×

Usamos cookies para ayudar a mejorar LingQ. Al visitar este sitio, aceptas nuestras politicas de cookie.


image

I Am a Cat by Soseki Natsume, Chapter I - 03

Chapter I - 03

吾輩 の 主人 は 滅多に 吾輩 と 顔 を 合せる 事 が ない 。 職業 は 教師 だ そうだ 。 学校 から 帰る と 終日 書斎 に 這入った ぎり ほとんど 出て 来る 事 が ない 。 家 の もの は 大変な 勉強家 だ と 思って いる 。 当人 も 勉強家 である か の ごとく 見せて いる 。 しかし 実際 は うち の もの が いう ような 勤勉家 で は ない 。 吾輩 は 時々 忍び足 に 彼 の 書斎 を 覗いて 見る が 、 彼 は よく 昼寝 を して いる 事 が ある 。 時々 読み かけて ある 本 の 上 に 涎 を たらして いる 。 彼 は 胃弱 で 皮膚 の 色 が 淡黄色 を 帯びて 弾力 の ない 不活溌 な 徴候 を あらわして いる 。 その 癖 に 大飯 を 食う 。 大飯 を 食った 後 で タカジヤスターゼ を 飲む 。 飲んだ 後 で 書物 を ひろげる 。 二三 ページ 読む と 眠く なる 。 涎 を 本 の 上 へ 垂らす 。 これ が 彼 の 毎夜 繰り返す 日課 である 。 吾輩 は 猫 な がら 時々 考える 事 が ある 。 教師 と いう もの は 実に 楽な もの だ 。 人間 と 生れたら 教師 と なる に 限る 。 こんなに 寝て いて 勤まる もの なら 猫 に でも 出来 ぬ 事 は ない と 。 それ でも 主人 に 云わせる と 教師 ほど つらい もの は ない そうで 彼 は 友達 が 来る 度 ( たび ) に 何とかかんとか 不平 を 鳴らして いる 。 吾輩 が この 家 へ 住み込んだ 当時 は 、 主人 以外 の もの に は はなはだ 不 人望 であった 。 どこ へ 行って も 跳ね 付け られて 相手 に して くれ 手がなかった 。 いかに 珍重 されなかった か は 、 今日 に 至る まで 名前 さえ つけて くれ ない ので も 分る 。 吾輩 は 仕方 が ない から 、 出来得る限り 吾輩 を 入れて くれた 主人 の 傍 に いる 事 を つとめた 。 朝 主人 が 新聞 を 読む とき は 必ず 彼 の 膝 の 上 に 乗る 。 彼 が 昼寝 を する とき は 必ず その 背中 に 乗る 。 これ は あながち 主 人 が 好き と いう 訳 で は ない が 別に 構い手 が なかった から やむを得ん のである 。 その後 いろいろ 経験 の 上 、 朝 は 飯櫃 の 上 、 夜 は 炬燵 の 上 、 天気 の よい 昼 は 椽側 へ 寝る 事 と した 。 しかし 一 番 心 持 の 好 い の は 夜 に 入って ここ の うち の 小 供 の 寝床 へ もぐり込んで いっしょに ねる 事 である 。 この 小 供 と いう の は 五つ と 三つ で 夜 に なる と 二人 が 一 つ 床 へ 入って 一間 へ 寝る 。 吾輩 は いつでも 彼等 の 中間 に 己れ を 容る べき 余地 を 見出して どうにかこうにか 割り込む のである が 、 運悪く 小 供 の 一人 が 眼 を 醒ます が 最後 大変な 事 に なる 。 小 供 は こと に 小さい 方 が 質 が わるい 猫 が 来た 猫 が 来た と いって 夜中 でも 何でも 大きな 声 で 泣き出す のである 。 すると 例の 神経 胃弱 性 の 主人 は 必 ( かならず) 眼 を さまして 次の 部屋 から 飛び出して くる 。 現に せんだって など は 物指 で 尻ぺた を ひどく 叩かれた 。


Chapter I - 03 chapter|i Kapitel I - 03 Chapter I - 03 Capítulo I - 03

吾輩 の 主人 は 滅多に 吾輩 と 顔 を 合せる 事 が ない 。 わがはい||あるじ||めったに|わがはい||かお||あわせる|こと|| The master of a seldom rarely has a face to face with a celebrity. 職業 は 教師 だ そうだ 。 しょくぎょう||きょうし||そう だ The occupation is a teacher. 学校 から 帰る と 終日 書斎 に 這入った ぎり ほとんど 出て 来る 事 が ない 。 がっこう||かえる||しゅうじつ|しょさい||は はいった|||でて|くる|こと|| When I get back from school, I get into the study all day and almost nothing comes out. 家 の もの は 大変な 勉強家 だ と 思って いる 。 いえ||||たいへんな|べんきょう か|||おもって| I think that the ones at home are hardships. 当人 も 勉強家 である か の ごとく 見せて いる 。 とうにん||べんきょう か|||||みせて| He also shows that he is a study house. しかし 実際 は うち の もの が いう ような 勤勉家 で は ない 。 |じっさい||||||||きんべん か||| However, in reality, one of them is not a diligent person. 吾輩 は 時々 忍び足 に 彼 の 書斎 を 覗いて 見る が 、 彼 は よく 昼寝 を して いる 事 が ある 。 わがはい||ときどき|しのびあし||かれ||しょさい||のぞいて|みる||かれ|||ひるね||||こと|| He sometimes crawls and looks into his study, but he often takes a nap. 時々 読み かけて ある 本 の 上 に 涎 を たらして いる 。 ときどき|よみ|||ほん||うえ||よだれ||| I am hanging out on a book that I read from time to time. 彼 は 胃弱 で 皮膚 の 色 が 淡黄色 を 帯びて 弾力 の ない 不活溌 な 徴候 を あらわして いる 。 かれ||い じゃく||ひふ||いろ||あわ きいろ||おびて|だんりょく|||ふ かつ はつ||ちょうこう||| He has a weak stomach, a pale yellow skin, and an inactive and inflexible sign. その 癖 に 大飯 を 食う 。 |くせ||おおい||くう I eat large rice at that bowl. 大飯 を 食った 後 で タカジヤスターゼ を 飲む 。 おおい||くった|あと||||のむ Drink Takajiyastase after eating Oi. 飲んだ 後 で 書物 を ひろげる 。 のんだ|あと||しょもつ|| Spread the books after drinking. 二三 ページ 読む と 眠く なる 。 ふみ|ぺーじ|よむ||ねむく| It makes me sleepy when I read a few pages. 涎 を 本 の 上 へ 垂らす 。 よだれ||ほん||うえ||たらす Drop a rose on top of the book. これ が 彼 の 毎夜 繰り返す 日課 である 。 ||かれ||まいよ|くりかえす|にっか| This is his daily routine to repeat every night. 吾輩 は 猫 な がら 時々 考える 事 が ある 。 わがはい||ねこ|||ときどき|かんがえる|こと|| I have a cat sometimes thinking about it. 教師 と いう もの は 実に 楽な もの だ 。 きょうし|||||じつに|らくな|| Teachers are really easy. 人間 と 生れたら 教師 と なる に 限る 。 にんげん||うまれたら|きょうし||||かぎる If you are born with humans, you are limited to becoming a teacher. こんなに 寝て いて 勤まる もの なら 猫 に でも 出来 ぬ 事 は ない と 。 |ねて||つとまる|||ねこ|||でき||こと||| A cat wouldn't be able to do so much if she sleeps and works. それ でも 主人 に 云わせる と 教師 ほど つらい もの は ない そうで 彼 は 友達 が 来る 度 ( たび ) に 何とかかんとか 不平 を 鳴らして いる 。 ||あるじ||うん わ せる||きょうし||||||そう で|かれ||ともだち||くる|たび|||なんとか かんと か|ふへい||ならして| Still, when I tell my husband, it seems that it is not as painful as a teacher, and he manages to complain whenever he has friends (often). Aún así, mi esposo dice que no es tan doloroso como un maestro, y se las arregla para quejarse cada vez que viene un amigo (cada vez). 吾輩 が この 家 へ 住み込んだ 当時 は 、 主人 以外 の もの に は はなはだ 不 人望 であった 。 わがはい|||いえ||すみこんだ|とうじ||あるじ|いがい||||||ふ|じんぼう| When I settled in this house, I had no hope of anything but the master. En el momento en que vivía en esta casa, no estaba dispuesta a hacer nada más que mi marido. どこ へ 行って も 跳ね 付け られて 相手 に して くれ 手がなかった 。 ||おこなって||はね|つけ||あいて||||て が なかった Everywhere I went, I was bounced and couldn't help me. No importa a dónde fuera, fui rechazado y no tuve más remedio que lidiar con la otra parte. いかに 珍重 されなかった か は 、 今日 に 至る まで 名前 さえ つけて くれ ない ので も 分る 。 |ちんちょう|さ れ なかった|||きょう||いたる||なまえ|||||||ぶん る I don't know how much it wasn't so much, because I don't even give a name until today. Puede ver lo raro que era, incluso hasta el día de hoy, porque ni siquiera le da un nombre. 吾輩 は 仕方 が ない から 、 出来得る限り 吾輩 を 入れて くれた 主人 の 傍 に いる 事 を つとめた 。 わがはい||しかた||||でき うる かぎり|わがはい||いれて||あるじ||そば|||こと|| Since I could not help it, I tried to be as close as possible to the master who was able to include me. 朝 主人 が 新聞 を 読む とき は 必ず 彼 の 膝 の 上 に 乗る 。 あさ|あるじ||しんぶん||よむ|||かならず|かれ||ひざ||うえ||のる Whenever my husband reads the newspaper, he should sit on his knees. 彼 が 昼寝 を する とき は 必ず その 背中 に 乗る 。 かれ||ひるね|||||かならず||せなか||のる Whenever he takes a nap, he rides on his back. これ は あながち 主 人 が 好き と いう 訳 で は ない が 別に 構い手 が なかった から やむを得ん のである 。 |||おも|じん||すき|||やく|||||べつに|かまい て||||やむ を え ん| This is not because I like my husband, but I have to quit because I have no choice. その後 いろいろ 経験 の 上 、 朝 は 飯櫃 の 上 、 夜 は 炬燵 の 上 、 天気 の よい 昼 は 椽側 へ 寝る 事 と した 。 そのご||けいけん||うえ|あさ||めしびつ||うえ|よ||こたつ||うえ|てんき|||ひる||たるきがわ||ねる|こと|| After that, after a lot of experience, I decided to sleep on the rice chest in the morning, on the kotatsu at night, and on the parlor side during the day when the weather was fine. しかし 一 番 心 持 の 好 い の は 夜 に 入って ここ の うち の 小 供 の 寝床 へ もぐり込んで いっしょに ねる 事 である 。 |ひと|ばん|こころ|じ||よしみ||||よ||はいって|||||しょう|とも||ねどこ||もぐりこんで|||こと| But my favorite thing is to come in at night and crawl into the children's bed here and sleep with them. この 小 供 と いう の は 五つ と 三つ で 夜 に なる と 二人 が 一 つ 床 へ 入って 一間 へ 寝る 。 |しょう|とも|||||いつ つ||みっつ||よ||||ふた り||ひと||とこ||はいって|ひと かん||ねる There are five and three small children, and at night, two people go to bed and sleep for one night. 吾輩 は いつでも 彼等 の 中間 に 己れ を 容る べき 余地 を 見出して どうにかこうにか 割り込む のである が 、 運悪く 小 供 の 一人 が 眼 を 醒ます が 最後 大変な 事 に なる 。 わがはい|||かれら||ちゅうかん||おのれ れ||よう る||よち||みいだして|どうにか こう に か|わりこむ|||うん わるく|しょう|とも||ひとり||がん||せいます||さいご|たいへんな|こと|| I always try to find a room for myself in the middle of them, and somehow break into it, but unfortunately one of the small ones woke up, but the last thing to happen. 小 供 は こと に 小さい 方 が 質 が わるい 猫 が 来た 猫 が 来た と いって 夜中 でも 何でも 大きな 声 で 泣き出す のである 。 しょう|とも||||ちいさい|かた||しち|||ねこ||きた|ねこ||きた|||よなか||なんでも|おおきな|こえ||なきだす| The little ones, especially the smaller ones, have a bad quality. The cats come, and even when the cats come, they start crying out loud in the middle of the night. すると 例の 神経 胃弱 性 の 主人 は 必 ( かならず) 眼 を さまして 次の 部屋 から 飛び出して くる 。 |れいの|しんけい|い じゃく|せい||あるじ||ひつ||がん|||つぎの|へや||とびだして| Then the owner of the nerve-stomach vulnerabilities inevitably (if any) keeps his eyes closed and jumps out of the next room. 現に せんだって など は 物指 で 尻ぺた を ひどく 叩かれた 。 げんに||||ぶつ ゆび||しり ぺた|||たたかれた In fact, I was hit hard on the hip pad with my finger.