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Fairy Tales, はち 助 いなり

はち 助 いなり

はち 助 いなり

むかし むかし 、 小松 城 ( こまつ じょう ) の 殿さま が 、 お忍び ( おしのび → 身分 の 高い 人 が ひそかに 外出 する こと ) で 町 の 見まわり に 出かけた とき の 事 です 。 「 ココーン ! ココーン ! 」 と 、 まっ 白 な キツネ が 、 殿さま の 前 に 飛び出して き ました 。 続いて 、 その後 から 男 たち が 追っかけて きて 、 「 この ドロボウ め ! 」 「 さあ 捕まえた ! もう 、 逃がさ ん ぞ ! 」 と 、 その キツネ を 捕まえる と 、 な ぐったり けったり し ます 。 「 ココーン ! ココーン ! 」 キツネ が 痛 そうに 泣きさけぶ の を 見かねた 殿さま が 、 男 たち に 声 を かけ ました 。 「 これ 、 いいかげんに かんべん して や ったら どう じゃ ? かわいそうに 、 すっかり 弱って いる で は ない か 」 する と 、 男 たち は 言い ました 。 「 へえ 、 しかし 、 こいつ に 魚 の 干物 ( ひもの ) を 荒らさ れて 、 店 は 大 損し ました ので 」 「 か と いって も 、 キツネ の 命 を 取った ところ で 、 魚 の 干物 が 帰って くる わけで は ある まい 」 「 それ は たしかに 。 けど 、 このまま じゃ 、 あっし ら の 気 が おさまら ねえ です 」 「 それ に 、 また やられちゃ かなわ ねえ 。 ここ は やっぱり 、 この キツネ を 殺して しまわ ない と 」 と 、 男 たち は 再び キツネ を なぐろう と した ので 、 殿さま は あわてて 言い ました 。 「 待て 、 待て ! では 、 わし が その 干物 の 代金 を 払おう で は ない か 」 「 は あ 、 まあ 、 それ なら いい です が 」 手 を 引っ込めた 男 たち に 、 殿さま は 十分な お 金 を 渡して い い ました 。 「 そのかわり 、 キツネ は 連れて 行く ぞ 」 そして 殿さま は 、 傷ついた キツネ を お 城 に 連れて 帰り 、 薬 を 塗って やさしく かいほう して やり ました 。 何 日 かする うち に 、 傷 が 治った キツネ は 元気 を 取り戻し ました 。 「 よい か 、 これ から は 町 に 出て 、 人さま の 物 を 取る ような 悪い 事 は 決して する で ない ぞ 。 わかった な 。 さあ 、 山 へ 帰る が いい 」 キツネ は 頭 を 下げる と 、 何度 も 何度 も お 城 の 方 を 振り返り ながら 、 山 へ 帰って 行き ました 。 それ から 、 数 ヶ月 が すぎた ころ 、 お 城 で 大変な 事 が おこり ました 。 江戸 ( え ど → 東京 都 ) に 大切な 手紙 を 届ける 役目 の 飛脚 ( ひきゃく ) の 五 平 次 ( ご へいじ ) が 、 急な 病気 で 倒れて しまった のです 。 殿さま は 、 困って しまい ました 。 「 うーん 、 よわった のう 。 この 手紙 が 七 日 以内 に 江戸 に 届か ねば 、 お家 の 一大事 と なる 。 だれ か ほか に 、 足 の はやい 者 は おら ん の か ? 」 「・・・・・・」 家来 たち は お互いに 顔 を 見合わせ ます が 、 五 平 次 より はやく 走れる 者 など 、 どこ を 探して も い ませ ん 。 「 こまった 。 どう したら よい のじゃ 」 頭 を かかえる 殿さま の ところ へ 、 家来 の 一 人 が あたふた と かけつけ ました 。 「 殿 ! 江戸 まで 七 日 以内 に 走る と いう 男 が おり ます 」 「 な 、 なん じゃ と ! すぐ に 呼べ ! 」 家来 に 案内 さ れて 、 一 人 の 若者 が お 城 に やってき ました 。 「 わたし は 山 向こう に すむ 、 はち 助 と いう もの です 。 足 の はや さ に は 、 いささか の 自信 が あり ます 。 どうか 今回 の 仕事 、 この はち 助 に お 申しつけ ください 」 この 申し出 に 、 殿さま は しばらく まよって は い ました が 、 「 よし ! 頼む ぞ 、 はち 助 と やら 」 と 、 大事な 手紙 を 渡し ました 。 「 はい ! 」 はち 助 は 、 すぐ に お 城 の 門 から 出て 行き 、 すぐ に 姿 が 見え なく なり ました 。 「 さて 、 無事に 届けて くれる と よい が 」 手紙 を 預かった はち 助 は 、 殿さま の 信頼 に 答えよう と 、 夜 も 昼 も 休む こと なく 走り つづけ ました 。 はち 助 が 出発 して 、 七 日 目 です 。 「 今日 で 七 日 目 か 。 何とか 今日 の うち に 、 江戸 に 着いて くれれば よい が 」 殿さま が 心配 して いる と 、 家来 たち が 駆け 込んで き ました 。 「 と 、 殿さま ! はち 助 が もどって き ました ! 」 「 な 、 なに ? もう 、 もどった と ! あ あっ 、 もう おしまい じゃあ ! 」 ガックリ と 肩 を 落とす 殿さま に 、 家来 たち は ニコニコ し ながら 言い ました 。 「 殿さま 。 勘違い さ れて は 困り ます 。 はち 助 は 、 無事に つとめ を 果たして もどった ので ございます 」 「 それ は まこと か ! 」 「 はい 、 江戸 から の 返事 も 持ち帰って ございます 」 「 なぜ 、 それ を 早く 申さ ぬ 。 すぐ に はち 助 を 呼ぶ のじゃ 」 殿さま の 前 に 呼ば れた はち 助 は 、 江戸 から の 返事 を うやうやしく 差し出し ました 。 返事 を 確認 した 殿さま は 、 大喜びで 言い ました 。 「 はち 助 、 よう やって くれた 。 それにしても 、 飛脚 の 足 で 往復 半月 は かかる 道のり を 、 わずか 七 日 で 走る と は 、 まったく あっぱれな 飛脚 ぶり 。 これ から は わし の 家来 と して 働いて くれ ない か 」 「 ありがたき お 言葉 」 こうして お 城 の お かかえ 飛脚 と なった はち 助 は 、 それ から と いう もの 、 殿さま の 手紙 を 届ける ため に 、 何度 も 江戸 へ 行く ように なり ました 。 ふつうの 飛脚 の 二 倍 の はや さ で 走る はち 助 は 、 殿さま に たいそう 可愛がら れ 、 大事に さ れた のです 。 ある 日 の 事 、 江戸 から もどった はち 助 に 、 殿さま が いい ました 。 「 ご くろう であった な 、 はち 助 。 ゆっくり 休む が いい ぞ 」 「 はっ 、 ありがとう ぞんじます 」 「 ところで はち 助 、 小浜 と 江戸 の 道中 ( どうちゅう ) で 、 なに か やっかいな もの は ない か ? 」 「 はい 、 別に は ございませ ん 。 ・・・ いえ 、 ただ 一 つ だけ 、 小田原 ( お だ わら → 神奈川 県 ) に いる 大きな むく イヌ に は 困って おり ます 」 「 ほう 、 小田原 の むく イヌ か 、 これ は おもしろい 、 はち 助 と も あろう もの が 、 イヌ に 困る と は 。 は は は は 」 と 、 殿さま に 笑われた はち 助 は 、 てれくさ そうに 頭 を かき ました 。 それ から しばらく して 、 はち 助 は また 、 江戸 へ 手紙 を 届ける ため に 旅だって いき ました 。 ところが 今度 は 、 何 日 たって も 戻って き ませ ん 。 「 はち 助 は まだ もどら ん の か ? いったい 、 どうした と いう のだ ? 」 はち 助 の 身 に 何 か あった ので は ない か と 心配 する 殿さま は 、 ふと 、 はち 助 の 言葉 を 思い出し ました 。 「 そう じゃ 、 小田原 じゃ ! いそげ 、 はち 助 を 探し に いく ぞ ! 」 殿さま は さっそく 、 はち 助 を 探し 出す ため に 小田原 へ と 向かい ました 。 そして 、 何 日 も 何 日 も 、 はち 助 の 行方 を 探して 旅 を 続けた のです 。 小田原 まで 、 もう 少し と いう 山道 へ さしかかった とき 、 「 はて 、 あれ は な んじゃ ろう ? 」 と 、 殿さま が 、 草むら の 方 を 指さして 言い ました 。 「 さあ 、 なんで ございましょう なあ ? ちょっと 見て き ましょう 」 ウマ から おりた 家来 が 、 草むら を のぞいて 大声 を あげ ました 。 「 と 、 殿 ! これ を ごらん ください ! 」 そこ に は 、 まっ 白 な キツネ が いて 、 大事な 手紙 の 入った 箱 を 抱きかかえる ように して 死んで いた のです 。 これ を 見た 殿さま は 、 全て の 事 が わかり ました 。 「 は 、 はち 助 、 お前 は 」 はち 助 は 、 殿さま が 助けた キツネ だった のです 。 小田原 で イヌ に おそわれ ながら も 、 なんとか お 城 に たどりつこう と して 、 息 たえて しまった のです 。 殿さま は 、 そんな はち 助 の 死 を たいへん 悲しんで 、 お 城 の 中 に 立派な 社 ( やしろ ) を たてる と 、 はち 助 いなり と して まつり ました 。 今 でも 小松 城 に は 、 はち 助 を まつる おい なり さま が 、 残って いる と いう 事 です 。

おしまい


はち 助 いなり |じょ| Gepunktetes Fuchsgesicht (Siganus unimaculatus, Kaninchenfischart des westlichen Pazifiks) Hachisu Inari (god of harvests, wealth, fertility, etc.) Siganus unimaculatus (Siganus unimaculatus, espèce de poisson-lapin du Pacifique occidental) cara de raposa manchada (Siganus unimaculatus, espécie de peixe-coelho do Pacífico Ocidental) пятнистая лисичка (Siganus unimaculatus, вид западно-тихоокеанских кроликовых рыб) 斑点狐面鱼

はち 助 いなり |じょ| Hachi help

むかし むかし 、 小松 城 ( こまつ じょう ) の 殿さま が 、 お忍び ( おしのび → 身分 の 高い 人 が ひそかに 外出 する こと ) で 町 の 見まわり に 出かけた とき の 事 です 。 ||こまつ|しろ|こま つ|||とのさま||おしのび||みぶん||たかい|じん|||がいしゅつ||||まち||みまわり||でかけた|||こと| Once upon a time, the lord of Komatsu Castle went out to look around the town by stealth (Oshinobi → a high-ranking person going out secretly). 「 ココーン ! ココーン ! 」 と 、 まっ 白 な キツネ が 、 殿さま の 前 に 飛び出して き ました 。 ||しろ||きつね||とのさま||ぜん||とびだして|| " A pure white fox jumped out in front of the lord. 続いて 、 その後 から 男 たち が 追っかけて きて 、 「 この ドロボウ め ! つづいて|そのご||おとこ|||おっかけて|||| Then, men started chasing after them and said, "You slob! 」 「 さあ 捕まえた ! |つかまえた もう 、 逃がさ ん ぞ ! |にがさ|| You're not getting away! 」 と 、 その キツネ を 捕まえる と 、 な ぐったり けったり し ます 。 ||きつね||つかまえる|||||| When he catches the fox, he nicks and kicks it. 「 ココーン ! ココーン ! 」   キツネ が 痛 そうに 泣きさけぶ の を 見かねた 殿さま が 、 男 たち に 声 を かけ ました 。 きつね||つう|そう に|なきさけぶ|||みかねた|とのさま||おとこ|||こえ||| 「 これ 、 いいかげんに かんべん して や ったら どう じゃ ? How about showing a bit of leniency with this?" かわいそうに 、 すっかり 弱って いる で は ない か 」   する と 、 男 たち は 言い ました 。 ||よわって||||||||おとこ|||いい| The men said, "Poor man, you look so weak. 「 へえ 、 しかし 、 こいつ に 魚 の 干物 ( ひもの ) を 荒らさ れて 、 店 は 大 損し ました ので 」 「 か と いって も 、 キツネ の 命 を 取った ところ で 、 魚 の 干物 が 帰って くる わけで は ある まい 」 「 それ は たしかに 。 ||||ぎょ||ひもの|||あらさ||てん||だい|そんし|||||||きつね||いのち||とった|||ぎょ||ひもの||かえって|||||||| "Wow, but this fellow ruined the dried fish in the shop, causing a big loss. However, even if we were to take the fox's life, it wouldn't necessarily bring back the dried fish. That's for sure." けど 、 このまま じゃ 、 あっし ら の 気 が おさまら ねえ です 」 「 それ に 、 また やられちゃ かなわ ねえ 。 ||||||き|||||||||| But if we leave it like this, our anger won't subside, and we might be taken advantage of again. ここ は やっぱり 、 この キツネ を 殺して しまわ ない と 」 と 、 男 たち は 再び キツネ を なぐろう と した ので 、 殿さま は あわてて 言い ました 。 ||||きつね||ころして|||||おとこ|||ふたたび|きつね||||||とのさま|||いい| The men tried to hit the fox again, and the lord rushed to say, "We must kill this fox after all. 「 待て 、 待て ! まて|まて "Wait, wait! では 、 わし が その 干物 の 代金 を 払おう で は ない か 」 「 は あ 、 まあ 、 それ なら いい です が 」   手 を 引っ込めた 男 たち に 、 殿さま は 十分な お 金 を 渡して い い ました 。 ||||ひもの||だいきん||はらおう|||||||||||||て||ひっこめた|おとこ|||とのさま||じゅうぶんな||きむ||わたして||| Then I will pay for the dried fish. "Well, that's all right then. The men withdrew their hands, and the lord gave them enough money to cover their expenses. 「 そのかわり 、 キツネ は 連れて 行く ぞ 」   そして 殿さま は 、 傷ついた キツネ を お 城 に 連れて 帰り 、 薬 を 塗って やさしく かいほう して やり ました 。 |きつね||つれて|いく|||とのさま||きずついた|きつね|||しろ||つれて|かえり|くすり||ぬって||||| "In exchange, we'll take the fox with us." The lord then took the wounded fox back to his castle, and gently soothed it with medicine. 何 日 かする うち に 、 傷 が 治った キツネ は 元気 を 取り戻し ました 。 なん|ひ||||きず||なおった|きつね||げんき||とりもどし| After a few days, the wounds healed and the fox regained his strength. 「 よい か 、 これ から は 町 に 出て 、 人さま の 物 を 取る ような 悪い 事 は 決して する で ない ぞ 。 |||||まち||でて|ひとさま||ぶつ||とる||わるい|こと||けっして|||| From now on, you will never go into town and do anything bad, like taking things that belong to other people. わかった な 。 I understand. さあ 、 山 へ 帰る が いい 」   キツネ は 頭 を 下げる と 、 何度 も 何度 も お 城 の 方 を 振り返り ながら 、 山 へ 帰って 行き ました 。 |やま||かえる|||きつね||あたま||さげる||なんど||なんど|||しろ||かた||ふりかえり||やま||かえって|いき| それ から 、 数 ヶ月 が すぎた ころ 、 お 城 で 大変な 事 が おこり ました 。 ||すう|かげつ|||||しろ||たいへんな|こと||| A few months later, something terrible happened at the castle. 江戸 ( え ど → 東京 都 ) に 大切な 手紙 を 届ける 役目 の 飛脚 ( ひきゃく ) の 五 平 次 ( ご へいじ ) が 、 急な 病気 で 倒れて しまった のです 。 えど|||とうきょう|と||たいせつな|てがみ||とどける|やくめ||ひきゃく|||いつ|ひら|つぎ||||きゅうな|びょうき||たおれて|| Goheiji, a hikikyaku (a traveler) who was in charge of delivering important letters to Edo (Edo → Tokyo), suddenly collapsed due to illness. 殿さま は 、 困って しまい ました 。 とのさま||こまって|| The Lord was troubled. 「 うーん 、 よわった のう 。 "Well, that's not good. この 手紙 が 七 日 以内 に 江戸 に 届か ねば 、 お家 の 一大事 と なる 。 |てがみ||なな|ひ|いない||えど||とどか||おいえ||いちだいじ|| If this letter did not reach Edo within seven days, it would be a great disaster for the family. だれ か ほか に 、 足 の はやい 者 は おら ん の か ? ||||あし|||もの||||| 」 「・・・・・・」   家来 たち は お互いに 顔 を 見合わせ ます が 、 五 平 次 より はやく 走れる 者 など 、 どこ を 探して も い ませ ん 。 けらい|||おたがいに|かお||みあわせ|||いつ|ひら|つぎ|||はしれる|もの||||さがして|||| The retainers look at each other, but there is no one anywhere who can run faster than Goheiji. 「 こまった 。 どう したら よい のじゃ 」   頭 を かかえる 殿さま の ところ へ 、 家来 の 一 人 が あたふた と かけつけ ました 。 ||||あたま|||とのさま||||けらい||ひと|じん||||| One of his retainers rushed over to the lord, who was at a loss as to what to do. 「 殿 ! しんがり 江戸 まで 七 日 以内 に 走る と いう 男 が おり ます 」 「 な 、 なん じゃ と ! えど||なな|ひ|いない||はしる|||おとこ||||||| There is a man who says he will run to Edo within seven days. "What the hell? すぐ に 呼べ ! ||よべ Call them immediately! 」   家来 に 案内 さ れて 、 一 人 の 若者 が お 城 に やってき ました 。 けらい||あんない|||ひと|じん||わかもの|||しろ||| " A young man came to the castle, escorted by his retainers. 「 わたし は 山 向こう に すむ 、 はち 助 と いう もの です 。 ||やま|むこう||||じょ|||| I am Hachisuke, and I live on the other side of the mountain. 足 の はや さ に は 、 いささか の 自信 が あり ます 。 あし||||||||じしん||| I have a bit of confidence in the speed of my feet. どうか 今回 の 仕事 、 この はち 助 に お 申しつけ ください 」   この 申し出 に 、 殿さま は しばらく まよって は い ました が 、 「 よし ! |こんかい||しごと|||じょ|||もうしつけ|||もうしで||とのさま|||||||| The Lord hesitated for a while at this offer, but then said, "Good! 頼む ぞ 、 はち 助 と やら 」 と 、 大事な 手紙 を 渡し ました 。 たのむ|||じょ||||だいじな|てがみ||わたし| Please, Hachisuke and I will do it." I gave him a very important letter saying, "I am very happy to see you. 「 はい ! 」   はち 助 は 、 すぐ に お 城 の 門 から 出て 行き 、 すぐ に 姿 が 見え なく なり ました 。 |じょ|||||しろ||もん||でて|いき|||すがた||みえ||| " Hachi-suke quickly went out of the castle gate and was soon out of sight. 「 さて 、 無事に 届けて くれる と よい が 」   手紙 を 預かった はち 助 は 、 殿さま の 信頼 に 答えよう と 、 夜 も 昼 も 休む こと なく 走り つづけ ました 。 |ぶじに|とどけて|||||てがみ||あずかった||じょ||とのさま||しんらい||こたえよう||よ||ひる||やすむ|||はしり|| はち 助 が 出発 して 、 七 日 目 です 。 |じょ||しゅっぱつ||なな|ひ|め| It has been seven days since Hachisuke left. 「 今日 で 七 日 目 か 。 きょう||なな|ひ|め| 何とか 今日 の うち に 、 江戸 に 着いて くれれば よい が 」   殿さま が 心配 して いる と 、 家来 たち が 駆け 込んで き ました 。 なんとか|きょう||||えど||ついて||||とのさま||しんぱい||||けらい|||かけ|こんで|| I hope they arrive in Edo by today." As the lord was worried, his retainers rushed into the room. 「 と 、 殿さま ! |とのさま はち 助 が もどって き ました ! |じょ|||| Hachisuke has returned! 」 「 な 、 なに ? もう 、 もどった と ! あ あっ 、 もう おしまい じゃあ ! Ah, that's it then! 」   ガックリ と 肩 を 落とす 殿さま に 、 家来 たち は ニコニコ し ながら 言い ました 。 がっくり||かた||おとす|とのさま||けらい|||にこにこ|||いい| " As the lord's shoulders drooped in disappointment, his retainers smiled at him. 「 殿さま 。 とのさま "My Lord. 勘違い さ れて は 困り ます 。 かんちがい||||こまり| We do not want to be misunderstood. はち 助 は 、 無事に つとめ を 果たして もどった ので ございます 」 「 それ は まこと か ! |じょ||ぶじに|||はたして||||||| Hachi-suke has safely completed his service and returned home! 」 「 はい 、 江戸 から の 返事 も 持ち帰って ございます 」 「 なぜ 、 それ を 早く 申さ ぬ 。 |えど|||へんじ||もちかえって|||||はやく|もうさ| Yes, I have brought a reply from Edo. Why didn't you mention that sooner? すぐ に はち 助 を 呼ぶ のじゃ 」   殿さま の 前 に 呼ば れた はち 助 は 、 江戸 から の 返事 を うやうやしく 差し出し ました 。 |||じょ||よぶ||とのさま||ぜん||よば|||じょ||えど|||へんじ|||さしだし| 返事 を 確認 した 殿さま は 、 大喜びで 言い ました 。 へんじ||かくにん||とのさま||おおよろこびで|いい| When the Lord confirmed the reply, he was overjoyed. 「 はち 助 、 よう やって くれた 。 |じょ||| Hachi-suke, you did a great job. それにしても 、 飛脚 の 足 で 往復 半月 は かかる 道のり を 、 わずか 七 日 で 走る と は 、 まったく あっぱれな 飛脚 ぶり 。 |ひきゃく||あし||おうふく|はんつき|||みちのり|||なな|ひ||はしる|||||ひきゃく| Still, to travel the half-month round trip on a hiker's legs in a mere seven days, he was an amazing hiker. これ から は わし の 家来 と して 働いて くれ ない か 」 「 ありがたき お 言葉 」   こうして お 城 の お かかえ 飛脚 と なった はち 助 は 、 それ から と いう もの 、 殿さま の 手紙 を 届ける ため に 、 何度 も 江戸 へ 行く ように なり ました 。 |||||けらい|||はたらいて||||||ことば|||しろ||||ひきゃく||||じょ|||||||とのさま||てがみ||とどける|||なんど||えど||いく||| From now on, you will work for me as my retainer. "Thank you for your kind words." Hachisuke became a kaekae bishop of the castle, and from then on, he made frequent trips to Edo (present-day Tokyo) to deliver the lord's letters. ふつうの 飛脚 の 二 倍 の はや さ で 走る はち 助 は 、 殿さま に たいそう 可愛がら れ 、 大事に さ れた のです 。 |ひきゃく||ふた|ばい|||||はしる||じょ||とのさま|||かわいがら||だいじに||| Hachisuke, who ran twice as fast as an ordinary hiker, was loved and cherished by the lord. ある 日 の 事 、 江戸 から もどった はち 助 に 、 殿さま が いい ました 。 |ひ||こと|えど||||じょ||とのさま||| One day, Hachisuke returned from Edo, and the lord told him 「 ご くろう であった な 、 はち 助 。 |||||じょ "Thank you very much, Hachisuke. ゆっくり 休む が いい ぞ 」 「 はっ 、 ありがとう ぞんじます 」 「 ところで はち 助 、 小浜 と 江戸 の 道中 ( どうちゅう ) で 、 なに か やっかいな もの は ない か ? |やすむ||||||ぞんじ ます|||じょ|おはま||えど||どうちゅう||||||||| By the way, Hachisuke, is there anything troublesome on the way between Obama and Edo? 」 「 はい 、 別に は ございませ ん 。 |べつに||| " Yes, nothing in particular. ・・・ いえ 、 ただ 一 つ だけ 、 小田原 ( お だ わら → 神奈川 県 ) に いる 大きな むく イヌ に は 困って おり ます 」 「 ほう 、 小田原 の むく イヌ か 、 これ は おもしろい 、 はち 助 と も あろう もの が 、 イヌ に 困る と は 。 ||ひと|||おだわら||||かながわ|けん|||おおきな||いぬ|||こまって||||おだわら|||いぬ||||||じょ||||||いぬ||こまる|| No, just one thing. We are having trouble with a large breed of dog in Odawara, Kanagawa Prefecture. It's an interesting situation, isn't it? Even Hachisuke seems to be troubled by this dog. は は は は 」 と 、 殿さま に 笑われた はち 助 は 、 てれくさ そうに 頭 を かき ました 。 |||||とのさま||えみわれた||じょ|||そう に|あたま||| Hachi-suke was laughing at the lord, and he scratched his head in embarrassment. それ から しばらく して 、 はち 助 は また 、 江戸 へ 手紙 を 届ける ため に 旅だって いき ました 。 |||||じょ|||えど||てがみ||とどける|||たびだって|| A short time later, Hachisuke left again to deliver a letter to Edo. ところが 今度 は 、 何 日 たって も 戻って き ませ ん 。 |こんど||なん|ひ|||もどって||| This time, however, it didn't come back for days. 「 はち 助 は まだ もどら ん の か ? |じょ|||||| いったい 、 どうした と いう のだ ? What the hell is going on? 」   はち 助 の 身 に 何 か あった ので は ない か と 心配 する 殿さま は 、 ふと 、 はち 助 の 言葉 を 思い出し ました 。 |じょ||み||なん||||||||しんぱい||とのさま||||じょ||ことば||おもいだし| Worried that something had happened to Hachi-suke, the lord suddenly remembered Hachi-suke's words. 「 そう じゃ 、 小田原 じゃ ! ||おだわら| "Yes, Odawara! いそげ 、 はち 助 を 探し に いく ぞ ! ||じょ||さがし||| Hurry up, let's go find Hachisuke! 」   殿さま は さっそく 、 はち 助 を 探し 出す ため に 小田原 へ と 向かい ました 。 とのさま||||じょ||さがし|だす|||おだわら|||むかい| " His Lordship immediately headed for Odawara to find Hachisuke. そして 、 何 日 も 何 日 も 、 はち 助 の 行方 を 探して 旅 を 続けた のです 。 |なん|ひ||なん|ひ|||じょ||ゆくえ||さがして|たび||つづけた| 小田原 まで 、 もう 少し と いう 山道 へ さしかかった とき 、 「 はて 、 あれ は な んじゃ ろう ? おだわら|||すこし|||やまみち||||||||| When we were approaching the mountain road that would take us to Odawara, I asked myself, "What is that? 」 と 、 殿さま が 、 草むら の 方 を 指さして 言い ました 。 |とのさま||くさむら||かた||ゆびさして|いい| 「 さあ 、 なんで ございましょう なあ ? "Well, what do you think? ちょっと 見て き ましょう 」   ウマ から おりた 家来 が 、 草むら を のぞいて 大声 を あげ ました 。 |みて||||||けらい||くさむら|||おおごえ||| A man from the horse's house peeked out from the grass and shouted, "Let's go have a look. 「 と 、 殿 ! |しんがり これ を ごらん ください ! 」   そこ に は 、 まっ 白 な キツネ が いて 、 大事な 手紙 の 入った 箱 を 抱きかかえる ように して 死んで いた のです 。 ||||しろ||きつね|||だいじな|てがみ||はいった|はこ||だきかかえる|||しんで|| これ を 見た 殿さま は 、 全て の 事 が わかり ました 。 ||みた|とのさま||すべて||こと||| When the Lord saw this, he understood everything. 「 は 、 はち 助 、 お前 は 」   はち 助 は 、 殿さま が 助けた キツネ だった のです 。 ||じょ|おまえ|||じょ||とのさま||たすけた|きつね|| "Ha, Hachisuke, you..." Hachi-suke was the fox that the lord had saved. 小田原 で イヌ に おそわれ ながら も 、 なんとか お 城 に たどりつこう と して 、 息 たえて しまった のです 。 おだわら||いぬ|||||||しろ|||||いき||| In Odawara, he was frightened by a dog, but he managed to get to the castle, only to die. 殿さま は 、 そんな はち 助 の 死 を たいへん 悲しんで 、 お 城 の 中 に 立派な 社 ( やしろ ) を たてる と 、 はち 助 いなり と して まつり ました 。 とのさま||||じょ||し|||かなしんで||しろ||なか||りっぱな|しゃ|や しろ|||||じょ||||| 今 でも 小松 城 に は 、 はち 助 を まつる おい なり さま が 、 残って いる と いう 事 です 。 いま||こまつ|しろ||||じょ|||||||のこって||||こと| Even today, there is still a deity at Komatsu Castle who protects Hachisuke.

おしまい