3-gatsu no Lion (March comes in like a lion ) Episode 5
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( 幸田 ( こう だ ) 柾 近 ( まさ ちか ) ) は ぁ ~
負け まし た
( 桐山 ( きり やま ) 零 ( れい ) ) その 人 は 父 の 友人 だった
う ~ ん どう し て 竜 を 取ら なかった の ?
( 幼い 零 ) あ … 竜 を 取って いる と 詰ま さ れ そう な 気 が し た から
一目 詰み そう に 見え た から
竜 に 飛びつく と 思った のに なぁ
子供 らしく ない なぁ 君
詰 まし に き や がった
僕 は なぜ か そわそわ うれしく なった
( 零 の 父 ) 幸田 遅く なって すま ん 急患 が 入 っち まっ て
( 幸田 ) ああ お 疲れ
( 零 の 父 ) 待た せ ち まって 悪かった な
( 幸田 ) いや あ 大丈夫 零 君 が 相手 し て くれ て た から
( 零 の 父 ) へえ で どう だった ?
( 幸田 ) ハハッ 負け ちゃ った よ
そう か
( 零 ) 父 と その 人 は ずっと 前 奨励 会 で 一緒 だった らしい
零 君 さっき 面白い 手 を 指し て き た よ
昔 の お前 と 指し てる みたい な 気 に なった
かなり 勉強 し てる みたい だ な
( 零 ) 将棋 は 苦手 だった けれど
忙しい 父 と 一緒に 過ご せる 大事 な 時間 だ から
一生懸命 頑張って た
俺 と し て は もう ちょっと 外 で 遊 ん で ほしい ん だ けど
そう いう 所 も 似 ちゃ った かな 俺 に
( ボール を 蹴る 音 )
( 零 ) 僕 は 近所 でも 学校 でも いじめ られ っ子 で
どう し て も 友達 が 作 れ なかった
クラス の 子 たち の 話す 言葉 は 目まぐるしく って
何 を 話し てる の か 追いつ け なく て 異国 の 言葉 の よう に 聞こえ た
ちゃんと いつも 僕 の 中 に しみ て き た
はっ
( 駒 音 )
( 零 ) 大人 な の に ちゃんと 僕 に 語りかけ て くれ てる って
それ が 分かった
そんな 人 家族 以外 で は ただ 一 人 だった
( 電話 の 着信 音 )
( 電話 の 着信 音 ) あっ
( 電話 の 着信 音 )
( 零 ) え ? モモ ちゃん を 保育 園 に 迎え に ?
( 川本 ( かわも と ) あかり ) そう な の 伯母 が ね
そう 会った こと ある でしょ ?
うち の 店 「 美咲 」 の ママ
今 病院 な の
( 美咲 ( みさき ) ) は ぁ ー
ヒナ は 部活 で 連絡 取れ なく て お じいちゃん は お 店 だ し
ごめん ね 頼ま れ て くれる ?
( 保育 士 ) モモ ちゃ ー ん お 迎えよ
( 川本 ( かわも と ) モモ ) は ー い
あー っ ! 零 ちゃん だ
どう も
♪ る ん た る ん た ブロー ブロー
( 零 ) 楽し そう だ な
♪ ブロー ブロー
モモ ちゃん それ 何 の 歌 だい ?
うーん と ね ー 「 ねこ の うた 」 知って る ? フフフ …
う うん 初めて 聞く な
はっ … あー っ !
( 零 ) あっ ち ょっ … あー っ !
( モモ ) モモ の お 帽子 が ー !
( 零 ) あっ ! あー よかった
もう ちょっと で 川 に 落ちる とこ だった
( 女性 ) あ あっ ! ( 零 ) はっ
( 犬 ) ワンワン ワン
ワン ワォーン !
( モモ ) キャーッ !
( 犬 ) ワンワン
( 犬 ) わ ぁ ー ! かわいい 女の子 だ あー そ び ー ま しょ ー !
( 女性 ) 駄目 よ シロ ! ( モモ ) ワァーン
( 犬 ) ハフ ハフ 好き好き ! ( モモ ) わ ぁ ー !
モモ ちゃん ! モモ ちゃん !
( 犬 ) キャー ! ハフ ハフ ! ねえ ねえ ねえ 小さい 人 遊 ぼ う !
ねえ ねえ ねえ 遊 ぼ う よ ハフ ハフ ハフ !
ハァ ハァ ハァ …
あっ !
( 犬 の 鳴き声 )
う っ … う っ …
わ ぁ ー ん !
( 犬 ) えっ ?
( 零 ) モモ ちゃん 大丈夫 ?
おでこ は ? ぶつけ て ない ?
( 女性 ) すいません ! すいません !
( 犬 ) あ … 泣か せ て しまい まし た
ごめんなさい
( モモ ) う っ … う う っ …
( 戸 を 開ける 音 )
( 零 ) ほら 着 い た よ モモ ちゃん
( 零 ) 手当て し ない と ね ( モモ ) う う っ … う っ …
( 零 ) っ しょ …
モモ ちゃん お 薬 箱 どこ か 分かる ?
( モモ ) ヒッ … う っ … うん
よく 見せ て
( モモ ) うん …
あぁ … 傷口 に 砂 が 入っちゃ っ てる な
( 零 ) はい おて て ジャー っと し て
( モモ ) 零 ちゃん 痛い
( 零 ) ごめん ね ちょっと 我慢 し て
( 零 ) あ … えー っと まず … 消毒
それ と ガーゼ と
( モモ ) う ぅ …
( 零 ) はっ ( モモ ) う … いっ …
( ちひろ ) お 兄ちゃん
( 零 ) う っ … う っ …
( モモ ) 零 ちゃん ?
( 零 ) 今日 は 本当 に すいません で し た
( あかり ) 零 君 … ああ もう …
子供 が 転ぶ なんて しょっちゅう ある 事 な ん だ から
そんなに 気 に し ない で
モモ もう 痛く ない よ
( クロ ちゃん ) うーん まぶしい
牛乳 か 何 か い た だけ まて ん か ?
( 川本 ( かわも と ) ひなた ) 零 ちゃん す っ ごく 気 に し て たね
ご飯 も ちょっと しか 食べ なかった し
モモ いっぱい 泣 い て 困ら せ た ん でしょ う ?
モモ 泣か なかった もん
( ミケ ちゃん ) まだ 晩 ごはん もらって ない で す ニャー
でも ね 零 ちゃん は 泣 い て た
涙 が ぽ ー ろ ぽ ー ろ し て た モモ 見 た もん
( ひなた ) えー っ ? 何で ?
何で 零 君 が 泣く の ?
( あかり ) ああ それ は ね きっと …
思い出し ちゃ った ん だ ね
ん ?
妹 が いたん だ よ
唐突 に 終わった
遠足 から 戻る と
僕 の 大切 な 父 と 母 と 小さな 妹 は
冷たく て 固い まだら の 塊 に なって い た
( 親戚 A ) 飲酒 運転 の トラック の 巻き添え です って
( 親戚 B ) 三 人 と も 即死 だった らしい な
( 親戚 C ) 息子 さん は どう なる の かしら
( 親戚 D ) 妹 の 貴和子 さん が 引き取る ん じゃ ない の ?
あの 女 が そんな 役 買って出る わけない だ ろ う
( 親戚 F ) お じい さま も もう お 年 だ し ね
( 零 の 祖父 ) この ばか 者 !
病院 は どう する つもり だ !
せっかく お前 が 将棋 を やめ て 継 い で くれ て
これ から は 全部 うまく いく と …
( 貴和子 の 夫 ) お 義父 さん 大丈夫 です よ
僕 が い ます よ 僕 に 任せ て ください
父さん は 兄さん ばっかり
かわいそう に
零 君 に は ちゃんと 私 が いい 施設 を 探し ます から ね
( 零 ) 施設 と いう 所 が どんな 場所 か は 分から なかった
でも 今 まで は 学校 で どんな に つらく て も
夕方 に は あたたか い 自分 の 部屋 で
一 人 に なって ほっと 落ち着く こと が でき た
でも そこ に 入ったら
帰って も 誰 か が ずっと い て 眠る とき も 誰 か が い て
365 日 の 中 で 一瞬 も 無くなる の だ と いう こと だけ は 分かった
そして その 人 は やって 来 た
葬儀 に は 血 の つながった 親戚 が たくさん 集まって い た けれど
叫び 出し たい ほど 懐かしかった
ですから 桐山 医院 は 主人 が 継ぎ ます
口出し は ご 無用 です わ
( 親戚 G ) まったく 貴和子 さん の 態度 ったら …
( 親戚 H ) あの 子 は 昔 から ああ だった わ
( 親戚 I ) しっ ! お前 ご 霊前 だ ぞ
だって …
( 幸田 ) 君 は 将棋 好き か ?
( 零 ) これ が 契約 の 瞬間 だった
将棋 の 神様 と 僕 の 醜い うそ で 固め た …
( 幼い 零 ) はい
( 零 ) うそ だった
そして 決して 戻 れ ない …
僕 は 将棋 の 家 の 子 に なった
( 零 ) あっ
ほつれ てる
あぁ 駄目 だ
引っ張ったら 余計 …
こう いう の って どう し たら い い ん だ ?
( 零 ) う っ
( ドア チャイム )
( 零 ) あった これ か ?
同じく 棋士 を 目指す その 家 の 本当 の 子供 たち
( 幸田 ( こう だ ) 香子 ( きょうこ ) ) いい気 に なん ない で ! ゼロ の くせ に
( 零 ) 四 つ 上 の 姉 の 香子 と 同じ 年 で 弟 の 小 3 の 歩 ( あゆむ ) だった
( 香子 ) フン
( 幸田 の 妻 ) お 父さん どう か もう この 辺 で 許し て やって
駄目 だ
( 幸田 の 妻 ) 香子 は 女の子 な の よ
将棋 うんぬん 以前 の 問題 だ
負け て 相手 を 殴る なんて !
( 幸田 の 妻 ) でも …
( 零 ) 父 は 香子 に は 厳しかった
たぶん 彼女 の 強 さ が 余計 に 父 に そう さ せ た の だ と 思う
全て の 面 に おい て 彼女 は 嵐 の よう に 激しかった
棋風 も 気性 も その 美し さ も
ちょっと 何 じろじろ 見 て ん の よ チビ
( 幼い 零 ) ハッ !
( 幼い 零 ) ウッ ! ( 幸田 ) コラッ ! 香子 !
( 香子 ) ハッ
( 幼い 零 ) あの … お 父さん
( 幸田 ) ん ? ( 幼い 零 ) お代わり を
ああ 頼む
( 香子 ) は っ ?
ちょっと 何 ? 今 の
お 父さん って 何 それ
はっ あの … ごめんなさい
変 か ? 私 が そう 呼べ って 言った ん だ よ
何で ? その子 内 弟子 でしょ
養子 で も ない の に 何で お 父さん な の よ
うち の 中 で 師匠 と 呼ば れる の も 落ち着か ん
将棋 の お 父さん だ から じゃ 駄目 な の か ?
あっ そう いえ ば 道場 の 井上 さん に 聞い た ぞ
零 お前 アマ 名人 の 橋本 さん に 勝った ん だって な
すごい じゃ ない か
( 零 ) 父 は 将棋 を 愛し て い た
良く も 悪く も 全て が 将棋 中心 だった
だから 彼 を 愛する 者 は 強く なる しか なかった
彼 の 視界 に 入り 続ける ため に
そして 最初 に おかしく なった の は 歩 だった
( 教師 ) 歩 君 最近 学校 でも ふさぎ がち です
成績 も 落ち て い ます
ご 家庭 で 何 か あった の でしょ う か ?
将棋 で 抜か れ て しまって それ で …
( 幸田 ( こう だ ) 歩 ( あゆむ ) ) 僕 もう 将棋 やめる
( 幼い 零 ) ハァ ハァ
( 幸田 ) 無理 だ よ
他人 が 説得 し なけりゃ 続か ない よう なら 駄目 な ん だ
( 幼い 零 ) でも …
駄目 な ん だ
プロ に なる の が ゴール な ん じゃ ない
なって から の 方 が 気 が 遠く なる ほど 長い ん だ
進め ば 進む ほど 道 は 険しく 周り に 人 は い なく なる
どのみち 先 へ は 進め なく なる ん だ よ
( 香子 ) ウッ …
( 香子 ) 何で ?
何で 私 が 奨励 会 を やめ なきゃ な ん ない の ?
( 幼い 零 ) あっ …
( 幸田 ) 零 に 勝 て ない の なら これ 以上 は 無理 だ
初段 まで 行け ば これ 以上 が ゴロゴロ いる ん だ ぞ
( 香子 ) くっ … う っ …
( 幸田 ) 分かって る だ ろ う 香子
( 将棋 関係 者 A ) 結局 残った の は 他人 の 子供 だけ か
( 将棋 関係 者 B ) あの 子 桐山 の 子 だ ろ う ?
自分 の 子 が 食わ れ ち まった って わけ か
( 将棋 関係 者 A ) 皮肉 な もん だ な
( 零 ) う っ !
( 零 ) その 後 香子 は 街 で 遊び まわる よう に なり
歩 は 部屋 に 籠もって ゲーム に のみ 込ま れ
三 人 で 過ごす こと は なく なった
居 たたま れ ない 僕 は ますます 将棋 の 勉強 に のめり込み
そして
三 段 リーグ に まで 到達 し た
( テレビ の 音声 ) 鳥 に は 自分 で 子育て を せ ず たく 卵 を する 種 が あり ます
卵 の うち に 全て 外 へ 落とし 巣 を 占領 し ます
自分 の 子 を 殺し た 他人 の 子 に せっせと 餌 を 運び 育て 続け ます
( 零 ) ああ 僕 だ
いつ まで も 餌 を 運び 続ける の です
( 零 ) この 鳥 は 僕 だ
( 零 の 担任 ) 本当 に 高校 に は 行か ない の か ね ?
( 零 ) はい
( 零 の 担任 ) 本当 に それ で いい の かい ?
将来 の 道 を 選ぶ ため に 通う 所 だ と 思い ます
だから もう 僕 に は 必要 あり ませ ん
来年 に は 三 段 リーグ を 抜け 僕 は プロ に なり ます
将棋 に 集中 し たい ん です
プロ に なって 頑張って 少し でも 成績 を 上げ て
( 零 ) 家 を 出よ う
勝ち星 を つか ん で お 金 を 稼 い で
( 零 ) 一刻 も 早く 出 なけ れ ば
そして 自立 し たい ん です
僕 が あの 家 の 人 たち を … 父さん を 食い 尽くす 前 に
( 零 ) 出来 た
ちょっと ギザギザ に なっちゃ っ た けど
大丈夫 これ でも う これ 以上 ほつれ ない
よかった まだ 着 て い られる
( 幸田 ) 何 だ 零 寒い の か ?
( 零 ) 僕 は カッコウ だ
そう だ とりあえず これ を 着 て なさい
私 の で 悪い が
( 零 ) 押しのけ た 命 の 上 に 立ち
( 幸田 ) ハッハッハ ちょっと で か すぎる な
だ … 大丈夫 です うれしい です
すごく あった かい です
( 零 ) 春 を うたえ と 呼ぶ 声 を 聞く
ありがとう お 父さん
そして 思う
いっそ 本当 に 鳥 だったら と
そう し たら
こんな 激しい 痛み 知ら ず に 済 ん だ のに と
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~ ♪
( 零 ) どこ か 行き たい
( ひなた ) 中華 街 ! 横浜 の
肉 まん と か エビ チリ と か
のんびり できる 所 かな
( モモ ) 芋 ほり !
あと ね お しょうゆ 工場
もっと こう オブラート に
ストレート すぎ ます よ
( モモ ) 3 …
3 月 の ライオン
モモ は ライオン さん より
ボドロ が 好き です