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江戸小話, 出来心

出来心

バカな 泥棒 も いた もの で 、 ひどく 貧乏な 家 に 忍び込み ました が 、 押し入れ に も 床下 に も 何も あり ませ ん 。 「 まったく 、 ひどい 家 だ な 。 こんなに 何も ない 家 は 、 見た こと も ない わ 」 泥棒 が ぶつぶつ 言い ながら 盗む 物 を 探して いる と 、 せんべい ぶとん (→ わた の 少ない 、 安物 ふとん ) に くるまって 寝て いた 男 が 目 を 覚まして 、 「 泥棒 、 泥棒 だ ー ! 」 と 、 騒ぎ 出し ました 。 泥棒 が あわてて 物陰 に 隠れる と 、 男 は あたり を 見回して 言い ました 。 「 泥棒 め 、 よくも 盗み おった な 。 金 も 着物 も 何も ない で は ない か 。 うーん 、 これ で は 家賃 を 払う こと が 出来 ん 。 さっそく 、 大家 に 報告 し なくて は 」 それ を 聞いた 泥棒 は 腹 を 立てて 、 物陰 から 飛び出して くる と 男 に 怒鳴り ました 。 「 やい やい ! あり も し ない 物 を 盗ま れた など と 、 よくも 言えた もの だ ! て め え 、『 うそつき は 泥棒 の 始まり 』 と いう 言葉 を 知ら ねえ の か ! 」 する と 男 は びっくり して 、 泥棒 に 土下座 ( どげざ → 地面 に 手足 を ついて あやまる こと ) して 謝り ました 。 「 すみません 、 すみません 。 ほんの 出来心 な んです 」 これ で は 、 どちら が 泥棒 か わかり ませ ん ね 。

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )


出来心 できごころ

バカな 泥棒 も いた もの で 、 ひどく 貧乏な 家 に 忍び込み ました が 、 押し入れ に も 床下 に も 何も あり ませ ん 。 ばかな|どろぼう||||||びんぼうな|いえ||しのびこみ|||おしいれ|||ゆかした|||なにも||| 「 まったく 、 ひどい 家 だ な 。 ||いえ|| こんなに 何も ない 家 は 、 見た こと も ない わ 」   泥棒 が ぶつぶつ 言い ながら 盗む 物 を 探して いる と 、 せんべい ぶとん (→ わた の 少ない 、 安物 ふとん ) に くるまって 寝て いた 男 が 目 を 覚まして 、 「 泥棒 、 泥棒 だ ー ! |なにも||いえ||みた|||||どろぼう|||いい||ぬすむ|ぶつ||さがして|||||||すくない|やすもの||||ねて||おとこ||め||さまして|どろぼう|どろぼう||- 」 と 、 騒ぎ 出し ました 。 |さわぎ|だし| 泥棒 が あわてて 物陰 に 隠れる と 、 男 は あたり を 見回して 言い ました 。 どろぼう|||ものかげ||かくれる||おとこ||||みまわして|いい| 「 泥棒 め 、 よくも 盗み おった な 。 どろぼう|||ぬすみ|| 金 も 着物 も 何も ない で は ない か 。 きむ||きもの||なにも||||| うーん 、 これ で は 家賃 を 払う こと が 出来 ん 。 ||||やちん||はらう|||でき| さっそく 、 大家 に 報告 し なくて は 」   それ を 聞いた 泥棒 は 腹 を 立てて 、 物陰 から 飛び出して くる と 男 に 怒鳴り ました 。 |たいか||ほうこく||||||きいた|どろぼう||はら||たてて|ものかげ||とびだして|||おとこ||どなり| 「 やい やい ! あり も し ない 物 を 盗ま れた など と 、 よくも 言えた もの だ ! ||||ぶつ||ぬすま|||||いえた|| て め え 、『 うそつき は 泥棒 の 始まり 』 と いう 言葉 を 知ら ねえ の か ! |||||どろぼう||はじまり|||ことば||しら||| 」   する と 男 は びっくり して 、 泥棒 に 土下座 ( どげざ → 地面 に 手足 を ついて あやまる こと ) して 謝り ました 。 ||おとこ||||どろぼう||どげざ||じめん||てあし||||||あやまり| 「 すみません 、 すみません 。 ほんの 出来心 な んです 」   これ で は 、 どちら が 泥棒 か わかり ませ ん ね 。 |できごころ||ん です||||||どろぼう|||||

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )