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君の名は, 君 の 名 は 1課 (1)

君 の 名 は 1課 (1)

窓 から 差す 光 が 顔 に 当たる 不快で 、 立花 瀧 は 目 を 閉じた まま 顔 を しかめた 。

その 、 しかめた 顔 の 感触 で 、 意識 が 覚醒 方向 に 浮上 して いく 。

目覚め は いつ も 、 水 の 底 から 水面 に 向かって 浮き上 がって いく イメージ だ 。

庭 の 木 が 揺れる 音 が ガラス の 窓越し に 聞こえて 、 それ が 波 の 音 の ようだ 。

横たわって いる 自分 の 重 さ を 自覚 し 始 め る 。

背中 に 重力 を 感じる 。

このまま 目 を 開けたら 、 新しい 一 日 が いやおう なく 始 まって しまう 。

目 を 開け たく ない ……。

しばらく の あいだ 、 眠り でも 覚醒 で も な い 境界 の 状態 に 、 自分 を ひたひた と 浮かべて いた 。

この 、 オン と オフ の 中間 の 状態 が 、 なんとも 心地よい 。

ああ 、 この 時間 が 永遠に ほしい …… と 思った その とき 、 何 か 不吉な 塊 の ような もの が 、 胸 の 中 に 、 と いう より 胸 の 上 に .... きざした 。

夢うつつ の 中 で 、 ぎくりと した もの が 意 識 に 差し込ま れて きた のだ が 、 それ を あえて 言葉 に 変換 する の なら 、

( 今日 は どっち だ !?) ぎくりと した はずみ で 、 反射 的に 、 身体 を 揺すって しまった 。

その 瞬間 、 全身 に 猛烈な 違和感 が 襲いかかって きた 。

肉付き が うすすぎて 、 ゾッと する 。

つまり 、 自分 の 身体 を 構成 して い る 筋肉 が 、 がっちり と 身体 表面 を 覆って くれて い ない 感じ が して 、 ひたすら やわらかくて 頼りない ので 、 その 不確かな 感触 に ぎょっと した のだ 。

「 うわ あ ! あまり の 違和感 に 堪えかねて 、 瀧 は 布団 を 勢い よく 撥 ねて 起き上がった 。

すばや く 周囲 を 見回す と 、 そこ は 和室 の 六 畳 間 だ 。 だいぶ ん 、 この 部屋 も 見慣れて きた 。

畳敷き の 部屋 に 、 学習 用 デスク と 椅子 が 置いて ある 。 初めて 見た とき 、 のび 太 の 部屋 みたいだ と 思った 。

畳 の 上 に デスク を 置く 部屋 が 本当 に ある と いう こと に まず 驚いた 。

もっとも 、 この 部屋 は 置か れて いる 物の数 が 明らかに 多い から 、 のび 太 の 部屋 みたいに 殺風景で は ない 。

壁 に は 縦長の 鏡 が 立てかけて ある 。

長 押 に は 女子 用 の 制服 が かかって いる 。

スカート の プリーツ に きっちり と アイロン が 押して ある 。

押し入れ を 開ければ 、 衣装箱 が みっしり 詰まって いて 、 布団 を 上げる のに 一苦労 する こと を 瀧 は 知っている 。

女 の 部屋 だ 。

窓 の 外 で は 木 の 葉 が 揺れて いて 、 差し込む 光 も 揺れて いる 。

だから この 部屋 は 、 瀧 に とって は グリーン の イメージ だ 。

別 に 緑色 の 光 が 差し込んで いる わけで は な い のだ が 、 雰囲気 が グリーン な のだ 。

ひとしきり 部屋 の 状態 を 見渡す こと で 、 瀧 は 周囲 の 現 実感 と 肉体 の 非 現 実感 を すり あわせよう と した 。

「 また か … …」 状況 を 理解 した 瞬間 、 額 から 汗 が 噴き出して いた 。

その 汗 で 、 長い 前髪 が 貼り 付く 。

それ が うっとうしくて 、 頭 を 揺らす と 、 首 の 後ろ を 自分 の 長い 髪 が 撫でる の を 感じて ヒヤリ と して しまう 。

目 の 上 に 当てて いた 手のひら を どけて 、 その 手 で 左腕 を つかんだ 。

あまりに も やわらか すぎる その 腕 の 肉 の 感触 に 、 どき り と する 。

こんなに やわらかい のに 、 ちゃんと 腕 と して の 機能 を 果たし て いる の が 、 もう 不思議だ 。

肌 の 質感 が 、 筋肉 の つき かた が 、 いや 、 身体 の 品質 と いう もの が 完全に 自分 の 知っている もの と は 違う 。 男 の 身体 で は ない 。 女 の 身体 だ 。

今日 も 、 またしても 、 目 が 覚めたら 女 の 身体 に なって いた 。

深く 息 を 吸い 、 ゆっくり と 長い ため息 を ついた 。

それ だけ で 、《 肺 の 容量 が 本来 の 自分 と 違う 》 と いう こと に 、 気づか さ れて しまう 。

( しんどい な ……) 今日 も また 、 まる 一 日 、 知ら ない 町 の いち 女子 高 生 と して 過ごさ なければ なら ない 。

知ら ない 女 に なりきって 、 知ら ない 人々 の 中 で 、 知ら ない 人間 関係 を なる べく 破綻 さ せ ず 過ごす と いう の は 、 とにかく もう ストレス だ 。

それ に 、 ( また この 身体 が なぁ …… ) 扱い づらくて 、 しょうがない 。 そもそも 歩幅 が 違い すぎる ので 、 苛立 つ 。

身体 の 重心 が 本来 の 自分 と は 違う から 、 ふらつき やすい 。

足首 が 華奢 な ので 、 ちょっと よろけたら すぐ ひねって しまい そう だ 。

足首 に 限ら ず 、 全体 的に この 身体 は 、 細い のだ 。

そのへん に 適当に 手 を ついたら 、 腕 の 骨 が 折れる ので は ない か と 心配に なる 。

どの くらい 無理 したら 壊れる の か が 、 よく わから ない ので 、 恐怖 だ 。

そういう こと を 考え ながら 、 瀧 は 両手 で 、 細い 身体 の あちこち を へた へた 、 さり さ り と 触り まくった 。

《 自分 は 今 、 自前 の もの で は ない 身体 の 中 に いる 》 と いう こと を そう やって 触覚 で 確かめて い ない と 、 現実 認識 を 維持 でき ない のだ 。

ひとしきり 身体 の 状態 を 点検 した あと 、 両手 を 胸元 に 移動 さ せた 。

そして 、 少し 躊躇 した のち 、 パジャマ 越し の ふくらみ を おもむろに 手のひら で 押した 。

手のひら が ごく かすかな 抵抗 を 感知 し 、 弱い 弾力 を もった 胸 が 、 へこみ 、 つぶれ る 。

すべて の 指 を 曲げて 、 ふくらみ を 軽く 握って みる 。

うむ 。

結構 、 ある 。

決して 巨乳 で は ない 。

ぼよんぼよん だ の 、 たゆ ん たゆ ん だ の 。

そういう 感じ で は ない 。

手のひら で き ゅっ と 持ち上げて 、 ぱっと 手 を 離し ぼん と 落ちる ような 質量 感 も ない 。

しかし 、 ( おお 、 おっぱい だ ) と 納得 し 、 深く うなずける くらい に は 、 充分 に ある 。

うむ 。

充分だ 。

これ だけ あれば 、 触った 感じ 、 わりと 嬉しい 。

真剣な 顔 を して 、 瀧 は おっぱい を 揉んで しまう 。

これ を やって いる と 、 なぜ だ か わから ない が 妙に リラックス する 。

とんでもない 今 の 状況 が 、 ジョーク みた い に 思えて きて 、「 気楽に やれよ 」 と だれ 誰 か に 言わ れて いる ような 気分 に なる 。

胸 を 揉み ながら 、 頭 の 中 で 、「 おっぱい おっぱい 」 と つぶやいて リズム を とって いたら 、 だんだん 面白く なって きた 。

おっぱい 、 おっぱい 。

握る 、 離す 、 握る 、 離す 。

うわ ー 。 お っ ・ ぱい 。

お っ ・ ぱい 。

自分 の こと ながら 馬鹿 すぎて 、 おのずと 笑み が こぼれて しまう 。

ひとしきり 楽しんだ あと で 、 手 を 離した 。

これ 以上 やる と 、 まずい 。

まずい と いう の は 、 自分 の 歯止め が きか なく なる と いう 意味 である 。

何という か 、 この先 に は 、 押して は いけない スイッチ が ある 気 が する 。

コメディ 映画 で 、 秘密 基地 みたいな ところ で 、 頭 が ちょっと おかしく なった 大統領 が 人差し指 で いきなり ぐっと 押し込もう と して 、 周囲 の 人々 に 力ずく で 止め られたり する 。

そういう シーン に 出て くる 押しちゃ いけない 赤い スイッチ だ 。

それ を 押したら もう 、 何 か が 取り返し の つか ない こと に なる のだ 。

( それ に 、 三葉 に ばれたら とんでもない こと に なり そうだ しな ) 少し 後ろめたく なって 、 何となく 部屋 を 見回して いた ところ 、 突然 アラーム が 鳴って 、 瀧 は びっくり とした 。

机 の 上 の 携帯 電話 が 鳴った のだった 。

数 年 前 くらい に 発売 さ れた 全 画面 型 の 機種 だ 。

取り上げて みる と 、 三葉 から の メッセージ が 表示 さ れて いた 。

毎日 決まった 時間 に テキスト メモ を 表示 する アプリ だ 。

( 俺 と 入れ か 替わった とき の ため に 、 毎日 これ を 表示 さ せて る の か 、 あいつ は ) 内容 は 、 いつも 通り の ルール 確認 だった 。

〈 三葉 → 瀧 君 へ ! 〈 お 風呂 禁止 ! 〈 体 は 見 ない ! 触ら ない ! 〈 脚 を 開く な ! 〈 男子 に 触る な ! 〈 女子 に も 触る な ! それ に 加えて 、 新たな 事項 が 追加 さ れて いた 。

ほん っと に 、 とにかく 、 私 の 体 で 勝手な こと し ないで よ ね 。 あと 、 わかって る と 思う けれど 、 女子 更衣室 に 入ったり したら 、 何らか の 形 で 復讐 する から

こえ ー よ !

瀧 は 反射 的に 、 携帯 を 顔 から 遠ざけて しまった 。

メッセージ と いう か 、 脅迫 だ 。

こちら と して も 、 自分 の 身体 を 彼女 に 預けて いる わけで 、 その 間 に 何 を さ れる か わかった もの で は ない 。

完全に 、 釘 を ささ れた 。

うかつな こと は でき ない 。

三葉 と いう の は 、「 この 身体 」 の 持ち主 である 。

説明 を し だす と 、 きり が ない のだ が ( そして 瀧 に も 説明 不能 である のだ が )、 東京 都 千代田 区 六 番 ち よう 町 に 住む 男子 高校 生 立花 瀧 と 、 岐阜 県 Z 郡 糸 守 町 在住 の 女子 高 生 宮 水 三葉 は 、 現在 、 周期 的に 、 相互 人 格 転移 を 起こす 関係 に あ る 。

もう 少し 、 くだけた 言い 方 を する なら 、 この 二 人 は 、 ときどき 意識 が 入れ替わる 。

何 だ それ は 、 意味 が わから ん 、 と お 思い に なる 向き に は 、 大林 の 宣彦 監督 の 『 転校 生 』 を 見る か 、 山中 恒 の

『 おれ が あいつ で あいつ が おれ で 』 を 読めば 、

一 発 で イメージ を つかめる と 思わ れる 。

入れ替わり は 週 に 二 、 三 日 程度 ラン ダム に 起こる が 、 発生 の トリガー は 眠る こと だ 。

朝 、 瀧 の 意識 が 宮 水 三葉 の 身体 に 入った 状態 で 目 が 覚め 、 三葉 の 意識 は 立花 瀧 の 身体 に 入った 状態 で 目 が 覚める 。

そして 、 一 日 が 終わって 眠り に つく ま で 、 その 状態 が 続く 。

再び とこ 床 に ついて 眠り に 入れば 、 いつのまにか 元 の 状態 に 戻って いる 。

昼間 に 居眠り を した 程度 で は 、 入れ替わったり 戻ったり は でき ない ようだ 。

これ は 実際 に 授業 中 に 居眠り を した こと で 得 られた 知見 である 。

初めて 入れ替わり を 起こした とき 、 瀧 は 「 リアルな 夢 を 見て いる 」 のだ と 思った 。

眠り の 中 で 知ら ない 女 に なって 、 知ら ない 場所 で 生活 して いる 、 そういう 夢 を 見て いる 途中 だ と 思いこんで いた のだ が ……。

それ に して は 、 あまりに も リアル すぎる 。

知ら ない 景色 が あまりに も あざ 鮮やかで あ り 、 聞こえる 音 が 鮮明 であり 、 はっきり した 触覚 が あり 、 登場 人物 の 自律 性 が 高 すぎる 。

思わず ノート 一面に 人物 相関 図 を 書き出して しまった くらい だ 。

夢 の 中 で 、 宮 水 三葉 と いう 人物 に なって 、 まる 一 日 生活 する …… そういう 夢 が 、 何度 も 続いた 。

それ だけ だったら 、 ちょっと や ばい 感じ の 夢 を 立て続け に 見 ました ね 、 念のため カウンセラー に でも 会って み ます か 、 くらい の こと で 済んだ かも しれ ない 。

それ で 済めば よかった 。

これ は ちょっと 、 いよいよ まずい んじゃ ない か と 思い 始めた の は 、 夢 の 中 で 一 日 過ごす と 、 自分 の 記憶 が きっかり 一 日 ぶん 飛ぶ 、 と いう 現象 を 認識 した とき だっ た 。

宮 水 三葉 に なる 夢 を 見たら 、 火曜日 の 次 が 木曜日 に なって いた 。

バイト 先 で 、 した はず の ない 失敗 を した こと に なって いた 。

高校 の 授業 内容 が 、 まるまる 一 日 ぶん 記憶 から 抜け落ちて いる 。

君 の 名 は 1課 (1) きみ||な||か Your Name is (1) Su nombre es (1) Votre nom est (1) Je naam is (1) 你的名字是第一课 (1) 你的名字是第一課 (1)

窓 から 差す 光 が 顔 に 当たる 不快で 、 立花 瀧 は 目 を 閉じた まま 顔 を しかめた 。 まど||さす|ひかり||かお||あたる|ふかいで|たちばな|たき||め||とじた||かお|| Es war unangenehm, dass das Licht vom Fenster auf das Gesicht fiel und Taki Tachibana mit geschlossenen Augen die Stirn runzelte. Tachibana Taki frown with her eyes closed, with the uncomfortable light hitting the face from the window. Tachibana Taki franziu a testa com os olhos fechados porque a luz que brilhava pela janela atingiu seu rosto. 橘泷闭着眼睛皱着眉头,透过窗户照在他脸上的光线让他很不自在。

その 、 しかめた 顔 の 感触 で 、 意識 が 覚醒 方向 に 浮上 して いく 。 ||かお||かんしょく||いしき||かくせい|ほうこう||ふじょう|| With that feeling of frown face, consciousness is emerging in the awakening direction. Com o toque do rosto carrancudo, a consciência se eleva na direção do despertar.

目覚め は いつ も 、 水 の 底 から 水面 に 向かって 浮き上 がって いく イメージ だ 。 めざめ||||すい||そこ||すいめん||むかって|うきあが|||いめーじ| Awakening is always an image that floats from the bottom of the water to the surface of the water. A imagem do despertar é que ele sempre sobe do fundo da água em direção à superfície da água.

庭 の 木 が 揺れる 音 が ガラス の 窓越し に 聞こえて 、 それ が 波 の 音 の ようだ 。 にわ||き||ゆれる|おと||がらす||まどごし||きこえて|||なみ||おと|| The sound of trees in the garden is heard through the window of the glass, which is like the sound of waves.

横たわって いる 自分 の 重 さ を 自覚 し 始 め る 。 よこたわって||じぶん||おも|||じかく||はじめ|| Be aware of the weight of yourself lying. Esteja ciente de seu peso deitado.

背中 に 重力 を 感じる 。 せなか||じゅうりょく||かんじる I feel gravity on my back.

このまま 目 を 開けたら 、 新しい 一 日 が いやおう なく 始 まって しまう 。 |め||あけたら|あたらしい|ひと|ひ||||はじめ|| If you open your eyes like this, the new day will start without hesitation.

目 を 開け たく ない ……。 め||あけ||

しばらく の あいだ 、 眠り でも 覚醒 で も な い 境界 の 状態 に 、 自分 を ひたひた と 浮かべて いた 。 |||ねむり||かくせい|||||きょうかい||じょうたい||じぶん||||うかべて| For a while, I was floating myself in the state of the boundary which is neither sleep nor awakening.

この 、 オン と オフ の 中間 の 状態 が 、 なんとも 心地よい 。 |おん||おふ||ちゅうかん||じょうたい|||ここちよい

ああ 、 この 時間 が 永遠に ほしい …… と 思った その とき 、 何 か 不吉な 塊 の ような もの が 、 胸 の 中 に 、 と いう より 胸 の 上 に .... きざした 。 ||じかん||えいえんに|||おもった|||なん||ふきつな|かたまり|||||むね||なか|||||むね||うえ|| Oh, I wanted this time eternally ... At that time, something like a sinister lump was on the chest rather than in the chest .....

夢うつつ の 中 で 、 ぎくりと した もの が 意 識 に 差し込ま れて きた のだ が 、 それ を あえて 言葉 に 変換 する の なら 、 ゆめうつつ||なか||||||い|しき||さしこま||||||||ことば||へんかん||| While I was in a dream, something jerky was inserted into my consciousness, but if I dare to translate it into words,

( 今日 は どっち だ !?)   ぎくりと した はずみ で 、 反射 的に 、 身体 を 揺すって しまった 。 きょう||||||||はんしゃ|てきに|からだ||ゆすって|

その 瞬間 、 全身 に 猛烈な 違和感 が 襲いかかって きた 。 |しゅんかん|ぜんしん||もうれつな|いわかん||おそいかかって|

肉付き が うすすぎて 、 ゾッと する 。 にくづき||||ぞっと

つまり 、 自分 の 身体 を 構成 して い る 筋肉 が 、 がっちり と 身体 表面 を 覆って くれて い ない 感じ が して 、 ひたすら やわらかくて 頼りない ので 、 その 不確かな 感触 に ぎょっと した のだ 。 |じぶん||からだ||こうせい||||きんにく||||からだ|ひょうめん||おおって||||かんじ|||||たよりない|||ふたしかな|かんしょく|||| In other words, I felt that the muscles that make up my body were not firmly covering the surface of my body.

「 うわ あ ! "Wow! あまり の 違和感 に 堪えかねて 、 瀧 は 布団 を 勢い よく 撥 ねて 起き上がった 。 ||いわかん||たえかねて|たき||ふとん||いきおい||ばち||おきあがった Unable to bear the feeling of discomfort, Taki vigorously bounced off the futon and stood up.

すばや く 周囲 を 見回す と 、 そこ は 和室 の 六 畳 間 だ 。 ||しゅうい||みまわす||||わしつ||むっ|たたみ|あいだ| だいぶ ん 、 この 部屋 も 見慣れて きた 。 |||へや||みなれて|

畳敷き の 部屋 に 、 学習 用 デスク と 椅子 が 置いて ある 。 たたみじき||へや||がくしゅう|よう|ですく||いす||おいて| 初めて 見た とき 、 のび 太 の 部屋 みたいだ と 思った 。 はじめて|みた|||ふと||へや|||おもった When I first saw it, I thought it looked like Nobita's room.

畳 の 上 に デスク を 置く 部屋 が 本当 に ある と いう こと に まず 驚いた 。 たたみ||うえ||ですく||おく|へや||ほんとう||||||||おどろいた The first thing that surprised me was that there really was a room with a desk on the tatami mats.

もっとも 、 この 部屋 は 置か れて いる 物の数 が 明らかに 多い から 、 のび 太 の 部屋 みたいに 殺風景で は ない 。 ||へや||おか|||もののかず||あきらかに|おおい|||ふと||へや||さっぷうけいで|| However, since there are clearly a lot of things in this room, it's not as drab as Nobita's room.

壁 に は 縦長の 鏡 が 立てかけて ある 。 かべ|||たてながの|きよう||たてかけて|

長 押 に は 女子 用 の 制服 が かかって いる 。 ちょう|お|||じょし|よう||せいふく||| A women's uniform is hung on the long press.

スカート の プリーツ に きっちり と アイロン が 押して ある 。 すかーと||||||あいろん||おして|

押し入れ を 開ければ 、 衣装箱 が みっしり 詰まって いて 、 布団 を 上げる のに 一苦労 する こと を 瀧 は 知っている 。 おしいれ||あければ|いしょう|はこ||||つまって||ふとん||あげる|||ひとくろう||| Taki knew that if he opened the closet, he would find the wardrobe so tightly packed that it would be difficult to lift the futon.

女 の 部屋 だ 。 おんな||へや| It's a woman's room.

窓 の 外 で は 木 の 葉 が 揺れて いて 、 差し込む 光 も 揺れて いる 。 まど||がい|||き||は||ゆれて||さしこむ|ひかり||ゆれて|

だから この 部屋 は 、 瀧 に とって は グリーン の イメージ だ 。 ||へや||たき||||ぐりーん||いめーじ|

別 に 緑色 の 光 が 差し込んで いる わけで は な い のだ が 、 雰囲気 が グリーン な のだ 。 べつ||みどりいろ||ひかり||さしこんで||||||||ふんいき||ぐりーん|| It's not like the green light is shining in, but the atmosphere is green.

ひとしきり 部屋 の 状態 を 見渡す こと で 、 瀧 は 周囲 の 現 実感 と 肉体 の 非 現 実感 を すり あわせよう と した 。 |へや||じょうたい||みわたす|||たき||しゅうい||げん|じっかん||にくたい||ひ|げん|じっかん||||| By looking around the room for a moment, Taki tried to reconcile the reality of his surroundings with the unreality of his body.

「 また か … …」   状況 を 理解 した 瞬間 、 額 から 汗 が 噴き出して いた 。 ||じょうきょう||りかい||しゅんかん|がく||あせ||ふきだして|

その 汗 で 、 長い 前髪 が 貼り 付く 。 |あせ||ながい|まえがみ||はり|つく

それ が うっとうしくて 、 頭 を 揺らす と 、 首 の 後ろ を 自分 の 長い 髪 が 撫でる の を 感じて ヒヤリ と して しまう 。 |||あたま||ゆらす||くび||うしろ||じぶん||ながい|かみ||なでる|||かんじて|ひやり||| It's annoying, and when I shake my head, I feel my long hair caressing the back of my neck and feel a chill.

目 の 上 に 当てて いた 手のひら を どけて 、 その 手 で 左腕 を つかんだ 。 め||うえ||あてて||てのひら||||て||さわん|| I put my palm away from my eye and grabbed my left arm with that hand.

あまりに も やわらか すぎる その 腕 の 肉 の 感触 に 、 どき り と する 。 |||||うで||にく||かんしょく||||| The feel of the flesh on her arm, which was too soft, made her throb.

こんなに やわらかい のに 、 ちゃんと 腕 と して の 機能 を 果たし て いる の が 、 もう 不思議だ 。 ||||うで||||きのう||はたし||||||ふしぎだ It's strange that it's so soft and yet it's functioning like an arm.

肌 の 質感 が 、 筋肉 の つき かた が 、 いや 、 身体 の 品質 と いう もの が 完全に 自分 の 知っている もの と は 違う 。 はだ||しつかん||きんにく||||||からだ||ひんしつ|||||かんぜんに|じぶん||しっている||||ちがう The texture of my skin, the way my muscles are attached, no, the quality of my body is completely different from what I know. 男 の 身体 で は ない 。 おとこ||からだ||| Not a man's body. 女 の 身体 だ 。 おんな||からだ|

今日 も 、 またしても 、 目 が 覚めたら 女 の 身体 に なって いた 。 きょう|||め||さめたら|おんな||からだ|||

深く 息 を 吸い 、 ゆっくり と 長い ため息 を ついた 。 ふかく|いき||すい|||ながい|ためいき||

それ だけ で 、《 肺 の 容量 が 本来 の 自分 と 違う 》 と いう こと に 、 気づか さ れて しまう 。 |||はい||ようりょう||ほんらい||じぶん||ちがう|||||きづか|||

( しんどい な ……)   今日 も また 、 まる 一 日 、 知ら ない 町 の いち 女子 高 生 と して 過ごさ なければ なら ない 。 ||きょう||||ひと|ひ|しら||まち|||じょし|たか|せい|||すごさ||| (I'm tired...) Today, I have to spend the whole day as a high school girl in a town I don't know.

知ら ない 女 に なりきって 、 知ら ない 人々 の 中 で 、 知ら ない 人間 関係 を なる べく 破綻 さ せ ず 過ごす と いう の は 、 とにかく もう ストレス だ 。 しら||おんな|||しら||ひとびと||なか||しら||にんげん|かんけい||||はたん||||すごす|||||||すとれす| It's already stressful to pretend to be a woman I don't know and spend time with people I don't know without breaking up relationships I don't know as much as possible.

それ に 、 ( また この 身体 が なぁ …… )   扱い づらくて 、 しょうがない 。 ||||からだ|||あつかい|| そもそも 歩幅 が 違い すぎる ので 、 苛立 つ 。 |ほはば||ちがい|||いらだ| In the first place, the stride length is too different, so it's frustrating.

身体 の 重心 が 本来 の 自分 と は 違う から 、 ふらつき やすい 。 からだ||じゅうしん||ほんらい||じぶん|||ちがう|||

足首 が 華奢 な ので 、 ちょっと よろけたら すぐ ひねって しまい そう だ 。 あしくび||きゃしゃ|||||||||

足首 に 限ら ず 、 全体 的に この 身体 は 、 細い のだ 。 あしくび||かぎら||ぜんたい|てきに||からだ||ほそい|

そのへん に 適当に 手 を ついたら 、 腕 の 骨 が 折れる ので は ない か と 心配に なる 。 ||てきとうに|て|||うで||こつ||おれる||||||しんぱいに| I'm worried that I might break my arm bone if I put my hand on it.

どの くらい 無理 したら 壊れる の か が 、 よく わから ない ので 、 恐怖 だ 。 ||むり||こぼれる||||||||きょうふ|

そういう こと を 考え ながら 、 瀧 は 両手 で 、 細い 身体 の あちこち を へた へた 、 さり さ り と 触り まくった 。 |||かんがえ||たき||りょうて||ほそい|からだ||||||||||さわり| With that thought in mind, Taki used both hands to rub his thin body here and there, casually touching it.

《 自分 は 今 、 自前 の もの で は ない 身体 の 中 に いる 》 と いう こと を そう やって 触覚 で 確かめて い ない と 、 現実 認識 を 維持 でき ない のだ 。 じぶん||いま|じまえ||||||からだ||なか|||||||||しょっかく||たしかめて||||げんじつ|にんしき||いじ||| Unless you confirm with your senses that you are now in a body that does not belong to you, you will not be able to maintain your perception of reality.

ひとしきり 身体 の 状態 を 点検 した あと 、 両手 を 胸元 に 移動 さ せた 。 |からだ||じょうたい||てんけん|||りょうて||むなもと||いどう|| After checking his body for a while, he moved his hands to his chest.

そして 、 少し 躊躇 した のち 、 パジャマ 越し の ふくらみ を おもむろに 手のひら で 押した 。 |すこし|ちゅうちょ|||ぱじゃま|こし|||||てのひら||おした

手のひら が ごく かすかな 抵抗 を 感知 し 、 弱い 弾力 を もった 胸 が 、 へこみ 、 つぶれ る 。 てのひら||||ていこう||かんち||よわい|だんりょく|||むね|||| My palms felt the slightest resistance, and my weakly elastic chest collapsed.

すべて の 指 を 曲げて 、 ふくらみ を 軽く 握って みる 。 ||ゆび||まげて|||かるく|にぎって| Bend all your fingers and lightly squeeze the bulge.

うむ 。

結構 、 ある 。 けっこう|

決して 巨乳 で は ない 。 けっして|きょにゅう||| Never big boobs.

ぼよんぼよん だ の 、 たゆ ん たゆ ん だ の 。 Boyon boyon, tayun tayun.

そういう 感じ で は ない 。 |かんじ|||

手のひら で き ゅっ と 持ち上げて 、 ぱっと 手 を 離し ぼん と 落ちる ような 質量 感 も ない 。 てのひら|||||もちあげて||て||はなし|||おちる||しつりょう|かん|| It doesn't have a sense of mass, like if you lifted it up with your palm and suddenly let go of it.

しかし 、 ( おお 、 おっぱい だ ) と 納得 し 、 深く うなずける くらい に は 、 充分 に ある 。 |||||なっとく||ふかく|||||じゅうぶん|| However, there are enough (Oh, boobs) to be convinced and nod deeply.

うむ 。

充分だ 。 じゅうぶんだ

これ だけ あれば 、 触った 感じ 、 わりと 嬉しい 。 |||さわった|かんじ||うれしい With just this, the feeling of touching it makes me happy.

真剣な 顔 を して 、 瀧 は おっぱい を 揉んで しまう 。 しんけんな|かお|||たき||||もんで| With a serious face, Taki rubs her breasts.

これ を やって いる と 、 なぜ だ か わから ない が 妙に リラックス する 。 |||||||||||みょうに|りらっくす| When I do this, I don't know why, but I feel strangely relaxed.

とんでもない 今 の 状況 が 、 ジョーク みた い に 思えて きて 、「 気楽に やれよ 」 と だれ 誰 か に 言わ れて いる ような 気分 に なる 。 |いま||じょうきょう||じょーく||||おもえて||きらくに||||だれ|||いわ||||きぶん|| The ridiculous situation I'm in now seems like a joke, and I feel like someone is telling me to take it easy.

胸 を 揉み ながら 、 頭 の 中 で 、「 おっぱい おっぱい 」 と つぶやいて リズム を とって いたら 、 だんだん 面白く なって きた 。 むね||もみ||あたま||なか||||||りずむ|||||おもしろく||

おっぱい 、 おっぱい 。

握る 、 離す 、 握る 、 離す 。 にぎる|はなす|にぎる|はなす Grab it, let it go, grab it, let it go.

うわ ー 。 |- お っ ・ ぱい 。

お っ ・ ぱい 。

自分 の こと ながら 馬鹿 すぎて 、 おのずと 笑み が こぼれて しまう 。 じぶん||||ばか|||えみ||| I'm too stupid to be myself, and I naturally burst into a smile.

ひとしきり 楽しんだ あと で 、 手 を 離した 。 |たのしんだ|||て||はなした

これ 以上 やる と 、 まずい 。 |いじょう||| Any more than this is bad.

まずい と いう の は 、 自分 の 歯止め が きか なく なる と いう 意味 である 。 |||||じぶん||はどめ|||||||いみ|

何という か 、 この先 に は 、 押して は いけない スイッチ が ある 気 が する 。 なんという||このさき|||おして|||すいっち|||き|| Somehow, I get the feeling that there's a switch ahead that shouldn't be pressed.

コメディ 映画 で 、 秘密 基地 みたいな ところ で 、 頭 が ちょっと おかしく なった 大統領 が 人差し指 で いきなり ぐっと 押し込もう と して 、 周囲 の 人々 に 力ずく で 止め られたり する 。 |えいが||ひみつ|きち||||あたま|||||だいとうりょう||ひとさしゆび||||おしこもう|||しゅうい||ひとびと||ちからずく||とどめ|| In a comedy movie, in a place like a secret base, a crazy president suddenly tries to push in with his index finger, but the people around him stop him by force.

そういう シーン に 出て くる 押しちゃ いけない 赤い スイッチ だ 。 |しーん||でて||おしちゃ||あかい|すいっち|

それ を 押したら もう 、 何 か が 取り返し の つか ない こと に なる のだ 。 ||おしたら||なん|||とりかえし||||||| If you press it, something will be irreversible.

( それ に 、 三葉 に ばれたら とんでもない こと に なり そうだ しな )   少し 後ろめたく なって 、 何となく 部屋 を 見回して いた ところ 、 突然 アラーム が 鳴って 、 瀧 は びっくり とした 。 ||みつば|||||||そう だ||すこし|うしろめたく||なんとなく|へや||みまわして|||とつぜん|||なって|たき|||と した (Besides, if Mitsuha finds out, it looks like something outrageous will happen.) Feeling a little guilty, Taki was just looking around the room when the alarm suddenly went off, startling Taki.

机 の 上 の 携帯 電話 が 鳴った のだった 。 つくえ||うえ||けいたい|でんわ||なった|

数 年 前 くらい に 発売 さ れた 全 画面 型 の 機種 だ 。 すう|とし|ぜん|||はつばい|||ぜん|がめん|かた||きしゅ| It's a full-screen model that was released a few years ago.

取り上げて みる と 、 三葉 から の メッセージ が 表示 さ れて いた 。 とりあげて|||みつば|||めっせーじ||ひょうじ|||

毎日 決まった 時間 に テキスト メモ を 表示 する アプリ だ 。 まいにち|きまった|じかん||てきすと|めも||ひょうじ|||

( 俺 と 入れ か 替わった とき の ため に 、 毎日 これ を 表示 さ せて る の か 、 あいつ は )   内容 は 、 いつも 通り の ルール 確認 だった 。 おれ||いれ||かわった|||||まいにち|||ひょうじ||||||||ないよう|||とおり||るーる|かくにん|

〈 三葉 → 瀧 君 へ ! みつば|たき|きみ| 〈 お 風呂 禁止 ! |ふろ|きんし 〈 体 は 見 ない ! からだ||み| 触ら ない ! さわら| 〈 脚 を 開く な ! あし||あく| 〈 男子 に 触る な ! だんし||さわる| 〈 女子 に も 触る な ! じょし|||さわる| それ に 加えて 、 新たな 事項 が 追加 さ れて いた 。 ||くわえて|あらたな|じこう||ついか|||

ほん っと に 、 とにかく 、 私 の 体 で 勝手な こと し ないで よ ね 。 ||||わたくし||からだ||かってな||||| Really, anyway, don't do anything selfish with my body. あと 、 わかって る と 思う けれど 、 女子 更衣室 に 入ったり したら 、 何らか の 形 で 復讐 する から ||||おもう||じょし|こういしつ||はいったり||なんらか||かた||ふくしゅう|| Also, as you probably know, if you go into the girls' locker room, you'll get some form of revenge.

こえ ー よ ! |-| Sound!

瀧 は 反射 的に 、 携帯 を 顔 から 遠ざけて しまった 。 たき||はんしゃ|てきに|けいたい||かお||とおざけて|

メッセージ と いう か 、 脅迫 だ 。 めっせーじ||||きょうはく|

こちら と して も 、 自分 の 身体 を 彼女 に 預けて いる わけで 、 その 間 に 何 を さ れる か わかった もの で は ない 。 ||||じぶん||からだ||かのじょ||あずけて||||あいだ||なん|||||||||

完全に 、 釘 を ささ れた 。 かんぜんに|くぎ|||

うかつな こと は でき ない 。

三葉 と いう の は 、「 この 身体 」 の 持ち主 である 。 みつば||||||からだ||もちぬし|

説明 を し だす と 、 きり が ない のだ が ( そして 瀧 に も 説明 不能 である のだ が )、 東京 都 千代田 区 六 番 ち よう 町 に 住む 男子 高校 生 立花 瀧 と 、 岐阜 県 Z 郡 糸 守 町 在住 の 女子 高 生 宮 水 三葉 は 、 現在 、 周期 的に 、 相互 人 格 転移 を 起こす 関係 に あ る 。 せつめい|||||||||||たき|||せつめい|ふのう||||とうきょう|と|ちよだ|く|むっ|ばん|||まち||すむ|だんし|こうこう|せい|たちばな|たき||ぎふ|けん|z|ぐん|いと|しゅ|まち|ざいじゅう||じょし|たか|せい|みや|すい|みつば||げんざい|しゅうき|てきに|そうご|じん|かく|てんい||おこす|かんけい||| There is no end to the explanation (and even Taki cannot explain it), but Taki Tachibana, a high school boy who lives in Rokubancho, Chiyoda-ku, Tokyo, and Itomori, Z-gun, Gifu Prefecture. Mitsuha Miyamizu, a high school girl who lives in the town, is currently in a relationship that periodically causes mutual personality transfer.

もう 少し 、 くだけた 言い 方 を する なら 、 この 二 人 は 、 ときどき 意識 が 入れ替わる 。 |すこし||いい|かた|||||ふた|じん|||いしき||いれかわる

何 だ それ は 、 意味 が わから ん 、 と お 思い に なる 向き に は 、 大林 の 宣彦 監督 の 『 転校 生 』 を 見る か 、 山中 恒 の なん||||いみ||||||おもい|||むき|||おおばやし||のぶひこ|かんとく||てんこう|せい||みる||さんちゅう|つね| For those of you who don't know what that means, see "Transfer Student" directed by Nobuhiko Obayashi, or Hisashi Yamanaka's

『 おれ が あいつ で あいつ が おれ で 』 を 読めば 、 |||||||||よめば

一 発 で イメージ を つかめる と 思わ れる 。 ひと|はつ||いめーじ||||おもわ|

入れ替わり は 週 に 二 、 三 日 程度 ラン ダム に 起こる が 、 発生 の トリガー は 眠る こと だ 。 いれかわり||しゅう||ふた|みっ|ひ|ていど|らん|だむ||おこる||はっせい||||ねむる||

朝 、 瀧 の 意識 が 宮 水 三葉 の 身体 に 入った 状態 で 目 が 覚め 、 三葉 の 意識 は 立花 瀧 の 身体 に 入った 状態 で 目 が 覚める 。 あさ|たき||いしき||みや|すい|みつば||からだ||はいった|じょうたい||め||さめ|みつば||いしき||たちばな|たき||からだ||はいった|じょうたい||め||さめる In the morning, he wakes up with Taki's consciousness in Miyamizu Mitsuha's body, and Mitsuha's consciousness in Taki Tachibana's body.

そして 、 一 日 が 終わって 眠り に つく ま で 、 その 状態 が 続く 。 |ひと|ひ||おわって|ねむり||||||じょうたい||つづく

再び とこ 床 に ついて 眠り に 入れば 、 いつのまにか 元 の 状態 に 戻って いる 。 ふたたび||とこ|||ねむり||はいれば||もと||じょうたい||もどって|

昼間 に 居眠り を した 程度 で は 、 入れ替わったり 戻ったり は でき ない ようだ 。 ひるま||いねむり|||ていど|||いれかわったり|もどったり|||| It doesn't seem to be possible to switch places or come back just by taking a nap during the day.

これ は 実際 に 授業 中 に 居眠り を した こと で 得 られた 知見 である 。 ||じっさい||じゅぎょう|なか||いねむり|||||とく||ちけん| This is a finding obtained by actually falling asleep during class.

初めて 入れ替わり を 起こした とき 、 瀧 は 「 リアルな 夢 を 見て いる 」 のだ と 思った 。 はじめて|いれかわり||おこした||たき||りあるな|ゆめ||みて||||おもった Taki thought he was "having a real dream" when he first switched places.

眠り の 中 で 知ら ない 女 に なって 、 知ら ない 場所 で 生活 して いる 、 そういう 夢 を 見て いる 途中 だ と 思いこんで いた のだ が ……。 ねむり||なか||しら||おんな|||しら||ばしょ||せいかつ||||ゆめ||みて||とちゅう|||おもいこんで|||

それ に して は 、 あまりに も リアル すぎる 。 ||||||りある|

知ら ない 景色 が あまりに も あざ 鮮やかで あ り 、 聞こえる 音 が 鮮明 であり 、 はっきり した 触覚 が あり 、 登場 人物 の 自律 性 が 高 すぎる 。 しら||けしき|||||あざやかで|||きこえる|おと||せんめい||||しょっかく|||とうじょう|じんぶつ||じりつ|せい||たか| Unfamiliar landscapes are too vivid, audible sounds are vivid, tactile sensations are clear, and characters are too autonomous.

思わず ノート 一面に 人物 相関 図 を 書き出して しまった くらい だ 。 おもわず|のーと|いちめんに|じんぶつ|そうかん|ず||かきだして||| So much so that I unintentionally wrote down a chart of the relationships between people on the front page of my notebook.

夢 の 中 で 、 宮 水 三葉 と いう 人物 に なって 、 まる 一 日 生活 する …… そういう 夢 が 、 何度 も 続いた 。 ゆめ||なか||みや|すい|みつば|||じんぶつ||||ひと|ひ|せいかつ|||ゆめ||なんど||つづいた In a dream, I became a person named Mitsuha Miyamizu and lived for a whole day... I had many dreams like that.

それ だけ だったら 、 ちょっと や ばい 感じ の 夢 を 立て続け に 見 ました ね 、 念のため カウンセラー に でも 会って み ます か 、 くらい の こと で 済んだ かも しれ ない 。 ||||||かんじ||ゆめ||たてつづけ||み|||ねんのため|かうんせらー|||あって||||||||すんだ||| If that's all it was, you had a series of somewhat dangerous dreams.

それ で 済めば よかった 。 ||すめば| I should have done with that.

これ は ちょっと 、 いよいよ まずい んじゃ ない か と 思い 始めた の は 、 夢 の 中 で 一 日 過ごす と 、 自分 の 記憶 が きっかり 一 日 ぶん 飛ぶ 、 と いう 現象 を 認識 した とき だっ た 。 |||||||||おもい|はじめた|||ゆめ||なか||ひと|ひ|すごす||じぶん||きおく|||ひと|ひ||とぶ|||げんしょう||にんしき|||| It wasn't until I realized that if I spent a day in a dream, my memory would skip exactly one day.

宮 水 三葉 に なる 夢 を 見たら 、 火曜日 の 次 が 木曜日 に なって いた 。 みや|すい|みつば|||ゆめ||みたら|かようび||つぎ||もくようび||| When I dreamed that I was Mitsuha Miyamizu, Thursday was the day after Tuesday.

バイト 先 で 、 した はず の ない 失敗 を した こと に なって いた 。 ばいと|さき||||||しっぱい|||||| At my part-time job, I was supposed to have made a mistake that I shouldn't have made.

高校 の 授業 内容 が 、 まるまる 一 日 ぶん 記憶 から 抜け落ちて いる 。 こうこう||じゅぎょう|ないよう|||ひと|ひ||きおく||ぬけおちて| An entire day's worth of high school class content has slipped from my memory.