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日本の昔話 (初級) // Japanese Folk Tales (beginner level), 聴き 耳 ずきん

聴き 耳 ずきん

むかし むかし 、周り を グルッと 山 で 囲ま れた 山奥 に 、一 人 の お じいさん が 住んで いました。

お じいさん は 毎日 朝 に なる と 、しば を 入れる しょ い こ を 背負い 山 へ 入って 行きました。

そして 、一 日 中 しば を 刈って いる のです。

今日 も しば を 一杯 背負い 、山 から 出て 来ました。

「さて 、ボツボツ 帰る と する か。 うん? あれ は 何 じゃ?

お じいさん が 帰ろう と する と 子 ギツネ が 一 匹 、一生懸命 木 の 実 を 取ろう と して いました。

「はて 、キツネ で ねえ だ か」

この 子 ギツネ 、足 が 悪い らしく 、いくら 頑張って も うまく 木 の 実 が 取れません。

「よし よし 、わし が 取って やろう。 ・・・よっこ ら しょ。 さあ 、これ を お 食べ。 それ じゃあ 、わし は 行く から な」

子 ギツネ は 、お じいさん の 親切 が よほど 嬉しかった の か 、いつまでも いつまでも 、お じいさん の 後ろ姿 を 見送って いました。

そんな ある 日 、お じいさん は 町 へ 買い物 に 出かけました が 、帰り が すっかり 遅く なって しまいました。

「急が なくて は」

すっかり 暗く なった 日暮れ 道 を お じいさん が 急ぎ足 で やってきます と 、丘 の 上 で 子 ギツネ が 待って いました。

「あれ まあ 、こない だの キツネ で ねえ だ か」

何やら 、しきりに お じいさん を 招いて いる 様子 です。

お じいさん は 、キツネ の 後 を ついて行きました。

子 ギツネ は 悪い 足 を 引きずり ながら 、一生懸命に お じいさん を どこ か へ 案内 しよう と して います。

ついた ところ は 、竹やぶ の 中 の キツネ の 住みか でした。

「ほう 、ここ が お前 の 家 か」

キツネ の 家 に は お母さん ギツネ が おりました が 、病気 で 寝たきり の 様 です。

お母さん ギツネ が 、何度 も 何度 も お じいさん に おじぎ を して います。

息子 を 助けて もらった お礼 を 、言って いる 様 に 見えました。

その うち 、奥 から 何やら 取り出して 来ました。

それ は 、一 枚 の 古ぼけた ずきん でした。

「何やら 汚い ずきん じゃ が 、これ を わし に くれる と いう の か ね。 では 、ありがたく 頂いて おこう」

お じいさん は 、お 礼 を 言って ずきん を 受け取る と 、元 来た 道 を 一 人 で 帰って 行きました。

子 ギツネ は 、いつまでも お じいさん を 見送りました。

さて 、あくる 日 の 事。

お じいさん が 庭 で まき を 割って います と 、ヒラリ と 、足元 に 何 か が 落ちました。

「これ は ゆ ん べ 、キツネ から もらった ずきん じゃ な。 ・・・ちょっくら かぶって みる か」

お じいさん は ずきん を かぶって 、また まき 割 り を 始めました。

すると、

「家 の 亭主 と きたら 、一 日 中 、巣 の 中 で 寝て ばかり。 今頃 は 、すっかり 太り 過ぎて 、飛ぶ の が しんどい なぞ と 言う とります の」

「ほう 、痩せ のち ゅん 五郎 じゃった 、おたく の 亭主 が のう」

何やら 聞いた 事 も ない 話し声 が 、お じいさん の 耳 に 聞こえて 来ました。

「はて 、確かに 話し声 が した が 、誰 じゃ ろう?

家 の 中 を のぞいて 見ました が 、誰 も いま せ ん。

「裏 林 のち ゅん 吉 が 、腹 が 痛くて すっかり 弱っと る そう じゃ」

「それ は 、木 の 実 の 食べ 過ぎ じゃあ」

お じいさん は 、また 声 に 気 が つきました。

「おかしい のう。 誰 か 人 が いる ようじゃ が 、・・・やっぱり 誰 も おら ん」

お じいさん は 家 を グルリ と 一回り して 、ヒョイ と 上 を 見上げました。

「うん? もしかしたら 、この ずきん の せい で は」

お じいさん は 、ずきん を 脱いだり かぶったり して みました。

「やはり これ か」

キツネ が くれた この ずきん は 、これ を かぶる と 動物 や 草 や 木 の 話し声 が 聞こえる と いう 、不思議な ずきん だった のです。

お じいさん は キツネ が こんなに 大切な 物 を 自分 に くれた 事 を 、心から うれしく 思いました。

さて 次の 日 から 、お じいさん は 山 へ 行く の が これ まで より も 、もっと もっと 楽しく なりました。

ずきん を かぶって 山 へ 入る と 、小鳥 や 動物 たち の 話し声 が いっぱい 聞こえて きます。

枝 に 止まって 話して いる 小鳥。

木 の 上 で 話して いる リス。

みんな 楽し そうに 、話して います。

お じいさん は 山 で しば を 刈り ながら 、小鳥 や 動物 の おしゃべり を 聞く の が 楽しくて 仕方 ありません。

「わたしゃ 、喉 を 傷めて 、すっかり 歌 に 自信 が なくなっち まった」

「そんな 事 ございませ ん よ。 とっても 良い お 声 です わ」

「そう か な 、では 、いっち ょう 歌おう か な」

何と 、虫 の 話し声 まで 聞こえる のです。

お じいさん は こうして 、夜通し 虫 たち の 歌声 に 耳 を 傾けて いました。

一 人 暮らし の お じいさん も 、これ で 少しも さびしく ありません。

そんな ある 日 の 事。

お じいさん が 山 から しば を 背負って 下りて 来ます と 、木 の 上 で カラス が 二 羽 、何やら しゃべって います。

お じいさん は 聴き 耳 ずきん を 取り出して かぶり 、耳 を すまし ます と、

「長者 (ちょうじゃ )どん の 娘 が のう」

「そう よ 、もう 長い 間 の 病気 で の う。 この 娘 の 病気 は 、長者 どん の 庭 に うわっと る くすの木 の たたり じゃ そうな」

「くす の 木 の たたり? 何で そんな」

「さあ 、それは くすの木 の 話 を 聞いて み ん と の う」

カラス の うわさ 話 を 聞いた お じいさん は 、さっそく 長者 の 家 を 尋ねました。

長者 は 、本当に 困って いました。

一 人 娘 が 、重い 病気 で 寝たきり だった から です。

お じいさん は その 夜 、蔵 の 中 に 泊めて もらう 事 に しました。

ずきん を かぶって 、待って います と。

「痛い よ ー。 痛い よ ー」

蔵 の 外 で 、くす の 木 の 泣き声 らしき もの が 聞こえます。

くす の 木 に 、なぎ の 木 と 、松 の 木 が 声 を かけました。

「どう しました 、くす の 木 どん?

「おお 、こんばんは。 まあ 、わたし の この 格好 を 見て 下さ れ。 新しい 蔵 が ちょうど 腰 の 上 に 建って のう。 もう 、苦しゅう て 苦しゅう て」

「それ は 、お 困り じゃ のう」

「それ で の う 、わし は 、こんな 蔵 を 建てた 長者 どん を 恨んで 、長者 どん の 娘 を 病気 に して 困ら せて いる んじゃ」

蔵 の 中 の お じいさん は 、くす の 木 たち の この 話 を 聞いて 、すっかり 安心 しました。

(蔵 を どかし さえ すれば 、娘 ご の 病 は 必ず 良く なる)

次の 日。

お じいさん は 、長者 に この 事 を 話しました。

長者 は 、すぐに 蔵 の 場所 を 変える 事 に しました。

それ から 何 日 かたって 、蔵 の 重み が 取れた くすの木 は 、元気 を 取り戻して 青い 葉 を いっぱいに 茂ら せた のです。

長者 の 娘 も 、すっかり 元気に なりました。

長者 は 大喜びで 、お じいさん に いっぱいの お 宝 を あげました。

「これ は 、キツネ が くれた ずきん の おかげ じゃ。 キツネ の 好物 でも 買って やる べ え」

お じいさん は キツネ の 大好きな 油あげ を 買って 、山道 を 帰って 行きました。

おしまい


聴き 耳 ずきん きき|みみ| Gehörgang Zip Ακουστικό αυτί Zip Listening ears Oído Zip Oreille auditive Zip 듣기 귀 귀고리 Orelha auditiva Zip косоглазие Hörselkåpa Zip 听力耳拉链 听力耳拉链

むかし むかし 、周り を グルッと 山 で 囲ま れた 山奥 に 、一 人 の お じいさん が 住んで いました。 ||まわり||ぐるっと|やま||かこま||やまおく||ひと|じん|||||すんで|い ました Once upon a time, an old man lived in the depths of the mountains, surrounded by mountains.

お じいさん は 毎日 朝 に なる と 、しば を 入れる しょ い こ を 背負い 山 へ 入って 行きました。 |||まいにち|あさ||||||いれる|||||せおい|やま||はいって|いき ました Every morning, the old man went into the mountain with a sword on his back.

そして 、一 日 中 しば を 刈って いる のです。 |ひと|ひ|なか|||かって|| And they are mowing for a while all day long.

今日 も しば を 一杯 背負い 、山 から 出て 来ました。 きょう||||いっぱい|せおい|やま||でて|き ました I came out of the mountain with a load of shiba on my back today.

「さて 、ボツボツ 帰る と する か。 |ぼつぼつ|かえる||| "Now then, shall we go home one by one? うん? Hm? あれ は 何 じゃ? ||なん| What is that?

お じいさん が 帰ろう と する と 子 ギツネ が 一 匹 、一生懸命 木 の 実 を 取ろう と して いました。 |||かえろう||||こ|||ひと|ひき|いっしょうけんめい|き||み||とろう|||い ました When the grandfather was about to return, one fox was trying hard to pick the fruit of the tree.

「はて 、キツネ で ねえ だ か」 |きつね|||| Well, it's a fox, isn't it?

この 子 ギツネ 、足 が 悪い らしく 、いくら 頑張って も うまく 木 の 実 が 取れません。 |こ||あし||わるい|||がんばって|||き||み||とれ ませ ん This fox cub seems to have bad legs, and no matter how hard he tries, he can't pick the berries.

「よし よし 、わし が 取って やろう。 ||||とって| "Okay, I'll take it. ・・・よっこ ら しょ。 よ っこ|| ... Yo-ko-ho... さあ 、これ を お 食べ。 ||||たべ それ じゃあ 、わし は 行く から な」 ||||いく|| Well then, I'm going. "

子 ギツネ は 、お じいさん の 親切 が よほど 嬉しかった の か 、いつまでも いつまでも 、お じいさん の 後ろ姿 を 見送って いました。 こ||||||しんせつ|||うれしかった||||||||うしろすがた||みおくって|い ました Perhaps the little fox was so pleased with his grandfather's kindness that he kept looking at him from behind.

そんな ある 日 、お じいさん は 町 へ 買い物 に 出かけました が 、帰り が すっかり 遅く なって しまいました。 ||ひ||||まち||かいもの||でかけ ました||かえり|||おそく||しまい ました One day, the old man went shopping in the town, but his return was completely late.

「急が なくて は」 いそが|| "Hurry up"

すっかり 暗く なった 日暮れ 道 を お じいさん が 急ぎ足 で やってきます と 、丘 の 上 で 子 ギツネ が 待って いました。 |くらく||ひぐれ|どう|||||いそぎあし||やってき ます||おか||うえ||こ|||まって|い ました When the old man hurriedly came down the darkened nightfall road, a fox was waiting on the hill.

「あれ まあ 、こない だの キツネ で ねえ だ か」 ||||きつね|||| "Well, it was a fox the other day, wasn't it?"

何やら 、しきりに お じいさん を 招いて いる 様子 です。 なにやら|||||まねいて||ようす| For some reason, it seems that he is constantly inviting his grandfather.

お じいさん は 、キツネ の 後 を ついて行きました。 |||きつね||あと||ついていき ました The old man followed the fox.

子 ギツネ は 悪い 足 を 引きずり ながら 、一生懸命に お じいさん を どこ か へ 案内 しよう と して います。 こ|||わるい|あし||ひきずり||いっしょうけんめいに|||||||あんない||||い ます The little fox is trying hard to guide his grandfather somewhere, dragging his bad legs.

ついた ところ は 、竹やぶ の 中 の キツネ の 住みか でした。 |||たけやぶ||なか||きつね||すみか| The place I went to was the fox's home in the bamboo bush.

「ほう 、ここ が お前 の 家 か」 |||おまえ||いえ| "Oh, is this your house?"

キツネ の 家 に は お母さん ギツネ が おりました が 、病気 で 寝たきり の 様 です。 きつね||いえ|||お かあさん|||おり ました||びょうき||ねたきり||さま| There was a mother fox in the fox's house, but she was sick and bedridden.

お母さん ギツネ が 、何度 も 何度 も お じいさん に おじぎ を して います。 お かあさん|||なんど||なんど||||||||い ます A mother fox bows to her grandfather over and over again.

息子 を 助けて もらった お礼 を 、言って いる 様 に 見えました。 むすこ||たすけて||お れい||いって||さま||みえ ました It looked like he was saying thank you for helping my son.

その うち 、奥 から 何やら 取り出して 来ました。 ||おく||なにやら|とりだして|き ました Among them, I took out something from the back.

それ は 、一 枚 の 古ぼけた ずきん でした。 ||ひと|まい||ふるぼけた|| It was a piece of old hood.

「何やら 汚い ずきん じゃ が 、これ を わし に くれる と いう の か ね。 なにやら|きたない||||||||||||| "It's a dirty hood, but are you going to give it to me? では 、ありがたく 頂いて おこう」 ||いただいて| Then, thank you. "

お じいさん は 、お 礼 を 言って ずきん を 受け取る と 、元 来た 道 を 一 人 で 帰って 行きました。 ||||れい||いって|||うけとる||もと|きた|どう||ひと|じん||かえって|いき ました The old man thanked him, took the hood, and went back the way he had come by himself.

子 ギツネ は 、いつまでも お じいさん を 見送りました。 こ|||||||みおくり ました The baby fox continued to see the old man off.

さて 、あくる 日 の 事。 ||ひ||こと Well, about tomorrow.

お じいさん が 庭 で まき を 割って います と 、ヒラリ と 、足元 に 何 か が 落ちました。 |||にわ||||わって|い ます||ひらり||あしもと||なん|||おち ました When the old man was breaking the firewood in the garden, something fell to his feet.

「これ は ゆ ん べ 、キツネ から もらった ずきん じゃ な。 |||||きつね||||| "This is Yunbe, the hood I got from the fox. ・・・ちょっくら かぶって みる か」 ...would you like to try it on?"

お じいさん は ずきん を かぶって 、また まき 割 り を 始めました。 ||||||||わり|||はじめ ました The old man put on his hood and started splitting wood again.

すると、 Then,

「家 の 亭主 と きたら 、一 日 中 、巣 の 中 で 寝て ばかり。 いえ||ていしゅ|||ひと|ひ|なか|す||なか||ねて| "When I came to my house, I just slept in my nest all day long. 今頃 は 、すっかり 太り 過ぎて 、飛ぶ の が しんどい なぞ と 言う とります の」 いまごろ|||ふとり|すぎて|とぶ||||||いう|とり ます| I'm completely overweight these days, and they say it's hard to fly."

「ほう 、痩せ のち ゅん 五郎 じゃった 、おたく の 亭主 が のう」 |やせ|||ごろう|じゃ った|||ていしゅ|| "Well, I'm a skinny Chunchungoro, I'm a nerd's husband."

何やら 聞いた 事 も ない 話し声 が 、お じいさん の 耳 に 聞こえて 来ました。 なにやら|きいた|こと|||はなしごえ|||||みみ||きこえて|き ました The old man heard a voice he had never heard before.

「はて 、確かに 話し声 が した が 、誰 じゃ ろう? |たしかに|はなしごえ||||だれ|| "Well, I did hear someone talking, but who was it? "

家 の 中 を のぞいて 見ました が 、誰 も いま せ ん。 いえ||なか|||み ました||だれ|||| I looked inside the house, but no one was there.

「裏 林 のち ゅん 吉 が 、腹 が 痛くて すっかり 弱っと る そう じゃ」 うら|りん|||きち||はら||いたくて||じゃく っと||| "Chunkichi in the back forest seems to be completely weak with a stomach ache."

「それ は 、木 の 実 の 食べ 過ぎ じゃあ」 ||き||み||たべ|すぎ| "That's eating too many nuts."

お じいさん は 、また 声 に 気 が つきました。 ||||こえ||き||つき ました The old man noticed his voice again.

「おかしい のう。 "It's funny. 誰 か 人 が いる ようじゃ が 、・・・やっぱり 誰 も おら ん」 だれ||じん||||||だれ||| It looks like someone is there, but... as expected, there's no one."

お じいさん は 家 を グルリ と 一回り して 、ヒョイ と 上 を 見上げました。 |||いえ||ぐるり||ひとまわり||||うえ||みあげ ました The old man circled around the house and looked up.

「うん? もしかしたら 、この ずきん の せい で は」 Maybe it's because of this hood."

お じいさん は 、ずきん を 脱いだり かぶったり して みました。 |||||ぬいだり|||み ました The old man took off his hood and put it back on.

「やはり これ か」 "So this is it?"

キツネ が くれた この ずきん は 、これ を かぶる と 動物 や 草 や 木 の 話し声 が 聞こえる と いう 、不思議な ずきん だった のです。 きつね||||||||||どうぶつ||くさ||き||はなしごえ||きこえる|||ふしぎな||| The fox gave me this strange hood that I could hear animals, grass and trees talking when I put it on.

お じいさん は キツネ が こんなに 大切な 物 を 自分 に くれた 事 を 、心から うれしく 思いました。 |||きつね|||たいせつな|ぶつ||じぶん|||こと||こころから||おもい ました

さて 次の 日 から 、お じいさん は 山 へ 行く の が これ まで より も 、もっと もっと 楽しく なりました。 |つぎの|ひ|||||やま||いく|||||||||たのしく|なり ました Now, from the next day, the old man has become much more enjoyable to go to the mountains than ever before.

ずきん を かぶって 山 へ 入る と 、小鳥 や 動物 たち の 話し声 が いっぱい 聞こえて きます。 |||やま||はいる||ことり||どうぶつ|||はなしごえ|||きこえて|き ます

枝 に 止まって 話して いる 小鳥。 えだ||とまって|はなして||ことり A small bird perched on a branch talking.

木 の 上 で 話して いる リス。 き||うえ||はなして||りす

みんな 楽し そうに 、話して います。 |たのし|そう に|はなして|い ます

お じいさん は 山 で しば を 刈り ながら 、小鳥 や 動物 の おしゃべり を 聞く の が 楽しくて 仕方 ありません。 |||やま||||かり||ことり||どうぶつ||||きく|||たのしくて|しかた|あり ませ ん While mowing his shibachi in the mountains, the grandfather can't help but enjoy listening to the chatter of birds and animals.

「わたしゃ 、喉 を 傷めて 、すっかり 歌 に 自信 が なくなっち まった」 |のど||いためて||うた||じしん||なくな っち| I have a sore throat and I've lost all confidence in my singing.

「そんな 事 ございませ ん よ。 |こと||| No, that's not true. とっても 良い お 声 です わ」 |よい||こえ|| You have a very nice voice.

「そう か な 、では 、いっち ょう 歌おう か な」 ||||||うたおう||

何と 、虫 の 話し声 まで 聞こえる のです。 なんと|ちゅう||はなしごえ||きこえる| What's more, you can even hear the insects talking.

お じいさん は こうして 、夜通し 虫 たち の 歌声 に 耳 を 傾けて いました。 ||||よどおし|ちゅう|||うたごえ||みみ||かたむけて|い ました The grandfather listened to the singing of insects throughout the night.

一 人 暮らし の お じいさん も 、これ で 少しも さびしく ありません。 ひと|じん|くらし|||||||すこしも||あり ませ ん

そんな ある 日 の 事。 ||ひ||こと Then one day.

お じいさん が 山 から しば を 背負って 下りて 来ます と 、木 の 上 で カラス が 二 羽 、何やら しゃべって います。 |||やま||||せおって|おりて|き ます||き||うえ||からす||ふた|はね|なにやら||い ます

お じいさん は 聴き 耳 ずきん を 取り出して かぶり 、耳 を すまし ます と、 |||きき|みみ|||とりだして||みみ|||| The old man took out his ear ears, put them on, and listened.

「長者 (ちょうじゃ )どん の 娘 が のう」 ちょうじゃ||||むすめ||

「そう よ 、もう 長い 間 の 病気 で の う。 |||ながい|あいだ||びょうき||| Yes, I have been sick for a long time. この 娘 の 病気 は 、長者 どん の 庭 に うわっと る くすの木 の たたり じゃ そうな」 |むすめ||びょうき||ちょうじゃ|||にわ||うわ っと||くす の き||||そう な This daughter's illness seems to be a tatari of a sick tree in the garden of the elders. "

「くす の 木 の たたり? ||き|| 何で そんな」 なんで| Why would you do that?

「さあ 、それは くすの木 の 話 を 聞いて み ん と の う」 |それ は|くす の き||はなし||きいて||||| Well, you'll have to listen to what Kusunoki has to say.

カラス の うわさ 話 を 聞いた お じいさん は 、さっそく 長者 の 家 を 尋ねました。 からす|||はなし||きいた|||||ちょうじゃ||いえ||たずね ました When a grandfather heard a rumor about a crow, he immediately asked for the eldest son's house.

長者 は 、本当に 困って いました。 ちょうじゃ||ほんとうに|こまって|い ました The elder was really troubled.

一 人 娘 が 、重い 病気 で 寝たきり だった から です。 ひと|じん|むすめ||おもい|びょうき||ねたきり||| I was able to make this decision because my only daughter was bedridden due to a serious illness.

お じいさん は その 夜 、蔵 の 中 に 泊めて もらう 事 に しました。 ||||よ|くら||なか||とめて||こと||し ました The grandfather decided to spend the night in the warehouse.

ずきん を かぶって 、待って います と。 |||まって|い ます| He put on a hood and said he would wait for me.

「痛い よ ー。 いたい||- 痛い よ ー」 いたい||-

蔵 の 外 で 、くす の 木 の 泣き声 らしき もの が 聞こえます。 くら||がい||||き||なきごえ||||きこえ ます Outside the warehouse, you can hear what sounds like the crying of a camphor tree.

くす の 木 に 、なぎ の 木 と 、松 の 木 が 声 を かけました。 ||き||||き||まつ||き||こえ||かけ ました A willow tree and a pine tree called out to a camphor tree.

「どう しました 、くす の 木 どん? |し ました|||き| What's wrong, Kusunoki?

「おお 、こんばんは。 |こんばん は Oh, good evening. まあ 、わたし の この 格好 を 見て 下さ れ。 ||||かっこう||みて|くださ| Well, just look at how I look. 新しい 蔵 が ちょうど 腰 の 上 に 建って のう。 あたらしい|くら|||こし||うえ||たって| A new storehouse will be built just above my waist. もう 、苦しゅう て 苦しゅう て」 |くるしゅう||くるしゅう| I'm in so much pain. I'm in so much pain.

「それ は 、お 困り じゃ のう」 |||こまり|| Well, that's a problem.

「それ で の う 、わし は 、こんな 蔵 を 建てた 長者 どん を 恨んで 、長者 どん の 娘 を 病気 に して 困ら せて いる んじゃ」 |||||||くら||たてた|ちょうじゃ|||うらんで|ちょうじゃ|||むすめ||びょうき|||こまら||| So, I resent the chief for building such a storehouse, and I've been making his daughter sick and causing her trouble.

蔵 の 中 の お じいさん は 、くす の 木 たち の この 話 を 聞いて 、すっかり 安心 しました。 くら||なか|||||||き||||はなし||きいて||あんしん|し ました The old man in the warehouse was completely relieved when he heard the story of the camphor trees.

(蔵 を どかし さえ すれば 、娘 ご の 病 は 必ず 良く なる) くら||ど かし|||むすめ|||びょう||かならず|よく| (As long as you move the storehouse away, your daughter's illness will definitely get better.)

次の 日。 つぎの|ひ

お じいさん は 、長者 に この 事 を 話しました。 |||ちょうじゃ|||こと||はなし ました

長者 は 、すぐに 蔵 の 場所 を 変える 事 に しました。 ちょうじゃ|||くら||ばしょ||かえる|こと||し ました The chief immediately decided to change the location of the storehouse.

それ から 何 日 かたって 、蔵 の 重み が 取れた くすの木 は 、元気 を 取り戻して 青い 葉 を いっぱいに 茂ら せた のです。 ||なん|ひ||くら||おもみ||とれた|くす の き||げんき||とりもどして|あおい|は|||しげら|| Days later, after the weight of the warehouse had been lifted, the kusu tree regained its strength and grew a profusion of blue leaves.

長者 の 娘 も 、すっかり 元気に なりました。 ちょうじゃ||むすめ|||げんきに|なり ました

長者 は 大喜びで 、お じいさん に いっぱいの お 宝 を あげました。 ちょうじゃ||おおよろこびで||||||たから||あげ ました The elder was overjoyed and gave his grandfather a lot of treasure.

「これ は 、キツネ が くれた ずきん の おかげ じゃ。 ||きつね|||||| It is thanks to the hood that the fox gave me. キツネ の 好物 でも 買って やる べ え」 きつね||こうぶつ||かって||| I'll buy you the fox's favorite food."

お じいさん は キツネ の 大好きな 油あげ を 買って 、山道 を 帰って 行きました。 |||きつね||だいすきな|あぶらあげ||かって|やまみち||かえって|いき ました

おしまい