Violet Evergarden Episode 2
( 部下 ) ディートフリート ・ ブーゲンビリア 大佐
弟 君 が お 見え に なり ました
(ディートフリート )よう ギル 元気に して た か ?
相変わらず 辛 気 くさい 顔 だ な
父さん そっくり だ
(ギルベルト )兄さん こそ 相変わらず だ
その 髪 父上 が 見たら きっと 許し は し なかった
軍 刀 で 切られていた だろう に
そりゃ ごめん だ
(ギルベルト )兄さん は いつも そう
(ディートフリート )死んで くれて よかった よ
ああ 悪かった
そんな 顔 する な よ
今日 は お前 の 昇格 祝い に いい もの を 持ってきて やった んだ
いい か ?あくまで 武器 と して 使え
情け も かける な
開けて みろ
(ディートフリート )おい 起きろ
北東 戦域 で 拾った
名前 は …
( ヴァイオレット ) ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン です
(ホッジンズ )今日 から 自動 手記 人形 の 見習い と して 働く こと に なった
仕事 の こと とか いろいろ 教えて やって くれ
(カトレア )はーい
(エリカ )表情 の ない その 少女 は ―
まるで 人形 の ようだった
この 職業 の 名 の 由来 と なった ―
機械 じかけ の 人形 の よう に
(カトレア )えっ と まずは そう ね
自動 手記 人形 の 仕事 に ついて は どれ くらい 知ってる ?
(ヴァイオレット )依頼者 の 要望 に 応じて 手紙 を 代筆 する 部門 だ と
ホッジンズ 中佐 …いえ
社長 に 伺い ました
(カトレア )その とおり
完全に 理解 した と は 言え ません が ―
任務 の 遂行 は 可能 と 思わ れ ます
(アイリス )そんなに 簡単な 仕事 じゃ ない わ よ !
って いう か 任務 って 何 ?
アイリス いい から 仕事 続けて
(アイリス )はーい
(カトレア )あっ そう いえば ―
まだ ほか の ドール を 紹介 して なかった わ ね
えっ と ドール って いう の は …
自動 手記 人形 の 略称 だ と 先日 理解 し ました
その とおり
さっき の 子 あの 子 が アイリス
養成 講座 を 終えた ばかりの 新人 ちゃん
それ から 彼女 は エリカ
彼女 も 私 も ドール は 前 から やって いた けど ―
うち の 会社 自体 出来て まだ 日 も 浅い から ―
みんな 新 入り みたいな もの よ
(エリカ )全然 違う と 思い ます
ヴァイオレット あなた タイプ ライター は 使える んだ っけ ?
使用 した こと は あり ませ ん
(カトレア )じゃあ まずは タイプ の 練習 から 始め ましょう か
それ で ドール に なる わけ ?
(カトレア )アイリス 教 則 本 貸して くれる ?
(アイリス )はーい
えっ と …座って
了解 し ました
あっ …
ウフッ
あっ 手袋 は 取った ほうが いい わ ね
(ヴァイオレット )はい
(カトレア )あっ (アイリス )あっ
大丈夫 ?
問題 あり ませ ん
(カトレア )そう
じゃあ まずは やって み ましょう か
こう やって 紙 を セット して
ノブ を 回して 巻き込む の
F と J に それぞれ 人さし指 を 置いて 打って みて
はい
(カトレア )そう そう その 調子
あと は 文字 に 対応 した 指 の 位置 を 覚えて
この 教則本 どおり に 打って みて
(タイプライター を 打つ 音 )
あっ ちょっと …ヴァイオレット ?
ヴァイオレット !やめて
もう 少し 静かに …ねっ
(リリアン )ありがとう ございました
(ネリネ )1,2 リブル です ので 10 コルス でございます
(鐘 の 音 )
(リリアン )ハァー やっと お 昼
(ネリネ )ありがとう ございました
(ベネディクト )ネリネ リリアン (2 人 )ん ?
一緒に 昼 飯 食おうぜ
焼きそば お前 ら の 分 も 買って あっ から よ
いら ない
(ネリネ )それ と そんな 汗 臭い 格好で 窓口 に 来 ないで よね
(ベネディクト )いや もう …何 だ ?あれ
真面目に 汗水 垂らして 働く 男 に
“お 疲れ さま ”の ひと言 も ない
つか “来る な ”って 何 だ よ
最近 の 女 の 計算 高さ ったら 何 ?
香水 臭 ( くせ ) えし
あいつ ら ぜ って え 窓口 に 来る 金持ち 引っかける つもり なんだ よ
(ローランド )まあ いい じゃ ない か
(ベネディクト )もう いい
もう 働く 女 は いい わ
あっ お前ら 焼きそば !
いり ません
それ と “お前 ”って 言う の やめてください
(ローランド )焼きそば わし 食う よ
ああ …
(アイリス )あー あ 今日 も 一 日 中 宛名 書き か
午後 に 予約 が 入ってる 2 件 とも ―
カトレア さん を ご 指名 で すって
う えっ !
(エリカ )大丈夫 ?(アイリス )大丈夫です
せっかく ライデン に 出て きて ドール に なった のに ―
毎日 毎日 宛名 書き だの
戦争 で 行方 不明 に なった 人 の 安否 問い合わせ の 手紙 だ の
そんな の ばっかり
そう ね
あっ そう いえば あの 新入り も 軍 に いた そうです よ
まだ 子供 な のに ?
あっ それ で …
(アイリス )何も ドール に する こと ない のに
愛想 も ない し 気 も 利き そうに ない し
絶対 向いて ないで すよ ね
あー もっと ワクワク する ような 手紙 が 書き たい なー !
有名 人 の 代筆 とか 舞台 女優 の 秘密 の 恋文 とか
でも そういう の は ―
カトレア さん の とこ いっちゃ い ます もん ね
(ホッジンズ )ヴァイオレット ちゃん どう ?
お 昼 に 誘った んだ けど ―
補給 は 不要 だって
ひたすら タイプ 練習 して る
(ホッジンズ )そう か
面倒 かける ね
ウフッ
ねえ じゃあ 今度 夕食 ごちそう して よ
クラウディア
(ホッジンズ )名前 で 呼ぶ な
(カトレア )女の子 が 欲しかった から って あんまり よ ね
ベッド の 中 で 女 の 名前 呼ぶ なんて 最悪 だった わ
う っ …やめて !お 願い ごめんなさい
うーん すぐに は 無理 だ な
今月 の 俺 の 給料 なし だ から
え ?
宛名 書き 終わり ました
お 疲れ さま
(アイリス )配達 の ほう に 回して おきます
うん お 願い
ヴァイオレット も お 疲れ さま
今日 は もう 終わり に して
どれどれ
あっ ずいぶん 上達 した じゃない
すごい わ
すごい の は この 武器 です
武器 ?
そう よ ね 私たち 働く 女性 が 社会 に 出て 戦う ため の ね
明日 は 誰 か の 横 で 実際 の ドール の 仕事 を 見て いこう か
私 は これ から 出張 サービス に 行って くる の
要望 が あれば ―
自宅 や 仕事 先 に も 出向いて 代筆 する の よ
私 も 携帯 して よろしい でしょう か ?
タイプ を ?どこ へ ?
自室 です
訓練 の ため と
それ から …
(タイプライター を 打つ 音 )
(ホッジンズ )住所 ?ギルベルト の ?
はい
代筆 業務 に 着任 し 訓練 を 開始 した と ―
現状 報告 を し たい のです
少佐 は まだ お 忙しく
お目にかかれる 状況 で は ない のです よね ?
あっ …ああ
分かった これ は 俺 が 出して おく よ
それ で 訓練 は 順調 な の ?
(ヴァイオレット )順調 です
問題 あり ませ ん
(男性 )知って の とおり ―
毎日 生活 する の も やっと で …
(アイリス )“ご存じ の とおり 生活 資金 に も 窮する 状況 …”
(アイリス )“ご存じ の とおり 生活 資金 に も 窮する 状況 …”
(ヴァイオレット )つづり が 間違って い ます
それ から 毎月 2 クロル ずつ 返す って
書いて くれ
(アイリス )毎月 …
(アイリス )毎月 …
(ヴァイオレット )2 クロル ずつ です と
完済 する まで に 120 年 ほど かかり ます
旦那 様 は それ まで 生存 可能な のでしょう か ?
え ?
(女性 )普段 は すごく いい 子 な の
でも 時々 カッ と なる こと が あって
“大切な お 子様 に ”
“ケガ を させて しまい ました こと を …”
(女性 )私 の しつけ が 悪かった の かしら ?
“私 ども の 日頃 の 指導 が …”
(女性 )何 が …
何 が いけなかった の ?
あの …
業務 が 滞り ます ので 即座に 泣く の を 中断 して ください
(エリカ )ちょ …(女性 )え ?
(男性 )何 だ よ この 文章 は !
“勝手 な お 願い で は ございます が ”
“勝手な ”って 何 だ よ !
すみません
(男性 )“遅れ に つきましては 弁解 の 余地 も なく ”?
これ じゃ 俺 が まるっきり 悪い みて え じゃ ねえ か !
お前 何 様 だ !
エリカ 様 です
名前 なんて 聞いて ねえ !
とにかく この 手紙 は 気 に 入ら ねえ
金 は 払わ ねえ から な
(ヴァイオレット )“気に入らない から 代金 を 支払わない ”は ―
違法 行為 です
どこ が どのように 気 に 入らない の か …
(男性 )どけよ
具体的 かつ 適切 な 指示 を
速やかに して ください
お客様 から 何件 か 苦情 が 来てる んだ けど
(ヴァイオレット )問題 が ありました か ?
(ホッジンズ )いや まあ …
君 は 大丈夫 ?
健康 に は 異常 あり ませ ん
いや その …ドール の 仕事 の ほう は ?
(ヴァイオレット )鋭 意 訓練 中 です
そっか
(エリカ )あの …
この あと 予約 の お客様 は いらっしゃいません
商工 会議所 の 名簿 の 作成 を ―
彼女 と 鋭意 行い ます ので
あっ …
(エリカ )会社 と 住所 ―
それ から 業種 を タイプ して
(ヴァイオレット )了解 し ました
ねえ あなた
どうして この 仕事 を し たい の ?
(ヴァイオレット )私 は …
(ブリジット )あら ?誰 も い ない の ?
あっ いらっしゃい ませ
代筆 を ご 希望 で ございます か ?
フン …ほか に 何の 用 が ?
失礼 いたし ました
お客様 が お望み なら ―
どのような 文章 も 代筆 さ せて いただきます
自動 手記 人形 サービス …
カトレア ・ ボードレールって ドール は ?
ただいま 出張 して おり ます
(ブリジット )あら
彼女 なら 間違い ない って 聞いて 来た のに
まあ いい わ
私 ね 交際 を 申し込まれた の
自動車 の 会社 を 立ち上げた 男性 で ね
これ から 自家用車 の 時代 だ から って
(エリカ )は あ
(ブリジット )でも ね 私 そんな 簡単な 女 じゃ ないし
尻 の 軽い 女 に 見られたく ない わけ
あの …つまり
まあ 大した 男 じゃ ないし
私 に は 好意 なんて ない けど
彼 が もっと 誠意 を 見せて くれて ―
本当に 私 を 愛して る なら …
あっ …
気品 の ある ロマンチックな 手紙 を お 願い
書 い と いて
その …
あら
あなた が 書いて くれる の ?
(ヴァイオレット )了解 し ました (エリカ )あっ …
うっ …あっ …
(ブリジット の 荒い 息遣い )
(ドア が 開く 音 )
何 なの ?あの 手紙
お 客 様 どうぞ 落ち着いて ください
アイリス お茶 を お 出し して
(アイリス )はい
(ヴァイオレット )ご 要望 どおり に 代筆 し ました
(ブリジット )あれ の どこ が ?
彼 怒って 手紙 を 送り 返して きた の よ !
読んで みなさ いよ 自分 が 書いた やつ !
(ヴァイオレット )“手紙 を 拝読しました が ―”
“私 に は 現在 好意 は あり ませ ん ”
“なおかつ 貴殿 の 誠意 も 愛情 も 不足 して い ます ”
“私 は 複雑 かつ 重々しい 女 で あります ので ―”
“その 点 を 考慮 し ”
“贈答 品 および 資金 を 調達 した うえ ”
“再度 の 挑戦 を 要望 し ます ”
どこ が 間違って いた のでしょうか ?
申し訳 あり ません
ちょっと 表現 が 素直 すぎた と いう か …
(ブリジット )私 彼 と お付き合い し たかった の
でも 彼 の 思い を すぐに 受け入れたら ―
簡単に 手 に 入る 女 だって 思われる じゃ ない
もっと 追いかけて ほしい の が 女 って もん でしょ !
私 だって 愛して た の よ !
(ブリジット の 泣き声 )
(カトレア )何 に する ?
(ヴァイオレット )水分 の 補給 に は ―
水 か 白 湯 (さゆ )で 十 分 です
(カトレア )花 茶 を 2 つ
(店員 )かしこまりました
(カトレア )あなた に いきなり 任せる 仕事 じゃ なかった わ ね
理解 不能 です
え ?
(ヴァイオレット )依頼者 の 意図 を 最大限 反映 して 文章 を 記し ました
言葉 に は 裏 と 表 が ある の
口 に 出した こと が すべて じゃ ない の よ
人 の 弱い ところ ね
相手 を 試す こと で 自分 の 存在 を 確認 する の
裏腹 よ ね
(カトレア )やっぱり 私 だけ で 送り先 の 彼 の 所 へ 行って ―
謝って くるわ
あっ
少佐
少佐 !
ギルベルト 少佐 !
(軍人 )ん ?
(ベネディクト )よっ と
お ?
おーい
どうした ?1人 か ?
元気 ねえ な 飯 ちゃん と 食って る か ?
(ヴァイオレット )栄養 の 補給 は して い ます
じゃあ 仕事 の 失敗 でも した か ?
あー お前 配達 に 戻って こいよ
(ヴァイオレット )配達 業務 で は ダメ な のです
(ベネディクト )ドール の 仕事 に こだわん ないで
ほか の 仕事 探した ほうが いい んじゃ ねえ の ?
ハァ …俺 も 考えよう
ホッジンズ の ヤツ 今月 給料 ね えっ つって たし
うち の 会社 ヤバい かも な
あ …
(ヴァイオレット )質問 よろしい でしょう か ?
(エリカ )え ?
私 は 自動 手記 人形 に 不適格 でしょう か ?
それ は 私 も …
あなた の こと は 聞いて い ませ ん
向いて ない わ
第 一 あなた どうして この 仕事 が いい の よ
“愛して る ”を 知り たい のです
(エリカ )それ だけ ?(ヴァイオレット )それ だけ です
特定の 感情 を 表す 言葉 だ と 理解 は している のです が ―
少佐 が なぜ 私 に 向けて ―
突然 その 言葉 を 口 に した の か
知り たい のです
たとえ 向いて い なくて も
私 は この 仕事 を 続け たい のです
あっ …
(エリカ )更衣室 に タオル が ある から
(アイリス )どちら に せよ 彼女 ―
ヴァイオレット に ドール は 無理 だ と 思い ます
うち は まだ 出来た ばかりの 会社 です が
カトレア さん へ の 依頼 は 絶え ませ ん
でも ここ で 評判 が 落ちたり したら …
せっかく 軌道 に 乗って きてる のに
ヴァイオレット に は 辞めて もらった ほうが …
(ホッジンズ )いや もう 少し …
(エリカ )あの !
(ホッジンズ )エリカ
て か ヴァイオレット ちゃん も
どうした の ? 2 人 とも
何も …
何も 辞め させる こと は ない と 思い ます
彼女 ヴァイオレット は ―
タイプ は 正確 で 速い ですし ―
宛名 書きや 名簿 の 作成 と いった 業務 は こなせます
その うち もっと いろんな こと を 知って
手紙 も 少しずつ 書ける ように なる と 思い ます
お 願い し ます
辞め させ ないで ください
(ヴァイオレット )裏腹 です (エリカ )あっ …
私 は この 任務 に 向いて いない と 言った のに
裏腹 です
ハッ !
♪~
(エリカ )自動 手記 人形 に 向いて いない の は ―
私 の ほう だ
だから 彼女 を ―
あんなに ムキ に なって かばって しまった んだ
後 の タイプライター と なった ―
その 機械 は ―
活版 印刷 の 権威 である オーランド 博士 が
発明 した もの だった
小説 家 で あり ながら 盲目 と なり ―
執筆 でき なく なった 妻
モリー の ため に 製作 した もの だが ―
博士 は それ を 自動 手記 人形 と 呼んだ
それ が 今 で は ―
代筆 業 の こと を 指す 呼び名 と なっている
あの 子 と 出会って 実感 した
忘れ そうに なって た 自分 の 夢
埋もれて しまって た 自分 の 気持ち
オーランド 夫人 が 書いた 小説 が ―
私 の 心 を 震わせた ように
(店主 )閉める けど いい かい ?
あっ はい
(ドア が 閉まる 音 )
(エリカ )私 も いつか ―
人 の 心 を 動かす ような ステキな 手紙 を 書き たい
~ ♪
( カトレア ) で ー きた !
どう ?
うん ヴァイオレット ちゃん 立って ごらん
(ヴァイオレット )はい
うん よく 似合って る よ
やっぱり 俺 の 見立て に 間違い は なかった
ああ それ から 最後に これ
遅く なって ごめん ね
開けて ごらん
開け ます
あっ…
これ です
少佐 が くださった ブローチ です !
(ホッジンズ )闇市 に 流れて いた んだ
誰 か が 君 の 荷物 から 盗んだ んだろう な
あっ…
(カトレア )そうだ わ !ヴァイオレット
あなた ドール の 育成 講座 に 通って みない ?
短期 の 講座 も ある し
アイリス も 通って た の よ
(アイリス )先生 すっごく 厳しい けど ね
(カトレア )ため に なる と 思う の
(カトレア )あれ を 買い戻した から 今月 の お 給料 なくなった の ね
(ホッジンズ )いただきます
で あの 子 の 言う 少佐 って 誰 の こと ?
(ホッジンズ )あっ …
ギルベルト
士官 学校 時代 から の 友人 だ
ブーゲンビリア 家 の 一族 で
あっ あの 辺境 伯 の ?
フッ
いや あ …
いい と この 坊ちゃん の わりに は 骨 の ある ヤツ だった よ
(カトレア )“だった ”?
(ホッジンズ )あいつ は もう ―
戻って 来 ない