77. 花 かご とたいこ - 小川 未明 か|||おがわ|みめい 77. flower basket and a big octopus - OGAWA Mimei 77. cesta de flores y taiko - Mimei Ogawa 77. корзина с цветами и тайко - Мимэй Огава

花 かご とたいこ - 小川 未明 か|||おがわ|みめい Flower basket and taiko-Mimei Ogawa --

ある 日 たけ お は 、 お となり の おじさん と 、 釣り に いきました 。 |ひ|||||||||つり|| おじさん は 、 釣り の 名人 でした 。 ||つり||めいじん| いつも 、 どこ か の 川 で たくさん 魚 を 釣って こられました 。 ||||かわ|||ぎょ||つって|こら れました ・・

たけ お は 、 こんど ぜひ いっしょに つれて いって ください と おね がいした ところ 、 ついに 、 その のぞみ を たっした のでした 。 ・・

電車 を おりて 、 すこし 歩く と 、 さびしい いなか 町 に 出ました 。 でんしゃ||||あるく||||まち||でました ・・

それ を 通りぬけて から 、 道 は 、 田んぼ の 方 へ と まがる のです 。 ||とおりぬけて||どう||たんぼ||かた||||の です この 角 の ところ に 、 小さな 店 が ありました 。 |かど||||ちいさな|てん|| ・・

「 ちょっと まって て 。」 と 、 いって おじさん は 、 その 家 へ はいり 、 たばこ を お 買い に なりました 。 |||||いえ||||||かい|| また そこ に は 、 いろいろ と 釣り の 道具 も 売って いた ので 、 おじさん は 針 や 浮き など を 見て いらっしゃいました 。 ||||||つり||どうぐ||うって|||||はり||うき|||みて| ・・

たけ お は 、 ぼんやり と 前 に 立って 、 あちら の 高い 木 の 若葉 が 、 大空 に けむって いる の を 、 心から 、 美しい と 思って 、 ながめて いました 。 |||||ぜん||たって|||たかい|き||わかば||おおぞら||||||こころから|うつくしい||おもって|| ・・

その うち 、 ふと 気づく と 、 店 の ちょっと した かざり まど の ところ へ 、 二 つ ならんだ お 人形 が 、 目 に はいりました 。 |||きづく||てん|||||||||ふた||||にんぎょう||め|| かわいらしい 女の子 と 、 ぼうし を かぶった 男の子 で 、 女の子 は 、 花 かご を もち 、 男の子 は 、たいこ を たたいて いる のでした 。 |おんなのこ|||||おとこのこ||おんなのこ||か||||おとこのこ|||||| A pretty girl and a boy wearing a rice cake, a girl holding a flower basket, and a boy hitting a rice cake. 日本 の 子ども らしく ない 、 西洋 の 子ども の ふう を して いました 。 にっぽん||こども|||せいよう||こども||||| He was like a Western child, not like a Japanese child. ・・

「 船 できた 、 お 人形 か しら ん 。」 せん|||にんぎょう||| と 、 考えて いる と 、 ちょうど 、 おじさん が 出て い らしって 、「 お まち ど お さま 。」 |かんがえて||||||でて||||||| と 、 たばこ を くわえて 、 にこにこ し ながら おっしゃいました 。 そして 、 先 に 立って お 歩き に なった ので 、 たけ お も あと に ついて 、 かげろう の あがる 田んぼ 道 を いきました 。 |さき||たって||あるき|||||||||||||たんぼ|どう|| そこ ここ に 、 つみ草 を する 人 たち が ありました 。 |||つみくさ|||じん||| ・・

やっと 川 の そば へ 出る と 、 なみなみ と した 水 が 、 ゆったり と うごいて 、 日 の 光 を みなぎら せて いました 。 |かわ||||でる|||||すい|||||ひ||ひかり|||| ・・

そして 、 わすれて いた なつかしい に おい を 、 記憶 に よみがえら せました 。 |||||||きおく|||せま した ・・

それ から 二 人 が 、 草 の 上 へ こし を おろしました 。 ||ふた|じん||くさ||うえ|||| じっと 、 川 の おもて を みつめて いる と 、 青い 水 の 上 へ 、 緑色 の 空 が うつりました 。 |かわ|||||||あおい|すい||うえ||みどりいろ||から|| ・・

いつしか たけ お は 、 まだ 自分 の 知ら ない 、 遠い 外国 の こと など 空想 しました 。 |||||じぶん||しら||とおい|がいこく||||くうそう| すると 、 さっき の かわいらしい 人形 の ような 子ども が 、 そこ で あそんで いる の が 、 目 に うかびました 。 ||||にんぎょう|||こども||||||||め|| また 自分 が いけば 、 いつでも お 友だち に なって くれる ような 気 が しました 。 |じぶん|||||ともだち|||||き|| たけ お は 、 そう 思う だけ で 、 うれし さ と はずかし さ で 、 顔 が あつく なる のでした 。 ||||おもう|||||||||かお|||| ・・

パチパチ と 水 の はねる 音 が して 、 銀色 の 魚 が さお の 先 で おどって 空想 は 、 やぶら れました 。 ||すい|||おと|||ぎんいろ||ぎょ||||さき|||くうそう||| この とき おじさん が 大きな ふな を 釣られた のでした 。 ||||おおきな|||つられた| ・・

この 日 おじさん は 、 釣られた 魚 を 、 みんな たけ お のび く に 入れて くださいました 。 |ひ|||つられた|ぎょ||||||||いれて|くださ いました たけ お は 、 自分 は 釣れ なかった けれど 、 大漁 な ので 、 大よろこびでした 。 |||じぶん||つれ|||たいりょう|||おおよろこびでした ・・

帰り に もう 一 度 あの 人形 を 見られる と 思った の が 、 道 が ちがって 、 ほか の 場所 から 電車 に のった ので 、 ついに 、 人形 の ある 店 の 前 を 通ら なかった のです 。 かえり|||ひと|たび||にんぎょう||みられる||おもった|||どう|||||ばしょ||でんしゃ|||||にんぎょう|||てん||ぜん||とおら||の です ・・

電車 に のって から おじさん に 、 たばこ を 買った 店 で 、 舶来 の 人形 を 見た こと を 話す と 、・・ でんしゃ||||||||かった|てん||はくらい||にんぎょう||みた|||はなす|

「 なあ に あれ は 、 ざらに ある 安物 だ 。」 ||||||やすもの| と 、 おじさん は 、 気 に もとめられません でした 。 |||き||| ・・

物知り の おじさん の ことば だけ に 、 たけ お は 、 じき あの 人形 を 、 ほしい と 思う の を あきらめて しまった が 、 どこ か 遠い 花 の さく 野原 を 、 花 かご を もった 美しい 少女 と 、たいこ を たたく 男の子 が 、 いま でも 歩いて いる ような 気 が して 、 そう 思う だけ でも 、 なんとなく 自分 は 、 たのしかった のであります 。 ものしり||||||||||||にんぎょう||||おもう||||||||とおい|か|||のはら||か||||うつくしい|しょうじょ|||||おとこのこ||||あるいて|||き||||おもう||||じぶん|||