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世界の昔話, フランドロの石

フランドロの石

フランドロ の 石

むかし むかし 、 ギリシア の ある 島 に 、 フランドロ と いう 美しい 娘 が い ました 。 フランドロ は 美しい 上 に 家柄 も 良かった ので 、 大勢 の 金持ち や 貴族 たち から 次々 と 結婚 を 申し込ま れ ました 。 けれど フランドロ は 、 いつも 結婚 を 断る のでした 。 「 わたし に は 、 心 に 決めた 人 が い ます から 」 実は フランドロ の 好きな 人 は 若い 船長 で 、 船長 が 航海 を 終えて 島 に 帰って 来る と 、 フランドロ は いつも 話 を せがみ ました 。 「 海 の お 話し を して ください な 」 すると 船長 は 、 島 の 様 に 大きな クジラ 、 人間 を まどわ す 人魚 たち 、 嵐 の 夜 に 現れる 幽霊 船 など 、 不思議な 話 を いく つ も 聞か せて くれる のでした 。

やがて フランドロ の 恋 が 叶って 、 二 人 は 結婚 を し ました 。 でも 船長 は 結婚 式 が 終わる と 新しい 船 の 船長 に なって 、 すぐ に 海 へ 出る 事 に なり ました 。 「 わたし たち 、 結婚 した ばかりです よ 。 せめて 、 もう 少し 家 に いて ください な 」 しかし 船長 の 目 は 、 フランドロ より も 新しい 船 の 方 を 向いて い ました 。 ( この 人 は 、 本当に 海 が 好きな んだ わ ) フランドロ は 仕方なく 、 海 へ 出る 夫 を 見送り ました 。

それ から しばらく した ある 日 、 フランドロ の 夫 が 乗って いる 船 が 嵐 で 沈没 して しまった と の 知らせ が 届いた のです 。 「 可哀想に 。 まだ 結婚 した ばかり と いう のに 」 人々 は フランドロ を なぐさめ ました が 、 フランドロ は 涙 を 拭く と 言い ました 。 「 いいえ 、 あの 人 は 死んで い ませ ん 。 きっと 帰って き ます 」 それ から フランドロ は 毎日 海岸 に 行って は 、 夫 の 帰り を 待ち 続け ました 。 「 神さま 、 どうか あの 人 が 戻り ます ように 」 でも 、 夫 は 帰って き ませ ん 。 やがて フランドロ は 悲しみ の あまり 病気 に なり ました が 、 でも 頑張って 毎日 海岸 に やって 来 ました 。

それ から 三 年 が 過ぎた ある 日 、 フランドロ は 神さま に こんな お 願い を した のです 。 「 神さま 。 わたし は それほど 、 長く は 生き られ ませ ん 。 お 願い です 、 どうか わたし を 石 に して ください 。 わたし が いつまでも 、 夫 を 待ち 続ける 事 が 出来る ように 」 その フランドロ の 願い が 、 神さま に 届き ました 。 フランドロ は 海岸 に 立ち つくした まま 、 人 の 形 を した 石 に なった のです 。

その後 、 この 話 を 哀れに 思った 船乗り の お 母さん が 、 フランドロ の 石 の そば に マリア さま の お 堂 を 建て ました 。 そして フランドロ の 石 は 、 船 の 航海 を 祈る 船乗り の 家族 たち の 祈り の 場 に なり ました 。

おしまい


フランドロの石 フランドロ の いし Flandro's Stone

フランドロ の 石 ||いし Flandreau's Stone

むかし むかし 、 ギリシア の ある 島 に 、 フランドロ と いう 美しい 娘 が い ました 。 ||ぎりしあ|||しま|||||うつくしい|むすめ||| Once upon a time, on a Greek island, there was a beautiful daughter named Flandro. フランドロ は 美しい 上 に 家柄 も 良かった ので 、 大勢 の 金持ち や 貴族 たち から 次々 と 結婚 を 申し込ま れ ました 。 ||うつくしい|うえ||いえがら||よかった||おおぜい||かねもち||きぞく|||つぎつぎ||けっこん||もうしこま|| Flandro was beautiful and had a good family, so many rich people and aristocrats applied for marriage one after another. けれど フランドロ は 、 いつも 結婚 を 断る のでした 。 ||||けっこん||ことわる| But Flandreau always refused to marry. 「 わたし に は 、 心 に 決めた 人 が い ます から 」   実は フランドロ の 好きな 人 は 若い 船長 で 、 船長 が 航海 を 終えて 島 に 帰って 来る と 、 フランドロ は いつも 話 を せがみ ました 。 |||こころ||きめた|じん|||||じつは|||すきな|じん||わかい|せんちょう||せんちょう||こうかい||おえて|しま||かえって|くる|||||はなし||| In fact, Flandreau's favorite person was a young sea captain, whom he always insisted on talking to when he returned to the island after his voyage. 「 海 の お 話し を して ください な 」   すると 船長 は 、 島 の 様 に 大きな クジラ 、 人間 を まどわ す 人魚 たち 、 嵐 の 夜 に 現れる 幽霊 船 など 、 不思議な 話 を いく つ も 聞か せて くれる のでした 。 うみ|||はなし||||||せんちょう||しま||さま||おおきな|くじら|にんげん||||にんぎょ||あらし||よ||あらわれる|ゆうれい|せん||ふしぎな|はなし|||||きか|||

やがて フランドロ の 恋 が 叶って 、 二 人 は 結婚 を し ました 。 |||こい||かなって|ふた|じん||けっこん||| Eventually, Flandro's love came true, and the two married. でも 船長 は 結婚 式 が 終わる と 新しい 船 の 船長 に なって 、 すぐ に 海 へ 出る 事 に なり ました 。 |せんちょう||けっこん|しき||おわる||あたらしい|せん||せんちょう|||||うみ||でる|こと||| However, after the wedding ceremony, the captain became the captain of a new ship and soon went out to sea. 「 わたし たち 、 結婚 した ばかりです よ 。 ||けっこん||| "We just got married. せめて 、 もう 少し 家 に いて ください な 」   しかし 船長 の 目 は 、 フランドロ より も 新しい 船 の 方 を 向いて い ました 。 ||すこし|いえ||||||せんちょう||め|||||あたらしい|せん||かた||むいて|| At the very least, stay home a little longer. "But the captain's eyes were on the newer ship than on Flandro. ( この 人 は 、 本当に 海 が 好きな んだ わ )   フランドロ は 仕方なく 、 海 へ 出る 夫 を 見送り ました 。 |じん||ほんとうに|うみ||すきな|||||しかたなく|うみ||でる|おっと||みおくり|

それ から しばらく した ある 日 、 フランドロ の 夫 が 乗って いる 船 が 嵐 で 沈没 して しまった と の 知らせ が 届いた のです 。 |||||ひ|||おっと||のって||せん||あらし||ちんぼつ|||||しらせ||とどいた| 「 可哀想に 。 かわいそうに まだ 結婚 した ばかり と いう のに 」   人々 は フランドロ を なぐさめ ました が 、 フランドロ は 涙 を 拭く と 言い ました 。 |けっこん||||||ひとびと|||||||||なみだ||ふく||いい| 「 いいえ 、 あの 人 は 死んで い ませ ん 。 ||じん||しんで||| "No, that person isn't dead. きっと 帰って き ます 」   それ から フランドロ は 毎日 海岸 に 行って は 、 夫 の 帰り を 待ち 続け ました 。 |かえって|||||||まいにち|かいがん||おこなって||おっと||かえり||まち|つづけ| 「 神さま 、 どうか あの 人 が 戻り ます ように 」   でも 、 夫 は 帰って き ませ ん 。 かみさま|||じん||もどり||||おっと||かえって||| やがて フランドロ は 悲しみ の あまり 病気 に なり ました が 、 でも 頑張って 毎日 海岸 に やって 来 ました 。 |||かなしみ|||びょうき||||||がんばって|まいにち|かいがん|||らい|

それ から 三 年 が 過ぎた ある 日 、 フランドロ は 神さま に こんな お 願い を した のです 。 ||みっ|とし||すぎた||ひ|||かみさま||||ねがい||| 「 神さま 。 かみさま わたし は それほど 、 長く は 生き られ ませ ん 。 |||ながく||いき||| I can't live that long. お 願い です 、 どうか わたし を 石 に して ください 。 |ねがい|||||いし||| Please, please make me a stone. わたし が いつまでも 、 夫 を 待ち 続ける 事 が 出来る ように 」   その フランドロ の 願い が 、 神さま に 届き ました 。 |||おっと||まち|つづける|こと||できる|||||ねがい||かみさま||とどき| フランドロ は 海岸 に 立ち つくした まま 、 人 の 形 を した 石 に なった のです 。 ||かいがん||たち|||じん||かた|||いし||| Flandro, standing on the shore, became a human-shaped stone.

その後 、 この 話 を 哀れに 思った 船乗り の お 母さん が 、 フランドロ の 石 の そば に マリア さま の お 堂 を 建て ました 。 そのご||はなし||あわれに|おもった|ふなのり|||かあさん||||いし||||まりあ||||どう||たて| Later, a sailor's mother, who felt sorry for this story, built Maria's temple near the stone in Flandro. そして フランドロ の 石 は 、 船 の 航海 を 祈る 船乗り の 家族 たち の 祈り の 場 に なり ました 。 |||いし||せん||こうかい||いのる|ふなのり||かぞく|||いのり||じょう||| And Flandro's stone became a place of prayer for the sailors' families praying for the voyage of the ship.

おしまい