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Aozora Bunko Readings (4-5mins), 104. 赤い蝋燭 - 新美南吉

104. 赤い 蝋燭 - 新美 南 吉

赤い 蝋燭 - 新美 南 吉

山 から 里 の 方 へ 遊び に いった 猿 が 一 本 の 赤い 蝋燭 を 拾いました 。 赤い 蝋燭 は 沢山 ある もの では ありません 。 それ で 猿 は 赤い 蝋燭 を 花火 だ と 思い込んで しまいました 。 ・・

猿 は 拾った 赤い 蝋燭 を 大事に 山 へ 持って 帰りました 。 ・・

山 で は 大へんな 騒 に なりました 。 何しろ 花火 など と いう もの は 、 鹿 に して も 猪 に して も 兎 に して も 、 亀 に して も 、 鼬 に して も 、 狸 に して も 、 狐 に して も 、 まだ 一 度 も 見た こと が ありません 。 その 花火 を 猿 が 拾って 来た と いう のであります 。 ・・

「 ほう 、 すばらしい 」・・

「 これ は 、 すてきな もの だ 」・・

鹿 や 猪 や 兎 や 亀 や 鼬 や 狸 や 狐 が 押 合い へ しあい して 赤い 蝋燭 を 覗きました 。 すると 猿 が 、・・

「 危 い 危 い 。 そんなに 近よって は いけない 。 爆発 する から 」 と いいました 。 ・・

みんな は 驚いて 後 込 しました 。 ・・

そこ で 猿 は 花火 と いう もの が 、 どんなに 大きな 音 を して 飛出す か 、 そして どんなに 美しく 空 に ひろがる か 、 みんな に 話して 聞か せました 。 そんなに 美しい もの なら 見たい もの だ と みんな は 思いました 。 ・・

「 それ なら 、 今晩 山 の 頂上 に 行って あそこ で 打上げて 見よう 」 と 猿 が いいました 。 みんな は 大へん 喜びました 。 夜 の 空 に 星 を ふりまく ように ぱあっと ひろがる 花火 を 眼 に 浮べて みんな は うっとり しました 。 ・・

さて 夜 に なりました 。 みんな は 胸 を おどら せて 山 の 頂上 に やって行きました 。 猿 は もう 赤い 蝋燭 を 木 の 枝 に くくりつけて みんな の 来る の を 待って いました 。 ・・

いよいよ これ から 花火 を 打上げる こと に なりました 。 しかし 困った こと が 出来ました 。 と 申します の は 、 誰 も 花火 に 火 を つけよう と し なかった から です 。 みんな 花火 を 見る こと は 好きでした が 火 を つけ に いく こと は 、 好きで なかった のであります 。 ・・

これ で は 花火 は あがりません 。 そこ で くじ を ひいて 、 火 を つけ に 行く もの を 決める こと に なりました 。 第 一 に あたった もの は 亀 で ありました 。 ・・

亀 は 元気 を 出して 花火 の 方 へ やって行きました 。 だが うまく 火 を つける こと が 出来た でしょう か 。 いえ 、 いえ 。 亀 は 花火 の そば まで 来る と 首 が 自然に 引込んで しまって 出て 来 なかった ので ありました 。 ・・

そこ で くじ が また ひかれて 、 こんど は 鼬 が 行く こと に なりました 。 鼬 は 亀 より は 幾分 ましでした 。 と いう の は 首 を 引 込めて しまわ なかった から であります 。 しかし 鼬 は ひどい 近眼 で ありました 。 だから 蝋燭 の まわり を きょろきょろ と うろついて いる ばかりでありました 。 ・・

遂々 猪 が 飛出しました 。 猪 は 全く 勇 しい 獣 でした 。 猪 は ほんとうに やっていって 火 を つけて しまいました 。 ・・

みんな は びっくり して 草むら に 飛込み 耳 を 固く ふさぎました 。 耳 ばかり で なく 眼 も ふさいで しまいました 。 ・・

しかし 蝋燭 は ぽん と も いわ ず に 静かに 燃えて いる ばかりでした 。

104. 赤い 蝋燭 - 新美 南 吉 あかい|ろうそく|にいみ|みなみ|きち 104. red candle - Nankichi NIIMI 104. vela roja - Nankichi Niimi

赤い 蝋燭 - 新美 南 吉 あかい|ろうそく|にいみ|みなみ|きち

山 から 里 の 方 へ 遊び に いった 猿 が 一 本 の 赤い 蝋燭 を 拾いました 。 やま||さと||かた||あそび|||さる||ひと|ほん||あかい|ろうそく||ひろい ました 赤い 蝋燭 は 沢山 ある もの では ありません 。 あかい|ろうそく||たくさん||||あり ませ ん それ で 猿 は 赤い 蝋燭 を 花火 だ と 思い込んで しまいました 。 ||さる||あかい|ろうそく||はなび|||おもいこんで|しまい ました ・・

猿 は 拾った 赤い 蝋燭 を 大事に 山 へ 持って 帰りました 。 さる||ひろった|あかい|ろうそく||だいじに|やま||もって|かえり ました The monkey took the red candle he picked up to the mountain and took it home. ・・

山 で は 大へんな 騒 に なりました 。 やま|||たいへんな|さわ||なり ました 何しろ 花火 など と いう もの は 、 鹿 に して も 猪 に して も 兎 に して も 、 亀 に して も 、 鼬 に して も 、 狸 に して も 、 狐 に して も 、 まだ 一 度 も 見た こと が ありません 。 なにしろ|はなび||||||しか||||いのしし||||うさぎ||||かめ||||いたち||||たぬき||||きつね|||||ひと|たび||みた|||あり ませ ん その 花火 を 猿 が 拾って 来た と いう のであります 。 |はなび||さる||ひろって|きた|||のであり ます ・・

「 ほう 、 すばらしい 」・・

「 これ は 、 すてきな もの だ 」・・

鹿 や 猪 や 兎 や 亀 や 鼬 や 狸 や 狐 が 押 合い へ しあい して 赤い 蝋燭 を 覗きました 。 しか||いのしし||うさぎ||かめ||いたち||たぬき||きつね||お|あい||||あかい|ろうそく||のぞき ました すると 猿 が 、・・ |さる|

「 危 い 危 い 。 き||き| そんなに 近よって は いけない 。 |ちかよって|| 爆発 する から 」 と いいました 。 ばくはつ||||いい ました ・・

みんな は 驚いて 後 込 しました 。 ||おどろいて|あと|こみ|し ました ・・

そこ で 猿 は 花火 と いう もの が 、 どんなに 大きな 音 を して 飛出す か 、 そして どんなに 美しく 空 に ひろがる か 、 みんな に 話して 聞か せました 。 ||さる||はなび||||||おおきな|おと|||とびだす||||うつくしく|から||||||はなして|きか|せま した そんなに 美しい もの なら 見たい もの だ と みんな は 思いました 。 |うつくしい|||み たい||||||おもい ました ・・

「 それ なら 、 今晩 山 の 頂上 に 行って あそこ で 打上げて 見よう 」 と 猿 が いいました 。 ||こんばん|やま||ちょうじょう||おこなって|||うちあげて|みよう||さる||いい ました みんな は 大へん 喜びました 。 ||たいへん|よろこび ました 夜 の 空 に 星 を ふりまく ように ぱあっと ひろがる 花火 を 眼 に 浮べて みんな は うっとり しました 。 よ||から||ほし||||ぱあ っと||はなび||がん||うかべて||||し ました ・・

さて 夜 に なりました 。 |よ||なり ました みんな は 胸 を おどら せて 山 の 頂上 に やって行きました 。 ||むね||||やま||ちょうじょう||やっていき ました 猿 は もう 赤い 蝋燭 を 木 の 枝 に くくりつけて みんな の 来る の を 待って いました 。 さる|||あかい|ろうそく||き||えだ|||||くる|||まって|い ました ・・

いよいよ これ から 花火 を 打上げる こと に なりました 。 |||はなび||うちあげる|||なり ました Finally, the fireworks will be launched. しかし 困った こと が 出来ました 。 |こまった|||でき ました と 申します の は 、 誰 も 花火 に 火 を つけよう と し なかった から です 。 |もうし ます|||だれ||はなび||ひ||||||| I say this because no one wanted to light the fireworks. みんな 花火 を 見る こと は 好きでした が 火 を つけ に いく こと は 、 好きで なかった のであります 。 |はなび||みる|||すきでした||ひ|||||||すきで||のであり ます ・・

これ で は 花火 は あがりません 。 |||はなび||あがり ませ ん This will not make the fireworks go off. そこ で くじ を ひいて 、 火 を つけ に 行く もの を 決める こと に なりました 。 |||||ひ||||いく|||きめる|||なり ました 第 一 に あたった もの は 亀 で ありました 。 だい|ひと|||||かめ||あり ました The first thing that hit me was the turtle. ・・

亀 は 元気 を 出して 花火 の 方 へ やって行きました 。 かめ||げんき||だして|はなび||かた||やっていき ました だが うまく 火 を つける こと が 出来た でしょう か 。 ||ひ|||||できた|| いえ 、 いえ 。 亀 は 花火 の そば まで 来る と 首 が 自然に 引込んで しまって 出て 来 なかった ので ありました 。 かめ||はなび||||くる||くび||しぜんに|ひきこんで||でて|らい|||あり ました When the turtle came near the fireworks, it naturally retracted its neck and did not come out. ・・

そこ で くじ が また ひかれて 、 こんど は 鼬 が 行く こと に なりました 。 |||||ひか れて|||いたち||いく|||なり ました 鼬 は 亀 より は 幾分 ましでした 。 いたち||かめ|||いくぶん| と いう の は 首 を 引 込めて しまわ なかった から であります 。 ||||くび||ひ|こめて||||であり ます しかし 鼬 は ひどい 近眼 で ありました 。 |いたち|||きんがん||あり ました だから 蝋燭 の まわり を きょろきょろ と うろついて いる ばかりでありました 。 |ろうそく||||||||ばかりであり ました ・・

遂々 猪 が 飛出しました 。 すい々|いのしし||とびだし ました 猪 は 全く 勇 しい 獣 でした 。 いのしし||まったく|いさみ||けだもの| The boar was a truly courageous beast. 猪 は ほんとうに やっていって 火 を つけて しまいました 。 いのしし||||ひ|||しまい ました The boar really went for it and set it on fire. ・・

みんな は びっくり して 草むら に 飛込み 耳 を 固く ふさぎました 。 ||||くさむら||とびこみ|みみ||かたく|ふさぎ ました Everyone was so startled that they jumped into the grass and covered their ears. 耳 ばかり で なく 眼 も ふさいで しまいました 。 みみ||||がん|||しまい ました It was not only my ears but also my eyes that were blocked. ・・

しかし 蝋燭 は ぽん と も いわ ず に 静かに 燃えて いる ばかりでした 。 |ろうそく||||||||しずかに|もえて|| However, the candle was burning quietly without a sound.