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世界の昔話, ギルガメシュの冒険

ギルガメシュ の 冒険

ギルガメシュ の 冒険

むかし むかし 、 ある 町 の 人 たち は 、 いつも ブツブツ 言って い ました 。 「 ギルガメシュ 王 は 、 自分勝手な こと ばかり する 」 「 あれ じゃ 、 みんな 困る よ 」 それ を 聞いた 天 の 神 は 、 女神 を よび ました 。 「 ギルガメシュ 王 と たたかえる 人間 を 、 一 人 つくり なさい 。 きっと 町 の 人 を 、 すくって くれる だろう 」 女神 は 、 すぐ 土 を こねて つくり ました 。 体 中 に 毛 が 生えて いて 、 髪 は 長く 、 けもの の 皮 を 着て い ます 。 名前 を 、 エンキドウ と つけ ました 。 「 エンキドウ 、 さあ 行け 」 エンキドウ は 森 へ 来る と 、 けもの たち と 暮らし ました 。 一緒に 草 を 食べたり 、 小川 に 口 を 突っ込んで 水 を 飲み ました 。

ある 日 、 森 のけもの が 猟師 ( りょうし ) の アミ に かかり ました 。 「 なんだ 。 誰 も 助け られ ない の か 」 エンキドウ は 、 アミ を 切って 逃がして やり ました 。 この 様子 を 、 猟師 が 木 の かげ で 見て い ました 。 「 おそろしい けもの が 、 現れた ぞ 」 猟師 は 青く なって 飛んで 帰る と 、 お 父さん に 話し ました 。 「 それ は 大変だ 。 すぐ エレク の 町 へ 行って 、 王さま に 知らせる んだ 」 知らせ を 聞いた ギルガメシュ 王 は 、 猟師 に 言い ました 。 「 森 へ 娘 を 連れて 行って くれ 。 そう すれば 、 人間 の 国 へ 来る だろう 」 猟師 は 言わ れた 通り に 、 娘 を 連れて 森 に つき ました 。 「 お前 は 、 この 小川 の そば に いる のだ よ 。 どこ へ も 行って は なら ない よ 」 そう 言いつけて 、 猟師 は 家 に 帰り ました 。 水 を 飲み に 来た エンキドウ は 、 きれいな 娘 を 見て すぐ に 好きに なり ました 。 「 ぼく と 結婚 して ください 。 きっと 大事に し ます 」 それ から エンキドウ は 、 娘 と 一緒に 暮らす ように なり ました 。 すると 不思議な 事 に 、 体 に 生えて いた 長い 毛 が なくなり ました 。 娘 が 、 エンキドウ に 言い ました 。 「 あなた は もう 、 立派な 人間 に なった のです よ 。 町 へ 行き ましょう 」 「 町 へ 行って 、 どう する んだ ね 」 「 町 に は 、 神さま と 人間 の 間 に 生まれた ギルガメシュ と いう 王さま が い ます 。 とても いばって 、 町 の 人 たち を 苦しめて いる んです 」 「 よし 。 行って 、 その 王 を こらしめて やろう 」

二 人 は 、 町 ヘ つき ました 。 すると ふえ や たいこ の 音 が して 、 にぎやかな 行列 が 近づいて き ました 。 「 あれ は 、 なんだ ? 」 エンキドウ が 尋ねる と 、 娘 が 答え ました 。 「 王さま の 結婚 式 です 」 「 そう か 、 あれ が 王さま だ な 」 言う が はやい か 、 エンキドウ は 飛び出して 行って 王 に 組み 付き ました 。 「 や やっ ! 強そうな 男 だ 」 「 王 も 、 かなわない ぞ 」 まわり の みんな が 騒ぎ 出す 中 、 エンキドウ と 王 は 激しく たたかい ました 。 「 王さま 、 あなた は 町 の 人 たち を 苦しめて いる と 聞く 。 ぼく が 勝ったら 、 町 の 人 を 苦しめる の を やめる んだ ! 」 「 よかろう 」 王 も 強かった のです が 、 エンキドウ に は かない ませ ん 。 王 は とうとう 、 組み ふせら れて しまい ました 。 「 エンキドウ よ 、 お前 の 勝ち だ 。 約束 は 、 守ろう 。 そして これ から は 、 友だち に なろう 」 エンキドウ に 負けて から 、 ギルガメシュ は やさしい 王 に なり ました 。 そして 二 人 は 、 親友 に なった のです 。 「 エンキドウ 、 神 の 森 に ある モミ の 木 を 切り 倒して 、 みんな を おどろか そう 」 冒険 の 好きな 王 が 、 言い 出し ました 。 「 でも あの 森 に は 、 恐ろしい 一 つ 目 で 火 を 吹く フンババ が いる んだ 。 けもの たち と 暮らして いた とき 見た んだ 」 「 では 、 神さま に 助けて もらおう 。 そう すれば やれる 」 神 たち は 、 反対 し ました 。 でも ギルガメシュ の お 母さん の 天 の 女神 が 、 太陽 の 神 に 頼んで くれ ました 。 「 さあ 、 いよいよ 出発 だ 」 ギルガメシュ と エンキドウ は 、 剣 や オノ を 持って 出かけ ました 。 普通の 人 なら ひと 月 は かかる 道のり です が 、 いさましい 二 人 は たった 三 日 で 森 の 入り口 に つき ました 。 「 大きな とびら が 閉まって いる ぞ 、 エンキドウ 」 エンキドウ は とびら を 押して 、 すき間 から のぞいて み ました 。 「 中 に 、 フンババ が いる 。 出て こ ない うち に 、 入って つかまえよう 」 入った とたん 、 とびら が はね返って エンキドウ の 手 を はさみ ました 。 「 い たたっ ! 」 はさんだ 手 が 痛くて 、 エンキドウ は 転がり ました 。 「 帰ろう 。 とても フンババ は 、 やっつけ られ ない 」 「 なんだ 。 それ くらい の 事 で まいって どう する んだ 。 あそこ が だめ なら 、 森 の 奥 で 待ちぶせ よう 」 ギルガメシュ は 、 先 に 立って ズンズン 進み ます 。 エンキドウ も 、 仕方なく ついて いき ました 。

やがて 森 の 奥 の 、 モミ の 木 の 山 に つき ました 。 「 この 高い 山 の てっぺん だ な 、 神さま が 集まって 相談 する ところ は 」 「 それにしても 、 疲れた 。 ちょっと 休もう 」 木 の かげ に 入る と 、 二 人 は そろって 眠り だし ました 。 朝 に なり 目 を 覚ます と 、 二 人 は 森 の 奥 へ 入り ました 。 「 さあ 、 この 大きな モミ の 木 を 切ろう 」 ギルガメシュ が オノ を ふるう と 、 モミ の 木 は すごい 音 を たてて 倒れ ました 。 その 音 を 聞き つけて 、 ひと つ 目 の フンババ が 飛び出して きた のです 。 フンババ は キバ を むき 出して 、 火 を 吹き ながら 近づいて き ます 。 「 ウヒャァ ! 」 ギルガメシュ は 、 怖く なって 動け ませ ん 。 その 時 、 太陽 の 神 の 声 が 聞こえ ました 。 「 ギルガメシュ よ 。 恐れ ず に フンババ の 目 に 、 風 を 吹き付ける のだ 」 ギルガメシュ は 、 天 に 向かって 頼み ました 。 「 風 の 神さま 、 どうか 風 を 送って ください 」 すると みるみる 強い 風 が おこって 、 フンババ が ヨロヨロ して き ました 。 目 が 、 フンババ の 弱点 だった のです 。 「 さあ 、 かくご しろ 」 ギルガメシュ と エンキドウ は 、 フンババ の 首 を バッサリ と 切り落とし ました 。 「 やった 。 うまく いった な 」 ギルガメシュ と エンキドウ は 、 血 の ついた 手 や 顔 を 川 で 洗い ました 。 「 王さま 、 どうぞ わたし の 家 へ おい で ください 」 声 が した ので 振り向く と 、 美しい 女 の 人 が 立って い ます 。 「 誰 です ? あなた は 」 「 この 森 の 女神 、 イシュルタ です 。 宝石 を ちりばめた 、 戦車 を あげ ましょう 」 「 だまさ れる もの か 。 あんた は 人 を だます 、 悪い 女神 だ と 聞いて る ぞ 」 「 わたし の 言う 事 を 聞か ない んです って ! ギルガメシュ 、 どんな 事 に なる か 見て いらっしゃい 」 怒った 女神 は 、 天 の お 城 へ のぼって いき ました 。 「 お 父 さま 、 ギルガメシュ は なまいきな んです 。 暴れる と 大 あらし と 大 じしん を おこす ウシ を 、 ギルガメシュ の 前 に 放して ください 」 「 いけない よ 、 そんな 事 は 」 「 いやです 。 聞いて くださら ない と 、 わたし 、 じごく の とびら を 開いて 、 死んだ 人 たち を 放ち ます よ 」 お 父さん の 神 は 、 困り ました 。 「 仕方 が ない 。 だが ウシ を 放す と 、 七 年 も 食べ物 が 出来 なく なる ぞ 」 「 大丈夫です 。 人間 の 食べ物 も 、 けもの たち の 食べ物 も 、 たくさん あり ます わ 」 「 では 、 放そう 」 見る 間 に 大きな ウシ が 、 ギルガメシュ と エンキドウ に 向かって 飛び出し ました 。 「 え いっ 」 エンキドウ は 素早く ツノ を つかんで 押し止める と 、 ウシ の 首 に 剣 を 突き刺し ました 。 それ を 知った 女神 が 、 二 人 に 怒鳴り ました 。 「 ギルガメシュ 、 よくも 天 の ウシ を 殺した わ ね ! はやく ウシ を 返して 」 「 だめだ 。 これ は もらって 帰る よ 」 「 これ から は 、 悪い 考え は おこさ ない 事 だ ね 。 女神 さん 」 ギルガメシュ と エンキドウ は 、 うちとった ウシ を かついで 森 を 出て 行き ました 。 二 人 は 、 エルク の 町 に つき ました 。 「 王さま たち が 、 天 の ウシ を うちとって こ られた ぞ 」 「 怪物 の 、 フンババ の 頭 も ある ぞ 」 「 王さま 、 ばん ざ ー い 」 「 エンキドウ 、 ばん ざ ー い 」 みんな は 集まって きて 、 二 人 を ほめたたえ ました 。 ところが お 城 に 帰って 来て から 、 エンキドウ は 眠れ なく なり ました 。 「 ギルガメシュ 、 変な 夢 を 見た んだ 。 神さま たち が ぼく たち 二 人 を 殺そう と する 夢 な んだ 」 「 どうして だ ? 」 「 神さま の 森 を 荒らした し 、 天 の ウシ を 殺した から な 。 二 人 の うち 、 どっち か が 死な なければ なら ん と 怒って いた 。 そして 死ぬ の は 、 ぼく の 方 だ 」 「 それ なら 、 ぼく が 死のう 。 エンキドウ 」 どっち も 、 親友 を 助け たい と 思い ました 。 「 うれしい が 、 ギルガメシュ に は 王さま と して の 仕事 が ある 。 死ぬ の は 一 人 で いい 」 エンキドウ は 親友 に ほほえむ と 、 そのまま 死んで しまった のです 。

おしまい


ギルガメシュ の 冒険 ||ぼうけん The Adventures of Gilgamesh

ギルガメシュ の 冒険 ||ぼうけん

むかし むかし 、 ある 町 の 人 たち は 、 いつも ブツブツ 言って い ました 。 |||まち||じん||||ぶつぶつ|いって|| 「 ギルガメシュ 王 は 、 自分勝手な こと ばかり する 」 「 あれ じゃ 、 みんな 困る よ 」   それ を 聞いた 天 の 神 は 、 女神 を よび ました 。 |おう||じぶんかってな|||||||こまる||||きいた|てん||かみ||めがみ||| 「 ギルガメシュ 王 と たたかえる 人間 を 、 一 人 つくり なさい 。 |おう|||にんげん||ひと|じん|| きっと 町 の 人 を 、 すくって くれる だろう 」   女神 は 、 すぐ 土 を こねて つくり ました 。 |まち||じん|||||めがみ|||つち|||| 体 中 に 毛 が 生えて いて 、 髪 は 長く 、 けもの の 皮 を 着て い ます 。 からだ|なか||け||はえて||かみ||ながく|||かわ||きて|| 名前 を 、 エンキドウ と つけ ました 。 なまえ||||| 「 エンキドウ 、 さあ 行け 」   エンキドウ は 森 へ 来る と 、 けもの たち と 暮らし ました 。 ||いけ|||しげる||くる|||||くらし| 一緒に 草 を 食べたり 、 小川 に 口 を 突っ込んで 水 を 飲み ました 。 いっしょに|くさ||たべたり|おがわ||くち||つっこんで|すい||のみ|

ある 日 、 森 のけもの が 猟師 ( りょうし ) の アミ に かかり ました 。 |ひ|しげる|||りょうし|||||| 「 なんだ 。 誰 も 助け られ ない の か 」   エンキドウ は 、 アミ を 切って 逃がして やり ました 。 だれ||たすけ|||||||||きって|にがして|| この 様子 を 、 猟師 が 木 の かげ で 見て い ました 。 |ようす||りょうし||き||||みて|| 「 おそろしい けもの が 、 現れた ぞ 」   猟師 は 青く なって 飛んで 帰る と 、 お 父さん に 話し ました 。 |||あらわれた||りょうし||あおく||とんで|かえる|||とうさん||はなし| 「 それ は 大変だ 。 ||たいへんだ すぐ エレク の 町 へ 行って 、 王さま に 知らせる んだ 」   知らせ を 聞いた ギルガメシュ 王 は 、 猟師 に 言い ました 。 |||まち||おこなって|おうさま||しらせる||しらせ||きいた||おう||りょうし||いい| 「 森 へ 娘 を 連れて 行って くれ 。 しげる||むすめ||つれて|おこなって| そう すれば 、 人間 の 国 へ 来る だろう 」   猟師 は 言わ れた 通り に 、 娘 を 連れて 森 に つき ました 。 ||にんげん||くに||くる||りょうし||いわ||とおり||むすめ||つれて|しげる||| 「 お前 は 、 この 小川 の そば に いる のだ よ 。 おまえ|||おがわ|||||| どこ へ も 行って は なら ない よ 」   そう 言いつけて 、 猟師 は 家 に 帰り ました 。 |||おこなって||||||いいつけて|りょうし||いえ||かえり| 水 を 飲み に 来た エンキドウ は 、 きれいな 娘 を 見て すぐ に 好きに なり ました 。 すい||のみ||きた||||むすめ||みて|||すきに|| 「 ぼく と 結婚 して ください 。 ||けっこん|| きっと 大事に し ます 」   それ から エンキドウ は 、 娘 と 一緒に 暮らす ように なり ました 。 |だいじに|||||||むすめ||いっしょに|くらす|よう に|| すると 不思議な 事 に 、 体 に 生えて いた 長い 毛 が なくなり ました 。 |ふしぎな|こと||からだ||はえて||ながい|け||| 娘 が 、 エンキドウ に 言い ました 。 むすめ||||いい| 「 あなた は もう 、 立派な 人間 に なった のです よ 。 |||りっぱな|にんげん|||の です| 町 へ 行き ましょう 」 「 町 へ 行って 、 どう する んだ ね 」 「 町 に は 、 神さま と 人間 の 間 に 生まれた ギルガメシュ と いう 王さま が い ます 。 まち||いき||まち||おこなって|||||まち|||かみさま||にんげん||あいだ||うまれた||||おうさま||| とても いばって 、 町 の 人 たち を 苦しめて いる んです 」 「 よし 。 ||まち||じん|||くるしめて||ん です| 行って 、 その 王 を こらしめて やろう 」 おこなって||おう|||

二 人 は 、 町 ヘ つき ました 。 ふた|じん||まち||| すると ふえ や たいこ の 音 が して 、 にぎやかな 行列 が 近づいて き ました 。 |||||おと||||ぎょうれつ||ちかづいて|| 「 あれ は 、 なんだ ? 」   エンキドウ が 尋ねる と 、 娘 が 答え ました 。 ||たずねる||むすめ||こたえ| 「 王さま の 結婚 式 です 」 「 そう か 、 あれ が 王さま だ な 」   言う が はやい か 、 エンキドウ は 飛び出して 行って 王 に 組み 付き ました 。 おうさま||けっこん|しき||||||おうさま|||いう||||||とびだして|おこなって|おう||くみ|つき| 「 や やっ ! 強そうな 男 だ 」 「 王 も 、 かなわない ぞ 」   まわり の みんな が 騒ぎ 出す 中 、 エンキドウ と 王 は 激しく たたかい ました 。 きょうそうな|おとこ||おう||||||||さわぎ|だす|なか|||おう||はげしく|| 「 王さま 、 あなた は 町 の 人 たち を 苦しめて いる と 聞く 。 おうさま|||まち||じん|||くるしめて|||きく ぼく が 勝ったら 、 町 の 人 を 苦しめる の を やめる んだ ! ||かったら|まち||じん||くるしめる|||| 」 「 よかろう 」   王 も 強かった のです が 、 エンキドウ に は かない ませ ん 。 |おう||つよかった|の です|||||か ない|| 王 は とうとう 、 組み ふせら れて しまい ました 。 おう|||くみ|||| 「 エンキドウ よ 、 お前 の 勝ち だ 。 ||おまえ||かち| 約束 は 、 守ろう 。 やくそく||まもろう そして これ から は 、 友だち に なろう 」   エンキドウ に 負けて から 、 ギルガメシュ は やさしい 王 に なり ました 。 ||||ともだち|||||まけて|||||おう||| そして 二 人 は 、 親友 に なった のです 。 |ふた|じん||しんゆう|||の です 「 エンキドウ 、 神 の 森 に ある モミ の 木 を 切り 倒して 、 みんな を おどろか そう 」   冒険 の 好きな 王 が 、 言い 出し ました 。 |かみ||しげる|||もみ||き||きり|たおして|||||ぼうけん||すきな|おう||いい|だし| 「 でも あの 森 に は 、 恐ろしい 一 つ 目 で 火 を 吹く フンババ が いる んだ 。 ||しげる|||おそろしい|ひと||め||ひ||ふく|||| けもの たち と 暮らして いた とき 見た んだ 」 「 では 、 神さま に 助けて もらおう 。 |||くらして|||みた|||かみさま||たすけて| そう すれば やれる 」   神 たち は 、 反対 し ました 。 |||かみ|||はんたい|| でも ギルガメシュ の お 母さん の 天 の 女神 が 、 太陽 の 神 に 頼んで くれ ました 。 ||||かあさん||てん||めがみ||たいよう||かみ||たのんで|| 「 さあ 、 いよいよ 出発 だ 」   ギルガメシュ と エンキドウ は 、 剣 や オノ を 持って 出かけ ました 。 ||しゅっぱつ||||||けん||おの||もって|でかけ| 普通の 人 なら ひと 月 は かかる 道のり です が 、 いさましい 二 人 は たった 三 日 で 森 の 入り口 に つき ました 。 ふつうの|じん|||つき|||みちのり||||ふた|じん|||みっ|ひ||しげる||いりぐち||| 「 大きな とびら が 閉まって いる ぞ 、 エンキドウ 」   エンキドウ は とびら を 押して 、 すき間 から のぞいて み ました 。 おおきな|||しまって||||||||おして|すきま|||| 「 中 に 、 フンババ が いる 。 なか|||| 出て こ ない うち に 、 入って つかまえよう 」   入った とたん 、 とびら が はね返って エンキドウ の 手 を はさみ ました 。 でて|||||はいって||はいった||||はねかえって|||て||| 「 い たたっ ! 」   はさんだ 手 が 痛くて 、 エンキドウ は 転がり ました 。 |て||いたくて|||ころがり| 「 帰ろう 。 かえろう とても フンババ は 、 やっつけ られ ない 」 「 なんだ 。 それ くらい の 事 で まいって どう する んだ 。 |||こと||||| あそこ が だめ なら 、 森 の 奥 で 待ちぶせ よう 」   ギルガメシュ は 、 先 に 立って ズンズン 進み ます 。 ||||しげる||おく||まちぶせ||||さき||たって||すすみ| エンキドウ も 、 仕方なく ついて いき ました 。 ||しかたなく|||

やがて 森 の 奥 の 、 モミ の 木 の 山 に つき ました 。 |しげる||おく||もみ||き||やま||| 「 この 高い 山 の てっぺん だ な 、 神さま が 集まって 相談 する ところ は 」 「 それにしても 、 疲れた 。 |たかい|やま|||||かみさま||あつまって|そうだん|||||つかれた ちょっと 休もう 」   木 の かげ に 入る と 、 二 人 は そろって 眠り だし ました 。 |やすもう|き||||はいる||ふた|じん|||ねむり|| 朝 に なり 目 を 覚ます と 、 二 人 は 森 の 奥 へ 入り ました 。 あさ|||め||さます||ふた|じん||しげる||おく||はいり| 「 さあ 、 この 大きな モミ の 木 を 切ろう 」   ギルガメシュ が オノ を ふるう と 、 モミ の 木 は すごい 音 を たてて 倒れ ました 。 ||おおきな|もみ||き||きろう|||おの||||もみ||き|||おと|||たおれ| その 音 を 聞き つけて 、 ひと つ 目 の フンババ が 飛び出して きた のです 。 |おと||きき||||め||||とびだして||の です フンババ は キバ を むき 出して 、 火 を 吹き ながら 近づいて き ます 。 |||||だして|ひ||ふき||ちかづいて|| 「 ウヒャァ ! 」   ギルガメシュ は 、 怖く なって 動け ませ ん 。 ||こわく||うごけ|| その 時 、 太陽 の 神 の 声 が 聞こえ ました 。 |じ|たいよう||かみ||こえ||きこえ| 「 ギルガメシュ よ 。 恐れ ず に フンババ の 目 に 、 風 を 吹き付ける のだ 」   ギルガメシュ は 、 天 に 向かって 頼み ました 。 おそれ|||||め||かぜ||ふきつける||||てん||むかって|たのみ| 「 風 の 神さま 、 どうか 風 を 送って ください 」   すると みるみる 強い 風 が おこって 、 フンババ が ヨロヨロ して き ました 。 かぜ||かみさま||かぜ||おくって||||つよい|かぜ|||||||| 目 が 、 フンババ の 弱点 だった のです 。 め||||じゃくてん||の です 「 さあ 、 かくご しろ 」   ギルガメシュ と エンキドウ は 、 フンババ の 首 を バッサリ と 切り落とし ました 。 |||||||||くび||ばっさり||きりおとし| 「 やった 。 うまく いった な 」   ギルガメシュ と エンキドウ は 、 血 の ついた 手 や 顔 を 川 で 洗い ました 。 |||||||ち|||て||かお||かわ||あらい| 「 王さま 、 どうぞ わたし の 家 へ おい で ください 」   声 が した ので 振り向く と 、 美しい 女 の 人 が 立って い ます 。 おうさま||||いえ|||||こえ||||ふりむく||うつくしい|おんな||じん||たって|| 「 誰 です ? だれ| あなた は 」 「 この 森 の 女神 、 イシュルタ です 。 |||しげる||めがみ|| 宝石 を ちりばめた 、 戦車 を あげ ましょう 」 「 だまさ れる もの か 。 ほうせき|||せんしゃ||||||| あんた は 人 を だます 、 悪い 女神 だ と 聞いて る ぞ 」 「 わたし の 言う 事 を 聞か ない んです って ! ||じん|||わるい|めがみ|||きいて|||||いう|こと||きか||ん です| ギルガメシュ 、 どんな 事 に なる か 見て いらっしゃい 」   怒った 女神 は 、 天 の お 城 へ のぼって いき ました 。 ||こと||||みて||いかった|めがみ||てん|||しろ|||| 「 お 父 さま 、 ギルガメシュ は なまいきな んです 。 |ちち|||||ん です 暴れる と 大 あらし と 大 じしん を おこす ウシ を 、 ギルガメシュ の 前 に 放して ください 」 「 いけない よ 、 そんな 事 は 」 「 いやです 。 あばれる||だい|||だい||||うし||||ぜん||はなして|||||こと||いや です 聞いて くださら ない と 、 わたし 、 じごく の とびら を 開いて 、 死んだ 人 たち を 放ち ます よ 」   お 父さん の 神 は 、 困り ました 。 きいて|||||||||あいて|しんだ|じん|||はなち||||とうさん||かみ||こまり| 「 仕方 が ない 。 しかた|| だが ウシ を 放す と 、 七 年 も 食べ物 が 出来 なく なる ぞ 」 「 大丈夫です 。 |うし||はなす||なな|とし||たべもの||でき||||だいじょうぶ です 人間 の 食べ物 も 、 けもの たち の 食べ物 も 、 たくさん あり ます わ 」 「 では 、 放そう 」   見る 間 に 大きな ウシ が 、 ギルガメシュ と エンキドウ に 向かって 飛び出し ました 。 にんげん||たべもの|||||たべもの|||||||はなそう|みる|あいだ||おおきな|うし||||||むかって|とびだし| 「 え いっ 」   エンキドウ は 素早く ツノ を つかんで 押し止める と 、 ウシ の 首 に 剣 を 突き刺し ました 。 ||||すばやく||||おしとどめる||うし||くび||けん||つきさし| それ を 知った 女神 が 、 二 人 に 怒鳴り ました 。 ||しった|めがみ||ふた|じん||どなり| 「 ギルガメシュ 、 よくも 天 の ウシ を 殺した わ ね ! ||てん||うし||ころした|| はやく ウシ を 返して 」 「 だめだ 。 |うし||かえして| これ は もらって 帰る よ 」 「 これ から は 、 悪い 考え は おこさ ない 事 だ ね 。 |||かえる|||||わるい|かんがえ||||こと|| 女神 さん 」   ギルガメシュ と エンキドウ は 、 うちとった ウシ を かついで 森 を 出て 行き ました 。 めがみ|||||||うし|||しげる||でて|いき| 二 人 は 、 エルク の 町 に つき ました 。 ふた|じん||||まち||| 「 王さま たち が 、 天 の ウシ を うちとって こ られた ぞ 」 「 怪物 の 、 フンババ の 頭 も ある ぞ 」 「 王さま 、 ばん ざ ー い 」 「 エンキドウ 、 ばん ざ ー い 」   みんな は 集まって きて 、 二 人 を ほめたたえ ました 。 おうさま|||てん||うし||||||かいぶつ||||あたま||||おうさま|||-|||||-||||あつまって||ふた|じん||| ところが お 城 に 帰って 来て から 、 エンキドウ は 眠れ なく なり ました 。 ||しろ||かえって|きて||||ねむれ||| 「 ギルガメシュ 、 変な 夢 を 見た んだ 。 |へんな|ゆめ||みた| 神さま たち が ぼく たち 二 人 を 殺そう と する 夢 な んだ 」 「 どうして だ ? かみさま|||||ふた|じん||ころそう|||ゆめ|||| 」 「 神さま の 森 を 荒らした し 、 天 の ウシ を 殺した から な 。 かみさま||しげる||あらした||てん||うし||ころした|| 二 人 の うち 、 どっち か が 死な なければ なら ん と 怒って いた 。 ふた|じん||||||しな|||||いかって| そして 死ぬ の は 、 ぼく の 方 だ 」 「 それ なら 、 ぼく が 死のう 。 |しぬ|||||かた||||||しのう エンキドウ 」   どっち も 、 親友 を 助け たい と 思い ました 。 |||しんゆう||たすけ|||おもい| 「 うれしい が 、 ギルガメシュ に は 王さま と して の 仕事 が ある 。 |||||おうさま||||しごと|| 死ぬ の は 一 人 で いい 」   エンキドウ は 親友 に ほほえむ と 、 そのまま 死んで しまった のです 。 しぬ|||ひと|じん|||||しんゆう|||||しんで||の です

おしまい