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涼宮ハルヒの憂鬱, Suzumiya Haruhi no Yuuutsu - 16

Suzumiya Haruhi no Yuuutsu - 16

( セミ の 鳴き声 )

( キョン ) 何 か おかしい なんとなく そんな 気 が した

テレビ に 映る 試合 は

俺 と は まったく 縁 も ゆかり も ない 県 同士 の 戦い だ が

負けて いる ほう を なんと な ~ く 応援 して る 気分 で いる と

これ また なんと な ~ く そろそろ ハルヒ が 騒ぎ だす ような 気 が した

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( キョン の 妹 ) キョン 君 電話

言わ れ ん で も 分かって る

( ハルヒ ) 今日 あんた 暇でしょ ?

2 時 ジャスト に 駅前 集合 だ から ちゃんと 来 なさい よ

( 通話 が 切れた 音 )

( キョン ) 俺 は ひと言 も しゃ べっと ら ん のだ が

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( キョン ) なんだ ?

( ハルヒ ) 持参 物 を 言い 忘れて たわ

水着 一式 それ と 十分な お 金 ね

あと 必ず 自転車 に 乗って くる こと

オーバー

( 通話 が 切れた 音 ) ( キョン ) あ ~ あ

ハルヒ が 何 を 言いだす の か

またまた なんと な ~ く 分かって いる 気 が した

いや 違う な

正確に は “ 前 に まったく 同じ こと が あった 気 が した ” だ

いわゆる デジャヴ って やつ か

( 打 球音 ) ( アナウンサー ) 打った

( 妹 ) ああ っ

( 妹 ) ああ っ

大きい ! 大きい !

大きい ! 大きい !

大きい ! 大きい !

( キョン ) もう 夏 も 終わり か

( キョン ) もう 夏 も 終わり か

( キョン ) もう 夏 も 終わり か

鹿島 ( かしま ) の 打球 が レフト 方向 へ !

鹿島 ( かしま ) の 打球 が レフト 方向 へ !

入り ました !

♪~

~♪

( ハルヒ ) 遅い わ よ キョン

もっと やる 気 を 見せ なさい !

( キョン ) へい へい

待た せて すいません ね

( み くる ) あたし も 今 来た ところ です

( ハルヒ ) それ じゃ 全員 そろった こと だ し 出発 し ま しょ

どこ に ?

市民 プール に 決まって る じゃ ない の

( キョン ) まあ この 用意 なら そう だろう よ

( ハルヒ ) 夏 は 夏 らしく 夏 じみ た こと を し ない と いけない の

失った 時間 は 決して 取り戻す こと は でき ない の よ

だから 今 やる の

この たった 一 度 きり の 高 1 の 夏 休み に !

ちなみに プール まで は 自転車 で 行く わ よ

お前 ら も 乗って きて る の か ?

( 古泉 ( こい ずみ )) いえ 自転車 は あなた と 僕 の 2 台 だけ です

( キョン ) は っ ?

いい ? キョン 古泉 君 に 負けちゃ ダメ よ

じゃあ 出発 進行 !

( キョン ) 超 能力 禁止 !

( ハルヒ ) 2 人 と も ちゃ っちゃ と 自転車 を 置いて き なさい

キョン これ から 遊ぼう って のに 何 へばって ん の ?

( キョン ) 誰 の せい だ 誰 の !

う ~ ん この 消毒 液 の におい いかにも って 気 が する わ

早く 来 なさ ~ い 水 が ぬるくて 気持ち いい わ よ

( キョン ) 飛び込み 禁止 の 文字 が 読め ん の か あいつ は

楽し そうです ねえ

涼 宮 ( すずみ や ) さん も 結構 ―

常識 的な 楽しみ 方 を 身 に つけて きた と 思い ませ ん か ?

ああ やって 楽しげに 笑って いる 涼 宮 さん は

この世 を 揺るがす ような こと は し ない でしょう から ね

( キョン ) だ と いい のだ が …

( キョン ) どうした ?

ああ いえ

ん …

うん

多分 僕 の 気のせい です 我々 も 準備 を し ましょう か

( キョン ) 苦い もう 1 杯 !

( キョン ) こんな 光景 を 前 に も 見た ような 気 が する

なんとなく 長門 ( な が と ) が 退屈 そうに して いる ような …

( ハルヒ ) キョン !

( キョン ) そう それ で ハルヒ は こんな こと を 言いだす んだ

この 2 人 が あたし の 団員 よ

なんでも 言う こと を 聞く から なんでも 言っちゃ い なさい

さあ 遊ぶ わ よ ! 水中 ドッジボール を する の

へい へい

( キョン ) まっ よく ある こと さ デジャヴ なんて

( ハルヒ ) これ から の 活動 計画 を 考えて みた んだ けど どう かしら ?

( キョン ) なんだ これ は ?

( ハルヒ ) 残り 少ない 夏 休み を どう やって 過ごす か の 予定 表 よ

ふと 気付いた の よ

夏 休み は もう あと 2 週間 しか ない の よ ね

がく然たる 気分 に なった わ

やり 残した こと が たくさん ある ような 気 が する のに

それ だけ しか 時間 が 残って ない わけ

ここ から は 巻き で いく わ よ

( キョン ) これ を 2 週間 足らず で ?

み くる ちゃん は 何 か し たい こと ある ?

( み くる ) え ~ っと あたし は 金魚すくい が したい です

( ハルヒ ) オーケー 金魚すくい っと

ちょっと 失礼

どうも

( ハルヒ ) あした から 決行 よ

この 近く で 盆踊り やって る とこ ある ?

花火 大会 で も いい けど

僕 が 調べて おき ましょう 追って 連絡 し ます

( ハルヒ ) 金魚すくい も 忘れ ないで ね

み くる ちゃん たって の 希望 なんだ から

( 古泉 ) 了解 し ました

じゃあ 今日 は これ で 解散 !

( 古泉 ) で は 僕 も

( み くる ) あたし も

( キョン ) 長門 !

いや なんでもない んだ けど な

最近 どう だ 元気で やって る か ?

( 長門 ) 元気

( キョン ) そりゃ よかった

( キョン ) なんだ ?

なんで 俺 は 長門 に 声 なんて かけた んだ

( 会場 アナウンス ) お 客 様 に 迷子 の お 知らせ を いたし ます

( キョン ) 盆踊り ねえ

よく まあ これ だけ の 人 が 集まる もん だ … と

あの やぐら あの 出店

久しぶりの はずな のに つい 最近 来た ような 気 も する

( ハルヒ ) み くるちゃ ん

あなた が やり た がって た 金魚すくい も ある わ よ !

じゃ んじゃ ん すくい なさい

( み くる ) は ~ い

僕たち も やり ましょう か ひと 勝負 いかがです ?

やめ とく

それ より 長門 食 いもん と か どう だ ?

そんな もの に 興味 が ある の か どれ ?

( 長門 ) いい

これ

( おじさん ) は いよ 800 円 ね

( キョン ) なんとなく 世話に なって いる ような 気 が する から

それ くらい 買って やって も よかった んだ が

( ハルヒ ) 13 匹 ! いや あ 大漁 よ 大漁 !

でも そんなに いら ない から 1 匹 だけ もらって きた わ

あと み くる ちゃん の 分 も

1 個 だけ なら 食べて いい わ よ

( キョン ) あり が と よ

あれ 有希 ( ゆき ) その お 面 どうした の ?

買った

ふ ~ ん そう

わ あ ~!

わ あっ

( キョン ) 夏 で 夏 休み だった

だから できれば 忘れ たい のだ が 引っかかって いる こと が 1 つ あった

ハルヒ よ 遊ぶ の は いい が 宿題 は 終わって る の か ?

何 あんた

あれ くらい の 宿題 なんて 3 日 も あれば できる じゃ ない

( キョン ) 3 日 ?

あんな 面倒な もの は 先 にちゃ っちゃ と 終わら せて

後 顧 の 憂い なく 遊び 倒す の

( キョン ) なんで こんな ヤツ の 頭 が いい んだ

人 に 対する 天 の パラメーター 配分 は 随分 適当な んだ な

( ハルヒ ) みんな あした は 昆虫 採集 よ

一 番 多く 虫 を 捕まえた 人 に は そう ね …

1 日 だけ 団長 の 権利 を 譲って あげる !

( キョン ) いら ん !

面白 そうです ね 虫 なら なんでも いい んです か ?

う ~ ん と … セミ 限定 !

そう これ は SOS 団 内 セミ 捕り 合戦 な の よ !

( キョン ) 翌日 は これ でも か と いう くらい の 日本 晴れ

SOS 団 内 セミ 捕り 合戦 は そんな 中 で 行わ れた

それ は セミ じゃ ない ぞ … って ヤンバルテナガコガネ !

各人 と も それなり に 健闘 した ようだ が

やはり と いう か なんという か 優勝 は ハルヒ と なった

やっぱり キャッチ & リリース の 精神 は 必要 よ ね

逃がして あげたら 将来 恩返し に 来て くれる かも しれ ない し

( キョン ) セミ が 来た と して も 一体 何 を して くれる んだ ?

( ハルヒ ) ほら 山 へ 帰り なさい !

( キョン ) なんか 箱 を 開けた パンドラ に でも なった ような 気分 だ な

( み くる ) い … いらっしゃい ませ ~

( キョン ) その 翌日

なんだか 分から ない うち に 集め られた 俺 たち は

なんだか 分から ない まま カエル の 着 ぐるみ を 着せ られ

スーパー の 店先 で 風船 を 配る アルバイト を する こと と なった

( み くる ) ん っ … う あ ~

ビーム 受けた 零 ( ゼロ ) 号 機 の 気持ち が よく 分かる ぜ

みんな お 疲れ !

( キョン ) なんだ この 待遇 の 差 は

ご 苦労 さん 店長 の おっちゃん も 感謝 して たわ よ

( キョン ) おっちゃん の 感謝 など いら ん バイト 代 は ?

( ハルヒ ) これ よ ( キョン ) は っ ?

あたし 前 から これ が 欲しかった の よ ね

( キョン ) 俺 たち は そんな こと の ため に 額 に 汗して 働いた の か ?

記念 に 部室 に 飾 っと きま しょ

み くる ちゃん いつでも 好きな 時 に これ 着て いい わ よ

あたし が 許す わ !

( み くる ) は … はい … えっ …

( キョン ) なんだ よ

いえ 別に

( キョン ) こっち 見 ん な

( ハルヒ ) ほ ~ ら み くる ちゃん

( み くる ) 今 は いい です ~ ああ ~

( 古泉 ) アイス 落ち ます よ

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( キョン ) その 夜 俺 から 安眠 を 奪った の は またしても 一 本 の 電話 だった

( キョン ) お かけ に なった 電話 番号 は …

( み くる ) う う う …

えっ ! なん です と ?

( み くる ) キョン く ~ ん …

朝比奈 ( あさひ な ) さん ?

( み くる ) はい あたし です … う っ …

とても よく ない こと が … このまま じゃ … うえ え ~

あの …

( 古泉 ) どうも 古泉 です

なんで お前 が こんな 時間 に 朝比奈 さん と 一緒な んだ

( 古泉 ) ちょっとした 事情 が あり まして ね

今 から 来て いただく こと は 可能です か ?

一体 どうした ん です か ? 朝比奈 さん

( み くる ) うえ ~ ん … キョン 君 あたし …

未来 に 帰れ なく なり ます …

うえ ~ ん

( 古泉 ) つまり こういう こと です

我々 は 同じ 時間 を 延々と ループ して いる のです よ

( キョン ) そんな 非 現実 的な こと を 明るく 言わ れて も な

古泉 自分 で 何 を 言って る か 分かって る の か ?

分かって い ます これ 以上 ない と いう くらい に ね

さっき 朝比奈 さん と 話し合った んです が

( キョン ) 呼べよ 俺 も その 話し合い に

その 結果 ここ 最近 の 時間 の 流れ が

おかしく なって いる こと に 気付き ました

これ は 朝比奈 さん の 功績 と 言って いい でしょう

おかげ で 僕 も 確信 が 持て ました

( キョン ) なんの 確信 だ よ

フフ

我々 は 同じ 時間 を

もう 何度 も 繰り返し 経験 して いる と いう こと です

( キョン ) それ は さっき 聞いた

( 古泉 ) 正確に は 8 月 17 日 から 31 日 の 間 です ね

僕たち は 終わり なき 夏 休み の 真っただ中 に いる わけです よ

確かに 今 は 夏 休み だ が ?

決して 終わら ない エンドレスサマー です

今 この 世界 は ―

9 月 1 日 以降 の 時間 が まったく なくなって しまって いる んです よ

それ を 誰 が 信じる んだ

せめて あなた に は 信じて もらい たい ところ です

( み くる ) あの ~ う っ …

私 から も 説明 し ます

え ~ っと 禁 則 事項 で いつも 未来 と 連絡 したり

禁 則 事項 したり して る んです う っ …

1 週間 くらい 禁 則 事項 が ない な おかしい なって … ひ っく

思って いた の …

そし たら 禁 則 事項 … あたし すごく ビックリ して

慌てて 禁 則 事項 して みた んだ けど …

全然 禁 則 事項 で … う っ … あたし どう したら ~

( キョン ) 俺 たち は あの 閉鎖 空間 みたいな もの の 中 に

閉じ込め られて いる の か ?

そう で は あり ませ ん

一部 の 時間 のみ が 切り取ら れて いる のです よ

8 月 31 日 の 24 時 ジャスト に なった 瞬間

全て が リセット さ れて

また 17 日 に 戻って くる と いう プロセス です

( キョン ) 俺 たち の … いや 全 人類 の 記憶 は ?

( 古泉 ) それ も リセット です

もう 一 度 最初 から やり 直し と なる のです

( キョン ) また 時間 が どう と か いう 話 か

まあ 未来 人 が 交じって る んだ から しかたない 気 も する が …

いえ この 件 に 朝比奈 さん は 無関係です

( キョン ) じゃあ 何 が 原因 だ ?

涼 宮 さん でしょう

( キョン ) は あ …

( 古泉 ) 本人 は 無自覚でしょう が

夏 休み を 終わら せ たく ない と いう 思い が

どこ か に ある のでしょう ね

( キョン ) なんだ そりゃ ? 何 か 悔い で も 残って る の か

( 古泉 ) そうだ と 思い ます

恐らく ―

夏 休み に やり 残した こと が ある と 感じて いる ので は ない でしょう か

( キョン ) さっき から 気 に なって た が 楽し そうだ な お前

ここ 最近 頻繁に あった 既視 感 の 謎 が

ようやく 解けた もの です から

今に して 思えば

あれ は 記憶 の リセット から こぼれ落ちた ―

残滓 ( ざん し ) と しか 言い よう の ない もの だった と 思い ます

( キョン ) ひょっとして 世界中 の 人間 が 感じて る の か ?

( 古泉 ) それ は ない ようです

僕 や あなた が 特殊な 事例 な んです よ

涼 宮 さん に 近しい 人間 ほど

この 異常 を 感じ取れる こと に なって いる ようです

ハルヒ は どう な んだ ?

あいつ は ちょっと でも 自覚 して いる の か ?

まったく して い ない ようです ね

して もらって は 困る と いう の も あり ます が

ただ 既視 感 どころ か

繰り返して きた 時間 全て の 記憶 を 持った 者 が

確実に 1 人 いる ので は ない か と 僕 は 考えて い ます

( キョン ) そう な の か ?

そう

( キョン ) 全部 覚えて いる の か ?

そう

( キョン ) ちなみに その 繰り返し と やら は 今 何 回 目 だ ?

今回 が 1万5,521 回 目 に 該当 する

( キョン ) 1万5,521?

1万5,521 って なんだ ?

それ は マジ な 話 な の か ?

( 長門 ) そう

( キョン ) それ だけ の 回数 ―

俺 たち は まったく 同じ こと を 繰り返して きた って の か ?

( 長門 ) 必ずしも そう で は ない

1万5,521 回 中 盆踊り に 行か なかった パターン が

2,391 回 目 と 1万1,054 回 目 の 2 回 ある

また 盆踊り に 行った が 金魚すくい を し なかった パターン が

437 回 ある

アルバイト を 行った の は 9,048 回 である が

その 内容 は 6 つ に 分岐 する

風船 配り 以外 で は 荷物 運び レジ 打ち ビラ 配り

( 長門 ) 電話 番 … ( キョン ) いや もう いい

( キョン ) 1万5,521 回 目

長門 は そう 言った

かける 2 週間 で … え ~ っと

約 595 年 分 だ

それ だけ の 時間 を たった 一 人 しっかり 記憶 を 持った まま

何度 も 何度 も やり 直して きた って の か

長門 お前 は 一体 今 まで どんな 気持ち で 過ごして きた んだ ?

また アホ な 話 を 聞 いち まった ぜ

( ハルヒ ) い ない の かしら ?

( キョン ) 何 が ?

( ハルヒ ) 火星 人

( キョン ) あん ま いて ほしく ない な

地表 に は 誰 も い ない みたいだ から

いる と したら 地下 で 暮らす ような 遠慮がちな 人種 ね

人間 が 初めて 火星 に 降り立った 時 は

きっと 物陰 から 出て きて 歓迎 して くれる に 違いない わ

“ ようこそ 火星 に ” って ね

( キョン ) むしろ 普通に 出て きて くれ

( ハルヒ ) ああ もう 飽きちゃ った UFO 探し ま しょ UFO !

( キョン ) 翌日 は 天体 観測 だった

場所 は 長門 の マンション

天体 望遠 鏡 は 古泉 が 用意 した 物 だ

( キョン ) 何 が し たい んだろう な こいつ は

さ あて な んでしょう ね

それ が 分かれば 解決 した も 同然です が

試しに こういう の は どう です ?

涼 宮 さん を 後ろ から 抱きしめて

耳元 で “ アイ ラブ ユー ” と ささやく んです

それ を 誰 が する んだ ?

あなた 以外 の 適役 が いま す かね

( キョン ) う ~ ん だが 断る

では 僕 が やって み ましょう か

冗談 です よ 僕 で は 役者 が 不足 して い ます

涼 宮 さん を 余計に 混乱 さ せる だけ でしょう ね

フフフ …

( キョン ) なあ 長門

お前 は 朝比奈 さん が 言いだす 前 から

繰り返し に 気付いて いた んだ よ な ?

そう

だったら どうして 黙って た んだ ?

( 長門 ) 私 の 役目 は 観測 だ から

( キョン ) そう か

( キョン ) 怒 濤 ( どとう ) の 夏 休み イベント 消化 態勢 は

まだまだ 続く

本物 の 花火 大会 に も 行った ハゼ 釣り 大会 に も 参加 した

他 に も バッティングセンター 映画 の ハシゴ

海水 浴 ボウリング カラオケ やら 俺 たち は ずっと 動き ずくめ だった

もちろん ―

それ で ハルヒ が 満足 して いる はず が ない と 思って は いた が

だからといって 何 か 手 を 打つ わけで も なく

それ でも 夏 休み の 残り の 日 にち だけ は … う っ

確実に 減って いった … う う …

そう こうして いる うち に やって 来た 8 月 30 日

( ハルヒ ) これ で 課題 は ひととおり 終わった わ ね

落書き しちゃ ダメ よ

う ~ ん こんなんで よかった の かしら

でも … うん こんな もん よ ね

ねえ 他 に 何 か し たい こと ある ?

まあ いい わ

この 夏 は いっぱい いろんな こと が できた から ―

もう 十 分 よ ね

( キョン ) いい や よく ない お前 は まだ 満足 して い ない はずだ

じゃあ 今日 は これ で 終了 !

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ

また あさって 部室 で 会い ま しょ

( キョン ) くっ …

( み くる ) わ っ

( キョン ) 待て ハルヒ

じゃあ 今日 は これ で 終了 !

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ

また あさって 部室 で 会い ま しょ

( キョン ) ここ で ハルヒ を 帰しちゃ ダメだ

ここ で 帰したら 1万 何 千 回 と 繰り返して きた ―

あの 2 週間 を また 繰り返す は めに な っち まう

じゃあ 今日 は これ で 終了 !

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ

また あさって 部室 で 会い ま しょ

( キョン ) 何 を す べきな んだ ? 何 を 言う べきな んだ ?

ハルヒ の 言葉 の 中 に ヒント は あった はずだ

だが それ は なんだ ?

あいつ は 今 まで なんて 言って きた ?

分から ない

思いつか ない

じゃあ 今日 は これ で 終了 !

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ

また あさって 部室 で 会い ま しょ

( キョン ) どうにも でも なれ だ

8 月 31 日 宿題 手つかず

もう 知ら ん

もし また 繰り返す ん なら

宿題 な ん ぞ やった ところ で 意味 は ない しな

あした が 来よう が 来 まい が

まあ それ は そん 時 の 俺 に 任せりゃ いい か

( 秒針 の 音 )

♪~

~♪


Suzumiya Haruhi no Yuuutsu - 16 suzumiya|haruhi||yuuutsu

( セミ の 鳴き声 ) せみ||なきごえ

( キョン ) 何 か おかしい なんとなく そんな 気 が した |なん|||||き||

テレビ に 映る 試合 は てれび||うつる|しあい|

俺 と は まったく 縁 も ゆかり も ない 県 同士 の 戦い だ が おれ||||えん|||||けん|どうし||たたかい||

負けて いる ほう を なんと な ~ く 応援 して る 気分 で いる と まけて|||||||おうえん|||きぶん|||

これ また なんと な ~ く そろそろ ハルヒ が 騒ぎ だす ような 気 が した ||||||||さわぎ|||き||

( 携帯 電話 の 着信 音 ) けいたい|でんわ||ちゃくしん|おと

( キョン の 妹 ) キョン 君 電話 ||いもうと||きみ|でんわ

言わ れ ん で も 分かって る いわ|||||わかって|

( ハルヒ ) 今日 あんた 暇でしょ ? |きょう||ひまでしょ

2 時 ジャスト に 駅前 集合 だ から ちゃんと 来 なさい よ じ|||えきまえ|しゅうごう||||らい||

( 通話 が 切れた 音 ) つうわ||きれた|おと

( キョン ) 俺 は ひと言 も しゃ べっと ら ん のだ が |おれ||ひとこと|||||||

( 携帯 電話 の 着信 音 ) けいたい|でんわ||ちゃくしん|おと

( キョン ) なんだ ?

( ハルヒ ) 持参 物 を 言い 忘れて たわ |じさん|ぶつ||いい|わすれて|

水着 一式 それ と 十分な お 金 ね みずぎ|いっしき|||じゅうぶんな||きむ|

あと 必ず 自転車 に 乗って くる こと |かならず|じてんしゃ||のって||

オーバー おーばー

( 通話 が 切れた 音 ) ( キョン ) あ ~ あ つうわ||きれた|おと|||

ハルヒ が 何 を 言いだす の か ||なん||いいだす||

またまた なんと な ~ く 分かって いる 気 が した ||||わかって||き||

いや 違う な |ちがう|

正確に は “ 前 に まったく 同じ こと が あった 気 が した ” だ せいかくに||ぜん|||おなじ||||き|||

いわゆる デジャヴ って やつ か

( 打 球音 ) ( アナウンサー ) 打った だ|きゅうおん|あなうんさー|うった

( 妹 ) ああ っ いもうと||

( 妹 ) ああ っ いもうと||

大きい !  大きい ! おおきい|おおきい

大きい !  大きい ! おおきい|おおきい

大きい !  大きい ! おおきい|おおきい

( キョン ) もう 夏 も 終わり か ||なつ||おわり|

( キョン ) もう 夏 も 終わり か ||なつ||おわり|

( キョン ) もう 夏 も 終わり か ||なつ||おわり|

鹿島 ( かしま ) の 打球 が レフト 方向 へ ! かじま|||だきゅう||れふと|ほうこう|

鹿島 ( かしま ) の 打球 が レフト 方向 へ ! かじま|||だきゅう||れふと|ほうこう|

入り ました ! はいり|

♪~

~♪

( ハルヒ ) 遅い わ よ キョン |おそい|||

もっと やる 気 を 見せ なさい ! ||き||みせ|

( キョン ) へい へい

待た せて すいません ね また|||

( み くる ) あたし も 今 来た ところ です ||||いま|きた||

( ハルヒ ) それ じゃ 全員 そろった こと だ し 出発 し ま しょ |||ぜんいん|||||しゅっぱつ|||

どこ に ?

市民 プール に 決まって る じゃ ない の しみん|ぷーる||きまって||||

( キョン ) まあ この 用意 なら そう だろう よ |||ようい||||

( ハルヒ ) 夏 は 夏 らしく 夏 じみ た こと を し ない と いけない の |なつ||なつ||なつ|||||||||

失った 時間 は 決して 取り戻す こと は でき ない の よ うしなった|じかん||けっして|とりもどす||||||

だから 今 やる の |いま||

この たった 一 度 きり の 高 1 の 夏 休み に ! ||ひと|たび|||たか||なつ|やすみ|

ちなみに プール まで は 自転車 で 行く わ よ |ぷーる|||じてんしゃ||いく||

お前 ら も 乗って きて る の か ? おまえ|||のって||||

( 古泉 ( こい ずみ )) いえ 自転車 は あなた と 僕 の 2 台 だけ です こいずみ||||じてんしゃ||||ぼく||だい||

( キョン ) は っ ?

いい ?  キョン 古泉 君 に 負けちゃ ダメ よ ||こいずみ|きみ||まけちゃ|だめ|

じゃあ 出発 進行 ! |しゅっぱつ|しんこう

( キョン ) 超 能力 禁止 ! |ちょう|のうりょく|きんし

( ハルヒ ) 2 人 と も ちゃ っちゃ と 自転車 を 置いて き なさい |じん||||||じてんしゃ||おいて||

キョン これ から 遊ぼう って のに 何 へばって ん の ? |||あそぼう|||なん|||

( キョン ) 誰 の せい だ 誰 の ! |だれ||||だれ|

う ~ ん この 消毒 液 の におい いかにも って 気 が する わ |||しょうどく|えき|||||き|||

早く 来 なさ ~ い 水 が ぬるくて 気持ち いい わ よ はやく|らい|な さ||すい|||きもち|||

( キョン ) 飛び込み 禁止 の 文字 が 読め ん の か あいつ は |とびこみ|きんし||もじ||よめ|||||

楽し そうです ねえ たのし|そう です|

涼 宮 ( すずみ や ) さん も 結構 ― りょう|みや|||||けっこう

常識 的な 楽しみ 方 を 身 に つけて きた と 思い ませ ん か ? じょうしき|てきな|たのしみ|かた||み|||||おもい|||

ああ やって 楽しげに 笑って いる 涼 宮 さん は ||たのしげに|わらって||りょう|みや||

この世 を 揺るがす ような こと は し ない でしょう から ね このよ||ゆるがす||||||||

( キョン ) だ と いい のだ が …

( キョン ) どうした ?

ああ いえ

ん …

うん

多分 僕 の 気のせい です 我々 も 準備 を し ましょう か たぶん|ぼく||きのせい||われわれ||じゅんび||||

( キョン ) 苦い もう 1 杯 ! |にがい||さかずき

( キョン ) こんな 光景 を 前 に も 見た ような 気 が する ||こうけい||ぜん|||みた||き||

なんとなく 長門 ( な が と ) が 退屈 そうに して いる ような … |ながと|||||たいくつ|そう に|||

( ハルヒ ) キョン !

( キョン ) そう それ で ハルヒ は こんな こと を 言いだす んだ |||||||||いいだす|

この 2 人 が あたし の 団員 よ |じん||||だんいん|

なんでも 言う こと を 聞く から なんでも 言っちゃ い なさい |いう|||きく|||いっちゃ||

さあ 遊ぶ わ よ ! 水中 ドッジボール を する の |あそぶ|||すいちゅう|どっじぼーる|||

へい へい

( キョン ) まっ よく ある こと さ デジャヴ なんて

( ハルヒ ) これ から の 活動 計画 を 考えて みた んだ けど どう かしら ? ||||かつどう|けいかく||かんがえて|||||

( キョン ) なんだ これ は ?

( ハルヒ ) 残り 少ない 夏 休み を どう やって 過ごす か の 予定 表 よ |のこり|すくない|なつ|やすみ||||すごす|||よてい|ひょう|

ふと 気付いた の よ |きづいた||

夏 休み は もう あと 2 週間 しか ない の よ ね なつ|やすみ||||しゅうかん|||||

がく然たる 気分 に なった わ がくぜんたる|きぶん|||

やり 残した こと が たくさん ある ような 気 が する のに |のこした||||||き|||

それ だけ しか 時間 が 残って ない わけ |||じかん||のこって||

ここ から は 巻き で いく わ よ |||まき||||

( キョン ) これ を 2 週間 足らず で ? |||しゅうかん|たら ず|

み くる ちゃん は 何 か し たい こと ある ? ||||なん|||||

( み くる ) え ~ っと あたし は 金魚すくい が したい です ||||||きんぎょすくい||し たい|

( ハルヒ ) オーケー   金魚すくい っと |おーけー|きんぎょすくい|

ちょっと 失礼 |しつれい

どうも

( ハルヒ ) あした から 決行 よ |||けっこう|

この 近く で 盆踊り やって る とこ ある ? |ちかく||ぼんおどり||||

花火 大会 で も いい けど はなび|たいかい||||

僕 が 調べて おき ましょう 追って 連絡 し ます ぼく||しらべて|||おって|れんらく||

( ハルヒ ) 金魚すくい も 忘れ ないで ね |きんぎょすくい||わすれ||

み くる ちゃん たって の 希望 なんだ から |||||きぼう||

( 古泉 ) 了解 し ました こいずみ|りょうかい||

じゃあ 今日 は これ で 解散 ! |きょう||||かいさん

( 古泉 ) で は 僕 も こいずみ|||ぼく|

( み くる ) あたし も

( キョン ) 長門 ! |ながと

いや なんでもない んだ けど な

最近 どう だ   元気で やって る か ? さいきん|||げんきで|||

( 長門 ) 元気 ながと|げんき

( キョン ) そりゃ よかった

( キョン ) なんだ ?

なんで 俺 は 長門 に 声 なんて かけた んだ |おれ||ながと||こえ|||

( 会場 アナウンス ) お 客 様 に 迷子 の お 知らせ を いたし ます かいじょう|あなうんす||きゃく|さま||まいご|||しらせ|||

( キョン ) 盆踊り ねえ |ぼんおどり|

よく まあ これ だけ の 人 が 集まる もん だ … と |||||じん||あつまる|||

あの やぐら あの 出店 |||しゅってん

久しぶりの はずな のに つい 最近 来た ような 気 も する ひさしぶりの||||さいきん|きた||き||

( ハルヒ ) み くるちゃ ん

あなた が やり た がって た 金魚すくい も ある わ よ ! ||||||きんぎょすくい||||

じゃ んじゃ ん すくい なさい

( み くる ) は ~ い

僕たち も やり ましょう か ひと 勝負 いかがです ? ぼくたち||||||しょうぶ|

やめ とく

それ より 長門 食 いもん と か どう だ ? ||ながと|しょく|||||

そんな もの に 興味 が ある の か どれ ? |||きょうみ|||||

( 長門 ) いい ながと|

これ

( おじさん ) は いよ  800 円 ね |||えん|

( キョン ) なんとなく 世話に なって いる ような 気 が する から ||せわに||||き|||

それ くらい 買って やって も よかった んだ が ||かって|||||

( ハルヒ ) 13 匹 !  いや あ 大漁 よ 大漁 ! |ひき|||たいりょう||たいりょう

でも そんなに いら ない から 1 匹 だけ もらって きた わ |||||ひき||||

あと み くる ちゃん の 分 も |||||ぶん|

1 個 だけ なら 食べて いい わ よ こ|||たべて|||

( キョン ) あり が と よ

あれ 有希 ( ゆき ) その お 面 どうした の ? |ゆうき||||おもて||

買った かった

ふ ~ ん そう

わ あ ~!

わ あっ

( キョン ) 夏 で 夏 休み だった |なつ||なつ|やすみ|

だから できれば 忘れ たい のだ が 引っかかって いる こと が 1 つ あった ||わすれ||||ひっかかって|||||

ハルヒ よ 遊ぶ の は いい が 宿題 は 終わって る の か ? ||あそぶ|||||しゅくだい||おわって|||

何 あんた なん|

あれ くらい の 宿題 なんて 3 日 も あれば できる じゃ ない |||しゅくだい||ひ|||||

( キョン ) 3 日 ? |ひ

あんな 面倒な もの は 先 にちゃ っちゃ と 終わら せて |めんどうな|||さき||||おわら|

後 顧 の 憂い なく 遊び 倒す の あと|こ||うれい||あそび|たおす|

( キョン ) なんで こんな ヤツ の 頭 が いい んだ |||やつ||あたま|||

人 に 対する 天 の パラメーター 配分 は 随分 適当な んだ な じん||たいする|てん|||はいぶん||ずいぶん|てきとうな||

( ハルヒ ) みんな あした は 昆虫 採集 よ ||||こんちゅう|さいしゅう|

一 番 多く 虫 を 捕まえた 人 に は そう ね … ひと|ばん|おおく|ちゅう||つかまえた|じん||||

1 日 だけ 団長 の 権利 を 譲って あげる ! ひ||だんちょう||けんり||ゆずって|

( キョン ) いら ん !

面白 そうです ね 虫 なら なんでも いい んです か ? おもしろ|そう です||ちゅう|||||

う ~ ん と … セミ 限定 ! |||せみ|げんてい

そう これ は SOS 団 内 セミ 捕り 合戦 な の よ ! |||sos|だん|うち|せみ|とり|かっせん|||

( キョン ) 翌日 は これ でも か と いう くらい の 日本 晴れ |よくじつ|||||||||にっぽん|はれ

SOS 団 内 セミ 捕り 合戦 は そんな 中 で 行わ れた sos|だん|うち|せみ|とり|かっせん|||なか||おこなわ|

それ は セミ じゃ ない ぞ … って ヤンバルテナガコガネ ! ||せみ|||||

各人 と も それなり に 健闘 した ようだ が かくじん|||||けんとう|||

やはり と いう か なんという か 優勝 は ハルヒ と なった ||||||ゆうしょう||||

やっぱり キャッチ & リリース の 精神 は 必要 よ ね |きゃっち|||せいしん||ひつよう||

逃がして あげたら 将来 恩返し に 来て くれる かも しれ ない し にがして||しょうらい|おんがえし||きて|||||

( キョン ) セミ が 来た と して も 一体 何 を して くれる んだ ? |せみ||きた||||いったい|なん||||

( ハルヒ ) ほら 山 へ 帰り なさい ! ||やま||かえり|

( キョン ) なんか 箱 を 開けた パンドラ に でも なった ような 気分 だ な ||はこ||あけた|ぱんどら|||||きぶん||

( み くる ) い … いらっしゃい ませ ~

( キョン ) その 翌日 ||よくじつ

なんだか 分から ない うち に 集め られた 俺 たち は |わから||||あつめ||おれ||

なんだか 分から ない まま カエル の 着 ぐるみ を 着せ られ |わから|||かえる||ちゃく|||ちゃくせ|

スーパー の 店先 で 風船 を 配る アルバイト を する こと と なった すーぱー||みせさき||ふうせん||くばる|あるばいと|||||

( み くる ) ん っ … う あ ~

ビーム 受けた 零 ( ゼロ ) 号 機 の 気持ち が よく 分かる ぜ |うけた|ぜろ||ごう|き||きもち|||わかる|

みんな お 疲れ ! ||つかれ

( キョン ) なんだ この 待遇 の 差 は |||たいぐう||さ|

ご 苦労 さん 店長 の おっちゃん も 感謝 して たわ よ |くろう||てんちょう||||かんしゃ|||

( キョン ) おっちゃん の 感謝 など いら ん バイト 代 は ? |||かんしゃ||||ばいと|だい|

( ハルヒ ) これ よ ( キョン ) は っ ?

あたし 前 から これ が 欲しかった の よ ね |ぜん||||ほしかった|||

( キョン ) 俺 たち は そんな こと の ため に 額 に 汗して 働いた の か ? |おれ||||||||がく||あせして|はたらいた||

記念 に 部室 に 飾 っと きま しょ きねん||ぶしつ||かざ|||

み くる ちゃん いつでも 好きな 時 に これ 着て いい わ よ ||||すきな|じ|||きて|||

あたし が 許す わ ! ||ゆるす|

( み くる ) は … はい … えっ …

( キョン ) なんだ よ

いえ 別に |べつに

( キョン ) こっち 見 ん な ||み||

( ハルヒ ) ほ ~ ら み くる ちゃん

( み くる ) 今 は いい です ~ ああ ~ ||いま||||

( 古泉 ) アイス 落ち ます よ こいずみ|あいす|おち||

( 携帯 電話 の 着信 音 ) けいたい|でんわ||ちゃくしん|おと

( キョン ) その 夜 俺 から 安眠 を 奪った の は またしても 一 本 の 電話 だった ||よ|おれ||あんみん||うばった||||ひと|ほん||でんわ|

( キョン ) お かけ に なった 電話 番号 は … |||||でんわ|ばんごう|

( み くる ) う う う …

えっ !  なん です と ?

( み くる ) キョン く ~ ん …

朝比奈 ( あさひ な ) さん ? あさひな|||

( み くる ) はい あたし です … う っ …

とても よく ない こと が … このまま じゃ … うえ え ~

あの …

( 古泉 ) どうも 古泉 です こいずみ||こいずみ|

なんで お前 が こんな 時間 に 朝比奈 さん と 一緒な んだ |おまえ|||じかん||あさひな|||いっしょな|

( 古泉 ) ちょっとした 事情 が あり まして ね こいずみ|ちょっと した|じじょう||||

今 から 来て いただく こと は 可能です か ? いま||きて||||かのうです|

一体 どうした ん です か ? 朝比奈 さん いったい|||||あさひな|

( み くる ) うえ ~ ん … キョン 君 あたし … |||||きみ|

未来 に 帰れ なく なり ます … みらい||かえれ|||

うえ ~ ん

( 古泉 ) つまり こういう こと です こいずみ||||

我々 は 同じ 時間 を 延々と ループ して いる のです よ われわれ||おなじ|じかん||えんえんと|||||

( キョン ) そんな 非 現実 的な こと を 明るく 言わ れて も な ||ひ|げんじつ|てきな|||あかるく|いわ|||

古泉 自分 で 何 を 言って る か 分かって る の か ? こいずみ|じぶん||なん||いって|||わかって|||

分かって い ます これ 以上 ない と いう くらい に ね わかって||||いじょう||||||

さっき 朝比奈 さん と 話し合った んです が |あさひな|||はなしあった||

( キョン ) 呼べよ 俺 も その 話し合い に |よべよ|おれ|||はなしあい|

その 結果 ここ 最近 の 時間 の 流れ が |けっか||さいきん||じかん||ながれ|

おかしく なって いる こと に 気付き ました |||||きづき|

これ は 朝比奈 さん の 功績 と 言って いい でしょう ||あさひな|||こうせき||いって||

おかげ で 僕 も 確信 が 持て ました ||ぼく||かくしん||もて|

( キョン ) なんの 確信 だ よ ||かくしん||

フフ

我々 は 同じ 時間 を われわれ||おなじ|じかん|

もう 何度 も 繰り返し 経験 して いる と いう こと です |なんど||くりかえし|けいけん||||||

( キョン ) それ は さっき 聞いた ||||きいた

( 古泉 ) 正確に は 8 月 17 日 から 31 日 の 間 です ね こいずみ|せいかくに||つき|ひ||ひ||あいだ||

僕たち は 終わり なき 夏 休み の 真っただ中 に いる わけです よ ぼくたち||おわり||なつ|やすみ||まっただなか||||

確かに 今 は 夏 休み だ が ? たしかに|いま||なつ|やすみ||

決して 終わら ない エンドレスサマー です けっして|おわら|||

今 この 世界 は ― いま||せかい|

9 月 1 日 以降 の 時間 が まったく なくなって しまって いる んです よ つき|ひ|いこう||じかん|||||||

それ を 誰 が 信じる んだ ||だれ||しんじる|

せめて あなた に は 信じて もらい たい ところ です ||||しんじて||||

( み くる ) あの ~ う っ …

私 から も 説明 し ます わたくし|||せつめい||

え ~ っと 禁 則 事項 で いつも 未来 と 連絡 したり ||きん|そく|じこう|||みらい||れんらく|

禁 則 事項 したり して る んです う っ … きん|そく|じこう||||||

1 週間 くらい 禁 則 事項 が ない な おかしい なって … ひ っく しゅうかん||きん|そく|じこう|||||||

思って いた の … おもって||

そし たら 禁 則 事項 … あたし すごく ビックリ して ||きん|そく|じこう|||びっくり|

慌てて 禁 則 事項 して みた んだ けど … あわてて|きん|そく|じこう||||

全然 禁 則 事項 で … う っ … あたし どう したら ~ ぜんぜん|きん|そく|じこう||||||

( キョン ) 俺 たち は あの 閉鎖 空間 みたいな もの の 中 に |おれ||||へいさ|くうかん||||なか|

閉じ込め られて いる の か ? とじこめ||||

そう で は あり ませ ん

一部 の 時間 のみ が 切り取ら れて いる のです よ いちぶ||じかん|||きりとら||||

8 月 31 日 の 24 時 ジャスト に なった 瞬間 つき|ひ||じ||||しゅんかん

全て が リセット さ れて すべて||りせっと||

また 17 日 に 戻って くる と いう プロセス です |ひ||もどって||||ぷろせす|

( キョン ) 俺 たち の … いや 全 人類 の 記憶 は ? |おれ||||ぜん|じんるい||きおく|

( 古泉 ) それ も リセット です こいずみ|||りせっと|

もう 一 度 最初 から やり 直し と なる のです |ひと|たび|さいしょ|||なおし|||

( キョン ) また 時間 が どう と か いう 話 か ||じかん||||||はなし|

まあ 未来 人 が 交じって る んだ から しかたない 気 も する が … |みらい|じん||まじって|||||き|||

いえ この 件 に 朝比奈 さん は 無関係です ||けん||あさひな|||むかんけいです

( キョン ) じゃあ 何 が 原因 だ ? ||なん||げんいん|

涼 宮 さん でしょう りょう|みや||

( キョン ) は あ …

( 古泉 ) 本人 は 無自覚でしょう が こいずみ|ほんにん||むじかくでしょう|

夏 休み を 終わら せ たく ない と いう 思い が なつ|やすみ||おわら||||||おもい|

どこ か に ある のでしょう ね

( キョン ) なんだ そりゃ ? 何 か 悔い で も 残って る の か |||なん||くい|||のこって|||

( 古泉 ) そうだ と 思い ます こいずみ|そう だ||おもい|

恐らく ― おそらく

夏 休み に やり 残した こと が ある と 感じて いる ので は ない でしょう か なつ|やすみ|||のこした|||||かんじて||||||

( キョン ) さっき から 気 に なって た が 楽し そうだ な お前 |||き|||||たのし|そう だ||おまえ

ここ 最近 頻繁に あった 既視 感 の 謎 が |さいきん|ひんぱんに||がいし|かん||なぞ|

ようやく 解けた もの です から |とけた|||

今に して 思えば いまに||おもえば

あれ は 記憶 の リセット から こぼれ落ちた ― ||きおく||りせっと||こぼれおちた

残滓 ( ざん し ) と しか 言い よう の ない もの だった と 思い ます ざんさい|||||いい|||||||おもい|

( キョン ) ひょっとして 世界中 の 人間 が 感じて る の か ? ||せかいじゅう||にんげん||かんじて|||

( 古泉 ) それ は ない ようです こいずみ||||

僕 や あなた が 特殊な 事例 な んです よ ぼく||||とくしゅな|じれい|||

涼 宮 さん に 近しい 人間 ほど りょう|みや|||ちかしい|にんげん|

この 異常 を 感じ取れる こと に なって いる ようです |いじょう||かんじとれる|||||

ハルヒ は どう な んだ ?

あいつ は ちょっと でも 自覚 して いる の か ? ||||じかく||||

まったく して い ない ようです ね

して もらって は 困る と いう の も あり ます が |||こまる|||||||

ただ 既視 感 どころ か |がいし|かん||

繰り返して きた 時間 全て の 記憶 を 持った 者 が くりかえして||じかん|すべて||きおく||もった|もの|

確実に 1 人 いる ので は ない か と 僕 は 考えて い ます かくじつに|じん|||||||ぼく||かんがえて||

( キョン ) そう な の か ?

そう

( キョン ) 全部 覚えて いる の か ? |ぜんぶ|おぼえて|||

そう

( キョン ) ちなみに その 繰り返し と やら は 今 何 回 目 だ ? |||くりかえし||||いま|なん|かい|め|

今回 が 1万5,521 回 目 に 該当 する こんかい||よろず|かい|め||がいとう|

( キョン ) 1万5,521? |よろず

1万5,521 って なんだ ? よろず||

それ は マジ な 話 な の か ? ||||はなし|||

( 長門 ) そう ながと|

( キョン ) それ だけ の 回数 ― ||||かいすう

俺 たち は まったく 同じ こと を 繰り返して きた って の か ? おれ||||おなじ|||くりかえして||||

( 長門 ) 必ずしも そう で は ない ながと|かならずしも||||

1万5,521 回 中 盆踊り に 行か なかった パターン が よろず|かい|なか|ぼんおどり||いか||ぱたーん|

2,391 回 目 と 1万1,054 回 目 の 2 回 ある かい|め||よろず|かい|め||かい|

また 盆踊り に 行った が 金魚すくい を し なかった パターン が |ぼんおどり||おこなった||きんぎょすくい||||ぱたーん|

437 回 ある かい|

アルバイト を 行った の は 9,048 回 である が あるばいと||おこなった|||かい||

その 内容 は 6 つ に 分岐 する |ないよう||||ぶんき|

風船 配り 以外 で は 荷物 運び レジ 打ち ビラ 配り ふうせん|くばり|いがい|||にもつ|はこび|れじ|うち|びら|くばり

( 長門 ) 電話 番 … ( キョン ) いや もう いい ながと|でんわ|ばん||||

( キョン ) 1万5,521 回 目 |よろず|かい|め

長門 は そう 言った ながと|||いった

かける 2 週間 で … え ~ っと |しゅうかん|||

約 595 年 分 だ やく|とし|ぶん|

それ だけ の 時間 を たった 一 人 しっかり 記憶 を 持った まま |||じかん|||ひと|じん||きおく||もった|

何度 も 何度 も やり 直して きた って の か なんど||なんど|||なおして||||

長門 お前 は 一体 今 まで どんな 気持ち で 過ごして きた んだ ? ながと|おまえ||いったい|いま|||きもち||すごして||

また アホ な 話 を 聞 いち まった ぜ |||はなし||き|||

( ハルヒ ) い ない の かしら ?

( キョン ) 何 が ? |なん|

( ハルヒ ) 火星 人 |かせい|じん

( キョン ) あん ま いて ほしく ない な

地表 に は 誰 も い ない みたいだ から ちひょう|||だれ|||||

いる と したら 地下 で 暮らす ような 遠慮がちな 人種 ね |||ちか||くらす||えんりょがちな|じんしゅ|

人間 が 初めて 火星 に 降り立った 時 は にんげん||はじめて|かせい||おりたった|じ|

きっと 物陰 から 出て きて 歓迎 して くれる に 違いない わ |ものかげ||でて||かんげい||||ちがいない|

“ ようこそ 火星 に ” って ね |かせい|||

( キョン ) むしろ 普通に 出て きて くれ ||ふつうに|でて||

( ハルヒ ) ああ もう 飽きちゃ った UFO 探し ま しょ UFO ! |||あきちゃ||ufo|さがし|||ufo

( キョン ) 翌日 は 天体 観測 だった |よくじつ||てんたい|かんそく|

場所 は 長門 の マンション ばしょ||ながと||まんしょん

天体 望遠 鏡 は 古泉 が 用意 した 物 だ てんたい|ぼうえん|きよう||こいずみ||ようい||ぶつ|

( キョン ) 何 が し たい んだろう な こいつ は |なん|||||||

さ あて な んでしょう ね

それ が 分かれば 解決 した も 同然です が ||わかれば|かいけつ|||どうぜんです|

試しに こういう の は どう です ? ためしに|||||

涼 宮 さん を 後ろ から 抱きしめて りょう|みや|||うしろ||だきしめて

耳元 で “ アイ ラブ ユー ” と ささやく んです みみもと|||らぶ|ゆー|||

それ を 誰 が する んだ ? ||だれ|||

あなた 以外 の 適役 が いま す かね |いがい||てきやく||||

( キョン ) う ~ ん   だが 断る ||||ことわる

では 僕 が やって み ましょう か |ぼく|||||

冗談 です よ 僕 で は 役者 が 不足 して い ます じょうだん|||ぼく|||やくしゃ||ふそく|||

涼 宮 さん を 余計に 混乱 さ せる だけ でしょう ね りょう|みや|||よけいに|こんらん|||||

フフフ …

( キョン ) なあ 長門 ||ながと

お前 は 朝比奈 さん が 言いだす 前 から おまえ||あさひな|||いいだす|ぜん|

繰り返し に 気付いて いた んだ よ な ? くりかえし||きづいて||||

そう

だったら どうして 黙って た んだ ? ||だまって||

( 長門 ) 私 の 役目 は 観測 だ から ながと|わたくし||やくめ||かんそく||

( キョン ) そう か

( キョン ) 怒 濤 ( どとう ) の 夏 休み イベント 消化 態勢 は |いか|とう|||なつ|やすみ|いべんと|しょうか|たいせい|

まだまだ 続く |つづく

本物 の 花火 大会 に も 行った ハゼ 釣り 大会 に も 参加 した ほんもの||はなび|たいかい|||おこなった|はぜ|つり|たいかい|||さんか|

他 に も バッティングセンター 映画 の ハシゴ た||||えいが||はしご

海水 浴 ボウリング カラオケ やら 俺 たち は ずっと 動き ずくめ だった かいすい|よく|ぼうりんぐ|からおけ||おれ||||うごき||

もちろん ―

それ で ハルヒ が 満足 して いる はず が ない と 思って は いた が ||||まんぞく|||||||おもって|||

だからといって 何 か 手 を 打つ わけで も なく |なん||て||うつ|||

それ でも 夏 休み の 残り の 日 にち だけ は … う っ ||なつ|やすみ||のこり||ひ|||||

確実に 減って いった … う う … かくじつに|へって|||

そう こうして いる うち に やって 来た 8 月 30 日 ||||||きた|つき|ひ

( ハルヒ ) これ で 課題 は ひととおり 終わった わ ね |||かだい|||おわった||

落書き しちゃ ダメ よ らくがき||だめ|

う ~ ん こんなんで よかった の かしら

でも … うん こんな もん よ ね

ねえ 他 に 何 か し たい こと ある ? |た||なん|||||

まあ いい わ

この 夏 は いっぱい いろんな こと が できた から ― |なつ|||||||

もう 十 分 よ ね |じゅう|ぶん||

( キョン ) いい や よく ない お前 は まだ 満足 して い ない はずだ |||||おまえ|||まんぞく||||

じゃあ 今日 は これ で 終了 ! |きょう||||しゅうりょう

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ ||よび|ひ||あけて||||やすみ|||||

また あさって 部室 で 会い ま しょ ||ぶしつ||あい||

( キョン ) くっ …

( み くる ) わ っ

( キョン ) 待て ハルヒ |まて|

じゃあ 今日 は これ で 終了 ! |きょう||||しゅうりょう

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ ||よび|ひ||あけて||||やすみ|||||

また あさって 部室 で 会い ま しょ ||ぶしつ||あい||

( キョン ) ここ で ハルヒ を 帰しちゃ ダメだ |||||かえしちゃ|だめだ

ここ で 帰したら 1万 何 千 回 と 繰り返して きた ― ||かえしたら|よろず|なん|せん|かい||くりかえして|

あの 2 週間 を また 繰り返す は めに な っち まう |しゅうかん|||くりかえす|||||

じゃあ 今日 は これ で 終了 ! |きょう||||しゅうりょう

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ ||よび|ひ||あけて||||やすみ|||||

また あさって 部室 で 会い ま しょ ||ぶしつ||あい||

( キョン ) 何 を す べきな んだ ? 何 を 言う べきな んだ ? |なん|||||なん||いう||

ハルヒ の 言葉 の 中 に ヒント は あった はずだ ||ことば||なか||ひんと|||

だが それ は なんだ ?

あいつ は 今 まで なんて 言って きた ? ||いま|||いって|

分から ない わから|

思いつか ない おもいつか|

じゃあ 今日 は これ で 終了 ! |きょう||||しゅうりょう

あした は 予備 日 に 空けて おいた けど そのまま 休み に しちゃ って いい わ ||よび|ひ||あけて||||やすみ|||||

また あさって 部室 で 会い ま しょ ||ぶしつ||あい||

( キョン ) どうにも でも なれ だ

8 月 31 日 宿題 手つかず つき|ひ|しゅくだい|てつかず

もう 知ら ん |しら|

もし また 繰り返す ん なら ||くりかえす||

宿題 な ん ぞ やった ところ で 意味 は ない しな しゅくだい|||||||いみ|||

あした が 来よう が 来 まい が ||こよう||らい||

まあ それ は そん 時 の 俺 に 任せりゃ いい か ||||じ||おれ||まかせりゃ||

( 秒針 の 音 ) びょうしん||おと

♪~

~♪