むろん 、 政治 上 あるいは 軍事 上 の 状況 を 軽視 して よい と いう こと に は なら ない 。 早い 話 、 帝国 と 同盟 が 強大な 覇権 に よって 政治 的 統合 を とげる と したら 、 フェザーン の 特権 的な 地位 は なんら 意味 を もた なく なる 。 古代 の 海 陸上 の 交易 都市 が 、 あらたに 出現 した 統一 王朝 の 武力 と 政治 力 に 屈服 して いった 、 その 歴史 を くりかえす こと に も なろう 。

と すれば 、 目的 を 達成 さ せる 道 は 永久 に 閉ざされて しまう 。 新 銀河 帝国 の 誕生 など は 、 絶対 に 阻止 さ れ ねば なら ない 。

新 銀河 帝国 か ……。

この 考え は 、 ルビンスキー に 新鮮な 緊張 感 を あたえた 。

現在 の ゴールデンバウム 朝 銀河 帝国 は すでに 老朽 化 して おり 、 ふたたび 活性 化 さ せる こと は 不可能に ちかい 。 分裂 して 幾多 の 小 王国 群 に 変化 し 、 その なか から あらたな 秩序 が 生まれる と して も 、 それ に は 何 世紀 も の 年月 が かかる だろう 。

いっぽう 、 自由 惑星 同盟 も 建国 の 理想 を 失って 惰性 に 流れて いる 。 経済 建設 と 社会 開発 の 停滞 は 民衆 レベル に 不満 を 生み 、 同盟 を 構成 する 諸 惑星 の あいだ に は 経済 格差 を めぐる 反目 が 絶え ない 。 よほど カリスマ 的な 指導 者 が 出現 して 集権 的な 体制 を 再 構築 でも し ない かぎり 、 出口 の ない 状況 は つづく だろう 。

五 世紀 前 、 巨人 的な 身体 を 権力 志向 の エネルギー で みたした 若き ルドルフ ・ フォン ・ ゴールデンバウム は 、 銀河 連邦 の 政治 機構 を のっとって 神聖 不可侵 の 皇帝 と なった 。 合 法的 手段 に よる 独裁 者 の 出現 。 これ が 再来 する 日 が くる だろう か 。 既成 の 権力 機構 を のっとる と すれば 、 短 時日 で の 変化 が 可能 と なる 。 たとえ 合 法的 で なく と も ……。

クーデター 。 権力 や 武力 の 中枢 ちかく に いる 者 に とって は 、 古典 的だ が 有効な 方法 だ 。 それだけに 魅力 的で も ある 。

ルビンスキー は 操作 卓 の ボタン を おして 補佐 官 を 呼びだした 。

「 両 国 に おける クーデター の 可能 性 です か ? 」 自治 領主 の 命令 は 彼 を 驚かせた 。 「 それ は ご 命令 と あら ば 、 さっそく 調査 いたします が 、 なに か それ を 示唆 する ような 緊急の 情報 でも ございました か ? 」 「 そう で は ない 。 たんに いま 、 思いついた と いう だけ だ 。 しかし あらゆる 可能 性 を 吟味 する に しく は ない 」

腐り はてた 頭脳 と 精神 の 所有 者 が 、 その 資格 も なし に 権勢 を ほしいままに する の は 不愉快だ が ―― と フェザーン の 統治 者 は 思った 。 まだ 当分 の あいだ は 、 帝国 と 同盟 の 現 体制 に 存続 して もらう 必要 が ある 。 帝国 も 同盟 も 想像 でき ない フェザーン の 真 の 目的 が 達成 さ れる その 日 まで ……。

Ⅵ 自由 惑星 同盟 最高 評議 会 は 十一 名 の 評議 員 に よって 構成 されて いる 。 議長 、 副 議長 兼 国務 委員 長 、 書記 、 国防 委員 長 、 財政 委員 長 、 法 秩序 委員 長 、 天然 資源 委員 長 、 人 的 資源 委員 長 、 経済 開発 委員 長 、 地域 社会 開発 委員 長 、 情報 交通 委員 長 が その メンバー である 。 彼ら は 真珠 色 の 外壁 を もつ 壮麗な ビル の 一室 に 集まって いた 。

窓 の ない 会議 室 は 、 四方 を 厚い 壁 と ほか の 部屋 に かこまれて いる 。 それ は 対外 連絡 室 、 資料 作成 室 、 情報 加工 室 、 機器 操作 室 など で 、 さらに その 外側 を 警備 兵 の 控室 が ドーナツ 状 に とりまいて いる のだ 。

これ を 開か れた 政治 の 府 と 呼ぶ べきだろう か ? 財政 委員 長 ジョアン ・ レベロ は 、 直径 七 メートル の 円卓 の 一 席 に すわって 、 そう 思った 。 いまに はじまった こと で は なく 、 赤外線 の 充満 した 廊下 を とおって 会議 室 に 入室 する たび に 、 その 疑問 に とらわれる 彼 だった 。

その 日 、 宇宙 暦 七九六 年 八 月 六 日 の 会議 は 、 議題 の ひと つ に 、 軍部 から 提出 さ れた 出兵 案 の 可否 を 決定 する 、 と いう こと が あげ られて いた 。 占領 した イゼルローン 要塞 を 橋 頭 堡 と して 帝国 に 侵入 する と いう 作戦 案 を 、 軍部 の 青年 高級 士官 たち が 直接 、 評議 会 に 提出 して きた のだ 。 レベロ に とって は 、 過激 と しか 思え ない 。

会議 が はじまる と 、 レベロ は 戦争 拡大 反対 の 論陣 を 張った 。

「 妙な 表現 に なります が 、 今日 まで 銀河 帝国 と わが 同盟 と は 、 財政 の かろうじて 許容 する 範囲 で 戦争 を 継続 して きた のです 。 しかし ……」

アスターテ の 会戦 に おいて 戦死 した 将兵 の 遺族 年金 だけ でも 、 毎年 、 一〇〇億 ディナール の 支出 が 必要に なる 。 このうえ 、 戦火 を 拡大 すれば 、 国家 財政 と それ を ささえる 経済 が 破綻 する の は さけ られ ない 。 それどころか 、 今日 、 すでに 財政 は 赤字 支出 と なって いる のだ 。

皮肉な こと に 、 ヤン も この 財政 難 に ひと 役 かって いる 。 彼 は イゼルローン で 五〇万 人 の 捕虜 を えた が 、 彼ら を 食わせる の も 、 なかなかたいへんな のだ 。 「 健全 化 の 方法 と して は 、 国債 の 増発 か 増税 か 、 昔 から の 二 者 択一 です 。 それ 以外 に 方法 は ありません 」 「 紙幣 の 発行 高 を ふやす と いう の は ? 」 副 議長 が 問うた 。 「 財源 の 裏付け も なし に です か ? 何 年 か さき に は 、 紙幣 の 額面 で は なく 重 さ で 商品 が 売買 さ れる ように なります よ 。 私 と して は 、 超 インフレーション 時代 の 無策な 財政 家 と して 後世 に 汚名 を 残す の は 、 ごめん こうむりたい です な 」 「 しかし 戦争 に 勝た ねば 、 何 年 か さき どころ か 明日 が ない のだ 」

「 では 戦争 そのもの を やめる べきでしょう 」

レベロ が 強い 口調 で 言う と 、 室 内 が しんと した 。

「 ヤン と いう 提督 の 智 略 で 、 吾々 は イゼルローン を えた 。 帝国 軍 は わが 同盟 にたいする 侵略 の 拠点 を 失った 。 有利な 条件 で 講和 条約 を 締結 する 好機 では ありません か 」 「 しかし これ は 絶対 君主 制 にたいする 正義 の 戦争 だ 。 彼ら と は 俱 に 天 を 戴 く べきで は ない 。 不経済だ から と いって やめて よい もの だろう か 」

幾 人 か が 口々に 反論 して きた 。

正義 の 戦争 か 。 自由 惑星 同盟 政府 財政 委員 長 ジョァン ・ レベロ は 憮然と して 腕 を くんだ 。

莫大な 流血 、 国家 の 破産 、 国民 の 窮乏 。 正義 を 実現 さ せる のに それ ら の 犠牲 が 不可欠である と する なら 、 正義 と は 貪欲な 神 に 似て いる 。 つぎつぎ と いけにえ を 要求 して 飽 く こと を 知ら ない 。

「 しばらく 休憩 しよう ……」

議長 が 艶 の ない 声 で 言う の が 聴 こえた 。

Ⅶ 昼食 の のち 、 会議 は 再開 さ れた 。 今度 、 論陣 を 張った の は 、 人 的 資源 委員 長 と して 、 教育 、 雇用 、 労働 問題 、 社会 保障 など の 行政 に 責任 を もつ ホワン ・ ルイ だった 。 彼 も 出兵 反対 派 である 。

「 人 的 資源 委員 長 と して は ……」

ホワン は 小柄だ が 声 は 大きい 。 血色 の よい 肌 と 短い が 敏捷 そうな 手足 を もち 、 活力 に 富んだ 印象 を あたえる 。

「 本来 、 経済 建設 や 社会 開発 に もちいられる べき 人材 が 軍事 方面 に かたよる と いう 現状 にたいして 、 不安 を 禁じ え ない 。 教育 や 職業 訓練 にたいする 投資 が 削減 さ れる いっぽう と いう の も こまる 。 労働 者 の 熟練 度 が 低く なった 証拠 に 、 ここ 六 カ月間 に 生じた 職場 事故 が 前期 と くらべて 三 割 も 増加 して いる 。 ルンビーニ 星 系 で 生じた 輸送 船団 の 事故 で は 、 四百 余 の 人命 と 五〇 トン も の 金属 ラジウム が 失わ れた が 、 これ は 民間 航 宙 士 の 訓練 期間 が 短縮 さ れた こと と 大きな 関係 が ある と 思わ れる 。 しかも 航 宙 士 たち は 人員 不足 から 過重 労働 を しい られて いる のだ 」

明晰で きびきび した 話し かた であった 。

「 そこ で 提案 する のだ が 、 現在 、 軍 に 徴用 されて いる 技術 者 、 輸送 および 通信 関係 者 の うち から 四〇〇万 人 を 民間 に 復帰 さ せて ほしい 。 これ は 最低 限 の 数字 だ 」

同席 の 評議 員 たち を 見わたす ホワン の 視線 が 、 国防 委員 長 トリューニヒト の 面 上 で 停止 した 。 眉 を うごかし ながら の 応答 が あった 。

「 無理 を 言わ ないで ほしい 。 それ だけ の 人数 を 後方 勤務 から はずさ れたら 軍 組織 は 瓦 解して しまう 」

「 国防 委員 長 は そう おっしゃる が 、 このまま ゆけば 軍 組織 より 早い 時期 に 社会 と 経済 が 瓦 解する だろう 。 現在 、 首都 の 生活 物資 流通 制御 センター で 働いて いる オペレーター の 平均 年齢 を ご存じ か 」

「…… いや 」

「 四二 歳 だ 」

「 異常な 数字 と は 思え ない が ……」

ホワン は 勢い よく 机 を たたいた 。

「 これ は 数字 に よる 錯覚 だ ! 人数 の 八 割 まで が 二〇 歳 以下 と 七〇 歳 以上 で しめ られて いる 。 平均 すれば たしかに 四二 歳 だ が 、 現実 に は 三 、 四〇 代 の 中堅 技術 者 など い は し ない のだ 。 社会 機構 全体 に わたって 、 ソフトウェア の 弱体 化 が 徐々に 進行 して いる 。 これ が どれほど おそろしい こと か 、 賢明なる 評議 員 各位 に は ご 理解 いただける と 思う が ……」

ホワン は 口 を 閉じ 、 ふたたび 一同 を 見まわした 。 まともに その 視線 を うけとめた 者 は レベロ 以外 に い なかった 。 ある 者 は 下 を むき 、 ある 者 は さりげなく 視線 を そらし 、 ある 者 は 高い 天井 を 見上げた 。

レベロ が ホワン に かわった 。

「 つまり 民 力 休養 の 時期 だ と いう こと です 。 イゼルローン 要塞 を 手中 に した こと で 、 わが 同盟 は 国 内 へ の 帝国 軍 の 侵入 を 阻止 できる はずだ 。 それ も かなり の 長 期間 に わたって 。 とすれば 、 なにも 好んで こちら から 攻撃 に でる 必然 性 は ないで は ない か 」

レベロ は 熱心に 説いた 。

「 これ 以上 、 市民 に 犠牲 を しいる の は 民主 主義 の 原則 に も はずれる 。 彼ら は 負担 に たえかねて いる のだ 」

反駁 の 声 が あがった 。 評議 員 中 、 ただ ひと り の 女性 である 情報 交通 委員 長 コーネリア ・ ウィンザー から であった 。 つい 一 週間 前 に 新 任さ れた ばかりだ 。

「 大義 を 理解 しよう と し ない 市民 の 利己 主義 に 迎合 する 必要 は ありません わ 。 そもそも 犠牲 なく して 大 事業 が 達成 さ れた 例 が ある でしょう か ? 」 「 その 犠牲 が 大き すぎる ので は ない か 、 と 市民 は 考え はじめた のだ 、 ウィンザー 夫人 」 レベロ は 彼女 の 公式 論 を たしなめる ように 言った が 、 効果 は なかった 。


第 六 章 それぞれ の 星 (4) だい|むっ|しょう|||ほし

帝国 に せよ 同盟 に せよ 、 首脳 部 は 、 戦争 と いえば 宇宙 空間 で 戦艦 どうし が 亜 光速 ミサイル を 撃ち あう だけ だ と 思って いる ふし が ある 。 ていこく|||どうめい|||しゅのう|ぶ||せんそう|||うちゅう|くうかん||せんかん|どう し||あ|こうそく|みさいる||うち|||||おもって|||| 頑迷 な 教条 主義 者 ども が 殺し あい に 血道 を あげて いる あいだ に 、 両 国 の 社会 経済 体制 は 根幹 を フェザーン に にぎられて しまう こと に なる だろう 。 がんめい||きょうじょう|しゅぎ|もの|||ころし|||ちみち||||||りょう|くに||しゃかい|けいざい|たいせい||こんかん||||||||| 現在 でも 、 両 国 の 発行 して いる 戦時 国債 の 半分 ちかく は 、 直接 間接 に フェザーン が 購入 して いる のだ 。 げんざい||りょう|くに||はっこう|||せんじ|こくさい||はんぶん|||ちょくせつ|かんせつ||||こうにゅう|||

宇宙 は 人類 の 足跡 の ある ところ 、 すべて フェザーン が 経済 的に 統治 する 。 うちゅう||じんるい||あしあと|||||||けいざい|てきに|とうち| 帝国 政府 も 同盟 政府 も 、 フェザーン に 経済 的 利益 を もたらす べく 、 その 政策 を 代行 する に すぎ なく なる だろう 。 ていこく|せいふ||どうめい|せいふ||||けいざい|てき|りえき|||||せいさく||だいこう|||||| もう すこし 時間 は かかる だろう が 。 ||じかん|||| そうなれば 、 目的 の 最終 段階 まで あと 半 歩 の 距離 も ない ……。 そう なれば|もくてき||さいしゅう|だんかい|||はん|ふ||きょり||

だが 、 むろん 、 政治 上 あるいは 軍事 上 の 状況 を 軽視 して よい と いう こと に は なら ない 。 ||せいじ|うえ||ぐんじ|うえ||じょうきょう||けいし||||||||| 早い 話 、 帝国 と 同盟 が 強大な 覇権 に よって 政治 的 統合 を とげる と したら 、 フェザーン の 特権 的な 地位 は なんら 意味 を もた なく なる 。 はやい|はなし|ていこく||どうめい||きょうだいな|はけん|||せいじ|てき|とうごう|||||||とっけん|てきな|ちい|||いみ|||| 古代 の 海 陸上 の 交易 都市 が 、 あらたに 出現 した 統一 王朝 の 武力 と 政治 力 に 屈服 して いった 、 その 歴史 を くりかえす こと に も なろう 。 こだい||うみ|りくじょう||こうえき|とし|||しゅつげん||とういつ|おうちょう||ぶりょく||せいじ|ちから||くっぷく||||れきし||||||

と すれば 、 目的 を 達成 さ せる 道 は 永久 に 閉ざされて しまう 。 ||もくてき||たっせい|||どう||えいきゅう||とざされて| 新 銀河 帝国 の 誕生 など は 、 絶対 に 阻止 さ れ ねば なら ない 。 しん|ぎんが|ていこく||たんじょう|||ぜったい||そし|||||

新 銀河 帝国 か ……。 しん|ぎんが|ていこく|

この 考え は 、 ルビンスキー に 新鮮な 緊張 感 を あたえた 。 |かんがえ||||しんせんな|きんちょう|かん||

現在 の ゴールデンバウム 朝 銀河 帝国 は すでに 老朽 化 して おり 、 ふたたび 活性 化 さ せる こと は 不可能に ちかい 。 げんざい|||あさ|ぎんが|ていこく|||ろうきゅう|か||||かっせい|か|||||ふかのうに| 分裂 して 幾多 の 小 王国 群 に 変化 し 、 その なか から あらたな 秩序 が 生まれる と して も 、 それ に は 何 世紀 も の 年月 が かかる だろう 。 ぶんれつ||いくた||しょう|おうこく|ぐん||へんか||||||ちつじょ||うまれる|||||||なん|せいき|||ねんげつ|||

いっぽう 、 自由 惑星 同盟 も 建国 の 理想 を 失って 惰性 に 流れて いる 。 |じゆう|わくせい|どうめい||けんこく||りそう||うしなって|だせい||ながれて| 経済 建設 と 社会 開発 の 停滞 は 民衆 レベル に 不満 を 生み 、 同盟 を 構成 する 諸 惑星 の あいだ に は 経済 格差 を めぐる 反目 が 絶え ない 。 けいざい|けんせつ||しゃかい|かいはつ||ていたい||みんしゅう|れべる||ふまん||うみ|どうめい||こうせい||しょ|わくせい|||||けいざい|かくさ|||はんもく||たえ| よほど カリスマ 的な 指導 者 が 出現 して 集権 的な 体制 を 再 構築 でも し ない かぎり 、 出口 の ない 状況 は つづく だろう 。 ||てきな|しどう|もの||しゅつげん||しゅうけん|てきな|たいせい||さい|こうちく|||||でぐち|||じょうきょう|||

五 世紀 前 、 巨人 的な 身体 を 権力 志向 の エネルギー で みたした 若き ルドルフ ・ フォン ・ ゴールデンバウム は 、 銀河 連邦 の 政治 機構 を のっとって 神聖 不可侵 の 皇帝 と なった 。 いつ|せいき|ぜん|きょじん|てきな|からだ||けんりょく|しこう||えねるぎー|||わかき|||||ぎんが|れんぽう||せいじ|きこう|||しんせい|ふかしん||こうてい|| 合 法的 手段 に よる 独裁 者 の 出現 。 ごう|ほうてき|しゅだん|||どくさい|もの||しゅつげん これ が 再来 する 日 が くる だろう か 。 ||さいらい||ひ|||| 既成 の 権力 機構 を のっとる と すれば 、 短 時日 で の 変化 が 可能 と なる 。 きせい||けんりょく|きこう|||||みじか|じじつ|||へんか||かのう|| たとえ 合 法的 で なく と も ……。 |ごう|ほうてき||||

クーデター 。 くーでたー 権力 や 武力 の 中枢 ちかく に いる 者 に とって は 、 古典 的だ が 有効な 方法 だ 。 けんりょく||ぶりょく||ちゅうすう||||もの||||こてん|てきだ||ゆうこうな|ほうほう| それだけに 魅力 的で も ある 。 |みりょく|てきで||

ルビンスキー は 操作 卓 の ボタン を おして 補佐 官 を 呼びだした 。 ||そうさ|すぐる||ぼたん|||ほさ|かん||よびだした

「 両 国 に おける クーデター の 可能 性 です か ? りょう|くに|||くーでたー||かのう|せい|| 」 自治 領主 の 命令 は 彼 を 驚かせた 。 じち|りょうしゅ||めいれい||かれ||おどろかせた 「 それ は ご 命令 と あら ば 、 さっそく 調査 いたします が 、 なに か それ を 示唆 する ような 緊急の 情報 でも ございました か ? |||めいれい|||||ちょうさ|||||||しさ|||きんきゅうの|じょうほう||| 」 「 そう で は ない 。 たんに いま 、 思いついた と いう だけ だ 。 ||おもいついた|||| しかし あらゆる 可能 性 を 吟味 する に しく は ない 」 ||かのう|せい||ぎんみ|||||

腐り はてた 頭脳 と 精神 の 所有 者 が 、 その 資格 も なし に 権勢 を ほしいままに する の は 不愉快だ が ―― と フェザーン の 統治 者 は 思った 。 くさり||ずのう||せいしん||しょゆう|もの|||しかく||||けんせい||||||ふゆかいだ|||||とうち|もの||おもった まだ 当分 の あいだ は 、 帝国 と 同盟 の 現 体制 に 存続 して もらう 必要 が ある 。 |とうぶん||||ていこく||どうめい||げん|たいせい||そんぞく|||ひつよう|| 帝国 も 同盟 も 想像 でき ない フェザーン の 真 の 目的 が 達成 さ れる その 日 まで ……。 ていこく||どうめい||そうぞう|||||まこと||もくてき||たっせい||||ひ|

Ⅵ 自由 惑星 同盟 最高 評議 会 は 十一 名 の 評議 員 に よって 構成 されて いる 。 じゆう|わくせい|どうめい|さいこう|ひょうぎ|かい||じゅういち|な||ひょうぎ|いん|||こうせい|| 議長 、 副 議長 兼 国務 委員 長 、 書記 、 国防 委員 長 、 財政 委員 長 、 法 秩序 委員 長 、 天然 資源 委員 長 、 人 的 資源 委員 長 、 経済 開発 委員 長 、 地域 社会 開発 委員 長 、 情報 交通 委員 長 が その メンバー である 。 ぎちょう|ふく|ぎちょう|けん|こくむ|いいん|ちょう|しょき|こくぼう|いいん|ちょう|ざいせい|いいん|ちょう|ほう|ちつじょ|いいん|ちょう|てんねん|しげん|いいん|ちょう|じん|てき|しげん|いいん|ちょう|けいざい|かいはつ|いいん|ちょう|ちいき|しゃかい|かいはつ|いいん|ちょう|じょうほう|こうつう|いいん|ちょう|||めんばー| 彼ら は 真珠 色 の 外壁 を もつ 壮麗な ビル の 一室 に 集まって いた 。 かれら||しんじゅ|いろ||がいへき|||そうれいな|びる||いっしつ||あつまって|

窓 の ない 会議 室 は 、 四方 を 厚い 壁 と ほか の 部屋 に かこまれて いる 。 まど|||かいぎ|しつ||しほう||あつい|かべ||||へや||| それ は 対外 連絡 室 、 資料 作成 室 、 情報 加工 室 、 機器 操作 室 など で 、 さらに その 外側 を 警備 兵 の 控室 が ドーナツ 状 に とりまいて いる のだ 。 ||たいがい|れんらく|しつ|しりょう|さくせい|しつ|じょうほう|かこう|しつ|きき|そうさ|しつ|||||そとがわ||けいび|つわもの||ひかえしつ||どーなつ|じょう||||

これ を 開か れた 政治 の 府 と 呼ぶ べきだろう か ? ||あか||せいじ||ふ||よぶ|| 財政 委員 長 ジョアン ・ レベロ は 、 直径 七 メートル の 円卓 の 一 席 に すわって 、 そう 思った 。 ざいせい|いいん|ちょう||||ちょっけい|なな|めーとる||えんたく||ひと|せき||||おもった いまに はじまった こと で は なく 、 赤外線 の 充満 した 廊下 を とおって 会議 室 に 入室 する たび に 、 その 疑問 に とらわれる 彼 だった 。 ||||||せきがいせん||じゅうまん||ろうか|||かいぎ|しつ||にゅうしつ|||||ぎもん|||かれ|

その 日 、 宇宙 暦 七九六 年 八 月 六 日 の 会議 は 、 議題 の ひと つ に 、 軍部 から 提出 さ れた 出兵 案 の 可否 を 決定 する 、 と いう こと が あげ られて いた 。 |ひ|うちゅう|こよみ|しちきゅうろく|とし|やっ|つき|むっ|ひ||かいぎ||ぎだい|||||ぐんぶ||ていしゅつ|||しゅっぺい|あん||かひ||けってい|||||||| 占領 した イゼルローン 要塞 を 橋 頭 堡 と して 帝国 に 侵入 する と いう 作戦 案 を 、 軍部 の 青年 高級 士官 たち が 直接 、 評議 会 に 提出 して きた のだ 。 せんりょう|||ようさい||きょう|あたま|ほ|||ていこく||しんにゅう||||さくせん|あん||ぐんぶ||せいねん|こうきゅう|しかん|||ちょくせつ|ひょうぎ|かい||ていしゅつ||| レベロ に とって は 、 過激 と しか 思え ない 。 ||||かげき|||おもえ|

会議 が はじまる と 、 レベロ は 戦争 拡大 反対 の 論陣 を 張った 。 かいぎ||||||せんそう|かくだい|はんたい||ろんじん||はった

「 妙な 表現 に なります が 、 今日 まで 銀河 帝国 と わが 同盟 と は 、 財政 の かろうじて 許容 する 範囲 で 戦争 を 継続 して きた のです 。 みょうな|ひょうげん||||きょう||ぎんが|ていこく|||どうめい|||ざいせい|||きょよう||はんい||せんそう||けいぞく|||の です しかし ……」

アスターテ の 会戦 に おいて 戦死 した 将兵 の 遺族 年金 だけ でも 、 毎年 、 一〇〇億 ディナール の 支出 が 必要に なる 。 ||かいせん|||せんし||しょうへい||いぞく|ねんきん|||まいとし|ひと|おく|||ししゅつ||ひつよう に| このうえ 、 戦火 を 拡大 すれば 、 国家 財政 と それ を ささえる 経済 が 破綻 する の は さけ られ ない 。 |せんか||かくだい||こっか|ざいせい|||||けいざい||はたん|||||| それどころか 、 今日 、 すでに 財政 は 赤字 支出 と なって いる のだ 。 |きょう||ざいせい||あかじ|ししゅつ||||

皮肉な こと に 、 ヤン も この 財政 難 に ひと 役 かって いる 。 ひにくな||||||ざいせい|なん|||やく|| 彼 は イゼルローン で 五〇万 人 の 捕虜 を えた が 、 彼ら を 食わせる の も 、 なかなかたいへんな のだ 。 かれ||||いつ|よろず|じん||ほりょ||||かれら||くわせる|||| 「 健全 化 の 方法 と して は 、 国債 の 増発 か 増税 か 、 昔 から の 二 者 択一 です 。 けんぜん|か||ほうほう||||こくさい||ぞうはつ||ぞうぜい||むかし|||ふた|もの|たくいつ| それ 以外 に 方法 は ありません 」 |いがい||ほうほう|| 「 紙幣 の 発行 高 を ふやす と いう の は ? しへい||はっこう|たか|||||| 」 副 議長 が 問うた 。 ふく|ぎちょう||とうた 「 財源 の 裏付け も なし に です か ? ざいげん||うらづけ||||| 何 年 か さき に は 、 紙幣 の 額面 で は なく 重 さ で 商品 が 売買 さ れる ように なります よ 。 なん|とし|||||しへい||がくめん||||おも|||しょうひん||ばいばい|||よう に|| 私 と して は 、 超 インフレーション 時代 の 無策な 財政 家 と して 後世 に 汚名 を 残す の は 、 ごめん こうむりたい です な 」 わたくし||||ちょう||じだい||むさくな|ざいせい|いえ|||こうせい||おめい||のこす|||||| 「 しかし 戦争 に 勝た ねば 、 何 年 か さき どころ か 明日 が ない のだ 」 |せんそう||かた||なん|とし|||||あした|||

「 では 戦争 そのもの を やめる べきでしょう 」 |せんそう|その もの|||

レベロ が 強い 口調 で 言う と 、 室 内 が しんと した 。 ||つよい|くちょう||いう||しつ|うち|||

「 ヤン と いう 提督 の 智 略 で 、 吾々 は イゼルローン を えた 。 |||ていとく||さとし|りゃく||われ々|||| 帝国 軍 は わが 同盟 にたいする 侵略 の 拠点 を 失った 。 ていこく|ぐん|||どうめい||しんりゃく||きょてん||うしなった 有利な 条件 で 講和 条約 を 締結 する 好機 では ありません か 」 ゆうりな|じょうけん||こうわ|じょうやく||ていけつ||こうき||| 「 しかし これ は 絶対 君主 制 にたいする 正義 の 戦争 だ 。 |||ぜったい|くんしゅ|せい||せいぎ||せんそう| 彼ら と は 俱 に 天 を 戴 く べきで は ない 。 かれら|||||てん||たい|||| 不経済だ から と いって やめて よい もの だろう か 」 ふけいざいだ||||||||

幾 人 か が 口々に 反論 して きた 。 いく|じん|||くちぐちに|はんろん||

正義 の 戦争 か 。 せいぎ||せんそう| 自由 惑星 同盟 政府 財政 委員 長 ジョァン ・ レベロ は 憮然と して 腕 を くんだ 。 じゆう|わくせい|どうめい|せいふ|ざいせい|いいん|ちょう||||ぶぜんと||うで||

莫大な 流血 、 国家 の 破産 、 国民 の 窮乏 。 ばくだいな|りゅうけつ|こっか||はさん|こくみん||きゅうぼう 正義 を 実現 さ せる のに それ ら の 犠牲 が 不可欠である と する なら 、 正義 と は 貪欲な 神 に 似て いる 。 せいぎ||じつげん|||||||ぎせい||ふかけつである||||せいぎ|||どんよくな|かみ||にて| つぎつぎ と いけにえ を 要求 して 飽 く こと を 知ら ない 。 ||||ようきゅう||ほう||||しら|

「 しばらく 休憩 しよう ……」 |きゅうけい|

議長 が 艶 の ない 声 で 言う の が 聴 こえた 。 ぎちょう||つや|||こえ||いう|||き|

Ⅶ 昼食 の のち 、 会議 は 再開 さ れた 。 ちゅうしょく|||かいぎ||さいかい|| 今度 、 論陣 を 張った の は 、 人 的 資源 委員 長 と して 、 教育 、 雇用 、 労働 問題 、 社会 保障 など の 行政 に 責任 を もつ ホワン ・ ルイ だった 。 こんど|ろんじん||はった|||じん|てき|しげん|いいん|ちょう|||きょういく|こよう|ろうどう|もんだい|しゃかい|ほしょう|||ぎょうせい||せきにん||||| 彼 も 出兵 反対 派 である 。 かれ||しゅっぺい|はんたい|は|

「 人 的 資源 委員 長 と して は ……」 じん|てき|しげん|いいん|ちょう|||

ホワン は 小柄だ が 声 は 大きい 。 ||こがらだ||こえ||おおきい 血色 の よい 肌 と 短い が 敏捷 そうな 手足 を もち 、 活力 に 富んだ 印象 を あたえる 。 けっしょく|||はだ||みじかい||びんしょう|そう な|てあし|||かつりょく||とんだ|いんしょう||

「 本来 、 経済 建設 や 社会 開発 に もちいられる べき 人材 が 軍事 方面 に かたよる と いう 現状 にたいして 、 不安 を 禁じ え ない 。 ほんらい|けいざい|けんせつ||しゃかい|かいはつ||||じんざい||ぐんじ|ほうめん|||||げんじょう||ふあん||きんじ|| 教育 や 職業 訓練 にたいする 投資 が 削減 さ れる いっぽう と いう の も こまる 。 きょういく||しょくぎょう|くんれん||とうし||さくげん|||||||| 労働 者 の 熟練 度 が 低く なった 証拠 に 、 ここ 六 カ月間 に 生じた 職場 事故 が 前期 と くらべて 三 割 も 増加 して いる 。 ろうどう|もの||じゅくれん|たび||ひくく||しょうこ|||むっ|かげつかん||しょうじた|しょくば|じこ||ぜんき|||みっ|わり||ぞうか|| ルンビーニ 星 系 で 生じた 輸送 船団 の 事故 で は 、 四百 余 の 人命 と 五〇 トン も の 金属 ラジウム が 失わ れた が 、 これ は 民間 航 宙 士 の 訓練 期間 が 短縮 さ れた こと と 大きな 関係 が ある と 思わ れる 。 |ほし|けい||しょうじた|ゆそう|せんだん||じこ|||しひゃく|よ||じんめい||いつ|とん|||きんぞく|らじうむ||うしなわ|||||みんかん|わたる|ちゅう|し||くんれん|きかん||たんしゅく|||||おおきな|かんけい||||おもわ| しかも 航 宙 士 たち は 人員 不足 から 過重 労働 を しい られて いる のだ 」 |わたる|ちゅう|し|||じんいん|ふそく||かじゅう|ろうどう|||||

明晰で きびきび した 話し かた であった 。 めいせきで|||はなし||

「 そこ で 提案 する のだ が 、 現在 、 軍 に 徴用 されて いる 技術 者 、 輸送 および 通信 関係 者 の うち から 四〇〇万 人 を 民間 に 復帰 さ せて ほしい 。 ||ていあん||||げんざい|ぐん||ちょうよう|||ぎじゅつ|もの|ゆそう||つうしん|かんけい|もの||||よっ|よろず|じん||みんかん||ふっき||| これ は 最低 限 の 数字 だ 」 ||さいてい|げん||すうじ|

同席 の 評議 員 たち を 見わたす ホワン の 視線 が 、 国防 委員 長 トリューニヒト の 面 上 で 停止 した 。 どうせき||ひょうぎ|いん|||みわたす|||しせん||こくぼう|いいん|ちょう|||おもて|うえ||ていし| 眉 を うごかし ながら の 応答 が あった 。 まゆ|||||おうとう||

「 無理 を 言わ ないで ほしい 。 むり||いわ|| それ だけ の 人数 を 後方 勤務 から はずさ れたら 軍 組織 は 瓦 解して しまう 」 |||にんずう||こうほう|きんむ||||ぐん|そしき||かわら|かいして|

「 国防 委員 長 は そう おっしゃる が 、 このまま ゆけば 軍 組織 より 早い 時期 に 社会 と 経済 が 瓦 解する だろう 。 こくぼう|いいん|ちょう|||||||ぐん|そしき||はやい|じき||しゃかい||けいざい||かわら|かいする| 現在 、 首都 の 生活 物資 流通 制御 センター で 働いて いる オペレーター の 平均 年齢 を ご存じ か 」 げんざい|しゅと||せいかつ|ぶっし|りゅうつう|せいぎょ|せんたー||はたらいて||||へいきん|ねんれい||ごぞんじ|

「…… いや 」

「 四二 歳 だ 」 しに|さい|

「 異常な 数字 と は 思え ない が ……」 いじょうな|すうじ|||おもえ||

ホワン は 勢い よく 机 を たたいた 。 ||いきおい||つくえ||

「 これ は 数字 に よる 錯覚 だ ! ||すうじ|||さっかく| 人数 の 八 割 まで が 二〇 歳 以下 と 七〇 歳 以上 で しめ られて いる 。 にんずう||やっ|わり|||ふた|さい|いか||なな|さい|いじょう|||| 平均 すれば たしかに 四二 歳 だ が 、 現実 に は 三 、 四〇 代 の 中堅 技術 者 など い は し ない のだ 。 へいきん|||しに|さい|||げんじつ|||みっ|よっ|だい||ちゅうけん|ぎじゅつ|もの|||||| 社会 機構 全体 に わたって 、 ソフトウェア の 弱体 化 が 徐々に 進行 して いる 。 しゃかい|きこう|ぜんたい|||そふとうぇあ||じゃくたい|か||じょじょに|しんこう|| これ が どれほど おそろしい こと か 、 賢明なる 評議 員 各位 に は ご 理解 いただける と 思う が ……」 ||||||けんめいなる|ひょうぎ|いん|かくい||||りかい|||おもう|

ホワン は 口 を 閉じ 、 ふたたび 一同 を 見まわした 。 ||くち||とじ||いちどう||みまわした まともに その 視線 を うけとめた 者 は レベロ 以外 に い なかった 。 ||しせん|||もの|||いがい||| ある 者 は 下 を むき 、 ある 者 は さりげなく 視線 を そらし 、 ある 者 は 高い 天井 を 見上げた 。 |もの||した||||もの|||しせん||||もの||たかい|てんじょう||みあげた

レベロ が ホワン に かわった 。

「 つまり 民 力 休養 の 時期 だ と いう こと です 。 |たみ|ちから|きゅうよう||じき||||| イゼルローン 要塞 を 手中 に した こと で 、 わが 同盟 は 国 内 へ の 帝国 軍 の 侵入 を 阻止 できる はずだ 。 |ようさい||しゅちゅう||||||どうめい||くに|うち|||ていこく|ぐん||しんにゅう||そし|| それ も かなり の 長 期間 に わたって 。 ||||ちょう|きかん|| とすれば 、 なにも 好んで こちら から 攻撃 に でる 必然 性 は ないで は ない か 」 ||このんで|||こうげき|||ひつぜん|せい|||||

レベロ は 熱心に 説いた 。 ||ねっしんに|といた

「 これ 以上 、 市民 に 犠牲 を しいる の は 民主 主義 の 原則 に も はずれる 。 |いじょう|しみん||ぎせい|||||みんしゅ|しゅぎ||げんそく||| 彼ら は 負担 に たえかねて いる のだ 」 かれら||ふたん||||

反駁 の 声 が あがった 。 はんばく||こえ|| 評議 員 中 、 ただ ひと り の 女性 である 情報 交通 委員 長 コーネリア ・ ウィンザー から であった 。 ひょうぎ|いん|なか|||||じょせい||じょうほう|こうつう|いいん|ちょう|||| つい 一 週間 前 に 新 任さ れた ばかりだ 。 |ひと|しゅうかん|ぜん||しん|まかさ||

「 大義 を 理解 しよう と し ない 市民 の 利己 主義 に 迎合 する 必要 は ありません わ 。 たいぎ||りかい|||||しみん||りこ|しゅぎ||げいごう||ひつよう||| そもそも 犠牲 なく して 大 事業 が 達成 さ れた 例 が ある でしょう か ? |ぎせい|||だい|じぎょう||たっせい|||れい|||| 」 「 その 犠牲 が 大き すぎる ので は ない か 、 と 市民 は 考え はじめた のだ 、 ウィンザー 夫人 」 |ぎせい||おおき|||||||しみん||かんがえ||||ふじん レベロ は 彼女 の 公式 論 を たしなめる ように 言った が 、 効果 は なかった 。 ||かのじょ||こうしき|ろん|||よう に|いった||こうか||