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The Most Famous Yōkai (妖怪), 酒呑童子 | 羅 生 門 の 鬼

酒呑童子 | 羅 生 門 の 鬼

今 から 千 年 以上 も むかし 、京 の 都 に は 酒呑童子 (しゅ てん どうじ )と いう 、恐ろしい 鬼 の 親分 が いました。

酒呑童子 は 大江 山 (おおえ やま )を 隠れ家 に して 、都 へ 現れて は 仲間 たち と 悪い 事 を 重ねた 鬼 でした が 、源 頼光 (みなもと の より みつ )の 家来 の 渡辺 綱 (わた なべ の つな )、卜部 季 武 (うら べ の すえ たけ )、碓井 貞光 (うすい さ だ みつ )、坂田 金 時 (さ かた の き ん とき )の 四 人 が 山伏 (やまぶし )に 姿 を 変えて 、酒 呑童 子 を 見事に せいばつ した のです。

酒 呑童 子 を せいばつ して 都 に 平和 を 取り戻した 四 人 は 、ある 夜 に 集まって お 酒 を 飲んで いました。

最初 は たわい も ない 世間話 を して いました が 、やがて 四 人 の 話 は 羅 生 門 (ら しょうもん )と いう ところ に 夜な夜な 現れる 化け物 の 話 に なり 、リーダー 格 の 貞光 (さ だ みつ )が みんな に 尋ねました。

「羅 生 門 に 住む 化け物 は 鬼 だ と 言われて おる が 、おのおの 方 は どう 思わ れる?

「鬼 か 、それ は あり うる 事 じゃ」

「うむ。 おる かも しれ ん のう」

季 武 (すえた け )と 金 時 (きん とき )が 言う と 、一 番 年 の 若い 渡辺 綱 (わた なべ の つな )が 、むき に なって 反対 しました。

「鬼 と は 、信じられません。 鬼 は 大江 山 で 、我々 が 全部 退治 した では ありません か」

「確かに な。 しかし 、取り残し が あった かも しれ ん ぞ」

「いいえ。 鬼 ども は 、確かに 全部 退治 した はず」

「まあまあ 、そう むき に なる な」

「それ なら いっそ 、羅 生 門 に 行って 確かめて は どう だ?

「わかりました。 では 、わたし が 確か めに 行きます」

こうして 渡辺 綱 が 羅 生 門 に 行く 事 に なり 、仲間 の 三 人 は 渡辺 綱 に 言いました。

「いい か。 本当に 羅 生 門 へ 行った 事 が わかる 様 に 、高 札 (こうさつ )を 立てて こい よ」

外 に 出る と 、いつの間にか 生暖かい 雨 が 降って いました。

馬 に 乗って 羅 生 門 に やってきた 綱 は 、楼門 (ろうもん →二 階 造り の 門 )を 見上げて 辺り を 見回しました。

し ー ん と 静まり返り 、何 か が ひそんで いる 様 な 気配 は ありません。

「ふん 、鬼 どころ か 、人 一 人 おら ん じゃ ない か」

綱 は 鼻先 で 笑う と 、約束 の 高 札 を 羅生門 の 門前 に 打ち立てました。

《渡辺 綱。 約束 に より て 羅 生 門 、門前 に 参上 す》

そして 綱 が 帰ろう と した 時 、暗い 柱 の かげ から 一 人 の 若い 娘 が 現れました。

(いつの間に? それにしても 、こんな 夜ふけ に 娘 が 一 人 で どこ へ 行く のだろう? )

不思議に 思った 綱 が 声 を 掛ける と 、娘 が 答えました。

「わたし は これ から 、五 条 の 父 の ところ へ 戻ら ねば なり ませ ぬ。 でも 、雨 が 降って 道 が ぬかるみ 、困って いた ので ございます」

「ほう 、五 条 なら わたし の 帰る 方 と 同じ じゃ。 それ なら 、一緒に 馬 に 乗って いか れる が よい」

そう 言って 綱 が 娘 に 手 を 差し伸べた 時 、娘 の 姿 が 鬼 に 変わった か と 思う と 、ものすごい 力 で 綱 の 首 を しめつけて きました。

「ぐっ!

綱 が 刀 に 手 を 掛ける と 、鬼 は 首 から 手 を 離して 空中 高く 舞い上がります。

「おのれ! き さま が 羅 生 門 の 鬼 であった か」

「アハハハハハッ 、今さら 分かって も 、もう 遅い わ!

空中 の 鬼 が 再び 綱 に 襲い掛かりました が 、綱 は その 攻撃 を かわす と 、鬼 の 一瞬 の すき を ついて 鬼 の 腕 を 切り落としました。

「えい!

「ウギャァァァァッ!

腕 を 切り落とされた 鬼 は 空中 へ 逃げる と 、綱 を にらみつけて 言いました。

「綱 よ 、その 腕 を 七 日間 だけ 、き さま に あずける! 腕 は 必ず 、取り戻し に 行く から な!

そして 鬼 は 、空 高く 舞い上がって 消えました。

「やはり 鬼 が いた の か」

綱 は 切り落とした 鬼 の 腕 を 拾う と 、戻って 仲間 たち に 見せました。

その 鬼 の 腕 は 、はがね の 様 に 固く 太い 腕 で 、針 を 突き刺した 様 な 毛 が 一面 に 生えて います。

「一 人 で 鬼 の 腕 を 切り落とす と は 、大した もの だ」

「全く だ。 だが 七 日 の 間 に 鬼 が 腕 を 取り戻し に 来る のだろう。 大丈夫 か?

心配 する 仲間 の 言葉 に 、綱 は 胸 を 張って 言いました。

「大丈夫。 鬼 が 腕 を 取り に 来たら 、返り 討ち に して くれる わ」

その 日 から 綱 は 、鬼 の 腕 を 頑丈な 木箱 に 入れる と 家 の 警護 を げんじゅうに しました。

綱 は 鬼 の 腕 から ひと 時 も 離れ ず 、昼 も 夜 も 見守りました。

そうして 何事 も なく 、七 日 目 を むかえました。

その 夜 は 月 の 美しい 夜 で 、一 人 の 老婆 (ろうば )が 綱 の 家 を おとずれました。

老婆 が 言う に は 自分 は 綱 の おば に あたる者 で 、はるばる 難波 (なん ば →大阪 )から 綱 を 訪ねて 来た と 言います。

綱 は 家来 に 命じて 老婆 を 追い返そう と しました が 、老婆 は 必死に なって 言います。

「綱 に 会いたい 一 心 で 、わざわざ 難波 から 来た のじゃ 、もう 年 で 体 も 弱り 、今夜 が 会える 最後 かも 知れ ぬ 身。 どうか ばば の 願い を 聞き届けて くだされ」

そこ で 仕方なく 、綱 は 老婆 を 屋敷 に 入れました。

老婆 は 綱 の 顔 を 見る と 、涙 を 流して 喜びました。

「綱 や 、覚えて おいで かい? お前 の おばさん じゃ よ。 お前 が 子ども の 頃 、母親 代わり に 育てた おばさん じゃ よ。 ところで 、この 物々しい 警護 は どうした の じゃ? 何 か 悪い 事 で も あった の か?

綱 は 、おばさん の 事 を 思い出せません でした が 、それ でも 問わ れる まま に 、羅 生 門 の 鬼 の 事 を 話しました。

すると 老婆 は とても 喜んで 、綱 に 言いました。

「そう かいそう かい。 たとえ 育て の 子 と は いえ 、その 様 な 手柄 を 立てて くれた と は のう。 おばさん は 、うれしゅう て なら ん わ。 ところで 綱 や。 その 鬼 の 腕 と やら を 、一目 だけ でも 見せて は くれ ぬ か?

さすが に 綱 も 、それ だけ は 断りました。

「明日 なら まだしも 、今夜 は 箱 を 開ける わけに は いきま せ ん」

「明日 か。 じゃ が わたし は 、今夜 中 に どうしても 難波 に 帰ら ねば なら ん。 それ に たとえ 鬼 が 来て も 、強い 綱 が おれば 大丈夫だろう?

こう 言われて 、さすが の 綱 も 気 が ゆるみました。

(覚えて は おら ぬ が 、子ども の 頃 に 世話に なった 事 だし)

綱 は 箱 を 開く と 、中 から 鬼 の 腕 を 取り出しました。

「これ が 、鬼 の 腕 です」

「おおっ、なんとも すごい 腕 じゃ のう。 ・・・どれ どれ 、ちょっと さわら せて おくれ」

綱 が 老婆 に 鬼 の 腕 を 差し出した その 時 、老婆 の やさし そうな 顔 が 恐ろしい 羅 生 門 の 鬼 の 顔 に なりました。

「ギャハハハハハッ。 綱 よ 、七 日 目 の 夜 、この 腕 を しか と もらった ぞっ!

「おのれっ、はかった な!

綱 が 刀 を 抜く もの 間に合わ ず 、鬼 は 自分 の 腕 を つかんだ まま 空中 高く 舞い上がり 、雲 の 中 へ と 消えて しまいました。

おしまい


酒呑童子 | 羅 生 門 の 鬼 さけ どんわらべ こ|ら|せい|もん||おに Sakumidouji | Der Dämon von Rashomon Shuten-doji | Demon of Rashomon 酒吞童子 | 罗生门的恶魔

今 から 千 年 以上 も むかし 、京 の 都 に は 酒呑童子 (しゅ てん どうじ )と いう 、恐ろしい 鬼 の 親分 が いました。 いま||せん|とし|いじょう|||けい||と|||さけ どんわらべ こ||||||おそろしい|おに||おやぶん|| More than a thousand years ago, in the capital of Kyoto, there lived a terrifying demon boss named Shutendoji.

酒呑童子 は 大江 山 (おおえ やま )を 隠れ家 に して 、都 へ 現れて は 仲間 たち と 悪い 事 を 重ねた 鬼 でした が 、源 頼光 (みなもと の より みつ )の 家来 の 渡辺 綱 (わた なべ の つな )、卜部 季 武 (うら べ の すえ たけ )、碓井 貞光 (うすい さ だ みつ )、坂田 金 時 (さ かた の き ん とき )の 四 人 が 山伏 (やまぶし )に 姿 を 変えて 、酒 呑童 子 を 見事に せいばつ した のです。 さけ どんわらべ こ||おおえ|やま||||かくれが|||と||あらわれて||なかま|||わるい|こと||かさねた|おに|||げん|よりみつ||||||けらい||わたなべ|つな|||||うらべ|き|ぶ||||||うすい|さだみつ|||||さかた|きむ|じ||||||||よっ|じん||やまぶし|||すがた||かえて|さけ|どんわらべ|こ||みごとに||| Shuten-doji was a demon who used Mt. Oe as a hideout and appeared in the capital to do bad things with his friends. Watanabe no Tsuna, Urabe no Suetake, Usui Sadamitsu, and Sakata no Kintoki appear as yamabushi priests. By changing his character, he successfully performed Shuten-doji.

酒 呑童 子 を せいばつ して 都 に 平和 を 取り戻した 四 人 は 、ある 夜 に 集まって お 酒 を 飲んで いました。 さけ|どんわらべ|こ||||と||へいわ||とりもどした|よっ|じん|||よ||あつまって||さけ||のんで| The four of them, who had restored peace to the capital through Shuten-doji, gathered one night to drink.

最初 は たわい も ない 世間話 を して いました が 、やがて 四 人 の 話 は 羅 生 門 (ら しょうもん )と いう ところ に 夜な夜な 現れる 化け物 の 話 に なり 、リーダー 格 の 貞光 (さ だ みつ )が みんな に 尋ねました。 さいしょ||たわ い|||せけんばなし||||||よっ|じん||はなし||ら|せい|もん|||||||よなよな|あらわれる|ばけもの||はなし|||りーだー|かく||さだみつ|||||||たずねました At first, they were talking about small things, but before long, the story of the four of them turned into a story about a monster that appeared nightly at a place called Rashomon. ) asked everyone.

「羅 生 門 に 住む 化け物 は 鬼 だ と 言われて おる が 、おのおの 方 は どう 思わ れる? ら|せい|もん||すむ|ばけもの||おに|||いわれて||||かた|||おもわ| "It's said that the monsters that live in Rashomon are demons, but what do you guys think?

「鬼 か 、それ は あり うる 事 じゃ」 おに||||||こと| "Demon, that's possible."

「うむ。 "Hmm. おる かも しれ ん のう」 It may be

季 武 (すえた け )と 金 時 (きん とき )が 言う と 、一 番 年 の 若い 渡辺 綱 (わた なべ の つな )が 、むき に なって 反対 しました。 き|ぶ||||きむ|じ||||いう||ひと|ばん|とし||わかい|わたなべ|つな|||||||||はんたい| When Suetake and Kintoki said this, the youngest, Watanabe no Tsuna, objected.

「鬼 と は 、信じられません。 おに|||しんじられません "I can't believe it's a demon. 鬼 は 大江 山 で 、我々 が 全部 退治 した では ありません か」 おに||おおえ|やま||われわれ||ぜんぶ|たいじ|||| The demons were on Mt. Oe, and we exterminated them all, didn't we?"

「確かに な。 たしかに| "Certainly. しかし 、取り残し が あった かも しれ ん ぞ」 |とりのこし|||||| However, there may have been something left behind."

「いいえ。 "No. 鬼 ども は 、確かに 全部 退治 した はず」 おに|||たしかに|ぜんぶ|たいじ|| The demons should definitely have been exterminated."

「まあまあ 、そう むき に なる な」 "Okay, don't be like that."

「それ なら いっそ 、羅 生 門 に 行って 確かめて は どう だ? |||ら|せい|もん||おこなって|たしかめて||| "In that case, why don't you go to Rashomon and check it out? "

「わかりました。 "understood. では 、わたし が 確か めに 行きます」 |||たしか||いきます I'll go check it out."

こうして 渡辺 綱 が 羅 生 門 に 行く 事 に なり 、仲間 の 三 人 は 渡辺 綱 に 言いました。 |わたなべ|つな||ら|せい|もん||いく|こと|||なかま||みっ|じん||わたなべ|つな||いいました Thus Watanabe no Tsuna went to Rashomon, and the three companions said to Watanabe no Tsuna.

「いい か。 "Okay. 本当に 羅 生 門 へ 行った 事 が わかる 様 に 、高 札 (こうさつ )を 立てて こい よ」 ほんとうに|ら|せい|もん||おこなった|こと|||さま||たか|さつ|||たてて|| Put up a sign so that people know that you really went to Rashomon."

外 に 出る と 、いつの間にか 生暖かい 雨 が 降って いました。 がい||でる||いつのまにか|なまあたたかい|あめ||ふって| Before I knew it, it was raining warmly outside.

馬 に 乗って 羅 生 門 に やってきた 綱 は 、楼門 (ろうもん →二 階 造り の 門 )を 見上げて 辺り を 見回しました。 うま||のって|ら|せい|もん|||つな||ろうもん||ふた|かい|つくり||もん||みあげて|あたり||みまわしました Tsuna, who came to Rashomon on horseback, looked up at the two-storied gate and looked around.

し ー ん と 静まり返り 、何 か が ひそんで いる 様 な 気配 は ありません。 |-|||しずまりかえり|なん|||||さま||けはい|| There is no sign of anything being hidden.

「ふん 、鬼 どころ か 、人 一 人 おら ん じゃ ない か」 |おに|||じん|ひと|じん||||| "Hmph, let alone demons, aren't you alone?"

綱 は 鼻先 で 笑う と 、約束 の 高 札 を 羅生門 の 門前 に 打ち立てました。 つな||はなさき||わらう||やくそく||たか|さつ||ら せい もん||もんぜん||うちたてました Tsuna smiled, and set up a sign of promise in front of the Rashomon Gate.

《渡辺 綱。 わたなべ|つな 約束 に より て 羅 生 門 、門前 に 参上 す》 やくそく||||ら|せい|もん|もんぜん||さんじょう| As promised, I will appear in front of the Rashomon Gate.”

そして 綱 が 帰ろう と した 時 、暗い 柱 の かげ から 一 人 の 若い 娘 が 現れました。 |つな||かえろう|||じ|くらい|ちゅう||||ひと|じん||わかい|むすめ||あらわれました Just as Tsuna was about to leave, a young girl appeared from behind a dark pillar.

(いつの間に? いつのまに (When did this happen? それにしても 、こんな 夜ふけ に 娘 が 一 人 で どこ へ 行く のだろう? ||よふけ||むすめ||ひと|じん||||いく| Anyway, where is my daughter going alone at this late hour? )

不思議に 思った 綱 が 声 を 掛ける と 、娘 が 答えました。 ふしぎに|おもった|つな||こえ||かける||むすめ||こたえました When Tsuna, who was wondering, called out, the daughter answered.

「わたし は これ から 、五 条 の 父 の ところ へ 戻ら ねば なり ませ ぬ。 ||||いつ|じょう||ちち||||もどら|||| "I must now return to Gojo's father. でも 、雨 が 降って 道 が ぬかるみ 、困って いた ので ございます」 |あめ||ふって|どう|||こまって||| But it was raining and the road was muddy, so I was in trouble."

「ほう 、五 条 なら わたし の 帰る 方 と 同じ じゃ。 |いつ|じょう||||かえる|かた||おなじ| Well, the five-way is the same as the way I go home. それ なら 、一緒に 馬 に 乗って いか れる が よい」 ||いっしょに|うま||のって|||| Then you may ride with us.

そう 言って 綱 が 娘 に 手 を 差し伸べた 時 、娘 の 姿 が 鬼 に 変わった か と 思う と 、ものすごい 力 で 綱 の 首 を しめつけて きました。 |いって|つな||むすめ||て||さしのべた|じ|むすめ||すがた||おに||かわった|||おもう|||ちから||つな||くび||| When the tsuna held out his hand to the girl saying that, the girl's appearance changed into that of a demon, and she tightened the tsuna's neck with tremendous force.

「ぐっ!

綱 が 刀 に 手 を 掛ける と 、鬼 は 首 から 手 を 離して 空中 高く 舞い上がります。 つな||かたな||て||かける||おに||くび||て||はなして|くうちゅう|たかく|まいあがります When the rope puts its hand on the sword, the demon releases its hand from its neck and soars high into the air.

「おのれ! "Hey! き さま が 羅 生 門 の 鬼 であった か」 |||ら|せい|もん||おに|| Were you the demon of Rashomon?"

「アハハハハハッ 、今さら 分かって も 、もう 遅い わ! |いまさら|わかって|||おそい| I'm not sure if I understand now, but it's already too late!

空中 の 鬼 が 再び 綱 に 襲い掛かりました が 、綱 は その 攻撃 を かわす と 、鬼 の 一瞬 の すき を ついて 鬼 の 腕 を 切り落としました。 くうちゅう||おに||ふたたび|つな||おそいかかりました||つな|||こうげき||||おに||いっしゅん|||||おに||うで||きりおとしました The demon in the air attacked Tsuna again, but Tsuna dodged the attack and cut off the demon's arm, taking advantage of the demon's momentary slackness.

「えい! Ei!

「ウギャァァァァッ!

腕 を 切り落とされた 鬼 は 空中 へ 逃げる と 、綱 を にらみつけて 言いました。 うで||きりおとされた|おに||くうちゅう||にげる||つな|||いいました The demon, whose arm had been cut off, fled into the air, glanced at the rope and said, "I'm going to get you out of here.

「綱 よ 、その 腕 を 七 日間 だけ 、き さま に あずける! つな|||うで||なな|にち かん||||| "Tsuna, let me entrust your arm to you for seven days only! 腕 は 必ず 、取り戻し に 行く から な! うで||かならず|とりもどし||いく|| I'll definitely go get my arm back!

そして 鬼 は 、空 高く 舞い上がって 消えました。 |おに||から|たかく|まいあがって|きえました The demon soared high into the sky and disappeared.

「やはり 鬼 が いた の か」 |おに|||| I knew there was a demon.

綱 は 切り落とした 鬼 の 腕 を 拾う と 、戻って 仲間 たち に 見せました。 つな||きりおとした|おに||うで||ひろう||もどって|なかま|||みせました Tsuna picked up the demon's arm that he had cut off and returned to show it to his friends.

その 鬼 の 腕 は 、はがね の 様 に 固く 太い 腕 で 、針 を 突き刺した 様 な 毛 が 一面 に 生えて います。 |おに||うで||||さま||かたく|ふとい|うで||はり||つきさした|さま||け||いちめん||はえて| The demon's arm is thick and hard, like steel, and has hair that looks like it's been pierced with a needle.

「一 人 で 鬼 の 腕 を 切り落とす と は 、大した もの だ」 ひと|じん||おに||うで||きりおとす|||たいした|| "It's quite a feat to cut off a demon's arm all by yourself."

「全く だ。 まったく| だが 七 日 の 間 に 鬼 が 腕 を 取り戻し に 来る のだろう。 |なな|ひ||あいだ||おに||うで||とりもどし||くる| But in seven days, the demon will come to take back his arm. 大丈夫 か? だいじょうぶ|

心配 する 仲間 の 言葉 に 、綱 は 胸 を 張って 言いました。 しんぱい||なかま||ことば||つな||むね||はって|いいました At the words of his worried companion, Tsuna puffed out his chest and said,

「大丈夫。 だいじょうぶ "are you OK. 鬼 が 腕 を 取り に 来たら 、返り 討ち に して くれる わ」 おに||うで||とり||きたら|かえり|うち|||| If a demon comes to take my arm, he'll kill me."

その 日 から 綱 は 、鬼 の 腕 を 頑丈な 木箱 に 入れる と 家 の 警護 を げんじゅうに しました。 |ひ||つな||おに||うで||がんじょうな|きばこ||いれる||いえ||けいご||| From that day on, Tsuna put the demon's arm in a sturdy wooden box and began guarding the house.

綱 は 鬼 の 腕 から ひと 時 も 離れ ず 、昼 も 夜 も 見守りました。 つな||おに||うで|||じ||はなれ||ひる||よ||みまもりました The rope never left the demon's arms, watching over him day and night.

そうして 何事 も なく 、七 日 目 を むかえました。 |なにごと|||なな|ひ|め|| The seventh day passed without incident.

その 夜 は 月 の 美しい 夜 で 、一 人 の 老婆 (ろうば )が 綱 の 家 を おとずれました。 |よ||つき||うつくしい|よ||ひと|じん||ろうば|||つな||いえ|| It was a beautiful night with a beautiful moon, and an old woman came to Tsuna's house.

老婆 が 言う に は 自分 は 綱 の おば に あたる者 で 、はるばる 難波 (なん ば →大阪 )から 綱 を 訪ねて 来た と 言います。 ろうば||いう|||じぶん||つな||||あたる もの|||なにわ|||おおさか||つな||たずねて|きた||いいます The old woman said that she was Tsuna's aunt and had come all the way from Namba to visit Tsuna.

綱 は 家来 に 命じて 老婆 を 追い返そう と しました が 、老婆 は 必死に なって 言います。 つな||けらい||めいじて|ろうば||おいかえそう||||ろうば||ひっしに||いいます Tsuna ordered his servants to drive the old woman away, but the old woman said desperately.

「綱 に 会いたい 一 心 で 、わざわざ 難波 から 来た のじゃ 、もう 年 で 体 も 弱り 、今夜 が 会える 最後 かも 知れ ぬ 身。 つな||あいたい|ひと|こころ|||なにわ||きた|||とし||からだ||よわり|こんや||あえる|さいご||しれ||み "I came all the way from Namba just to see Tsuna, but I'm old and weak, and tonight might be the last time I see you. どうか ばば の 願い を 聞き届けて くだされ」 |||ねがい||ききとどけて| Please listen to my grandma's wishes."

そこ で 仕方なく 、綱 は 老婆 を 屋敷 に 入れました。 ||しかたなく|つな||ろうば||やしき||いれました

老婆 は 綱 の 顔 を 見る と 、涙 を 流して 喜びました。 ろうば||つな||かお||みる||なみだ||ながして|よろこびました When the old woman saw Tsuna's face, she burst into tears of joy.

「綱 や 、覚えて おいで かい? つな||おぼえて|| "Do you remember the rope? お前 の おばさん じゃ よ。 おまえ|||| It's your aunt. お前 が 子ども の 頃 、母親 代わり に 育てた おばさん じゃ よ。 おまえ||こども||ころ|ははおや|かわり||そだてた||| She is the aunt who raised you as a child as if she were your mother. ところで 、この 物々しい 警護 は どうした の じゃ? ||ものものしい|けいご|||| By the way, what's wrong with this fancy guard? 何 か 悪い 事 で も あった の か? なん||わるい|こと||||| Did something bad happen?

綱 は 、おばさん の 事 を 思い出せません でした が 、それ でも 問わ れる まま に 、羅 生 門 の 鬼 の 事 を 話しました。 つな||||こと||おもいだせません|||||とわ||||ら|せい|もん||おに||こと||はなしました Tsuna couldn't remember his aunt, but he nevertheless told him about the demon of Rashomon.

すると 老婆 は とても 喜んで 、綱 に 言いました。 |ろうば|||よろこんで|つな||いいました The old woman was very happy and said to Tsuna, "I'm going to go to the beach.

「そう かいそう かい。 I'm not sure if that's a good thing or not. たとえ 育て の 子 と は いえ 、その 様 な 手柄 を 立てて くれた と は のう。 |そだて||こ|||||さま||てがら||たてて|||| Even though he was a child of upbringing, it is said that he made such a achievement. おばさん は 、うれしゅう て なら ん わ。 I can't be happy. ところで 綱 や。 |つな| その 鬼 の 腕 と やら を 、一目 だけ でも 見せて は くれ ぬ か? |おに||うで||||いちもく|||みせて|||| Can you show me at least a glimpse of that demon's arm?

さすが に 綱 も 、それ だけ は 断りました。 ||つな|||||ことわりました As expected, Tsuna refused to do so.

「明日 なら まだしも 、今夜 は 箱 を 開ける わけに は いきま せ ん」 あした|||こんや||はこ||あける||||| "I can't open the box tonight, even if it will be tomorrow."

「明日 か。 あした| じゃ が わたし は 、今夜 中 に どうしても 難波 に 帰ら ねば なら ん。 ||||こんや|なか|||なにわ||かえら||| But I must return to Namba by the end of the night. それ に たとえ 鬼 が 来て も 、強い 綱 が おれば 大丈夫だろう? |||おに||きて||つよい|つな|||だいじょうぶだろう And even if the ogres come, we'll be fine with a strong rope, won't we?

こう 言われて 、さすが の 綱 も 気 が ゆるみました。 |いわれて|||つな||き|| Hearing this, even the ropes loosened up.

(覚えて は おら ぬ が 、子ども の 頃 に 世話に なった 事 だし) おぼえて|||||こども||ころ||せわに||こと| (I don't remember, but I was taken care of when I was a child.)

綱 は 箱 を 開く と 、中 から 鬼 の 腕 を 取り出しました。 つな||はこ||あく||なか||おに||うで||とりだしました Tsuna opens the box and removes the demon's arm from inside.

「これ が 、鬼 の 腕 です」 ||おに||うで| This is the demon's arm.

「おおっ、なんとも すごい 腕 じゃ のう。 |||うで|| "Oh, what an amazing arm you have! ・・・どれ どれ 、ちょっと さわら せて おくれ」 Please let me touch you for a moment."

綱 が 老婆 に 鬼 の 腕 を 差し出した その 時 、老婆 の やさし そうな 顔 が 恐ろしい 羅 生 門 の 鬼 の 顔 に なりました。 つな||ろうば||おに||うで||さしだした||じ|ろうば|||そう な|かお||おそろしい|ら|せい|もん||おに||かお|| When Tsuna presented the demon's arm to the old woman, the old woman's gentle face turned into the face of the demon from Rashomon.

「ギャハハハハハッ。 綱 よ 、七 日 目 の 夜 、この 腕 を しか と もらった ぞっ! つな||なな|ひ|め||よ||うで||||| Tsuna, on the seventh night, I received this arm for nothing!

「おのれっ、はかった な! "Oh my god! "

綱 が 刀 を 抜く もの 間に合わ ず 、鬼 は 自分 の 腕 を つかんだ まま 空中 高く 舞い上がり 、雲 の 中 へ と 消えて しまいました。 つな||かたな||ぬく||まにあわ||おに||じぶん||うで||||くうちゅう|たかく|まいあがり|くも||なか|||きえて| Tsuna pulls out his sword in time, but the ogre soars high into the air and disappears into the clouds while still holding onto his arm.

おしまい