世界 から 猫 が 消えた なら :悪魔 が やってきた :2
あらためて 僕 は いま の 状況 を 整理 して みた 。
世界 から 何 か を ひとつ 消す こと で 、一日 の 命 が もらえる 。
三十個 で 一カ月 。 三百六十五 個 で 一 年 。
なんて 簡単な 取引 な んだ 。
だいたい この 世の中 は 、くだらない もの と ガラクタ に 満ちあふれている 。
オムライス の 上 の パセリ 、駅前 で 配っている ティッシュ 、分厚い 家電 の 説明書 に スイカ の 種 。
ちょっと 考えた だけ で 、不必要な もの が 次々と 浮かんでくる 。
ちゃんと 整理 して いけば 、百万 や 二百万 は 、いつ なくなって も よい もの に なる だろう 。
僕 の 寿命 が 七十年 だ として 、残り 四十年 。
という こと は あと 、一万四千六百 個 何か を 消して いけば 寿命 と 変わらない 。
もっと もっと 消し 続ければ 、 百年 だって 二百年 だって 生き 続けられる かもしれない 。
アロハ が 言う 通り 、人間 は 何 万 年 も かけて 無数 の ガラクタ を 作って きた 。
何か 消えた ところ で 誰も 困らない し 、むしろ 世の中 が シンプル に なって 、きっと みんな 僕 に 感謝 する こと に なる だろう 。
それに 、いま 僕 が やって いる 郵便配達員 だって 消えゆく 職業 だ 。
手紙 や 葉書 が なくなる 日 が 、やがて くる の かもしれない 。
でも よく 考えれば 、世界 に あふれる ありとあらゆる もの は 、その 「あって も なくて も よい 」ぎりぎり の 境 に ある 。
ひょっとしたら 人間 そのもの ですら 、 そう かもしれない 。
僕ら が 生きて いる の は 、そんな でたらめな 世界 な のだ 。
「いい です よ 。
消します 。 寿命 を 延ばして ください 」
僕 は 取引 に 応じた 。
いざ 消す こと を 決める と 、なんだか 勇気 が 湧いて きた 。
「わ ! ついに 乗っちゃった ! 」アロハ は なんだか 嬉し そうだ 。
「あなた が 乗れって ……まあいいです 。
で 、何 消せば いい んです か ?
えっと 、 じゃあ まず この …… 壁 に ついた シミ !」
「…………」
「 じゃあ 本棚 の 上 の ほこり っ !」
「…………」
「 お風呂 の タイル の カビ !」
「…… こら こら 。 アタシ は 掃除 の おじさん じゃない ぞ ー 。 悪魔 相手 に 調子 のん なよ !」
「 やっぱり だめ でしょうか ?」
「 だめ だろ ! 消す もの は アタシ が 決める の !」
「 どうやって ?」
「 どうやって って …… まあ 雰囲気 ?」
「 雰囲気 ?」
「 じゃあ なん に しよう かなあ ……」
そう言う と 、 アロハ は 僕 の 部屋 を じろじろ と 見回す 。
その フィギュア は やめて ほしい とか 、 あの レアもの の スニーカー も 勘弁して ほしい 、 など と 心のなか で せせこましい こと を 願い ながら 僕 は アロハ の 目線 を 追いかける 。
でも 、 よく考えたら 命 を もらう わけ だ 。
まさに 悪魔 の 取引 。
そんな 簡単 な もの で 済む はずがない 。
太陽 ?
それとも 月 ? 海 もしくは 大地 ? それ くらいのもの を 消してしまう のか ? いよいよ 僕 が 事 の 重大さ に 気付いた そのとき 、 アロハ の 目線 が 、 テーブル の 上 に 固定された 。
「 これ は 、 なん すか ?」
アロハ は その 小さな 箱 を 手 に 取る 。
振る 。
ゴロゴロ と いう 音 。
「 えっと 、 それは …… きのこ の 山 です 」
「 きのこ ?」
「 いや 、 きのこ ではなく 、 きのこ の 山 です 」
アロハ は よく 理解できない よう で 、 首 を ひねる 。
「 じゃあ 、 こっち は なん すか ?」
アロハ は 隣 に ある 同じ サイズ の 箱 を 手 に 取る 。
振る 。 また 、 ゴロゴロ と いう 音 。 「それ は 、たけのこ の 里 です 」
「 たけのこ ?」
「 いや 、 たけのこ で は なく 、 たけのこ の 里 」
「 まぎらわしい !」
「 すみません 、 どっち も チョコレート 菓子 です 」
「 チョコレート ?」
「 はい 、 チョコレート です 」
きのこ の 山 と 、 たけのこ の 里 。
数日 前 に 商店街 の 福引 の 景品 として もらった もの が 、 テーブル の 上 に 置いて あった のだ 。
よく 考える と 、 なんとも 摩訶 不思議 な コンセプト の チョコレート 菓子 だ 。
悪魔 が 混乱する の も 仕方 あるまい 。
「 なるほど 。 人間 は やたら と チョコレート に は 凝る と 聞いて たんす けど 、 ここ まで と は 。 それにしても なぜ 、 き の こと たけのこ な の か ……」
「 確かに …… いままで 考えた こと も ありませんでした 」
「 じゃ 、 チョコレート に します か 」
「 え ?」
「 いや 、 だから 世界 から 消す もの です よ !」
「 そんな 簡単 に 決めて いい んです か ?」
「 まあ 最初 なんで 」
世界 から チョコレート が 消えた なら 。
この 世界 は どう 変わる のだろう か 。
僕 は 想像する 。
世界 各国 の チョコレート ・ アディクト たち は 嘆き 、 叫び 、 悲しみ に 暮れ 、 血糖 値 が 下がり 、 無気力な 人生 を 送る のだろう 。
チョコレート が 消えた 世界 で は 、 マシュマロ や キャラメル が 代わりに 台頭 する のだろうか 。
いや 、 力不足 だろう 。
人類 は チョコレート に 代わる 、 新たな 菓子 作り に まい進 する に 違いない 。
そう 考えて 気 が つく の が 、 人間 の あくなき 食 へ の 欲望 だ 。
僕 の 隣 で 愛 猫 は 、 先ほど あげた 〝 猫 まんま 〟 を 食べて いる 。
言う まで も なく 、 猫 が 食べる の は エサ だ 。
人間 は 違う 。
〝食 〟 べる 〝事 〟 に こだわる のだ 。
人間 だけ が 、食べ物 に 時間 を かけて 加工 し 、味 を 調え 、形 を 作り 、美しく 盛り付ける 。
チョコレート など と いう 食べ物 は 、 その 最たる もの だ 。
ナッツ を 中 に 入れたり 、 クッキー に コーティング したり 、 きのこ に したり 、 たけのこ に したり 。
チョコレート は 人間 の 食 へ の 創作 意欲 を 掻き立ててきた 。
そして その 食べる 事 へ の あくなき 欲望 が 、 人間 を 進化させてきた とも いえる 。
でも ラッキー だ 、 と 僕 は 思った 。
「 今日 、 僕 は チョコレート の ため に 命 を 捨てます !」
など と 言う 阿呆 は 、 世界中 探して も どこ に も いない はず だ 。
チョコレート ぐらい で 、 命 を もらえる の ならば ラッキー な の だ 。
この 程度 の もの なら 他 に も いくら でも ある 。
この 調子 で どんどん もの を 消して 、 寿命 を 延ばしていけば よい のだ 。
僕 が 悪魔 と の 取引 に かすかな 希望 を 見出した 時 、 アロハ の 声 が した 。
「 これ 、 おいしい んです か ねえ ?」
アロハ は 、 きのこ の 山 と たけのこ の 里 を 交互に 眺めながら 尋ねる 。
「 結構 いけます よ 」 僕 は 答える 。
「 へえ ……」
「 食べた こと ない んです か ?」
「 ない っす 」
「 よかったら どうぞ 」
「 いや 、 どうも 人間 の 食べ物 は 口 に 合わなくて 。 なんか …… 全体的に 味 が 、 ね 」
「 へえ ぇ ……」
悪魔 が 何 を 食べて いる の か 質問 したい 衝動 に 駆られた が 、 そこ は 抑える こと に した 。
それ から アロハ は 自分 の 中 の 好奇心 に 負けた の か 、 きのこ の 山 を 手 に 取り 、 匂い を かぎ 、 右 から 左 から じっくり と 眺め 、 また 匂い を かぎ 、 恐る恐る 口元 に 持っていく 。
そして 目 を 力強く つぶる と 、 口 の 中 に 放り込んだ 。
静寂 。
ポリポリ と 、 きのこ の 山 を 噛み砕く 音 が 部屋 に 響く 。
「 どう です か ?」
僕 は 恐る恐る 尋ねる が 、 アロハ は 目 を つぶった まま 、 黙りこくって いる 。
「 どう しました ?」
「 う ぅ ……」
「 大丈夫 です か ?」
「 う ぅ ……」
「 救急車 でも 呼びます ?」
「 う ぅ …… うまい っ !」
「え ?」
「 なん す か これ ! うますぎ でしょ ! ほんとに これ 消す の ? もったいない !」
「 あなた が 消せ って 言った ん じゃないですか 」
「 まあ そう なんすけど ね 。 いや ミスった な ー 、 こんな うまい と は 」
「 でも 、 消さない と 僕 、 死んじゃう んです よね ?」
「 まあ 、 そう っす ね 」
「 じゃあ 、 消します 」
「…… 本当に ?」
アロハ が ずいぶん と 悲しそうに 眉間 に しわ を 寄せ ながら 尋ねる 。
「 はい …… 本当に 」
なんだか 、 かわいそうに なりながらも 答える 僕 。
「 さ 、 最後 に !」
突然 アロハ が 叫んだ 。
「 な 、 なん ですか ?」
「 もう 一個 だけ いい すか ?」
アロハ は 情けない 顔 で 懇願 する 。
その 目 に は 涙 が 浮かんでいる 。
よっぽど チョコレート が 気に入った の だろう 。
アロハ は 僕 の 目 を 盗み ながら 、 こっそり と きのこ の 山 を 二 、 三 個 口 に 入れ 、 ゆっくり と 時間 を かけて 味わった 末に 言った 。
「やっぱり ……これは消せな い」
「えっ ?」
「 こんな おいしい もの を 消す わけ にはいかない !」
「 そんな ……」
簡単に 言われて も 困る 。
僕 の 命 に かかわる 問題 な のだ 。
間もなく 死ぬ という 運命 を 、 僕 なりに 受け止めていた はず だった 。
なのに いざ 命 を 延ばしてもらえる かもしれない と なる と 、 それ が どんなに バカバカしい 取引 だ としても すがってしまう 。
死ぬ とき は 悪あがき せず 、 落ち着いて 、 安らかに 。
自分 は そう ありたい し 、 そう なる と 思って いた 。
だけど 、やはり 死 を 前 に して 、藁 に も (悪魔 に も )すがりたい 意地汚い 人間 の 本性 を 自分 の 中 に 垣間見る 。
「 それ は …… 困ります 」
「 あれ ? ちょっと 命 が 惜しく なってきました か ?」 「そりゃ ……そうですよ。 それ に 個人的な 好き嫌い で 、 消す もの 消さない もの を 決めたり しちゃって いい もの なん ですか ?」
「 いい んです 。 悪魔 です から 」
なんて 理不尽 な 、 と 僕 が 絶句 している と アロハ は 続ける 。
「 いやいや !
そんなに 落ち込まないで ください よ ! いま から 大至急 、 他 の もの を 考えます から !」
そういう と アロハ は 、 ものすごい スピード で キョロキョロ と 部屋 を 見回し はじめた 。
明らかに 自分 の ミス を 取り返そう と 焦っている の が 分かる 。
悪魔 の くせに 小さな 奴 だ 、 と 僕 が 冷たい 目 で アロハ を 見ている と 、 携帯電話 が 鳴る 。
勤め先 の 郵便局 から だ 。
時計 を 見る 。
もう とっくに 出勤 時間 を 過ぎていた 。
電話 を かけてきた の は 、 局長 だった 。
遅刻 だ ぞ と 苛つきつつも 、 昨日 体調 不良 で 早退し 、 病院 に 行った 僕 の こと を 気にかけてくれていた 。
「 大丈夫 です 。
でも 体 が 弱っている みたい なんで 、 一 週間 ほど 休み を ください 」
とりあえず 僕 は 休暇 を もらう こと に 成功 し 、 電話 を 切った 。
「 それ ……」
「 え ?」
「 それ だ な 」
気付く と アロハ が 携帯 電話 を 指差している 。
「 それ 、 いらなそう 」
「 え ? 電話 ?」
「 そう 。 それ 消しましょ 」
アロハ が 笑う 。
「 どう します ? 電話 と 引き換え に 一日 の 命 です 」
世界 から 電話 が 消えた なら 。
僕 は 何 を 得て 、 何 を 失う のだろうか ?
僕 の 想像力 を 働かせる 間 もなく アロハ は 詰め寄って くる 。
「 で 、 どう します ?」
「 え ?」
僕 は 考えてみた 。
一日 の 命 、 と 電話 。 うーん 、 どう な んだろう か 。
「 早く しない と 消しちゃう よ 」
「 ちょ 、 ちょっと 待って !」
「 二十秒 …… 十秒 、 九 、 八 、 七 ……」
「 その 将棋 の 秒読み みたいな の は やめてください !
消します ! 消します よ !」
僕 は 答えた 。
いま すぐ 判断 は できない が 、 迷っている 場合 で は ない 。
命 と 電話 。 当然 、 命 が 優先 だ 。
「 じゃあ 消します よ ー 」
悪魔 は 呑気 に 言う 。
「 あ 、」
その とき 、ふと 気付いた 。
思えば 父 に 電話 を していなかった 。
まあ でも それ も 仕方ない 。
母さん が 死んで から 四年 。
一度 も 父 と は 連絡 を 取っていない 。
もちろん 会って も いない 。
隣町 で 細々 と 時計店 を 続けている こと は たまに 聞く けれども 、 会い に 行こう と 思った こと は 一度も なかった 。
でも 自分 が まもなく 死ぬ と いう の に 、 親 に 連絡しない なんて 、 と 思わなくもない 。
そんな 迷い を 感じた の か 、 アロハ は にやにやしながら 話しかけてくる 。
「 分かります よ 。
みな さん そう なんです 。 いざ 消す と なる と いろいろ 考えちゃう みたいで ね 。 だから アタシ 、 ひとつ だけ オプション つけてる んです 」
「 オプション ?」
「 そう 。 最後 に ね 、 一回 だけ 消す もの を 使ってもいい という 権利 」
「 なるほど 」
「 と いう こと で 、 一回 だけ 電話 して いい です よ 。
誰 に かけた って 構いません 」
そう 言われたら 言われた で 悩む 。
やはり 父 に 、 と 思った 。
でも 顔 を 思い浮かべる と 、 どうしても あの 四年 前 の 出来事 が 思い出されて しまう 。
今更 何 を 話せ と いう の か 。
やはり 父 に 電話 を かける こと は できない 。
じゃあ 誰 だ ?
誰 に 最後 の 電話 を かける ? 幼なじみ の 親友 K か ? 確かに あいつ は いい 奴 で 、 時間 が 合えば いま でも よく 遊ぶ 友達 だ けれど 、 出会って から いま まで 主に くだらない こと しか 話した こと が ない 。
「 俺 死ぬ んだ 」
と か
「 いま から 電話 が 消える んだ けれど 、 これ が 最後 の 電話 な んだ 」
など と 突然 話したら 、 絶対 頭 が おかしく なった と 思われる 。
「 それ 何 の ギャグ ?」
と しつこく 問われて 、 大事 な 最後 の 電話 を 終える の は ごめん だ 。
と いう こと で 親友 K 案 は 却下 !
じゃあ 職場 の 先輩 W は ? あの 人 は いつも 親身 に なって 僕 の 相談 を 聞いて くれる 。
仕事 の こと 、 恋愛 の こと 。
職場 における 兄 の ような 存在 だ 。
でも なあ 、 いま 仕事 中 だ し なあ 。
電話 かけたら 迷惑 だろう なあ 。
この 期 に 及んで そんな 遠慮 が 働いて いる 時点 で 、 最後 の 電話 の 相手 として は 違う 気 が する 。
そもそも 、 思い返す と そんなに 重要な こと を 話した こと なんて なかった 。
酔っぱらった その 場 の ノリ
( 僕 は ビール 一杯 で 酔う 安上がり の 男 な のだ )
で 、 何か 大事 な こと を 相談したり されたり している 関係 だ と 思い込んでいた が 、 じゃあ どの 話 が 芯 を 食っていた か というと 甚だ 疑問 だ 。
お互い 、 重要 な 話 を している ようで 、 何 ひとつ さらけ出して こなかった 。
うわ わ あ 。
最後 の 最後 で 最悪 の 状態 だ 。
僕 は 携帯 の 電話帳 を 勢い よく スクロールする 。
友人 の 名前 が 次々 と 現れて は 、 消えていく 。
それぞれ の 名前 が 、 まるで 記号 の ように 見えて くる 。
僕 と 関係 が あった ようで 、 まるで 関係 が なかった 無数 の 人たち に よって 、 僕 の 電話帳 は 埋め尽くされていた 。
僕 に は 人生 の 最後 に 、 電話 で 話す に 値する 人 が いなかった 。
それほど までに 希薄 な 人間 関係 の 中 で 、 僕 という 人間 は 生きて きた 。
人生 の 最後 で そんな こと に 気付く なんて 、 あまりに も 悲しすぎる 。
僕 は そんな 気持ち を アロハ に 悟られたくなくて 、 部屋 を 出て 階段 に 腰かけた 。
携帯 を じっと 握りしめる 。
すると ある 番号 が 脳裏 に 浮かんだ 。
それ は 、 あの 人 の 電話番号 だった 。
もう すっかり 忘れていた 。
でも 体 が 覚えていた 。
携帯 に 登録されていない その 番号 を 、 僕 は ゆっくりと ダイヤルした 。
数分間 の 電話 が 終わって 部屋 に 戻ると 、 アロハ が 猫 と じゃれ合っていた 。
じゃれ合う という より は 取っ組み合い の ように 、 転げまわって はしゃいで いる 。
「 うっきゃっきゃっきゃっきゃー やめろ やめろ よー うひゃー !」
完全に 我 を 忘れて いる アロハ を 、 僕 は しばし 黙って 眺める こと に した 。
三分 経過 。
「あっ 、」
僕 の あまりに も 冷たい 視線 に ようやく 気付き 、アロハ は 恥ずかし そうに 身 を 起こした 。
そして 僕 の 方 に 向き直り 、冷静な 表情 を 作って 語りだす 。
「 終わりました か ……」
急に 厳かに 言っても 無駄だ !
なんだ よ 猫好き の 悪魔 って !
心 の 中 で ひととおり 突っ込み を 入れて 、 ようやく 落ち着いた 僕 は 静かに 答える 。
「 はい 、 終わりました 」
「 じゃあ 消します よ ー 」
アロハ は 陽気に 微笑み 、 ウィンク ( とはいえ うまく ウィンク できない らしく 両目 を つぶって いる のだ が ) を した 。
すると 手 に 持っていた はず の 携帯 が 見当たらない 。
「 じゃあ また あした 」 という 声 だけ が 聞こえて 、 僕 が 目 を 上げる と 、 もう そこ に 悪魔 の 姿 は なかった 。
「 みゃあ 」 と 寂し そうな 猫 の 声 が 部屋 に 響いた 。
あの 人 に 会い に 行かなくては 。
電話 を かけた あの 人 に 。
そう 思いながら 、 気付く と 深い 眠り に 落ちていた 。
こうして 僕 の 不思議な 七日間 が 始まった の だった 。