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The Most Famous Yōkai (妖怪), 天狗 | テング の 羽 うちわ

天狗 | テング の 羽 うちわ

むかし むかし 、ある ところ に 、ふく 八 と いう 、とんち の 上手な 男 が いました。

ある 日 の 事 、ふく 八 は テング が 住んで いる と いう 、テング 山 へ 行きました。

そして 、大きな サイコロ を ころがして は、

「うわっ、見える 見える 、江戸 が 見える ぞ。 京 が 見える ぞ」

と 、おもしろ そうに 大声 で 言いました。

それ を 聞いた テング が 、ふく 八 に 言いました。

「おい 、ふく 八 、おれ に も それ を 貸せ!

「いやだ」

「おれ は 、テング だ ぞ」

「いや だ っと 言って いる だろう。 こんな おもしろい 物 を 、そう 簡単に 貸せる もの か」

「・・・お前 は 、テング が こわく ない の か?

「テング なんか 、こわく ない よ。 それ より 、この サイコロ は おもしろい な。 ころがし さえ すれば 、どこ でも 見える のだから。 ・・・うわっ、今度 は 大阪 が 見える ぞ」

ふく 八 は 、サイコロ に 一生けんめい です。

「おい 、ふく 八。 お前 に は 、こわい 物 が ない の か?

「ある よ。 おれ の こわい 物 は 、ぼたもち だ」

「へえ 、あんな おいしい 物 を?

「ああ 、名前 を 聞いた だけ でも 、ゾゾッ と する。 テング さん 、あんた は 何 が こわい?

「おれ は 、トゲ の ある カラタチ (→中国 原産 の ミカン 科 の 落葉 低木 )だ」

「しめた っ!

「? ・・・なに が 、しめた じゃ?

「いや 、何でもない。 それ より 今度 は 、奈良 の 大仏 が 見える ぞ」

ふく 八 は 、おどりあがって 喜びました。

その 様子 を 見て いた テング は 、その サイコロ が ほしくて たまりません。

「なあ 、お前 の サイコロ と テング の うちわ を 交換 し ない か? この テング の うちわ で あおぐ と 、鼻 が 高く なったり 低く なったり 出来る ぞ」

「うそ つけ 、そんな 事 が 出来る もの か」

「なら 、見て ろ よ」

テング は 、ふく 八 の 鼻 を あおぎ ながら 言いました。

「ふく 八 の 鼻 、高く なれ 、高く なれ」

すると ふく 八 の 鼻 は グングン のびて 、向こう の 山 へ つき そうに なりました。

「わ あ 、早く 元 に 戻して くれ」

「それ じゃあ 、この うちわ と サイコロ と 取り替える か?

「しかたがない 、取り替える から 、はやく 鼻 を ちぢめて くれ」

こうして ふく 八 は テング の うちわ を 手 に 入れる と 、逃げる よう に 帰って いきました。

サイコロ を 手 に 入れた テング は 、うれし そうに 言いました。

「まずは 、京の都 を 見物 しよう か な」

テング は サイコロ を ころがしました が 、何も 見えません。

「おや? おかしい な 、もう 一 度」

テング は 何度 も サイコロ を ころがしました が 、いくら やって も だめ です。

テング は ようやく 、ふく 八 に だまされた 事 に 気 が ついた のです。

「よくも だました な! この 仕返し を して やる ぞ!

テング は ふく 八 が 苦手 だ と 言って いた ぼたもち を たくさん 用意 する と 、ふく 八 の 家 ヘ 出かけました。

すると ふく 八 の 家 の 回り に は 、テング の 苦手な カラタチ が たくさん 立てて あります。

「ぬ ぬっ、これ で は 家 に 近寄れ ん」

テング は 仕方なく 、外 から ふく 八 の 家 の 中 へ ぼたもち を 投げ入れる と、

「そら 、こわがる が よい」

と 、言って 、帰って いきました。

すると ふく 八 は、

「これ は うま そうだ。 いただき ま ー す」

と 、ぼたもち を たらふく 食べました。

それ から のち 、ふく 八 は テング の うちわ を 使って 、鼻 が 低くて 困って いる 人 の 鼻 を 高く して やり 、鼻 が 高くて 困って いる 人 の 鼻 を 低く して やって 、みんな から とても 喜ばれた と いう こと です。

おしまい

天狗 | テング の 羽 うちわ てんぐ|||はね| Tengu | Tengu feather Fans Tengu | Tengu feathers Fans Tengu | Fani piór Tengu Tengu | Penas de tengu Fãs Tengu | Tengus fjädrar Fläktar 天狗 | 长鼻羽毛扇 天狗 | 長鼻羽毛扇

むかし むかし 、ある ところ に 、ふく 八 と いう 、とんち の 上手な 男 が いました。 ||||||やっ|||||じょうずな|おとこ|| Once upon a time, there was a man named Fukuhachi who was good at playing tricks.

ある 日 の 事 、ふく 八 は テング が 住んで いる と いう 、テング 山 へ 行きました。 |ひ||こと||やっ||||すんで|||||やま||いきました One day, Fukuhachi went to Mt. Tengu, where tengu are said to live.

そして 、大きな サイコロ を ころがして は、 |おおきな|||| Then, by rolling the big dice,

「うわっ、見える 見える 、江戸 が 見える ぞ。 |みえる|みえる|えど||みえる| "Wow, I can see, I can see, I can see Edo. 京 が 見える ぞ」 けい||みえる|

と 、おもしろ そうに 大声 で 言いました。 ||そう に|おおごえ||いいました He said in a loud and amusing voice, "I'm not sure I want to be a part of this.

それ を 聞いた テング が 、ふく 八 に 言いました。 ||きいた||||やっ||いいました Hearing this, Teng told Fukuhachi.

「おい 、ふく 八 、おれ に も それ を 貸せ! ||やっ||||||かせ "Hey, Fuhachi, give me that one too!

「いやだ」

「おれ は 、テング だ ぞ」 I am Teng.

「いや だ っと 言って いる だろう。 |||いって|| I'm saying, "I don't want to! こんな おもしろい 物 を 、そう 簡単に 貸せる もの か」 ||ぶつ|||かんたんに|かし せる|| How can you lend such an interesting thing so easily?"

「・・・お前 は 、テング が こわく ない の か? おまえ||||||| "...You're not afraid of Teng?

「テング なんか 、こわく ない よ。 I'm not afraid of tengu. それ より 、この サイコロ は おもしろい な。 But I find these dice more interesting. ころがし さえ すれば 、どこ でも 見える のだから。 |||||みえる| You can see it anywhere, if you only roll it. ・・・うわっ、今度 は 大阪 が 見える ぞ」 |こんど||おおさか||みえる| ...Wow, now I can see Osaka.

ふく 八 は 、サイコロ に 一生けんめい です。 |やっ||||いっしょうけんめい| Fukuhachi is determined to roll the dice.

「おい 、ふく 八。 ||やっ "Hey, Fukuhachi. お前 に は 、こわい 物 が ない の か? おまえ||||ぶつ|||| Don't you have anything to be afraid of?

「ある よ。 Yes, there is. おれ の こわい 物 は 、ぼたもち だ」 |||ぶつ||| My fear is a sticky rice cake."

「へえ 、あんな おいしい 物 を? |||ぶつ| "Oh, you eat that good stuff?

「ああ 、名前 を 聞いた だけ でも 、ゾゾッ と する。 |なまえ||きいた||||| "Ah, just hearing the name gives me chills. テング さん 、あんた は 何 が こわい? ||||なん||

「おれ は 、トゲ の ある カラタチ (→中国 原産 の ミカン 科 の 落葉 低木 )だ」 ||とげ||||ちゅうごく|げんさん||みかん|か||らくよう|ていぼく| I'm a spiny karatachi (a deciduous shrub in the mandarin family native to China).

「しめた っ! I've got it!

「? ・・・なに が 、しめた じゃ?

「いや 、何でもない。 |なんでもない それ より 今度 は 、奈良 の 大仏 が 見える ぞ」 ||こんど||なら||だいぶつ||みえる| Better yet, this time you can see the Great Buddha of Nara."

ふく 八 は 、おどりあがって 喜びました。 |やっ|||よろこびました Fukuhachi was so happy that he was jumping up and down.

その 様子 を 見て いた テング は 、その サイコロ が ほしくて たまりません。 |ようす||みて|||||||| Teng, who was watching the scene, was eager to get his hands on the dice.

「なあ 、お前 の サイコロ と テング の うちわ を 交換 し ない か? |おまえ||||||||こうかん||| Hey, how about trading your dice for Teng's fan? この テング の うちわ で あおぐ と 、鼻 が 高く なったり 低く なったり 出来る ぞ」 |||||||はな||たかく||ひくく||できる| If you raise your nose with this fan, you can make it go up or down.

「うそ つけ 、そんな 事 が 出来る もの か」 |||こと||できる|| Bullshit. How is that possible?

「なら 、見て ろ よ」 |みて|| Then watch me.

テング は 、ふく 八 の 鼻 を あおぎ ながら 言いました。 |||やっ||はな||||いいました Tengu stirred up Fukuhachi's nose and said, "I'm sorry, but I can't help it.

「ふく 八 の 鼻 、高く なれ 、高く なれ」 |やっ||はな|たかく||たかく| "The nose of Fuhachi, be tall, be tall."

すると ふく 八 の 鼻 は グングン のびて 、向こう の 山 へ つき そうに なりました。 ||やっ||はな||ぐんぐん||むこう||やま|||そう に| Then, the snout of the sextuplets grew so long that it almost reached the mountain on the other side.

「わ あ 、早く 元 に 戻して くれ」 ||はやく|もと||もどして| Oh, my God, please put it back.

「それ じゃあ 、この うちわ と サイコロ と 取り替える か? |||||||とりかえる| "Well then, shall I replace this fan with a dice?

「しかたがない 、取り替える から 、はやく 鼻 を ちぢめて くれ」 |とりかえる|||はな||| "It can't be helped, I'll replace it, but you'll have to shrink your nose quickly."

こうして ふく 八 は テング の うちわ を 手 に 入れる と 、逃げる よう に 帰って いきました。 ||やっ||||||て||いれる||にげる|||かえって| Fukuhachi thus obtained Tengu's fan and fled home.

サイコロ を 手 に 入れた テング は 、うれし そうに 言いました。 ||て||いれた||||そう に|いいました When Tengu got the dice, he said happily

「まずは 、京の都 を 見物 しよう か な」 |きょう の と||けんぶつ||| First, let's go see the capital of Kyoto.

テング は サイコロ を ころがしました が 、何も 見えません。 ||||||なにも|みえません Teng rolls the dice, but sees nothing.

「おや? おかしい な 、もう 一 度」 |||ひと|たび

テング は 何度 も サイコロ を ころがしました が 、いくら やって も だめ です。 ||なんど|||||||||| Teng tried rolling the dice again and again, but no matter how many times he tried, he could not get it right.

テング は ようやく 、ふく 八 に だまされた 事 に 気 が ついた のです。 ||||やっ|||こと||き||| Teng finally realized that he had been deceived by Fukuhachi.

「よくも だました な! How dare you trick me? この 仕返し を して やる ぞ! |しかえし|||| I'm going to get even with you!

テング は ふく 八 が 苦手 だ と 言って いた ぼたもち を たくさん 用意 する と 、ふく 八 の 家 ヘ 出かけました。 |||やっ||にがて|||いって|||||ようい||||やっ||いえ||でかけました Tengu prepared lots of Botamochi, which Fukuhachi said he didn't like, and went to Fukuhachi's house.

すると ふく 八 の 家 の 回り に は 、テング の 苦手な カラタチ が たくさん 立てて あります。 ||やっ||いえ||まわり|||||にがてな||||たてて| The house of Fukuhachi is surrounded by a lot of karatachi, which are not good for tengu.

「ぬ ぬっ、これ で は 家 に 近寄れ ん」 |||||いえ||ちかよれ| "No, I can't go near the house now."

テング は 仕方なく 、外 から ふく 八 の 家 の 中 へ ぼたもち を 投げ入れる と、 ||しかたなく|がい|||やっ||いえ||なか||||なげいれる| Tengu had no choice but to throw Botamochi from outside into Fukuhachi's house,

「そら 、こわがる が よい」

と 、言って 、帰って いきました。 |いって|かえって|

すると ふく 八 は、 ||やっ| Then, Fukuhachi said,

「これ は うま そうだ。 |||そう だ This looks juicy. いただき ま ー す」 ||-| Bon appétit.

と 、ぼたもち を たらふく 食べました。 ||||たべました I ate a lot of botamochi (rice cakes).

それ から のち 、ふく 八 は テング の うちわ を 使って 、鼻 が 低くて 困って いる 人 の 鼻 を 高く して やり 、鼻 が 高くて 困って いる 人 の 鼻 を 低く して やって 、みんな から とても 喜ばれた と いう こと です。 ||||やっ||||||つかって|はな||ひくくて|こまって||じん||はな||たかく|||はな||たかくて|こまって||じん||はな||ひくく||||||よろこばれた|||| Later, Fukuhachi used a tengu fan to make the noses of those with short noses and those with high noses taller, much to everyone's delight.

おしまい