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Aozora Bunko Readings (4-5mins), 99. 永日小品 声 - 夏目漱石

99. 永日小品 声 - 夏目漱石

永 日 小 品 声 - 夏目 漱石

豊三郎 が この 下宿 へ 越して 来て から 三 日 に なる 。 始め の 日 は 、 薄暗い 夕 暮 の 中 に 、 一生懸命に 荷物 の 片づけ やら 、 書物 の 整理 やら で 、 忙しい 影 の ごとく 動いて いた 。 それ から 町 の 湯 に 入って 、 帰る や 否 や 寝て しまった 。 明る 日 は 、 学校 から 戻る と 、 机 の 前 へ 坐って 、 しばらく 書 見 を して 見た が 、 急に 居所 が 変った せい か 、 全く 気 が 乗ら ない 。 窓 の 外 で しきりに 鋸 の 音 が する 。 ・・

豊三郎 は 坐った まま 手 を 延 して 障子 を 明けた 。 すると 、 つい 鼻 の 先 で 植木 屋 が せっせと 梧桐 の 枝 を おろして いる 。 可 なり 大きく 延びた 奴 を 、 惜気 も なく 股 の 根 から 、 ご しご し 引いて は 、 下 へ 落して 行く 内 に 、 切口 の 白い 所 が 目立つ くらい 夥 しく なった 。 同時に 空しい 空 が 遠く から 窓 に あつまる ように 広く 見え 出した 。 豊三郎 は 机 に 頬杖 を 突いて 、 何気なく 、 梧桐 の 上 を 高く 離れた 秋晴 を 眺めて いた 。 ・・

豊三郎 が 眼 を 梧桐 から 空 へ 移した 時 は 、 急に 大きな 心 持 が した 。 その 大きな 心 持 が 、 しばらく して 落ちついて 来る うち に 、 懐かしい 故郷 の 記憶 が 、 点 を 打った ように 、 その 一角 に あらわれた 。 点 は 遥か の 向 に ある けれども 、 机 の 上 に 乗せた ほど 明らかに 見えた 。 ・・

山 の 裾 に 大きな 藁葺 が あって 、 村 から 二 町 ほど 上る と 、 路 は 自分 の 門 の 前 で 尽きて いる 。 門 を 這 入る 馬 が ある 。 鞍 の 横 に 一 叢 の 菊 を 結い つけて 、 鈴 を 鳴らして 、 白壁 の 中 へ 隠れて しまった 。 日 は 高く 屋 の 棟 を 照らして いる 。 後 の 山 を 、 こんもり 隠す 松 の 幹 が ことごとく 光って 見える 。 茸 の 時節 である 。 豊三郎 は 机 の 上 で 今 採った ばかりの 茸 の 香 を 嗅いだ 。 そうして 、 豊 、 豊 と いう 母 の 声 を 聞いた 。 その 声 が 非常に 遠く に ある 。 それ で 手 に 取る ように 明らかに 聞える 。 ―― 母 は 五 年 前 に 死んで しまった 。 ・・

豊三郎 は ふと 驚いて 、 わが 眼 を 動かした 。 すると 先刻 見た 梧桐 の 先 が また 眸 に 映った 。 延びよう と する 枝 が 、 一 所 で 伐 り 詰められて いる ので 、 股 の 根 は 、 瘤 で 埋まって 、 見悪い ほど 窮屈に 力 が 入って いる 。 豊三郎 は また 急に 、 机 の 前 に 押しつけられた ような 気 が した 。 梧桐 を 隔てて 、 垣根 の 外 を 見下す と 、 汚 ない 長屋 が 三四 軒 ある 。 綿 の 出た 蒲 団 が 遠慮 なく 秋 の 日 に 照りつけられて いる 。 傍 に 五十 余り の 婆さん が 立って 、 梧桐 の 先 を 見て いた 。 ・・

ところどころ 縞 の 消え かかった 着物 の 上 に 、 細 帯 を 一筋 巻いた なり で 、 乏しい 髪 を 、 大きな 櫛 の まわり に 巻きつけて 、 茫然と 、 枝 を 透かした 梧桐 の 頂 辺 を 見た まま 立って いる 。 豊三郎 は 婆さん の 顔 を 見た 。 その 顔 は 蒼 く むくんで いる 。 婆さん は 腫れぼったい 瞼 の 奥 から 細い 眼 を 出して 、 眩 し そうに 豊三郎 を 見上げた 。 豊三郎 は 急に 自分 の 眼 を 机 の 上 に 落した 。 ・・

三 日 目 に 豊三郎 は 花屋 へ 行って 菊 を 買って 来た 。 国 の 庭 に 咲く ような の を と 思って 、 探して 見た が 見当ら ない ので 、 やむ を え ず 花屋 の あてがった の を 、 そのまま 三 本 ほど 藁 で 括って 貰って 、 徳利 の ような 花瓶 へ 活 けた 。 行 李 の 底 から 、 帆足 万里 の 書いた 小さい 軸 を 出して 、 壁 へ 掛けた 。 これ は 先年 帰省 した 時 、 装飾 用 の ため に わざわざ 持って 来た もの である 。 それ から 豊三郎 は 座 蒲 団 の 上 へ 坐って 、 しばらく 軸 と 花 を 眺めて いた 。 その 時 窓 の 前 の 長屋 の 方 で 、 豊 々 と 云 う 声 が した 。 その 声 が 調子 と 云 い 、 音色 と いい 、 優しい 故郷 の 母 に 少しも 違わ ない 。 豊三郎 は たちまち 窓 の 障子 を がらり と 開けた 。 すると 昨日 見た 蒼 ぶ くれ の 婆さん が 、 落ち かかる 秋 の 日 を 額 に 受けて 、 十二三 に なる 鼻 垂 小僧 を 手招き して いた 。 がらり と 云 う 音 が する と 同時に 、 婆さん は 例 の むくんだ 眼 を 翻 え して 下 から 豊三郎 を 見上げた 。

99. 永日小品 声 - 夏目漱石 ひさし にち しょう しな|こえ|なつめ そうせき 99. Eternal Pieces Voice - Natsume Soseki 99. Voz de Eternal Pieces - Natsume Soseki

永 日 小 品 声 - 夏目 漱石 なが|ひ|しょう|しな|こえ|なつめ|そうせき Ewige Tag kleine Gegenstandsstimme --Natsume Soseki

豊三郎 が この 下宿 へ 越して 来て から 三 日 に なる 。 とよさぶろう|||げしゅく||こして|きて||みっ|ひ|| Es ist drei Tage her, seit Toyosaburo in diese Pension kam. It's been three days since Toyosaburo came to this boarding house. 始め の 日 は 、 薄暗い 夕 暮 の 中 に 、 一生懸命に 荷物 の 片づけ やら 、 書物 の 整理 やら で 、 忙しい 影 の ごとく 動いて いた 。 はじめ||ひ||うすぐらい|ゆう|くら||なか||いっしょうけんめいに|にもつ||かたづけ||しょもつ||せいり|||いそがしい|かげ|||うごいて| Am ersten Tag, an dem schwach beleuchteten Abend, arbeitete ich wie ein geschäftiger Schatten, räumte mein Gepäck auf und organisierte meine Bücher. On the first day, in the dimly lit evening, I worked hard to clean up my luggage, organize my books, and move like a busy shadow. それ から 町 の 湯 に 入って 、 帰る や 否 や 寝て しまった 。 ||まち||ゆ||はいって|かえる||いな||ねて| Dann ging ich ins heiße Wasser der Stadt und schlief ein, sobald ich nach Hause kam. 明る 日 は 、 学校 から 戻る と 、 机 の 前 へ 坐って 、 しばらく 書 見 を して 見た が 、 急に 居所 が 変った せい か 、 全く 気 が 乗ら ない 。 あかる|ひ||がっこう||もどる||つくえ||ぜん||すわって||しょ|み|||みた||きゅうに|いどころ||かわった|||まったく|き||のら| An einem hellen Tag, als ich von der Schule zurückkam, setzte ich mich an meinen Schreibtisch und las eine Weile ein Buch, aber ich fühlte mich überhaupt nicht, wahrscheinlich weil sich mein Aufenthaltsort plötzlich änderte. 窓 の 外 で しきりに 鋸 の 音 が する 。 まど||がい|||のこぎり||おと|| ・・

豊三郎 は 坐った まま 手 を 延 して 障子 を 明けた 。 とよさぶろう||すわった||て||のぶ||しょうじ||あけた すると 、 つい 鼻 の 先 で 植木 屋 が せっせと 梧桐 の 枝 を おろして いる 。 ||はな||さき||うえき|や|||ごきり||えだ||| 可 なり 大きく 延びた 奴 を 、 惜気 も なく 股 の 根 から 、 ご しご し 引いて は 、 下 へ 落して 行く 内 に 、 切口 の 白い 所 が 目立つ くらい 夥 しく なった 。 か||おおきく|のびた|やつ||せきき|||また||ね|||||ひいて||した||おとして|いく|うち||きりくち||しろい|しょ||めだつ||か|| Der weiße Teil des Schnitts wurde auffällig, als er großzügig aus der Wurzel seines Schrittes gezogen und herunterfiel. 同時に 空しい 空 が 遠く から 窓 に あつまる ように 広く 見え 出した 。 どうじに|むなしい|から||とおく||まど||||ひろく|みえ|だした Gleichzeitig schien der leere Himmel weit zu erscheinen, als würde er sich aus der Ferne im Fenster sammeln. 豊三郎 は 机 に 頬杖 を 突いて 、 何気なく 、 梧桐 の 上 を 高く 離れた 秋晴 を 眺めて いた 。 とよさぶろう||つくえ||ほおづえ||ついて|なにげなく|ごきり||うえ||たかく|はなれた|あきばれ||ながめて| Toyosaburo durchbohrte seinen Schreibtisch mit den Wangen und sah Akiharu beiläufig an, der hoch über Aokiri war. ・・

豊三郎 が 眼 を 梧桐 から 空 へ 移した 時 は 、 急に 大きな 心 持 が した 。 とよさぶろう||がん||ごきり||から||うつした|じ||きゅうに|おおきな|こころ|じ|| When Toyosaburo moved his eyes from Aokiri to the sky, he suddenly had a big heart. その 大きな 心 持 が 、 しばらく して 落ちついて 来る うち に 、 懐かしい 故郷 の 記憶 が 、 点 を 打った ように 、 その 一角 に あらわれた 。 |おおきな|こころ|じ||||おちついて|くる|||なつかしい|こきょう||きおく||てん||うった|||いっかく|| 点 は 遥か の 向 に ある けれども 、 机 の 上 に 乗せた ほど 明らかに 見えた 。 てん||はるか||むかい||||つくえ||うえ||のせた||あきらかに|みえた Die Punkte waren weit weg, aber sie waren so deutlich sichtbar, dass ich sie auf meinen Schreibtisch legte. ・・

山 の 裾 に 大きな 藁葺 が あって 、 村 から 二 町 ほど 上る と 、 路 は 自分 の 門 の 前 で 尽きて いる 。 やま||すそ||おおきな|わらぶき|||むら||ふた|まち||のぼる||じ||じぶん||もん||ぜん||つきて| Es gibt ein großes Strohdach am Fuße des Berges, und ungefähr zwei Städte vom Dorf entfernt verläuft die Straße vor meinem Tor. 門 を 這 入る 馬 が ある 。 もん||は|はいる|うま|| Es gibt ein Pferd, das durch das Tor kriecht. 鞍 の 横 に 一 叢 の 菊 を 結い つけて 、 鈴 を 鳴らして 、 白壁 の 中 へ 隠れて しまった 。 くら||よこ||ひと|そう||きく||ゆい||すず||ならして|しらかべ||なか||かくれて| 日 は 高く 屋 の 棟 を 照らして いる 。 ひ||たかく|や||むね||てらして| Die Sonne steht hoch und beleuchtet das Gebäude des Hauses. 後 の 山 を 、 こんもり 隠す 松 の 幹 が ことごとく 光って 見える 。 あと||やま|||かくす|まつ||みき|||ひかって|みえる 茸 の 時節 である 。 きのこ||じせつ| Es ist die Jahreszeit der Pilze. 豊三郎 は 机 の 上 で 今 採った ばかりの 茸 の 香 を 嗅いだ 。 とよさぶろう||つくえ||うえ||いま|とった||きのこ||かおり||かいだ そうして 、 豊 、 豊 と いう 母 の 声 を 聞いた 。 |とよ|とよ|||はは||こえ||きいた Dann hörte ich die Stimme meiner Mutter, Yutaka, Yutaka. その 声 が 非常に 遠く に ある 。 |こえ||ひじょうに|とおく|| Die Stimme ist sehr weit weg. それ で 手 に 取る ように 明らかに 聞える 。 ||て||とる||あきらかに|きこえる So können Sie es deutlich hören, als ob Sie es aufheben. ―― 母 は 五 年 前 に 死んで しまった 。 はは||いつ|とし|ぜん||しんで| ・・

豊三郎 は ふと 驚いて 、 わが 眼 を 動かした 。 とよさぶろう|||おどろいて||がん||うごかした Toyosaburo war überrascht und bewegte meine Augen. すると 先刻 見た 梧桐 の 先 が また 眸 に 映った 。 |せんこく|みた|ごきり||さき|||ひとみ||うつった Dann spiegelte sich die Spitze von Aokiri, die ich zuvor gesehen hatte, wieder in Makoto wider. 延びよう と する 枝 が 、 一 所 で 伐 り 詰められて いる ので 、 股 の 根 は 、 瘤 で 埋まって 、 見悪い ほど 窮屈に 力 が 入って いる 。 のびよう|||えだ||ひと|しょ||ばつ||つめ られて|||また||ね||こぶ||うずまって|みにくい||きゅうくつに|ちから||はいって| 豊三郎 は また 急に 、 机 の 前 に 押しつけられた ような 気 が した 。 とよさぶろう|||きゅうに|つくえ||ぜん||おしつけ られた||き|| Toyosaburo hatte plötzlich das Gefühl, vor seinen Schreibtisch geschoben zu werden. 梧桐 を 隔てて 、 垣根 の 外 を 見下す と 、 汚 ない 長屋 が 三四 軒 ある 。 ごきり||へだてて|かきね||がい||みくだす||きたな||ながや||さんし|のき| Wenn man auf die Außenseite des Zauns über den Aokiri schaut, gibt es 34 unreine Nagaya-Häuser. 綿 の 出た 蒲 団 が 遠慮 なく 秋 の 日 に 照りつけられて いる 。 めん||でた|がま|だん||えんりょ||あき||ひ||てりつけ られて| Die Baumwollpatronen leuchten an Herbsttagen ohne zu zögern. 傍 に 五十 余り の 婆さん が 立って 、 梧桐 の 先 を 見て いた 。 そば||ごじゅう|あまり||ばあさん||たって|ごきり||さき||みて| ・・

ところどころ 縞 の 消え かかった 着物 の 上 に 、 細 帯 を 一筋 巻いた なり で 、 乏しい 髪 を 、 大きな 櫛 の まわり に 巻きつけて 、 茫然と 、 枝 を 透かした 梧桐 の 頂 辺 を 見た まま 立って いる 。 |しま||きえ||きもの||うえ||ほそ|おび||ひとすじ|まいた|||とぼしい|かみ||おおきな|くし||||まきつけて|ぼうぜんと|えだ||すかした|ごきり||いただ|ほとり||みた||たって| 豊三郎 は 婆さん の 顔 を 見た 。 とよさぶろう||ばあさん||かお||みた その 顔 は 蒼 く むくんで いる 。 |かお||あお||| 婆さん は 腫れぼったい 瞼 の 奥 から 細い 眼 を 出して 、 眩 し そうに 豊三郎 を 見上げた 。 ばあさん||はれぼったい|まぶた||おく||ほそい|がん||だして|くら||そう に|とよさぶろう||みあげた Die alte Frau sah Toyosaburo mit einem blendenden Blick an, mit ihren dünnen Augen aus dem Rücken ihrer geschwollenen Augenlider. 豊三郎 は 急に 自分 の 眼 を 机 の 上 に 落した 。 とよさぶろう||きゅうに|じぶん||がん||つくえ||うえ||おとした ・・

三 日 目 に 豊三郎 は 花屋 へ 行って 菊 を 買って 来た 。 みっ|ひ|め||とよさぶろう||はなや||おこなって|きく||かって|きた On the third day, Toyosaburo went to a flower shop and bought a chrysanthemum. 国 の 庭 に 咲く ような の を と 思って 、 探して 見た が 見当ら ない ので 、 やむ を え ず 花屋 の あてがった の を 、 そのまま 三 本 ほど 藁 で 括って 貰って 、 徳利 の ような 花瓶 へ 活 けた 。 くに||にわ||さく|||||おもって|さがして|みた||みあたら|||||||はなや||||||みっ|ほん||わら||くくって|もらって|とくり|||かびん||かつ| 行 李 の 底 から 、 帆足 万里 の 書いた 小さい 軸 を 出して 、 壁 へ 掛けた 。 ぎょう|り||そこ||ほあし|まり||かいた|ちいさい|じく||だして|かべ||かけた これ は 先年 帰省 した 時 、 装飾 用 の ため に わざわざ 持って 来た もの である 。 ||せんねん|きせい||じ|そうしょく|よう|||||もって|きた|| それ から 豊三郎 は 座 蒲 団 の 上 へ 坐って 、 しばらく 軸 と 花 を 眺めて いた 。 ||とよさぶろう||ざ|がま|だん||うえ||すわって||じく||か||ながめて| その 時 窓 の 前 の 長屋 の 方 で 、 豊 々 と 云 う 声 が した 。 |じ|まど||ぜん||ながや||かた||とよ|||うん||こえ|| Zu dieser Zeit war vor dem Fenster eine Stimme der Fülle im Reihenhaus zu hören. その 声 が 調子 と 云 い 、 音色 と いい 、 優しい 故郷 の 母 に 少しも 違わ ない 。 |こえ||ちょうし||うん||ねいろ|||やさしい|こきょう||はは||すこしも|ちがわ| 豊三郎 は たちまち 窓 の 障子 を がらり と 開けた 。 とよさぶろう|||まど||しょうじ||||あけた すると 昨日 見た 蒼 ぶ くれ の 婆さん が 、 落ち かかる 秋 の 日 を 額 に 受けて 、 十二三 に なる 鼻 垂 小僧 を 手招き して いた 。 |きのう|みた|あお||||ばあさん||おち||あき||ひ||がく||うけて|じゅうにさん|||はな|すい|こぞう||てまねき|| がらり と 云 う 音 が する と 同時に 、 婆さん は 例 の むくんだ 眼 を 翻 え して 下 から 豊三郎 を 見上げた 。 ||うん||おと||||どうじに|ばあさん||れい|||がん||ひるがえ|||した||とよさぶろう||みあげた