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Fairy Tales, 十七毛ネコ

十七 毛 ネコ

十七 毛 ネコ

むかし むかし 、 吉 四六 ( きっ ちょ む ) さん と 言う 、 とても とんち が 上手な 人 が い ました 。 吉 四六 さん は 面白い アイデア で 、 お 金儲け を する の が 得意な 人 です 。

ある 時 、 吉 四六 さん は 、 町 で こんな 話し を 聞き ました 。 「 オス の 三 毛 ネコ (→ ネコ の 毛色 で 、 白 ・ 黒 ・ 茶 の 三 色 の 毛 が 混じって いる ネコ ) を 船 に 乗せて おく と 、 どんなに ひどい 嵐 に あって も 決して 沈む 事 が ない 。 それ で 船乗り たち は オス の 三 毛 ネコ を 見つける と 、 良い 値段 で 買い取る んじゃ 。 何しろ メス の 三 毛 ネコ は いくら で も おる が 、 オス の 三 毛 ネコ は 、 めったに おら ん から のう 」 それ を 聞いた 吉 四六 さん の 頭 に 、 お 金儲け の アイデア が 浮かび ました 。 ( そう いえば 、 わし の 家 に オス の 三 毛 ネコ が いた な 。 こいつ を 使えば 、 一 儲け 出来る ぞ ) そこ で 吉 四六 さん は 、 さっそく 浜 の 船 乗り場 へ 行く と 、 大きな 声 で こんな 一 人 言 を 言い ました 。 「 この 辺 に は 、 オス の 三 毛 ネコ が たくさん おる のう 。 だが わし の 家 に いる 様 な 、 十七 毛 の オスネコ は さすが に おら ん のう 」 すると 一 人 の 船乗り が 、 吉 四六 さん に 声 を かけて き ました 。 「 十七 毛 の ネコ と は 、 珍しい な 。 吉 四六 さん 、 その ネコ を 譲って は くれ ん か ? 」 しかし 吉 四六 さん は 、 わざと 渋い 顔 で 言い ました 。 「 いや 、 売る わけに は いか ん 。 何しろ 十七 毛 の オスネコ は 、 わし の 家 の 宝物 じゃ 」 そう 言わ れる と 船乗り は 、 ますます 十七 毛 の ネコ が 欲しく なり ました 。 「 それ なら 吉 四六 さん 。 お 礼 に 五 両 を 出そう 、 どう だ ? 」 「 まあ 、 それほど に 言う の なら 仕方 ある まい 。 売る 事 は 出来 ん が 、 しばらく 貸して やろう 」 「 それ は 、 ありがたい 。 ちょうど 明日 から 、 大事な 仕事 が ある んだ 。 じゃあ 明日 の 朝 に 、 吉 四六 さん の 家 へ 取り に 行く よ 」

さて 翌朝 、 船乗り は 吉 四六 さん の 家 へ やってくる と 、 財布 から お 金 を 取り出して 言い ました 。 「 大事な 宝物 を 借りる のだ から 、 ただ で は 申し訳ない 。 お 礼 に 、 この 一 両 を 受け取って くれ 」 「 はい 、 せっかく の お こころざし です から 、 ありがたく 頂き ましょう 。 では 、 オス の 十七 毛 ネコ を 連れて き ます で な 」 そう 言う と 吉 四六 は 、 家 の 火鉢 の 横 で 寝て いた 汚い 三 毛 ネコ を 抱きかかえて くる と 、 船乗り に 渡し ました 。 受け取った 船乗り は 、 不思議 そうな 顔 で 吉 四六 さん に たずね ます 。 「 吉 四六 さん 。 この ネコ は どう 見て も 、 普通の 三 毛 ネコ に 見える のだ が 」 すると 吉 四六 さん は 、 にん まり 笑って 説明 を し ました 。 「 確かに 、 こいつ は オス の 三 毛 ネコ じゃ 。 だが この あいだ 、 火 の 残って いる かまど に もぐり 込んで 、 背中 を ちょいと ヤケド し ました 。 つまり 、 八 毛 」 「 しかし 吉 四六 さん 。 三 毛 と 八 毛 を 足して も 、 十一 毛 に しか なら ん ぞ 。 十七 毛 に は 、 まだ 六 毛 が 足ら ん ので は ない か ? 」 「 いやいや 。 尻 の 毛 が 、 むけて おる でしょう 。 毛 が 無い ので 、 つまり 無 毛 ( 六 毛 )。 三 毛 と 、 八 毛 と 、 六 毛 を 全部 合わせる と 、 十七 毛 です よ 」 「 なるほど 。 確かに こいつ は 、 三 毛 と 八 毛 と 六 毛 で 、 十七 毛 ネコ だ 」 船乗り は 吉 四六 さん の とんち に 感心 する と 、 ほか の 船乗り に も 同じ 話し で 自慢 して やろう と 、 その 十七 毛 ネコ を 喜んで 持って 帰り ました 。

おしまい


十七 毛 ネコ じゅうしち|け|ねこ

十七 毛 ネコ じゅうしち|け|ねこ

むかし むかし 、 吉 四六 ( きっ ちょ む ) さん と 言う 、 とても とんち が 上手な 人 が い ました 。 ||きち|しろく||||||いう||||じょうずな|じん||| 吉 四六 さん は 面白い アイデア で 、 お 金儲け を する の が 得意な 人 です 。 きち|しろく|||おもしろい|あいであ|||かねもうけ|||||とくいな|じん|

ある 時 、 吉 四六 さん は 、 町 で こんな 話し を 聞き ました 。 |じ|きち|しろく|||まち|||はなし||きき| 「 オス の 三 毛 ネコ (→ ネコ の 毛色 で 、 白 ・ 黒 ・ 茶 の 三 色 の 毛 が 混じって いる ネコ ) を 船 に 乗せて おく と 、 どんなに ひどい 嵐 に あって も 決して 沈む 事 が ない 。 おす||みっ|け|ねこ|ねこ||けいろ||しろ|くろ|ちゃ||みっ|いろ||け||まじって||ねこ||せん||のせて|||||あらし||||けっして|しずむ|こと|| それ で 船乗り たち は オス の 三 毛 ネコ を 見つける と 、 良い 値段 で 買い取る んじゃ 。 ||ふなのり|||おす||みっ|け|ねこ||みつける||よい|ねだん||かいとる| 何しろ メス の 三 毛 ネコ は いくら で も おる が 、 オス の 三 毛 ネコ は 、 めったに おら ん から のう 」    それ を 聞いた 吉 四六 さん の 頭 に 、 お 金儲け の アイデア が 浮かび ました 。 なにしろ|めす||みっ|け|ねこ|||||||おす||みっ|け|ねこ|||||||||きいた|きち|しろく|||あたま|||かねもうけ||あいであ||うかび| ( そう いえば 、 わし の 家 に オス の 三 毛 ネコ が いた な 。 ||||いえ||おす||みっ|け|ねこ||| こいつ を 使えば 、 一 儲け 出来る ぞ )    そこ で 吉 四六 さん は 、 さっそく 浜 の 船 乗り場 へ 行く と 、 大きな 声 で こんな 一 人 言 を 言い ました 。 ||つかえば|ひと|もうけ|できる||||きち|しろく||||はま||せん|のりば||いく||おおきな|こえ|||ひと|じん|げん||いい| 「 この 辺 に は 、 オス の 三 毛 ネコ が たくさん おる のう 。 |ほとり|||おす||みっ|け|ねこ|||| だが わし の 家 に いる 様 な 、 十七 毛 の オスネコ は さすが に おら ん のう 」    すると 一 人 の 船乗り が 、 吉 四六 さん に 声 を かけて き ました 。 |||いえ|||さま||じゅうしち|け||||||||||ひと|じん||ふなのり||きち|しろく|||こえ|||| 「 十七 毛 の ネコ と は 、 珍しい な 。 じゅうしち|け||ねこ|||めずらしい| 吉 四六 さん 、 その ネコ を 譲って は くれ ん か ? きち|しろく|||ねこ||ゆずって|||| 」    しかし 吉 四六 さん は 、 わざと 渋い 顔 で 言い ました 。 |きち|しろく||||しぶい|かお||いい| 「 いや 、 売る わけに は いか ん 。 |うる|||| 何しろ 十七 毛 の オスネコ は 、 わし の 家 の 宝物 じゃ 」    そう 言わ れる と 船乗り は 、 ますます 十七 毛 の ネコ が 欲しく なり ました 。 なにしろ|じゅうしち|け||||||いえ||たからもの|||いわ|||ふなのり|||じゅうしち|け||ねこ||ほしく|| 「 それ なら 吉 四六 さん 。 ||きち|しろく| お 礼 に 五 両 を 出そう 、 どう だ ? |れい||いつ|りょう||だそう|| 」  「 まあ 、 それほど に 言う の なら 仕方 ある まい 。 |||いう|||しかた|| 売る 事 は 出来 ん が 、 しばらく 貸して やろう 」  「 それ は 、 ありがたい 。 うる|こと||でき||||かして|||| ちょうど 明日 から 、 大事な 仕事 が ある んだ 。 |あした||だいじな|しごと||| じゃあ 明日 の 朝 に 、 吉 四六 さん の 家 へ 取り に 行く よ 」 |あした||あさ||きち|しろく|||いえ||とり||いく|

さて 翌朝 、 船乗り は 吉 四六 さん の 家 へ やってくる と 、 財布 から お 金 を 取り出して 言い ました 。 |よくあさ|ふなのり||きち|しろく|||いえ||||さいふ|||きむ||とりだして|いい| 「 大事な 宝物 を 借りる のだ から 、 ただ で は 申し訳ない 。 だいじな|たからもの||かりる||||||もうしわけない お 礼 に 、 この 一 両 を 受け取って くれ 」  「 はい 、 せっかく の お こころざし です から 、 ありがたく 頂き ましょう 。 |れい|||ひと|りょう||うけとって||||||||||いただき| では 、 オス の 十七 毛 ネコ を 連れて き ます で な 」    そう 言う と 吉 四六 は 、 家 の 火鉢 の 横 で 寝て いた 汚い 三 毛 ネコ を 抱きかかえて くる と 、 船乗り に 渡し ました 。 |おす||じゅうしち|け|ねこ||つれて||||||いう||きち|しろく||いえ||ひばち||よこ||ねて||きたない|みっ|け|ねこ||だきかかえて|||ふなのり||わたし| 受け取った 船乗り は 、 不思議 そうな 顔 で 吉 四六 さん に たずね ます 。 うけとった|ふなのり||ふしぎ|そう な|かお||きち|しろく|||| 「 吉 四六 さん 。 きち|しろく| この ネコ は どう 見て も 、 普通の 三 毛 ネコ に 見える のだ が 」    すると 吉 四六 さん は 、 にん まり 笑って 説明 を し ました 。 |ねこ|||みて||ふつうの|みっ|け|ねこ||みえる||||きち|しろく|||||わらって|せつめい||| 「 確かに 、 こいつ は オス の 三 毛 ネコ じゃ 。 たしかに|||おす||みっ|け|ねこ| だが この あいだ 、 火 の 残って いる かまど に もぐり 込んで 、 背中 を ちょいと ヤケド し ました 。 |||ひ||のこって|||||こんで|せなか||||| つまり 、 八 毛 」  「 しかし 吉 四六 さん 。 |やっ|け||きち|しろく| 三 毛 と 八 毛 を 足して も 、 十一 毛 に しか なら ん ぞ 。 みっ|け||やっ|け||たして||じゅういち|け||||| 十七 毛 に は 、 まだ 六 毛 が 足ら ん ので は ない か ? じゅうしち|け||||むっ|け||たら||||| 」  「 いやいや 。 尻 の 毛 が 、 むけて おる でしょう 。 しり||け|||| 毛 が 無い ので 、 つまり 無 毛 ( 六 毛 )。 け||ない|||む|け|むっ|け 三 毛 と 、 八 毛 と 、 六 毛 を 全部 合わせる と 、 十七 毛 です よ 」  「 なるほど 。 みっ|け||やっ|け||むっ|け||ぜんぶ|あわせる||じゅうしち|け||| 確かに こいつ は 、 三 毛 と 八 毛 と 六 毛 で 、 十七 毛 ネコ だ 」    船乗り は 吉 四六 さん の とんち に 感心 する と 、 ほか の 船乗り に も 同じ 話し で 自慢 して やろう と 、 その 十七 毛 ネコ を 喜んで 持って 帰り ました 。 たしかに|||みっ|け||やっ|け||むっ|け||じゅうしち|け|ねこ||ふなのり||きち|しろく|||||かんしん|||||ふなのり|||おなじ|はなし||じまん|||||じゅうしち|け|ねこ||よろこんで|もって|かえり|

おしまい