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世界の昔話, ヘビの魔法

ヘビ の 魔法

ヘビ の 魔法

むかし むかし 、 兄さん と 妹 の 二 人 の 兄弟 が い ました 。 兄さん は いじわるで とても 欲張りでした が 、 妹 は 美しくて 気 の 優しい 娘 でした 。 お 父さん が 死ぬ と 、 兄さん は お 父さん の お 金 や 持ち物 を みんな 自分 一 人 の 物 に して しまい ました 。 妹 に は 、 たった 一 粒 の トウモロコシ さえ 分けて やら なかった のです 。 仕方なく 妹 は 部屋 の すみ に 残って いた 、 たった 一 つ の カボチャ の タネ を 裏庭 に 植えて 、 大事に 育て ました 。 カボチャ は じきに 大きく なり 、 毎日 毎日 、 おいしい 実がい くつ も 出来 ました 。 妹 は その カボチャ を 売って 、 なんとか 暮らして い ました 。

ある 日 、 兄さん が 妹 の 家 に やってき ました 。 「 おい 、 カボチャ 畑 は どこ だ 」 「 あら 、 兄さん 。 裏庭 です よ 。 でも 兄さん 、 カボチャ を 見て どう する んです ? 」 と 、 妹 が 聞き ました 。 「 根こそぎ 、 抜いて やる の さ 。 こんな すばらしい カボチャ は 、 お前 に は もったいない 」 妹 は 兄さん の あと を 追って 、 急いで カボチャ 畑 へ 行き ました 。 兄さん は ナイフ を つかんで 、 今にも カボチャ の くき を 切ろう と して い ます 。 「 お 願い です 。 これ が なかったら 、 明日 は 暮らして いけ ない んです ! 」 妹 は カボチャ の 切ら れ ない よう 、 くき を 手 で しっかり と にぎり ました 。 「 ふん ! 関係 ない ね ! 」 兄さん は かまわ ず カボチャ の つる と 一緒に 、 妹 の 右手 を 切り落として しまい ました 。 右手 を 切り落とさ れた 妹 は 、 ワッ と 泣き 出す と 、 むちゅうで 森 へ 逃げて いき ました 。 それ から けもの に 襲わ れ ない ように 木 に のぼって 、 シクシク と 泣き 続け ました 。 涙 が ほお を 伝って 、 あと から あと から 流れ ました 。 そこ へ よ その 国 の 王子 が 、 狩り を する ため に ここ を 通り かかり ました 。 「 ここ で 、 しばらく 休んで いこう 。 ひと休み して から 、 また 狩り を 続けよう 」 と 、 言って 、 王子 は 右手 の ない 娘 が 泣いて いる 木 の 下 に 腰 を おろし ました 。 娘 の 涙 が 、 ポトン と 王子 の ほお に あたり ました 。 「 おや 、 雨 かな ? 」 けれども 空 は 青く すんで いて 、 雲 一 つ 見え ませ ん 。 ポトン と 、 もう ひとし ずく おちて 、 王子 の ほお を ぬらし ました 。 「 これ は 不思議 。 きっと この 木 の 上 に 、 何 か が いる んだ な 」 王子 は 木 に のぼって 、 右手 の ない 娘 を 見つけ ました 。 その 娘 が あまりに も 美しい ので 、 王子 は すぐ に 好きに なり ました 。 そして 、 お 嫁 さん に しよう と 思い ました 。 「 さあ 、 もう 怖 がる 事 は ない よ 。 行く ところ が ない の なら 、 ぼく の お 城 へ 来 なさい 」 王子 は 大きな きれ に 娘 を 包んで 、 お 城 ヘ 帰り ました 。 お 城 で は 王さま も お きさき さま も 、 美しい 娘 が 気 に 入り ました 。 やがて 王子 と 右手 の ない 娘 は 結婚 して 、 お 城 で 楽しく 暮らし ました 。 国 中 の 人 が 、 美しくて 若い お きさき を ほめ ました 。 それ と 一緒に 、 若い お きさき に は 右手 が ない と いう うわさ が 国 中 に 広がり ました 。 王子 と 若い お きさき に は 、 可愛らしい 男の子 が 生まれ ました 。 王子 と 若い お きさき は 、 ますます 幸せでした 。

ところが 間もなく 、 王子 は 遠い 地方 を おさめる ため に 長い 旅 に 出かける こと に なり ました 。 若い お きさき は 、 赤ちゃん と 一緒に お 城 に 残り ました 。 ちょうど その 頃 、 お 城 の ある 町 へ 、 よそ の 国 の 男 が やって 来 ました 。 その 男 と いう の は 、 若い お きさき の 兄さん だった のです 。 兄さん は ちっとも 働か なかった ので 、 お 父さん から もらった お 金 も 持ち物 も 、 すっかり 使い 切って しまって い ました 。 そして 、 あっち の 村 、 こっち の 町 と 歩き まわって は 、 人 を だまして お 金 を 取って いた のでした 。 お 城 の 近く に 来た 兄さん は 、 若い お きさき に は 右手 が ない と いう うわさ を 聞き ました 。 そして 王子 が 、 旅 に 出て いる 事 を たしかめる と 、 「 こいつ は しめた 。 その 若い お きさき と いう の は 、 妹 の 奴 に ちがいない 。 こり ゃあ 、 運 が いい ぞ 」 と 、 つぶやいて 、 お 城 へ 出かけて いき ました 。 「 王さま 、 お きさき さま 。 わたくし は 王子 さま を 、 お 救い し に まいり ました 」 と 、 兄さん は 言い ました 。 「 若い お きさき に なら れた 方 は 、 魔女 ( まじょ ) です 。 わたし の 国 で 六 度 も 結婚 して 、 六 度 も 夫 を 殺した 女 です 。 王子 さま も 旅 から お 帰り に なれば 、 きっと この 恐ろしい 魔女 に 殺さ れて しまい ます 。 早く 若い お きさき を 殺して しまう ほう が 、 よろしゅう ございます 」 と 、 さも 、 本当 らしく 話し ました 。 王さま も 、 お きさき さま も 、 始め は 信じよう と し ませ ん でした が 、 でも 兄さん が 繰り返し 繰り返し 言い ます ので 、 とうとう 若い お きさき を 恐ろしい 魔女 だ と 思い 込んで しまった のです 。 そこ で 王さま と お きさき さま は 兵士 に 言いつけて 、 若い お きさき と 赤ちゃん を 森 へ 追い 出て しまい ました 。 そして 、 「 王子 が 帰ったら 、 若い お きさき は 死んだ と 言い ましょう 」 と 、 言って 、 空っぽの お 墓 を 二 つ つくり ました 。 兄さん は 王さま を だまして お 金 を たくさん もらう と 、 お 城 の そば に 大きな 家 を 建て ました 。 お 城 から 追い出さ れた 右手 の ない 若い お きさき は 、 ツボ を 一 つ 持った まま 、 あて も なく 森 を さまよい 歩き ました 。 「 ああ 、 これ から 、 どう したら いい の かしら ? 」 と 、 若い お きさき は 草 の 上 に すわって 、 深い ためいき を つき ました 。 すると そば の 草むら から 、 ヘビ が 出て きて 言い ました 。 「 助けて ください 。 あなた の ツボ に 隠して ください 。 追い かけ られて いる んです 」 若い お きさき は 、 ツボ を 転がして やり ました 。 ヘビ は 、 ツボ の 奥 に とぐろ を まく と 、 「 日 の 光 から 、 ぼく を 守って ください 。 その代わり 、 あなた を 雨 から 守り ます から 」 と 、 わけ の 分から ない 事 を 言い ました 。 若い お きさき が 聞き 返す ひ まもなく 、 もう 一 匹 の ヘビ が 現れ ました 。 そして 、 「 おれ の 仲間 を 、 見かけ なかった か ね ? 」 と 、 たずね ました 。 「 あっち へ 、 行き ました よ 」 若い お きさき は 、 森 の 奥 を 指さして 言い ました 。 すると あと から 出て きた ヘビ は 、 木 の 間 を すべり 抜けて 行って しまい ました 。 ツボ の 中 の ヘビ が 、 ツボ から 出て きて 言い ました 。 「 ありがとう ございます 。 ご恩 は 決して 忘れ ませ ん 。 でも 、 どうして こんな ところ に いる のです か ? 」 そこ で 若い お きさき は 、 今 まで の 事 を 残らず ヘビ に 話し ました 。 すると ヘビ は 、 「 ぼく の 国 へ 、 いらっしゃい 。 ちょっと 遠い です が 、 しんぼう して ください 。 ぼく を 日 の 光 から 守って くださったら 、 あなた を 雨 から 守り ます 。 きっと 、 ご 恩返し を いたし ます 」 と 、 言い ました 。 若い お きさき は 赤ん坊 を 抱いて 、 ヘビ の あと から 歩いて いき ました 。 やがて 、 広い 湖 に つき ました 。 「 ここ で 、 しばらく 休み ましょう 。 水 を あびて いらっしゃい 。 ぼく は ここ で ひと 眠り し ます 」 と 、 ヘビ が 言い ました 。 湖 の 水 は 透き通って いて とても きれいだった ので 、 若い お きさき は 子ども の 体 を 洗い ました 。 気持ち が いい の か 、 子ども は 手足 を バタバタ さ せて 喜び ます 。 ところが あんまり 暴れた ので 、 あっという間 に 若い お きさき の 左手 から すべり落ちて 、 湖 の 底 に 沈んで しまい ました 。 その とたん 、 透き通って いた 湖 の 水 が 黒く にごり ました 。 若い お きさき は 腰 まで 水 に つかって 左手 で 探し ました が 、 どんなに 探して も 子ども は 見つかり ませ ん 。 若い お きさき は 涙 を ふこう と も し ないで 、 ヨロヨロ と ヘビ の そば に 近寄り ました 。 「 どっち の 手 で 、 探した のです か ? 」 と 、 ヘビ が 尋ね ました 。 「 まあ 、 左手 に 決まって いる じゃ あり ませ ん か 。 右手 は 手首 まで しか ない んです から 、 子ども を つかまえ られ ませ ん もの 」 「 では 、 右手 も 水 に つけ なさい 。 きっと 、 お 子 さん が 見つかり ます よ 」 ヘビ に 言わ れて 、 若い お きさき は 湖 に 戻り ました 。 腰 を かがめて 、 右手 と 左手 を 水 に つけ ました 。 すると 子ども が 両手 の あいだ に 、 スルリ と 入り ました 。 若い お きさき は 大喜びで 、 子ども を 抱き上げ ました 。 子ども は 、 キャッキャッ ! と 、 声 を あげて 笑い ます 。 まだ 、 おぼれて い なかった のです 。 若い お きさき は 、 子ども を 何度 も 何度 も 抱きしめ ました 。 その うち に 、 ふと 右手 を 見 ました 。 「 あら ! 」 若い お きさき は 、 ビックリ 。 右手 が いつの間にか 、 ちゃんと 元通りに 治って いる で は あり ませ ん か 。 「 まあ 、 うれしい 。 ヘビ さん 、 ありがとう 」 若い お きさき は 、 おどりあがって 喜び ました 。 「 さあ 、 出かけ ましょう 。 ヘビ の 国 の 父 と 母 は 、 ぼく を 助けて くださった あなた に お 礼 を いう でしょう 」 「 まあ 、 お 礼 なら 、 もう たっぷり いただいた わ 。 子ども を 助けて くださった し 、 右手 も 治して くださった し 」 「 いいえ 、『 日 の 光 から 守って くださったら 、 あなた を 雨 から 守り ます 』 って 、 言い ました ね 。 まだ その 約束 を 果たして ない のです 」 と 、 ヘビ が 言い ました 。

長い 長い 旅 を して 、 やっと ヘビ 王国 に つき ました 。 若い お きさき を 案内 して きた の は 、 ヘビ 王国 の 王子 だった のです 。 ヘビ の 王さま と お きさき さま は 、 若い お きさき と その 子ども を あつく もてなして くれ ました 。 二 人 は ヘビ 王国 で 、 楽しい 毎日 を 送り ました 。 何 ヶ月 も 過ぎて 、 若い お きさき は そろそろ 人間 の 国 ヘ 帰ら なければ なら ない と 思い ました 。 「 おや 、 もう お 帰り です か ? お なごりおしい です ね 。 父 と 母 が 、 きっと いろいろ なお みやげ を さしあげる でしょう 。 でも 決して 、 それ を 受け取って は いけ ませ ん 。 父 から は 指輪 を 、 母 から は 小 箱 を もらって ください 」 と 、 ヘビ の 王子 が 教え ました 。 若い お きさき が ヘビ の 王さま と お きさき の ところ へ お 別れ の あいさつ に 行く と 、 二 人 は 金 や 銀 や 宝石 を 若い お きさき の 前 に つみ あげ ました 。 「 ありがとう ございます 。 でも 、 こんなに たくさん お みやげ を いただいて も 、 わたくし 一 人 で は 持って ま いれ ませ ん 。 王さま から は 指輪 を 、 お きさき さま から は 小 箱 を いただき とう ございます 」 と 、 若い お きさき が 言い ました 。 「 おや ? 息子 が 話した のです ね 。 いい です と も 。 あなた は 息子 の 命 を すくって くださった のです から 」 と 、 いって 、 ヘビ の 王さま は 指輪 を くれ ました 。 「 何 か 食べ物 が いりようでしたら 、 この 指輪 に 言って ください 。 きっと 、 お 役 に 立ち ます よ 」 すると ヘビ の お きさき が 、 小 箱 を 取り出して 、 「 着る 物 や 家 が ほしかったら 、 この 小 箱 に 言って ください 。 きっと 、 のぞみ が かなえ られ ます よ 」 と 、 言い ました 。 若い お きさき は 何度 も お 礼 を 言って 、 指輪 を 指 に はめ 小 箱 を ふところ に かくし ました 。

子ども を 抱いて ヘビ 王国 を 出た 若い お きさき は 、 お 城 を 追わ れた 時 と は 見違える ほど 生き生き と して い ました 。 若い お きさき は 、 王子 と 暮らした お 城 を めざして 歩いて いき ました 。 ちょうど その 頃 、 王子 は 長い 旅 から お 城 へ 戻った ところ でした 。 そして 若い お きさき も 子ども も 、 死んで しまった と 聞か さ れた 王子 は 、 「 ああ 、 わたし さえ 旅 に 出 なかったら 、 死んだり は し なかった だろう に 」 と 、 言って 悲しみ ました 。 王子 は 朝 から 晩 まで 何も 食べ ず に 、 若い お きさき と 子ども の 名 を 呼んで 部屋 に 閉じこもった きり でした 。 王さま と お きさき さま は 、 王子 が 死んで しまう ので は ない か と 心配 し ました 。

ある 日 の 朝 早く 、 王子 は つめたい 空気 を すって みよう と 窓 を 開け ました 。 すると 向こう に 、 見た 事 の ない 立派な 家 が 見え ました 。 ( あれ は 、 誰 の 家 だろう ? あんなに 大きな 家 に 住んで いる の なら 、 きっと 金持ち に ちがいない ) 王子 は 、 召使い に 尋ね ました 。 「 王子 さま 、 わたくし も 昨日 、 初めて 気 が ついた ので ございます 。 人 の うわさ で は 、 美しい 女 の 人 と 子ども が 百 人 の 召使い と 暮らして いる そうで ございます 」 と 、 召使い が 言い ました 。 「 今夜 、 あの 家 へ 行って みよう 」 王子 が 外 へ 出かける 気 に なった と 聞いて 、 王さま も お きさき さま も ホッと し ました 。 太陽 が 沈んで すずしい 風 が ふき はじめた とき 、 王子 は 新しく 建った 家 に 出かけて いき ました 。 王子 の あと に は 、 王さま と お きさき さま が 続き ました 。 その うしろ に は 、 大臣 たち が 行列 を つくり ました 。 新しい 家 と いう の は 、 若い お きさき が 小 箱 に 頼んで つくって もらった 家 だった のです 。 行列 の 足音 を 聞いて 、 若い お きさき は 窓 の そば に かけより ました 。 王子 たち が 来る の を 見る と 、 今度 は 指輪 に 頼んで ごちそう の 用意 を し ました 。 若い お きさき は 、 王子 たち を 玄関 に 出むかえ ました 。 王子 は 若い お きさき を 見て 、 夢 か と ばかり 喜び ました 。 「 おお 、 生きて いて くれた の か ! いったい 、 どこ に いた のだ ? 」 と 、 王子 が 尋ね ました 。 若い お きさき は 、 お 城 を 追わ れて から の 出来事 を ありのまま 話し ました 。 「 だが どうして 、 城 から 追い出さ れた のだ ? 」 と 、 王子 が 再び 尋ね ました 。 すると 王さま と お きさき さま が 、 はずかし そうに 、 「 よそ の 国 の 男 が 来て 、 若い お きさき を 恐ろしい 魔女 だ と 言った ので 」 と 、 言って 、 うつむいて しまい ました 。 若い お きさき に は 、 その 男 は 兄さん だ と いう こと が すぐ に わかり ました 。 若い お きさき が 姿 を 消した の は 悪い 兄さん の ため だった と いう 事 が 、 国 中 に 知れ 渡り ました 。 意地悪で うそつき で 欲張りの 兄さん は 、 すぐさま 国 を 追い出さ れ ました 。 それ から と いう もの 、 若い お きさき は 誰 に も じゃま さ れ ず に 王子 と 子ども と 三 人 で 幸せに 暮らし ました 。 その 国 に は 今 でも 『 ヘビ を 殺して は 、 いけない 』 と いう 決まり が ある そうです 。

おしまい


ヘビ の 魔法 へび||まほう Snake Magic

ヘビ の 魔法 へび||まほう Schlangenmagie

むかし むかし 、 兄さん と 妹 の 二 人 の 兄弟 が い ました 。 ||にいさん||いもうと||ふた|じん||きょうだい||| Once upon a time, I had two brothers, an older brother and a younger sister. 兄さん は いじわるで とても 欲張りでした が 、 妹 は 美しくて 気 の 優しい 娘 でした 。 にいさん||||よくばりでした||いもうと||うつくしくて|き||やさしい|むすめ| My brother was very greedy because he was messing around, but my sister was a beautiful and kind-hearted daughter. お 父さん が 死ぬ と 、 兄さん は お 父さん の お 金 や 持ち物 を みんな 自分 一 人 の 物 に して しまい ました 。 |とうさん||しぬ||にいさん|||とうさん|||きむ||もちもの|||じぶん|ひと|じん||ぶつ|||| When Dad died, he left all of Dad's money and belongings as his own. 妹 に は 、 たった 一 粒 の トウモロコシ さえ 分けて やら なかった のです 。 いもうと||||ひと|つぶ||とうもろこし||わけて|||の です I didn't even give my sister a single grain of corn. 仕方なく 妹 は 部屋 の すみ に 残って いた 、 たった 一 つ の カボチャ の タネ を 裏庭 に 植えて 、 大事に 育て ました 。 しかたなく|いもうと||へや||||のこって|||ひと|||かぼちゃ||たね||うらにわ||うえて|だいじに|そだて| Reluctantly, my sister planted only one pumpkin seed in the backyard, which was left in the corner of the room, and raised it carefully. カボチャ は じきに 大きく なり 、 毎日 毎日 、 おいしい 実がい くつ も 出来 ました 。 かぼちゃ|||おおきく||まいにち|まいにち||じつがい|||でき| The pumpkins soon grew larger, and every day, every day, we were able to produce delicious fruit. 妹 は その カボチャ を 売って 、 なんとか 暮らして い ました 。 いもうと|||かぼちゃ||うって||くらして|| My sister sold the pumpkin and managed to live.

ある 日 、 兄さん が 妹 の 家 に やってき ました 。 |ひ|にいさん||いもうと||いえ||| One day, my brother came to my sister's house. 「 おい 、 カボチャ 畑 は どこ だ 」 「 あら 、 兄さん 。 |かぼちゃ|はたけ|||||にいさん "Hey, where is the pumpkin field?" "Oh, brother. 裏庭 です よ 。 うらにわ|| It's a backyard. でも 兄さん 、 カボチャ を 見て どう する んです ? |にいさん|かぼちゃ||みて|||ん です But brother, what do you do when you see the pumpkin? 」 と 、 妹 が 聞き ました 。 |いもうと||きき| 「 根こそぎ 、 抜いて やる の さ 。 ねこそぎ|ぬいて||| "I'll pull it out. こんな すばらしい カボチャ は 、 お前 に は もったいない 」   妹 は 兄さん の あと を 追って 、 急いで カボチャ 畑 へ 行き ました 。 ||かぼちゃ||おまえ||||いもうと||にいさん||||おって|いそいで|かぼちゃ|はたけ||いき| Such a wonderful pumpkin is a waste for you. ”My sister followed her brother and hurried to the pumpkin field. 兄さん は ナイフ を つかんで 、 今にも カボチャ の くき を 切ろう と して い ます 。 にいさん||ないふ|||いまにも|かぼちゃ||||きろう|||| My brother is grabbing a knife and is about to cut a pumpkin. 「 お 願い です 。 |ねがい| " Please . これ が なかったら 、 明日 は 暮らして いけ ない んです ! |||あした||くらして|||ん です Without this, I wouldn't be able to live tomorrow! 」   妹 は カボチャ の 切ら れ ない よう 、 くき を 手 で しっかり と にぎり ました 。 いもうと||かぼちゃ||きら||||||て||||| Meine Schwester drückte den Kürbis fest mit ihren Händen, damit der Kürbis nicht ausgeht. My sister squeezed the pumpkin firmly with her hands so that the pumpkin wouldn't run out. 「 ふん ! " Hmm ! 関係 ない ね ! かんけい|| It doesn't matter! 」   兄さん は かまわ ず カボチャ の つる と 一緒に 、 妹 の 右手 を 切り落として しまい ました 。 にいさん||||かぼちゃ||||いっしょに|いもうと||みぎて||きりおとして|| The older brother cut off his sister's right hand with the pumpkin vine, regardless. 右手 を 切り落とさ れた 妹 は 、 ワッ と 泣き 出す と 、 むちゅうで 森 へ 逃げて いき ました 。 みぎて||きりおとさ||いもうと||||なき|だす|||しげる||にげて|| Die jüngere Schwester, deren rechte Hand abgeschnitten war, brach in Tränen aus und rannte mit einem muchu in den Wald. The younger sister, whose right hand was cut off, burst into tears and ran away to the forest with a muchu. それ から けもの に 襲わ れ ない ように 木 に のぼって 、 シクシク と 泣き 続け ました 。 ||||おそわ|||よう に|き|||しくしく||なき|つづけ| Then he climbed up the tree so that he wouldn't be attacked by beasts, and kept crying and crying. 涙 が ほお を 伝って 、 あと から あと から 流れ ました 。 なみだ||||つたって|||||ながれ| Tears ran down the cheeks and flowed afterwards. そこ へ よ その 国 の 王子 が 、 狩り を する ため に ここ を 通り かかり ました 。 ||||くに||おうじ||かり|||||||とおり|| There a prince from another country passed by here to hunt. 「 ここ で 、 しばらく 休んで いこう 。 |||やすんで| "Let's rest here for a while. ひと休み して から 、 また 狩り を 続けよう 」 と 、 言って 、 王子 は 右手 の ない 娘 が 泣いて いる 木 の 下 に 腰 を おろし ました 。 ひとやすみ||||かり||つづけよう||いって|おうじ||みぎて|||むすめ||ないて||き||した||こし||| Let's take a break and continue hunting, "said the prince, who sat down under a tree where his daughter without a right hand was crying. 娘 の 涙 が 、 ポトン と 王子 の ほお に あたり ました 。 むすめ||なみだ||||おうじ||||| My daughter's tears hit Poton and the prince's cheeks. 「 おや 、 雨 かな ? |あめ| "Oh, is it raining? 」   けれども 空 は 青く すんで いて 、 雲 一 つ 見え ませ ん 。 |から||あおく|||くも|ひと||みえ|| But the sky is blue and I can't see a cloud. ポトン と 、 もう ひとし ずく おちて 、 王子 の ほお を ぬらし ました 。 ||||||おうじ||||| With Poton, I dropped another drop and wet the prince's cheeks. 「 これ は 不思議 。 ||ふしぎ きっと この 木 の 上 に 、 何 か が いる んだ な 」   王子 は 木 に のぼって 、 右手 の ない 娘 を 見つけ ました 。 ||き||うえ||なん||||||おうじ||き|||みぎて|||むすめ||みつけ| その 娘 が あまりに も 美しい ので 、 王子 は すぐ に 好きに なり ました 。 |むすめ||||うつくしい||おうじ||||すきに|| The daughter was so beautiful that the prince soon fell in love with it. そして 、 お 嫁 さん に しよう と 思い ました 。 ||よめ|||||おもい| And I decided to make it my wife. 「 さあ 、 もう 怖 がる 事 は ない よ 。 ||こわ||こと||| "Now, don't be scared anymore. 行く ところ が ない の なら 、 ぼく の お 城 へ 来 なさい 」   王子 は 大きな きれ に 娘 を 包んで 、 お 城 ヘ 帰り ました 。 いく|||||||||しろ||らい||おうじ||おおきな|||むすめ||つつんで||しろ||かえり| If you have nowhere to go, come to my castle. ”The prince wrapped his daughter in a big piece and went back to the castle. お 城 で は 王さま も お きさき さま も 、 美しい 娘 が 気 に 入り ました 。 |しろ|||おうさま||||||うつくしい|むすめ||き||はいり| At the castle, both the King and Okisaki loved their beautiful daughters. やがて 王子 と 右手 の ない 娘 は 結婚 して 、 お 城 で 楽しく 暮らし ました 。 |おうじ||みぎて|||むすめ||けっこん|||しろ||たのしく|くらし| Eventually, the prince and his daughter without a right hand got married and lived happily in the castle. 国 中 の 人 が 、 美しくて 若い お きさき を ほめ ました 。 くに|なか||じん||うつくしくて|わかい||||| People all over the country praised the beautiful and young Kisaki. それ と 一緒に 、 若い お きさき に は 右手 が ない と いう うわさ が 国 中 に 広がり ました 。 ||いっしょに|わかい|||||みぎて|||||||くに|なか||ひろがり| Along with that, rumors spread throughout the country that young consorts had no right hand. 王子 と 若い お きさき に は 、 可愛らしい 男の子 が 生まれ ました 。 おうじ||わかい|||||かわいらしい|おとこのこ||うまれ| A lovely boy was born to the prince and the young consort. 王子 と 若い お きさき は 、 ますます 幸せでした 。 おうじ||わかい|||||しあわせでした The prince and the young Okisaki were more and more happy.

ところが 間もなく 、 王子 は 遠い 地方 を おさめる ため に 長い 旅 に 出かける こと に なり ました 。 |まもなく|おうじ||とおい|ちほう|||||ながい|たび||でかける|||| Soon, however, the prince set out on a long journey to settle a distant region. 若い お きさき は 、 赤ちゃん と 一緒に お 城 に 残り ました 。 わかい||||あかちゃん||いっしょに||しろ||のこり| ちょうど その 頃 、 お 城 の ある 町 へ 、 よそ の 国 の 男 が やって 来 ました 。 ||ころ||しろ|||まち||||くに||おとこ|||らい| Around that time, a man from another country came to the town where the castle was located. その 男 と いう の は 、 若い お きさき の 兄さん だった のです 。 |おとこ|||||わかい||||にいさん||の です The man was the younger brother of Okisaki. 兄さん は ちっとも 働か なかった ので 、 お 父さん から もらった お 金 も 持ち物 も 、 すっかり 使い 切って しまって い ました 。 にいさん|||はたらか||||とうさん||||きむ||もちもの|||つかい|きって||| My brother didn't work at all, so he had used up all the money and belongings he had received from his father. そして 、 あっち の 村 、 こっち の 町 と 歩き まわって は 、 人 を だまして お 金 を 取って いた のでした 。 |||むら|||まち||あるき|||じん||||きむ||とって|| And when I walked around with that village and this town, I was tricking people into taking money. お 城 の 近く に 来た 兄さん は 、 若い お きさき に は 右手 が ない と いう うわさ を 聞き ました 。 |しろ||ちかく||きた|にいさん||わかい|||||みぎて|||||||きき| An older brother who came near the castle heard a rumor that the young Okisaki had no right hand. そして 王子 が 、 旅 に 出て いる 事 を たしかめる と 、 「 こいつ は しめた 。 |おうじ||たび||でて||こと|||||| And when the prince confirmed that he was on a journey, he said, "This guy has done it. その 若い お きさき と いう の は 、 妹 の 奴 に ちがいない 。 |わかい|||||||いもうと||やつ|| The young Okisaki must be his younger sister. こり ゃあ 、 運 が いい ぞ 」 と 、 つぶやいて 、 お 城 へ 出かけて いき ました 。 ||うん|||||||しろ||でかけて|| I'm lucky, "he muttered and went out to the castle. 「 王さま 、 お きさき さま 。 おうさま||| "King, Okisaki. わたくし は 王子 さま を 、 お 救い し に まいり ました 」 と 、 兄さん は 言い ました 。 ||おうじ||||すくい||||||にいさん||いい| I have come to save the prince, "said his brother. 「 若い お きさき に なら れた 方 は 、 魔女 ( まじょ ) です 。 わかい||||||かた||まじょ|| "Derjenige, der ein junger Mann wurde, ist eine Hexe." "The one who became a young man is a witch." わたし の 国 で 六 度 も 結婚 して 、 六 度 も 夫 を 殺した 女 です 。 ||くに||むっ|たび||けっこん||むっ|たび||おっと||ころした|おんな| A woman who has been married six times in my country and has killed her husband six times. 王子 さま も 旅 から お 帰り に なれば 、 きっと この 恐ろしい 魔女 に 殺さ れて しまい ます 。 おうじ|||たび|||かえり|||||おそろしい|まじょ||ころさ||| If the prince also returns from the trip, he will surely be killed by this terrifying witch. 早く 若い お きさき を 殺して しまう ほう が 、 よろしゅう ございます 」 と 、 さも 、 本当 らしく 話し ました 。 はやく|わかい||||ころして||||||||ほんとう||はなし| Es ist besser, den jungen Okisaki früher zu töten ", sagte er plausibel. It's better to kill the young Okisaki sooner, "he said in a plausible way. 王さま も 、 お きさき さま も 、 始め は 信じよう と し ませ ん でした が 、 でも 兄さん が 繰り返し 繰り返し 言い ます ので 、 とうとう 若い お きさき を 恐ろしい 魔女 だ と 思い 込んで しまった のです 。 おうさま||||||はじめ||しんじよう||||||||にいさん||くりかえし|くりかえし|いい||||わかい||||おそろしい|まじょ|||おもい|こんで||の です At first, both the King and Okisaki tried to believe it, but his brother said it over and over again, so he finally thought of the young Okisaki as a terrifying witch. そこ で 王さま と お きさき さま は 兵士 に 言いつけて 、 若い お きさき と 赤ちゃん を 森 へ 追い 出て しまい ました 。 ||おうさま||||||へいし||いいつけて|わかい||||あかちゃん||しげる||おい|でて|| There, the King and Okisaki told the soldiers to drive the young Okisaki and the baby into the forest. そして 、 「 王子 が 帰ったら 、 若い お きさき は 死んだ と 言い ましょう 」 と 、 言って 、 空っぽの お 墓 を 二 つ つくり ました 。 |おうじ||かえったら|わかい||||しんだ||いい|||いって|からっぽの||はか||ふた||| Then he said, "When the prince returns, let's say that the young Okisaki is dead," he said, and made two empty tombs. 兄さん は 王さま を だまして お 金 を たくさん もらう と 、 お 城 の そば に 大きな 家 を 建て ました 。 にいさん||おうさま||||きむ||||||しろ||||おおきな|いえ||たて| お 城 から 追い出さ れた 右手 の ない 若い お きさき は 、 ツボ を 一 つ 持った まま 、 あて も なく 森 を さまよい 歩き ました 。 |しろ||おいださ||みぎて|||わかい||||つぼ||ひと||もった|||||しげる|||あるき| The young Okisaki, who had no right hand and was kicked out of the castle, wandered through the forest without a hitch, holding one acupoint. 「 ああ 、 これ から 、 どう したら いい の かしら ? "Oh, what should I do from now on? 」 と 、 若い お きさき は 草 の 上 に すわって 、 深い ためいき を つき ました 。 |わかい||||くさ||うえ|||ふかい|||| The young Okisaki sat on the grass and gave a deep sigh. すると そば の 草むら から 、 ヘビ が 出て きて 言い ました 。 |||くさむら||へび||でて||いい| Then a snake came out from the grass near me and said. 「 助けて ください 。 たすけて| " Help me . あなた の ツボ に 隠して ください 。 ||つぼ||かくして| Hide it in your acupoints. 追い かけ られて いる んです 」   若い お きさき は 、 ツボ を 転がして やり ました 。 おい||||ん です|わかい||||つぼ||ころがして|| I'm being chased. ”Young Okisaki rolled the acupoints. ヘビ は 、 ツボ の 奥 に とぐろ を まく と 、 「 日 の 光 から 、 ぼく を 守って ください 。 へび||つぼ||おく||||||ひ||ひかり||||まもって| The snake sprinkles a sword in the back of the acupoint and says, "Protect me from the light of the sun. その代わり 、 あなた を 雨 から 守り ます から 」 と 、 わけ の 分から ない 事 を 言い ました 。 そのかわり|||あめ||まもり||||||わから||こと||いい| Stattdessen werde ich dich vor dem Regen schützen ", sagte er und sagte etwas, das ich nicht verstehe. Instead, I'll protect you from the rain, "he said. 若い お きさき が 聞き 返す ひ まもなく 、 もう 一 匹 の ヘビ が 現れ ました 。 わかい||||きき|かえす||||ひと|ひき||へび||あらわれ| Shortly after the young Okisaki heard back, another snake appeared. そして 、 「 おれ の 仲間 を 、 見かけ なかった か ね ? |||なかま||みかけ||| And, "Did you see my companion? 」 と 、 たずね ました 。 「 あっち へ 、 行き ました よ 」   若い お きさき は 、 森 の 奥 を 指さして 言い ました 。 ||いき|||わかい||||しげる||おく||ゆびさして|いい| "I went over there," said the young Okisaki, pointing to the depths of the forest. すると あと から 出て きた ヘビ は 、 木 の 間 を すべり 抜けて 行って しまい ました 。 |||でて||へび||き||あいだ|||ぬけて|おこなって|| Dann schlüpfte die Schlange, die später herauskam, durch die Bäume. Then the snake that came out later slipped through the trees. ツボ の 中 の ヘビ が 、 ツボ から 出て きて 言い ました 。 つぼ||なか||へび||つぼ||でて||いい| The snake in the acupoint came out of the acupoint and said. 「 ありがとう ございます 。 ご恩 は 決して 忘れ ませ ん 。 ごおん||けっして|わすれ|| I will never forget your kindness. でも 、 どうして こんな ところ に いる のです か ? ||||||の です| But why are you in such a place? 」   そこ で 若い お きさき は 、 今 まで の 事 を 残らず ヘビ に 話し ました 。 ||わかい||||いま|||こと||のこらず|へび||はなし| すると ヘビ は 、 「 ぼく の 国 へ 、 いらっしゃい 。 |へび||||くに|| ちょっと 遠い です が 、 しんぼう して ください 。 |とおい||||| It's a little far, but please be patient. ぼく を 日 の 光 から 守って くださったら 、 あなた を 雨 から 守り ます 。 ||ひ||ひかり||まもって||||あめ||まもり| きっと 、 ご 恩返し を いたし ます 」 と 、 言い ました 。 ||おんがえし|||||いい| 若い お きさき は 赤ん坊 を 抱いて 、 ヘビ の あと から 歩いて いき ました 。 わかい||||あかんぼう||いだいて|へび||||あるいて|| やがて 、 広い 湖 に つき ました 。 |ひろい|こ||| Eventually, I arrived at a large lake. 「 ここ で 、 しばらく 休み ましょう 。 |||やすみ| "Here, let's take a break for a while. 水 を あびて いらっしゃい 。 すい||| Welcome to the water. ぼく は ここ で ひと 眠り し ます 」 と 、 ヘビ が 言い ました 。 |||||ねむり||||へび||いい| I'm going to sleep here, "said the snake. 湖 の 水 は 透き通って いて とても きれいだった ので 、 若い お きさき は 子ども の 体 を 洗い ました 。 こ||すい||すきとおって|||||わかい||||こども||からだ||あらい| The water in the lake was clear and very clean, so the young Okisaki washed the child's body. 気持ち が いい の か 、 子ども は 手足 を バタバタ さ せて 喜び ます 。 きもち|||||こども||てあし|||||よろこび| Whether it feels good or not, the child is delighted with the limbs fluttering. ところが あんまり 暴れた ので 、 あっという間 に 若い お きさき の 左手 から すべり落ちて 、 湖 の 底 に 沈んで しまい ました 。 ||あばれた||あっというま||わかい||||ひだりて||すべりおちて|こ||そこ||しずんで|| However, it was so violent that it quickly slipped from the left hand of the young Okisaki and sank to the bottom of the lake. その とたん 、 透き通って いた 湖 の 水 が 黒く にごり ました 。 ||すきとおって||こ||すい||くろく|| At that moment, the clear water of the lake became black and muddy. 若い お きさき は 腰 まで 水 に つかって 左手 で 探し ました が 、 どんなに 探して も 子ども は 見つかり ませ ん 。 わかい||||こし||すい|||ひだりて||さがし||||さがして||こども||みつかり|| The young Okisaki was soaked in water up to his waist and searched with his left hand, but no matter how much he searched, he could not find a child. 若い お きさき は 涙 を ふこう と も し ないで 、 ヨロヨロ と ヘビ の そば に 近寄り ました 。 わかい||||なみだ|||||||||へび||||ちかより| The young Okisaki did not shed tears, but approached by the snakes and snakes. 「 どっち の 手 で 、 探した のです か ? ||て||さがした|の です| "Nach welcher Hand hast du gesucht? "Which hand did you look for? 」 と 、 ヘビ が 尋ね ました 。 |へび||たずね| 「 まあ 、 左手 に 決まって いる じゃ あり ませ ん か 。 |ひだりて||きまって|||||| "Nun, ist es nicht auf der linken Seite entschieden? "Well, isn't it decided on the left hand? 右手 は 手首 まで しか ない んです から 、 子ども を つかまえ られ ませ ん もの 」 「 では 、 右手 も 水 に つけ なさい 。 みぎて||てくび||||ん です||こども||||||||みぎて||すい||| Your right hand is only up to your wrist, so you can't catch a child. "" Then, put your right hand in the water as well. きっと 、 お 子 さん が 見つかり ます よ 」   ヘビ に 言わ れて 、 若い お きさき は 湖 に 戻り ました 。 ||こ|||みつかり|||へび||いわ||わかい||||こ||もどり| 腰 を かがめて 、 右手 と 左手 を 水 に つけ ました 。 こし|||みぎて||ひだりて||すい||| I bent over and put my right and left hands in the water. すると 子ども が 両手 の あいだ に 、 スルリ と 入り ました 。 |こども||りょうて||||||はいり| Then the child slipped in between his hands. 若い お きさき は 大喜びで 、 子ども を 抱き上げ ました 。 わかい||||おおよろこびで|こども||だきあげ| 子ども は 、 キャッキャッ ! こども|| Children are crazy! と 、 声 を あげて 笑い ます 。 |こえ|||わらい| I laugh aloud. まだ 、 おぼれて い なかった のです 。 ||||の です Ich war noch nicht ertrunken. I hadn't drowned yet. 若い お きさき は 、 子ども を 何度 も 何度 も 抱きしめ ました 。 わかい||||こども||なんど||なんど||だきしめ| その うち に 、 ふと 右手 を 見 ました 。 ||||みぎて||み| In the meantime, I suddenly saw my right hand. 「 あら ! 」   若い お きさき は 、 ビックリ 。 わかい||||びっくり 右手 が いつの間にか 、 ちゃんと 元通りに 治って いる で は あり ませ ん か 。 みぎて||いつのまにか||もとどおりに|なおって||||||| 「 まあ 、 うれしい 。 ヘビ さん 、 ありがとう 」   若い お きさき は 、 おどりあがって 喜び ました 。 へび|||わかい|||||よろこび| 「 さあ 、 出かけ ましょう 。 |でかけ| "Now, let's go out. ヘビ の 国 の 父 と 母 は 、 ぼく を 助けて くださった あなた に お 礼 を いう でしょう 」 「 まあ 、 お 礼 なら 、 もう たっぷり いただいた わ 。 へび||くに||ちち||はは||||たすけて|||||れい||||||れい||||| My father and mother in the land of snakes would like to thank you for helping me. "" Well, thank you so much. 子ども を 助けて くださった し 、 右手 も 治して くださった し 」 「 いいえ 、『 日 の 光 から 守って くださったら 、 あなた を 雨 から 守り ます 』 って 、 言い ました ね 。 こども||たすけて|||みぎて||なおして||||ひ||ひかり||まもって||||あめ||まもり|||いい|| He helped the child and healed his right hand. "" No, "If you protect me from the light of the sun, I will protect you from the rain," he said. まだ その 約束 を 果たして ない のです 」 と 、 ヘビ が 言い ました 。 ||やくそく||はたして||の です||へび||いい| I haven't fulfilled that promise yet, "said the snake.

長い 長い 旅 を して 、 やっと ヘビ 王国 に つき ました 。 ながい|ながい|たび||||へび|おうこく||| 若い お きさき を 案内 して きた の は 、 ヘビ 王国 の 王子 だった のです 。 わかい||||あんない|||||へび|おうこく||おうじ||の です It was the prince of the snake kingdom who guided the young Okisaki. ヘビ の 王さま と お きさき さま は 、 若い お きさき と その 子ども を あつく もてなして くれ ました 。 へび||おうさま||||||わかい|||||こども||||| 二 人 は ヘビ 王国 で 、 楽しい 毎日 を 送り ました 。 ふた|じん||へび|おうこく||たのしい|まいにち||おくり| They had a good day in the Kingdom of Snakes. 何 ヶ月 も 過ぎて 、 若い お きさき は そろそろ 人間 の 国 ヘ 帰ら なければ なら ない と 思い ました 。 なん|かげつ||すぎて|わかい|||||にんげん||くに||かえら|||||おもい| After many months, I thought that the young Okisaki had to return to the human land. 「 おや 、 もう お 帰り です か ? |||かえり|| "Oh, are you on your way home? お なごりおしい です ね 。 It's very nice. 父 と 母 が 、 きっと いろいろ なお みやげ を さしあげる でしょう 。 ちち||はは|||||||| My father and mother will surely give you various souvenirs. でも 決して 、 それ を 受け取って は いけ ませ ん 。 |けっして|||うけとって|||| Aber akzeptiere es niemals. But never accept it. 父 から は 指輪 を 、 母 から は 小 箱 を もらって ください 」 と 、 ヘビ の 王子 が 教え ました 。 ちち|||ゆびわ||はは|||しょう|はこ|||||へび||おうじ||おしえ| 若い お きさき が ヘビ の 王さま と お きさき の ところ へ お 別れ の あいさつ に 行く と 、 二 人 は 金 や 銀 や 宝石 を 若い お きさき の 前 に つみ あげ ました 。 わかい||||へび||おうさま||||||||わかれ||||いく||ふた|じん||きむ||ぎん||ほうせき||わかい||||ぜん|||| When the young Okisaki went to say goodbye to the King of Snakes and Okisaki, they picked up gold, silver, and jewels in front of the young Okisaki. 「 ありがとう ございます 。 でも 、 こんなに たくさん お みやげ を いただいて も 、 わたくし 一 人 で は 持って ま いれ ませ ん 。 |||||||||ひと|じん|||もって|||| However, even if I receive so many souvenirs, I can't bring them alone. 王さま から は 指輪 を 、 お きさき さま から は 小 箱 を いただき とう ございます 」 と 、 若い お きさき が 言い ました 。 おうさま|||ゆびわ|||||||しょう|はこ||||||わかい||||いい| 「 おや ? 息子 が 話した のです ね 。 むすこ||はなした|の です| いい です と も 。 It ’s good. あなた は 息子 の 命 を すくって くださった のです から 」 と 、 いって 、 ヘビ の 王さま は 指輪 を くれ ました 。 ||むすこ||いのち||||の です||||へび||おうさま||ゆびわ||| You have scooped up your son's life, "said the King of Snakes, who gave him a ring. 「 何 か 食べ物 が いりようでしたら 、 この 指輪 に 言って ください 。 なん||たべもの||||ゆびわ||いって| "If you want some food, tell me this ring. きっと 、 お 役 に 立ち ます よ 」   すると ヘビ の お きさき が 、 小 箱 を 取り出して 、 「 着る 物 や 家 が ほしかったら 、 この 小 箱 に 言って ください 。 ||やく||たち||||へび|||||しょう|はこ||とりだして|きる|ぶつ||いえ||||しょう|はこ||いって| きっと 、 のぞみ が かなえ られ ます よ 」 と 、 言い ました 。 ||||||||いい| 若い お きさき は 何度 も お 礼 を 言って 、 指輪 を 指 に はめ 小 箱 を ふところ に かくし ました 。 わかい||||なんど|||れい||いって|ゆびわ||ゆび|||しょう|はこ|||||

子ども を 抱いて ヘビ 王国 を 出た 若い お きさき は 、 お 城 を 追わ れた 時 と は 見違える ほど 生き生き と して い ました 。 こども||いだいて|へび|おうこく||でた|わかい|||||しろ||おわ||じ|||みちがえる||いきいき|||| The young Okisaki, who left the snake kingdom with his child in his arms, was so lively that he could not be mistaken for the time when he was chased from the castle. 若い お きさき は 、 王子 と 暮らした お 城 を めざして 歩いて いき ました 。 わかい||||おうじ||くらした||しろ|||あるいて|| ちょうど その 頃 、 王子 は 長い 旅 から お 城 へ 戻った ところ でした 。 ||ころ|おうじ||ながい|たび|||しろ||もどった|| そして 若い お きさき も 子ども も 、 死んで しまった と 聞か さ れた 王子 は 、 「 ああ 、 わたし さえ 旅 に 出 なかったら 、 死んだり は し なかった だろう に 」 と 、 言って 悲しみ ました 。 |わかい||||こども||しんで|||きか|||おうじ|||||たび||だ||しんだり|||||||いって|かなしみ| 王子 は 朝 から 晩 まで 何も 食べ ず に 、 若い お きさき と 子ども の 名 を 呼んで 部屋 に 閉じこもった きり でした 。 おうじ||あさ||ばん||なにも|たべ|||わかい||||こども||な||よんで|へや||とじこもった|| 王さま と お きさき さま は 、 王子 が 死んで しまう ので は ない か と 心配 し ました 。 おうさま||||||おうじ||しんで|||||||しんぱい|| The King and Okisaki were worried that the prince would die.

ある 日 の 朝 早く 、 王子 は つめたい 空気 を すって みよう と 窓 を 開け ました 。 |ひ||あさ|はやく|おうじ|||くうき|||||まど||あけ| Early one morning, the prince opened the window to try to squeeze the air he wanted to fill. すると 向こう に 、 見た 事 の ない 立派な 家 が 見え ました 。 |むこう||みた|こと|||りっぱな|いえ||みえ| ( あれ は 、 誰 の 家 だろう ? ||だれ||いえ| あんなに 大きな 家 に 住んで いる の なら 、 きっと 金持ち に ちがいない )   王子 は 、 召使い に 尋ね ました 。 |おおきな|いえ||すんで|||||かねもち|||おうじ||めしつかい||たずね| 「 王子 さま 、 わたくし も 昨日 、 初めて 気 が ついた ので ございます 。 おうじ||||きのう|はじめて|き|||| "Prince, I also noticed it for the first time yesterday. 人 の うわさ で は 、 美しい 女 の 人 と 子ども が 百 人 の 召使い と 暮らして いる そうで ございます 」 と 、 召使い が 言い ました 。 じん|||||うつくしい|おんな||じん||こども||ひゃく|じん||めしつかい||くらして||そう で|||めしつかい||いい| According to human rumors, a beautiful woman and a child live with a hundred servants, "said the servant. 「 今夜 、 あの 家 へ 行って みよう 」   王子 が 外 へ 出かける 気 に なった と 聞いて 、 王さま も お きさき さま も ホッと し ました 。 こんや||いえ||おこなって||おうじ||がい||でかける|き||||きいて|おうさま||||||ほっと|| 太陽 が 沈んで すずしい 風 が ふき はじめた とき 、 王子 は 新しく 建った 家 に 出かけて いき ました 。 たいよう||しずんで||かぜ|||||おうじ||あたらしく|たった|いえ||でかけて|| 王子 の あと に は 、 王さま と お きさき さま が 続き ました 。 おうじ|||||おうさま||||||つづき| その うしろ に は 、 大臣 たち が 行列 を つくり ました 。 ||||だいじん|||ぎょうれつ||| Behind that, the ministers formed a line. 新しい 家 と いう の は 、 若い お きさき が 小 箱 に 頼んで つくって もらった 家 だった のです 。 あたらしい|いえ|||||わかい||||しょう|はこ||たのんで|||いえ||の です The new house was a house that a young Okisaki asked a small box to build. 行列 の 足音 を 聞いて 、 若い お きさき は 窓 の そば に かけより ました 。 ぎょうれつ||あしおと||きいて|わかい||||まど||||| 王子 たち が 来る の を 見る と 、 今度 は 指輪 に 頼んで ごちそう の 用意 を し ました 。 おうじ|||くる|||みる||こんど||ゆびわ||たのんで|||ようい||| When he saw the princes coming, he asked for a ring to prepare for a feast. 若い お きさき は 、 王子 たち を 玄関 に 出むかえ ました 。 わかい||||おうじ|||げんかん||でむかえ| 王子 は 若い お きさき を 見て 、 夢 か と ばかり 喜び ました 。 おうじ||わかい||||みて|ゆめ||||よろこび| 「 おお 、 生きて いて くれた の か ! |いきて|||| "Oh, did you stay alive! いったい 、 どこ に いた のだ ? Where on earth were you? 」 と 、 王子 が 尋ね ました 。 |おうじ||たずね| 若い お きさき は 、 お 城 を 追わ れて から の 出来事 を ありのまま 話し ました 。 わかい|||||しろ||おわ||||できごと|||はなし| 「 だが どうして 、 城 から 追い出さ れた のだ ? ||しろ||おいださ|| "But why were you kicked out of the castle? 」 と 、 王子 が 再び 尋ね ました 。 |おうじ||ふたたび|たずね| すると 王さま と お きさき さま が 、 はずかし そうに 、 「 よそ の 国 の 男 が 来て 、 若い お きさき を 恐ろしい 魔女 だ と 言った ので 」 と 、 言って 、 うつむいて しまい ました 。 |おうさま|||||||そう に|||くに||おとこ||きて|わかい||||おそろしい|まじょ|||いった|||いって||| 若い お きさき に は 、 その 男 は 兄さん だ と いう こと が すぐ に わかり ました 。 わかい||||||おとこ||にいさん||||||||| 若い お きさき が 姿 を 消した の は 悪い 兄さん の ため だった と いう 事 が 、 国 中 に 知れ 渡り ました 。 わかい||||すがた||けした|||わるい|にいさん||||||こと||くに|なか||しれ|わたり| It was known all over the country that the young Kisaki disappeared because of his bad brother. 意地悪で うそつき で 欲張りの 兄さん は 、 すぐさま 国 を 追い出さ れ ました 。 いじわるで|||よくばりの|にいさん|||くに||おいださ|| それ から と いう もの 、 若い お きさき は 誰 に も じゃま さ れ ず に 王子 と 子ども と 三 人 で 幸せに 暮らし ました 。 |||||わかい||||だれ||||||||おうじ||こども||みっ|じん||しあわせに|くらし| その 国 に は 今 でも 『 ヘビ を 殺して は 、 いけない 』 と いう 決まり が ある そうです 。 |くに|||いま||へび||ころして|||||きまり|||そう です It seems that there is still a rule in that country that "don't kill snakes."

おしまい