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ブギーポップは笑わない, Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 9

( 正樹 ( まさき ) ) な … 凪 ( なぎ ) 姉さん ?

( 凪 ) より に よって そんな 格好 する と は ね

一体 誰 に 吹き込ま れ た ん だ ?

( 正樹 ) ごめん 凪 姉さん !

( 凪 ) おい !

( 綺 ( あや ) ) あなた は 強い わ 正樹

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 正樹 ) 違う 僕 は 強く ない

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

本当 は 自分 じゃ 何 が 正しい の か さえ 分から ない

だから 人 の 顔色 を うかがって 生きる しか ない ん だ

( 綺 ) あなた なら ブギー ポップ に な れる

( 正樹 ) そう でも 確か に “ な れる ” 気 が し た ん だ

( チャイム )

( チャイム )

君 と 一緒 だったら

( 缶 の 転がる 音 )

( 正樹 ) ん ?

何 だ これ ?

あ …

( 琴 絵 ( こと え ) ) あの 子 陰 じゃ “ 公衆 便所 ” って 呼ば れ てる の よ

( メール の 着信 音 )

えっ ?

( 琴 絵 ) そもそも なんで 自分 が ―

そんな バカ な マネ 事 を し て いる か ちゃんと 考え た ?

ねえ 正樹 あなた は 私 の こと …

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 正樹 ) 僕 は 一体 何 を 見 て いた ん だ !

( 自動 音声 ) お かけ に なった 電話 番 号 は …

( 正樹 ) くそ !

( 正樹 の 荒い 息 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 正樹 ) 僕 は 一体 何 を 見落とし て いる ん だ ?

頼む 出 て くれ 織機 ( おり は た ) !

( 正樹 ) あっ 織機 ? 織機 だ ろ ! ?

僕 だ 谷口 ( たに ぐち ) 正樹 だ !

ええ 分かって る わ

織機 大丈夫 かい ?

( 綺 ) ええ なんで そんな こと を 聞く の ?

( 正樹 ) 衣川 ( きぬ かわ ) って 子 から 話 を 聞 いた ん だ

( 綺 ) そう

( 正樹 ) 彼女 は 誰 か に 洗脳 さ れ て た って

( 綺 ) そう よ だ から あの 人 を 悪く 思わ ない で

( 正樹 ) 君 は 危ない 目 に 遭って ない かい ?

( 綺 ) ええ 大丈夫

( 正樹 ) 他 に も 誰 か いる の ?

織機 僕 は 君 の 力 に なり たい

君 を 助け たい ん だ よ

君 が ―

僕 を 利用 し て た って それ でも い い ん だ

君 と 一緒 は ホント に 楽しかった し それ だけ で 僕 は …

正樹 もう いい の

( 正樹 ) え ?

( 綺 ) 私 の こと は 忘れ て

正樹 に は 別 の ちゃんと し た 女の子 の ほう が 合って る

そう いう こと じゃ なく て ! 僕 は …

( 綺 ) 知った ん でしょ う ? 私 が 何 を し て い た か

あ …

( 綺 ) 全部 本当 の こと よ

あなた 私 が そんな こと を し て た なんて ―

思い も し なかった でしょ ?

それ は …

( 綺 ) ごめん ね そう いう 人間 な の 私 は

ずっと あなた を だまし て 裏切って た の

( 正樹 ) けど …

いいかげん 目 を 覚まし て

正樹 は 本当 に バカ ね

( 正樹 ) でも 僕 は 君 が 好き な ん だ よ !

あ …

( 正樹 ) 織機 今 どこ に いる ん だ ?

ど どこ だって 関係ない でしょ う !

もう 構わ ない で

( 正樹 ) 織機 …

さよう なら 正樹 …

( 正樹 ) 誰 か いる な

聞い て いる ん だ ろ ?

誰 だ か 知ら ない が そこ に いる お前 だ

あんた が 何者 か は どう で も いい

あんた が 何者 か は どう で も いい

( 飛行機 の 飛行 音 )

( 飛行機 の 飛行 音 )

( 飛行機 の 飛行 音 )

ただ 織機 を どう に かする なら 僕 は お前 を 許さ ない !

おい ! 聞い て いる …

( 通話 を 切る 音 )

くっ …

あっ …

ハッ !

( 飛鳥井 ( あす かい ) ) 彼 の 声 が 聞 け て うれしかった か ?

( 綺 ) はい …

( 飛鳥井 ) そう か ならば 君 の 人生 も ムダ で は なかった わけ だ

私 より マシ だ な

( 末 真 ( す えま ) ) 具合 は どう ?

( 琴 絵 ) うん 大丈夫 よ

( 末 真 ) そう なら よかった

( 琴 絵 ) 驚 い た でしょ ? こんな こと に なっちゃ っ て

( 末 真 ) うん まあ ちょっと はね

でも この 前 より は 驚か なかった けど

この 前 ?

( 末 真 ) 最近 の あなた の 評判 を 聞い た とき よ

いろいろ 言わ れ てる ん でしょ う ね

まっ あなた に 起こった こと が 伝わったら ―

見方 も 変わる と 思う けど ね

人 の ウワサ なんて そんな もの よ

あり が と 慰め に 来 て くれ た の ?

( 末 真 ) いいえ あなた から 直接 聞き たく て

何 を ?

( 末 真 ) あなた を 操って い た の は 一体 誰 な の ?

どう し て …

( 末 真 ) 人 って そう 簡単 に 変わ れ ない から

心当たり は ある の ?

分から ない けど 前 に あなた に ―

“ 仁 ( じん ) 兄さん に 会う な ” って 言わ れ た でしょ ?

それ は ショック で 覚え て て …

( 末 真 ) ごめんなさい で も あれ は …

う うん そう じゃ なく て …

私 いつも そう いう 落ち込 ん だ とき に ―

行く 場所 が ある ん だ けど

その とき に も 行った 覚え が ある から ―

その あと か なって

それ って どこ な の ?

( 琴 絵 ) ペイズリー パーク って いう 造り かけ の 遊園地

( 琴 絵 ) 知って る ? ( 末 真 ) ええ 分かる わ

( 琴 絵 ) そこ に ザ ・ ラダー って いう 塔 が ある ん だ けど ―

そこ で …

でも ぼんやり と 覚え てる

仁 兄 さん が “ さよなら ” って 言った こと だけ は …

私 の 気持ち は 憧れ だって

分かって た のに ね そんな こと

ホント 子供 っぽく て バカ みたい

衣川 さん あなた まだ 彼 の こと が 好き ?

( 琴 絵 ) 分か ん ない もう 分か ん ない けど …

でも でも ね …

でも もう 一 度 会い たい

会って 前 み たい に からかわ れ て ―

ケンカ し たい

( 琴 絵 の 泣き声 )

( 藤 花 ( とうか ) ) どう だった ?

藤 花

悪い ん だ けど さ ここ から 1 人 で 帰って くん ない かな

( 藤 花 ) えっ どう かし た の ?

やっぱり 行か なきゃ なら ない 気 が し て

行か なきゃ なら ない って どこ へ ?

( 末 真 ) ペイズリー パーク ( 藤 花 ) ん ?

約束 し た から “ 私 が なんとか する ” って

ちょ ちょっと 末 真 !

( 正樹 ) ごめん 姉さん バイク は 必ず 返す から

( 透 子 ( すいこ ) ) あと 少し …

あと 少し だ わ

あと 少し で 突破 できる

うん ?

私 を ここ で 殺す の ?

いや まだ だ

統 和 ( と うわ ) 機構 が スプー キー E の 死 を 知る まで に は ―

少し 時間 が ある はず だ し ね

そう

( 飛鳥井 ) それ に 正確 に は 殺す わけ じゃ ない

ただ 君 の 心 を 取り除 い て しまう こと に は なる

恐らく 君 は 君 で なく なり 人間 と も 呼 べ ない 存在 に なる だ ろ う

それ なら 私 は …

( 飛鳥井 ) ん ?

( 綺 ) いえ 何でも

決行 は 人々 が 寝静まる 夜中 だ

なるべく 皆 が ショック を 受け ない よう に ね

君 の 心 から 創 れる “ 種 ” で は ―

この 街 の 人間 程度 しか 影響 を 与え られ ない だ ろ う が ―

それ で 十 分 だ

え ?

( 飛鳥井 ) 君 の 種 が 根付 い た 人々 の 中 に ―

新た な 種 が 生まれる はず だ から ね

( 綺 ) 街 の 人 へ の 影響 って どの くらい な の ?

( 飛鳥井 ) ほとんど ない よ

自分 じゃ 気づく こと さえ ない だ ろ う

ただ 苦痛 が いつのまにか なくなって いる

それ だけ の こと だ

そう それ なら …

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( 飛鳥井 ) どう し た ?

( 男性 ) 接近 する 者 が い ます

( 飛鳥井 ) 何者 だ ?

あ …

( 男性 ) 例 の 少年 です

ブギー ポップ を やって い た あの 少年 です

( 飛鳥井 ) そう か 打ち合わせ どおり に 対応 しろ

( 男性 ) 了解

( 正樹 ) 織機 !

織機 !

な 何 だ ?

あ … くっ …

え いっ う っ …

そう いう こと か

( 少女 ) う っ …

あっ … う わ っ

くっ …

( ピエロ ) 恐れる こと は ない ん だ ブギー ポップ 君

( 正樹 ) あ ?

( ピエロ ) 怖い こと など 何も ない

君 に も すぐ 分かる

( ピエロ ) 恐れる こと は ない

( ピエロ ) 何 も 怖い こと は ない

( ピエロ ) 君 に も すぐ 分かる

( ピエロ ) 怖い こと など 何も ない ( 正樹 ) く … く そ っ 離せ !

( ピエロ ) 大丈夫 君 が 目 を 覚まし た とき に は ―

既に 君 も 我々 の 仲間 だ

や やめろ !

( ピエロ たち ) な っ …

( ピエロ ) な 何者 だ !

( ブギー ポップ ) 僕 が 何者 か 君 ら は もう ―

知って いる はず だ

( 駆け寄る 足音 )

( 末 真 の 荒い 息 )

やっぱり 何 か ある

( ブギー ポップ ) 本当 は 出 て くる つもり は なかった ん だ が ―

早く 決着 を つけ ない と ―

あの おせっかい が やって き て しまう の で ね

( ブギー ポップ ) 3 2 1

( 音楽 )

( 音楽 )

これ って 確か ワーグナー の …

「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」

電源 は 全て 切って いる はず

どう いう こと だ ?

( 正樹 ) まるで 魔法 の よう だった

でも こいつ は 魔法使い なんか じゃ ない

死 神 だ

( ブギー ポップ ) や あ ついに 会 え た ね

( 正樹 ) こんな ヤツ を 僕 は マネ て い た の か

ああ 君 は 洗脳 さ れ て い た から な

洗脳 って 何 の こと だ ?

( ブギー ポップ ) 言葉 どおり の 意味 さ

織機 綺 と 一緒に い た とき ―

一 度 くらい 記憶 が あいまい に なった こと が ある はず だ

その とき に 君 は スプー キー E に ―

“ 恐怖 ” を マヒ さ せ られ て い た ん だ ろ う

そんな こと …

あっ …

( ブギー ポップ ) 思い当たる 節 は ある よう だ ね

だけど それ じゃ …

洗脳 って こと は ―

僕 が … 僕 が 織機 を 好き な この 気持ち も ―

操ら れ た だけ で ウソ だって いう こと か ?

( ブギー ポップ ) 君 は 今 まで ずっと ―

自分 が 自由 に 行動 し て いる と 思って い た の か ?

君 は これ まで 自分 の 意志 だ と ―

はっきり 自覚 し て 行動 し て い た こと が あった の か な ?

君 が 社会 に 適応 し て いる と いう こと は ―

言いかえ れ ば ―

社会 に 都合 の いい よう 洗脳 さ れ て いる と も 言 える

誰 だ かも 分から ない 相手 に ね

問題 は その 自由 の ない 精神 の 中 で ―

何 を 大切 に する か と いう こと だ

僕 は … 僕 は …

( ブギー ポップ ) 君 は ―

がんじがらめ に 縛ら れ て いる 世界 の 中 で 何 を 望む ?

( 正樹 ) 僕 は …

( 綺 ) 音 が や ん だ わ 何 だった の かしら

( 飛鳥井 ) 音楽 は 人 の 心 を 揺さぶる のに ―

大変 効果 が ある ん だ

浮き 足 だって 冷静 な 行動 が 取れ なく なって しまう から ね

( 飛鳥井 ) しかし まさか あの 少年 が …

( 綺 ) どう かし た の ?

ぐずぐず し て いる 時間 は ない よう だ

今 すぐ 君 を 処理 し なけ れ ば なら なく なった

そう なら 早く し て

( 飛鳥井 ) ああ

ハッ ! 誰 だ ?

あっ … あっ !

ま まさか …

驚く こと は ない だ ろ う カミール 君

君 は ずっと 僕 を 捜し て い た じゃ ない か

あ …

( 飛鳥井 ) な 何 だ ? 貴 様 何者 だ !

僕 が 誰 な の か ―

君 は もう 知って いる はず だ

( 銃声 )

僕 に 花 が 見え ない から って ずいぶん と 乱暴 だ な

イマジ ネーター

そこ まで 知って いる と は

( ブギー ポップ ) だったら 許さ ない か な ?

( 飛鳥井 ) くっ …

( ブギー ポップ ) まあ いい 何でも いい から ―

さっさと やる こと を 済ませ たら どう だい ?

何 だ と ?

( ブギー ポップ ) 君 が やり たい こと を やって みろ と 言って る ん だ よ

できる もの なら ね

く う っ …

な 何 だ ? どう なって いる ん だ 一体 !

( 綺 ) も しか して と 思って い た けど …

あ ?

( 綺 ) あなた 私 を 利用 し て ―

人間 を どう に か する つもり だった の でしょ う ?

だったら 何 だ !

( 綺 ) やっぱり …

それ なら うまく いか ない ん じゃ ない か と 思って た

だって …

私 は 人間 じゃ ない ん だ も の

あっ …

( ブギー ポップ ) なるほど

どっち に しろ 君 は 既に 負け て い た わけ だ

( 飛鳥井 ) ど どう いう 意味 だ ?

( ブギー ポップ ) 君 が その 少女 と 出会った とき に ―

その 時点 で 君 の 敗北 は 決定づけ られ て い た の さ

誰 の 巡り合わ せ か ―

どんな 運 命 が あった か は 知ら ない けど ね

( 飛鳥井 ) そ そんな …

( ブギー ポップ ) 未来 ばかり 見 て いる から そう いう こと に なる ん だ

イマジ ネーター

自分 だけ が 可能 性 だ と 思う から ―

思い も よら ぬ ところ から 出 て くる 他 の 可能 性 に ―

いつのまにか 足 を すくわ れる

( 飛鳥井 ) く そ っ

( 飛鳥井 ) ハァ ハァ …

( ブギー ポップ ) 無理 だ よ イマジ ネーター

そい つ に は 突破 は でき ない

君 は やっぱり ただ 落ち て いく だけ だ

君 に もう 可能 性 は ない

たとえ 4 月 に 雪 が 降る こと が あって も

それ は 所詮 春 の 日差し の 中 積もる こと なく ―

むなしく 溶け て いく しか ない ん だ

くっ … ハァ ハァ …

ハァ ハァ ハァ …

( 透 子 ) あっ …

う っ くっ …

あ あっ …

( 綺 ) 死 ん だ の ? 殺し て しまった の ?

( ブギー ポップ ) まあ しばらく は ムチ ウチ に 悩ま さ れる かも しれ ない ね

どう し て 助け た の ?

( ブギー ポップ ) 殺す ほど の 価値 が なかった から だ

イマジ ネーター が い なく なった 以上 ―

もう 僕 の 敵 と は 呼 べ ない

じゃあ あなた は 敵 で あれ ば 容赦 は し ない と いう こと ね

( ブギー ポップ ) そう だ な ( 綺 ) あっ …

え ?

( ブギー ポップ ) あっ ち は まあ いい か

ほっとけ ば 統 和 機構 が 来 て 処分 する だ ろ う

( 綺 ) ど どう し て ? ( ブギー ポップ ) ん ?

( 綺 ) どう し て 助ける の ? 私 は あなた の 敵 でしょ ?

( ブギー ポップ ) なんで 君 が 僕 の 敵 な ん だ ?

( 綺 ) だって 統 和 機構 は あなた の …

統 和 機構 自体 は 僕 の 敵 じゃ ない

君 たち が どう 思って いる か は 知ら ない けど ね

( 綺 ) あ …

( ブギー ポップ ) 飛鳥井 仁 も 同じ さ

もともと 彼 の 能力 なんて 僕 の 眼中 に ない

そもそも 彼 は 自分 の 力 に 対し て 致命 的 な 勘違い を し て い た し ね

( 綺 ) どう いう こと ?

君 は 自分 が 人間 じゃ ない から ―

飛鳥井 仁 が 手出し でき なかった と 思って いる よう だ が ―

残念 ながら 何 の 関係 も ない

( 綺 ) で でも …

( ブギー ポップ ) 彼 は 人 の 心 を 見る こと が でき た らしい が ―

そもそも 心 と いう やつ は ―

他者 と の コミュニケーション で 成り立つ もの だ

別に それ 自体 で 完結 する よう な ―

唯一無二 の 自我 なんて もの は そこ に 存在 し ない

いくら いじった ところ で ―

結局 それ は 一時的 な 処置 に すぎ ない ん だ よ

もし 君 が 彼 に 心 と やら を 抜か れ て い た と し て も ―

どうせ すぐ に 回復 し て い た

君 の 心 の 中 に は 君 を 守って くれる 者 が いる から ね

あ …

くそ … 待って ろ 織機 !

( 透 子 ) どうやら 飛鳥井 先生 は ―

心 の 欠落 に とらわれ すぎ て い た よう ね

欠落 は 所詮 新しい もの を 創り 出す ため の 余裕 で しか なく ―

突破 する 力 と し て は 足り なかった

あなた 大した もの だ わ

私 は ここ まで

先 は ない けれど で も やはり いつか 必ず ―

“ 突破 ” できる 人 が 現れる と 確信 できる

あなた の よう に 強い 人 を 見る と ね

( ブギー ポップ ) 君 に 飛鳥井 仁 が 手出し でき なかった 理由 は ―

それ だ よ

僕 は 彼 に 頼ま れ た だけ だ

そう そう 行く 当て が ない の なら ―

彼 の 近く に いる 人間 に 相談 する と いい

う っ …

( ブギー ポップ ) 炎 の 魔女 と いう 変人 だ が ―

きっと 力 に なって くれる よ

あっ …

( 末 真 ) 何 な の よ …

何 な の ? これ は

( 正樹 ) う っ … ( 末 真 ) あっ

ちょっと 大丈夫 です か ?

あ あなた 正樹 君 ?

す 末 真 さん ?

ちょうど よかった

( 末 真 ) ねえ これ どう いう こと ? 一体 何 な の ?

末 真 さん

女の子 が その 辺 に いる はず だ から 助け て やって

えっ ? 女の子 って …

( 正樹 ) お 願い しま …

ど どれ ? 正樹 君 どの 子 の こと ?

( ブギー ポップ ) その 女の子 は ザ ・ ラダー と いう 高い 塔 に いる

だ 誰 よ 今度 は ! ?

( ブギー ポップ ) 誰 でも いい さ

君 は とにかく 彼女 を 連れ て き て ―

その 男の子 と 会わ せ て やって くれ

君 が 捜し て いる 飛鳥井 仁 も そこ に いる

( 末 真 ) ねえ 誰 ?

あなた は 一体 誰 な の よ ! ?

ねえ !

( 末 真 ) またしても 事件 は 私 の すぐ そば を 通り抜け て いった

でも その 声 の 主 は 最後 に 言った

( ブギー ポップ ) 僕 が 誰 な の か 君 は もう 知って いる はず だ

♪ ~

~ ♪


( 正樹 ( まさき ) ) な … 凪 ( なぎ ) 姉さん ?

( 凪 ) より に よって そんな 格好 する と は ね

一体 誰 に 吹き込ま れ た ん だ ?

( 正樹 ) ごめん 凪 姉さん !

( 凪 ) おい !

( 綺 ( あや ) ) あなた は 強い わ 正樹

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 正樹 ) 違う 僕 は 強く ない

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

本当 は 自分 じゃ 何 が 正しい の か さえ 分から ない

だから 人 の 顔色 を うかがって 生きる しか ない ん だ

( 綺 ) あなた なら ブギー ポップ に な れる

( 正樹 ) そう でも 確か に “ な れる ” 気 が し た ん だ

( チャイム )

( チャイム )

君 と 一緒 だったら

( 缶 の 転がる 音 )

( 正樹 ) ん ?

何 だ これ ?

あ …

( 琴 絵 ( こと え ) ) あの 子 陰 じゃ “ 公衆 便所 ” って 呼ば れ てる の よ

( メール の 着信 音 )

えっ ?

( 琴 絵 ) そもそも なんで 自分 が ―

そんな バカ な マネ 事 を し て いる か ちゃんと 考え た ?

ねえ 正樹 あなた は 私 の こと …

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 正樹 ) 僕 は 一体 何 を 見 て いた ん だ !

( 自動 音声 ) お かけ に なった 電話 番 号 は …

( 正樹 ) くそ !

( 正樹 の 荒い 息 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 携帯 電話 の 呼び出し 音 )

( 正樹 ) 僕 は 一体 何 を 見落とし て いる ん だ ?

頼む 出 て くれ 織機 ( おり は た ) !

( 正樹 ) あっ 織機 ? 織機 だ ろ ! ?

僕 だ 谷口 ( たに ぐち ) 正樹 だ !

ええ 分かって る わ

織機 大丈夫 かい ?

( 綺 ) ええ なんで そんな こと を 聞く の ?

( 正樹 ) 衣川 ( きぬ かわ ) って 子 から 話 を 聞 いた ん だ

( 綺 ) そう

( 正樹 ) 彼女 は 誰 か に 洗脳 さ れ て た って

( 綺 ) そう よ だ から あの 人 を 悪く 思わ ない で

( 正樹 ) 君 は 危ない 目 に 遭って ない かい ?

( 綺 ) ええ 大丈夫

( 正樹 ) 他 に も 誰 か いる の ?

織機 僕 は 君 の 力 に なり たい

君 を 助け たい ん だ よ

君 が ―

僕 を 利用 し て た って それ でも い い ん だ

君 と 一緒 は ホント に 楽しかった し それ だけ で 僕 は …

正樹 もう いい の

( 正樹 ) え ?

( 綺 ) 私 の こと は 忘れ て

正樹 に は 別 の ちゃんと し た 女の子 の ほう が 合って る

そう いう こと じゃ なく て ! 僕 は …

( 綺 ) 知った ん でしょ う ? 私 が 何 を し て い た か

あ …

( 綺 ) 全部 本当 の こと よ

あなた 私 が そんな こと を し て た なんて ―

思い も し なかった でしょ ?

それ は …

( 綺 ) ごめん ね そう いう 人間 な の 私 は

ずっと あなた を だまし て 裏切って た の

( 正樹 ) けど …

いいかげん 目 を 覚まし て

正樹 は 本当 に バカ ね

( 正樹 ) でも 僕 は 君 が 好き な ん だ よ !

あ …

( 正樹 ) 織機 今 どこ に いる ん だ ?

ど どこ だって 関係ない でしょ う !

もう 構わ ない で

( 正樹 ) 織機 …

さよう なら 正樹 …

( 正樹 ) 誰 か いる な

聞い て いる ん だ ろ ?

誰 だ か 知ら ない が そこ に いる お前 だ

あんた が 何者 か は どう で も いい

あんた が 何者 か は どう で も いい

( 飛行機 の 飛行 音 )

( 飛行機 の 飛行 音 )

( 飛行機 の 飛行 音 )

ただ 織機 を どう に かする なら 僕 は お前 を 許さ ない !

おい ! 聞い て いる …

( 通話 を 切る 音 )

くっ …

あっ …

ハッ !

( 飛鳥井 ( あす かい ) ) 彼 の 声 が 聞 け て うれしかった か ?

( 綺 ) はい …

( 飛鳥井 ) そう か ならば 君 の 人生 も ムダ で は なかった わけ だ

私 より マシ だ な

( 末 真 ( す えま ) ) 具合 は どう ?

( 琴 絵 ) うん 大丈夫 よ

( 末 真 ) そう なら よかった

( 琴 絵 ) 驚 い た でしょ ? こんな こと に なっちゃ っ て

( 末 真 ) うん まあ ちょっと はね

でも この 前 より は 驚か なかった けど

この 前 ?

( 末 真 ) 最近 の あなた の 評判 を 聞い た とき よ

いろいろ 言わ れ てる ん でしょ う ね

まっ あなた に 起こった こと が 伝わったら ―

見方 も 変わる と 思う けど ね

人 の ウワサ なんて そんな もの よ

あり が と 慰め に 来 て くれ た の ?

( 末 真 ) いいえ あなた から 直接 聞き たく て

何 を ?

( 末 真 ) あなた を 操って い た の は 一体 誰 な の ?

どう し て …

( 末 真 ) 人 って そう 簡単 に 変わ れ ない から

心当たり は ある の ?

分から ない けど 前 に あなた に ―

“ 仁 ( じん ) 兄さん に 会う な ” って 言わ れ た でしょ ?

それ は ショック で 覚え て て …

( 末 真 ) ごめんなさい で も あれ は …

う うん そう じゃ なく て …

私 いつも そう いう 落ち込 ん だ とき に ―

行く 場所 が ある ん だ けど

その とき に も 行った 覚え が ある から ―

その あと か なって

それ って どこ な の ?

( 琴 絵 ) ペイズリー パーク って いう 造り かけ の 遊園地

( 琴 絵 ) 知って る ? ( 末 真 ) ええ 分かる わ

( 琴 絵 ) そこ に ザ ・ ラダー って いう 塔 が ある ん だ けど ―

そこ で …

でも ぼんやり と 覚え てる

仁 兄 さん が “ さよなら ” って 言った こと だけ は …

私 の 気持ち は 憧れ だって

分かって た のに ね そんな こと

ホント 子供 っぽく て バカ みたい

衣川 さん あなた まだ 彼 の こと が 好き ?

( 琴 絵 ) 分か ん ない もう 分か ん ない けど …

でも でも ね …

でも もう 一 度 会い たい

会って 前 み たい に からかわ れ て ―

ケンカ し たい

( 琴 絵 の 泣き声 )

( 藤 花 ( とうか ) ) どう だった ?

藤 花

悪い ん だ けど さ ここ から 1 人 で 帰って くん ない かな

( 藤 花 ) えっ どう かし た の ?

やっぱり 行か なきゃ なら ない 気 が し て

行か なきゃ なら ない って どこ へ ?

( 末 真 ) ペイズリー パーク ( 藤 花 ) ん ?

約束 し た から “ 私 が なんとか する ” って

ちょ ちょっと 末 真 !

( 正樹 ) ごめん 姉さん バイク は 必ず 返す から

( 透 子 ( すいこ ) ) あと 少し …

あと 少し だ わ

あと 少し で 突破 できる

うん ?

私 を ここ で 殺す の ?

いや まだ だ

統 和 ( と うわ ) 機構 が スプー キー E の 死 を 知る まで に は ―

少し 時間 が ある はず だ し ね

そう

( 飛鳥井 ) それ に 正確 に は 殺す わけ じゃ ない

ただ 君 の 心 を 取り除 い て しまう こと に は なる

恐らく 君 は 君 で なく なり 人間 と も 呼 べ ない 存在 に なる だ ろ う

それ なら 私 は …

( 飛鳥井 ) ん ?

( 綺 ) いえ 何でも

決行 は 人々 が 寝静まる 夜中 だ

なるべく 皆 が ショック を 受け ない よう に ね

君 の 心 から 創 れる “ 種 ” で は ―

この 街 の 人間 程度 しか 影響 を 与え られ ない だ ろ う が ―

それ で 十 分 だ

え ?

( 飛鳥井 ) 君 の 種 が 根付 い た 人々 の 中 に ―

新た な 種 が 生まれる はず だ から ね

( 綺 ) 街 の 人 へ の 影響 って どの くらい な の ?

( 飛鳥井 ) ほとんど ない よ

自分 じゃ 気づく こと さえ ない だ ろ う

ただ 苦痛 が いつのまにか なくなって いる

それ だけ の こと だ

そう それ なら …

( 携帯 電話 の 着信 音 )

( 飛鳥井 ) どう し た ?

( 男性 ) 接近 する 者 が い ます

( 飛鳥井 ) 何者 だ ?

あ …

( 男性 ) 例 の 少年 です

ブギー ポップ を やって い た あの 少年 です

( 飛鳥井 ) そう か 打ち合わせ どおり に 対応 しろ

( 男性 ) 了解

( 正樹 ) 織機 !

織機 !

な 何 だ ?

あ … くっ …

え いっ う っ …

そう いう こと か

( 少女 ) う っ …

あっ … う わ っ

くっ …

( ピエロ ) 恐れる こと は ない ん だ ブギー ポップ 君

( 正樹 ) あ ?

( ピエロ ) 怖い こと など 何も ない

君 に も すぐ 分かる

( ピエロ ) 恐れる こと は ない

( ピエロ ) 何 も 怖い こと は ない

( ピエロ ) 君 に も すぐ 分かる

( ピエロ ) 怖い こと など 何も ない ( 正樹 ) く … く そ っ 離せ !

( ピエロ ) 大丈夫 君 が 目 を 覚まし た とき に は ―

既に 君 も 我々 の 仲間 だ

や やめろ !

( ピエロ たち ) な っ …

( ピエロ ) な 何者 だ !

( ブギー ポップ ) 僕 が 何者 か 君 ら は もう ―

知って いる はず だ

( 駆け寄る 足音 )

( 末 真 の 荒い 息 )

やっぱり 何 か ある

( ブギー ポップ ) 本当 は 出 て くる つもり は なかった ん だ が ―

早く 決着 を つけ ない と ―

あの おせっかい が やって き て しまう の で ね

( ブギー ポップ ) 3 2 1

( 音楽 )

( 音楽 )

これ って 確か ワーグナー の …

「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」

電源 は 全て 切って いる はず

どう いう こと だ ?

( 正樹 ) まるで 魔法 の よう だった

でも こいつ は 魔法使い なんか じゃ ない

死 神 だ

( ブギー ポップ ) や あ ついに 会 え た ね

( 正樹 ) こんな ヤツ を 僕 は マネ て い た の か

ああ 君 は 洗脳 さ れ て い た から な

洗脳 って 何 の こと だ ?

( ブギー ポップ ) 言葉 どおり の 意味 さ

織機 綺 と 一緒に い た とき ―

一 度 くらい 記憶 が あいまい に なった こと が ある はず だ

その とき に 君 は スプー キー E に ―

“ 恐怖 ” を マヒ さ せ られ て い た ん だ ろ う

そんな こと …

あっ …

( ブギー ポップ ) 思い当たる 節 は ある よう だ ね

だけど それ じゃ …

洗脳 って こと は ―

僕 が … 僕 が 織機 を 好き な この 気持ち も ―

操ら れ た だけ で ウソ だって いう こと か ?

( ブギー ポップ ) 君 は 今 まで ずっと ―

自分 が 自由 に 行動 し て いる と 思って い た の か ?

君 は これ まで 自分 の 意志 だ と ―

はっきり 自覚 し て 行動 し て い た こと が あった の か な ?

君 が 社会 に 適応 し て いる と いう こと は ―

言いかえ れ ば ―

社会 に 都合 の いい よう 洗脳 さ れ て いる と も 言 える

誰 だ かも 分から ない 相手 に ね

問題 は その 自由 の ない 精神 の 中 で ―

何 を 大切 に する か と いう こと だ

僕 は … 僕 は …

( ブギー ポップ ) 君 は ―

がんじがらめ に 縛ら れ て いる 世界 の 中 で 何 を 望む ?

( 正樹 ) 僕 は …

( 綺 ) 音 が や ん だ わ 何 だった の かしら

( 飛鳥井 ) 音楽 は 人 の 心 を 揺さぶる のに ―

大変 効果 が ある ん だ

浮き 足 だって 冷静 な 行動 が 取れ なく なって しまう から ね

( 飛鳥井 ) しかし まさか あの 少年 が …

( 綺 ) どう かし た の ?

ぐずぐず し て いる 時間 は ない よう だ

今 すぐ 君 を 処理 し なけ れ ば なら なく なった

そう なら 早く し て

( 飛鳥井 ) ああ

ハッ ! 誰 だ ?

あっ … あっ !

ま まさか …

驚く こと は ない だ ろ う カミール 君

君 は ずっと 僕 を 捜し て い た じゃ ない か

あ …

( 飛鳥井 ) な 何 だ ? 貴 様 何者 だ !

僕 が 誰 な の か ―

君 は もう 知って いる はず だ

( 銃声 )

僕 に 花 が 見え ない から って ずいぶん と 乱暴 だ な

イマジ ネーター

そこ まで 知って いる と は

( ブギー ポップ ) だったら 許さ ない か な ?

( 飛鳥井 ) くっ …

( ブギー ポップ ) まあ いい 何でも いい から ―

さっさと やる こと を 済ませ たら どう だい ?

何 だ と ?

( ブギー ポップ ) 君 が やり たい こと を やって みろ と 言って る ん だ よ

できる もの なら ね

く う っ …

な 何 だ ? どう なって いる ん だ 一体 !

( 綺 ) も しか して と 思って い た けど …

あ ?

( 綺 ) あなた 私 を 利用 し て ―

人間 を どう に か する つもり だった の でしょ う ?

だったら 何 だ !

( 綺 ) やっぱり …

それ なら うまく いか ない ん じゃ ない か と 思って た

だって …

私 は 人間 じゃ ない ん だ も の

あっ …

( ブギー ポップ ) なるほど

どっち に しろ 君 は 既に 負け て い た わけ だ

( 飛鳥井 ) ど どう いう 意味 だ ?

( ブギー ポップ ) 君 が その 少女 と 出会った とき に ―

その 時点 で 君 の 敗北 は 決定づけ られ て い た の さ

誰 の 巡り合わ せ か ―

どんな 運 命 が あった か は 知ら ない けど ね

( 飛鳥井 ) そ そんな …

( ブギー ポップ ) 未来 ばかり 見 て いる から そう いう こと に なる ん だ

イマジ ネーター

自分 だけ が 可能 性 だ と 思う から ―

思い も よら ぬ ところ から 出 て くる 他 の 可能 性 に ―

いつのまにか 足 を すくわ れる

( 飛鳥井 ) く そ っ

( 飛鳥井 ) ハァ ハァ …

( ブギー ポップ ) 無理 だ よ イマジ ネーター

そい つ に は 突破 は でき ない

君 は やっぱり ただ 落ち て いく だけ だ

君 に もう 可能 性 は ない

たとえ 4 月 に 雪 が 降る こと が あって も

それ は 所詮 春 の 日差し の 中 積もる こと なく ―

むなしく 溶け て いく しか ない ん だ

くっ … ハァ ハァ …

ハァ ハァ ハァ …

( 透 子 ) あっ …

う っ くっ …

あ あっ …

( 綺 ) 死 ん だ の ? 殺し て しまった の ?

( ブギー ポップ ) まあ しばらく は ムチ ウチ に 悩ま さ れる かも しれ ない ね

どう し て 助け た の ?

( ブギー ポップ ) 殺す ほど の 価値 が なかった から だ

イマジ ネーター が い なく なった 以上 ―

もう 僕 の 敵 と は 呼 べ ない

じゃあ あなた は 敵 で あれ ば 容赦 は し ない と いう こと ね

( ブギー ポップ ) そう だ な ( 綺 ) あっ …

え ?

( ブギー ポップ ) あっ ち は まあ いい か

ほっとけ ば 統 和 機構 が 来 て 処分 する だ ろ う

( 綺 ) ど どう し て ? ( ブギー ポップ ) ん ?

( 綺 ) どう し て 助ける の ? 私 は あなた の 敵 でしょ ?

( ブギー ポップ ) なんで 君 が 僕 の 敵 な ん だ ?

( 綺 ) だって 統 和 機構 は あなた の …

統 和 機構 自体 は 僕 の 敵 じゃ ない

君 たち が どう 思って いる か は 知ら ない けど ね

( 綺 ) あ …

( ブギー ポップ ) 飛鳥井 仁 も 同じ さ

もともと 彼 の 能力 なんて 僕 の 眼中 に ない

そもそも 彼 は 自分 の 力 に 対し て 致命 的 な 勘違い を し て い た し ね

( 綺 ) どう いう こと ?

君 は 自分 が 人間 じゃ ない から ―

飛鳥井 仁 が 手出し でき なかった と 思って いる よう だ が ―

残念 ながら 何 の 関係 も ない

( 綺 ) で でも …

( ブギー ポップ ) 彼 は 人 の 心 を 見る こと が でき た らしい が ―

そもそも 心 と いう やつ は ―

他者 と の コミュニケーション で 成り立つ もの だ

別に それ 自体 で 完結 する よう な ―

唯一無二 の 自我 なんて もの は そこ に 存在 し ない

いくら いじった ところ で ―

結局 それ は 一時的 な 処置 に すぎ ない ん だ よ

もし 君 が 彼 に 心 と やら を 抜か れ て い た と し て も ―

どうせ すぐ に 回復 し て い た

君 の 心 の 中 に は 君 を 守って くれる 者 が いる から ね

あ …

くそ … 待って ろ 織機 !

( 透 子 ) どうやら 飛鳥井 先生 は ―

心 の 欠落 に とらわれ すぎ て い た よう ね

欠落 は 所詮 新しい もの を 創り 出す ため の 余裕 で しか なく ―

突破 する 力 と し て は 足り なかった

あなた 大した もの だ わ

私 は ここ まで

先 は ない けれど で も やはり いつか 必ず ―

“ 突破 ” できる 人 が 現れる と 確信 できる

あなた の よう に 強い 人 を 見る と ね

( ブギー ポップ ) 君 に 飛鳥井 仁 が 手出し でき なかった 理由 は ―

それ だ よ

僕 は 彼 に 頼ま れ た だけ だ

そう そう 行く 当て が ない の なら ―

彼 の 近く に いる 人間 に 相談 する と いい

う っ …

( ブギー ポップ ) 炎 の 魔女 と いう 変人 だ が ―

きっと 力 に なって くれる よ

あっ …

( 末 真 ) 何 な の よ …

何 な の ? これ は

( 正樹 ) う っ … ( 末 真 ) あっ

ちょっと 大丈夫 です か ?

あ あなた 正樹 君 ?

す 末 真 さん ?

ちょうど よかった

( 末 真 ) ねえ これ どう いう こと ? 一体 何 な の ?

末 真 さん

女の子 が その 辺 に いる はず だ から 助け て やって

えっ ? 女の子 って …

( 正樹 ) お 願い しま …

ど どれ ? 正樹 君 どの 子 の こと ?

( ブギー ポップ ) その 女の子 は ザ ・ ラダー と いう 高い 塔 に いる

だ 誰 よ 今度 は ! ?

( ブギー ポップ ) 誰 でも いい さ

君 は とにかく 彼女 を 連れ て き て ―

その 男の子 と 会わ せ て やって くれ

君 が 捜し て いる 飛鳥井 仁 も そこ に いる

( 末 真 ) ねえ 誰 ?

あなた は 一体 誰 な の よ ! ?

ねえ !

( 末 真 ) またしても 事件 は 私 の すぐ そば を 通り抜け て いった

でも その 声 の 主 は 最後 に 言った

( ブギー ポップ ) 僕 が 誰 な の か 君 は もう 知って いる はず だ

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